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パソコン不振&スマホ鈍化の渦中、インテルの新分野軸足移行加速

パソコン市場が減少、スマホはじめモバイル機器市場の伸びが減速する中、IoT(Internet of Things)はじめ次の市場の牽引役への注目と期待が高まらざるを得ない現在の環境であるが、半導体最大手、インテルが、大きくパソコンからIoTに事業の軸足を移行する機敏な動きを打ち出している。4月に入って早々、トップ人事の異動が注目を引いたばかりであるが、すぐに続いてこれから今年中にかけて最大1万2000人を削減するとしている。「今こそ戦略的な方向にとことん取り組むべきとき」と言う同社CEO、Brian Krzanich氏が引っ張る今後の展開に集まる注目である。

≪市場構造変化への機敏な対応≫

今回の動きは、発表数日前の噂として次の通り表わされている。

◇Intel Reportedly Readies Mass Layoff (4月15日付け EE Times)
→複数の匿名筋を引用、Portland Oregonian紙、金曜15日発。Intel社が、thousands of jobsにインパクトを与える可能性のある大きなレイオフ発表に備えている旨。該削減は、今春始まって今年中続く旨。この動きは、火曜19日のIntelの第一四半期業績報告に続いて発表される可能性の旨。

2016年1〜3月期決算とともに発表された人員削減および構造改革であり、以下業界各紙の受け止め方である。

◇Intel Cuts 12,000, 11% of Staff-CFO Smith to take on broader role (4月19日付け EE Times)
→Intel社が本日、四半期売上げ&利益の前四半期比減少の渦中、同社スタッフの11%、従業員12,000人の削減を発表の旨。

◇Intel Q1 Revenue, Profit Rise; Chipmaker Will Cut Up to 12,000 Jobs (4月20日付け ELECTROIQ)

◇Intel reports 1Q16 GAAP revenue of US$13.7 billion (4月20日付け DIGITIMES)

◇Intel announces corporate restructuring; to reduce staff by 11% (4月20日付け DIGITIMES)

◇インテル、最大1万2千人削減へ…半導体需要減 (4月20日付け YOMIURI ONLINE)
→米半導体大手、インテルが19日、パソコン向け半導体の需要が減っていることから、世界全体で最大約1万2000人の人員を削減すると発表、全従業員の約11%にあたる規模で、2017年6月までに行う方針の旨。大量のデータをインターネットで送って外部のサーバで保管するクラウドサービスや、様々なモノをインターネットとつなぐ「インターネット・オブ・シングス(IoT)」など、市場の拡大が期待できる分野に経営資源を重点的に配分する旨。

事業分野別の売上げの伸びが差としてはっきり表れる内訳が示されている。

◇米インテル、最大1万2000人削減、社員の11% (4月20日付け 日経 電子版)
→半導体最大手、米インテルが19日、2017年半ばまでに最大で社員の11%に相当する1万2000人を削減するリストラ計画を発表、不振が続くパソコン(PC)向け事業を縮小、成長の柱と位置づけるデータセンター向けや、あらゆるものがネットにつながる「IoT」向け事業に軸足を移す構造改革を加速する旨。
インテルが同日発表した2016年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比7%増の$13.72 billion、純利益は同3%増の$2.046 billion。売上高の部門別内訳:
 PCを中心とするクライアント・コンピューティング部門
  同1%増の$7.549 billion
 クラウドサービスの普及で需要が伸びているデータセンター部門
  同8%増の$3.999 billion
 IoT部門
  同22%増の$0.651 billion

売上げの4割がパソコン以外というのは驚きに映るところがあるが、Intelのchief executive、Brian Krzanich氏の決意が示されている。

◇Intel Reorg Shows Clouds Ahead-Post PC plan costs $1.2B, 12,000 jobs-Intel retools focus on the cloud, other growth markets (4月20日付け EE Times)
→「売上げの40%そして利益マージンの60%がPC以外となっており、今こそ会社を戦略的な方向にとことん頑張るべきとき」と$1.2 billionかけて従業員12,000人を削減する計画を提示したconference callで、Intelのchief executive、Brian Krzanich氏。

