セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

世界経済の減速の渦中、各社業績、戦略的取組み、M&Aインパクト

中国の経済成長鈍化はじめ世界経済の減速基調が強まってきた2015年後半であるが、明けて2016年、早々から世界同時株安、原油価格下落と収まることなく続いている。世界各国のGDPデータにも低迷、減速、マイナス傾向がはっきり出てきており、半導体関係各社の2015年末四半期業績では厳しさが一層表れて、2015年年間の世界半導体販売高の成り行きを抑えるところとなっている。引き続く半導体業界M&Aのインパクトが方々で見られ、今後に向けた戦略的取り組みが打ち上げられている現下の状況に以下注目している。

≪ギアシフトの模索≫

中国を震源とする世界経済の減速という感じ方が強いが、世界各国から発表されているGDPデータ、あるいは打ち出されている経済対策が、この数日で目にとめた範囲、以下の通り相次いでいる。

◇韓国、2015年は2.6%成長、輸出の低迷響く (1月26日付け 日経 電子版)
→韓国銀行(中央銀行)が26日発表した同国の2015年の実質国内総生産(GDP:速報値)は2014年に比べて2.6%増、伸び率が2%台にとどまるのは2年ぶり、中国の景気減速で輸出が伸び悩んだほか、好調だった住宅取引が期末に減速したため、昨年10月に示した通年予想(2.7%増)には届かなかった旨。

◇ロシア、6年ぶりマイナス成長、2015年GDP、3.7%減 (1月26日付け 日経 電子版)
→ロシア連邦統計局が25日、2015年の同国の実質国内総生産(GDP:速報値)が前年比で3.7%減ったと発表、主力輸出品で歳入の半分を依存する原油の価格下落や、ウクライナ問題を巡る欧米の対ロ経済制裁が響いた旨。マイナス成長はリーマン・ショック直後の2009年以来、6年ぶりの旨。

◇FRB、海外リスク注視。利上げ見送り、米経済も減速 (1月28日付け 日経 電子版)
→米連邦準備理事会(FRB)は27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、金融政策の現状維持を決めた旨。会合後の声明では「海外経済と市場動向を念入りに注視する」と盛り込み、世界的な株安や原油安に懸念を示した旨。米経済も「昨年終盤に減速した」と判断を下方修正、先行きは「緩やかに追加利上げを進める」としたが、市場の混乱が続けば利上げが遅れる可能性もある旨。

◇日銀、マイナス金利導入を決定、異次元緩和に転換点 (1月29日付け 日経 電子版)
→日銀は29日開いた金融政策決定会合で、マイナス金利政策の導入を5対4の賛成多数で決めた旨。原油価格の下落や中国経済への不安で世界経済の先行き懸念が強まり、国内の景気や物価に悪影響が及ぶリスクが高まったための旨。銀行が日銀に預けるお金(当座預金)の一部に2月からマイナス0.1%の金利を適用、2013年4月に導入した量的・質的金融緩和(異次元緩和)は大きな転換点を迎えた旨。

◇Taiwan 4Q15 economic growth estimated at -0.28%, says DGBAS (1月29日付け DIGITIMES)
→台湾Directorate General of Budget, Accounting and Statistics(DGBAS)発。台湾の2015年第四四半期on-year経済成長が-0.28%の評価、11月時点の予測から0.77pp下方修正の旨。

このような中、半導体各社から2015年末四半期の業績発表が続いており、厳しい状況のキーワードが目立つその概要が各社別にまとめて以下の通りとなっている。

[SK Hynix]

◇UPDATE 1-SK Hynix Q4 profit slumps, Jan-March outlook uncertain (1月25日付け Reuters)

◇SK Hynix Profit Misses Estimates on Lower Memory Chip Prices-Slump in memory prices holds down SK Hynix's profit (1月26日付け Bloomberg)
→SK Hynixの12月締め四半期のoperating incomeが$828 million、前年同期比41%減、アナリスト評価平均を下回った旨。

