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新たな激変のうねりに立ち向かう各国半導体業界の動き

中国のTsinghua UnigroupがMicron Technologyに買収攻勢をかけている件、あり得ないとする見方が大方のなか、依然くすぶりを見せている。M&Aの荒波にこの春から大きく揺れる一方、スマホそして中国市場の飽和感が日々色濃くなってきて、各国半導体業界から新たなフェーズの激変を乗り越えるべく警戒感に満ちたメッセージが表わされている。韓国、台湾はやはり中国の動きへの反応であるが、世界の半導体業界を引っ張る米国からは、政府との連携を一層密にする具体的な会合の場を打ち上げて、革新そして市場における優位性、主導性をさらに高めるという取り組みが打ち出されている。

≪それぞれのアピール≫

Tsinghua UnigroupのMicron Technology買収の件について、その後の動きそして見方の余韻が続いている。まずは、韓国である。

◇China's chipmaking bid-How Chinese chip designer consolidation could strain Korean chipmakers (7月19日付け The Korea Times (Seoul))
→Korea Times opinion piece発。中国のTsinghua UnigroupによるMicron買収の可能性が、韓国半導体市場、特にSamsungおよびSK Hynixを痛める可能性があるが、該取引は厳格な法規制の障壁に必ず直面する旨。

米国では、非現実とする見方が繰り返されている。

◇Exclusive: Micron does not believe deal with Tsinghua is possible -sources-Sources: Micron deal with Tsinghua is unrealistic (7月20日付け Reuters)
→本件事情通発。中国が支援するTsinghua UnigroupがMicron Technologyを買収する$23 billion入札は、国家セキュリティ懸念の渦中米国当局が阻止する情勢、非現実である旨。

台湾からは、双方交渉に入ったものの物別れ、と以下の具体的な中身を伝えている。

◇Micron, Tsinghua once in tie-up talks, say sources (7月22日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Micron Technologyと中国のTsinghua Unigroupは、commodity DRAM事業における連携の可能性について交渉していたが、コンセンサスに至らなかった旨。この交渉では、MicronはTsinghuaと分け合う生産capacityを巡って絶対的な支配を望んだ一方、中国政府が支援するTsinghuaはMicronのもつkey DRAM技術をもちたいとし、Micronの製造パートナーになることには興味がなかった旨。

Micron買収となると最も穏やかでないのがメモリで世界をリードする韓国ということになるが、韓国政府および業界団体ははなからあり得ないこととして危機意識がまったくないと韓国紙の記者が以下の通り表わしている。1990年代の日本勢が席巻した頃に話が及んでいる。

◇【取材手帳】半導体の危機、まだないという韓国政府 (7月22日付け 韓国・中央日報)
→中国の国営企業の紫光集団が世界3位のメモリ半導体企業、マイクロンを買収すると15日に提案した。もし実現すれば、韓国のメモリ半導体業界は大打撃を受けかねない。政府と半導体協会に対応案などについて問い合わせた。協会関係者の返事は簡単だった。「米国が産業セキュリティー問題でマイクロンを中国に売らないと結論を出し、さらに多くの議論はしていない状態。」・・・・・
こうした雰囲気について、ある業界関係者は「20年前を考えてみなさい」と助言した。1990年代後半でさえ世界の半導体企業10位以内に日本企業はNECなど5社がいた。今は東芝(7位)、ルネサスエレクトロニクス(10位)だけだ。日本企業の空席は韓国企業やクアルコムなどのモバイル時代を先導した企業が占めた。今後20年後に世界10位の半導体企業からサムスンやSKハイニックスが消えて中国企業らがその場を埋めるかと思うと、今からめまいがする。

Tsinghua Unigroupの親会社であるTsinghua Holdingsのトップからは、Micronの件は話し合いを続けている、と台北でのコメントとなっている。

◇Tsinghua Holdings chief says still in Micron talks, hopeful on deal-Tsinghua chairman: We're still talking to Micron about a deal (7月23日付け Reuters)
→Tsinghua Unigroupの親会社、Tsinghua Holdingsのchairman、Xu Jinghong(徐井宏)氏、木曜23日のCommonWealth Economic Forum(台北)の場にて。中国のTsinghua Holdingsは米国半導体メーカー、Micron Technology社を買収する取引の可能性を依然話し合っており、やがてうまくいく可能性を期待している旨。

