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9月も前年下回る世界半導体販売高:M&Aの嵐の目、中国・Tsinghua

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米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、今回はこの9月についてであるが、3ヶ月連続で前年同月を下回る結果となっている。7-9月の第三四半期で見ると、前四半期、4-6月を1.5%上回っているが、本年、2015年販売高が史上最高を記録した昨年を上回るかどうか、微妙な情勢である。一方、半導体業界のM&Aの嵐は、依然と収まる兆しはなく、日々動きが見られており、その中心にある中国の国家支援ハイテクconglomerate、Tsinghua Unigroupに特に注目させられている。

≪9月の世界半導体販売高≫

米SIAからの今回の発表内容、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○第三四半期のグローバル半導体販売高が、前四半期比1.5%増−9月の販売高は、前月比僅かに増加、前年同月比では減少 …11月2日付け SIAプレスリリース

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年第三四半期の世界半導体販売高が$85.2 billionに達したと発表した。これは、前四半期比では1.5%増加であるが、前年同期比では2.8%の減少となる。2015年9月のグローバル販売高は$28.4 billionで、前月を1.9%上回ったが、2014年9月からは2.8%減少している。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「9月のグローバル半導体販売高は跳ね返りの兆しを示して、すべての地域市場にわたって前月より増加しており、ここ1年以上ぶりのことである。」
とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「しかしながら、需要軟化および通貨切り下げからyear-to-year販売高は3ヶ月連続で低下している。」

地域別では、販売高前月比で、Americas(4.0%), China(2.6%), Europe(2.2%), Japan(0.5%), およびAsia Pacific/All Other(0.1%)とすべて増加している。前年同月比では、China(5.0%)では増加したが、Asia Pacific/All Other(-3.5%), Americas(-3.9%), Europe(-10.6%), およびJapan(-11.4%)では減少した。

【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域
Sep 2014
Aug 2015
Sep 2015
前年同月比
前月比
========
Americas
6.06
5.60
5.82
-3.9
4.0
Europe
3.21
2.81
2.87
-10.6
2.2
Japan
3.03
2.67
2.69
-11.4
0.5
China
8.05
8.23
8.45
5.0
2.6
Asia Pacific/All Other
8.89
8.57
8.58
-3.5
0.1
$29.23 B
$27.88 B
$28.41 B
-2.8 %
1.9 %
--------------------------------------
市場地域
4- 6月平均
7- 9月平均
change
Americas
5.53
5.82
5.2
Europe
2.83
2.87
1.6
Japan
2.57
2.69
4.7
China
8.13
8.45
4.0
Asia Pacific/All Other
8.94
8.58
-4.0
$27.99 B
$28.41 B
1.5 %
--------------------------------------

「グローバルに半導体販売高を駆り立てることがわかるものの1つが、自由で開かれた市場を維持している。」とNeuffer氏は続ける。「6月にSIAは、自由貿易合意を促進するためにpolicymakersに法制化を承認するよう働きかけに成功した。7月には、次世代半導体および広範囲のハイテク製品に対する関税を撤廃するようInformation Technology Agreement(ITA)を拡大する大きな協定が、World Trade OrganizationにてGenevaで取り決められた。そして10月、Asia-Pacific地域からの交渉関係者は広大な通商合意、Trans-Pacific Partnership(TPP)についての合意に達している。TPPは、我々の業界および米国経済全体において成長を刺激して革新を推進するもので、議会はそれを承認すべきである。」


※9月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/September%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた各紙の受け止めが以下の通りである。SIA発表の販売高は3ヶ月移動平均ベースで表わされており、9月分の前年同月比、7-9月分の前四半期比の区別を明確にする必要がある。

◇Global semiconductor sales fell 2.8% in third quarter-SIA: Q3 chip sales were down (11月2日付け MarketWatch)

◇Global semiconductor sales increase 1.5 percent in third quarter (11月3日付け ELECTROIQ)

◇Chip Sales Declined 3% in Q3 (11月4日付け EE Times)

◇Global semiconductor sales increase 1.5% in 3Q15, says SIA (11月4日付け DIGITIMES)

本年の世界半導体販売高が史上最高の昨年を上回るかどうか、直近で発表されている世界半導体ベンダー・ランキングでトップグループに入る2社の業況が以下の通りである。ここでも微妙で困難な状況がうかがえるところがある。

