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激しさを増す半導体M&Aの嵐に反響する中国の動き

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半導体業界に吹きまくるM&Aの嵐がいっこうに収まる気配がなく、Microsemiの対PMC-Sierra、Western Digitalの対SanDisk、Lam Researchの対KLA-Tencorなど買収の問いかけが相次いでいる。世界経済の鈍化と先端技術開発コストの上昇が今年のかくも大規模なM&Aを引き起こしている原因という見方が強くなっているとともに、半導体業界の自立化を一気に図りたいとする中国の動きが陰に陽に影響する中身が見えてくるところがある。次の新たな成長の構図に向けてもがく現下の推移に当面注目である。

≪止み間のないM&Aの嵐≫

今回まずは、MicrosemiのPMC-Sierraに対する買収提案、以下の通りである。Skyworksが今月始めに出した額を上回る内容となっている。

◇Microsemi Bids $2.2 Billion for PMC-Sierra (10月19日付け EE Times)
→Microsemi社(Aliso Viejo, Calif.)が、networkingおよびストレージ応用向けmixed-signal ICsの開発ベンダー、PMC-Sierra社(Sunnyvale, CA)の株主に対して株式およびcash合わせて$11.50/株を提示、今月7日にSkyworks Solutionsが行ったcash提示額、$10.50/株を上回っている旨。

◇Microsemi announces proposal to acquire PMC-Sierra, Inc. (10月19日付け ELECTROIQ)

◇Microsemi Offers to Buy PMC-Sierra in $2.4 Billion Deal (10月19日付け The New York Times)

◇Chipmaker Microsemi trumps Skyworks' bid for PMC-Sierra (10月19日付け Reuters)

◇PMC-Sierra says Microsemi offer may lead to "superior proposal" (10月20日付け Reuters)

SanDiskの身売り検討については、Micronか、あるいはWestern Digitalかとされていたが、結局Western Digitalによる買収合意発表となっている。
Western Digitalには先月、中国政府が支援するTsinghua Holdingsが15% stake買収合意に至っている。また、SanDiskは東芝とフラッシュメモリの提携関係にあり、絡み合う構図となっている。

◇Western Digital in advanced talks to acquire SanDisk: sources (10月19日付け Reuters)

◇SanDisk Said in Advanced Talks to Sell to Western Digital-Sources: SanDisk, Western Digital accelerate deal talks (10月19日付け Bloomberg)
→SanDiskが、Western Digitalとの買収の話し合いで有利な立場にあり、今週取引の可能性がある旨。

◇Report: SanDisk in acquisition talks with Western Digital (10月19日付け Fortune)

◇Western Digital to Buy Memory Chip Maker SanDisk for $19 Billion-Western Digital seals $19B deal for SanDisk (10月21日付け The New York Times)
→Western Digitalが、cashおよび株式約$19 billionでのSanDisk買収に合意、該取引は、株主およびregulatory承認を経て来年の第三四半期に完了する見込みの旨。

◇Western Digital announces acquisition of SanDisk (10月21日付け ELECTROIQ)

◇Western Digital to Buy SanDisk for $19 Billion (10月22日付け EE Times)

◇Western Digital announces acquisition of SanDisk (10月22日付け DIGITIMES)

◇サンディスク、米WDが買収、2.2兆円、東芝との関係は継続 (10月22日付け 日経)
→米ハードディスク駆動装置(HDD)大手、ウエスタン・デジタル(WD)が21日、米メモリーカード大手、サンディスクを買収すると発表、買収総額は$19 billion(2兆2800億円)。サンディスクが手掛けるNAND型フラッシュメモリを事業領域に加え、記憶装置に使う部品を総合的に手掛ける体制を整える旨。サンディスクが東芝と進める合弁事業は継続する旨。
これまた驚かされる動きであるが、半導体製造装置業界のそれぞれ4位と5位、Lam ResearchがKLA-Tencorを買収する動きが以下の経緯である。

