セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

鳴り止まない半導体業界M&Aの嵐、強まる市場パイ縮小の警戒感

|

米SIA発表の世界半導体販売高にもマイナスの色合いが濃くなってきているが、業界最大手、インテルの直近四半期業績発表は、約6割を占めるパソコン用半導体の不振が響いて2四半期連続の減収減益となっている。本年の世界半導体販売高予測も、市場最高を記録した昨年をこんどは下回るという見方も出てきている。市場パイの縮小感が強まる中、この春から吹きまくっている半導体業界のM&Aの嵐は、IT・エレクトロニクスから産業界全体に波及する感じ方もあって、事業体質強化を図るべく世界的に止まることのない勢いを示している。

≪止め処ない波及≫

M&Aの現下の動きとして、まずはインテルがすでに発表しているFPGAのアルテラ買収取引について欧州EUは認可の方向の見方があらわれている。

◇Intel to secure EU's okay for $16.7 billion Altera deal: sources (10月9日付け Reuters)
→本件2人の事情通、金曜9日発。Intel社が、同社にとって最大の取引、Altera社$16.7 billion買収入札についてEUからの認可が得られていく旨。

パソコン業界、ストレージ業界の間のハイテク業界史上最大の買収規模というDellによるEMCの買収の動きが以下の通りあらわれてきている。まだ完了には段階を要し、今後に注目である。

◇Dell to Reveal EMC Purchase on Monday (10月11日付け Bloomberg)

◇Dell/EMC Draw Mixed Reviews-PC slump drives $67B acquisition (10月12日付け EE Times)
→これまでで最大のハイテク買収と見なされる該取引には、今までのところプラスマイナス混じった見方となっている旨。

◇Dell to Buy EMC in Deal Worth About $67 Billion-Dell reaches historic $67B deal with EMC (10月12日付け Bloomberg)
→Dellが、データストレージ・プロバイダー、EMCを$67 billionで買収、EMCのmanagementとモノ言う投資家の間の衝突に終わりをもたらす可能性の旨。該取引はハイテク業界史上最大の買収になり、Dellのfounder、Michael Dell氏は該buyout出資を支援、合併会社のCEOとして留まる計画の旨。

◇Dell agrees $63bn acquisition of EMC (10月12日付け Financial Times)

◇デル、EMCを8兆円で買収合意、IT業界で過去最大 (10月12日付け 日経 電子版)
→米IT大手、デルが12日、投資ファンド、シルバーレイク・パートナーズなどと米ストレージ大手、EMCグループを約670億ドル(約8兆円)で買収することで基本合意したと発表、2016年半ばの完了を目指す旨。IT業界で過去最大の買収となり、法人向けの大規模なITインフラの市場でIBMやヒューレット・パッカード(HP)などと肩を並べる勢力が誕生する旨。ただし、EMCは60日間、他社からこれを上回る条件の買収提案を募る旨。

EMCがある町は、ボストンマラソンの出発点、牧歌的なニューイングランドの雰囲気とのこと。今後の変化によっては騒がしくなりそうである。

◇Daily Report: EMC, a Big Company in a Small Town-Small Mass. town may see changes in sale of EMC to Dell (10月13日付け The New York Times)
→人口約15,000人、state highways 135および85が交差している牧歌的なNew Englandの町、Hopkinton, Mass.にある世界大手ハイテク、EMCについて、Dellへの売却が与えるインパクト。

半導体業界を巡るM&Aとして中国が1つの基軸になっているが、これに加わる動きとして、上海の設計サービス、VeriSiliconが米国のIPベンダー、Vivanteの買収を発表している。

◇VeriSilicon to Acquire Vivante-VeriSilicon agrees to buy Vivante in stock deal (10月12日付け EE Times)
→上海のIPsおよびcustom silicon設計サービス・プロバイダー、VeriSilicon Holdings Co.が月曜12日、Santa Claraのembedded GPU IPベンダー、Vivante社をall-stock取引で買収する最終合意を発表の旨。

◇China firm close to buying Vivante (10月12日付け DIGITIMES)

◇VeriSilicon to acquire Vivante Corporation (10月13日付け ELECTROIQ)

世界にM&Aの食指を伸ばす精力的な動きが続いている中国のTsinghua Unigroupであるが、台湾DRAM業界の人材獲得に動いている件について以下の観測が表わされている。次の≪市場実態PickUp≫にて、マイクロンのサムソン対抗を意識した広島での最先端DRAM量産のアプローチが出てくるが、今後の展開に注目するところである。

◇Tsinghua's Latest Deal Is Adding Chairman of Micron Venture-Tsinghua Unigroup hires chairman of Micron-Nanya joint venture (10月12日付け Bloomberg)

