セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

引き続く余波/鹿児島県セミナーから/グローバル雑学王−16

|

9月後半の米国発金融危機の余波が世界各国・地域に及んで、連日トップニュースの動きとなっている。新興途上国への投資が引き揚げられて、円高が異常に進む中、本当に着実で品質のよいもの、新しい元気の出る材料への欲求、注目がどうしても高まってくる気分になる。

≪引き続く余波≫

連日の激動であるが、こういうときこそ実態を冷静に踏まえなければということで、以下のアップデートである。

まずはハイテクIT大手の業績について、次の概況を受け止めている。

◇世界のハイテク企業、業績に陰り、金融危機影響。(10月23日付け NIKKEI NET)
 →世界のハイテク企業の業績にブレーキがかかってきた旨。米国の主要IT企業は10-12月以降の業績見通しを相次ぎ下方修正、韓国サムスン電子など半導体メーカーの収益も悪化している旨。これまで快走を続けてきたハイテク企業の業績にも、米国発の金融危機による世界景気減速の影響が及び始めた旨。
 米IT企業の業績に不透明感が増しており、主要企業の7-9月期決算は10社中9社が増収、6社(インテル、マイクロソフト、アップル、IBM、グーグル、アマゾン・ドット・コム)が増益と比較的堅調だったものの、最も利益の多いマイクロソフトの増益率は2%増にとどまった旨。10-12月期以降も慎重な見通しが目立つ旨。

個別には市場分野によって様々な色模様が出ていると思う。

◇Analysis: Mobile products lift Intel, but Q4 uncertain(10月14日付け EE Times)
→Intel社の第三四半期売上げ$10.2B。同profitは$2B、前四半期比26%増、前年同期比12%増。mobile computing用MPUsおよびチップセットの売上げの伸びが支えている旨。

◇Apple's profit grows as iPhone outsells Blackberry-Company claims record number of Mac sales(10月21日付け EE Times)
 →Apple社の9月27日締め四半期の売上げ$7.9B、net profit $1.14B、最善の四半期業績の1つとなる旨。前年同期はそれぞれ$6.2B、$904M。
 Research in Motion Ltd.のBlackberryを上回るiPhoneの売れ行きが大きく効く旨。

◇米IT企業の7-9月決算、減速鮮明、TI 27%減益・サン赤字へ。(10月21日付け NIKKEI NET)
 →米金融危機による世界経済の混乱を受け、米IT企業の業績悪化が目立ち始めた旨。TIが20日発表した7-9月期決算は、純利益が$563Mと前年同期比27%減、高機能コンピュータのサン・マイクロシステムズは同日、7-9月期に赤字に転落するとの見通しを示した旨。好業績を保つ企業もあるが、堅調に推移してきたIT景気の変調が鮮明になってきた旨。

◇Samsung profit falls 43% amid memory slump (EET)(10月24日付け EE Times)
 →メモリ低迷の打撃、Samsung Electronics Co. Ltd.の7-9月四半期profitは1.22trillionウォン($856.3M)、前四半期比43%減、前年同期比44%減。販売高は19.26trillionウォン($13.5B)、前四半期比6%増、前年同期比15%増。

上記Samsungの記事を見ながら我が目を疑ったのが、ウォンと米ドルの換算であるが、為替市場の驚く以下の現状である。

◇円急騰、製造業の国際競争力に打撃。(10月25日付け NIKKEI NET)
 →急激な円高が製造業の国際競争力を低下させている旨。円はドルやユーロだけでなく、韓国ウォンなど世界の様々な通貨に対して大幅に上昇しており、世界を舞台に韓国や中国の企業と戦う日本メーカーは価格競争力の低下や採算性の悪化に苦しんでいる旨。円はこの3カ月間で、対米ドルで1割、対ユーロで3割、対ウォンでは5割も上昇した旨。

韓国デバイス事情を日本向けに紹介するDeviceTimesのコメント欄から、嘆き節が聞こえてくる。

…桜の葉も大分色付いてきました。ところで、韓国のウォンが遂に100円=1500ウォンになり、100円=750ウォンだった1年前に比べ、私の韓国の預金の価値は半分になってしまいました(TT)。桜の紅葉と同じように、寂しい秋の到来でございますなぁ。…

小生もこの4月に韓国に行ったとき、100円が1000ウォンという昔感覚に戻ってきたという思いをしたばかりである。

≪鹿児島県セミナーから≫

デバイス業界活動に関わってきている縁で、国内各自治体あるいは海外各国の企業立地セミナーにここ何年か出席させていただいている。今回は、

○ 鹿児島県企業立地セミナー「アジアの最先端かごしま」〜産業集積を目指す新たな取り組み〜

から以下の手元メモの感じ方であるが、特にプレゼンでの太陽電池、太陽光発電一色の雰囲気が印象的である。

・鹿児島県の方々のお話から:
 *鹿児島県の4つのポイント
   =人材 …有効求人倍率  全国平均 0.86に対し、鹿児島県 0.51
     → 企業誘致をせざるを得ない。
   =コスト
   =暮らしやすさ …日本一の生活先進県
     →温暖:少ない地震:安全:おいしい
   =サポート体制 …優遇制度
 *九州新幹線鹿児島ルート 2011年全線開業予定
  ⇒全線開業後の 鹿児島⇔博多間:1時間20分 
             鹿児島⇔大阪間:3時間50分
 *アジアへ開かれた南の拠点
  定期便 →上海、ソウル、香港
  台北も来年に
 *鹿児島からの距離  東京  960km
                ソウル  750km
                上海  860km
                台北  1,130km
                香港  1,900km
 *豊かな自然を活かして環境先進県に →太陽光発電に重点化

