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世の中変わった、変わらなければ、激変の環境への各社の対応続々と

ここ数年、特に昨年来急増しているM&A(企業の買収&合併)、そして今年に入ってから顕著な世界経済の減速と、半導体業界を取り巻く環境が厳しさを増すなか、意識改革の打ち上げ、新技術・新市場への事業再構築の動きがまたも世界的に激しさを高めてきている。ここまでくると破壊的革新が避けられないというトーンのもと、各社の新基軸そして再構築の対応が続々とここにきて目立つとともに、伸びる確実な需要についての対応も当然ながら相半ばするところがある現下の市場基調を感じている。

≪新基軸そして再構築≫

「世の中変わった」という受け止めが率直に表れている記事が見られている。数年前に欧州の半導体業界で打ち上げられた以下の10:100:20プロジェクトであるが、行き詰まりを見せている。

◇In the space of five years, it looks like 450mm manufacturing has become surplus to current requirements-Industry interest in 450mm wafers has waned (6月28日付け New Electronics)
→業界watcher、Future Horizonsのchairman、Malcolm Penn氏。欧州の450mmウェーハの欲求は失せており、10:100:20プロジェクト(10billionユーロのEU出資、100bnユーロの業界出資でグローバル半導体事業の20%を獲得する主旨)の考え方を欧州の半導体メーカーは拒否、「世界が3-4年で変わってしまっている」旨。

同じ欧州のimecでも、新たな段階に入っていく半導体業界とともに、規模の拡大は変わらず続くことが謳われている。

◇Is the semiconductor industry entering a new phase when it comes to scaling?-Analysis: Has scaling under Moore's Law come to an end? (6月28日付け New Electronics)
→imec Technology Forumでの講演者によると、半導体寸法scalingはさらに困難になってきているが、引き続いていく旨。「scalingは設計コスト増大から劇的に鈍化しているが、我々の顧客は最先端での規模拡大を続けていく」と、GlobalFoundriesのCTOで世界R&Dのsenior VP、Gary Patton氏。

「企業文化」の変革が打ち上げられたのが、サムスン電子である。李 健煕(イ ゴンヒ)会長の強力なリーダーシップで伸びてきた同社の文化の基軸を破壊的に変える以下の内容である。

◇サムスン電子、組織文化を改編…「年功序列」崩す (6月28日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子から代理・課長・部長の肩書が消える旨。お互いを「様」または「プロ」のような共通呼称と呼ぶことにし、「ホン・ギルドン様」「ホン・ギルドンプロ」というやり方の旨。また7段階に分かれていた社員の職級は4段階に単純化される旨。こうした内容を骨子とする人事制度の改編案が27日発表されたが、その下絵は昨年7月に描かれ始めた旨。社内通信網「モザイク」を通じて2万6000人の役員の意見を集め、3月には役員600人を集めて「スタートアップサムスン・カルチャー革新宣言式」という行事まで開いた旨。その後、経営陣と社員が参加するタスクフォース(TF)を発足させて改編案を確定した旨。

◇サムスン「企業文化」変革、人事、部長以下の肩書廃止、衣服、夏の短パン勤務OK、グローバルへ脱韓流 (6月29日付け 日経産業)
→韓国のサムスン電子が大規模な企業文化改革に乗り出す旨。部長級以下は肩書をなくして名前で呼び合う旨。人事制度上も部長以下の職級は7段階から4段階に簡素化し能力主義を徹底、夏季は短パン勤務も認める旨。韓国企業には「軍隊式」とも言われる上意下達の雰囲気がなお残り、事業面では既にグローバル化したサムスンは組織文化の面でも脱皮を目指す旨。

我が国内業界においても、ルネサスエレクトロニクスの新たなトップ就任により自力邁進の方向性が確認されている。

◇Japan's Renesas wants to stay independent, says chief executive, snubbing Nidec-Renesas CEO is not interested in company being acquired by Nidec (6月28日付け Reuters)
→電子部品メーカー、日本電産(Nidec Corp.)がルネサス買収の意向を持つことについて、自力で進む旨。

◇ルネサス新社長「傘下に入ること望ましくない」 (6月28日付け 日経 電子版)
→ルネサスエレクトロニクスの社長兼最高経営責任者(CEO)に28日就任した呉氏。「自動車制御などの戦略的な分野に集中し、世界一を目指す」、「特定会社の傘下に入ることで取引を制約されるのは望ましくない」と語り、自力での成長を目指すと明言した旨。