◇ハイニックス46%減益、10〜12月、半導体価格下落で (1月27日付け 日経産業)
→SKハイニックスが26日発表した2015年10〜12月期連結決算。売上高が前年同期比14%減の4兆4160億ウォン、純利益が同46%減の8710億ウォン(約860億円)。パソコン用の需要減少などに伴い、メモリ半導体の価格が大きく下がったのが響いた旨。
2015年12月期通期は、売上高が10%増の18兆7980億ウォン、純利益が3%増の4兆3240億ウォン。

[Texas Instruments]

◇TI to Shutter Scotland Fab (1月27日付け EE Times)
→Texas Instruments社が水曜27日、2015年第四四半期および2015年通期について次の通り入り混じった業績結果、および2019年までにScotlandの旧いfabを閉鎖する計画を発表の旨。
2015年第四四半期の販売高が$3.19 billion、前四半期比7%減、前年同期比2%減。2015年間では、販売高が$13 billionで2014年の$13.05 billionから僅かに減少、net incomeは$2.97 billionで2014年の$2.82 billionから増加の旨。

◇Texas Instruments Forecast Meets Estimates Amid Slowdown-TI forecasts Q1 results in line with estimates in a sluggish chip market (1月27日付け Bloomberg)
→Texas Instruments(TI)の第一四半期販売高見込みが$2.85 billion〜$3.09 billion、対してBloombergまとめによるとアナリストの平均評価は$3.1 billion。

[Qualcomm]

◇Qualcomm Q1 better than expected, outlook strong-Qualcomm has "stronger-than-expected" quarter with $1.5B net, $5.8B in revenue (1月27日付け ZDNet)

◇Qualcomm Posts Lower Profit, Revenue in Quarter (1月28日付け ELECTROIQ)
→Qualcommの12月27日締め四半期売上げが、前年同期($7.1 billion)比19%減の$5.8 billion、net incomeが同24%減の$1.5 billion。今四半期売上げは、$4.9 billion〜$5.7 billionの範囲に低下すると予想の旨。

[Samsung Electronics]

◇Samsung Electronics posts 40% fall in Q4 net profit-Samsung has lower Q4 net due to "global economic headwinds" (1月28日付け The Business Times (Singapore)/Agence France-Presse)
→Samsung Electronicsの2015年第四四半期net profitが約$2.7 billion、前年同期比40%減。同社は、"難しい事業環境およびIT需要鈍化から"2016年の間での最終的な収益への挑戦を予想している旨。

◇サムスン、「屋台骨」半導体に陰り、長引く市況悪化-10〜12月、6四半期ぶり営業減益 (1月28日付け 日経 電子版)
→右肩上がりの拡大でサムスン電子の業績を支えてきた半導体部門に陰りが見えてきた旨。28日発表した2015年10〜12月期決算で、同部門の営業利益は1年半ぶりに直前の四半期を下回った旨。技術で世界の先頭を走る同社も、市況悪化の打撃を跳ね返せなかった旨。利益水準はなお高いが、スマートフォン事業の不振を補いきれなくなる恐れもあり、危機意識を高めて新技術の投入やコスト削減を急ぐ旨。

[SPIL]

◇SPIL swings to loss in 4Q15 (1月29日付け DIGITIMES)
→IC packager、Siliconware Precision Industries(SPIL)の2015年第四四半期の連結売上げが前年同期比3.1%減のNT$20.77 billionで、NT$212 million($6.4 million)の赤字(net losses)。損益については、前四半期NT$2.68 billionのnet profits、前年同期NT$3.02 billionのprofits。

台湾でASEとのM&Aの成り行きが注目されるSPILの業績が上に出ているが、特に昨年来桁外れに吹き荒れている半導体業界のM&Aのインパクト、そして新たに取り組む戦略的アプローチの打ち上げもまたひっきりなしという状況が見られている。

