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Internet of Things(IoT)市場の立ち上がり、伸びへの高まる期待

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スマートフォンはじめモバイル機器の減速感、停滞感が高まって、本年の世界半導体販売高の予測について史上最高を記録した昨年を下回るという見方がいくつか続けて見られてきている。今後の新市場を切り開くキーワードとして、Internet of Things(IoT)およびwearablesがあり、エレクトロニクスおよび半導体関連の国際的学会、展示会、各社イベントでは新製品とともにいろいろな切り口の議論が続く本年そして現時点である。ARM TechCon(2015年11月10-12日:SANTA CLARA, Calif.)が開催されて特にIoT関係への取り組み、今後の展望が相次いだということで、以下にまとめて現下の流れに注目していく。

≪入り混じる見方、分析≫

IoT製品化の目を引く発表が引き続く現時点である。

◇Smallest LED lighting sensor includes world's first IoT Artificial Eye technology -Gooee teams with DELTA Microelectronics (11月11日付け New Electronics)
→Gooeeが、DELTA Microelectronicsとの独占合意を通して、世界最小、5 x 5 mmのLED照明用センサにArtificial Eye技術を加えている旨。

IoTへの取り組みの考え方、見方についてはまだ議論の続くところが多々あり、以下目につく範囲である。

◇Scaling Down Semi Process Nodes for IoT Apps-Industry ups efforts to scale down transistor sizes for IoT SoC design (11月9日付け EE Times)
→Internet of Things(IoT) system-on-chip(SoC)設計の寸法およびコスト削減の次のステップのお膳立て、このところ主要半導体メーカーおよびICファウンドリーのいくつかがトランジスタ寸法の14-nm微細化を発表しているが、そんなに早くない、とObjective Analysisの半導体業界アナリスト、Tom Starnes氏。これらの発表の大方が、標準microprocessor(MPU)アーキテクチャーの扱いに重きを置いており、Internet of Things(IoT)デバイスの要請には関せずである、と指摘の旨。

◇Industrial applications lead on IoT, not consumers, says NI expert-Industrial uses drive the Internet of Things, says National Instruments exec (11月10日付け Electronics Weekly (U.K.))
→National Instrumentsのグローバル技術&マーケティングdirector、Rahman Jamal氏。産業用応用がInternet of Things(IoT)の開発を引っ張っており、wearablesなどconsumer応用は、smart power grids, smart工場およびsmart都市のようなIoT産業用途に後れをとっている旨。

◇Tech Talk: 14nm And Stacked Die-Why the 14nm node will be long lived, and how it will be used in 2.5D and 3D-IC packages. (11月11日付け Semiconductor Engineering)
→GlobalFoundriesのASIC Business Unit、マーケティングdirector、Aashish Malhotra氏。14-nmプロセス技術、そのIP ecosystem、そして該技術ノードがInternet of Everything(IoT)など広範囲の市場にわたって2.5Dおよび3D stacked dieに向けたプラットフォームとして用いられる理由について。

今後の展望についてもconnected thingsの数量、市場規模、そして制約要因などIoTを軸にした様々な見方が以下の通りである。

◇Internet Blackouts by 2020, Warns Nanoelectronics Book (11月9日付け EE Times)
→nanoelectronicsの最先端に注目しているCHIPS 2020 Vol 2: New Vistas in Nanoelectronicsであるが、その最も重要なfindingはグローバルな規模にあり、変化がなければnanoelectronicsの増殖により電力の不足から2020年までにインターネットの停電停止が生じることになる旨。

◇MEMS, Sensors Poised for Growth in the Internet of Things Era -IoT drives demand for low-power connected devices (11月9日付け SemiMD.com)
→MEMS Executive Congress US conference(11月4-6日:Napa, Calif.)にてexpertsの見方。MEMSデバイス&センサ市場のある分野は、Internet of Things(IoT)市場圧力に照らして伸びを謳歌している旨。IHS Technologyのsenior director of MEMS and sensors、Jeremie Bouchad氏は、MEMS市場は2019年まで7.6%の年間成長率になる、と予想している旨。

