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新しい市場、応用、そして技術に向かう嗅覚およびアプローチ

1月の世界半導体販売高が4年ぶりの前年同月比マイナスのスタートとなり、2月の台湾の半導体各社業績も旧正月が入ることもあって、TSMCはじめ前年比大きく落とす結果となっている。長らく市場を引っ張ってきているスマートフォンはじめモバイル機器の飽和感、伸びの減速が高まっていく中、勢い新しい市場、応用、そして技術への注目が熱気を帯びてきており、新たなキーワードの揃い踏みを受け止めている。標準化など本格的な市場化に向けたそれぞれの動き、進展に当面目を向けていくことになりそうである。

≪新たなキーワード≫

Internet of Things(IoT)は、スマートフォンを継いでいく市場のキーワードとしてもう何年になるかという感じ方があるが、本格的な市場拡大に向けた様々な動きが続けられている。

スマートフォンとはやはり半導体のアプローチが異なると、以下1つの見方である。

◇Chipmakers turn to the next little thing-Connected devices change the semiconductor landscape (3月4日付け ZDNet)
→最近のMobile World Congress(MWC)およびEmbedded World conferences(ドイツ)で見られるように、Internet of Things(IoT)はスマートフォン用の強力なapplicationプロセッサとは違った半導体を求めている旨。
ARM Holdingsは、同社ARMv8アーキテクチャーを取り入れたCortex-A32プロセッサ設計を投入したが、32-ビット処理を目指している旨。

IoT応用向けの具体的な製品シリーズの発表である。

◇Analog Devices Rolls MCUs for IoT-Analog Devices debuts IoT ultra-low-power microcontrollers (3月7日付け EE Times)
→半導体メーカー、Analog Devices Inc.(ADI)(Norwood, Mass.)が最近、Internet of Things(IoT)応用向け超低電力microcontrollers(MCUs)の新シリーズ、ADuCM302xを発表の旨。

パソコン大手、Dellが産業用市場への拡大を図っていく中、産業用IoT(IIoT)というキーワードも見られている。

◇Dell Expanding into Industrial PC, IIoT Markets (3月8日付け EE Times)
→パソコン大手、Dellが、Embedded World(2016年2月23日〜2月25日:Nuremberg, Germany)にて披露、新市場に活動範囲を広げている旨。2つの特に作られた産業用PCファミリー、Embedded Box PC 3000および5000シリーズを投入、産業用PC市場、そして産業用IoT(IIoT)市場に乗り出している旨。

先月のイベント、Embedded WorldでのIoTのとらえ方である。

◇Last month's Embedded World saw record numbers of developers and decision makers converge on Nuremberg -IoT, cybersecurity propel record attendance at Embedded World (3月8日付け New Electronics)
→先月のEmbedded World conference(2016年2月23日〜2月25日:Nuremberg, Germany)は、30,000人以上の参加者と最高を記録、Internet of Things(IoT)およびcybersecurityが討議の主要テーマであり、出展者はIoTに技術として成熟の兆候が出てきているとしている旨。

IoT応用の半導体に向けてはASICのアプローチが活かされる、と以下の見方である。

◇With size, functionality and cost benefits, ASICs have wider application than you might think -Need a cheap, small chip for IoT? Try an ASIC (3月8日付け New Electronics)
→素早く最小限度のコストで開発、生産できるInternet of Things(IoT)半導体需要が、application-specific integrated circuits(ASICs)への関心を新たにしている旨。「より小さなスペースにより多くの機能を盛り込む方法としてASICsが注目されている。大きさおよびパワーを減らす必要性が、IoTに向かうにつれて一層重要になってきている。」(Swindon Silicon Systemsのtechnical director、Clive Bunney氏)