◇Lam Buys KLA-Tencor As Chip-Sector Deals Mount-Lam Research will buy KLA-Tencor for $10.6B in IC gear tie-up (10月21日付け Nasdaq.com/Dow Jones Newswires)
→Lam Researchが、cashおよび株式$10.6 billionでのKLA-Tencor買収に合意、この半導体製造装置サプライヤ大手2社の合併は、regulatorsおよび株主の承認を経て2016年半ばに完了見込みの旨。

◇Lam, KLA May Leapfrog Applied-$10.6B deal combines process, control (10月21日付け EE Times)
→Lam Research社とKLA-Tencor社の$10.6B合併計画の発表を受けて、アナリストの1人は宿命のライバル、Applied Materialsを上回るとして、該取引を素早く歓迎の旨。該取引は、"原子レベルで歩留りを上げ、変化性を減らすために"LamのプロセスとKLAのプロセス制御システムを合わせる狙い、とLamのchief executiveで合併後のCEOになる運びのMartin Anstice氏。

◇Lam Research to acquire KLA-Tencor (10月21日付け ELECTROIQ)

◇UPDATE 2-Lam Research to buy KLA-Tencor in $10.6 bln deal (10月21日付け Reuters)

◇Lam to buy KLA-Tencor for US$10.6 billion (10月22日付け DIGITIMES)

◇米ラムリサーチ、1兆円超で米KLA買収、半導体装置2位へ (10月23日付け 日経産業)
→半導体製造装置で世界4位の米ラムリサーチが、同5位の米KLAテンコールを106億ドル(約1兆2700億円)で買収すると発表、米ガートナーの調査によると2014年の両社の合算シェアは17.8%と、首位の米アプライドマテリアルズの18.6%に迫る第2位となる旨。今後、規制当局などの承認を経て2016年半ばに統合手続きが完了する予定の旨。

◇Lam Deal Leaves Open Questions (10月23日付け EE Times)
→Lam ResearchによるKLA-Tencorの$10.6 billion買収提案は、今年の半導体M&A洪水の渦中、良い取引の1つとアナリストから大方は承認を得ているが、なお該取引はいくつかの答えられていない疑問を引き起こしている旨。

さらに、On Semiconductorによる買収が見られている。

◇On Semi Acquires Swiss RF Chip Firm (10月19日付け EE Times)
→On Semiconductorが、sub-gigahertz radio半導体ベンダー、Axsem AG(Duebendorf, Switzerland)を買収の旨。

これは移した開発事業が戻ってきたという内容であるが、ARMの買収の動きである。

◇ARM Takes Back SoC Tool & Designers from Carbon (10月20日付け EE Times)
→ARMが、Carbon Design Systemsの製品portfolioなどビジネスassetsを買収、ARMに移るCarbonのスタッフが含まれる旨。2008年に、CarbonはARMとARMのSoC Designerツール開発を継承した取引の経緯がある旨。

◇ARM Buys Carbon-Deal allows ARM to create virtual prototypes for performance and power analysis of its cores.-ARM acquires Carbon Design's assets and products, hires staff (10月20日付け Semiconductor Engineering)

中国国内での動きということでいくつか。台湾のファウンドリー、Powerchipによる12-インチウェーハfabの起工式についてである。

◇Powerchip fab construction to begin in China-Powerchip to break ground on a 12-inch fab in China (10月19日付け DIGITIMES)
→台湾のPowerchip Technologyが投資しているHefei, China(安徽省合肥市)の新しい12-インチウェーハfabの起工式が、10月20日に行われる旨。2015年半ばにPowerchipは、Hefeiでのウェーハファウンドリー出資に向けてHefei Construction Investment and Holdingと合意に達した旨。該ファウンドリーは、0.15-μm, 0.11-μmおよび90-nm製造プロセスの12-インチfabであり、当初はLCD driver ICs向けの旨。

