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インテルの"3D XPoint技術"を使った試作SSD披露への反応

3週前にインテルとマイクロンの新型メモリ、NANDフラッシュ登場以来の大変革を起こす可能性のノンボラメモリを、年内サンプル出荷、来年には量産と知ったばかりであるが、このほど開催のIntel Developer Forum(IDF)(2015年8月18日〜20日:San Francisco)にてこの次世代メモリ"3D XPoint技術"を用いたSSD(solid state drive)試作製品、「OPTANE」の動作デモが初めて公開されている。インテルらしいオンタイムのお目見えであるが、メモリコントローラやソフトウエアと組み合わせたこの製品の中身詳細は依然不明であり、早速の様々な反応を呼んでいる。

≪不明な部分が多い中身≫

8月18日(米国時間)に初公開された「OPTANE」を受けた各紙の表し方であるが、当初の発表では"3D XPoint"は、現在主流の不揮発性メモリ、「NAND」方式のフラッシュメモリに比べて1000倍高速で、DRAMよりも記録密度が10倍高いとなっている。来年には「OPTANE」の正式打ち上げを約束している。

◇Intel's insanely fast 3D XPoint technology hitting high-speed 'Optane' SSDs next year-Intel will launch the products under a new brand name, Intel Optane. (8月18日付け PCWorld)

◇Intel pledges 2016 launch for 3D XPoint-based Optane-Intel unveils a brand name for its 3D XPoint memory tech (8月19日付け Bit-Tech.net)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏が今回の場にて、Intelは、Micron Technologyとともに開発した3D XPointメモリデバイス技術をIntel Optaneブランドのもとに展開、2016年のOptane打ち上げはconsumerおよびenterprise顧客を目指す旨。

◇Intel、あの不揮発メモリーの動作デモを初公開、SSDを来年投入へ−製品名は「OPTANE」、高速処理を強みに (8月19日付け 日経テクノロジーオンライン)
→米Intel社は、米Micron Technology社と共同開発した次世代メモリ技術「3D XPoint technology」を使ったSSDを試作、IDF15で動作デモを初公開、NANDフラッシュメモリを使ったSSDに比較して、処理速度を5〜7倍高速化できることを示した旨。同社は、このメモリ技術を活用したSSDを2016年にも市場投入する方針も明らかにした旨。高速性を強みに、ビッグデータ処理やヘルスケア分野などへの導入を目指す旨。

早速、3D XPointメモリ半導体に向けた独自固有のインタフェースを明らかにすべきという反応が方々で見られる状況がうかがえる。

◇Intel Memory Bus Draws Fire-SSDs next year, servers in 2017 (8月20日付け EE Times)
→いくつかの筋が、IntelはMicronと共同で開発した3D XPointメモリ半導体に向けた独自固有のインタフェースを広げるべき、としている旨。Intelが今回の場で来年solid-state drives(SSDs)およびシステムメモリモジュールで出荷する該半導体について新たな詳細を発表、このような反応となっている旨。Intelのnon-volatileメモリグループ、general manager、Rob Crooke氏曰く、いわゆるIntel Optane技術には完全な製品を作るために該プラットフォームおよびソフトウェアIPに最適化されたコントローラ&インタフェースが入っている旨。同氏は、Intelのchief executive、Brian Krzanich氏が3D XPointを"ここ30年で最大のメモリおよびストレージのブレイクスルー"呼んだ基調講演の中で話している旨。

肝心のメモリ本体の詳細は以下の通り今後となっている。

◇インテルが5〜7倍高速の半導体ディスク、2016年発売へ (8月20日付け 日経 電子版)
→米Intelは、米Micron Technologyと共同開発した次世代メモリ技術「3D XPoint technology」を使ったSSDを試作、今回の場で動作デモを初公開した旨。NANDフラッシュメモリを使ったSSDに比較して、処理速度を5〜7倍高速化できることを示した旨。同社は、このメモリー技術を活用したSSDを2016年にも市場投入、高速性を強みに、ビッグデータ処理やヘルスケア分野などへの導入を目指す旨。Intelは3D XPoint technologyを使うメモリ製品群を「OPTANE」と名付け、マーケティングを進めていく方針、ウルトラブックなどの携帯機器からサーバ用途まで、幅広い展開を想定する旨。Intelは、3D XPoint technologyで活用するメモリ素子の詳細などは非公開のまま、その理由について同社は、「製品出荷などを優先させるため」としており、今後開催される別の学会などで、言及していくとみられる旨。