まずは、Freescale買収が完了したNXPが、今後への取り組みを次の通り表わしている。

◇NXP to focus on high growth opportunities going forward -Post-merger NXP looks to health care, smart homes, wearables for growth (1月26日付け New Electronics)
→NXPのFreescale買収が完了、この大きくなった新会社がParisでのイベントにて、smart home, 産業用, ヘルスケアおよびwearablesなどが狙い目の領域となる‘smarter world’で高成長の機会への対応を如何に図るか、披露の旨。

次に、STMicroelectronicsが、set-top boxの時代は終わったという流れの中で、この分野から撤退する動きが見られており、関係する内容をまとめて以下の通りである。

◇Set-Top Era Over, Says FCC-Proposal would require open pay-TV formats (1月27日付け EE Times)
→米国Federal Communications Commission(FCC)が、pay-TVサービス提供に向けた競争の機会を開く提案を発表、set-top boxの時代は終わった旨。
FCCは2月18日に該提案について投票を行い、一般の見解に対応する期間をおいてから最終票決を予定の旨。

◇ST Exits Set-Top Box Chip Biz, Plans Layoffs (1月27日付け EE Times)
→STMicroelectronics NVが、set-top boxおよびhome gateway市場に向けた製品開発を止め、43,000以上の人員全体の内最大1,400 workersをレイオフする計画の旨。今後に向けてSTは、車載および産業応用、およびsmart home、smart city応用領域などInternet of Things(IoT)に重点化する意向の旨。

◇STMicro Exits Set-Top Boxes, Eliminates Jobs as Sales Wane-ST shutters set-top-box chip business, reducing headcount (1月27日付け Bloomberg)
→STMicroelectronicsが、儲からないset-top-box半導体事業を停止、アジア、フランスおよび米国で最大1,400 positionsを削減、従業員600人を他のpositionsに動かす旨。STの第四四半期売上げは$1.7 billion、net incomeが$2 millionの旨。

◇FDSOI Carries on Despite ST Re-org, Says COO (1月28日付け EE Times)
→STMicroelectronicsのchief operating officer(COO)、Jean-Marc Chery氏。同社のset-top-box事業からの撤退およびエンジニアのmicrocontroller(MCU)およびディジタル車載業務への移行によって、fully-depleted silicon-on-insulator(FDSOI)製造プロセスの採用が止まることはない旨。これまで限られたtake-upながらも、set-top-boxおよびhome gatewayは同社が擁護しているFDSOIプロセスを取り入れたICsをすでに設計している応用領域である旨。

引き続き目が離せない中国について、ファンドからのSMICへの出資の1つの動きが表わされている。

◇SMIC to Benefit from $3 Billion Investment (1月26日付け EE Times)
→MoodyのInvestors Serviceレポート。Shanghai Integrated Circuit Investment Fund(SICIF)が、ファウンドリーのSemiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)および他の上海の半導体メーカー2社に20 billion yuan(約$3 billion)投資する計画を発表の旨。該出資は3社で分けられるが、SMICが少なくとも4分の1、約$750 millionを受ける、とMoodyは見ている旨。

恒例のSEMICON Chinaでも、特に今年は関心の度合いの強烈な高まりが取り沙汰されている。

◇China semiconductor acquisitions surge; SEMICON China brings the new market into focus (1月26日付け ELECTROIQ)
→SEMICON China 2016(3月15-17日:上海)についてSEMIでは、中国の急速に変化する市場におけるopportunities, challenges, およびrisksについて認識を深めるために記録的な数のグローバル業界executivesの出席を見込んでいる旨。

