11月までは前年を上回る2015年半導体販売高、市場減速で厳しい情勢
新年早々の米国Semiconductor Industry Association(SIA)からの月次世界半導体販売高の発表は、昨年、2015年の11月についてである。前月比0.3%減、前年同月比3.0%減と、前年比でのマイナスが続いているが、11月までの2015年販売高の累計は2014年のそれを辛うじて上回ると表わされている。正確な2015年の締めは1ヶ月待たなければならないが、1.9%減少するという先行予想がGartner社から示されている。中国経済の減速が年明けの世界的な株価低落に至っているが、推移に注目せざるを得ないスタート情勢である。
≪11月の世界半導体販売高≫
米SIAからの発表内容が、以下の通りである。
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○11月のグローバル半導体販売高が僅かに減少−世界販売高が前月比0.3%減、前年同月比3.0%減;累計は2014年販売高を依然辛うじて上回るペース …1月5日付け SIAプレスリリース
半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年11月の世界半導体販売高が$28.9 billionに達し、前月の$29.0 billionから0.3%減、前年同月、2014年11月の$29.8 billionから3.0%減、と発表した。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
「需要軟化および長引くマクロ経済の難題が引き続き、11月のグローバル半導体販売高を制限している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「これら逆風にも拘らず、該業界の2015年1-11月販売高累計は2014年のそれを辛うじて上回って、2016年以降での控え目な販売高増加の見通しとなっている。」
地域別では、販売高前月比で、China(1.0%), Europe(1.2%), およびAmericas(0.3%)と増加したが、Japan(-0.6%), Asia Pacific/All Other(-2.4%)では減少した。前年同月比では、China(5.3%)では増加したが、Asia Pacific/All Other(-4.1%), Americas(-7.1%), Europe(-8.0%), およびJapan(-8.6%)では減少した。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Nov 2014 | Oct 2015 | Nov 2015 | 前年同月比 | 前月比 | ||||
======== | |||||||||
Americas | 6.53 | 6.05 | 6.07 | -7.1 | 0.3 | ||||
Europe | 3.19 | 2.91 | 2.93 | -8.0 | 1.0 | ||||
Japan | 2.93 | 2.70 | 2.68 | -8.6 | -0.6 | ||||
China | 8.24 | 8.59 | 8.68 | 5.3 | 1.0 | ||||
Asia Pacific/All Other | 8.88 | 8.73 | 8.52 | -4.1 | -2.4 | ||||
計 | $29.77 B | $28.97 B | $28.88 B | -3.0 % | -0.3 % |
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市場地域 | 6- 8月平均 | 9-11月平均 | change |
Americas | 5.60 | 6.07 | 8.3 |
Europe | 2.81 | 2.93 | 4.5 |
Japan | 2.67 | 2.68 | 0.3 |
China | 8.23 | 8.68 | 5.4 |
Asia Pacific/All Other | 8.57 | 8.52 | -0.6 |
$27.88 B | $28.88 B | 3.6 % |
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※11月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/November%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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これを受けた業界各紙の反応である。
◇China Is Chip Market's Only Growth Region (1月5日付け EE Times)
◇Global semiconductor sales dip slightly in November (1月5日付け ELECTROIQ)
◇Global semiconductor sales dip slightly in November, says SIA (1月6日付け DIGITIMES)
