0.2%と僅かに減少、2015年の世界半導体販売高、慎重な2016年の読み
米国Semiconductor Industry Association(SIA)から定例の月次世界半導体販売高が発表され、今回は2015年12月そして注目の2015年年間の販売高が表わされている。史上最高である前年、2014年の販売高、$335.8 billionを2015年が上回れるかどうかが注目されたが、モバイル機器の伸びの鈍化、そして半導体業界に吹き荒れたM&Aの嵐が象徴する世界経済の減速に覆われて、盛り返しに至らず0.2%減の$335.2 billionと僅かながら下回る結果となっている。2016年はどうなるかについて、現下の続く減速基調から慎重な見方が大勢になってきている。
≪2015年の世界半導体販売高≫
米SIAからの発表内容が以下の通りである。
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◯$335 Billionを上回る2015年のグローバル半導体販売高−ほぼ2014年並み;12月販売高は前月比4.4%減 …2月1日付け SIAプレスリリース
半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年のグローバル半導体業界販売高総額が$335.2 billionとなり、業界の史上最高販売高となった2014年の総額から0.2%と僅かに減少したと発表した。2015年12月のグローバル販売高は$27.6 billionに達し、前月比4.4%減、前年同月、2014年12月から5.2%下回った。第四四半期販売高、$82.9 billionは、前年同期、2014年第四四半期の$87.4 billionを5.2%下回っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
「手ごわい逆風にも拘らず、2015年のグローバル半導体業界は堅調な販売高を示したが、2014年の最高記録の総額には僅かながら及ばなかった。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「2015年のさらに力強い販売高を抑制した要因として、需要の軟化、力強いdollar、そして通常の市場の流れおよび循環性がある。このような難題にも拘らず、2016年は控え目ながら市場の伸びが見込まれている。」
2015年はいくつかの半導体製品分野が目立っている。ロジックが$90.8 billionと2015年で最大の販売高となり、半導体市場全体の27%を占めている。メモリ($77.2 billion)そしてmicroprocessors(MPUs)を含むmicro-ICs($61.3 billion)が、販売高トップ3としてこれに続いている。
optoelectronicsが最も伸びた分野であり、2015年に11.3%増となっている。
他に2015年に伸びた分野として、$8.8 billionの販売高で3.7%増となったセンサおよびactuators、NANDフラッシュメモリ($28.8 billion/2.2%増)およびアナログ($45.2 billion/1.9%増)がある。
地域別では、Chinaが年間販売高7.7%増で他の地域市場をリードしている。
他は、Americas(-0.8%), Europe(-8.5%), Japan(-10.7%), および
Asia Pacific/All Other(-0.2%)と、2014年から販売高を落としている。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Dec 2014 | Nov 2015 | Dec 2015 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 6.73 | 6.07 | 5.75 | -14.5 | -5.2 |
Europe | 3.01 | 2.93 | 2.77 | -7.9 | -5.7 |
Japan | 2.80 | 2.68 | 2.57 | -8.1 | -4.1 |
China | 8.03 | 8.67 | 8.45 | 5.2 | -2.5 |
Asia Pacific/All Other | 8.57 | 8.53 | 8.08 | -5.7 | -5.3 |
計 | $29.13 B | $28.88 B | $27.62 B | -5.2 % | -4.4 % |
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市場地域 | 7- 9月平均 | 10-12月平均 | change |
Americas | 5.82 | 5.75 | -1.2 |
Europe | 2.87 | 2.77 | -3.6 |
Japan | 2.69 | 2.57 | -4.3 |
China | 8.45 | 8.45 | 0.0 |
Asia Pacific/All Other | 8.58 | 8.08 | -5.8 |
$28.41 B | $27.62 B | -2.8 % |
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「半導体業界は、米国経済および我々のグローバル競争力に決定的に重要である。」とNeuffer氏は続ける。「我々は議会に対しイノベーションおよび成長を促進する政策を急ぎ制定するよう求める。このような1つのinitiativeとしてTrans-Pacific Partnership(TPP)があり、Asia-Pacificの諸国との通商取引に向けて無数の障壁を取り壊す画期的な合意である。TPPは、半導体業界、ハイテク分野、アメリカ経済、そしてグローバル経済にとって素晴らしいものであり、議会はこれを承認すべきである。」
※12月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/December%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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これを受けた業界各紙の反応、表わし方である。
◇Chip Sales Dipped Slightly in 2015-SIA: Chip sales registered at $335.2B in 2015 (2月1日付け EE Times)