◇Construction of Powerchip JV fab in China begins (10月20日付け DIGITIMES)
→台湾のファウンドリー、Powerchip Technologyと中国の安徽省合肥市政府(Hefei city government of China's Anhui province)が10月20日、主にLCD driver ICs向け12-インチウェーハファウンドリーサービスを提供するCNY13.5 billion($2.1 billion)合弁会社の起工式を行った旨。

3D NANDフラッシュメモリについて、最も先行して中国・西安で生産しているSamsungの現下の生産額が表わされている。

◇Samsung Xian fab generates CNY11.51 billion in January-August output value, says China paper (10月20日付け DIGITIMES)
→中国紙、Xian Daily発。SamsungのXian(西安), Chinaにある12-インチウェーハfabの2015年1-8月生産額総計がCNY11.509 billion($1.81 billion)となり、2015年全体ではCNY15 billionに上る見込みの旨。Samsungは、2014年5月に該メモリ製造ラインがfull-scale製造operationsを開始と発表、ここではSamsungの先端NANDフラッシュメモリ半導体、3D V-NANDを製造、としている旨。

Intelも大連のfabでのsolid state drives(SSDs)および3D NANDの生産の動きが表わされている。フラッシュメモリはMicronと連携しているだけに、実態把握にはもう少しという受け止めがある。

◇Intel to Manufacture 3D NAND in China (10月21日付け EE Times)
→Intel社(Santa Clara, Calif.)が火曜20日、同社solid state drives(SSDs)用3D NANDフラッシュ作りのために中国の同社fabへの装置&装備に最大$5.5 billion充てる旨。中国東北部、大連市(Dalian)にあるfabでの3D NANDの最初の生産は、2016年後半に始まる予定の旨。この3月にIntelとパートナー、Micron Technology社は、共同開発した3D NANDを世界最高密度フラッシュメモリと発表、競合するNAND技術よりも容量の高いストレージデバイスを作り出すためにデータストレージcells層を垂直に重ね合わせている旨。該デバイスは多分、Micron fabsで作られることになる旨。

もう1つ、Marvellが絡む蘇州での協業である。

◇Marvell, Longsys partner to make SSDs (10月22日付け DIGITIMES)
→Shenzhen Longsys Electronicsが、SSDs製造およびSuzhou(蘇州)の同社実装工場でのSSDs生産ライン設立で、半導体プロバイダー、Marvellと連携の旨。MarvellはLongsysに、SSDsコントローラ半導体並びにLongsysがアルゴリズムおよびプロトコルを開発、取り入れるための半導体ソリューション・ソースコードを供給する旨。

鳴り止まない半導体業界のM&Aおよび中国がどう動いているのか、今時点の全体的な見方が以下いくつか表わされている。

◇Chip Makers Swept by Wave of Consolidation-Semiconductor firms have announced $100.6 billion in mergers and acquisitions this year (10月18日付け Wall Street Journal)

◇Historic era of consolidation for chip makers (10月19日付け ELECTROIQ)
→Wall Street Journalの最近の記事。半導体メーカー間の歴史的な統合時代を迎えているが、この市場統合の理由は業界にとって比較的新しく、成長鈍化およびコスト上昇である旨。過去には半導体メーカーは新技術獲得に向けて買収を行った旨。

◇Spate of Deals Reshape Chip Industry-Western Digital offers $19 billion for SanDisk; Lam Research to buy equipment maker KLA-Tencor-How M&A is changing the high-tech landscape (10月21日付け The Wall Street Journal)
→アナリスト筋の見方として、今年の半導体分野における相次ぐmerger and acquisition(M&A)の大きな動きは、規模の経済の達成そして急速に変化する業界での競争力の維持という考え方が主因の旨。Dealogicは先週、2015年これまでの半導体関連M&A取引の総額が$100.6 billionとする一方、Thomson Reutersは2014年総額$37.7 billionに対しこれまでで$108 billionと見積もっている旨。