古く数10年前から新年早々に注目したDataquest社の年次半導体販売高そしてベンダーランキングデータであるが、現在はGartner社となって先行予想が表わされ、今回は以下の通りとなっている。トップ10の顔ぶれを国・地域別に見ると次の通りである。
米国 5社(Intel、Qualcomm、Micron、Texas Instruments、Broadcom)
韓国 2社(Samsung、SK Hynix)
日本 1社(東芝)
欧州 2社(STMicroelectronics、Infineon)
◇Chip Market Shrank 1.9% in 2015, Says Gartner (1月7日付け EE Times)
→Gartner社発。2015年の世界半導体売上げが$333.7 billion、2014年の$340.3 billionから1.9%減、2015年7月時点では2.2%増と見ていた旨。パソコンおよびスマートフォンなどkey electronic機器向け需要の弱含み、およびいくつかの地域での強いドルが、原因となっている旨。
≪表≫ 2015年世界半導体売上げベンダーランキング・トップ10
⇒http://cms.edn.com/ContentEETimes/Images/EETimes_cte/Gartner_2016_semi.png
◇Worldwide semiconductor revenue declined 1.9% in 2015, Gartner reports (1月8日付け ELECTROIQ)
◇Worldwide semiconductor revenues decline 1.9% in 2015, says Gartner (1月8日付け DIGITIMES)
→Gartner発。2015年の世界半導体売上げ総計が$333.7 billion、2014年の$340.3 billionから1.9%減。半導体ベンダートップ25売上げ合計が0.2%増、業界全体の伸びを上回った旨。トップ25ベンダーは市場売上げ全体の73.2%を占め、2014年の71.7%から高まった旨。
2015年の半導体販売高の減少を早々打ち上げているGartner社であるが、市場減速が引きずり下ろす見方は、半導体装置&材料業界についても同様であり、SEMIから以下の通り表わされている。
◇A wild ride in 2015 - and two steps forward in 2016 (1月7日付け ELECTROIQ)
→SEMIのpresident and CEO、Denny McGuirk氏。半導体装置&材料業界の2015年は二桁成長の当初予想であったが、世界経済が減速、2014年からほぼ横這いに引きずられた旨。以下の内容:
2015 Down 1%: “In Like a Lion, Out Like a Lamb”
2015's $125+ Billion M&A: Inflection Point for Silicon Valley Icons and Global Titans
2016 Up ~1%: Stay Close to your Customer and your Customer's Customer and …
世界経済そして各国・地域の市場の動きに一層敏感にならざるを得ない出だしとなっている。
≪市場実態PickUp≫
【CES 2016】
年初恒例のInternational Consumer Electronics Show(CES)(2016年1月6日〜9日:Las Vegas)の全体概要が次のように表わされている。
◇Five Big Stories to Watch at CES 2016 (1月4日付け EE Times/Blog)
→managementコンサルタント、AccentureのCommunications, Media and Technology Group、グローバルmanaging director、John Curran氏記事。
セキュリティおよび安全が、今週2016年CESでの全体像の特徴である旨。
今回予想している5つのBig Stories:
#1 Say Goodbye to Cool, Hello to Security and Safety
#2 Market Slowdown, Innovation Interlude
#3 Internet of Things Hyper Mania Hits Hard Reality--Security
#4 New Spin On Wearables: Services
#5 Cool Cars Take Backseat to Safer Cars
モバイル機器の次の牽引役を探る動きが熱くなっており、半導体市場にそのまま通じることである。
◇デジタル家電、世界売上高3年ぶり減少、スマホ減速−2015年マイナス8% (1月5日付け 日経 電子版)
→世界のデジタル家電市場が踊り場を迎えた旨。米民生技術協会(CTA)が4日(日本時間5日)、2015年のデジタル家電の世界売上高が2014年比8%減の9690億ドル(約116兆円)と3年ぶりのマイナスになったもようだと発表の旨。スマートフォンの価格下落や中国の景気後退が影を落とし、2016年も落ち込みが続く見通し、次の牽引役を探る競争が激しくなりそうな旨。
