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微増の販売高、$336 billionに対し、$100 billion超のM&A規模

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まだ締めるには早いが、本年の半導体業界の大きな動きを表わし示すこのタイトルの2つの数字となりそうである。米国Semiconductor Industry Association(SIA)から定例の月次、この10月の世界半導体販売高とともに今回は再来年までの年間販売高の予測が表わされている。今までの最高である昨年を越えるかどうかが注目される本年の販売高については、0.2%増と辛うじて増加の見方となっている。今年は繰り返し表している通り、M&Aの嵐が吹き荒れ続けている半導体業界であるが、発表された買収総額が$100 billionを越えたとする見方がいくつか出始めている。

≪10月の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表内容が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯10月のグローバル半導体販売高が前月比増;向こう3年について僅かな伸びの見通し−2015年は0.2%増、2016年は1.4%増、そして2017年は3.1%増の見方 …12月3日付け SIAプレスリリース
半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年10月の世界半導体販売高が$29.0 billionに達し、前月の$28.4 billionから1.9%増、前年同月、2014年10月の$29.7 billionから2.5%減、と発表した。Americas市場は前月比3.9%増で、すべての地域をリードしている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新しいWSTS業界予測では向こう3年について僅かな市場の伸びの見通しとなっている。

「グローバル半導体販売高はここ数ヶ月安定化した形を示しており、10月は3ヶ月連続で前月比増加している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「本年10月までの販売高累計は前年同期に辛うじて先行しており、来年以降僅かな伸びが見通されている。」

地域別では、販売高前月比で、Americas(3.9%), China(1.6%), Europe(1.2%), Japan(0.4%), およびAsia Pacific/All Other(1.7%)とすべて増加している。前年同月比では、China(5.7%)では増加したが、Americas(-5.6%), Europe(-9.4%), Japan(-10.5%), およびAsia Pacific/All Other(-2.4%)では減少した。

【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域
Oct 2014
Sep 2015
Oct 2015
前年同月比
前月比
========
Americas
6.41
5.82
6.05
-5.6
3.9
Europe
3.21
2.87
2.90
-9.4
1.2
Japan
3.01
2.69
2.70
-10.5
0.4
China
8.12
8.45
8.58
5.7
1.6
Asia Pacific/All Other
8.94
8.58
8.72
-2.4
1.7
$29.68 B
$28.41 B
$28.96 B
-2.5 %
1.9 %
--------------------------------------
市場地域
5- 7月平均
8-10月平均
change
Americas
5.51
6.05
9.7
Europe
2.83
2.90
2.5
Japan
2.63
2.70
2.3
China
8.18
8.58
5.0
Asia Pacific/All Other
8.71
8.72
0.2
$27.87 B
$28.96 B
3.9 %
--------------------------------------

加えてSIAは本日、WSTS Autumn 2015 グローバル半導体販売高予測を支持して、2015年の世界販売高が$336.4 billionに達し、2014年販売高総計から0.2%増、と見通している。2015年の地域別ではWSTSは、Asia Pacific(3.9%)は増加、Americas(-0.6%), Europe(-8.2%), およびJapan(-10.3 percent)は減少と見ている。

2015年より先について、グローバル市場は控え目に伸びる見方となっている。WSTSは、2016年についてグローバルに1.4%の伸び(総販売高$341.0 billion)、2017年は3.1%の伸び($351.6 billion)を予想している。
WSTSは、グローバル半導体メーカーの広大なグループを招集、年2回の業界予測を作成して、半導体の流れの正確でタイムリーな指標を与えている。

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/October%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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本年の世界半導体販売高について、WSTS発表を受けた業界紙の表し方である。

◇Worldwide semi market shows tiny growth (12月1日付け TechEye)

◇世界半導体出荷、3年連続最高に、今年0.2%増見通し (12月2日付け 日経産業)
→半導体の業界団体である世界半導体市場統計(WSTS)が1日、2015年の世界の半導体出荷額が2014年比0.2%増の3363億ドル(約41兆3700億円)になる見通しと発表、自動車や産業機械向けの電源管理向け半導体などが牽引役となる旨。3年連続で過去最高を更新、WSTSは2017年まで年平均1.5%で市場拡大は続くとみている旨。