◇米中台半導体3社提携の観測、南亜科技・マイクロン・紫光集団、南亜・高氏が辞任、仲介か? (10月15日付け 日経)
→台湾のDRAM最大手、南亜科技、米DRAM大手、マイクロン・テクノロジー、中国の半導体大手、紫光集団の3社提携の観測が浮上している旨。南亜科技の総経理を辞任した高啓全氏が仲介するとの見方が広がり、同社の株価が上昇するなど業界再編を好感する向きもある旨。うわさは高氏が紫光集団の執行副総裁に就任し、提携を仲介するというもの。高氏はマイクロンと合弁で華亜科技(イノテラ・メモリーズ)を設立し、業界のキーマンとされる旨。6日に個人的事情を理由に南亜科技の総経理を辞任したが、イノテラの董事長(会長に相当)には留任している旨。

吹き止まない半導体業界のM&Aの嵐、引き続いてSanDiskが自らを売りに出す動きが以下の通り見られている。

◇SanDisk Said to Be Working With Bank to Explore a Sale-Sources: SanDisk is in talks with Micron and Western Digital for possible sale (10月13日付け Bloomberg)

◇米サンディスクが身売り検討、米メディア報道 (10月14日付け 日経 電子版)
→東芝とフラッシュメモリの工場に共同投資する米メモリーカード大手、サンディスクが身売りを検討していると13日、米ブルームバーグが報じた旨。旧エルピーダメモリを買収した競合の米半導体大手、マイクロン・テクノロジーに加え、米ハードディスクドライブ(HDD)大手、ウエスタン・デジタルなどが買い手候補に挙がっている旨。身売りには東芝の同意が必要とみられ、サンディスクの時価総額は約120億ドル(約1兆4400億円)を上回る旨。

◇Report: SanDisk Mulls Company Sale (10月14日付け EE Times)

また、Analog DevicesとMaxim Integratedの合併の動きが浮上している。

◇Report: Analog Devices, Maxim in Merger Talks (10月15日付け EE Times)
→Analog Devicesとアナログおよびmixed-signal半導体のMaxim Integrated Products(San Jose, Calif.)の株価が水曜14日後半、両社合併の可能性協議の報道を受けて急に上昇の旨。半導体業界全体に起こっている統合の波の最新の動きの旨。

◇Analog Devices, Maxim Integrated in merger talks - Bloomberg-Report: Analog Devices is in M&A talks with Maxim Integrated (10月15日付け Reuters)

さらにFairchild Semiconductorも売りに出す検討の動きが見えてきている。

◇Fairchild Reportedly in Sale Talks with Infineon, On Semi (10月15日付け EE Times)
→Bloomberg発。computingから産業用、車載electronicsまでの応用範囲に向けたアナログ、mixed-signalおよびパワーICsの製造&サプライヤ、Fairchild Semiconductor International社(San Jose, Calif.)が、同社の買い手を探す手助けにGoldman Sachsを採用、On Semiconductor社およびInfineon Technologies AGなど可能性のある先との話し合いに入っている旨。取引の合意はなく、差し迫ってはいない旨。

このような半導体業界M&Aをどう見るか、関係識者の様々な切り口の突っ込みもまた続いている。しばらくは激動の推移を市場の展開とともに見ていくことと思う。

◇Low cost of money fuelling ‘M&A frenzy’, but will there be a longer term cost? -Mentor CEO ponders the benefits of chip M&As (10月12日付け New Electronics)
→Mentor Graphicsのchairman and CEO、Wally Rhines氏。お金を借りるコストが低く、今年半導体業界にあらわれている$85 billionもの買収を引っ張っている旨。製造の多くはファウンドリーに委託契約されており、該買収が関係するメーカーにとって規模の経済学をもたらすかどうか、疑問視している旨。

◇Chipmakers Fuel Record $76 Billion Deal Frenzy as Costs Rise -Analysis: What's driving the M&A mania in microchips? (10月14日付け Bloomberg)
→大手顧客の減少および自国半導体業界を強化する中国の推進圧力が、半導体メーカーの世界的統合を促す要因にある旨。「半導体業界を見ている誰もが抜け出すか、あるいはずっと大きくなる必要があると言っており、どこを見ても、半導体メーカーたることがますます困難になっている」(Northland Capital Marketsのアナリスト、Gus Richard氏)旨。


≪市場実態PickUp≫

【インテルの四半期業績】

半導体最大手、インテルの2015年7〜9月期業績が発表され、パソコンの低迷を受けて2四半期連続の減収減益となっている。cloudデータセンター用半導体の売上げは伸びているが、これも先々は厳しい見方で、以下に示すTSMCとともに設備投資の削減が打ち出されている。