今回の披露は、Intelのchief executive、Brian Krzanich氏のIDFでの基調講演で行われているが、その全体概要が以下の通りである。

◇Intel's Krzanich: CEO Q&A at IDF-Embracing the Internet of Things and more (8月21日付け EE Times)
→90分の基調講演を行ったIntelのchief executive、Brian Krzanich氏とのQ&A記事。以下の話題:
 Micronと共同開発した新しい3D Xpointメモリ半導体
 Moore's LawおよびEUV lithographyの見通し
 中国関係
 FPGAメーカー、Alteraを買収する$16.7 billion取引懸案
 DSPsおよびセンサをもっと広く使うことになりそうなPCより先のIntelにとっての新しい方向への考え方

この記事に続くQ&Aの中で本メモリ関連が次の通りとなっている。

EET: 誰もがこの半導体の中身を知りたいところ。3D XPoint materialは何なのか?
Krzanich氏: 本日表わし始めたばかり。高速スイッチ、stacked 3-Dアレイと言っている。phase changeではないかと聞かれ続けているが、bulkの特性を使っていると言っている。phase changeとは少し異なり、そのchemistryは非常に独特。bulk材料特性を使っていることで、純粋なphase changeではない。

思わせぶりな本メモリ技術に引き続き注目である。


≪市場実態PickUp≫

【Intel Developer Forum(IDF)から】

IDFより3D Xpoint関連をまず示したが、その他からまずは、CEO、Brian Krzanich氏の基調講演から今時点の業界模様の表し方である。
IoTはじめ多様なビジネスチャンスに溢れる現時点の見方に立っている。

◇Intel CEO Krzanich Talks IoT, Wearables, Smart Devices at IDF-Intel CEO touts new apps at developer forum (8月18日付け eWeek)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏、火曜18日の基調講演。Internet of Things(IoT)応用およびwearable electronicsにおける同社RealSense 3DカメラおよびCurieモジュールの使用を話し、「computingは今日我々の生活の至る所にあり、変わってきているのはcomputingおよびcomputingの経験が個人仕様になってきていること」の旨。

◇Intel CEO Sees A Bright Future For IoT, Developers (8月19日付け EE Times)
→今回の18日火曜の場で、IntelのCEO、Brian Krzanich氏。今ほど開発者であることが良い時はなく、このようなopportunityの多様性は見たことがない旨。

インテルの'Skylake' CPUについて前々回も取り上げて、果てしない高性能を追及するマニアの期待感があったが、市場全体を見るアナリストには次の受け止めである。

◇Intel Skylake Gets Mixed Reviews-Power advances, performance in question-Praise for power, memory advances-Imaging processing on some SKUs (8月19日付け EE Times)
→次世代14-nm SoC、Skylakeに対してアナリストのプラスマイナスの見方。
いくつかの改善は認めながらも、ほんの数少ない性能metricsしか今日まで該アーキテクチャーについてあらわれていないと特に言及の旨。

人間の目のイメージの捉え方を再現したIntel RealSense Cameraが、セッション聴講者に実際に配られた模様である。

◇Intel RealSense Gets Real-Gives developers tiny 3D cam (8月19日付け EE Times)
→人間の脳は三次元(3D) stereoscopic map上に左右の目からイメージを投影して世界を知覚しているが、Intel社によると同社の小さな3Dカメラおよびイメージ処理半導体がちょうど同じことをやっている旨。Intelは今回の場のセッション"Adding Human-like Senses to Computing Devices with Intel RealSense Camera Family"にて、参加者に同社RealSense R200 3D Cameraを配布の旨。

IoTをテーマとしたモノづくりコンテストを次の通り行うと発表している。
多様なチャンスの発掘である。

◇米インテルがモノづくりコンテスト、ウエアラブルなど対象 (8月19日付け 日経 電子版)
→半導体世界最大手、米インテルが18日、あらゆるものをネットにつなぐ「IoT(インターネット・オブ・シングス)」をテーマにしたモノづくりコンテストを開催すると発表、賞金は100万ドル(約1億2400万円)、身につけられるウエアラブル端末などが対象で、同社が開発したボタン大の超小型コンピュータ、「キュリー」の普及につなげる旨。サンフランシスコで開幕した開発者向け年次会議「IDF」の基調講演で、ブライアン・クルザニッチ最高経営責任者(CEO)が明らかにした旨。15歳以上で米国に住んでいることが応募の条件。