・太陽光発電についてのプレゼン内容から:
 *今後50年間で人類が直面する最大の課題 →エネルギー:これ以上化石資源に頼れない
 *砂漠面積の4%(802kmx802km:ゴビ砂漠の半分)で全世界の電力を供給
 *太陽光発電導入先進国  2007年での累積導入量
   1)ドイツ  3862MW
   2)日本  1919MW
   3)米国  830MW
   4)スペイン  655MW
   5)イタリア  120MW
 *我が国でいったん終了した導入住宅補助制度、2009年度に復活へ
 *2007年太陽電池メーカー生産量順位
   1) Q-Cell ドイツ 
   2) シャープ    
   3) Suntech 中国
   4) 京セラ
   5) First Solar 米国
 *太陽電池の種類 ⇒ シリコン系 : 化合物系 : 有機系
   現在の主流は結晶シリコン。多結晶シリコンが、コスト、生産性で有利、全体の6割。

東京より上海の方が近いという位置、そして半導体→液晶→太陽光という流れに、これからという新たなグローバルな展開を感じるところがある。

ところで、パンフレットの中に次の下りが見られる。

□ "黒"と言えば、鹿児島。暮らしに溢れるたくさんの"黒"。
 →かごしま黒豚 鹿児島黒牛 クロマグロ 黒酢 黒砂糖 黒ごま

美味しい食べ物ばかりであるが、以下の内容につながる、一つの"色彩の地図"模様に感じている。


≪グローバル雑学王−16≫

いま少し"色彩"に注目していくが、

『色彩の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 311)

から、これもいろいろ種類が多いと改めて思う"あお(青)"色である。

○青い血の謎

・イラク、イラン、中央アジアにかけてのモスクの装飾は、青が好んで用いられているのが特徴。

[アオの語源]
・日本語の「アオ」 →藍(アヰ)に由来
 漢字の「青」   →植物の芽生えをあらわす「生」と「丼」(井戸の中に清水がたまっている状態)を組み合わせた形
 一般的な「青」  →藍色から緑までの幅広い色
・blueの語源    …古ゲルマン語系のblao
・空色 azure →貴重な交易品、ラピスラズリ(ペルシア語:ラピス[石]、ラズリ[青])に由来
 フランス語の「空色」=azur
 イタリア語の「空色」=azzurro
 *サッカーのイタリア代表チーム「アズーリ」(azzurroの複数形)
   ⇒空色のユニフォーム
・中東の空の色は濃紺、日本語の「碧(あお)」。

[true blue]
・1639年、スコットランドへ英国国教を強制したことから反乱勃発、プロテスタントの一派、カルヴァン派(長老派)が、団結して自分たちの宗教のために戦う、という契約を締結。
 ⇒象徴として青を選択
  true blue=主義に忠実で、完全な保守主義者
・17世紀のイングランドの旗が明るい赤を主体、スコットランドはその対抗色の青を選択。
 ⇒今日のイギリスの国旗 →白地に赤と青の「ユニオン・ジャック」

[藍は日本の色]
・虹の七色 …赤、橙、黄、緑、青、紫、そして藍(…青と紫の中間色)
・文明開化以前の日本は、欧米人から見て藍色に彩られた国だったよう。
・藍染めが庶民のものとなったのは江戸時代のこと。
・日本から海外に渡っていった藍色の代表が、陶磁器の染付け。

[青い法律とは]
・blue law=18世紀の清教徒的な厳しすぎる法律
・イギリスのピューリタニズム(清教徒主義)が、1620年、メイフラワー号に乗って、アメリカ合衆国の精神的基盤としてアメリカ全土に広まることに。

[貴族の血はなぜ青いか]
・紫は皇帝の色 → be born in the purple=「王侯の家に生まれる」
 blue blood =「貴族または名門の血統」
・カスティリャの貴族たち …白い肌にすけて見える青い血管が誇り 
                 ⇒「青い血」の強調

[大宰相マザランが遺したもの]
・フランスのルイ14世(在位1643〜1715年)が幼いときにいたマザラン(Mazarin)という政治家
 ⇒絶対王政の確立に向けて目覚しい業績
・マザラン …彼の好んだ濃い藍色、紺色、青地の衣服を指す

[ガーター勲章からブルー・リボン賞へ]
・イギリス国王エドワード3世の騎士道の鏡と言われるエピソード
 ⇒ガーター(靴下止め)が最高の名誉のしるしとされ、勲章として制定
・映画の最優秀賞、ブルー・リボン賞 …ガーター勲章にならったもの
・青が最高位 ⇒ blue chip …ポーカーで使うチップのうち、高得点のもの
           優良株、優良企業(=証券関係の専門用語)

[「青鞜(せいとう)」の誕生]
・blue stocking =やたらと物知りな女性、文学かぶれの女性
 ⇒日本では、初めての女性による女性のための文芸雑誌「青鞜」というタイトルに。当時のヨーロッパで知的な女性達がはいていた靴下が青かったことからブルーストッキングと呼ばれたことに由来。

月別アーカイブ