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世界的に不透明感増す中、引き続くM&A、人員削減、新分野進出の動き

世界経済の不透明感が高まって、半導体の伸長予測においても伸び率予測の下方修正が見え始めている。この春以降の業界のM&Aは、欧米から米中、そして台湾と、引き続いている。そして、半導体およびエレクトロニクスの大手での人員削減の動きが、はたまた目立ち始めてきている。このような規模拡大そして再構築を図る動きと並んで、Internet of Things(IoT)、スマートモバイルの将来技術など、新たな事業の生み出しに向かう動きが続けて見られている。今後に向けた様々なアプローチに注目である。

≪拡大に向けた模索≫

米国連邦準備理事会(FRB)の利上げが世界の注目を浴びたが、世界的な不透明感が増す中、見送られている。年内にもという可能性も残される情勢である。

◇FRB、利上げ見送り、世界経済の不透明感を警戒 (9月18日付け 日経 電子版)
→米連邦準備理事会(FRB)が17日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、焦点となっていた利上げを見送り、事実上のゼロ金利政策を維持することを決めた旨。中国の成長減速懸念など新興国経済を巡る不透明感が強まっている現在の状況への警戒姿勢を鮮明にし、現段階では米利上げで世界的な金融市場の混乱を招くリスクを避け、慎重に内外の情勢を見極める構えを示した旨。

半導体の世界でもスマートフォンの飽和感はじめ停滞要因が見られてきており、Gartnerが本年の伸長予測を引き下げている。key driverの不足が謳われている。

◇Chips Slump as Drivers Falter-Internet of Things won't revive industry (9月16日付け EE Times)
→Gartnerが、2015年の半導体伸長予測について今年2度目の下方修正からここ数週間遠ざかっていたが、このたび0.5%としている旨。短期の問題は昨年第四四半期の過熱からくる過剰在庫であるが、長期的には業界に牽引役が欠けている旨。PCs, タブレットおよびスマートフォンの伸び率が今年すべて低下、2016年以降いくぶん戻す見込みではあるが力強くない旨。
「この業界の先行きは、3つの大きな牽引役が低迷して、伸びの鈍化モードにあり、向こう数年4-7%の伸びを予想、二桁の伸びはない。」(ある業界団体の会合にて、Gartnerの半導体アナリスト、Jim Walker氏)

この春からの半導体業界のM&Aにずっと注目させられているが、現時点のまとめた見方である。

◇米中でも大型M&A進行 (9月12日付け 日経)
→半導体の業界再編は台湾にとどまらず、買収金額が2兆円を超える大型案件が今年に入って相次いで明らかになっている旨。半導体の回路線幅を極限まで縮める微細化によって性能向上を続けてきた「ムーアの法則」が限界を迎え、先端技術の開発競争に取り残される懸念が背中を押す形で再編が進んでいる旨。

◇台湾の半導体、再編加速、メディアテック、アナログIC社買収、日月光半導体、TOB巡り攻防激化 (9月12日付け 日経)
→台湾の半導体業界でM&A(合併・買収)が加速している旨。半導体大手の聯発科技(メディアテック)は今年で4社目の買収を決めたほか、半導体の封止・検査で最大手の日月光半導体製造(ASE)も同業への敵対的TOB(株式公開買い付け)を進行中の旨。世界の半導体市場は成長鈍化が見込まれ、中でもスマートフォンへの依存度が高い台湾勢は厳しい状況、半導体の再編機運が高まる中、台湾発のM&Aは今後も増えそうな旨。

この台湾でのM&A関連の動きが活発になっており、以下の現下の推移となっている。

◇ASE Acquiring of SPIL Is Less Than 5%;SPIL Continues Counteracting (9月11日付け CTIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering社(ASE)に向けてSiliconware Precision Industries(SPIL)のpublic takeoverの取り扱いを受け持っている証券会社、KGI Securitiesが、昨日までで本件の進捗は5%以下の旨。