◇Global semiconductor sales top $335B in 2015 (2月1日付け ELECTROIQ)
◇Chip market slump drags annual sales lower (2月2日付け EE Times Europe)
◇Global semiconductor sales top US$335 Billion in 2015, says SIA (2月2日付け DIGITIMES)
◇Semiconductor Sales Roughly Flat in 2015 (2月3日付け IHS Electronics 360)
年間の世界半導体販売高を米SIA発表ベースで振り返ると、2008年からの経緯が以下のように表わされる。リーマンショックを受けて大きく低下した半導体市場であるが、中国はじめ新興経済圏の伸びが大幅な増加の支えとなった後、$300 billionの壁をなかなか突破できない数年があって、2013年以降$300 billion台で伸びた後の2015年となっている。パソコンに代わるモバイル機器の伸び、そして世界経済の移り変わりが織りなす半導体市場のこの8年という感じ方になってくる。
2008年 $248.6 billion
2009年 $226.3 billion 9%減
2010年 $298.3 billion 31.8%増
2011年 $299.5 billion 0.4%増
2012年 $291.6 billion 2.7%減
2013年 $305.6 billion 4.8%増
2014年 $335.8 billion 9.9%増
2015年 $335.2 billion 0.2%減
さて、2016年はどうなるか? 世界同時株安、原油価格低下でスタートしていることもあり、慎重な空気に覆われて以下1つの見方である。
◇Cautious expectations amid a slow-growth global economy (2月4日付け ELECTROIQ)
→IC業界の健康状態は世界経済のそれにますますつながっており、少なくとも支える"良好な"世界経済なしでは力強いIC市場成長はほとんどあり得ない旨。結果として、IC InsightsはグローバルIC市場年間成長率が世界GDP伸長の振る舞いに密接していると見ている旨。最近リリースされたThe McClean Report 2016にてIC Insightsは、2016年のグローバルGDP伸長を2.7%と予測、不況閾値と考えられている2.5%伸長に辛うじて先行している旨。
メモリ市場の現状ということもあるが、Samsungにおいても投資を遅らせる動きが見られている。
◇Postponement of Investment-Samsung Shelves Expansion of Semiconductor Plant in China (2月4日付け BusinessKorea)
→Samsung Electronicsが、中国・西安(Xi'an, China)の同社半導体工場への第2段階投資を事実上棚上げ、同社は、今年はここ7年で最悪の市場状況になるというメモリ半導体市場が予測されるなか、東芝、SanDiskおよびIntelがNANDフラッシュ工場を拡張、供給の急激な増大に懸念をもっている様相の旨。
引き続き、世界経済の動向に合わせて、モバイル機器はもちろん半導体の新製品、新市場そして新技術に期待感をもって注目である。
≪市場実態PickUp≫
【2016 ISSCC】
恒例のIEEE international Solid-State Circuits Conference(ISSCC)(2016年1月31日〜2月4日:San Francisco, CA)も第63回とのこと。1970年代、1980年代の半導体の昔話にはだいたい引き合いになる"半導体のオリンピック"であるが、今回はどうかということで業界記事から注目。まずは、ここでも目立つ車載関係ということで以下の通り。
◇NXP Outlines Autonomous Vehicle Advances-NXP, Google partner for self-driving car development -NXP: Autonomous cars, regulations are evolving (2月1日付け EE Times)
→plenaryセッションにて、NXP Semiconductorsの車載グループ(Hamburg, Germany)、chief technology officer(CTO)、Lars Reger氏。
NXPは、self-driving carsについてGoogleと協働しており、興味深い進展があって、self-driving carsそっくりの“robots with wheels”がすでに路上にある旨。high-end vehiclesは運転者の注意最小限に最大130 mphで今や走行でき、交通規則もself-driving carsが実際に車の致命的な事故を減らせる可能性を反映するよう進化してきている旨。
◇Cars drive SoC design at ISSCC-Renesas designs leapfrog MediaTek, AMD-Conference keys in on SoCs for cars (2月2日付け EE Times/Blog)
→今回のISSCCの場では、車載electronics用system-on-a-chip(SoC)デバイスが重要な話題、Renesas Electronicsは16-nm FinFETプロセスで作った2つのauto SoCsについて詳細プレゼンの旨。
Massachusetts Institute of Technology(MIT)からは、高効率artificial-intelligence(AI) acceleratorのアプローチが表わされている。
◇MIT's 168-core chip could make mobile devices, robots smarter-MIT's brainy chip may increase IQ of mobile devices (2月3日付け CIO.com/IDG News Service)