IoTに向けた初の欧州でのイベントが計画され、SEMICON Europa併催となっている。

◇IoT Planet to co-locate with SEMICON Europa in 2016 (3月9日付け ELECTROIQ)
→Internet of Things(IoT)のための初の欧州のイベント、IoT Planetが、今年SEMICON Europa(10月25-27日:Grenoble, France)と併せて開催の旨。

台湾の半導体設計メーカー、MediaTekのIoT事業に対する取り組みが表わされている。

◇MediaTek sees IoT as long-term growth opportunity (3月11日付け DIGITIMES)
→MediaTekが、IoT事業拡大に向けて活動を踏みあげており、2016年の売上げへの寄与は5%以下であるが、向こう数年IoTからの売上げが力強い伸びを示すと見ている旨。MediaTekは、IoTをモバイル機器およびディジタルTVsなどhome entertainment製品に続く第3位の分野に置いている旨。

IoTに続いて見られる新たな市場キーワードのいくつかについて、現下の動きとともに以下見ていく。

まずは"flexible"。ディスプレイ、電池そしてIoTといろいろ通じる以下の内容である。

◇The Future Is Flexible and Printed-Flexible and printed electronics are poised for growth (3月4日付け SemiMD.com)
→flexible, printedおよびhybrid electronicsにおける展開を議論する2016FLEX Conference & Exhibition(2016年2月29日〜3月3日:Monterey, Calif.)について。IDTechExの予測では、printed electronics市場は昨年の$8.8 billionから2025年には$14.9 billionになると見ている旨。

◇Flexible Batteries, Electronics Expand-R&D brings flexibility to batteries and electronics (3月8日付け EE Times)
→IDTechExの最新レポート、"Flexible, Printed and Thin Film Batteries 2016-2026: Technologies, Markets, Players"発。薄膜batteriesについての今日は小さな市場が、2026年までに$470 millionに伸びる旨。
Samsung Electronicsが自社Gear Fit wristbandに向けて開発したcurved batteryなど、多数のメーカーおよび機関がflexibleおよびprinted electronicsの推進に取り組んでいる旨。Internet of Things(IoT), wearablesおよび環境センサは、従来の電池技術だけでは供給できない新しい外形および設計を必要としている旨。このことからApple, Samsung, LG, STMicroelectronicsおよびTDKなどみんなますます関わってきている旨。

次に"位置情報"。屋内そして車内についてサービス、安全につながる取り組みである。

◇Japan Loves Geomagnetic Indoor Positioning (3月7日付け EE Times)
→プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)方式の屋内位置情報サービスを手がけるIndoorAtlas(San Francisco, CAおよびフィンランド)が、中国および韓国からの出資を得た後、こんどは日本のインターネットポータル大手、Yahoo! Japanと提携する旨。屋内における位置検索や道案内のサービス品質向上、そして新たな広告サービスも実現が見込まれる旨。

◇Why Carmakers Want to Monitor Drivers-FotoNation to track eyes without using eye-gaze tech (3月9日付け EE Times)
→安全の名にかけて自動車メーカーおよび運転者が、車の空間内の運転者(および同乗者)を監視するよう設計された技術を同様にしっかりと受け入れているように思われ、この流れが順次、consumer技術サプライヤをして車載分野を目指して固有のimaging/vision技術を促進するよう触発している旨。

昨年から減少傾向が見られるタブレットであるが、プラスに戻すキーワードとして"detachable"が注目されている。

◇Tablet Shipments to Decline, Focus Shifts to Detachables (3月9日付け EE Times)
→International Data Corp.(IDC)(Framingham, Mass.)のWorldwide Quarterly Tablet Tracker発。グローバルタブレット出荷が、昨年初めて後退して約10%減、今年も続けて約6%減の195 million台の見通しの旨。
MicrosoftのSurface Proのようなdetachableキーボードを特徴とするタブレットcomputersへの関心が高まって、来年は一桁の伸びに戻すと見ている旨。

そして、"人工知能(AI:artificial intelligence)"への期待感が高まる次の出来事である。IBMの新型コンピュータ「Watson」への注目も然りである。