◇Smartphone Slide Proceeds, Says Q’Comm-Revenues, profits fall in fiscal 2015-Qualcomm expects smartphone market growth to slow (11月4日付け EE Times)
→Qualcommの直近第四四半期売上げが$5.5 billion、前四半期比6%減、前年同期比18%減、利益は$1.1 billion、前四半期比10%減、前年同期比44%減。2015年度年間販売高は5%減の$25.3 billion、利益は34%減の$5.3 billion。来年のスマートフォンの伸びは引き続き鈍化、中国のOEMsの市場シェアが拡大、handsetsに入る半導体価格は今年ほどではないが引き続き低下する、と見ている旨。

◇MediaTek posts record October revenues-MediaTek reports Oct. revenue of $685M (11月6日付け DIGITIMES)
→アナログIC specialist、Richtek Technologyを買収、MediaTekの2015年10月売上げがNT$22.24 billion($685 million)で最高を記録、前月比約11%増、前年同月比2.9%増。MediaTekの2015年1-10月売上げ累計がNT$173.78 billion、前年同期比3%減。


≪市場実態PickUp≫

【Tsinghua Unigroupの動き】

半導体業界M&Aの嵐の中、仕掛け人として最も注目せざるを得ない中国の国家支援ハイテクconglomerate、Tsinghua Unigroupとなっているが、ここにきて一層入り込んだ活発な動きが見られている。まずは、台湾のIC backendサービスメーカー、Powertech Technology(PTI)への投資を以下の通り行っている。

◇China's Tsinghua Unigroup taking $600 mln stake in Taiwan chip firm Powertech (10月30日付け Reuters)

◇Tsinghu Unigroup to buy 25% stake in PTI for NT$19.4 billion (11月2日付け DIGITIMES)
→中国国有のTsinghua Unigroupが、台湾のメモリ実装&テストspecialist、Powertech Technology(PTI)に総額NT$19.4 billion($598 million)を出資、値付けNT$75/株のPTI新株に申し込み、25% stakeでPTIの最大株主になる旨。

◇China's Tsinghua Unigroup invests in Taiwan’s Powertech (11月3日付け ELECTROIQ)

◇Commentary: Tsinghua Unigroup investment in PTI may trigger Taiwan policy change for semiconductor industry (11月3日付け DIGITIMES)
→中国・Tsinghua Unigroupによる台湾のIC backendサービスメーカー、Powertech Technology(PTI)での25% stake取得に向けたNT$19.4 billion($598 million)の投資が、台湾と中国の半導体メーカーの間のacquisitions and mergers(M&As)の新たな次の章に導く可能性の旨。
Tsinghua Unigroupのchairman、Zhao Weiguo氏は、該投資計画発表後台湾を訪問、台湾政府に対して台湾のIC業界への中国の投資に対する禁止規制の緩和を直ちに急がせた旨。

Tsinghua Unigroupのchairman、Zhao Weiguo氏は、台湾の半導体業界への中国からの投資規制を緩和するよう、台湾政府に上記、そして以下の通り働きかけている。IC設計については、傘下の2社(RDA MicroelectronicsおよびSpreadtrum Communications)について台湾のMediaTekとの合併構想を打ち上げる動きを行っている。

◇Taiwan's MediaTek says open to cooperation with China in chip sector-MediaTek is willing to consider tie-ups with chip firms in China (11月2日付け Reuters)
→Tsinghua UnigroupのChairman、Zhao Weiguo氏が日曜1日、自社のRDA MicroelectronicsおよびSpreadtrum Communications部門が、Qualcommとの競争力を高めるためにMediaTekと合併する可能性がある旨。
MediaTekは月曜2日ステートメントで反応、進んで"連携してグローバル半導体業界における中国および台湾の企業の地位と競争力を高めていく"旨。

◇Tsinghua Unigroup expresses interest in MediaTek (11月2日付け DIGITIMES)
→傘下にSpreadtrum CommunicationsおよびRDA Microelectronicsをもつ中国の国家支援ハイテクconglomerate、Tsinghua Unigroupが、その2つの半 導体部門をMediaTekと合併することへの関心を表明の旨。