ASE - SPILに対抗するFoxconn - SPILの構図である。

◇Foxconn, SPIL to complete share exchange on December 1 (9月16日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)が出したステートメント発。
Foxconn Electronics(Hon Hai Precision Industry)とSPILが、戦略的連携および株式交換合意に入って提携関係を完成させることを発表するpress conferenceを16日に行う予定、両社は2015年12月1日に株式交換を完了の見込み、Foxconnの1株をSPILの2.34株と交換、FoxconnがSPILの最大株主になる取引の旨。

双方の応酬が見られている。

◇SPIL finds more reasons to partner with Foxconn, says Lin (9月17日付け DIGITIMES)
→Siliconware Precision Industries(SPIL)のchairman、Bough Lin氏。同社は、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)との水平連携よりもFoxconn Electronics(Hon Hai Precision Industry)との垂直連携の方が良い成果を生み出すと思っている旨。

◇SPIL employees protest against ASE takeover bid (9月18日付け DIGITIMES)
→台湾で、Siliconware Precision Industries(SPIL)の従業員200人以上が18日、Ministry of Labor(MOL) headquarters前に結集、自分たちのjobsがAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)によるSPILのmajor stake獲得で影響を受ける懸念を表明の旨。台湾のBureau of Labor FundsはSPILの約5%をもっており、該従業員は政府にSPIL持ち分をASEに売らないよう求めている旨。

◇ASE acquisition of SPIL shares reaches required minimum (9月18日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)のSiliconware Precision Industries(SPIL)普通株式およびADRs(American depositary receipts)買収が、すでに購入予定の株式最小数を越えた旨。

中国では、SMICとJCETの合弁への投資の動きである。

◇SMIC, China National Fund and Qualcomm sign letter of intent to invest in SJsemi (9月17日付け DIGITIMES)
→Semiconductor Manufacturing International(SMIC)、16日発。同社が、同社とJiangsu Changjiang Electronics Technology(JCET)の合弁、SJ Semiconductor(SJsemi)への総額$280 million出資に向けて、China Integrated Circuit Industry Investment Fund(CICIIF)およびQualcommの子会社とletter of intent調印の旨。該投資は、中国初の12-インチウェーハbumpingライン構築加速、およびSJsemiの生産規模拡大および先端製造capabilities改善の支援に活用される旨。

一方、GlobalFoundries、HPそしてQualcommと、人員削減が目立ち始めている。

◇GlobalFoundries offers buyout to cut jobs (9月11日付け Poughkeepsie Journal)

◇GloFo Employee Buyout Result of Revenue Drop-Analyst skeptical about revenue downturn (9月14日付け EE Times)
→GlobalFoundriesが、ここ9ヶ月にわたるファウンドリー業界の売上げ低迷に伴って、米国従業員メンバーに対し自発的離職programを提示している旨。

◇米HP、最大3万人追加削減、会社分割で (9月16日付け 日経 電子版)
→米IT大手、ヒューレット・パッカード(HP)が15日、2万5000〜3万人を追加削減すると発表、約30万人の従業員の最大1割に相当する旨。HPは11月にパソコン(PC)・プリンター部門と企業向けIT機器・サービス部門を分割、2つの上場会社として再出発する運び、人件費を圧縮、新会社の競争力を高める旨。

◇Qualcomm to slash more than 1,300 jobs in San Diego-Qualcomm trims jobs in San Diego as part of 15% workforce reduction (9月18日付け Las Vegas Sun/The Associated Press)
→Qualcommが、San Diegoで1,300 full-time jobs以上を削っており、他の州でさらに数100削減の旨。

このような情勢のもと、新分野を開拓する努力が一層求められてくるが、この方向で目についた2件である。

◇China, Taiwan-based IC foundries gearing up for MEMS market boom-Foundries turn to making MEMS for connected devices, observers say (9月14日付け DIGITIMES)
→業界観測筋発。中国および台湾のICファウンドリーがこぞって、Internet of Things(IoT)拡大の新しい波が引っ張るmicroelectromechanical systems(MEMS)デバイスの急速な需要の伸びに備えている旨。MEMSセンサ市場はBosch, STMicroelectronicsおよびFreescale SemiconductorsなどIDMベンダーがしているが、巨大な市場ポテンシャルに注目、中国および台湾のICファウンドリーがファブレスclientsと連携、該分野での存在感を拡げている旨。