【Rambusの事業シフト】

Rambus DRAM(RDRAM)のIP売り込みに対応したのが1990年代の始めのことか。
そんな覚えがあるRambusが、通信用半導体のファブレスに移行、自身のブランド名でファウンドリーに委託製造する半導体を販売していく、と発表している。M&Aはじめ急激に進んでいる半導体業界の景観変貌を象徴するまた1つに受け止めている。

◇Rambus to Enter Fabless Chip Biz-It's launching a server memory interface chipset (8月17日付け EE Times)

◇Rambus Expands With Its Own Chip Brand-Move is part of company's effort to leave behind business model linked to patent litigation-Rambus moves from patent licensing to selling chips (8月17日付け The Wall Street Journal)
→Rambusが、ビジネスモデルを変更、同社史上初、自身のブランド名で半導体を販売していく旨。我々はflexibleでなければならない、と同社CEO、Ronald Black氏。Rambusは、設計している通信用半導体の製造をSiファウンドリーに託する旨。

◇Tech licensor Rambus to start selling chips under own brand (8月17日付け Reuters)

◇Fundamental Shifts In Chip Business-New business models, acquisitions, investments are changing the semiconductor ecosystem.-Analysis: Big shifts change the chip industry landscape (8月17日付け Semiconductor Engineering)
→RambusによるIP-onlyビジネスモデルから半導体販売への切り換えの決定は、半導体業界の中で進んでいる大きな変化を示している旨。行き渡る業界統合とともに、多くのメーカーが製品portfoliosを埋めるために慌ただしくintellectual property(IP)メーカーを買収している旨。

【GlobalFoundriesの米国fab】

系譜を辿ると注目する要素の多い米国New York州のGlobalFoundriesのfabを見学した記事の概要が次の通りである。AMDの製造部門から出発して最近ではIBMの半導体部門を買収した同社であり、今後の事業展開に注目である。

◇Inside GlobalFoundries' Fab 8 (8月18日付け EE Times)
→233エーカーののLuther Forest tech campus(Malta, N.Y.)にある米国最大の半導体fabsの1つ、GlobalFoundriesのFab 8について。該工場とAlbany近隣の関連リサーチセンターを見て回ると、今やAMD, IBMそしてSamsungという半導体大手のDNAをもち合わせるoperationの内側が目に入る旨。以下の内容:
 Giant fab rides emerging NY tech corridor
 Lots of power, gas, water -- and geese
 On growth markets, EUV and new materials
 A walk through the fab 
  …クリーンルームは無菌、2層の手袋、厚いplastic靴
 A look around the NY tech corridor
  …Albany地域の半導体事業&サービス地図

【M&A懸案アップデート】

立て続けのM&A注目案件、その後はどうかということで、まずはIntelのAltera買収について、今後の方向性のモヤモヤ感が以下の通り表わされている。

◇Should Altera Worry About Intel's M&A Record?-Analysis: How Intel's M&A record offers lessons for Altera (8月17日付け EE Times)
→AlteraのIntelによる買収の後の定めについてはっきりしたことは誰にも分かりはしないが、それまではAlteraの製品、技術ロードマップおよび従業員は明らかにヤキモキである旨。

◇Intel's M&A history: Should it worry Altera? (8月18日付け EE Times India)
→Intelは、Alteraが買収完了後受けるに足る注目を得ることは明らかとしているが、たくさんの懐疑論者がAltera社内外ともにこのIntel-Altera取引に疑いを呈している旨。

Integrated Silicon Solution Inc.(ISSI)の中国投資家コンソーシアムによる買収については、米国では認可に時間かかる一方、台湾では手続きを踏んでスムースに運びそう、とそれぞれ現時点が表わされている。

◇Integrated Silicon Buyout May Close Later Than Expected-Completion now expected late in the third quarter or early in the fourth quarter-CFIUS review delays closing of Integrated Silicon buyout (8月18日付け The Wall Street Journal)
→Integrated Silicon Solution Inc.(ISSI)発。同社のSummitview Capitalはじめ中国投資家コンソーシアムへの売却が、米国Committee on Foreign Investment(CFIUS)の該取引見直しタイミングにより完了が予想より遅くなる可能性がある旨。