韓国でも、2016年の厳しさと伸びる分野への注目が表わされている。

◇Gloomy Outlook Prevails in Global Semiconductor Industry -Korean chipmakers face industry headwinds in 2016 (1月27日付け BusinessKorea magazine online)
→TrendForceによると世界半導体業界の売上げが2015年から0.6%減の$329 billionと見込まれるこの2016年は、Samsung ElectronicsおよびSK Hynixはメモリ半導体価格の低下の問題に当たることになる旨。該韓国メーカーは、2016年での伸びを求めて高付加価値メモリ製品、高性能モバイルapplicationプロセッサおよび車載用半導体に注目している旨。

上にも触れた台湾のASEとSPILの間のM&Aであるが、実装&テスト分野でのビジネスの発注についてこの両社から他に振り向ける動きが表わされている。
本当に吉と出るのか、市場の力学の為すところに注目である。

◇ASE-SPIL merger might result in orders loss, says report (1月25日付け DIGITIMES)
→最近の中国語Economic Daily News(EDN)発。Advanced Semiconductor Engineering(ASE)のSiliconware Precision Industries(SPIL)買収は、他のIC組立&テストサービスメーカーにとってプラスになる旨。ASEおよびSPIL両方の主要顧客のいくつかが、業界の集中の高まりを巡る懸念から発注を他のbackendサービスプロバイダーに移す計画を評価している旨。

◇SPIL seeing orders shift away (1月28日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)発。同社のclientsのいくつかが、ライバルのAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)による同社買収の可能性から、発注を他のOSATメーカーに移しており、NT$30 billion($893 million)以上の影響があると見ている旨。Qualcomm, BroadcomおよびMediaTekなど国際的な半導体ベンダーがすべて、供給リスクを減らすようサプライヤの多角化を図っている旨。ASEのSPIL買収がうまくいけば、backendパートナー数が、現在の4-5社から3社に減る旨。

最後に、現状最も有力、強力な市場プレーヤーであるアップルの以下の発表内容は、現下の減速基調を如実に表すところとなっている。当面、盛り返す市場、そして各社の新機軸の流れに注目である。

◇Apple Forecasts First Quarterly Sales Decline Since 2003 (1月26日付け EE Times)
→Apple社が期待を下回るiPhoneの売れ行きを報告、13年ぶりの販売高減少を予測して、新記録の売れ行きおよび売上げの四半期にも拘らず、火曜26日、低い立会外取引となった旨。10-12月期のiPhoneの伸び、前年同期比0.4%増は、2007年発売開始以来最低である旨。

◇アップル停滞懸念…iPhone販売減少見通し (1月27日付け YOMIURI ONLINE)
→アップルは2016年1〜3月期の売上高が500億〜530億ドルとなり、前年同期から10%ほど減る見通しであることを明らかにした旨。

◇アップルの2015年10〜12月期、純利益は2%増、iPhone販売は微増 (1月27日付け 日経 電子版)
→アップルが26日夕に発表した2015年10〜12月期決算。売上高が前年同期比2%増の$75.872 billion、純利益が同2%増の$18.361 billion(2兆1700億円)。主力のスマートフォン「iPhone」の販売台数が小幅ながら(0.4%)増え、寄与した旨。


≪市場実態PickUp≫

【ソニーによるM&A】

ソニーが、半導体事業のモジュール&システム化に向けて、イスラエルのLTEモデムベンダー、Altair Semiconductorの買収を発表している。世界をリードするCMOSイメージセンサを基軸とするアプローチとなっている。

◇Sony to Acquire Altair Semi For $212 Million (1月26日付け EE Times)

◇Sony to Buy Chipmaker Altair in Internet of Things Push-Sony to acquire Altair in $212M deal that aims at connected-device chips (1月26日付け Bloomberg)
→ソニーが、Internet-connected機器向け半導体製造に注目、LTEモデムベンダーのAltair Semiconductor(イスラエル)を$212 millionで買収する旨。該取引は来月完了予定の旨。

◇Sony acquires LTE chipmaker Altair Semiconductor (1月26日付け DIGITIMES)