◇ARM Says To Continue To Invest In Future Technologies For Smart Mobile Devices-ARM bets further on future of mobile devices (9月15日付け RTT News)
→ARM Holdingsが、smartモバイル機器に備えるnetworkingインフラ用サーバ&技術への投資を増やす計画、該投資には、同社が新しい売上げchannelsにつながると期待する補足的技術が入っている旨。


≪市場実態PickUp≫

【TSMCの攻勢】

来年のこととて鬼も笑う余裕なし、TSMCが、Appleの来春始まる次世代A10プロセッサの受託製造を100%獲得という以下内容である。

◇TSMC Wins All Apple's A10 Chip Business, Report Says (9月14日付け EE Times)
→Appleの14-nm FinFET製造パートナーであるSamsungおよびGlobalfoundriesを認可しない動きとなる旨。

◇TSMC secures A10 chip orders from Apple, says report-Report: TSMC will be Apple's exclusive supplier of A10 chips (9月14日付け DIGITIMES)
→最近の中国語Commercial Times発。TSMCが、Appleの次世代A10プロセッサについて2016年3月から始まる量産の独占的サプライヤになる旨。不特定のAppleサプライヤ筋を引用した該記事は、TSMCは、同社16-nm FinFETプロセス技術を用いて作られるA10半導体の生産に向けて社内で開発されたbackend integrated fan-out(InFO) wafer-level packaging(WLP)を提示としている旨。該A10は、2016年第三四半期から第四四半期の間に打ち上げられるiPhone 7シリーズに搭載される旨。

さらに、Nvidiaの次期Pascal GPU製造についてもSamsungを退けて引き続き受けるということで、堅守に向けた攻勢ぶりが目立っている。

◇TSMC beats out Samsung to manufacture Nvidia's Pascal GPU-Report: TSMC gets the nod over Samsung to make Nvidia's Pascal GPU (9月16日付け Digital Trends)
→TSMCが、Nvidiaの次期Pascal GPU製造実施に向けて選ばれる運びの旨。
Samsungからの競合入札を退けて、TSMCおよびNvidiaの20年の関係を続けていく旨。

【インテルの中国支援】

インテルの協力を受けた中国のプロセッササプライヤ、Spreadtrumが、今後以下の製品&拡販を展開、MediaTekおよびQualcommへのインパクトが見込まれている。

◇Digitimes Research: Spreadtrum to push new AP for 2H15, threatening MediaTek and Qualcomm (9月15日付け DIGITIMES Research)
→Digitimes Researchの中国application processor(AP)業界最新レポート。Intelと協力、中国のスマートフォンAPサプライヤ、Spreadtrumが、2015年後半にmid-rangeおよびhigh-end分野に向けて64-bit 8-core 5-mode 4G製品を推進し始める見込み、同社はまた、4Gスマートフォンおよびphone機能搭載タブレットに向けたIntelのSoFIA半導体の中国における公式distributorになる予定、MediaTekおよびQualcommには大きな脅威となる見込みの旨。

さらに新分野での中国の有望な8社へのインテルの出資支援である。

◇Intel Invests $67M Into 8 Chinese Companies, Including Segway Owner Ninebot-8 Chinese firms get part of $67M in investments from Intel (9月16日付け TechCrunch)
→Intelが、中国の8社に計$67 millionを出資、Big DataおよびInternet of Things(IoT)などの領域での応用を狙っている旨。OpenStack-ベースサービスの99cloudおよびAWcloud、smart機器用コンポーネント・サプライヤ、Hampooなどが入っている旨。

【インテルの車載セキュリティ】

世の中ここまで進んでconnected carでのハッカー被害の懸念が高まっているとのこと。インテルが、新たにAutomotive Security Review Board(ASRB)の設立を発表、悪意のある攻撃被害、遠隔制御の危険の排除を図ろうとしている。

◇Intel launches automotive security board to tackle connected car security risks-It is hoped the review board will prompt the inclusion of better defenses in today's connected vehicles.-Connected-car security is focus of Intel panel (9月14日付け ZDNet)

◇Intel forms new ASRB board to tackle connected car security (9月14日付け ITProPortal.com (U.K.))