◇MediaTek buys ISSI Taiwan subsidiary to enable acquisition of ISSI by Uphill (8月19日付け DIGITIMES)
→業界筋の見方。SRAM半導体ベンダー、Integrated Silicon Solution(ISSI)(米国)のUphill Investment(中国)による買収が、ISSIの台湾子会社、Chingis TechnologyがMediaTekにより事業継承、一層スムースに運ぶ見込みの旨。ISSIは最近、同社が台湾の同社operationsの社内再構築を完了と発表、この結果、除かれるassetsおよび従業員のすべてが子会社、Chingis Technologyに移転され、ISSIはまた、Chingisを$27.1 millionで売却する取り引きをMediaTek Capitalと締結の旨。ISSIのChingis売却は台湾の法制承認に従っており、ISSIのUphill Investmentによる買収完了前にまもなく認可が終わる見込みの旨。

【投資規制の緩和】

台湾の半導体メーカーによる中国における投資について、台湾政府が規制を緩和すると公告、台湾企業単独での300-亶場建設が可能になるとしている。8月下旬にも正式発効の見通しとなっている。

◇台湾、中国への投資規制を緩和 (8月15日付け 日経)
→台湾の経済部(経済省)が14日、台湾の半導体産業に対する中国での投資規制を緩和すると公告、従来は直径300ミリのシリコンウェーハを使った大型の半導体工場建設は中国企業の買収か出資による方式でしか認めていなかったが、台湾企業単独での投資も可能にするなどの内容、8月下旬にも正式に発効する見通しの旨。

◇Taiwan May Ease Rules on Chip Investments in China-Taiwan government might loosen rules on mainland fab investments (8月18日付け EE Times)
→台湾政府が、地元半導体メーカーの中国における半導体事業拡大を支援するようまもなく規制を緩和する可能性、該規制原案は、台湾の半導体メーカーに固有の技術を守るのに重要とする中国で設立する新しい12-インチfabsの単独所有権をもたせる旨。


≪グローバル雑学王−372≫

アジアの国々の国際情勢に翻弄された推移と我が国の繋がりについて、

『「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質』
 (松本 利秋 著:SB新書 301) …2015年5月25日 初版第1刷発行

より見ていく後半である。タイのプミポン国王の波乱の経歴と象徴としての役割、韓国にも中国との間にある領有権問題、そして国際社会を生き抜くための中国と北朝鮮の微妙な関係、とパワーバランスの中で揉まれる経緯が表わされている。


第四章 歴史を通じて深く繋がる日本とアジア =2分の2=

■東南アジアで唯一植民地にならなかったタイ国 …後半

◇アメリカナイズしたタイ王室
・第二次世界大戦が終わって、独立した周辺国が共産化していくという混乱状態に陥っている中、タイ国はまったく独自の体制
 →タイ国の現国王の存在が大きく影響
・第二次世界大戦後、タイ国は反共・親米国家としての国内整備を急速に推進
 →中でも特筆すべきは、タイ王室のアメリカナイズ
・王室改革のきっかけは、19才の弟のプミポン殿下が国王として即位したこと
 →タイ王室で初めてアメリカで生まれた王族に
・プミポン殿下はスイス留学中の1948年、カー・レースで事故、右眼摘出という重傷
 →その時、介護したのがタイ国駐フランス大使の娘であったシリキット
・兄が事故死、スイスで王位を継承したプミポン国王は、シリキットを王妃として伴ってタイに連れ帰る前後から、二人が結婚に至るエピソードが国民の間に流布
 →タイ国民がアメリカ風の人間観を心地よいものと受け入れる素地
 →1960年、国王はベニー・グッドマン・ジャズ・オーケストラと共演
・タイ国政府も、タイが国を挙げてアメリカ文化を慕っていることをアメリカ国民に提示するという、実に手の込んだプレゼン
・日本の皇室も、アメリカナイズされた「開かれた皇室」を演出