◇China's Tsinghua Interested in MediaTek (11月3日付け EE Times)
→中国の国家が動かすconglomerate、Tsinghua Unigroupが、MediaTek社(Hsinchu, Taiwan)との話し合いに関心、台湾メーカーへの中国の投資を防いでいる台湾の法律は緩和すべき、としている旨。Tsinghua Unigroupは、中国が一連のmergers and acquisitions(M&As)による半導体業界における立場構築に向けて用いているtoolsの1つである旨。

台湾政府側もTsinghua Unigroupのこの働きかけに呼応する動きが見られている。

◇Taiwan to review ban on Chinese investment in local IC design sector (11月3日付け DIGITIMES)
→台湾のMinistry of Economic Affairs(MOEA)およびFinancial Supervisory Commission(FSC)のofficials発。台湾は、現地IC設計業界への中国の会社による投資について解禁するfeasibility評価を行う旨。
MOEAは、法律変更が個々の会社のニーズ適合に必要かどうかを評価、現行法への如何なる変更も台湾の利益に符合しなければならない旨。
該officialsは、台湾のIC設計業界を中国資本に開放、IC設計分野での中国と台湾の間の協力を進めようというTsinghua Unigroupのchairman、Zhao Weiguo氏の台湾政府への最近の呼びかけに反応しており、同氏は公然と、MediaTekへの出資の関心を表わしている旨。

台湾の業界側からも中国からの投資に条件付きで肯定する見方が表わされている。

◇China investment in Taiwan IC design houses is feasible, says Acer founder (11月4日付け DIGITIMES)
→中国・Tsinghua UnigroupのIC設計子会社2社を台湾のMediaTekと一緒にすることへの関心に反応、Acerのfounder、Stan Shih氏は、投資が妥当なstake ratiosに基づいてバランスし、intellectual properties(IPs)保護など条件の縛りがある限りでは、台湾のIC design housesへの中国からの投資は実行可能、としている旨。

Tsinghua Unigroupは、台湾・Inotera Memoriesのchairman、Charles Kau氏を引き抜いたが、一方、Kau氏の台湾での留任が伝えられていたところ、Inoteraは、次の通り新しいchairmanを選ぼうとしている。

◇Inotera to appoint new chairman (11月2日付け DIGITIMES)
→Inotera MemoriesのTaiwan Stock Exchange(TSE)での告示。同社は、中国国有半導体メーカー、Tsinghua Unigroupに引き抜かれたCharles Kau氏に代わる新しいchairmanを選ぶために11月半ばにregular board meetingを開催する旨。

中国政府が支援するTsinghua Holdingsの半導体業界自立化に向けた投資戦略についての分析が、まとめた形で以下の通りである。

◇Micron's Many (Indirect) Relationships With Tsinghua (11月4日付け Seeking Alpha)
→以下の要旨:
・Tsinghua Unigroup-Micron合併というのは、この夏時点よりも今はありそうにない一方、Tsinghua Unigroup-Micron合弁はより実現可能になってきている旨。
・Tsinghua UnigroupおよびUnisplendourは、Tsinghua Holdingsのoperating子会社であり、Intelは、Tsinghua Unigroup傘下のholding companyにstakeを有している旨。
・Unisplendourは、HP, Western DigitalおよびSanDiskと、Unigroupは、IntelおよびPowertechと連携しており、UnisplendourはUnigroupは、お互いの競争相手であるメーカーに出資している旨。
・半導体における中国からの大規模投資の時代は、ほんの始まったばかり、向こう5-10年にわたる半導体業界への1 trillion renminbi投資は誇張ではない旨。

Tsinghua Unigroupのメモリ半導体工場構築に向けた最新の動きがあらわれてきている。半導体メーカーを買収というターゲットはどこを指すのか、目が離せないところである。

◇China Marks Global Chip Ambitions With $13 Billion Share Sale-Tsinghua Unigroup to spend $12B on memory fab, chip acquisitions (11月5日付け Bloomberg)
→Tsinghua Unigroupが、メモリを作るウェーハfab拠点を構築、半導体メーカーを買収してメモリ半導体市場に参入、該プロセスに$12 billionを充てる旨。同社は、新子会社、Tongfang Guoxin ElectronicsによるShenzhen Stock Exchangeでのfilingにて、$13 billionのprivate placement調達を行う計画を披露の旨。

◇China's Tsinghua Unigroup to Build Memory Chip Factory-State-owned company plans to invest over $12 billion into plant, acquisitions of semiconductor firms (11月5日付け The Wall Street Journal)