→Massachusetts Institute of Technology(MIT)の研究。スマートフォンなどモバイル機器に向けて設計された168-core半導体のprototypeを開発、顔、ものおよびオーディオを認識、思い起こせる旨。このエネルギー効率が高くて強力なEyeriss半導体は、cloud-ベースハードウェアにつなぐ必要なく機器にartificial-intelligence(AI)技術を加えていく旨。
◇MIT Neural Network IC Aims At Mobiles (2月4日付け EE Times)
→MITの研究者が今回の場で知見をプレゼン。神経ネットワークスを取り入れた半導体を設計、モバイルGPUの10倍の効率が得られる旨。これは、モバイル機器が処理に向けてInternetにデータuploadするのではなく、局所的にartificial-intelligence(AI)アルゴリズムを動かせるのに用いられる可能性の旨。
オーソドックスな微細化の推進軸では、Samsungより10-nm SRAMの取り組みが次の通りである。
◇Samsung Describes 10nm SRAM-Area-optimized design shows 38% shrink-Samsung details 10nm SRAM at conference (2月4日付け EE Times)
→Samsungが、同社10-nm finFET技術およびその過程で作られた先端128-Mbit SRAMについて論文プレゼン、該新6T SRAM bitcell寸法最適化版は、Samsungの14-nmプロセス相当品より38%小さい旨。
【TSMCの中国300-mm工場認可】
台湾政府が、TSMCの中国での完全自前300-mmウェーハfab建設に対して承認を与えている。従来のスタンスからは大きな変更に映るものである。
◇TSMC's 300mm Chinese Wafer Fab Wins Approval (2月3日付け EE Times)
→台湾・Investment Commission of the Ministry of Economic Affairs(経済部投資審議委員会)を参照した報道。台湾政府が、ファウンドリー半導体メーカー、TSMCに対して中国での300-mmウェーハfab建設への承認を与えている旨。TSMCはすでに中国で1つのfabを動かしているが、この最新裁定まで台湾政府は台湾メーカーがコスト効率の良い大型ウェーハ寸法を処理するfabsを所有、稼働させることを禁止していた旨。
◇Taiwan regulator approves TSMC plan to build chip plant in China-TSMC gets go-ahead for 12-inch wafer fab in China (2月3日付け Reuters)
◇Taiwan approves TSMC plans for USD 3 bn plant in China (2月3日付け Business Standard)
◇Taiwan MOEA approves TSMC 12-inch fab investment in China (2月4日付け DIGITIMES)
→台湾・Ministry of Economic Affairs(MOEA)のInvestment Commissionが、TSMCの最大$3 billionで12-インチウェーハfabおよび設計サービスセンターをNanjing, China(江蘇省南京市)を設立する提案を承認、該投資提案は、TSMCが2015年12月に提出していた旨。TSMCは、完全子会社として全体で1,700人を雇用する計画を示している旨。
◇TSMC mainland Chinese investment OK'd by MOEA (2月4日付け Taiwan Today)
◇TSMC approved to build 12-in wafer fab in China (2月5日付け ELECTROIQ)
この認可によってTSMCの半導体ファウンドリー市場でのシェアが高まるという以下の見方である。
◇TSMC's Market Share to Reach 57% By Obtaining Approval to Go China (2月4日付け CTIMES)
→台湾・Ministry of Economic Affairs(MOEA)は、TSMCの中国投資計画で半導体ファウンドリー市場をリードする位置づけをグローバル市場シェアを拡大して引き続き維持できるとしている旨。TSMCは、中国12-インチfab完成後2018年には市場シェアを55%から57%に高める見込みの旨。
【半導体M&A関連の動き】
世界的に引き続くM&Aの余韻、余波であるが、まずは、世界製造capacityの拡大を進めるTowerJazzの新たな買収完了である。
◇TowerJazz completes acquisition of Maxim's San Antonio fabrication facility (2月2日付け ELECTROIQ)
→グローバルspecialtyファウンドリー、TowerJazzが、以前発表していたMaxim Integrated Products社からのSan Antonio, Texas, United Statesにある8-インチウェーハfabrication拠点の買収完了を発表、同社の生産が約28,000枚/月ほどコスト効率良く高められて、TowerJazzの現在の世界製造capacityが拡大される旨。
中国・Tsinghua Unigroupの描くDRAM構築の段取り模様が表わされている。
◇Tsinghua Unigroup to build own DRAM fab, says report (2月2日付け DIGITIMES)
→市場の噂を引用した台湾・Central News Agency(CNA)発。中国の国で支援するTsinghua Unigroupが、自前のDRAM fabを建設、Micron Technologyを該fabの株主に招請する計画の旨。この計画ではまた、該fabにおけるstakeと引き換えにMicronのDRAM技術移転となっている旨。
Freescaleを買収したばかりのNXPの2015年販売高が発表され、Freescaleの貢献分が含まれている。
◇NXP sales top $6bn-NXP posts 2015 sales of $6.1B, an 8% gain from 2014 (2月4日付け Electronics Weekly (U.K.))