◇国王は国民の中に入り象徴としての役割を示す
・1957年9月16日、タイ国ではサリット・タナラット(Sarit Thanarat)将軍のクーデターが成功、政権を掌握
 →その主張は、伝統社会の価値観に基づいた国家観、政治観を基礎
  →国民統合の象徴として、国王の存在を重要視
・プミポン国王とサリットは、地方開発の推進と王権を否定する共産主義に対抗することでは共通の認識
・国王はタイ民族同一化の象徴、政治過程や権力構造にも大きな関わりを持つように
・タイ国では、1970年代から新政治勢力が台頭、権力構造の変動が起こる
 →国王は、各政治勢力間の争いの調停役、政権担当者を選択するという役割
・1927年生まれのプミポン国王は高齢
 →タイの今後を考えると、変化の時期が訪れようとしている

■中国にすり寄る韓国の知られざる深刻な領有権問題

◇韓国が領有した離於島
・竹島ともう1つ、韓国領とされた韓国名「離於島(イオド)」
 →実際には海面下にある岩礁
 →ナショナリズムが高揚していた盧武鉉(ノムヒョン)政権下の2003年、海洋科学基地を建造
・尖閣問題では、世界有数の海上警備力をもつ日本でさえ、懸命な対処を強いられている実情
 →もし離於島が同じ状況に直面した場合、韓国には対処し得る海軍力も経済的余力も存在しない

◇韓国が中国にすり寄る理由
・2013年6月27日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は、これまでの慣習を破って日本を飛び越し、中国を訪問、習近平主席と会談
 →伊藤博文を暗殺したテロリスト、安重根(アンジュングン)の記念碑を、中国国内に建設することに同意、一層の反日を煽り立てた
・経済的側面も中韓接近の重要な要因、加えて、離於島を巡る問題が加わってきたという、パワー・バランスの変化も極めて切実な要因
・全面的に中国にすり寄り、中国の力を借りて北の脅威を取り除き、同時に離於島問題を緩和するという方向に舵を切ったと見るべき
・現実的には、日韓間の人的交流がすでに年間500万人超
 →これほどの大規模交流に至りながらも、領土問題や歴史問題を含めたさまざまな問題を巡る状況は悪化の一途
・韓国がパワー・バランスを保持するための選択肢として、中国に傾斜していくことは止めようがない

◇日本に敵対する中韓の連携
・軍事的な観点に立つ限り、韓国に対して日本の役割は極めて重要
 →韓国防衛を担う在韓米軍にとっても、必要不可欠な存在
・国際法の原則に従えば、攻撃を受けている側から援護要請があって、初めて集団的自衛権の行使の前提条件が満たされる
 →ある特定の国から援護されたくないという自由も
・歴史的に見ても、朝鮮半島の安全保障は、日本の安全にとって重要
 →日本の安全保障は一貫して朝鮮半島と連動していると見てきたのは明らか
 →しかし、韓国がこのような感覚を共有しているかは、はなはだ疑問
・論理的には日本にはロシアとの連携が効果的だという結論が導き出される

■逆さ地図から見える北朝鮮を巡る国際情勢の真実

◇東西対立の最前線となった北朝鮮
・北朝鮮を中心にして地図を逆さまに見ると
 →かつては中ソ二大社会主義国に挟まれ、北朝鮮が社会主義国になるのはごく自然の成り行き
・第二次世界大戦直後の北朝鮮では、GDPは韓国をはるかに引き離していた
・1950年6月に始まり、1953年7月27日に休戦を迎えた朝鮮戦争
 →いまだに軍同士の睨み合い
 →韓国にいまだに徴兵制

◇中国が外交カードにする北朝鮮
・中国にとって北朝鮮は、国際的な窮地に陥った時には、それをチャンスに変えることができる絶好の外交カードに
 →本質的には中国は北朝鮮問題の根本的な解決を望んでいないという構図
 →北朝鮮も、生き残り策として瀬戸際外交と呼ばれる数々の乱暴な外交政策を執ってきた

◇まだまだ遠い北朝鮮問題の解決
・2003年8月から北朝鮮の核問題を解決するために、日本、アメリカ、中国、ロシアと韓国、北朝鮮からなる6ヶ国協議
 →北朝鮮にとって六者協議は、一息つける時間稼ぎの場、国際社会からの孤立化を避ける場とも
・中国は北朝鮮の暴走をたしなめ、大国としての責任を果たすポーズを採り、北朝鮮は一時的にはそれに従う態度
 →中国が国際社会でピンチになった時には、暴走するという行為の繰り返し
 →互いに国際社会を生き抜こうとしている

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