◇Intel says data center business to grow less than expected (10月13日付け Reuters)

◇Intel's Results Reflect Move to Cloud Computing (10月13日付け The New York Times)

◇Intel Falls on Projected Slowdown in Corporate Server Demand-Intel reports increase in sales of data-center chips (10月14日付け Bloomberg)
→Intelの9月26日締め四半期について、cloudデータセンター用半導体販売高が$4.1 billion、前年同期$3.7 billion、一方、PC用半導体販売高は$8.5 billionに低下の旨。データセンターおよびサーバ用半導体の伸びが近い将来鈍化すると見ている旨。

◇米インテル、7〜9月6%減益、PC向け半導体不振続く (10月14日付け 日経 電子版)
→米インテルが13日発表した2015年7〜9月期決算。売上高が前年同期比0.6%減の$14.465 billion(約1兆7300億円)、純利益が同6%減の$3.19 billion。売上高の約6割を占めるパソコン(PC)向け半導体の不振が続き、2四半期連続の減収減益となった旨。

【厳しさ増す2015年の見方】

2015年の世界半導体販売高予測について、Gartnerが以下の通りマイナスに転じる下方修正を施している。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Sales Expected to Decline 0.8 Percent in 2015; First Revenue Decline Since 2012-Weakness in Key Electronic Equipment Segments, Including Smartphones and PCs, Causes Revenue to Shrink (10月9日付け Gartner)
→Gartner社発。2015年の世界半導体売上げ総計が、2014年から0.8%減、$337.8 billionと見ている旨。これは、該市場が2.6%減少した2012年以来初めての減少となる旨。この予測は、前四半期時点の2.2%増の予測から下方修正の旨。

◇Worldwide semiconductor sales to fall in 2015, says Gartner (10月13日付け DIGITIMES)

専業ファウンドリー市場を取り出すと、IC Insightsでは6%の伸び、それも40-nmよりも微細な先端ノードが引っ張る見方である。

◇Pure-play foundry market to grow 6% in 2015, says IC Insights (10月12日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2015年の専業ファウンドリー市場全体が、6.1%伸びて$44.9 billionの見込み、次の通り増えるのは先端(>40nm) feature sizesで作られるデバイスの売上げに全く依ると見ている旨。
> 40nm市場 $16.1 billion 前年($13.0 billion)比24%増

≧40nm市場 $28.8 billion 前年比2%減

◇Leading-Edge Driving Pure-Play Foundry Growth (10月13日付け EE Times)
→主要専業ファウンドリー4社(TSMC、GlobalFoundries、UMC、SMIC)の≦45-nmの2014年および2015年売上げ推移&予測、下記参照。
http://img.deusm.com/eetimes/2015/10/1328004/Screen-Shot-2015-10-13-at-3.19.03-PM.png

本年の半導体設備投資についても、Gartnerはマイナスに転じる表わし方となっている。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Capital Spending to Decrease by One Percent in 2015-Reductions in Memory Spending Will Result in 3.3 Percent Decline in Spending in 2016 (10月14日付け Gartner)
→Gartner社発。2015年の世界半導体capital spendingが、1%減の$63.9 billionの見通し、前四半期予測での2.5%増から下方修正の旨。
2016年については変わらず3.3%減の見方の旨。

パソコンの低迷に加えてスマートフォンの飽和感が増す現状のもと、TSMCが設備投資の4分の1以上削減するとし、今年のグローバル半導体業界はゼロ成長という見方を発表している。

◇TSMC Slashes 2015 Capex by over 25% to $8 Billion (10月15日付け EE Times)
→今年初めて世界最大のcapital expenditure発表の半導体メーカーとなっていたTSMCが、需要低迷を受けて2015年予算を4分の1以上削減、$8 billionとする旨。TSMCは今年始めcapex計画を$10.5 billion〜$11 billionとしていた旨。

◇TSMC cuts 2015 chip growth forecast to zero (10月16日付け DIGITIMES)
→TSMCが、2015年のグローバル半導体業界の見通しについてゼロ成長に下方修正、同社が今年の半導体市場の伸びを下げたのは3回目の旨。TSMCはまた、2015年ファウンドリーの伸びの予測を6%から5%に下方修正、中国のスマートフォン市場の予想になかった低迷およびグローバル経済の弱含みが、第一四半期以降supply chainでの過剰在庫につながっている旨。

【ASEとSPILの応酬】

台湾そして世界の半導体実装&テスト業界を引っ張るASEとSPILの間の株式を巡る係争であるが、ASEがSPILの臨時株主総会開催の差し止めを求めた訴えは裁判所が却下している。