本年の半導体サプライヤランキング予想データがIC Insightsにより詳細に表されている。特に、現下のM&Aの動きをそのまま進むと見込んだ後のトップ10サプライヤがIDMおよびファブレスと分けて表されている内容に注目している。

◇IDMs could top fabless semiconductor company growth for only the second time in history (12月3日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが来月リリースする2016 McClean Reportには、2015年の半導体サプライヤランキング・トップ50、並びにファブレス半導体サプライヤ・トップ50が入っている旨。"合併後"で予想される2015年IDMおよびファブレス半導体サプライヤ・トップ10が表わされており、次の通り:
 *2015年"合併後"IDM半導体販売高トップ10
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2015/12/fabless-fig-2.png
 *2015年"合併後"ファブレス半導体販売高トップ10
 ⇒http://electroiq.com/wp-content/uploads/2015/12/fabless-fig-3.png

◇IDM IC sales growth likely to outpace fabless in 2015, says IC Insights (12月4日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。これまで最初で唯一、2010年に、IDMの半導体販売高の伸び(35%)がファブレス半導体メーカーの販売高の伸び(29%)を上回っている旨。メモリ市場に参画するファブレス半導体サプライヤは非常に少なく、それぞれ75%および44%と2010年に急増したDRAMおよびNANDフラッシュメモリ市場からファブレスサプライヤは多くが得られなかった旨。2015年は2010年に続いてIDM半導体サプライヤの伸びがファブレス半導体サプライヤを上回る2番目の年になる可能性の旨。

本年はIDMの伸びがファブレスを上回って、2010年以来2回目のことであり、Samsungがこの流れを引っ張っているとの以下の見方である。

◇Samsung Drives IDM Win Over Fabless in 2015 (12月4日付け EE Times)


≪市場実態PickUp≫

【$100 billion超のM&A】

本年の世界半導体業界に吹き荒れ続けているM&Aの嵐であるが、ついに今年発表された買収総額が$100 billionを越えたと表わされている。

◇IC Merger Mania Hits Fever Pitch (12月2日付け EE Times/Blog)
→MicrosemiがPMC-Sierra買収でSkyworksに入札で上回ったと発表、これで2015年に発表された半導体業界買収総額が$100 billionを越えた旨。半導体業界で1年以上駆け巡る統合の波が、新たな最高に達し、少なくなっていく買収ターゲット獲得に買い手が殺到している旨。

このM&Aの余波が当面の読みを難しくするという見方である。

◇Consolidation's Aftermath-Why the latest round of acquisitions is causing angst in the semiconductor industry.-Consolidation raises new questions for semiconductor industry (12月2日付け Semiconductor Engineering)
→半導体mergers and acquisitions(M&As)が目まぐるしい今年、大手メーカー同士が内部統合、顧客および競合との関係を再定義することで、大きな統合は数ヶ月の混乱を生じ、すべて合わさって市場予測を困難にし得る旨。

Cypressのトップ、T.J. Rodgers氏がM&Aはじめコメントしているが、同社は、今年始めSpansionを$4 billionで買収、その後、AtmelおよびISSIの両方に入札したがうまくいかなかった経緯となっている。

◇T.J. Rodgers on Mergers, IoT, More-Cypress CEO sees mergers continuing through 2017 (12月3日付け EE Times)
→Cypressのchief executive、T.J. Rodgers氏、広範に及ぶインタビュー。
半導体業界の合併熱は、さらに2年続く可能性の旨。さらにSpansion買収アップデート、およびBluetooth市場参入の初期の成功について。

【IoT関係2点】

まずは、次世代cellularネットワークス、5GがIoTの将来に向かう道を開いていくとする見方である。

◇5G Idea Opens IoT Horizons-A “beauty contest” for coding schemes (11月30日付け EE Times)