◇Shipments of residential Internet of Things devices expected to total over $330 billion through 2025 (11月10日付け ELECTROIQ)
→Navigant Researchの最新レポート、"IoT(Internet of Things) for Residential Customers"。residential IoT機器出荷のグローバル売上げが、2015年の$7.3 billionから2025年には$67.7 billionに伸びて、その間の累計が$330 billion以上になると見る旨。スマートフォンから自宅の室温の調節あるいはLED照明の点滅をリモコン制御できるなどの通信機器が家庭での効率、自動化、セキュリティおよび快適感を高めるというopportunityを、主要各社が認め始めている旨。

◇Gartner: 6.4 Billion Connected “Things” in Use in 2016 (11月11日付け ELECTROIQ)
→Gartner社予測。2016年に6.4 billionのconnected thingsが世界中で使われ、2015年から30%増、2020年までに20.8 billionに達する旨。2016年には毎日5.5 millionの新たなthingsがつながっていく旨。Internet of Things(IoT)は2016年に$235 billionの全体サービスspendingをサポート、2015年から22%増の旨。

◇Analog market to reach $56.5 Billion in 2020 (11月11日付け ELECTROIQ)
→Semico Researchの最新レポート, "Analog Market: Making Digital Systems Come Alive"。「Internet of Things(IoT)はアナログおよびセンサにとって大きく伸びる可能性があるが、数量が大きくなるのはまだ数年先のこと。」(Semico Researchのpresident、Jim Feldhan氏) 向こう5年にわたって、アナログの伸びは金額で4.4%のCAGR、数量で5.3%と鈍化、これでいって2020年までに$56.5 billionの市場規模になる旨。

IoTに関する業界標準を先導する動きも、IoTネットワークスについて次の通りである。

◇IoT Nets Advance at Ingenu, LoRa-Ingenu reveals U.S. plans, Tata picks LoRa in India (11月10日付け EE Times)
→Internet of Things(IoT)に向けてlow power wide area(LPWA)ネットワークスを運用する競争が、2つの陣営が次のステップを発表、今週一段と熱気を帯びている旨。Ingenuは、2016年末までに米国30都市で運用、約100,000平方マイルの面積をカバーする2.4 GHz Machine Networkを発表、対するLoRa Allianceは、インドでの運用についての取り引きを発表して数日、今週のメンバー会合にてそのネットワークを更新する旨。

◇LoRa, Ingenu to expand IoT networks in India, US (11月11日付け EE Times India)

IoTを引っ張るプレーヤーの1つ、ARMが主催するイベント、annual ARM TechCon(2015年11月10-12日:SANTA CLARA, Calif.)が開催され、関連する動き、内容を以下の通り捉えている。

◇ARM Looks to Accelerate Development of IoT Devices-ARM to expand its mbed IoT platform (11月9日付け eWeek)
→ARMが、デバイスmanagementおよび新しいreferenceアーキテクチャーに向けたfeaturesを改善した同社mbed Internet of Things(IoT)プラットフォーム拡大版を発表、該拡大により半導体設計者が柔軟に向上できるIoTデバイスをさらに多く開発できる旨。

◇ARM CEO Celebrates 500 Years of Connectivity-ARM CEO lauds connectivity, trust in keynote address (11月11日付け ELECTROIQ)
→Leonardo da Vinciの約500年前の言、“Realize that everything connects to everything else”を引用したARM Holdingsのchief executive officer(CEO)、Simon Segars氏の基調講演、“Building Trust in a Connected World”について。

◇ARM CEO Touts IoT Security, Fire Safety (11月11日付け EE Times)
→ARMのCEO、Simon Segars氏の基調講演。Internet of Things(IoT)に向けたセキュリティの重要性について講演が最高潮に達したちょうどそのとき、火災報知器が鳴り響くハプニング、“This is for real”と同氏。

◇A Therapy Session for Insecure IoT-Everyone must pay for security, panel says (11月13日付け EE Times)
→ARM TechConのパネル討議にて、業界expertsが何100万の機器の安全を確保する課題を議論、伸展するInternet of Things(IoT)は危機を孕んでいる旨。

◇IoT Security, Software Are Highlighted at ARM TechCon (11月13日付け ELECTROIQ)
→多くの人々がInternet of Things(IoT)のコンセプトを認識しており、今知りたいとするのは、IoTの安全確保を如何に図り、コード開発を如何に行うかである旨。