【IntelのIoTの取り組み】

Intelが、IoT Insightsイベント(11月3日:San Francisco)を主催、プロセッサ、OSおよびソフトウェアなどIoTプラットフォームを格上げするとともに、技術試行に向けたパートナーとの協働を披露している。たぶんにARM対抗の色合いが濃くなっている。

◇Intel Fills Out IoT Portfolio-Platform gets chips, OSes, cloud software (11月3日付け EE Times)
→Intel社が、IoT cloudサービスに向けて3つのQuarkプロセッサ、並びに2つのmicrocontroller(MCU)-級operating systems(OS)およびソフトウェアを発表、IoTに向けた同社portfolioを充填の旨。該newsは、ARM TechCon 2015(11月10-12日:Santa Clara, CA)の1週間前、そしてARMが自前のIoT用OSを展開して1年の時点である旨。

◇Intel Primes The Internet Of Things Pump-Intel has enhanced its Internet of Things platform, including new forms of silicon for "smart" things, partnering with other companies to put it to use.-Intel aims to take Internet of Things to the next level (11月4日付け InformationWeek)
→Intel主催、同社とパートナーが今現在Internet of Things(IoT)にもたらすものに焦点を当てたIoT Insightsイベント(11月3日:San Francisco)にて。Intelは、同社IoTプラットフォームの一連アップグレードに取り組んでおり、Intel Quark SE System on a Chip(SoC)およびQuark microcontrollers(MCUs)など同社技術試行に向けて主要メーカーと連携している旨。

◇8 Views of Intel's IoT Efforts -Curie processor headed for a BGA (11月5日付け EE Times/Slideshow)
→IntelのInternet of Things(IoT)に重点化した第2回annualイベント(SAN FRANCISCO)にて。IoTのsliceを切り開こうと、Intelが、x86アーキテクチャー・コンパチでない何年かぶりのプロセッサを発表の旨。また、Stockholm近郊のbuilding automationの5年の会社、Yanziに、火曜3日発表されたQuark SE SoCのコード名、Atlas Peakの開発について協働の機会を与えている旨。

【MEMS Executive Congress US】

IoTおよびwearablesの拡大に向けてMEMSの重みが大きく高まる中のMEMS Executive Congress US conference(11月4-6日:Napa, Calif.)の開催である。変貌を遂げた、そして遂げていくMEMSという見方など、以下目についた内容である。

◇MEMS Executive Congress US Speaker Looks at MEMS Past, Present, and Future-Nasiri talks MEMS past, future at MEMS Executive Congress US (11月4日付け SemiMD.com)
→MEMS Executive Congress US conference(11月4-6日:Napa, Calif.)にて、Nasiri VenturesのSteve Nasiri氏基調講演。ここ20年、microelectromechanical system(MEMS)デバイスの世界で多くが変わり、向こう20年でさらに多くが変わっていく旨。2003年にMEMS startup、InvenSenseを創設した同氏の見方として、1995年にはMEMSの重点は車載および産業用途であったが、現在はconsumer応用がすべてである旨。同氏は2035年には、MEMS需要はdriverless cars, Internet of Things(IoT)およびwearables増大が焚きつける、と予想している旨。

◇Gas Sensors Penetrate Smartphones-China's Next Big MEMS Thing Beats Apple (11月5日付け EE Times)
→MEMS Executive Congress 2015(11月4-6日:NAPA, Calif.)にて、世界初、スマートフォンに十分に入る大きさのgasセンサが示された旨。
Cambridge CMOS Sensors Ltd.(U.K.)が作った小さな1mm2のMEMS-CMOS dieは、ubiquitousに向けて十分小さく、安価であり、初めてスマートフォンの新型MEMSセンサでAppleを負かすものである旨。Cambridgeはまた、K-Free Wireless Ltd.(Shenzhen[深セン], China)での最初のdesign-winを発表の旨。

◇MEMS Executive Congress US, Day 2: Securing the Internet of Things (11月6日付け ELECTROIQ)
→MEMS Executive Congress US(Napa, Calif.)の2日目、NXP SemiconductorsのWouter Leibbrandt氏基調講演、“Secure Connections for the Internet of Things”について。IoTに向けた4つのchallengesとして、以下の旨。
 reliability and dependability
 interoperability
 autonomous power
 economy