→NXP Semiconductorsの2015年販売高が8%増の$6.1 billion、operatingincomeが19%増の$1.68 billion。この2015年の結果には、12月始めに買収したFreescale Semiconductorから約1ヶ月の売上げの寄与が入っている旨。
Western DigitalによるSanDisk買収をEuropean Commission(EC)が認めている。
◇EU clears Western Digital acquisition of SanDisk (2月4日付け Reuters)
→European Commission(EC)が木曜4日、Western DigitalによるSanDisk買収計画について本件は欧州におけるデータストレージ市場での競争を害しないと結論づけて承認した旨。
以下2件、買収提案がなかなか決着せず、株式公開買い付けの期限が先延ばしされているものである。
◇ON Semiconductor extends tender offer to acquire Fairchild Semiconductor (2月4日付け ELECTROIQ)
→ON Semiconductor Corporationが、Fairchild Semiconductor International社の発行済み普通株式すべてを$20.00/株 in cashで買収する以前に発表した公開買い付けを先延ばしする旨。今度は2016年2月18日期限とし、他の条項および条件に変更はない旨。
◇ASE extends tender offer period to acquire more SPIL shares (2月5日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、台北およびNew York Cityで取引されているSPILの普通株式をさらに多く求める公開買い付けを先延ばし、期限を2016年3月17日の台北時間15:30およびNew York City時間01:30までとする旨。
【早々回復の期待】
半導体市場の減速基調が続いており、在庫調整が終わっていつ戻しに転ずるか、気をもむところであるが、M&Aの動きの渦中にもある台湾のASEそしてSPILからの見方が以下の通り表わされている。
◇ASE expects mild growth this year-Industry growth to resume in Q2, ASE exec says (1月30日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Advanced Semiconductor Engineering社(ASE, 日月光半導體)のchief operating officer(COO)、Tien Wu(呉田玉)氏が投資家に対し、在庫調整が今や終わって、同社は今年"穏やかな伸び"を予想している旨。
◇Inventory correction near end, says SPIL chairman-SPIL chairman sees IC inventory correction nearing its end (2月1日付け DIGITIMES)
→実装&テストメーカー、Siliconware Precision Industries(SPIL)のchairman、Bough Lin氏。IC業界supply chainにおける在庫調整が終わりに近づいており、末端市場需要がしっかりと増大すれば、該業界での在庫補充が第一四半期末に行われる見込みの旨。
◇Taiwan semiconductor firms expected to start restocking inventories-Sources: Inventory restocking seen in late Q1 or early Q2 (2月5日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾の半導体業界supply chainの各社は、2016年第一四半期の終わりあるいは第二四半期の始めに在庫の補充を始める見込み、該業界の持ち直しにつながっていく旨。IC backendサービス、Siliconware Precision Industries(SPIL)のchairman、Bough Lin氏によると、同社は早くて第一四半期の終わりに短lead-time受注の最初のbatchを獲得見込みの旨。
【ランキングデータ2件】
まずは、2015年のスマートフォンの世界出荷について。ベンダー別ランキングでの中国・華為技術(ファーウェイ)の伸びっぷりが目立つ以下の内容である。
◇華為技術、2015年のスマホ世界出荷シェア3位に浮上 (2月1日付け 日経 電子版)
→米調査会社IDCがまとめた2015年のスマートフォンの世界出荷動向。中国・華為技術(ファーウェイ)が出荷台数を前年比44%伸ばし、韓国サムスン電子、米アップルの「2強体制」を追う3番手に浮上したことが分かった旨。急激なスピードで成長してきた中国・小米(シャオミ)にはやや息切れ感が出ており、中国勢の勢力図に変化の兆しが出ている旨。トップ5と概況:
1. サムスン電子 …シェア22.7%(1.7ポイント減)
2. アップル 16.2%(↑)
3. ファーウェイ …レノボを抜く
4. レノボグループ
5. 小米
2015年の全体の出荷台数は10%増の14億3200万台。増加率は2014年の28%から大幅に縮小、スマホ市場が成熟化しつつあることをうかがわせる結果となっている旨。
一方、2015年10〜12月期の全体の出荷台数は5.7%増の3億9950万台。上位5社の順位も上記の通年と同じ。年末商戦では首位のサムスンが21.4%、アップルが18.7%で続いた旨。小米は昨年7〜9月期から0.6ポイント減の4.6%にシェアを落としている旨。
次に、今まであまり目にしていないところがあるが、台湾での特許出願数の2015年データである。台湾メーカー、海外企業と分けてあり、特に半導体メーカーの大きな伸びが目立っている。
◇Taiwan market: Foxconn leads patent applications in 2015 (2月3日付け DIGITIMES)
→台湾・Ministry of Economic Affairs(MoEA)傘下Intellectual Property Office(IPO)がリリースしたデータ。2015年の台湾メーカー特許出願数:
1. Hon Hai Precision Industry (Foxconn) 659件
2. TSMC 503件…ここ10年で最高
3. ITRI (Industrial Technology Research Institute) 466件
海外企業の台湾での2015年特許出願数:
1. Intel 956件…ここ10年で最高
2. 東芝 413件
3. Tokyo Electron 404件
半導体メーカーが2015年は最も活発な特許出願、Intel, TSMCおよびSamsung Electronicsの出願数は前年比大きく伸びている旨。
≪グローバル雑学王−396≫
東京オリンピックを迎える2020年までに、日本そして世界はどう大きく変わり、それに対して我々はどうすべきか、どうあるべきか、の視点で、
『大変化 経済学が教える2020年の日本と世界』
(竹中 平蔵 著:PHP新書 1023) …2016年1月5日 第一版第一刷
を今回から読み進めていく。著者は、2001年から小泉内閣で経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣、現在は、慶応義塾大学総合政策学部教授などという経歴の我々よく馴染みある方である。我が国の政策運営に当たった経験の目を踏まえて、東京オリンピックという我が国全体に勢いをもたらす機会に向けて、いろいろな切り口のこうなるという見方とこうあるべきという方向性が示されている。自分の目とのフェーズ&認識の比較を行っていく。
はじめに―「どうなる」ではなく「どうする」を考えよう
■「コンパス」を持っているか
・国内外にある諸問題に対し、(著者なりの)「未来予想図」を提示したのが本書
→「これからどうするか」を読者自身が考える、そのきっかけに
・マサチューセッツ工科大学のメディアラボに掲げられている九つのキーフレーズ「The Principles」より
→「Compass over Maps」――地図よりもコンパスが重要な時代になる
→自分なりの哲学や座標軸を持つことが、これからの時代には非常に重要に
■知識がすぐに陳腐化してしまう世界
・重要なのは、「自分にはこれができる」というものを持っていること
→信念、確固としたもの、「コンパスを持つ」ということ
・アインシュタイン…「教育とは、学校で習った知識をすべて忘れた後で、自分の中に残ったものを指す」
→この「知識」が「地図」に相当
■「自力」を鍛えることがますます必要とされる時代に
・「Compass over Maps」は、「competitiveよりもcompetentであれ」と言い換えることも
→「competitive」…「競争力がある」という意味。限られるステージ。
→「competent」…「対応能力がある」という意味。状況がどれほど変わっても競争力を維持し続ける。
・古い知識や技術に固執しても意味がない。頼れるのは、自身がcompetentであるということだけ。
■「悲観は気分である。楽観は意志である」
・『「学力」の経済学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より
→認知能力…点数や学校の成績など、計測できる能力
→社会的成功との関連がほとんど見られない
→非認知能力…例えば、我慢強さ、時間を守ること、自制心など
→社会的成功にはるかに関係
・アランの『幸福論』の中に、「悲観は気分である。楽観は意志である」という言葉
→「自分はできる」と信じてチャレンジ、あきらめずに努力、それが結局は「幸福」に
→そのプロセスの中で、非認知能力も自然に高まるのでは
第1章 2020年東京五輪は、日本にとって最大かつ最後のチャンス
≪東京五輪で来るべき未来の姿≫
・東京五輪の開催で日本はどう変わる?