ここでもハプニング含みで安全性、セキュリティに関わる内容が目につくところがあり、今後の展開、熟し具合に引き続き注目と受け止めている。


≪市場実態PickUp≫

【2015年半導体販売高トップ20ベンダー予想】

IC Insightsから今年の半導体販売高トップ20ベンダーの予想が発表されている。1位のインテル、2位のSamsungに変わりはないが、その差が狭まっている。ここでも本年の世界半導体販売高は1%減の見方となっている。

◇Five Top-20 Companies Forecast to Show Double-Digit Growth this Year-Strong U.S. dollar expected to shave four percentage points off of top-20 growth rate in 2015. (11月10日付け IC Insights)

◇Strong Dollar Drags on Chip Sales (11月11日付け EE Times)
→IC Insights社の最新レポート。ユーロ、円、ウオンおよび台湾ドルに対して強いドルが、2015年の世界半導体販売高の伸び率を3%ポイント収縮させる見込み、結果として2014年に対して1%減の販売高となる旨。
・≪表≫ 2015年半導体販売高トップ20ベンダー予想データ
http://img.deusm.com/eetimes/2015/11/1328236/151111_icInsights_top20.jpg

トップ20ベンダーについても、2015年販売高伸び率は4%ポイント収縮する見込みの旨。

◇Strong US dollar to shave 4pp off of top-20 growth rate in 2015, says IC Insights (11月12日付け DIGITIMES)

◇SK hynix to emerge as No. 4 chipmaker: data-SK Hynix surges 2 spots this year to become world's No. 4 chipmaker (11月12日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→業界tracker、IC Insightsがまとめたデータ。SK hynixの今年の販売高が4%増の$16.9 billion、順位を2つ上げて今年は世界第4位のプレーヤーになる見込みの旨。第1位のIntel社と第2位のSamsung Electronics Co.の差が狭まっている旨。

【史上2番目の月次販売高】

台湾での半導体大手業績発表から、史上2番目という月次販売高がASEそしてTSMCの10月についてあらわれている。全体では飽和、あるいは下降の空気が強いなか、目立つ結果となっている。

◇ASE October revenues rise 5% on year (11月9日付け DIGITIMES)
→ASEの2015年10月連結売上げがNT$27.75 billion($846.2 million)、前月比1.9%減、前年同月比4.6%増。ASEの2015年10月売上げは同社史上2番目に高い月次水準でもある旨。1−10月累計がNT$235.51 billion、前年同期比14.1%増。

◇TSMC October revenues rise 27% (11月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2015年10月連結売上げがNT$81.74 billion($2.5 billion)、前月比26.7%増、前年同月比1.2%増。TSMCの2015年10月売上げは同社史上2番目に高い月次水準でもある旨。1−10月累計がNT$721.72 billion、前年同期比16.2%増。

【対中国スタンス】

中台関係が注目を浴びるなか、台湾の半導体分野への中国の投資について台湾政府に制限緩和を求める声が出ている。

◇MediaTek, TSMC urge Taiwan government to ease restrictions on China investment in chipmakers (11月9日付け DIGITIMES)
→MediaTekおよびTSMCのchairmenがともに、台湾政府が、中国の会社の台湾IC業界分野への投資の認可に向けてもっと開放的であるべき、そして台湾の半導体メーカーの中国の相手先との協力に向けたオープンな政策を追求すべき、と一致している旨。

台湾の半導体をリードするTSMCの総帥、Morris Chang氏も、中国の投資家への門戸を開くとする一方、半導体supply chainでは中国に対する圧倒的な優位性を強調している。

◇TSMC Open to Selling Stake to Chinese Investors (11月10日付け EE Times)
→TSMCが、自社におけるstakeを中国の投資家に売る可能性は開けている、としている旨。TSMCのChairman、Morris Chang氏が11月7日の同社annual sports dayイベントにて、"価格が正当、株主に利するなら"その可能性を考える旨。

◇TSMC 'grand alliance' more powerful than China's 'red supply chain,' says Chang -Chang: TSMC's alliance is outpacing China's "red supply chain" (11月10日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏。TSMCのecosystemパートナーおよび顧客との"grand alliance"はすでに何年も高められてきている一方、中国のいわゆる"red supply chain"はまだ形成の初期段階の旨。TSMCが長らく拡大努力を注ぎ込んでいる該supply chainは、中国の半導体業界が積極的に構築しているsupply chainよりもすでにより強力である旨。