Tsinghua - Micronの件から離れて、台湾政府が、中国のsupply chain進出について警戒のメッセージを台湾業界に向けて発している。

◇Taiwan IT industries facing challenges from China supply chains, says MOEA (7月21日付け DIGITIMES)
→台湾のMinistry of Economic Affairs(MOEA)が警告、IC設計、LCDパネル(タッチスクリーン)、カメラモジュール、電池およびシャーシーなどいくつかの台湾のIT関連業界が、中国のsupply chainメーカーからの重大な挑戦に直面している旨。

世界の半導体業界をリードする米国SIA(Semiconductor Industry Association)からは、米国半導体業界およびAmericaの強化を謳って恒例のようにアピールのメッセージを出しているが、今年は業界の新たな激変も影響してか、米国議会の議員4人を入れたCongressional Semiconductor Caucusなる場を以下の通り打ち上げている。

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○SIAがCongressional Semiconductor Caucus(議会半導体政策決定会合)打ち上げを賞賛−半導体業界およびAmericaの強化について議会に知らせる会合 …7月22日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、Congressional Semiconductor Caucus(議会半導体政策決定会合)の打ち上げを賞賛した。SIAは、火曜21日夕Capitol Hill(米国連邦議会議事堂)でのレセプションにて該会合のメンバーを承認、そして該会合のco-chairs, 上院議員のJames Risch氏(R-Idaho), 同じくAngus King氏(I-Maine), 下院議員のPete Sessions氏(R-Texas), そして同じくZoe Lofgren氏(D-Calif.)に敬意を表した。

「半導体は、Americaの科学技術および経済の力強さ、国家安全およびグローバルな競争力の基礎を形成している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「このCongressional Semiconductor Caucusは、半導体業界そして我々の国家を維持し強化する政策を進めるために考え方を共有、協力して働くよう議会メンバーおよび業界professionalsに向けて場を与えるものである。我々は、上院議員のRisch氏, King氏, 下院議員の氏Sessions, そしてLofgren氏が該会合を導き、成長および革新を推進する政策をじっくりサポートすることを賞賛する。」

半導体は現代エレクトロニクスの頭脳であり、我々が仕事をし、通信を行い、旅行し、楽しみ、エネルギーを利用し、病気を扱い、そして科学的発見を行うのに用いられる無数多様なデバイスを可能にしている。SIAは、米国半導体業界の代弁者であり、Americaの半導体生産の80%を占めるメーカーを1つにしている。

半導体業界は、米国で約25万人の人々を直接に雇用、100万以上の追加の米国jobsを支えている。2014年に米国半導体メーカーからの販売高は、グローバル半導体販売高全体、$336 billionの半分以上を占めている。半導体は、航空機および自動車に次いでAmericaの3番目の製造輸出品である。該業界は、高度にresearch-intensiveであり、年間R&Dに売上げの5分の1を投資、他の業界を上回るものである。

「半導体業界においてそしてハイテク分野にわたって、革新というものは業界の科学者およびエンジニアの懸命な仕事と発明の才を通して可能になり、連邦政府からのスマートな公共政策が助けとなる。」とNeuffer氏は言う。

「SIAは、自由貿易および市場開放を促進する政策を進め、Americaの税体系の近代化を図り、Americaの技術workforceを強化し、大学リサーチを進め、そしてintellectual propertyを保護するなどを優先して、Semiconductor Caucusのメンバーとともに働くことを期待している。」

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◇SIA commends launch of Congressional Semiconductor Caucus (7月22日付け ELECTROIQ)

内容的に新鮮味を感じるものはないが、従来の主張を繰り返し積み重ねて国を挙げた半導体というものへの意識高揚を図る取り組み、行動力にいつもながら評価させられている。

≪市場実態PickUp≫

【スマホ&タブレット用プロセッサ市場】

2015年第一四半期のスマートフォンおよびタブレット用のアプリ・プロセッサについて、グローバル市場のデータがStrategy Analyticsより表わされており、伸びる前者、減少する後者と対照的。また、次にも示すQualcommの厳しい状況も数字が示すところとなっている。

◇Smartphone Processor Sales Climb, Players Ranked (7月23日付け EE Times)

◇Smartphone AP revenues jump 20% in 1Q15, says Strategy Analytics (7月23日付け DIGITIMES)
→Strategy Analytics発。2015年第一四半期のグローバルスマートフォンapplications processor(AP)市場が$5.3 billionに達し、手堅く前年同期比20%増。トップ5ベンダー、次の通り:
 Qualcomm    シェア 47%   前年同期シェア 55%
 Apple         16%
 MediaTek        15%
 Samsung LSI
 Spreadtrum