インテル社の発表から、以下の2点に注目している。
◇Every Intel product will feature a ‘conflict-free’ label starting in Q2 2016-Intel commits to being "conflict-free" in 2016 (1月5日付け VentureBeat)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏が、CESにて発表。同社は、コンゴ民主共和国など紛争地域で採掘された材料を買わないで"conflict-free"製品とすることを約束、conflict-freeラベルのついたIntel製品は第二四半期から出荷する旨。
◇Intel aims to enhance user experience in sports, health, and creativity-During a CES 2016 keynote, Intel CEO Brian Krzanich highlighted several major partnerships that will see its technology be integrated across various markets in different forms.-Intel CEO highlights user experiences in CES keynote (1月6日付け ZDNet)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏、火曜5日の基調講演。同社が、gamingおよびsports, healthおよびwellness, そしてcreativityにおいてユーザexperiencesを如何に高めるか、を強調の旨。
クルマへの軸足の移行、そして自動運転に関係する以下の各社の動きである。
◇Qualcomm Adds Smartphone Power To Auto (1月5日付け EE Times)
→Qualcommが火曜5日、車載用プロセッサの新ファミリーおよびdesign winを発表、同社は、スマートフォン市場における開発ペースをmodular設計を擁して車載領域に移していく狙いの旨。
◇Nvidia's New Chip Aims To Power The Next Generation Of Driverless Cars-Nvidia debuts powerful chip for self-driving cars (1月5日付け Popular Science)
→Nvidiaが、autonomous vehiclesでの使用に向けた高性能computing半導体、Drive PX 2デバイスを投入、Volvoは、self-driving carsにおけるR&D用に数100個の該新Nvidia supercomputer半導体を購入する旨。
◇NXP develops tiny radar sensors for self-driving cars (1月5日付け EE Times India)
【入札価格を巡る動き】
半導体の老舗、Fairchildを巡るON Semiconductorと中国側の間の買収入札の攻防であるが、中国側のそれがON Semiより優る内容とFairchildが評価を行っている。
◇Fairchild Says China Resources Offer Seen ‘Superior’ to ON-Fairchild to open talks with Chinese group on revised bid (1月5日付け Bloomberg)
→China Resources HoldingsおよびHua Capital Managementが、Fairchild Semiconductor Internationalに対する入札を$21.70/株 in cashに改善、以前にFairchildが11月に受けたON Semiconductorからの提示、$20/株を上回っている旨。
◇Fairchild terms China Resources offer superior to ON Semi's-China Resources' bid is superior to ON's offer, Fairchild Semi says (1月5日付け Reuters)
◇Fairchild expects revised unsolicited proposal to result in “superior proposal” (1月6日付け ELECTROIQ)
これに対してON Semiは、Fairchildに対する株式公開買付を先延ばし、入札価格は変えずに模様眺めの様相となっている。