【注目の新製品から】

発表されたばかりの新製品から、まずはSamsungの初のカスタムCPU、そしてLTE modemを搭載したExynos 8 Octa 8890である。Qualcomm対抗であるが、一方ではQualcomm品をSamsungが受けて製造している状況もある。

◇Samsung unveils 'premium' chipset as smartphones struggle-Samsung intros next-gen Exynos chipset, with custom CPU (11月12日付け CNBC)
→Samsung Electronicsが木曜12日、同社初の完全統合半導体、Exynos 8 Octa 8890を披露、同社初のカスタムCPUアーキテクチャーを開拓、high-end phonesの性能を30%改善、電力消費を10%削減の旨。

◇Samsung’s new Exynos 8 SoC includes an LTE modem and its first custom CPU-The company seems serious about moving away from Qualcomm's chips. (11月12日付け Ars Technica)

◇Samsung's New High-End Smartphone Chip Is Its First To Be Fully Integrated (11月12日付け Gizmodo)

もう1つ、MicronのDRAM性能とNANDフラッシュ信頼性を結びつけた強靭なpersistentメモリが、以下の通り発表されている。

◇Micron Persistent Memory Pairs RAM/Flash (11月10日付け EE Times)
→Micron Technologies社(Boise, Idaho)が、digital-in-line memory(DIMM)ボードをself-backup-powered(super-capacitor搭載) solid-state drive(SSD)と結びつけて、使用可能時間を高められる新しいメモリアーキテクチャーを生み出す旨。雨雪みぞれ、あるいは結果として生じる停電が来ようと破壊されない型のメモリ、"persistent memory"へのMicronの最初の手出しである旨。

◇Micron introduces persistent memory tech that combines DRAM performance with NAND flash reliability (11月13日付け ELECTROIQ)
→Micron Technology社が、8GB DDR4 NVDIMMの生産を発表、同社初のpersistentメモリの範疇に入る商用ソリューションである旨。

【自問する韓国半導体】

中国のM&Aを駆使した強力な自前の半導体業界構築の動きが続いているが、韓国では以下の自問する論調、問題意識が見られている。

◇「世界1位」栄光の影で枯れていた韓国半導体産業−【時視各角】中国は「半導体崛起」するというが… (11月11日付け 韓国・中央日報)
→・・・・・
中国が半導体崛起を宣言したのは5年前だが、彼らの半導体に対する執念と摸索はかなり古い。ついに中国は自らメモリ工場を設立すると明らかにした。システム半導体とは違いメモリは参入障壁が高い。このため中国はメモリ企業のM&Aに挑戦した。マイクロン買収を進めたが失敗に終わり、最近は米国のNAND型フラッシュ企業、サンディスクを間接的に買収した。
しかし米国政府がサンディスクの技術移転を防ぐという観測が支配的であるだけに、M&Aを通じたメモリー進出は容易ではない。にもかかわらず彼らは投資に乗り出したのだ。
・・・・・
サムスン電子とハイニックスは大規模投資とより尖鋭な技術開発で、中国の追撃をかわすという。5−10年以内に中国半導体が韓国の脅威要因になることはないと話す。そうかもしれない。しかし問題は技術でなく市場だ。世界メモリの半分を使う中国が国産化戦略で低級技術を確保すれば、韓国は半導体を輸出して売る市場が大きく減る。そして10年後、我々は何をするのだろうか。
・・・・・

韓国の「世界1位」のメモリは、この第三四半期に史上最高の生産額を記録している。当面の激動に一層の注目である。

◇Digitimes Research: Korea memory chip production value hit record high in 3Q15 (11月13日付け DIGITIMES Research)
→Digitimes Research発。韓国のDRAMおよびNANDフラッシュデバイスなどメモリ半導体生産額が、2015年第三四半期にKRW13.92 trillion ($11.8 billion)と最高を記録、従来は2014年第四四半期のKRW13.17 trillionの旨。ベンダー各社の新しいflagshipスマートフォン打ち上げおよび個々のhandsetsのDRAM容量増加で、韓国のメモリ分野の出荷が促進された旨。