◇Aging tech firms suddenly look spry at M&A shindig (10月21日付け Reuters)

◇What China Is Planning-With about $120 billion in funding at its disposal, China is looking to buy key technologies it doesn't already have.-Analysis: How China will go its own way in semiconductors (10月21日付け Semiconductor Engineering)
→Gartnerの見方。中国は、同国内半導体業界の構築進展の不足から半導体コンポーネントで$150 billionの貿易赤字に直面、同国はIC生産を高めるために2つの主要initiativesを始めていると特に言及の旨。
“National Guideline for Development of the IC Industry”…2014年6月“Made in China 2025.” …2015年5月

必要な買収はすでに行ったとして、乗り出すことはないとするTI社のスタンスも見られている。

◇TI Staying Above Consolidation Fray (10月22日付け EE Times)
→Texas Instruments(TI)社のchief financial officer(CFO)、Kevin March氏。同社は、現在半導体業界で熱く起こっている統合にすぐに加わる計画はない旨。2011年にNational Semiconductorを買収してたぶんに先行しており、飛び込むよう掻き立てられる理由がない旨。


≪市場実態PickUp≫

【上海のITRI】

台湾のITRI(Industrial Technology Research Institute:工業技術研究院)は、長いお付き合い、馴染み深いが、上海のITRIという対応と思うが、SITRIを以下の記事で目にしている。シリコンバレーに乗り出してのR&D拠点設営であり、上記のM&A戦略とともに今後のスタンスに注目である。

◇Shanghai Seeks ‘More-than-Moore’ in Silicon Valley-“Angel investors like us have stepped up.”-Shanghai institute opens incubator in Silicon Valley (10月19日付け EE Times)
→“More-than-Moore”革新に向けたグローバルな探求の中、Shanghai Industrial Technology Research Institute(SITRI)が、Silicon ValleyにやってきてBelmont, Calif.にハードウェアacceleratorをオープンの旨。SITRIは、SITRI Innovationsと呼ぶincubatorを設計、構築そして最近オープン、“More-than-Moore”デバイスを開発、商用化しているハードウェアentrepreneursをサポートする旨。

◇Sitri launches in Silicon Valley to accelerate innovation in “More than Moore” and IoT technologies (10月20日付け ELECTROIQ)

【MentorのEthernet設計環境】

Mentor Graphicsが、ネットワーキング半導体の設計検証に向けて25Gb, 50Gbおよび100Gb Ethernet対応を備えるVeloce VirtuaLAB Ethernet環境を発表している。以下、関連内容である。

◇Mentor Graphics Speeds Ethernet Verification-15,000 times the speed of simulation (10月19日付け EE Times)
→Mentor Graphics(Wilsonville, Ore)が本日19日、データセンターを用いてEthernet設計をエミュレーションするprotocolを追加の旨。

◇Mentor massively accelerates verification-Mentor Graphics: Networking chips call for lab virtualization (10月19日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Mentor Graphics発。ネットワーキング半導体は、その設計の機能性を検証するためにlaboratory virtualizationが必要になり、そのために同社は、Veloce VirtuaLab Ethernet環境を導入している旨。

◇Mentor Graphics Veloce VirtuaLAB adds protocols for networking designs (10月20日付け DIGITIMES)
→Mentor Graphicsが、25Gb, 50Gbおよび100Gb Ethernet設計サポートを備えるVeloce VirtuaLAB Ethernet環境を発表の旨。VirtuaLABは、従来のIn-circuit Emulation(ICE)で用いられる物理的devicesをvirtual devicesに置き換えて、emulationユーザに向けて完全virtual, block to system level accelerated検証フローなるものを届けるMentor Graphicsのプラットフォームである旨。