◇ソニー、イスラエル社買収、半導体メーカー、250億円で、通信向け技術に狙い (1月27日付け 日経)
→ソニーが26日、イスラエルの通信用半導体メーカー、アルティアセミコンダクターを2億1200万ドル(約250億円)で買収すると発表、ソニーは世界首位の画像センサを通信など多様な機能を組み込んだシステム商品にして売り込んでいく考え、アルティア社の技術を取り込み、半導体の事業モデルを単品売りからモジュール(複合部品)やシステムサービスに転換する旨。

【Chip Stack】

三次元実装に向けて半導体チップを重ね合わせるchip stackingのアプローチが各社各様に展開されてきており、貫通電極(TSV)を用いるよりwafer-level fan-out packaging(FOWLP)が優位とする以下の内容である。

◇Chip Stacks Take New Tacks-For logic TSVs out -- SiP, Fan-Out in-Fan-out options fill the field-Apple Watch a sign of the times -3DIC stacks with TSVs give way to wafer-level fan-out packaging (1月25日付け EE Times)
→(1)半導体業界がほとんど気づかれないほどに、半導体stacksへの道筋で大きく方向転換している旨。through-silicon vias(TSVs)を用いてメモリとロジックを合体する3-D ICは、熱い目的対象からバックミラーの何かとなっている旨。スマートフォンのapplicationプロセッサがTSVsを引っ張ると考えられて、Qualcommが一端を担おうとしていたが、今やAppleが、iPhone 7に向けて準備している10-nm半導体でTSMCのwafer-level fan-outプロセスを次のA-シリーズSoCとして用いるという憶測で先頭を切っている旨。
 (2)through-silicon vias(TSVs)を用いる3D chip-stackingアプローチが、コスト、熱および製造時間からwafer-level fan-out packagingに対して後退してきている旨。「コストおよびtime-to-marketの問題であり、TSVsは2年以上の設計サイクルを要する一方、これらmicro packagesは6-12週間で済む。」(今月のSEMI trade group主催、Industry Strategy Symposiumにて、Qualcommの技術vice president、Michael Campbell氏)

CMOSイメージセンサでも信号プロセッサとの重ね合わせが進展、ここではプロセッサにFD-SOIウェーハの使用が検討されている。

◇Why Opt For Chip Stack, FD-SOI in Image Sensors? (1月28日付け EE Times)
→ここ数年CMOS image sensors(CIS)ベンダーは、chip stackingを受け入れており、CISがimage signal processor(ISP)と重ね合わされている旨。次のステップとして少なくとも主要プレーヤー2社、ソニーおよびSamsungが、chip stacked CISに向けたISPs製造でFD-SOIウェーハの使用を考えている旨。

【GoogleのDeep Learning】

米Googleが、同社が開発したディープラーニングシステム「AlphaGo」が初めて囲碁のプロ棋士に勝利したと発表している(28日)が、ここではcomputer vision-processorのstartup、Movidius(米国)とのコラボでイメージ認識など将来のモバイル機器へのdeep learning持ち込みの目論見である。

◇Google's Deep Learning Comes to Movidius-Moving machine vision from data centers to devices (1月27日付け EE Times)
→GoogleとのProject Tangoについての連携でよく知られる超低電力computer vision-processorのstartup、Movidius(米国)が、Googleとの関係を拡張、こんどは神経ネットワーク技術に重点化したコラボであり、モバイル機器でのdeep learningの採用を加速する計画の旨。

◇Google to Make Smartphones That Recognize Faces-Google teams with Movidius on image-recognition software (1月27日付け The Wall Street Journal)
→Googleが、半導体startup、Movidiusとの新しい連携のもと顔および空間認識における次のステップを踏む計画、Movidiusは、その技術を"connected機器用低電力machine vision"と表わしており、イメージ認識が得られ、モバイル機器でデータセンター向けにしばしばとっておかれるmachine learning tasksを行える旨。