中国からも概要を伝える反応である。

◇インテルが1万2千人を人員削減、パソコン市場の縮小に対応 (4月21日付け 日本語新華網)
→米国の大手チップメーカーのインテルが19日、世界規模で1万2千人を人員削減すると発表、これは同社が世界のパソコン市場の継続的な縮小に対応して実施する再編計画の一環になる旨。

パソコンに続いて市場を引っ張ってきているモバイル機器の代表格、アップル社のiPhoneについても、市場投入以来初めての出荷落ち込みの可能性を指摘する向きが見られている。

◇Apple iPhone Shipments May Fall-Down first time since 2007 launch (4月19日付け EE Times)
→Maybank Kim Eng Securitiesのアナリスト、Warren Lau氏の4月18日レポート。Appleが4月25日の四半期業績発表で、iPhoneの2007年市場投入以降初めての出荷落ち込みを報告の可能性、その流れが続く四半期で加速するかもしれない旨。スマートフォン需要の低下は、Samsungなど他の大手プレーヤーもそうなる可能性がある旨。

インテルとともにパソコン市場を牽引しているマイクロソフトについても、以下に示す業容となっている。

◇米マイクロソフト純利益25%減、1〜3月、PCと携帯不振 (4月22日付け 日経 電子版)
→米マイクロソフトが21日発表した2016年1〜3月期決算。売上高が前年同期比6%減の$20.531 billion、純利益が同25%減の$3.756 billion(約4100億円)。パソコン(PC)市場の縮小に伴い、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」のライセンス収入が減少したほか、縮小を決めた携帯電話端末事業の不振も響いた旨。

パソコン、モバイル機器ともに半導体市場の大きな中核であることに変わりなく、今後の盛り返す展開とともに、止められないIoTはじめ新分野への移行展開に注目ということと思う。


≪市場実態PickUp≫

【熊本地震の影響、復旧状況】

4月14日に続いて16日と最大震度7を記録するとともに引き続く余震に見舞われている熊本はじめシリコンアイランドへの影響が非常に懸念されるところであるが、業界各紙の以下関連する内容である。

◇Japan quakes disrupt Sony production of image sensors used in Apple iPhones-Sony extends closure of image sensor plant in Kumamoto, Japan, following deadly quakes (4月16日付け Reuters)
→ソニーのCMOSイメージセンサ生産に対する地震の影響について。

◇Japan quakes halt Sony's sensor plant, may impact iPhone production (4月17日付け Digital Trends)

◇トヨタ、部品供給網に試練、ルネサスやソニーも工場停止 (4月17日付け 日経 電子版)
→東日本大震災以降、サプライチェーン(供給網)の強化に動いてきた産業界が再び試練に見舞われている旨。トヨタ自動車は、熊本地震の影響で部品供給が滞り、稼働を停止する工場を全国に広げる旨。ルネサスエレクトロニクスは、自動車向け半導体を生産する主力の川尻工場(熊本市)を14日から停止中だが、生産停止が長引けば別工場での代替生産を始めることを検討する旨。ソニーも、熊本県菊陽町の半導体工場の稼働を14日から停止している旨。同工場はカメラやスマートフォン向けの画像センサの主力生産拠点。15日には再開準備を進めていたが、16日未明の「本震」とされる揺れで、早期の再開は難しくなっている旨。

◇Quakes Hit Japan's IC & Auto Makers Hard (4月18日付け EE Times)
→熊本を中心に九州で続く地震の影響について。

◇Sony halts production in Kumamoto due to quake (4月18日付け DIGITIMES)

◇ASE, SPIL say supply not affected by Japan quake-Japanese quakes aren't disrupting the supply chain, ASE and SPIL say (4月19日付け DIGITIMES)
→IC packagersのAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)およびSiliconware Precision Industries(SPIL)のsupply chainsが、4月14日および16日に熊本県を襲った2つの大きな地震により影響を受けていない旨。ASEは、山形県東置賜郡高畠町にあるNECから2004年に買収した製造拠点について今回の地震では影響がなかった旨。