◇Intel Takes On Car Hacking, Founds Auto Security Review Board-Chipmaker establishes new Automotive Security Review Board for security tests and audits (9月15日付け EE Times)
→car hacking発覚いっぱいの夏を経て、Intelが本日、新しいAutomotive Security Review Board(ASRB)の創設を発表、自動車業界に向けたセキュリティ試験および監査に重点化する旨。現代connected carsが悪意のあるhackersにより攻撃され、遠隔制御される可能性が、セキュリティexperts, 業界stakeholders, regulators, lawmakers, および消費者から最近大きな注目を受けている話題の旨。

【ウェーハfab拠点の内訳】

IC Insightsから、ウェーハ寸法別世界capacityの2019年まで見渡した分析が行われている。450-mmの量産fabはまだ現れず、300-mmが増えていき110拠点に達する一方、200-mmはすでにピークが過ぎたとしている。

◇23 more 300mm fabs by 2019, says IC Insights-IC Insights: Increase in 300mm production fabs projected (9月14日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。世界の量産に向けた300-mmウェーハfab拠点が、2019年までに87から110に増える見込み、200-mm生産fabsについては、ピークの210から昨年末時点で154に減っている旨。

◇Companies maximize 300mm, 200mm wafers; slow progress on 450mm, says IC Insights (9月14日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。ウェーハ寸法別世界capacityは、2014年は300-mmウェーハが席巻、2019年まで増加し続ける見込みの旨。450-mmウェーハ技術の開発努力は引き続きある程度進展するが、2014年における開発速度は大きく鈍化している旨。pilot生産はその1-2年前に始まる可能性はあるけれども、450-mmウェーハを用いる量産は2020年以降の見込みの旨。

【新iPhonesのその後】

9月9日に発表されたばかりのAppleの新製品であるが、中核のA9半導体について中身の1つの見方である。

◇Apple’s A9's, “Hey Siri, Give Us a Hint.”-The drama of the gifted chip (9月14日付け EE Times/Blog)
→AppleのA9半導体にはまだ披露されていないなぞがあり、ほんの僅かの詳細止まり。先週の基調プレゼンで見たdie写真から思い起こすこととして、M9 motionプロセッサがA9 dieに取り入れられていた旨。

肝心の売れ行きであるが、昨年を上回る出だしとしており、始めから中国を入れたことが効く見方となっている。

◇Apple says sales of new iPhones are off to strong start (9月14日付け Reuters)
→Apple社が月曜14日、新しいiPhonesの先行予約受注が昨年前版で最初の週末に記録した10 million台を上回るペースとなっており、アナリストが中国からの売上げを含めたことによるとしている成果の旨。


≪グローバル雑学王−376≫

新興5カ国(BRICS)首脳会議がこの7月ロシアで開催されているが、主として経済での伸びをもとに存在感を高めようとしている新興国の現状を、

『地図で読む「国際関係」入門』
 (眞 淳平 著:ちくまプリマー新書 239) …2015年8月10日 初版第1刷発行

より2回に分けて見ていく前半である。まずは、中国とインド。GDPでアメリカに迫る中国、人口で中国を先々追い抜くインド、と先進各国を揺さぶる勢いと新興国間での軋轢など、国際関係の今後を読むための様々な切り口での見方である。


第3章 新興国 ―――世界を揺さぶる成長力 =2分の1=

◆新興国の経済規模が先進国に追いついた
・2014年4月、世界銀行の発表
 →2014年の国内総生産(GDP)で、中国がアメリカを追い抜くことになる
  →ただし、「購買力平価(PPP:purchasing power parity)」に換算しての数字
 →ドルに換算した「名目上」のGDPでは、中国はアメリカの6割くらい
・2014年のPPP換算のGDP
 →先進主要6ヶ国の合計が、世界のGDPの約32.9%
 →新興国6ヶ国の合計が、世界の約32.3%
 ⇒国際環境の変化の実感