◇Google partners with Movidius to bring machine learning to future mobile devices (1月27日付け Greenbot)

【2015年半導体buyersランキング】

2015年に半導体を最も購入したのは誰か? Gartner社がそのランキングを発表しているが、5年連続でSamsungが1位, Appleが2位。両社合わせて全体の約18%を占めるとともに、Appleが差を詰めるデータとなっている。

◇Samsung, Apple continue to lead as top global semiconductor customers (1月27日付け ELECTROIQ)
→Gartner社による2015年半導体buyersランキング。Samsung ElectronicsおよびAppleが1位および2位を維持、合わせて17.7%を占めている旨。両社合わせて2015年に$59.0 billionの半導体を消費、2014年から$0.8 billion増えている旨。

◇Apple is in a position to overtake Samsung as world's top chip buyer-Gartner: Apple increased its chip buys by 7% last year (1月27日付け Network World/IDG News Service)
→Gartner発。Appleが2015年に消費した半導体が前年比7.1%増、$29 billion以上、対してSamsung Electronicsは同3.6%減の$29.87 billion、Appleが半導体の世界トップbuyerとして追い抜こうとしているという憶測が生じている旨。

◇Samsung, Apple Top Chip Buyers List (1月28日付け EE Times)
→Gartner社(Stamford, Conn.)の最新レポート発。2015年のグローバル半導体消費・メーカー別ランキングで、5年連続、Samsung Electronics Co. Ltd.およびApple社が1位、2位、両社合わせて約18%を占めている旨。

【インドのMPU開発】

インド政府が推進する同国初の64-ビットmicroprocessor(MPU)開発が行われようとしている。カリフォルニア大学バークレイ校のコンピュータサイエンス科が開始したプロジェクトであり、グーグル、オラクル、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)などが参加する「RISC-V」(リスクファイブ)がベースとなる設計である。

◇India Preps RISC-V Processors-Two 64-bit projects run in parallel (1月27日付け EE Times)
→インド政府のR&D部門が、同国初の64-ビットmicroprocessor(MPU)開発に向けて6月までに約$45 millionを得ることになっており、該プロジェクトは、RISC-V instruction setベースのCPUを設計するインドでは2番目のものになる旨。

◇India to design first 64bit RISC-V processor (1月28日付け EE Times India)


≪グローバル雑学王−395≫

世界の主要国・地域それぞれのエネルギー安全保障および今後の課題を、経緯に沿って問題点を洗い出す形で、

『国際エネルギー情勢と日本』
 (小山 堅・久谷 一朗 著:エネルギーフォーラム新書 034) …2015年9月11日 第一刷発行

より見てきたが、今回で読み納めとなる。最後は、我が国が歩むべき道として、化石燃料の輸入の安定確保、そして世界情勢に常に目を配り、変化に合わせて柔軟かつ素早く行動すること、を根幹として再確認している。半導体業界に身を置いての市場への目配りとの共通性を大いに感じさせられている。


第七章 日本の歩むべき道

・エネルギー安全保障の確保に向けて日本が取ることができる方策や注目すべき点

■エネルギー供給チェーンの確保
・日本のエネルギー自給率は僅か4%程度
 →日本のエネルギー供給は毎日多くの危険に晒されているが、担う人々の弛まぬ努力によって安定供給が維持されている

■多様化の重要性
・海外での化石エネルギー(石炭や石油、天然ガス)の調達では、競争の高まりが心配事
 →現在中国は、日本を抜いてアジアで最も多くの石油と石炭を輸入する国に
・世界には、当面の供給には十分な量の化石エネルギーがある
 →問題は、安定して、かつなるべく安価に買うことができるか、という点
・キーワードは2つの「多様化」
 →第一は、輸入相手国の多様化
  第二は、エネルギー利用の多様化
 →もうひとつ付け加えると、「省エネルギー」も重要な対策
・現在は、これまで続けてきた「多様化」と「省エネルギー」がますます必要に