新たな技術領域への踏み込みの打ち上げとして、まずは欧州の電機業界を引っ張るドイツのシーメンスである。

◇独シーメンス、新技術に5年で1100億円投資、AIなど対象 (6月29日付け 日経 電子版)
→独シーメンスが28日、新たな技術・サービスを専門に取り扱う独立組織、「ネクスト47」を10月に立ち上げ、今後5年で総額10億ユーロ(約1140億円)を投資すると発表、人工知能(AI)や分散型エネルギーなどの分野で、他社との提携や新興企業への出資に充てる旨。欧州重電大手の同社を取り巻く競争環境が大きく変わるなか、外部ノウハウを積極的に取り込む旨。
新組織の名称、「ネクスト47」は、1847年の同社の創業の年にちなみ、従業員35万人の大組織になったシーメンス自らの原点回帰の意味を込めた旨。シリコンバレーと上海、本社のあるミュンヘンに拠点を置く旨。

もう1つ、半導体FPGAのザイリンクスである。

◇米ザイリンクス、クラウドなど4領域に集中投資 (6月27日付け 日刊工業)
→米ザイリンクス(カリフォルニア州)はクラウドや画像処理、産業向けIoT(モノのインターネット)、第5世代移動通信方式(5G)の四つの事業領域を重点化する戦略を打ち出した旨。同領域に集中投資し、FPGA(書き換え可能な集積回路)に複数のプロセッサを内蔵し処理能力を高めた製品を軸に市場を深耕する旨。

最後に、低迷基調の脱却を図る再構築の動きとして2件。半導体最大手のインテルが、事業の売却そして本年第3波になるレイオフを始めようとしている模様である。

◇Intel considers sale of cyber security business: FT-Report: Intel may sell its cybersecurity unit (6月26日付け Reuters)
→The Financial Times発。McAfeeとしてかつて知られるIntel Security事業部門が、広範囲にわたるcorporate再構築の一環として売りに出される可能性の旨。IntelはMcAfeeを5年前に$7.7 billionで買収の旨。

◇Intel to initialize 3rd wave of layoffs that could affect Taiwan suppliers (6月27日付け DIGITIMES)
→Intelが、主に同社世界販売&マーケティング部門について6月終わりにレイオフの第3波を開始、業界筋によると、台湾のsupply chainのプレーヤーに影響を与える見込みの動きの旨。4月にIntelは、世界中で約12,000人の従業員、同社世界全体のworkforceの約11%をレイオフすると発表、その第1波、第2波は、業績不振あるいは事業ポテンシャル不足のモバイルデバイス事業および製品ラインが主であった旨。製品ライン再構築に加えてIntelは、責任およびマネジメントcoverageを明確に定義するべく同社channel販売&マーケティングの絞り込みを図っている旨。

半導体メモリのマイクロンにおいても、人員削減の動きが以下の通りである。

◇Chipmaker Micron to cut jobs after turnaround plans dashed (6月30日付け Reuters)

◇米マイクロン、赤字転落でリストラ、主力のDRAM価格下落 (7月1日付け 日経 電子版)
→マイクロン・テクノロジーが6月30日(米国時間)に発表した3〜5月期決算。売上高が$2.898 billionで前年同期比25%減、純損失が$215 million(約220億円)で前年同期$491 millionの黒字から赤字に転落した旨。主力製品であるDRAMが価格の下落に見舞われ、業績が悪化した旨。業績不振を受け、リストラ策も同日発表、開発プロジェクトを厳選するだけでなく、人員削減にも踏み切る旨。世界で3万2000人ほどとされるマイクロンの社員のうち2400人程度がリストラの対象になる旨。

◇Micron swings to loss in fiscal 3Q16, to cut jobs (7月1日付け DIGITIMES)

◇Micron to Cut Jobs (7月1日付け EE Times)
→Micron Technology社(Boise, Idaho)が木曜30日、グローバルメモリ半導体市場の難局に直面、一連のコスト削減initiativesの一環として不特定の数のjobs削減を行う旨。