【Project Loon】

巨大な気球により新興経済圏の遠隔地までインターネットを浸透させようというGoogleの取り組み、Project Loonが、世界各地、以下の通り進められている。

◇Google's Project Loon To Launch Internet Balloons In Indonesia (11月3日付け EE Times)
→検索大手、Googleが、飛行してWiFi hotspotsのように機能する巨大floating balloonsの助けで新興経済圏をWebに繋ごうとしており、Project Loonという試みの一環の旨。インドネシアのモバイルネットワークoperatorsの3社、Indosat, Telkomsel, およびXL Axiataが、2016年のインドネシアを巡るProject Loonのballoon-powered Internet capabilities試験開始に同意している旨。

◇Google taps gov't to test balloon-enabled Internet (11月3日付け EE Times India)
→Press Trust of India(PTI)発。巨大な気球を用いてインドの遠隔地にInternet connectivityを供給するプロジェクトについて、Googleが政府とコラボの旨。Googleは、該技術をニュージーランド、ブラジルおよび米国でテストしており、来年からインドネシアでも行う旨。

【半導体M&A案件の推移&進捗】

PMC-Sierra買収の件は、Skyworksが優位に立っている。

◇PMC-Sierra Commits to Skyworks After Microsemi's Higher Offer-PMC-Sierra says it's sticking with bid by Skyworks (11月2日付け Bloomberg)
→PMC-Sierraは、Microsemiが競合買収入札価格を上げても、Skyworks Solutionsによるall-cash入札を支持する旨。

Fairchild買収は、InfineonがON Semiに対し優位と伝えられている。

◇Infineon Said to Be Front-Runner to Land Fairchild Semiconductor-Report: Infineon may top ON Semi in bidding for Fairchild (11月2日付け Bloomberg)
→Infineon Technologiesが、Fairchild Semiconductor International買収をリードする入札元としてあらわれており、ON Semiconductorよりも熱が入っている旨。InfineonおよびONともにコメントを控えている旨。

AvagoのBroadcom買収提案について、EUがOKサインを出す情勢にある。

◇Exclusive: EU to clear $37 billion Avago, Broadcom deal without conditions - sources-Sources: EU to approve Avago's takeover of Broadcom (11月3日付け Reuters)
→2人の本件事情通、火曜3日発。米国半導体メーカー、Avago Technologiesが、Broadcom社に対する$37 billion買収提案についてEuropean Union(EU)のcompetition regulatorsによる無条件承認を獲得する運びの旨。


≪グローバル雑学王−383≫

第一次世界大戦後の国際連盟の多くの反省に立って、第二次世界大戦後に発足したのが国際連合、国連。その中身、機能、それぞれの役割について、

『地図で読む「国際関係」入門』
 (眞 淳平 著:ちくまプリマー新書 239) …2015年8月10日 初版第1刷発行

より、認識を深めていきたい。グローバルに各国間の関係が密接になっていく一方で、世界各地で生じている様々な軋轢ということで、拡大する交流関係の一方で武力行使も含めた統制力の発揮が求められている。世界の日々の動きのなかで目に入ってくる国連そして非政府組織(NGO)に、以下焦点を当てていく。


第7章 新たな国際主体―――国際機関と非政府組織

◆多様な国際主体の登場
・20世紀後半以降、さまざまな主体が国際関係に影響を及ぼすように
 →「国際機関(国際機構)」や非政府組織(NGO)

◆さまざまな国際機関
・国際機関 …複数の国家によって、共通の目的を達成するために設立される機関
 →参加各国の意思とは別に、国際機関そのものに独自の意思が存在する、というケースも
・数多くの国際機関組織
 →国連とその下部組織や関連機関・専門機関
  国際決済銀行(BIS)
  国際標準化機構(ISO)
  国際刑事警察機構(ICPO)
  欧州安全保障協力機構(OSCE)
  南米諸国連合(UNASUR)
・18世紀後半以降のヨーロッパ、産業革命の進展と貿易の増大によって各国間の国際関係が緊密化したこと、が国際機関のそもそもの発端
・第一次世界大戦終結時に誕生した国際連盟には多くの問題点
 →その反省を受け、第二次世界大戦終結後の1945年10月に発足したのが国際連合(国連)