■シェール革命と日本のチャンス
・アメリカではシェールオイルの増産によって石油の輸入量が減っている
 →世界の石油需給バランスの緩和から、量の安定確保と価格の低下という両面で日本にも利益
・昨今みられる原油価格低下の一因はアメリカのシェールオイル増産に
 →アメリカ国内で余剰となった石炭が、欧州やアジアに輸出されるように
 →石炭の安定確保と価格低下を通じて、日本のメリットに
・日本は、必要な量の資源を極力安価に調達できるよう、常に目を光らせておかなければならない

■不安定な原油価格
・原油は国際市場で取引される商品
 →原油の過不足のみならず、市場の雰囲気や買い手と売り手の戦略などさまざまな要素の影響を受ける
・今後も原油価格の大きな変化が生じる可能性は十分に
 →「多様化」や「省エネルギー」といった対策を着実に進めることが必要

■島国日本の生命線
・世界の海上交通路には「チョーク・ポイント(choke point)」
 …船が通行するうえで要となる重要な地点
  →ペルシャ湾の出口にあたるホルムズ海峡
  →世界で生産する石油の約2割がここを通って世界中に供給
 →マレーシア、シンガポールとインドネシアの間のマラッカ海峡
・世界には未だにいる海賊
 →自衛隊はソマリア周辺などに艦船を派遣、船の通航の安全を守っている
・中東から自国に至る石油や天然ガスの海上交通を守ることも、中国が声高に自国の主権を主張する理由に
  →中国といがみ合うよりも、中国と如何に上手く付き合っていくか、如に国際ルールに取り込んでいくか、という視点が大切に

■輸入が止まっても大丈夫?
・日本は現在では、輸入量のおよそ200日分に相当する量の石油を備蓄
・天然ガスと石炭は備蓄という手段を取ることが難しい
 →天然ガスには非常に大きなタンクが必要:石炭は自然発火の性質

■原子力と再生可能エネルギー
・輸入に頼るがために起こるリスクを根本的になくすには
 →原子力発電と再生可能エネルギー
・原子力発電は、燃料となるウランを輸入する必要はあるが、その頻度は化石燃料と比較して非常に少ないのが特徴
・石油危機以降の日本では、原子力発電と同時に再生可能エネルギーの開発にも取り組み
 →サンシャイン計画
・今後に向けての議論で忘れられがちな時間に対する考慮として2つの例
 →一つ目:石油危機以降の日本のエネルギー利用構造の変化
  →20年、あるいは30年といった長い時間をかけてゆっくりと進んでいく
 →二つ目:ドイツの脱原発政策
  →原子力発電の利用を止めて再生可能エネルギーを大幅に増やすという大英断
   →原子力発電のすべてを停止するのは2022年の予定
  →構造変化が早過ぎてさまざまな弊害
・エネルギー需給構造の変化には10年単位の長い時間が必要であり、性急な変化は大きな弊害をもたらす可能性

■規制緩和の影響
・最近、日本のエネルギー市場に係る重大な決定
 →電気事業とガス事業の自由化拡大
・およそ15年前に電力、ガス市場を全面自由化したイギリス
 →長年新しい発電所の建設が行われなくなった結果、近い将来に電気の供給が不足する事態の懸念
・もう1つの懸念として、海外からエネルギーを調達する力の変化
 →企業規模を小さくすることが海外での燃料調達にどのような影響を及ぼすのか、気になるところ
・良い面は、競争によってエネルギーの供給コスト(「価格」ではない)が下がる可能性のあること

■エネルギー安全保障の根幹は不変
・日本は、化石燃料の輸入を如何に安定確保するかは文字通り死活問題
・日本は、変化し続ける国外の情勢に常に目を配り、変化に合わせて柔軟かつ素早く行動することが必要に

月別アーカイブ