1週間経った時点での復旧状況が、以下の通り表わされている。

◇【熊本地震】半導体、復旧進む−BCP機能し想定より早く (4月22日付け 日刊工業)
→熊本地震で被害を受け工場を停止していた半導体各社で、復旧が想定以上の早さで進んでいる旨。三菱電機は21日、熊本県合志市のパワー半導体工場の一部生産を5月9日に再開する予定と発表、25日に生産再開見通しを公表するとしていた東京エレクトロンは、当初見通しより早い25日から熊本県合志市の生産拠点を段階的に稼働させる計画の旨。ルネサスエレクトロニクスも22日に熊本市のグループ工場で稼働を一部再開する旨。ルネサスは工場が大きな被害を受けた東日本大震災を経てより強固な事業継続計画(BCP:Business continuity planning)を策定、今回はBCPが機能し、早めの復旧につながった模様の旨。

【Embedded Systems Conference】

米国Bostonで開催されたEmbedded Systems Conference(ESC)から、注意そして興味を引く内容3点である。licensingの落とし穴、MCUsおよびLED搭載showバッヂ、そしてはるか宇宙の衛星の再利用の取り組みについてである。

◇Open Source: Licensing Pitfalls May Outweigh Benefits (4月18日付け EE Times)
→先週のEmbedded Systems Conference(Boston)にて、Brooks Kushman P.C.の弁護士、Richard A. Leach氏のプレゼン、Legal and Practical Concerns with Software Development。OSS(open-source software)使用は、関係する該licensesを注意深く考慮しないと、法的な軋轢を生じ、開発者にプロジェクトのintellectual property(IP)費用がかかることがある旨。

◇Hackable ESC Badge Powers Face-to-Face Networking (4月18日付け EE Times)
→先週のEmbedded Systems Conference(Boston)にて、参加者100人に配られた8-ビットmicrocontrollers(MCUs)搭載のprogrammable, LED-ベースshowバッヂ、“Hello There!”について。該機器は、エンジニアがお互いに働きかける手段となる一方、networked機器のprogrammingが難しくある必要はないと教えている旨。

◇NASA To Refuel Satellites-ESC Boston keynote (4月19日付け EE Times/Blog)
→ESC Boston(14日)にて、NASAのSatellite Servicing Capabilities Office、deputy program manager、Benjamin Reed氏。宇宙時代の夜明け以降打ち上げられた衛星約5,000個のうち、今活動しているのは1,000個止まり、衛星が壊れたり燃料切れになると、単に放り出されている旨。同氏は、衛星からさらに多くを得るよう再利用、組立およびservicingの時代を作り出す取り組みのチームを率い、その計画をプレゼンの旨。

【M&A関連】

中国企業のM&A攻勢の凄さが、この1-3月だけで過去最高の2015年に迫る、とデータに表れている。

◇中国勢の海外M&A最高、1〜3月11兆円、2015年実績に迫る (4月19日付け 日経 電子版)
→中国企業が世界でM&A(合併・買収)攻勢を強めている旨。2016年1〜3月は中国企業による海外M&Aの総額が1011億ドル(約11兆500億円)に達し、早くも過去最高だった2015年通年の実績に迫った旨。国を挙げて海外の先端技術やブランドを取り込み、自国産業の高度化につなげる狙い、国内経済が急減速していることもあり、摩擦もいとわず海外に活路を求める動きが広がる旨。

一方、Tsinghua Unigroupの台湾・SPILに対する攻勢は足止めを食っている。

◇Siliconware Precision Says $1.7 Billion Tsinghua Deal Is on Hold-SPIL puts on hold $1.7B sale of a stake to Tsinghua Unigroup (4月18日付け Bloomberg)
→Siliconware Precision Industries Co.(SPIL)のNT$56.8 billion($1.7 billion) stakeを中国のTsinghua Unigroup Ltd.に売却する取引が、台湾での法制精査を受けることになって保留になっている旨。

このようなM&Aの半導体業界における現状をどう捉えるか。欧米2社の見方が表わされている。

◇Europe's Biggest Chipmaker Says Semiconductor Goldrush Over -After the gold rush: Infineon CEO sees consolidation ending (4月18日付け Bloomberg)
→Infineon TechnologiesのCEO、Reinhard Ploss氏。昨年$110 billionの取引につながった半導体業界の統合は、"減速しており"、"同じgold rushではない"旨。同社米国operationsのhead、Robert LeFort氏は同社顧客ベースについて、"今や我々の戦略は、深く、広く、もっと広く進むこと"の旨。