【車載用IC市場】

自動運転車市場に向けたアプローチが引き続き進んでいる。

◇Google, Tesla, Nissan: 6 Self-Driving Vehicles Cruising Our Way (11月9日付け EE Times)
→自動運転車市場に参入する日産自動車が今週、日本の道路でautonomous carsのテストを始める、と発表の旨。

そんな中、車載用IC市場の今後数年の伸びがIC業界全体の伸びを上回るという見方が表わされている。

◇Auto IC market to display strongest growth through 2019, says IC Insights (11月9日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2014年から2019年までの車載用IC市場は、平均年間成長率6.7%で増大する見込み、6つの主要end-use IC応用(computer, consumer, communications, automotive, industrial/medicalおよびgovernment/military)の中では最高、同期間のIC業界全体のCAGR予測、4.3%を2ポイント以上上回る旨。車載用ICsのこの力強いCAGRには、1つにこの市場がcommunications, computerおよびconsumer分野に比べて小さい基盤からの伸びであること、そして該期間を通してIC contentの着実でかなりの増大が高級車から基本モデルまですべての新車搭載で見込まれることがある旨。

◇Automotive Market Supports Ailing Semiconductor Industry (11月12日付け EE Times)
→IC Insightsが、来るIC Market Drivers Reportにおいて、市場分野別半導体需要を分析の旨。2014年から2019年までの時間軸で、車載業界からくる半導体需要は平均年率6.7%の伸び、約4.3%と見積もられる半導体業界全体のCAGRを2ポイント以上上回ると見ている旨。

欧州の半導体メーカー、InfineonとSTMicroも、自動運転に向けたハイテクカーが売上げを引っ張っていくと予想している。

◇Robot Cars Spell Chip Sales for Europe's Infineon, STMicro-Futuristic cars expected to help drive Infineon, STMicro (11月12日付け Bloomberg)
→欧州の大手半導体メーカー2社の売上げをhigh-tech carsが牽引、InfineonとSTMicroがともに、クルマがより自動化、よりconnectedになって、力強い販売高の伸びを予想している旨。Bloomberg Intelligenceによると、平均的なクルマで2014年に$333相当の半導体があり、4年にわたって11%の増加となっている旨。


≪グローバル雑学王−384≫

まさに現在進行形の世界の動きとして、本欄を記入している11月9日時点、エジプト・シナイ半島でおきたロシア航空機墜落事故はイスラム国(IS)によるテロの可能性が高まっているが、このIS、そしてサイバー戦争、さらには地球温暖化の急速な進行と、我々が生きている21世紀の難題について、

『地図で読む「国際関係」入門』
 (眞 淳平 著:ちくまプリマー新書 239) …2015年8月10日 初版第1刷発行

より、それぞれの推移&現状を認識していく。国際関係についていろいろな切り口で迫ってきたが、今回が今後の脅威に目を向ける最後の断面となる。


第8章 21世紀の難題―――新たな戦争形態、そして地球温暖化

◆イスラム国(IS)の衝撃
・中東周辺地域の混乱とイスラム過激派武装集団の勢力拡大
 →ISが、2014年6月、イラク第二の都市、モスルを陥落させる
 →2014年6月、ISの指導者、アブー・バクル・アル=バグダーディと名乗る人物が、「カリフ」に就任と宣言
 →自らの権威を高め、ISの正統性を主張
・2015年1〜2月、ISの人質になっていた2名の日本人が殺害される痛ましい事件
・このISは、2000年代の「グローバル・ジハード運動」の中から生まれてきたという見方
 →2001年の9・11事件の首謀者とされた「アルカイダ」が、米軍の大規模な対テロ戦争によって大きな打撃を受けたことから編み出された戦略
 →世界各地で生き残ったアルカイダに忠誠を誓う組織が自発的に登場、反政府テロなどを実行

◆「イラク戦争」「アラブの春」を背景に勢力を伸ばす
・もともと、1999年から2004年にかけて存在した「タウヒードとジハード団」と呼ばれる組織
 →規模を拡大、何度も名前を変えて、現在のISになった、といわれている
・2003年に始まった「イラク戦争」後の混乱
 →それまで社会の治安を維持してきた軍などが解体、多くの軍・諜報関係者たちが仕事を失う
 →ISの前身組織は、こうした人々を傘下に収めた
・アラブの春も、ISの勢力急進の背景に
 →体制崩壊は、新たな混乱も
 →エジプトでは、現在は、2014年5月の選挙で大統領に選ばれた、軍出身のシーシ氏が政権を維持
・ISとその前身組織は、こうした混乱を最大限に利用
 →ISの影響力は急速に巨大化、現在、多くの武装過激派組織が、ISに支持を表明したり、忠誠を誓っている
・ある試算によると、IS対策でアメリカはこの先、毎年100億ドル規模の支出が必要に