【Dell Worldイベント】

半導体業界M&Aの嵐に並行してストレージ大手、EMCにIT業界過去最大という買収を仕掛けているパソコンのDellが、同社年次イベントにて、新興市場向けdesktops、データセンターサーバそしてIoTへの踏み上げた取り組みを打ち上げている。

◇PCs Live, Says Dell with Refresh-Desktops target emerging markets (10月20日付け EE Times)
→低迷するPC市場の渦中、Dellが同社annual Dell Worldイベント(AUSTIN, Texas)にて新興市場向け更新line upを発表、中国、東南アジアおよび欧州の一部に当ててビジネスユーザでの新しい小型システムを目指している旨。

◇Dell Preps Semi-Custom Servers -DSS systems part of expanding cloud bid (10月22日付け EE Times)
→Dellが同社annual Dell World conferenceにて、新しいデータセンターサーバ、Datacenter Scalable Solutions(DSS)を披露、このニュースは、cloud computingにおけるより高い役割を狙って発表されたストレージ大手、EMCに向けた$67 billion入札の数日後の旨。

◇Dell Packs Analytics in IoT Gateway-90-person team does custom IoT engineering (10月23日付け EE Times)
→Dellが、annual Dell World conferenceにてInternet of Things(IoT)に向けてさらに大きな1ステップ、当初は産業自動化および輸送向け analytics組み込みの新しいIoT gatewayおよび新しいcustom IoT技術チームを発表の旨。

【IntelのiPhone攻略】

IntelのAltera対応はじめファウンドリー事業が目立ってきて、アップルのiPhone用プロセッサ生産受託に及ぶのではないか、とSamsungおよびTSMCを刺激する様相が表わされている。

◇Competition within iPhones-Will Intel Shake Samsung's Non-memory Business? (10月16日付け BusinessKorea)
→Intelが急速にファウンドリー事業を強化、Samsung ElectronicsおよびTSMCがより神経質になっている様相の旨。半導体業界expertsが、Intelはすでにファウンドリー事業から年に$1 billion以上の取り引きか、あるいはまもなくそうなると見ている旨。

さらにIntel社内でLTE modem半導体に取り組んでおり、来年のiPhoneに向けてQualcommとの対抗が取り沙汰されている。

◇Intel has 1,000 people working on chips for the iPhone (10月16日付け Venture Beat)
→Intelが今や、1,000人以上をかけて同社お墨付き、7360 LTE modem半導体をもって2016年iPhoneへの供給に取り組んでいる旨。すべてうまくいけば、Intelはmodemおよび新しいApple system on a chip(SoC)の製造の両方を供給する結果の可能性の旨。

◇iPhone 7: Will It Have Intel Inside?-Intel is vying against Qualcomm to develop LTE modem for Apple's iPhone 7. (10月19日付け Information Week)

【シンガポールでの動き】

シンガポール政府の観光スポット、セントーサ島を巡るself-drivingシャトルサービスに取り組む動きである。

◇Singapore Trials Autonomous Public Transport Systems (10月19日付け EE Times)
→シンガポールのMinistry of Transport(MOT)とport operator、PSA社が日曜18日、port terminals間の貨物輸送向けautonomousトラック追従車群走行技術を共同で開発するMoUに調印の旨。MOTはまた、Sentosa Development社およびST EngineeringともMoU調印、Sentosaを横切るself-drivingシャトルサービスを試行する旨。これをもってシンガポール政府は、同国の輸送拡充計画の重要なmilestoneを記す旨。

半導体製造装置最大手のApplied Materialsが、シンガポールのA*Starと組んで先端半導体R&D拠点を設ける計画を発表している。

◇Applied Materials and A*STAR announce new R&D joint lab in Singapore for advanced semiconductor technology (10月19日付け ELECTROIQ)
→Applied Materials社が、Agency for Science, Technology and Research(A*STAR)とコラボ、シンガポールに新しいR&D laboratoryを設立する計画を発表、このS$150 million共同投資は、将来世代のロジックおよびメモリ半導体を製造するための先端半導体技術開発に重点化、高度に熟練した人材に向けて60 jobsを生み出す見込みの旨。