◇GSA Forum: Semiconductor industry is not consolidating - Rhines-Rhines: Chip business is changing, not consolidating (4月20日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Mentor Graphicsのchairman and CEO、Wally Rhines氏が、半導体業界で合併の動きが続いているとしても、該業界が整理統合しつつあるという考えに異議を唱えている旨。「伝統的に我々は脱統合の業界」とGSA Forum(Munich)にて同氏。加えて、「半導体メーカートップ10の市場シェア合計は、ここ10年フラットできている」旨。

【2016年のIC品目別伸長予測】

IC Insightsよりこれも恒例、IC製品を33のカテゴリーに分けて本年のそれぞれの伸び率を予測している。プラスに見ているのは20品目と、昨年の9から増加する内容となっている。

◇14 IC product categories to exceed total IC market growth in 2016 (4月19日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのMarch Update to the 2016 McClean Reportにて、33の主要IC製品カテゴリーについての2020年までの予測を更新、該33カテゴリーの2016年伸長率予測更新ランキング、下記参照。
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2016/04/2016-forecast-of-ic-market.png

◇Phone processors among ICs to exceed market growth in 2016-Fourteen out of 33 IC product types are expected to show growth of better than 2% this year, says IC Insights.-IC Insights: Look for growth in these 14 chip categories (4月19日付け Electronics Weekly (U.K.))

◇14 IC product categories to exceed total IC market growth in 2016, says IC Insights (4月19日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。handset applicationプロセッサおよび信号変換(アナログ)デバイスが先頭に立つ14の製品カテゴリーが、2016年IC市場全体の伸長率予測2%を越える見込み、さらに5つの製品カテゴリーがIC市場全体と同じ2%で伸びると見ている旨。2016年に販売高が伸びると見ているICカテゴリー総数は、20製品で2015年の9つ止まりから増加する旨。

【中国アプローチ】

ARM(英国)が、中国における同社の連携の輪を広げている。

◇Chinese heavyweights join ARM EdTech alliance-ARM EdTech gains Atmel Shanghai, Rockchip as partners (4月19日付け Business Weekly (U.K.))
→ARMが、中国における同社Global University Program Allianceを拡大、Microchipの子会社でmicrocontroller(MCU)およびtouchソリューションのグローバルリーダー、Atmelおよび中国の大手IC設計会社、Rockchipと新たに連携の旨。

ビジネス慣行で罰金に追い込まれたQualcomm(米国)は、中国政府のガイドに沿ってライセンス合意を着々と積み重ねている。

◇Qualcomm signs 3G/4G patent license agreement with Yulong (4月20日付け DIGITIMES)
→Qualcommが、Coolpadグループ(前China Wireless Technologies Limited:深セン)のindirect完全子会社、Yulong Computer Telecommunication Scientificとの新しい3Gおよび4G中国特許license合意に調印の旨。

AMD(米国)は、中国で販売されるサーバに向けてx86-アーキテクチャー半導体技術のライセンス供与に踏み出している。Intelとcross-licenseしている特許化技術で今後の推移に注目であるが、市場の反応は35年ぶりのAMD株価の上げ幅となっている。

◇AMD Licenses X86 to China JV-Deal may provide Zen technology for $293M (4月21日付け EE Times)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、x86サーバSoCsを作る技術を中国のパートナーにライセンス供与、中国の投資会社が技術&設計サービスに対してAMDに$293 millionを支払い、中国市場に向けて次世代サーバSoCsを作る合弁が可能になる旨。AMDの中国のパートナーは、Tianjin Haiguang Advanced Technology Investment Co., Ltd.(THATIC)であり、中国のAcademy of Sciences(CAS)につながる多くのfinancial holding会社の1つの旨。

◇AMD to License Chip Technology to China Chip Venture-Move underscores Advanced Micro Devices' search for new revenue (4月21日付け The Wall Street Journal)

◇AMD Climbs Most in 35 Years on China Chip License Agreement-AMD to bank $293M from licensing deal with China firm (4月22日付け Bloomberg)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、中国で販売されるサーバに向けてx86-アーキテクチャー半導体技術のライセンス供与、Tianjin Haiguang Advanced Technology Investmentと合意に達した旨。AMDは、Intelとcross-licenseしている特許化技術についての該取引のもと$293 millionを得る旨。AMDの株価は金曜22日52%上昇して$3.99、1980年7月以降最大の上げ幅の旨。