◇Court dismisses legal action filed by ASE against SPIL (10月14日付け DIGITIMES)
→台湾の地裁が、Siliconware Precision Industries(SPIL)が10月15日に予定している臨時株主総会開催を防ぐよう差し止めを求めるAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)による訴えを却下、SPILは該総会開催に向けて法的手順を踏んでいる旨。SPILは、株主総会を予定通り開催、授権資本の増加およびFoxconn Electronics(Hon Hai Precision Industry)との株式交換合意計画についての承認を求める、としている旨。

一方、SPILはFoxconnとの株式交換に向けて打開策2件を株主に問いかけていたが、これも支持が得られない結果となっている。

◇SPIL fails to gain shareholder approval for tie-up with Foxconn (10月15日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)が、Foxconn Electronics(Hon Hai Precision Industry)との株式交換取引案の実行に必要な打開策2件について株主からの必要な支持を得られなかった旨。SPILは、授権株式の3.6 billion個から5 billion個への増加、および投資制限の増加を提案したが、修正案ともに10月15日のSPILの臨時株主総会で退けられた旨。

SPILはこれを受けて、他のやり方を模索するとしている現時点である。

◇SPIL will continue to work on planned strategic alliance with Foxconn, says chairman (10月16日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)のchairman、Bough Li氏。
Foxconn Electronics(Hon Hai Precision Industry)との株式交換取引について株主からの十分な支持が得られなかった同社は、該取引を実行する他のやり方を探していく旨。SPILは引き続き、Foxconnとの連携がSiP(system-in-package)事業の競争力を高める上で重要な動きであると主張していく旨。

【TSMCとSamsungの微細化前線】

TSMCの中国での16-nm FinFETの旺盛な需要状況が表わされている。

◇TSMC seeing brisk demand for 16nm chips from China-China design firms want 16nm chips, TSMC exec says (10月14日付け DIGITIMES)
→TSMCの中国ビジネス開発、VP、Roger Luo氏。中国のIC design houses約10社がTSMCの16-nm FinFET技術を用いるdesign-inプロセスにすでに入っており、中国での急速な需要の伸びに備えている旨。中国では、モバイルcomputing, ネットワーク通信, Bitcoin miningおよびFPGAなど広範囲の応用に向けて16-nm半導体需要があらわれてきており、先端16-nmノード製造需要は繁盛するIC設計業界を示している旨。

TSMCは来年に備えて、16-nm FinFETの3シリーズ展開を行い、、16FF、16FF+そしてこのたび16FFCを加えるとしている。

◇TSMC rolls out low-cost version of 16nm FinFET-TSMC debuts 16nm FinFET Compact process, a lower-cost version of 16FF (10月15日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、16-nm FinFET製造プロセスの小型低電力版、16-nm FinFET Compact(16FFC)を静かに展開、16-nm FinFET技術の3シリーズをもって、TSMCは2016年のFinFET分野での市場シェア拡大を図っている旨。
TSMCは2014年終わりごろ16-nm FinFET(16FF)プロセスを発表、HiSilicon Technologiesをその最初のclientとしており、次いで2015年前半には16FFプロセスの強化版、16-nm FinFet Plus(16FF+)を高性能半導体ソリューション用に打ち上げている旨。

一方のSamsung、14-nm FinFETを有利にぶつけて、TSMCの中国での顧客に対しリプレースを図っている。

◇Samsung eyeing 14nm chip orders from HiSilicon (10月15日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung Electronicsが、HiSilicon Technologiesに14-nm FinFET生産に向けた価格を安く提示、モバイル半導体受注獲得を図っている旨。HiSiliconはすでにTSMCの主要clientsであり、16-nm半導体を発注している旨。

【マイクロンの広島での最先端DRAM量産】

米マイクロンが、傘下の旧エルピーダメモリの広島工場(広島県東広島市)に設備投資を行って、Samsungに対抗する最先端DRAMの量産基地化を図るとしている。小生もかつては出張で訪れた工場であり、今後の一層目覚ましい展開を願うところである。

◇米マイクロン、最先端DRAMを日本で量産−今後1年で1000億円投資 (10月12日付け 日経 電子版)
→米半導体大手のマイクロン・テクノロジーが、スマートフォンなどに使う最先端の半導体メモリの量産に向け、2013年に買収した旧エルピーダメモリの広島工場(広島県東広島市)に今後1年間で1千億円超を投じて最新設備を導入、来年前半に量産技術を確立する旨。半導体市況は弱含んでいるが積極投資を続け、メモリ世界首位の韓国サムスン電子に対抗する旨。
マイクロンは2016年8月期に前期比4割増の58億ドル(約7千億円)を生産設備と研究開発などに投じる計画、DRAMとNAND型フラッシュメモリの2つの半導体メモリ事業が対象となる旨。