≪市場実態PickUp≫

【Brexit】

Brexit(英国のEU脱退)のエレクトロニクス・半導体業界関連への影響、そして対応が表わされている。

◇Brexit: electronics supply chain can get through this, says ECSN head-ECSN chairman says supply chain will work through Brexit phase (6月24日付け Electronics Weekly (U.K.))
→英国・Electronic Components Supply Network(ECSN)のchairman、Adam Fletcher氏。ECSNメンバーは、Brexit(英国のEU脱退)移行期間においてビジネスを続けて行う備えがある旨。

◇Brexit Ripples Through Tech Community (6月27日付け EE Times)
→英国の有権者はEuropean Union離脱を決めたが、IBMからMicrosoftまでいくつかのハイテクtitansが反対してきている動きである旨。

次項のASE-SPIL合併関連の動きの中でもBrexitについてコメントされている。

◇ASE, SPIL continue talks, dismiss impact of Brexit-Talks go on for ASE and SPIL; no impact from Brexit vote (6月29日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)とSiliconware Precision Industries(SPIL)の間での合併提案についての交渉が、木曜の期限を前に続いている旨。「我々はBrexit(英国のEU脱退)にはまったく影響を受けない。」と、ASEの年次株主総会にて同社Chief Operating Officer(COO)、Tien Wu氏。

英国そして欧州の比率を率直に念頭に置いた、以下の業界分析記事となっている。

◇Why Brexit Will Not Have A Significant Impact On The Semiconductor Industry-Analysis: Chip business won't suffer due to Brexit (6月30日付け Forbes)
→英国のEUからの離脱は、世界半導体業界への影響は大きくない旨。大方の半導体はシンガポール、韓国および台湾で作られている一方、米国が半導体全部の半分を占め、中国が年あたり生産されるICsの50%以上を買っている旨。

【ASE-SPIL合併合意】

半導体実装テスト業界の大手、台湾のASEとSPILの間のすったもんだの経緯の合併に向けた交渉であるが、期限を目前にした以下の動きである。

◇ASE, SPIL vow to execute joint share-swap deal-ASE, SPIL push deadline on joint share-swap deal to June 30 (6月27日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)とSiliconware Precision Industries(SPIL)が、5月に両社間で到達した共同株式交換MoUの実行を、以前に合意した2016年6月25日ではなく同年6月30日までに開始する見込み、両社は依然交渉している旨。

◇Taiwan chip firm ASE adds to calls for Taipei to ease China investment policy-ASE COO wants Chinese investments to be easier in Taiwan (6月28日付け Reuters)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)のchief operating officer(COO)、Tien Wu氏が火曜28日、中国の会社による投資についてもっと寛容なスタンスを提唱、「グローバルな競争環境および資本の流れとなると、自分たちはオープンな態度である」旨。

◇ASE expects merger with SPIL to create synergies-ASE, SPIL look to synergies in their proposed merger (6月30日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)のCOO、Tien Wu氏。ASEとSiliconware Precision Industries(SPIL)との合併でシナジー効果が生み出される見込み、両社ともに相当の利益を引き出せる旨。ASEとSPILは、2016年6月30日までに該合併取引の実行開始予定、当初期限より5日遅れの旨。

そうしてついに、6月30日に両社合併合意調印に至っている。関係各国の公正取引審査、両社株主承認などの関門、手続きが待ち構えている。

◇ASE, SPIL sign merger deal-Merger talks wrap up between ASE and SPIL (7月1日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)とSiliconware Precision Industries(SPIL)が6月30日に共同発表、両社は5月26日に達した合併合意に正式に入った旨。該合併は、関連諸国の当局承認、ASEおよびSPILの株主による承認、並びに他の慣例条件満足を得て、2017年第四四半期までに完了予定の旨。

【Qualcomm関連】

昨年の挽回を図り、中国市場への軸足を強化しているQualcommの動きが、またまたどっと目に入ってきて、以下の通りである。

◇VR suits, car phones' comeback and insect brains: 8 tech predictions from Qualcomm (Q&A)-Chairman Paul Jacobs spends his time nowadays thinking about the future. He shares some of his ideas with CNET.-Qualcomm's Jacobs talks tech of the future (6月24日付け CNET)
→Qualcommのchairmanで前CEO、Paul Jacobs氏がハイテクの今後を予測。人々はさらに多くのスマートフォンを携え、virtual reality(VR)がより個人的で経験的になり、そして衛星によりより良いcellularおよびWi-Fi coverageが得られる旨。Jacobs氏はハイテクにおける次のイノベーションについてさらに予測、2つのチームが3日間でlife-savingスマート機器発案を競う"Invent-Off"コンペをQualcommは映画化している旨。