◇Applied Materials, A*Star to set up S$150m lab to make advanced chips (10月20日付け Asia One)


≪グローバル雑学王−381≫

国自体の貧しさと、国内の格差の両方が、貧困層を生み出す原因との分析であるが、せっかくの支援が本当に困っている層に届かない実態などさらに、

『地図で読む「国際関係」入門』
 (眞 淳平 著:ちくまプリマー新書 239) …2015年8月10日 初版第1刷発行

より問題の深層に入っていく。縛りの多さ、使われ方の把握、そしてそれぞれの活かされる領域など、支援のあり方、やり方というものを改めて考えさせられている。


第5章 発展途上国―――貧困は克服できるのか =2分の2=

◆悪い統治の罠――ジンバブエのケース――
・悪いガバナンスの罠の事例として、アフリカ南部、ジンバブエのケース
 →1980年、旧宗主国であったイギリスとの交渉を経て独立
 →独立後の10年間は安定が続いた
 →1990年代に入ると、ムガベ政権の中で指導者たちの腐敗が深刻化
 →3つの大きな政策上の失敗
  …(1)元解放闘争ゲリラたちへの巨額の年金支給
   (2)コンゴ民主共和国(旧ザイール)への4年間にわたる大規模出兵
   (3)白人農家の農地の強制的な接収
  →農業を始めとする自国産業を育てるための大切な資金を浪費
 →1990年代後半、ムガベ政権は、国家財政の危機に
  →急激なインフレが、この国を襲った
  →2006年初頭以降の段階で、物価が、1ヶ月後には11倍程に増えてしまうという異常事態
  →2008年、年間インフレ率はなんと5000億パーセントにも
 →2015年6月、ジンバブエの中央銀行が、ジンバブエ・ドルの廃止を決定
  →米ドルに両替、回収すると発表
・ただし近年では、農業分野での発展が少しずつ始まっている、とも

◆援助は本当に必要か
・先進国や国際機関などから、貧困に苦しむ国や地域に対して、多くの援助が実施
 →政府開発援助(ODA)の供与はじめ
・しかし近年、途上国への援助を巡って起きている議論
 →研究者や実務家など援助に関わる人々から出されている異なる意見
・とはいえ、先進諸国や国際機関などが資金的・技術的な援助をすることで、途上国の経済状況を大きく改善することができるという考え方
 →多くの援助関係者の中核的な思想の1つ

◆援助の多くは意味がない?
・これに対して、ほとんどの援助は意味がなく、有害なものですらある、と主張する論者も
 →せっかくの援助も、本当に困っている貧しい人々には届かない
・西アフリカのコートジボワールのケース
 →インフレを招いた政府の過剰な支出
  …大きな経済的負担を与えた政府の強引な新首都建設
 →1979年から1994年までの間に、この国の平均所得は半分近くに減少
 →援助がいい加減な政策のために使われ、債務の倍増という結果にまで

◆国際機関への批判
・援助を実施する国際機関などのやり方を批判する意見も
 →IMFの例
  …その厳しい融資条件が、融資を受ける途上国の経済に悪影響を及ぼすこともある、との見方
  →IMFによって課された条件が、その国の経済成長には望ましくないこともしばしばある

◆支援する分野を限定する
・その国にとって効果的な開発戦略を考え、援助を含む開発資金をそこに向けて投入することが大切だとする、より現実的な意見も
・資金を配分すべき分野が明らかなもの
 →教育やインフラへの投資
・途上国は、自国の身の丈にあった雇用を生み出す産業に、力をいれるべき、という主張
・貧困をなくすこと、その方法については多くの意見の違い
 →それらの適否を見極めながら、この問題に取り組んでいかなければならない

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