◇5G paves the way for next-gen IoT (12月1日付け EE Times India)
→5Gに向かう道筋は発生期かもしれないが、確実に前進しているものの旨。
TU Dresden(ドイツ)のVodafone講座教授、Gerhard Fettweis氏は、次世代cellularネットワークス、5G向けのairインタフェースを持っているとしている旨。Generalised Frequency Division Multiplexing(GFDM)が、同氏の言うTactile Internetを可能にするとしており、Huawei, Intel, National Instruments, VodafoneおよびXilinxなどのメーカーからの支持を引きつけているInternet of Things(IoT)の将来版である旨。

次には、上海のSITRIとBoschが広範なIoT技術&応用に向けて協力する合意を発表している。

◇SITRI and Bosch announce IoT technology collaboration (12月2日付け ELECTROIQ)
→Internet of Things(IoT)の原動力となる“More than Moore”ソリューションの開発および商用化を加速するセンター、SITRI(Shanghai Industrial Technology Research Institute:中国・上海政府が支援)と技術&サービスのグローバルサプライヤ、Bosch Chinaが子会社、Bosch (China) Investment Ltd.を通して、急成長するIoT領域に向けたソリューションおよび応用の研究、開発および推進でコラボする合意に調印の旨。該合意は、smart home, wearable機器, smart city, Industry 4.0およびroboticsなどIoT応用をカバーする旨。

【COP21】

COP3の京都議定書を受けて我が国の半導体業界としての環境安全活動を検討したのが1990年代の後半であるが、時が経って世界経済の景観が大きく変化、数えてCOP21がこのほど開催されている。先進国、新興国、それぞれに意見の掛け合い段階で以下の概要である。

◇Technology Tackling Climate Change-Getting industry innovation behind world needs (11月30日付け EE Times)
→今週パリでのConference of the Parties(COP21:2015年11月30日〜12月11日)のIntergovernmental Panel on Climate Change(IPCC 2015)会合発。気候が暖かくなっており、それは1880年ごろの産業革命成熟以降着実に増えてきている温室効果ガスの生み出したものであることは、ほとんど疑いがない旨。

◇Tech Tackles Climate Change: Wind & Will Power-"future of our planet in your hands," U.N. Secretary-General (12月1日付け EE Times)

◇COP21、インド・南ア「先進国に責任、率先して対処を」 (12月1日付け 日経 電子版)
→30日にパリで開幕した第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)は初日の首脳級会合で、約150カ国の首脳が温暖化対策について演説、途上国からは先進国の温暖化に対する責任を追及する声が相次いだ旨。
インドのモディ首相は「先進国が野心的な目標を掲げ、排出削減に真摯に取り組むことを求める。先進国は温暖化を招いた歴史的な責任があり、削減余地も大きい」と主張、南アフリカのズマ大統領も「先進国は歴史的な責任がある。削減目標を尊重し、気候変動に率先して対処しなければならない」と述べた旨。

【Qualcommの取り組み】

中国市場への攻勢、積極的なサービスで挽回を図るQualcommが、中国のスマートフォン大手、Xiaomiと3Gおよび4G cellular通信についてのlicensing協定を以下の通り結んでいる。

◇Qualcomm to license patents to Chinese mobile phone maker Xiaomi (12月2日付け Reuters)
→Qualcomm社が、中国のスマートフォンメーカー、Xiaomi Technology Co Ltdとのlicensing協定に調印、Xiaomiは3Gおよび4G機器の製造・販売でQualcomm特許を使うことができる旨。Xiaomiは、Apple社のiPhones代替としてより安く、しかし良く設計されていると謳うhandsetsをもって急上昇してきている旨。

◇Qualcomm Inks License Deal With China's Xiaomi-Deal quiets fears that chip maker’s woes in the Asian country would linger-Qualcomm reaches patent-licensing deal with Xiaomi (12月2日付け The Wall Street Journal)
→Qualcommが、特許license供与で中国のXiaomiとの合意に入った旨。
Qualcommの利益の半分以上が特許licenses関連であり、中国の顧客が直近年度の同社売上げの半分以上を占めている旨。水曜のこの発表を受けて、Qualcomm株価が5.6%上昇、$52.03になった旨。