Mobile World Congress(MWC) Shanghaiでのプレゼンに端を発して、5G、セルラIoT、そしてGoogleのaugmented reality(AR)用Project Tango技術をサポートするSnapdragonプロセッサというキーワードが舞っている。

◇5G, Cellular IoT Step Ahead-Qualcomm demos prototype 5G system (6月27日付け EE Times)
→今週のアジア最大のモバイル業界イベント、Mobile World Congress(MWC) Shanghai(2016年6月29日〜7月1日:Shanghai New International Expo Centre[SNIEC] and the Kerry Hotel Pudong)のChina Mobileブースにて、Qualcommが、5G基地局および端末のprototypeを展示、該FPGA-およびDSP-ベースシステムは、固まり始めるのは2018年以降の3GPP標準であらわれる見込みのアイデアをテストする多くの初期活動の1つである旨。

◇Qualcomm wants to bring LTE to more IoT devices-Qualcomm targets IoT devices with LTE tech (6月27日付け CIO.com/IDG News Service)
→Qualcommが、MDM9207-1 modemチップセットを出荷しており、internet of things(IoT)機器に向けてLong-Term Evolution(LTE)通信が得られる旨。
同社は、LTEはBluetoothあるいはWi-Fiより通信rangeが長くなると主張、該チップセットは2個のAA電池で動作寿命最大10年の旨。

◇Qualcomm to show 5G prototype system (6月27日付け New Electronics)

◇Qualcomm offers 6GHz radio chips for early 5G launch-Qualcomm has developed a prototype radio system for 5G mobile communications research and first network trials.-Qualcomm demos 5G chip prototypes at Shanghai conference (6月28日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Qualcommが、Mobile World Congress Shanghai(中国)にて、sub-6 gigahertz spectrum帯で動作する5G radio prototypeシステムおよび試行プラットフォームを出展の旨。

◇Qualcomm optimizes Snapdragon processor for Google's AR platform Tango-Qualcomm processors to accommodate Google AR (6月28日付け VentureBeat)
→Googleのaugmented reality(AR)用Project Tango技術がQualcommからの支持を得ており、QualcommのSnapdragonプロセッサをその目的とするところに仕立てていく旨。今後のSnapdragon 800シリーズおよび600シリーズは、2 watts以下の電力消費でTangoをサポート、スマートフォンに適合する旨。

◇Google and Qualcomm team up to make Project Tango easy on your CPU-By offloading work to other chips, Augmented Reality only takes up 10% of the CPU. (6月28日付け Ars Technica)

◇Industry integration, 5G and IoT applications: Q&A with Qualcomm president Derek Aberle-Qualcomm's Aberle talks industry integration, IoT, 5G (6月29日付け DIGITIMES)
→グローバル半導体業界が直面する主要な問題項目について、Qualcommのpresident、Derek Aberle氏へのDIGITIMES独占インタビュー。「半導体業界内での統合のペースは、ここ数年に比べて今後は鈍化する様相の一方、市場プレイヤーには戦略的運用を深めるための強化要因もある。」

◇Qualcomm aims to roll out 5G SoC solutions in 2018-2019 (6月29日付け DIGITIMES)
→Qualcommの技術vice president、Durga Prasad Malladi氏。3GPP(3rd Generation Partnership Project)が2018年あたりに5G技術標準を最終決定する見込み、Qualcommは、2018-2019年に世界初の5G SoCソリューション展開を目指している旨。

◇Qualcomm Snapdragon 600 and 800 processors to support Google Tango (6月30日付け DIGITIMES)

【ファウンドリー売上げ増見込み】

第三四半期のファウンドリーメーカーの売上げ増加見込みが相次いでいる。
まずは、TSMCがApple対応での2割増である。

◇TSMC 3Q16 revenues to rise almost 20%, says report-Report: Shipments of Apple's A10 chips to boost TSMC's Q3 revenue nearly 20% (6月30日付け DIGITIMES)
→台湾のCentral News Agency(CNA)発。AppleのA10プロセッサ対応出荷がまもなく始まって、TSMCの第三四半期売上げが前四半期比約20%増える見込みの旨。