≪グローバル雑学王−407≫

M&A(企業の合併買収)の基本戦略と実務的なプロセスについて、これから数回にわたって

『M&Aの「新」潮流』
 (山本 貴之 著:エネルギーフォーラム新書 036) …2016年1月15日 第一刷発行

より整理方々見ていくことにする。いろいろなケースを総ざらいする中での戦略策定、ターゲット選定、そしてM&Aのためのチームと人材のそれぞれあり方が示されている。特にアジアの新興市場の日本企業と異なる文化特性に注目している。


第2章 M&Aの戦略的活用

【戦略策定のあり方】

■水平展開・垂直展開
・わが国で最も一般的なM&A
 →同業他社を買収、地理的に事業エリアを拡大するとともに、マーケットシェアを上げる水平展開
・サプライチェーンの上流や下流に向かってM&Aを活用、展開していく動きを垂直展開

■異業種参入
・「飛び地」に出て行く異業種参入
 →本業との距離が離れるほど、リスクも高まる投資

■ノンコアビジネスの売却
・主業の変遷にあわせて、さまざまな関連ビジネスが展開され、興亡を繰り返しているのが常
 →中核ではなくなったり、収益力が衰えてきたり、主業とのシナジー効果が従前ほど発揮されなくなった関連事業
 →M&Aを活用して売却することが有用
・売却すべき事業を早く見極めて、収益性のあるうちに(良い買い手がつくうちに)売却することが肝要

■事業ポートフォリオの入れ替え
・最近ブームとなっている日本企業のIN-OUTのM&A
 →アジアなど新興市場のファミリービジネス(大小さまざまな財閥)が売却する事業がターゲット
・彼らは、常に最も高い収益を目指すという観点、日本企業と異なる文化
 →次に中核となる事業を見極め、仮に儲かっていても不要な事業をコンスタントに売却

【ターゲットの選定】

■SWOT分析と将来ビジョン策定
・自社がどのような戦略をとるべきか策定する作業が、まず手始めに必要
 →強み(S)、弱み(W)、外部環境による機会(O)、脅威(T)で分析するSWOTなどの手法
・将来ビジョンの策定も、長期の投資計画を作成する上で必須

■中期経営計画とM&A予算
・3年から5年の中期経営計画の策定
 →「ひと・もの・かね」の配分
・企業によっては、M&A予算を策定し、これを公表
 →本気度を示し、投資銀行の提案を集める効果も期待可

■キーワードとフィルター(チェックリスト)による選別
・想定されるM&Aについて、必要な情報は幅広く収集できる体制の整備
・情報については、限られた時間とコストで的確に取捨選択できる基準を予め作っておくこと
 →有効な手段として、キーワードとフィルター(チェックリスト)
  →キーワード…自社の成長モデルを実現するためのM&Aの相手先企業に何を求めるか、端的に示したもの
  →フィルター(チェックリスト)…キーワードをより細分化・具体化

■ロングリストとショートリスト
・もっと直截に、M&Aの対象となる個別企業名をリストアップする方法も有効
 →M&Aを積極的に考えていこうという買収対象企業のロングリスト(10〜20社)
 →さらにそれを優先度が高い10社以下に絞ったショートリスト
 →慌てず着実に判断を進めるには、このような事前の周到な準備が重要
・価格目線や相手方の出方を想定、予め自らの動き方をシミュレーションしておくことも極めて有効
 →会社や事業を売る場合にも非常に役に立つ
・逆に投資銀行の立場から見て最も困るのは
 →範囲が広すぎて、要すれば何でもよい、という買い手

【M&Aのためのチームと人材】

・M&Aはその企業の総合力、特に総合的な人材の力が成否を決める鍵
・経営戦略の策定とM&Aの実施
 →社長が自らコミットして進めることが必須
 →日頃からM&Aを想定した最小限の社内体制を構築、トップも含めた関連部門との意思疎通を密に、情報の共有化を図ること
・正しい判断を維持するには、トップのぶれない決断力と関係者間のチームワークが何をおいても必須

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