◇Qualcomm Licenses Xiaomi for 3G, 4G (12月4日付け EE Times)
→Qualcomm社が、実質的な特許をもっている3Gおよび4G cellular通信についてのlicensing取引で中国のスマートフォン大手、Xiaomiと調印、Xiaomiはロイヤリティ支払いに抵抗し続けたメーカーの1つと考えられる一方、Qualcommは2014年の間中国のNational Reform and Development Commission(NRDC)による調査を受けた旨。

一方、インドのIT業界団体、NASSCOMとは広範なハードウェア設計高度化に向けた連携を発表している。

◇Qualcomm, NASSCOM team up to boost hardware design in India (12月2日付け EE Times India)
→The Economic Times発。Qualcommがインドを代表するIT業界団体、National Association of Software and Services Companies(NASSCOM)と連携、Qualcomm Design in India Challengeを打ち上げの旨。該プロジェクトは、スマートフォン、タブレット、wearablesおよびInternet of Things(IoT)などの製品に向けて同国でハードウェア設計ecosystemを展開する狙いの旨。IoTに向けた革新は、ヘルスケア、教育、banking, 農業, 車載およびsmart citiesなどの分野いずれもカバーする旨。

【2016年に向けてホットな技術】

EE TimesとEDNから、間近になった2016年に向けてホットな話題を提供すると思われる技術15点が次の通り表わされている。

◇15 Hot Tech Stories for 2016 (12月1日付け EE Times)

◇Hot technologies: Looking ahead to 2016 (12月1日付け EDN NETWORK)
→以下の内容:
 Driven by IEEE standards, Ethernet hits the road in 2016
 Embedded security taking root
 Energy harvesting for high power
 Environmental compliance 2016: Safe world, strong business
 Galvanic skin response stimulates wearable electronics
 High stakes in broadband satellites race
 IoT networks heat up
 LED lighting: More intelligent, more beautiful, more affordable
 PAM4: A new measurement science
 Sensor-rich ADAS speeds up …Advanced Driver Assistance Systems
 Software-defined power brings to bear critical need in modern power systems
 The year of 3D memory
 Voice-activated interface becomes pervasive and persistent
 2D semiconductors take aim at optical communications
 2016: The year of the nanotube transistor?

いくつかについて、概要&視点が以下の通りである。

◇The year of 3D memory (12月1日付け EDN)
→2016年は3Dメモリ分野でいくつかの本当の進展および牽引力が見えてくる可能性、すでにIntelとMicronは、3D crosspointアーキテクチャーhigh-endurance(1,000× NAND flash)ノンボラメモリの生産を発表、DRAMの10倍の密度そしてNANDより1,000倍高速の旨。

◇2D semiconductors take aim at optical communications-2D semiconductor designs take on optoelectronics (12月1日付け EDN)

◇2016: Year of the Nanotube Transistor?-Will 2016 be the time for nanotube transistors? (12月1日付け EE Times)
→grapheneの原子的に薄い層が管に巻かれるnanotubesが、1991年以降理論化、研究されており、該技術は、電子移動度が非常に改善、シリコントランジスタのチャネル代替と見なされている旨。来年はこの発生期にある技術にとって転機の年になるかも、とLux Researchのアナリスト、Zhun Ma氏。


≪グローバル雑学王−387≫

街で見かけるガソリンスタンドの表示価格について、ずいぶん下がって落ち着いているという感じ方があるが、この急落の背景と今後について2回に分け、

『国際エネルギー情勢と日本』
 (小山 堅・久谷 一朗 著:エネルギーフォーラム新書 034) …2015年9月11日 第一刷発行

より見て考えていく。確かにこの急激な推移は、東北大震災の後で高いガソリンを求めて長蛇の列に加わったことを思い出して、今との大きな様違いを感じるし、我が国のここのところの貿易収支の好転が如実に示すところでもある。まさに国際経済情勢、そして市場の読みを間断なくの重みは、半導体業界への注目にそのまま当てはまる受け止め方ではある。