◇GoogleのDeepMindがAIの大きな画期を記す: 囲碁の世界チャンピオンに第一戦で勝利 (3月9日付け TechCrunch)
→GoogleがオーナーであるロンドンのDeepMindの囲碁ソフトが、世界チャンピオンのLee Sedol氏に勝ち、人工知能(AI)の開発史に特筆すべき新たな画期が刻まれた旨。韓国のソウルで行われた五番勝負の第一戦で今日、そのソフトウェアAlphaGoは、Lee氏が持ち時間29分弱を残す時点で負けを認めたため、早期の勝利を手にした旨。

◇Google, Can You Teach Me to Play Go?-Why are we all so bored with the historic matches between Google's DeepMind and Lee Se-dol? (3月10日付け EE Times/Blog)

半導体デバイスでは格段に優れたメモリを実現する"3D XPoint"技術。詳細はこれからということもあり、今後特に注目の以下の動き、内容である。

◇Facebook Likes Intel's 3D XPoint-Google joins open hardware effort (3月10日付け EE Times/Slideshow)
→annualイベント、Facebook主催Open Compute Project(OCP)(SAN JOSE, Calif.)にて、最も高いインパクトの発表と思われる2つの動き。Facebookが、データセンターにIntelの新興途上の3D XPointメモリを使いたいとする一方、Googleがhigh-power compute racksからdisk drives用の巨大form factorsに至る標準を引っ張る宿命のライバルのopenハードウェア活動に参画する旨。

◇Intel is lining up super-fast Optane SSD tech for MacBooks-Intel readies Optane SSD with 3D XPoint memory tech for MacBooks (3月10日付け CIO.com/IDG News Service)
→Intelは、同社超高速OptaneメモリおよびSSD製品について静かにしているが、いくつかあらわれている詳細はそれらがAppleのMacBooksのような製品に如何に用いられるかをほのめかしている旨。Optaneは、IntelおよびMicronが共同で開発した技術でDRAMの10倍の密度、フラッシュストレージより1,000倍高速が可能という3D Xpointベースの新型メモリおよびSSDのbrand名である旨。まもなくリリース予定の3D Xpoint技術は、Optaneを非常に速く動かしている超高速ストレージprotocol、NVMeとコンパチの旨。
MacBooksのいくつかにはすでにNVMe-ベースSSDsが搭載されており、Optaneはさらなる高速性を与える可能性の旨。


≪市場実態PickUp≫

【1月の世界半導体販売高】

前回に米SIA(Semiconductor Industry Association)からの発表を示しているが、週後半の発表ということで週をまたいで以下の通り各紙の反応が見られている。4年ぶりの1月マイナスのスタート、そして以下に示す台湾各社の2月業績を見ても、新たな盛り上がり材料を探す気分が一層強まってくる先行きを受け止めている。

◇Demand for semis softens, says ESIA-SIA: Jan. marked softness in global chip sales (3月4日付け New Electronics)

◇Global semiconductor sales off to sluggish start in 2016, says SIA (3月8日付け DIGITIMES)

◇2016年の半導体世界売上高、4年ぶりにマイナスのスタート (3月9日付け 日経テクノロジーonline)
→米SIA(Semiconductor Industry Association)発。2016年1月における半導体の世界売上高は268億8000万米ドル(3カ月の移動平均)、前月比2.7%減、前年同月比5.8%減。1月の世界売上高の前年同月比マイナスは、2012年以来4年ぶり。2012年1月は、2011年6月〜2012年10月まで続いた前年同月比がマイナス状態の真っただ中で、結局2012年通年の世界売上高は対前年比で2.7%の減少だった旨。

【半導体全体出荷数量】

ICやディスクリートなど半導体洗いざらいの全体出荷数量に注目、IC Insightsが、40年以上にわたり平均年間成長9.0%と表わし、2018年には1兆(trillion)個の大台を超えると予測している。