◇ON Semiconductor Extends Fairchild Tender Offer But Doesn't Raise Bid-Chip maker's $20-a-share deal remains below bid from Chinese investor group-ON extends Fairchild shares offer by 2 weeks, doesn't raise price (1月6日付け The Wall Street Journal)
→ON Semiconductor社が水曜6日、Fairchild Semiconductor International社に対する株式公開買付を1月20日まで先延ばし、しかし、$20/株の提示は上げず、競合する入札を依然下回っている旨。
【Amazonの自前ARM半導体】
インターネットshoppingのAmazonが、子会社、Annapurna Labsを通してデータセンターおよびhome electronics応用向けARM-ベース半導体の販売に以下の通り取り組んでいる。
◇Amazon to Sell Its Own Brand of Chips Next to Wipes, USB Cables-Amazon unit to sell branded chips to businesses, homes (1月6日付け Bloomberg)
→Amazonの子会社、Annapurna Labsが、データセンターおよびhome electronics応用向けにARM-ベース半導体を販売、該Alpineブランド半導体はAsustekおよびNetgearなどのメーカーが用いている旨。
◇Amazon Enters Semiconductor Business With Its Own Branded Chips-Amazon's Annapurna Labs targets customers designing home equipment (1月6日付け The Wall Street Journal)
◇Amazon Now Sells Own ARM chips (1月7日付け EE Times)
→Internet shopping channel、Amazon.comの子会社、Annapurna Labs社が、家庭用Wi-FiルータおよびNetwork-Attached Storageデバイスに向けたARM-ベース半導体およびsubsystemsのAlpine rangeを発表の旨。
【注目の2015年業績発表】
Samsung Electronicsの2015年業績の速報が以下の通り表わされている。メモリはじめ半導体の好調が、2年連続の減収ながらも大きく崩れない支えになっているとみられる。
◇サムスン営業益5%増、2015年12月期、売上高は3%減 (1月8日付け 日経 電子版)
→韓国のサムスン電子が8日発表した2015年12月期通期の連結決算速報値。
売上高が前年比3%減の200兆3400億ウォン、営業利益が同5%増の26兆3700億ウォン(約2.6兆円)、減収は2年連続でなお本調子でない旨。半導体部門の好調に加えスマートフォン関連部門を中心にコストも減らし、スマホ不振による業績悪化にまずは1年で歯止めをかけた旨。
2015年10〜12月期の売上高は前年同期比1%増の53兆ウォン、連結営業利益は同15%増の6兆1000億ウォン。
◇Samsung's Earnings Miss Underlines Sputtering Global Demand-Samsung profit fell short in Q4, indicating tough times for 2016 (1月8日付け Bloomberg)
→Samsung Electronicsの第四四半期の販売高は前年同期比横這い、operating incomeは$5 billionでアナリスト評価平均を下回った旨。
TSMCの12月売上げは、2014年3月以来となる低水準とここにきての落ち込みであるが、2015年全体では10.6%増と半導体販売高を押し上げる一角となっている。
◇TSMC reports decreased December revenues (1月8日付け DIGITIMES)
→TSMCの2015年12月連結売上げがNT$58.35 billion($1.75 billion)、前月比約8%減、前年同月比16.1%減、2014年3月以来最も低い月次水準でもある旨。2015年全体ではTSMCの売上げ総計はNT$843.5 billion、前年比10.6%増。
【原油価格】
以下に続く≪グローバル雑学王≫欄で、エネルギー情勢を現在取り上げているが、原油価格の下落ぶりが以下の通り、年初早々に表わされたり、進行していく動きとなっている。
◇原油価格、昨年3割下落、中東諸国の財政に打撃 (1月3日付け 毎日)
→2015年のニューヨーク原油先物相場は年間で約30%下落、46%下げた前年に続く大幅下落となった旨。原油価格の長期低迷で中東などの産油国の財政は急激に悪化しており、各国は政府支出や海外投資の圧縮に懸命の旨。オイルマネーの縮小が世界の金融市場を不安定化させる懸念も出ている旨。
◇ドバイ原油、11年9カ月ぶり30ドル割れ 需要鈍化を意識 (1月7日付け 日経 電子版)