第二章 原油価格急落の背景と今後 =2分の1=
・2011年から3年半、1バレル100ドルを超えていた原油価格が、2014年後半から急落
 →2015年初め、40ドル台前半まで落ち込み
 →2015年5月以降、60ドル台まで値を戻す動きも
・米国シェールオイル大増産 →需給バランスに重要な影響
・サウジアラビアの石油政策転換 →価格急落に直接大きな影響

■原油価格の急落をもたらした需給緩和
・「指標原油」と呼ばれるものの代表3つ
 →米国産West Texas Intermediate原油(WTI)
  欧州・北海産ブレント原油
  中東産ドバイ原油
・なぜ、このような原油急落が発生したのか?
 →基本には、国際石油市場での需給が軟化し供給過剰に
・2010年以降の5年間で最低の伸びとなった2014年の石油需要
 →景気低迷に苦しむ欧州
  中国など新興国経済の減速
・一方、非OPECの生産量が大幅に増加
 →基本的には、米国シェールオイルの増産によってもたらされたもの
・OPECは非OPECに対抗するかのように、生産を維持・拡大
・2014年には国際石油需給は大幅な供給過剰の状況に

■米国シェールオイル大増産が世界を変えた
・シェールオイル(軽質タイトオイル、LTO[light tight oil]とも)
 →堅いシェール(頁岩[けつがん]:shale)層の中に膨大な石油・ガス資源が封じ込められている
・2000年代半ば以降、頁岩層の中を、水平に坑弁を掘削(水平掘削法)、さらに堅い頁岩層を水圧で破砕し、その割れ目から石油・ガスを取り出す方法(水圧破砕法)が確立
 →「シェールガス革命」の開始
・国際的にはシェールオイルは高コストの石油に分類
 →最近までの原油価格高騰は、高コストの米国シェールオイル生産にとって重要な「追い風」に
 →2012〜2014年の3年間の間で、米国内に新たにU.A.E.に匹敵する大産油国が誕生したのと同じことに
・現時点では、米国では原油の輸出については原則として禁止
 →国内原油生産の増加は石油製品輸出の大幅増加をもたらすことに
 →米国は世界有数の石油製品輸出国に
・また、液化天然ガス(LPG)の輸出も急激に増大
 →2014年には米国はカタールを抜いて世界最大のLPG輸出国に
・国際石油市場では米国での供給増加が需給緩和圧力として強く作用することに
 →原油価格の動向を展望する上で、米国シェールオイルの生産動向は最も重要なポイントの1つに

■サウジアラビアの政策転換が急落の引き金に
・もう1つ、価格急落に極めて大きな影響を果した要因
 →OPEC、中でもその「盟主」、サウジアラビアが、原油価格が下落しても構わない、という政策を実施
・価格軟化に対して、サウジアラビアそしてOPECは減産する姿勢を全く示さず
 →むしろ増産する米国シェールオイルなどに対抗、市場シェアを守ろうとするかのごとく、生産・販売維持を図った
 →市場は底が抜けることに
・サウジアラビアは自らの市場シェアを守りながら、原油低価格となることで高コスト石油の増産を抑制、新たな市場均衡を求めようとしている
 →今日でもサウジアラビアそしてOPECの存在は国際石油市場にとって極めて重要、その動向に注目していく必要

■原油価格下落の「光と影」:世界経済
・原油価格低下は、世界経済全体にとってはプラスの効果
 →世界のGDPの大半を占める主要国・地域はいずれも石油純輸入国
 →ガソリン代、灯油代、電気代などエネルギーコスト全体の引き下げにつながる
  →一般の消費者にとってみれば、一種の「減税効果」
・原油価格大幅下落は、日本の経済とエネルギー安全保障にとって大きな意味
 →内閣府は原油価格が半減すると、名目GDPを5.6兆円(1.2%)押し上げる効果を持つとの試算
・産油国・石油輸出国にとっては大きなマイナスとなることも明らか
 →特にロシアへの影響は大変厳しいもの
  →総輸出額の7割を石油・ガス輸出収入に依存、ほとんどは欧州市場向けの輸出
 →イラン経済にとっても厳しい状況をもたらしている

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