◇Semiconductor unit shipments to exceed one trillion devices in 2018 (3月7日付け ELECTROIQ)

◇Semiconductor Unit Shipments To Exceed One Trillion Devices in 2018-Updated forecast expects 7.2% average annual unit shipment growth through 2020. (3月7日付け IC Insights)

◇Semiconductor Shipments to Top 1 Trillion Units in 2018-IC Insights: 1 trillion chips to ship in 2018 (3月8日付け EE Times)
→IC Insightsの予測。半導体業界は、今年886.7 billion個そして2017年の950 billion個を経て、2018年には1.02 trillion個の半導体を送り出す旨。同社McClean Reportでは、optoelectronic components, sensors and discrete(O-S-D)デバイスが2015年出荷で604.8 billion個を占める一方、integrated circuits(ICs)は235.6 billion個と見積もっている旨。

◇Semiconductor unit shipments to exceed 1 trillion devices in 2018, says IC Insights (3月8日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。ICsおよびopto-sensor-discrete(O-S-D)デバイスを含む半導体全体出荷数量が、上昇基調を続けて2018年に初めて1 trillion個を上回る見込みの旨。1978年の32.6 billion個から2018年には1,022.5 billion個に増大して、40年以上にわたり平均年間成長9.0%、世界が如何にますます半導体に依存するようになっているかを示している旨。

【半導体&関連業界の伸び】

いずこも今後の伸びが気になってくる現下の状況ではあるが、GSA(Global Semiconductor Alliance)の当面の見方が表わされている。

◇Getting The Chip Industry To Grow Again. (3月7日付け Electronics Weekly)
→半導体業界は如何にして再び伸びるようになるか?、Global Semiconductor Alliance(GSA)からのレポートがこの問題を扱っている旨。GSAは、半導体市場が昨年1.9%縮小、今年は1.4%増止まりの見込み、打開する答としてopen-sourceと考えている旨。

半導体製造装置についてはどうか? SEMIの現時点の見方である。

◇Slow but positive 2016 followed by double digits in 2017 (3月10日付け ELECTROIQ)
→SEMI World Fab Forecastの最新版発。Fab Equipment Spending(新規、中古および内製含む)について2015年実績および今後の見通し:
  2015年      2016年      2017年
  $35.9 billion   $37.2 billion   $42.1 billion
 -0.4%       +3.7%        +13.3%

【中国を警戒する韓国】

中国の半導体業界自立化に向けた買収はじめ引きも切らない攻勢に対して、Korea Semiconductor Industry Association(KSIA)のChairmanに就任したばかりのPark Sung-wook氏(SK hynixのchief executive)が、警戒感に満ちたコメントを以下の通り表わしている。

◇Korea urged to cut China threat to semiconductors (3月6日付け The Korea Times)
→Korea Semiconductor Industry Association(KSIA)のChairmanにSamsung Electronicsの半導体事業chief、Kim Ki-nam氏に替わって先週就任したSK hynixのchief executive、Park Sung-wook氏。中国の半導体メーカーの拡大を支援する中国の北京政府が主に牽引している市場の脅威増大に対抗するために、韓国政府には現地半導体メーカーとの提携が急がれる旨。

◇China's tech ambitions puts South Korea on alert-South Korea takes note of China's chip plans  (3月9日付け CNBC)
→中国の新しい5ヶ年計画は、半導体R&Dを国家優先事項としており、韓国の政府および業界関係者を心配させる大望である旨。「中国は半導体業界にだけ投資しようとしていると思ったが、一歩先に行っているように思われる。」(Korean Semiconductor Industry Association[KSIA]のchairman、Park Sung-wook氏)

【2月の台湾半導体各社業績】

台湾の半導体主要メーカーの2月業績が、以下の通り発表されている。旧正月の休みがあって、大幅な減少の数値が目立つ中身となっている。今後の巻き返しの度合いに注目していくことになる。