→さまざまに働くロボットたち
→選手村から競技場まで、選手は全自動走行車で送迎
・「モメンタム(勢い)」を社会全体にもたらすことが、五輪を誘致する大きなメリット
・2020年の世界ではアジアの中間所得層が大幅に拡大
→17.5億人と、2015年の3.5倍にまで
1 「改革のモメンタム」が到来する
■このままでは、日本は衰退の一途を辿る
・現状の延長線上に、30年後の日本は存在しない
→よく指摘される高齢化
→社会の負担が爆発的に増大、ところが、備えるだけの蓄えを日本人は持っていない
→日本の行く末に山積する難題
→財政問題、エネルギー問題、アジア近隣諸国はじめ国際関係
・今はすべての日本人の覚悟が問われている
■1964年の東京五輪で生まれた、さまざまなビジネスチャンス
・とりわけ重要な通過点、2020年
→さまざまな改革のモメンタム(勢い)の高まりの期待
→東京五輪は千載一遇のチャンス
・1964年の東京五輪の際、世の中は大きく変化
→新幹線の東京・大阪間開通が、五輪開幕式の9日前
→羽田・浜松町間の東京モノレール運転開始が、同3週間前
・新しいビジネスの登場
→新興の警備会社が担ったセキュリティビジネス
→1962年に誕生した日本警備保障(現セコム)、当時の従業員わずか2名、今やこの業界の全従業員数は53万人にも
→公衆トイレでよく見る黒いスーツ姿の男性と赤いスカート姿の女性のマーク(ピクトグラム)
→世界標準のデザインに
・五輪開催と貿易
→開催国としては、できる限り世界からよく見られるように努める
→その結果、貿易の増加につながる
■2020年が、日本にとって重要なターニングポイントになる
・東京五輪は日本が再生するための大きな、そしておそらくは最後のチャンス
→2015年6月末、政府は「『日本再興戦略』改訂2015」を閣議決定
→柱の1つ、「改革2020」という6プロジェクト
「次世代都市交通システム・自動走行技術の活用」
「分散型エネルギー資源の活用によるエネルギー・環境課題の解決」
「先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現」
「高品質な日本式医療サービス・技術の国際展開」
「観光立国のショーケース化」
「対日直接投資拡大に向けた誘致方策」
■2020年には自動車の自動走行が実現可能に
・自動車の自動走行も現実味
→五輪開催という大きな「締め切り」が設定された以上、そこに向けて全員が力を合わせてがんばるのでは
■なぜロンドンはニューヨークに勝てたのか
・2004年に開かれたアテネ五輪の舞台、ギリシャ
→五輪開催のチャンスを経済に活かせず、むしろ財政負担という「足かせ」に
・それを教訓としたのが、2012年開催のロンドン五輪
→3つの合い言葉…"legacy(遺産)"
"leverage(テコ)"
"accelerator(加速)"
→ロンドンの都市力は五輪後に飛躍的に向上
・実際、ここ数年で大きく変わったロンドン
→その交通の利便性に高い評価。象徴的なのは空港。
→地下鉄のバリアフリー化を急速に推進
・ロンドンの経験から、日本も学ぶべき
→2020年に向けて何ができるのか、その先をどう描くのか、戦略的に考える必要
2 世界は「大いなる収斂」の時代へ
■アジアの中間所得層はあと数年で3.5倍に膨張する
・シンガポール国立大学のキショール・マブバニ(Kishore Mahbubani)教授
→経済学に存在する概念、「コンバージェンス理論」
→高所得国の成長率は低く、低所得国の成長率は高いため、いずれ両者の所得は収斂して均衡する
・まさに、アジアは"great convergence"の様相
→「アジア各国で中間所得層が一気に増える」
→現在のアジアの中間所得層は約5億人、2020年になると、3.5倍の17.5億人に膨らむ
・この膨張の片鱗はすでに
→ここ1-2年の間に、東京都心は中国や台湾からの観光客でにぎわい
・とりわけ注目すべきは台湾
→全人口の8人に1人の割合で来日
■バルコニーに駆け上がれるかどうかが、勝敗を決める
・バルコニーに駆け上がって会場全体を俯瞰し、自分が行くべき場所、会うべき人を見極めよ
→日本の場合、「現場主義」が重視されがち。そのまま埋没し、方向感を失ってしまうことも