◆錯綜する関係国・集団の利害
・ISなどイスラム過激派組織をめぐる問題
 →関係国の利害が交錯、各国の行動も複雑なものに
・サウジアラビアのスンニ派とイランのシーア派
 →宗派が異なり、政治的には対立
 →ISとの戦いでは、両国が共闘している
・問題への対処が一層難しく

◆周辺国や先進諸国にテロが広がる
・ISなど過激派武装組織の影響力拡大
 →周辺国や先進諸国でテロを引き起こすことを憂慮する声も
・2015年1月、パリで週刊誌『シャルリ・エブド』の編集部が襲撃される
 →実行犯はテロの起きた国の出身者であるケースがしばしば
 →国内の格差や差別が、テロを生み出す背景となっている今の状況は、多くの国・地域で共通

◆大量の核兵器という存在
・人々の暮らしを機器に追いやりかねない事態
 →その1つが、各国の保有する核兵器の存在
・米ソ/米ロ間での核軍縮交渉
 →2011年2月に米ロ間で、戦略核弾頭の配備数をそれぞれ1550発ずつに
 →「新START」条約が発効
・最近では、中国などが、保有する核兵器の数を増やしている
 →全体を見れば、核戦争の危険性が大幅に下がったとはいえない
・2015年5月、「核不拡散条約(NPT)」の再検討会議
 →具体的な成果を上げられないまま、閉幕
・核兵器の数を段階的に減らす努力は、人類全体に共通する継続課題

◆新たな戦争形態の登場 ――サイバー戦争――
・サーバー空間における戦争、「サイバー戦争」
 →敵対国の社会を混乱させるため、あるいは偶発事故により、大規模サイバー戦争が引き起こされた場合、世界中が大混乱に陥る可能性
・軍事大国と呼ばれる主要各国は、万一の場合に備えて、今もサイバー戦争の攻撃と防御に関する研究・技術開発に注力

◆ロボット兵器が戦場に投入される
・近年、戦場へのロボット兵器の投入が急増
 →軍の指揮官たちにとって、自軍兵士の危険を考えることなしに攻撃が可能
  →攻撃が実行される可能性が高まる恐れも
・現在、注目されているのが、「自律型ロボット兵器」
 →自分自身で状況を読み取り、攻撃の有無を判断、あらかじめ定められた条件に適合する場合は、人間の判断を受けずに攻撃が可能となるロボット兵器

◆戦場となる宇宙空間
・2007年1月、中国は、高度850km付近の宇宙空間にある自国の気象衛星を、弾道ミサイルで破壊
 →破片(スペース・デブリ)が数万個以上発生の模様
・注目すべきは、中国が衛星を破壊した理由
 →アメリカの進めるミサイル防衛構想(MD)への対抗措置の一環としての実験だった可能性
・宇宙空間を、次世代の戦場の1つにしようとする試みはすでに
 →予想を上回る速度で、戦争の形態も変化しつつ

◆温暖化の急激な進行
・気候変動、すなわち地球温暖化の急速な進行
 →人間の社会から排出された(人為起源の)二酸化炭素(CO2)など
 →大気圏外に出て行こうとする赤外線をとらえ、地表などを暖める
・温室効果ガスがもたらす温暖化の内訳
 →CO2 約60%、メタン 約20%、亜酸化窒素 約6%、フロン類とハロン 約14%
・人為起源の温室効果ガスの急増は、地球の平均気温の上昇に
 →気温の上昇の度合いは、緯度が高い地域の方が、一般的に大きくなる傾向

◆気候の変化と食糧安全保障の低下
・気候の変化をもたらす温暖化
 →平均気温や平均降水量の変化、極端な降水の増加など、異常気象が発生する確率は、さらに高くなっていく
 →温室効果ガスの急増と温暖化の進展は、食糧の安全保障を低下させる原因とも

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