◇ASE, SPIL report decreased February revenues (3月8日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)の2016年2月連結売上げがNT$17.65 billion($539.4 million)、前月比16.7%減、前年同月比7.0%減。2016年1-2月累計がNT$38.82 billion、前年同期比8.3%減。
Siliconware Precision Industries(SPIL)の2016年2月連結売上げがNT$6.25 billion、前月比5.8%減、前年同月比3.6%減。2016年1-2月累計がNT$12.88 billion、前年同期比3.6%減。

◇MediaTek February revenues rise on year (3月8日付け DIGITIMES)
→MediaTekの2016年2月連結売上げがNT$13.24 billion($404.7 million)、ここ12ヶ月で最低の水準、前月比37.9%減、前年同月比36.9%増。2016年1-2月累計ではNT$34.57 billion、前年同期比27.4%増。

◇Chipmakers' revenue down on sluggish demand-MediaTek posts Feb. revenue of $401M, down 37.9% from Jan. (3月8日付け The Taipei Times (Taiwan))

◇UMC February revenues fall on year (3月9日付け DIGITIMES)
→UMCの2016年2月連結売上げがNT$9.48 billion (US$288.1 million)、前月比21.1%減、前年同月比21.4%減。2016年1-2月累計がNT$21.48 billion、前年同期比13.85%減。

◇TSMC February revenues fall-TSMC's Feb. revenue falls to $1.81B (3月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2016年2月連結売上げがNT$59.55 billion($1.81 billion)、前月比16%減、前年同月比4.9%減。2016年1-2月累計がNT$130.41 billion、前年同期比12.9%減。


≪グローバル雑学王−401≫

2020年には我が国経済はどうなっているか、現下の取り組みが功を奏して再生の足がかりが得られるか、

『大変化 経済学が教える2020年の日本と世界』
 (竹中 平蔵 著:PHP新書 1023) …2016年1月5日 第一版第一刷

より2回にわたってみていく前半である。がんじがらめの規制に縛られている我が国。高度成長期には我が国全体の統制に大きく働いたものの、バブル崩壊を経て時代が変わった今はかえって足かせに。地域を限って規制を撤廃、成長への起爆剤を見つけ養って再生の一材料にもっていくいろいろな切り口のアプローチの実態に注目していく。


第4章 2020年、日本経済の再生なるか =前半=

≪改革の先にある、2020年の日本の姿とは・・・≫
・2013年から始まった「国家戦略特区」
 →13の巨大開発プロジェクトの実施
 →アジアの企業の誘致も行われ、より多様な国籍の人々が働き、暮らすように
・2020年には羽田空港の発着枠も増加
・「医療特区」の制定、外国人医師・看護師が勤める病院も増加の一途
・日本の農産品は一流ブランドとして世界で高い競争力を誇ることに
・地方空港は民間会社による運営が当たり前、地方創生のシンボル的な存在に
・新しい大学医学部の創設により、東日本や地方における医師不足も解消に
・近距離の宅配便や買い物代行ではドローン(無人小型飛行機)が活躍
⇒ただし、これらはいずれも「規制改革」の実現が条件

1 規制改革が進まない理由

■規制改革後進国・日本
・現実にはなかなか進んでいない規制改革
 →世界銀行が毎年発行、「ビジネス環境における規制緩和総合ランキング」
  →日本の順位:森喜朗内閣当時 40位
         小泉純一郎内閣 28位まで上昇 …少しずつ規制を緩和または撤廃
         民主党政権時  47位まで後退
・なぜ、規制改革は進まないのか?
 →象徴的なのが、「岩盤規制」(役所や業界団体などが改革に強く反対し、緩和や撤廃ができない規制)