◆国連とは何か
・国連の英語名「United Nations」…直訳すると「連合国」
 →第二次世界大戦で勝利した連合国が中心となり、世界大戦のような悲惨なできごとが二度と起きないように、と設立
 →2015年5月時点の加盟国数は193
・国連は、平和を維持し、人権や自由を擁護するために作られた国際機関
 →主要機関:
  (1) 総会
  (2) 安全保障理事会(安保理)
  (3) 経済社会理事会(経社理)
  (4) 事務局
  (5) 国際司法裁判所(ICJ)
  (6) 信託統治理事会     →現在は事実上、その任務は終了

◆平和と安全を維持する安全保障理事会
・安全保障理事会(安保理)
 →「常任理事国」(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5か国)と「非常任理事国」(2年の任期で改選される10か国)
 →決定は、加盟国すべてに強制力
・国連憲章第七章で「強制措置」が認められていることに注目する必要
 →「非軍事的強制措置」と「軍事的強制措置」
・国連は第一に、戦争の惨禍を食い止めようという趣旨で設立された国際機関
 →その意思をもっともよく体現しているのが安保理
・常任理事国の「拒否権」…常任理事国の1か国でも反対すると決議案は否決
 →世界に強い影響を与える大国を、国連という機関・制度の枠内にとどめておくために作り出された制度

◆平和維持活動と平和の構築
・現在、世界規模で行われている国連の「平和維持活動(PKO)」
 →国際社会からの要請もあり、PKOの活動範囲は次第に拡大
 →紛争当事者たちの武装解除、地雷の除去、秩序の回復、難民の帰還支援、住民の保護、選挙の監視、国家統治機構の改革
  …「平和構築」
・住民の保護のためには武力行使も辞さない、という姿勢の背景には、「人間の安全保障」と呼ばれる思想
 →「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」の2つが重要な構成要素
・日本は、これまで14のPKOなどに合計10,045名の要因を派遣

◆広範囲の役割を持つ経済社会理事会
・経済社会理事会(経社理)
 →経済、社会、文化、教育、保健、人権など幅広い役割
 →理事国は54か国。毎年、全体の3分の1に当たる18か国が総会によって選出
・「世界保健機関(WHO)」、「世界銀行グループ」、「国際通貨基金(IMF)」などの「専門機関」
 →国連や経社理の下部組織ではない
・経社理は、安全保障以外の分野における諸問題を議論・検討、関連する機関に対して解決に向けた努力を促す役割

◆事務局と国際司法裁判所
・事務局は、行政の長である1名の事務総長と、4万人以上の職員からなる巨大組織
 →権限は限定的、国連自体の、事務局自体の意思というものが認められる範囲は限られる
・「国際司法裁判所(ICJ)」
 →国家間の法律紛争を解決、国連とその専門機関などに対して、法律上の勧告的な意見を提供
 →総会と安保理の投票によって選ばれた15名の裁判官から構成

◆多様な国際機関が存在する
・国際通貨基金(IMF)
 →経済危機に陥った国を援助する国際機関
 →IMFはある面で、国家である被援助国よりも上の立場に立ち、その国への強制力を有している
・「国際海事機関(IMO)」、「国際民間航空機関(ICAO)」
 →独自の意思は、限定的

◆非政府組織(NGO)の影響力
・近年、さまざまな分野、種類、役割、規模のNGOが登場
 →貧困の解消に取り組んでいる国際的なNGO「オックスファム」
  …93か国で活動している巨大組織
・草分け的な存在として、1863年創設、「赤十字国際委員会(ICRC)」
 →戦時における人道的な扱いなどを規定した「国際人道法」
・政策提言(アドボカシー)活動をする団体
 →1992年設立、「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)」
  →NGOの活動が、対人地雷という兵器を、多くの国・地域で、製造・貯蔵、使用の禁止に追い込んだ

◆条約の成立や主要国の援助政策にも関わる
・NGOが核、1998年結成の「子ども兵士禁止のための世界連合」、2000年の「武力紛争議定書」成立に影響
・1990年代後半、世界60か国以上のNGOが、貧困国の債務帳消しを求めて始めた「ジュビリー2000」
 →1999年のケルン・サミットでは、先進7か国が、36か国に供与していた
  政府開発援助(ODA)の債務取り消しを発表
・温暖化への対策強化を訴える「気候行動ネットワーク(CAN)」
 →現在も、今後の国際温暖化対策の目標値を定める国際交渉に加わる

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