TSMCが満杯状態で振り替えの発注がUMC、SMICに向けられているという読みになっている。

◇UMC to enjoy full utilization of 28nm capacity through 4Q16, says report-Report: UMC's 28nm capacity is booked up with orders from Qualcomm, Marvell (6月28日付け DIGITIMES)
→中国語Commercial Times発。QualcommおよびMarvellからの受注が増大、UMCでは、2016年第四四半期まで28-nm生産capacityがフル稼働になる見込み、力強い28-nm半導体受注は、UMCの第三四半期売上げを高めて史上最高を記録しそうでもある旨。

◇IC design houses allocating 28/40nm orders to UMC, SMIC (6月29日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCからの供給が逼迫、IC design housesが、28/40-nm半導体発注をUMCおよびSMICにさらに多く割り当てている旨。TSMCは受注が活況、28/40-nmプロセスcapacityが満杯状態、ファブレスメーカーが追加供給を求めてUMCおよびSMICに向いている旨。

◇Short lead-time orders set to buoy UMC 3Q16 revenues (7月1日付け DIGITIMES)
→業界筋発。28-nmおよび40-nm半導体の短lead-time受注取り込みで、専業ファウンドリー、UMCの2016年第三四半期売上げが高まる見込み、また、モバイルおよびネットワーク半導体ベンダーからの新規受注も獲得、同社全体capacity稼働率をさらに押し上げている旨。

【SMICの展開の動き】

上にも出た中国のファウンドリー、SMICが、イタリアのspecialtyファウンドリー、LFoundryの買収を以下の通り行い、グローバル対応の強化を図っている。

◇SMIC acquires LFoundry (6月27日付け ELECTROIQ)

◇SMIC Takes Majority Stake in European Foundry-SMIC agrees to acquire majority stake in Italian foundry (6月27日付け Electronics360)
→SMICが、specialtyファウンドリーをAvezzano, ItalyにもつLFoundry Europeにおける70% equity stakeの約$55 millionでの買収に合意、「今後SMICは、グローバル半導体ecosystemでのリーダーシップを引き続き高めて強化、さらに拡大する」と、SMICのCEO、Tzu-Yin Chiu氏がステートメントにて。

◇SMIC to buy 70% of LFoundry (6月27日付け DIGITIMES)
→SMICが、LFoundryにおける70% stakeをEUR49 million($54.5 million)で買収するLFoundry Europe(LFE)およびMarsica Innovation(MI)との合意に達した旨。LFoundryはイタリアに本社があり、LFEおよびMIが所有、該取引の完了でSMIC, LFEおよびMIがLFoundryのそれぞれ70%, 15%および15%をもつことになる旨。

SMICはじめ中国のファウンドリーの装置など購買戦略がTSMCの後追いになっていると表わされている。

◇Fab toolmakers seeing significant 12-inch fab expansion in China (6月27日付け DIGITIMES)
→中国からの12-インチfab tool需要増大に注目している半導体装置プロバイダー筋発。中国で向こう5年にわたって、10以上の12-インチウェーハfabsにてcapacity拡張が行なわれる見込みの旨。中国の12-インチファウンドリーが取り入れる購買戦略は、TSMCのそれに追随する様相、例えば、中国のプレーヤーは先端ノード製造装置およびfacilitiesについてTSMCと契約しているサプライヤに注文を出す意向の旨。実際問題、中国のファウンドリーの大方は"TSMC-like"サービスで市場開拓、販促を行っている旨。


≪グローバル雑学王−417≫

M&Aのいろいろな形態およびそれぞれのやり方を見てきたが、今回からは分野別にM&Aの新たな潮流に、

『M&Aの「新」潮流』
 (山本 貴之 著:エネルギーフォーラム新書 036) …2016年1月15日 第一刷発行

より迫っていく。まずは、小売りの全面的な自由化の波を迎えている電力・ガスのエネルギー分野で見られるM&Aの流れである。自由化で先行した欧州での経緯が、ドイツ、フランスなど触れられている。英国の離脱で揺れるEUであるが、進行しているすべての枠組みに影響が気になるところである。