→アジアの原油相場が11年9カ月ぶりに1バレル30ドルを割った旨。ドバイ原油のスポット価格は7日午前、前日比1.60ドル安の29.40ドルまで下げた旨。中東諸国をはじめ産油国の供給拡大が続いているうえ、中国などの需要鈍化が意識されている旨。原油安は消費国の経済に追い風となる一方、産油国の政情不安につながる旨。
≪グローバル雑学王−392≫
中東のエネルギー情勢を巡って、エネルギー供給源の多様化に向けて対応する変化を目指す中東の取り組み、そして中東産油国の今後にとっての新たな脅威について、
『国際エネルギー情勢と日本』
(小山 堅・久谷 一朗 著:エネルギーフォーラム新書 034) …2015年9月11日 第一刷発行
よりそれぞれ項目別に洗い出していく。身近に見る原油価格の低下が中東諸国の財政にどの程度のインパクトとなるのか、産油国と消費国の間の相互対話の重みを感じている。
第五章 中東の古い顔と新しい顔 =2分の2=
■変化を目指す中東(エネルギー供給源の多様化)
【エネルギー利用の現状】
・極端に偏っている中東産油国における一次エネルギー消費構成
→2010年における中東9ヵ国…石油47%、天然ガス52%、その他1%(国際エネルギー機関[IEA]の統計)
【省エネ対策】
・始まったばかりの省エネへの取り組み
→サウジアラビア…今後20年間でエネルギー効率を20%改善
→アラブ首長国連邦のドバイ首長国…2030年までに30%のエネルギー需要削減を目標
【代替エネルギーとしての原子力利用の推進】
・アラブ首長国連邦のアブダビ首長国
→2017年完成を目指して原子力発電所の建設
・サウジアラビア
→2030年までに16基の原子力発電所の建設を計画
・イラン
→2012年9月に南部のブシェールで本格稼働を開始
【再生可能エネルギー開発の推進】
・アラブ首長国連邦のアブダビ首長国
→2007年に再生可能エネルギー都市「マスダール」を建設
→2020年までに電力需要の7%を再生可能エネルギーで、25%を原子力発電で賄う目標
・アラブ首長国連邦のドバイ首長国
→2030年までに発電能力100万KWのプラント建設を予定
・クウェート
→2020年までに総発電量の5%を再生可能エネルギーで賄う目標
・サウジアラビア
→2032年までに1600万KW分の太陽光発電の導入目標
【Win Winの関係を構築するさまざまな協力】
・産油国と日本を含む輸入国の双方に利益をもたらす取り組み
→中東諸国が望むエネルギー需給構造の改革を支援しつつ、日本は原油や天然ガスの供給安定性を向上させることが可能
■中東産油国にとっての新たな脅威
【シェールオイルの出現】
・2000年代に入って米国から始まったシェール革命
→2012年には日量200万バレルを超え、全体の原油生産量の3分の1を超える
→2020年前後に日量480万バレルのピークを迎える
…米国EIA(米エネルギー情報局:Energy Information Administration)の予測
・大きく変わる米国の石油需給バランス
→原油輸入量は日量500万バレル近辺まで減少(2005年のピークが日量1250万バレル)
【原油価格の暴落】
・2012年以降の原油価格は、1バレル100ドルを中心に±20ドル程度で推移
・2014年に入ると欧州の経済減速に伴って、中国など新興国における輸出産業への影響が懸念
→米国シェールオイルの急激な生産増など加わって、半ばから原油価格は急激に低下へ
・2015年初めには50ドルを割り込み
→2008年のリーマンショック(1バレル147ドルから33ドルへ77%の暴落)、1986年の逆オイルショック(32ドルから10ドルへ68%の暴落)に次ぐもの
【油価下落に対して機能しなくなったOPEC】
・2014年11月27日に開催されたOPEC総会
→減産するのではないかとの期待があったが、結局OPECは見送り
・OPECによる協調減産が行われない理由
→(1)そもそもOPECには、約束を破った加盟国を罰する仕組みがない
→カルテルとして不可欠な機能を有していない
(2)OPEC産油国といっても、埋蔵量や生産能力が各国で違う
→サウジアラビア以外は生産能力の上限に近いところで生産を続けているのが現状
(3)今回のOPEC総会でも主導的な役割を演じたのはサウジアラビア
→逆オイルショックのトラウマ
…逆オイルショックの時に減産実施、結果的には非OPEC産油国に市場の販売シェアを奪われた上に、自国の財政赤字だけが拡大
・OPECは完全に価格調整機能を放棄、国際石油市場はプライスリーダー不在の市場と化す
→石油市場が誰でも参入できる先物市場、さまざまな資金が石油市場に投入、価格の変動幅が増幅する
【赤字化する国家財政】
・2014年11月のOPEC総会終了後、OPEC産油国は次々と2015年予算に関する発表
→サウジアラビアは、原油価格を1バレル60ドルとした赤字予算
・多くのOPEC産油国が、国家予算の見直しを行うだろう、と米国EIA
【社会・経済の不安定化による国内秩序悪化の可能性】
・中東産油国の新たな脅威
→油価の下落によって歳入が減少することにより起因するさまざまな問題の発生
・OPECと非OPEC産油国、発展途上国と先進国はお互いに一人勝ちしようとするのではなく、消費国も含めた相互対話を進めるなかで最善策を講じていくことが肝要