■日本の農業の未来は「オランダ式」にある
・とりわけ改革が遅れている農業分野
 →最大のネックは、株式会社が参入できないこと
 →農業生産法人をつくることはできるが、大規模にはなり得ない制限含み
・日本の農産物は、世界で十分に勝負できる品質
 →せっかくの高品質を輸出できないのは、じつにもったいない話
・世界でもっとも農産物を輸出している国は、アメリカ
 →しかし二番目は、オランダ
  →農業の競争力を決めるのは土地の広さではない
  →企業が投資、IT化、いわば工場のように運営、マーケティング展開
・2020年の先を見据えれば、近いうちに現状の農業が立ち行かなくなることは明らか
 →ならばどうするか?
  →「バルコニーから見る」ということ

■医療の行く末は変えられるか
・もう1つ、とてつもない岩盤規制があるのが医療分野
 →日本ではほぼ40年近く、新しい医学部は一つもつくられていない
・先進各国の人口1000人当たりの医師数は、だいたい3人から6人
 →日本では2人しか
・新設を検討した大学もあった
 →が、医師の団体がことごとく反対し、圧力をかけてきた

2 近未来への布石としての「国家戦略特区」

■「国家戦略特区」という突破口
・既得権力へのメス
 →とりあえず突破口を開くために取り組んでいるのが、「国家戦略特区」
 →特定の区域で従来とは違う仕組みをつくり、規制改革を戦略的に推進
・ふつうは法案の作成から国会の審議を経て成立するまで、ざっと2年
 →「国家戦略特区」については、その半分以下のわずか8ヶ月で成立
・発端は2002年、経済財政金融担当大臣だった私(著者)が「構造改革特区」を提唱、小泉内閣で認可された
・ソビエト連邦で「ペレストロイカ」を断行したミハイル・ゴルバチョフは、「改革者はみな不幸である」という名言
 →一生懸命に道を通すと、今度は反対してきた人も平気でその道を利用する、通した人は感謝されることもない
・「国家戦略特区」については、それぞれの特区ごとに、「区域会議」を開くことに
 →中央政府に総理をトップとする「国家戦略特別区域諮問会議」(著者もメンバーの1人)を設け、最終的にはそこで決着できるように

■日本経済の未来は「国家戦略特区」から見えてくる
・具体的な「国家戦略特区」の例
 →兵庫県北部の養父市 …休耕地が増える一方
  →特区指定を受け、ローソンがファームをつくり、オリックスもそれに続いた
  →小さな町の変革が、他にも波及効果…愛知県常滑市
 →秋田県仙北市 …田沢湖や乳頭温泉郷などがある
 →外国人医師が医療活動を行える特区として指定
 →「湯治型の医療ツーリズム」の確立を目指す
・養父市と仙北市のケースに共通
 →首長が既得権力と戦う気力と腕力を持っていること
・特区認定後の進捗を諮問会議が厳しく検証・評価
 →特区には、それだけの責任と緊張感が求められる

■特区が日本人の働き方の概念を変える
・東京圏でも、特区の指定
 →都市計画として13もの大型プロジェクトが東京で動き出した
・医療関連で、千葉県成田空港の近くに、国際的な医学部を創設する計画
 →「医療ツーリズム」
 →海外から患者を受け入れ、手術を施して帰っていただく
・終身雇用・年功序列については、さまざまな経営形態や経営状況に応じて、さまざまな働き方ができるようにしていく必要
 →一部の会社の成功体験に基づき、十把一絡げに「日本の会社は終身雇用
・年功序列であるべき」などと議論するのは間違っている
 →「成功体験」が曲者

■高齢化社会を見据えた「ドローン特区」
・とりわけ注目を集めているのが、「ドローン特区」
 →具体的にどう使い、どんな枠組み、どんな規制緩和?
 →地域を限定して実証しながら考えよう
・前出の仙北市が「ドローン特区」としても指定に
 →高齢者の生活支援 …ドローンで配達
・ドローンの活用については、別のアイデアも
 →電線の点検
 →災害時の活用

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