◆中国の成長と「中進国の罠」
・中国の成長は、最高指導者、小平氏の「改革開放路線」(1978年)打ち出しで始まる
 →それまでの体制では考えられなかった政策
  …「生産責任制」の開始、「経済特区」「経済技術開発区」の設置
・その中国経済に近年、訪れている転機
 →中国における労働者の賃金が上昇を続け、周辺の東南アジア各国などと比べて高くなりつつ
 →成長が鈍化してしまう現象…「中進国の罠」
・多くの付加価値のついた、高価でも買ってもらえる信頼性の高い商品やサービス、システムを開発していく必要

◆貿易、援助、経済進出
・中国の指導者たちも、こうした課題を熟知
 →自由貿易協定(FTA)交渉の加速
 →周辺諸国に援助を実施
 →途上国に多数の中国企業や中国人労働者が進出
・中国とアフリカ諸国との貿易額
 →2000年時点で約1兆円、2008年には約10兆円を突破
・中国政府のさらなる世界戦略
 →「2つのシルクロード」構想
  …「シルクロード経済帯(ベルト)」−中央アジアや中東を経由
  …「海のシルクロード」−東南アジア、インド洋を経由
 →「一帯一路」構想
  …「シルクロード基金」−自国拠出の約4兆8000億円
  …「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」−57ヶ国の創設メンバー国で設立
 ⇒該地域の中核国としての役割を担おうとしている中国の姿
・周辺各国・地域を対象に、人民元で貿易決済を行う範囲を広げる試み
 →今後も動向を注視していく必要

◆軍事的要素の強い「上海協力機構」
・中国のより安全保障面を重視した周辺国との協力体制の整備
 →集団安全保障のための政府間組織、「上海協力機構」
  …1996年の「上海協定」締結を経て、中国とロシアが中核
  →2007年8月、「平和の使命2007」と呼ぶ大規模軍事演習

◆中国のこれから
・中国の経済規模、国際的な影響力
 →少なくとも短期的、中期的には成長が続いていくはず
・しかし中国にも、いくつかの弱み
 →1つに、高齢化の急速な進展
  →65才以上の高齢者人口の割合(高齢化率):
    2005年時点 7.5% → 2050年時点 26.1%
     …「一人っ子政策」の影響
・早急に中進国の罠を抜け出し、年金制度や医療保険制度などを整備するという、待ったなしの課題
・さらに中国には、対処を迫られている多くの難題
 →非効率な国営企業の多さ
 →官僚などの汚職の蔓延
 →国内の深刻な経済格差
 →少数民族問題

◆成長著しいインド
・インドでも近年、急速な経済発展
 →従来のインドで続いていた、非効率な「許認可統治」
 →2000年代に入ると、インドの発展を期待する欧米諸国から多額の資金が流入、一気に活気づく
・インドのGDP、2012年の数字
 →インドは約188兆円、日本の約596兆円の約3分の1にまで
・南部のバンガロールなどを中心に、情報技術(IT)産業も盛ん
 →2020年には、バンガロールだけでシリコンバレーを凌ぐ200万人のIT技術者雇用、という予測も
・国連人口部の推計(中位推計)
 →2025〜2030年の間に、インドの人口は中国を追い抜く

◆インドの課題
・インドでも、将来の発展への課題や障害が山積み
 →民間経済の活力を削ぐ非効率で巨大な政府部門の存在
 →縁故資本主義、人々の社会的地位の固定化
 →国民全体の教育水準の低さの指摘も
  …最先端のIT産業などに従事する多くの英才たちがいる一方、最低限の教育すら満足に受けていない膨大な数の国民が存在
・従来の労働集約型産業を、今後さらに発展させ、労働力を吸収していかなければ

◆中国との関係も懸念材料
・中国との関係からくる安全保障上の問題
 →国境問題の存在
  …アルナチャル・プラデシュ(Arunachal Pradesh)州の帰属
   −中国のチベット自治区と接し、インドが実効支配
  …アクサイチン(Aksai Chin)地区の帰属
   −カシミール地方の北東部、中国が実効支配
・中国の「海のシルクロード」構想、別名「真珠の首飾り戦略」も、インドには脅威
 →インドに、自国が包囲される恐怖感
 →インド洋周辺における中国の存在感が、日増しに大きくなってきていることは確か
・核兵器の保有国である隣国、パキスタンとの、長年にわたる確執
 →パキスタンと中国は近年、多くの分野での協力関係

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