◇「エルピーダ」世界牽引、広島で最先端DRAM量産へ、マイクロン傘下で技術融合、「打倒サムスン」期す (10月15日付け 日経産業)
→2012年2月に破綻した旧エルピーダメモリの広島工場(広島県東広島市)が米半導体大手、マイクロン・テクノロジー傘下で復活してきた旨。メモリ価格が下降局面のいまも果敢に資金を投じ、最先端DRAMの生産技術確立を託す旨。「打倒サムスン」の前線基地として、マイクロンが世界中に持つ工場を引っ張る旨。


≪グローバル雑学王−380≫

貧困問題を抱える発展途上国について、貧困層の実態と国際支援のあり方などを、

『地図で読む「国際関係」入門』
 (眞 淳平 著:ちくまプリマー新書 239) …2015年8月10日 初版第1刷発行

より2回に分けて認識を深めていく前半である。1981年と2008年を比べて世界の貧困層がおおよそ半分に減っているとのこと。大半が中国の経済成長によるものとある。一方では、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国を主に増加しており、「最底辺の10億人」と呼ばれる10億人前後の貧困者が存在している。個々の事例について、次回にわたってその真相に迫っていく。


第5章 発展途上国―――貧困は克服できるのか =2分の1=

◆激減した世界の貧困層
・世界銀行は、世界の大半の国を対象に、貧困状況を調査、公表
 →1981年に約15億人いた貧困層の人々、2008年には約8億500万人にまで減少
 →対象国での貧困者比率は、42%から14%に大きく低下
 (注) 貧困層の定義…1日1ドル未満で暮らす人々を指すことに。2005年当時における1ドルの価値。
・この時期の貧困層減少の大半が、中国とインドの経済発展によるもの
 →中国の貧困層は、約7億1500万人から約9700万人へと激減
 →インドでも、約2億9600万人から約2億4700万人へ、4900万人前後減少
・一方、貧困国の多いサハラ砂漠以南のアフリカ諸国(サブ・サハラ諸国:全48か国)では、貧困層の数が増加
 →約1億6900万人から約3億300万人へと、8割近く増加
 →急テンポで増え続ける人口を支えるだけの経済成長が成し遂げられていない

◆サブ・サハラでも成長が始まる
・過去10年ほどの間に、サブ・サハラを含めた途上国の中でも、発展を始めた国が目立つように
・1億7000万人強というアフリカ最大の人口を抱えるナイジェリア
 →今後さらに経済成長が進んでいく可能性が高い
・着実な経済成長を続けているアフリカ南部のボツワナ
・これらは、国内の天然資源を開発、それを売って外貨を稼ごうという動きが主流
・東アフリカの内陸部にある小国、ルワンダは、情報通信技術(ICT)産業も発展、多くの新興企業が誕生
 →成長の勢いが著しく、「アフリカのシンガポール」とも
・一方、アフリカの多くの国では、治安の悪さという懸念材料

◆バングラデシュの発展
・近年その成長が注目されるバングラデシュの例
 →安価で質の高い製品を作る衣料品(アパレル)メーカーが多数登場、経済が一気に活性化
 →1970年代末に韓国の大宇社が、現地企業と技術提携をしながら、輸出用のアパレル製品の生産を計画したのが大きなきっかけに
・何かのきっかけがあり、それがその国の状況にうまく適合すれば、途上国自身の力で発展を始められることを示すケース

◆最底辺の10億人
・上記の貧困層の数字には、きちんと調べられるのか、いくつかの問題点も
・要するに世界には、今も「最底辺の10億人」と呼ばれる10億人前後の貧困者が存在
 →経済的な貧しさゆえに、多くの苦しみを味わっている

◆発展を妨げる「罠」の存在
・国自体の貧しさと、国内の格差の両方が、貧困層を生み出す原因
・途上国の経済発展を妨げる4種類の「罠」
 …Oxford大学のポール・コリアー(Paul Collier)教授
 →(1)紛争の罠
   …隣国などとの戦争や内戦が、途上国の発展を妨げるケース
  (2)天然資源の罠
   …天然資源があるがゆえに発展ができないというケース
  (3)内陸国の罠
   …輸出入のモノ運びで、周辺国の道路を通らなければならない
  (4)小国における悪いガバナンス(統治)の罠
   …きちんとした経済政策を立案、それを実施する能力のない政府

月別アーカイブ