第10章 エネルギー分野におけるM&Aの新潮流

【電力・ガス分野におけるM&Aの新潮流】

■規制自由化の波
・電力・ガス業界は、電力システム改革と呼ばれる制度改定の中で事業の在り方が大きく変貌へ

■システム改革の背景
・今般の電力・ガス業界におけるシステム改革
 →低廉で安定的なエネルギー供給を実現することに主眼
  →東日本大震災を契機としたエネルギー需給構造の変化と、我が国が置かれたエネルギー自給率の低さが影響
・2015年6月に成立した「電気事業法等の一部を改正する等の法律」
 →従来の縦割りではなく、エネルギー市場を一体的なものと捉え、エネルギー企業の相互参入や異業種からの新規参入を推進、競争の促進と利便性を高めることを主眼
・3段階に分けて実施されるシステム改革
 →2015年4月に実施された第一段階
  →広域的運営推進機関を設立、透明性の高い電力供給の指令役としての機能を創設
 →第二段階として2016年4月からは、電力小売りが全面的に自由化
  →翌年、2017年からは都市ガス事業の小売り部門も全面自由化
 →第三段階は、2020年に電力会社の送配電部門の法的分離が強制
  →同様に都市ガス事業においても、大手3社(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス)の導管部門の法的分離が実施

■自由化前夜の電気・ガス事業者の事業環境
・電気事業者は、電気事業法において4つに区分
 →一般電気事業者…いわゆる地域電力会社が該当、全国に10社が存在
  卸電気事業者
  特定電気事業者
  特定規模電気事業者
 →小売り参入全面自由化後は、発電事業、送配電事業、小売り電気事業という形でバリューチェーンの各段階で規制が整備
・ガス事業者においては、現行において一般ガス事業、簡易ガス事業およびLPガス販売事業の3つに区分
・業法規制の変更により電力・ガス分野における参入障壁が撤廃、以下が促進
 →1)電力・ガスに留まらない総合型のエネルギー企業化を通じた効率化
  2)異分野からの参入による競争の促進
  3)送配電分野等の分離を通じたグループ構造の変革

■個別企業のM&Aの新潮流
・大手電力、大手ガスともに小売り自由化および総合的なシステム改革を控えて、M&Aの活用を含めた対応方針の打ち出し
 →経営効率化を目指した1つの動きが、東京電力と中部電力による燃料・火力分野にかかる包括的アライアンスの実施
 →株式会社JERAを設立
・東京電力は、その管内が他地域と比して極めて有望な市場であることから、新規参入者からの競争を受けやすい立場に
 →各種事業者との提携関係の構築を急いでいる
・首都圏地域で東京電力と直接競合することになる東京ガス
 →首都圏における中堅ガス会社との提携や、自社の発電能力の向上とともに、海外での権益獲得に動いている
・2015年に、静岡ガスがタイの発電事業者に出資
 →M&Aを利用して新たな事業ポートフォリオやノウハウを獲得する戦略の一例

■自由化の先行する欧州地域
・欧州では、EUにおいて1996年にEU電力自由化指令が成立
 →発電部門の全面自由化と小売り部門の部分自由化や部門分離に関する法律が制定
・1998年にはEUガス指令が発せられ、欧州地域においてのエネルギー事業者の集約に
・ドイツでは、2006年にVEBAとVIAGという2大電力事業者が合併、E.On(エーオン:本社デュッセルドルフ)が誕生
 (注) VEBA…Vereinigte Elektrizitats- und Bergwerks Aktiengesellschaft、合同電力鉱山株式会社、プロイセン電力
    VIAG…Vereinigte Industrieunternehmen AG、合同工業企業株式会社、バイエルン電力
 →買収を通じて周辺国にも事業基盤を拡大
  …英国、スウェーデン、チェコ、ロシア、ハンガリーまで進出
 →自由化後に極めてドラスティックに事業体を変遷
・フランスでは、欧州最大のガス会社、GDF(フランスガス公社)と電力大手、スエズが2008年に合併、GDFスエズが誕生
・各国企業の特徴は異なるが、2000年代のM&Aを経て事業者の規模は大きく拡大
・2009年にはEU加盟国の「20-20-20目標」
 →水力、風力、太陽光、バイオマスなどへの取り組みの推進

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