◇Tablet AP revenues decline in 1Q15, says Strategy Analytics (7月23日付け DIGITIMES)
→Strategy Analytics発。2015年第一四半期のグローバルタブレットapplications processor(AP)市場が$733 million、前年同期比6%減。トップ5ベンダー、次の通り:
 Apple     シェア 28%
 Qualcomm        19%
 Intel         16%
 MediaTek
 Samsung LSI

【Qualcommにおける激変】

スマートフォンの伸びの鈍化、特にhigh-end機種の停滞が市場でよく言われるようになってきているが、モバイルプロセッサの最大手、Qualcommにして次の通り事業再構築そして人員削減に備える話のトーンが具体的に強まってきた。

◇Qualcomm preparing to lay off several thousand employees: tech website (7月20日付け Reuters)

◇Qualcomm to Conduct Strategic Review, May Consider Breakup-Chip maker may also look at returning more cash to shareholders after activist investor presses for change-Qualcomm said to eye a breakup option, plan layoffs (7月20日付け The Wall Street Journal)
→Qualcommが、解体分離などいくつかの戦略的選択肢を検討しており、物言う株主、Jana Partnersからの変えていく圧力に直面している旨。また、水曜22日のearnings callにて、Qualcommは同社30,000人の従業員の10%以上を削減する計画を示す見込みの旨。

◇With Smartphone Market Maturing, Qualcomm Plans To Cut Thousands Of Employees (7月20日付け Forbes)

それから間を置かずして、直近四半期の大きく落とした業績発表、そして5000人規模の人員削減施策が打ち出されて、現下の市場の激変の度合いを浮き彫りにする形になっている。

◇Qualcomm Plans 15% Layoffs-Amid cellular slump, 4,700 may lose jobs (7月22日付け EE Times)
→Qualcommの第三四半期売上げが$5.8 billionで、前四半期比$1.1 billion減、前年同期比$1 billion減。net profitが前年から47%と非常に大きく落として$1.2 billionの旨。

◇Digitimes Research: Qualcomm to cooperate with Microsoft, Allwinner for entry-level mobile device market (7月22日付け DIGITIMES Research)
→Digitimes Research発。Qualcommが、低コストWindows Mobile 10製品打ち上げでMicrosoftと協力する一方、connectedタブレット向け3G/4Gソリューション打ち上げでAllwinner Technologyと協力、entry-levelモバイル機器市場でのシェアを上げる狙いの旨。Qualcommは、2014年に中国の4G LTEソリューション市場の約80%を占めたが、MediaTekおよびSpreadtrum Communicationsからの競合モデルの展開、並びにmid-rangeおよびhigh-endソリューションの運用におけるQualcomm自身の災難もあって、2015年の始め以降シェアが大きく低下している旨。

◇米クアルコム、社員の15%4700人削減、スマホ市場で減速−4〜6月47%減益 (7月23日付け 日経 電子版)
→米半導体大手クアルコムが22日、社員全体の15%に相当する4700人程度の人員削減など総額14億ドル(約1700億円)のリストラ策を発表、収益性の低いチップ販売の事業切り出しも検討する旨。スマートフォンの頭脳、通信半導体で覇権を握るクアルコムも、市場の成熟で改革を迫られている旨。
同日発表した同社の4〜6月期の決算は、売上高が前年同期比14%減の$5.832 billion、純利益が同47%減の$1.184 billion。大口顧客の韓国サムスン電子の新型スマホ向けチップの受注を失ったのが引き続き響いた旨。

【トップ10常連の業績】

半導体販売高ランキングで昨年のトップ10の二番手グループに入る顔ぶれの業績発表が続いているが、まずは台湾のMediaTek。上記のQualcommに通じるところがあるが、今年の通年出荷数量目標の下方修正を行う雲行きである。

◇MediaTek likely to cut shipment target for 2015 (7月20日付け DIGITIMES)
→市場筋発。MediaTekが、2015年の同社handset-IC出荷目標を450 million台から約400 million台に10%下方修正する様相の旨。2015年前半は特に弱含みであったMediaTekは、中国および新興市場からのスマートフォン需要の戻し並びにbrandベンダーの新製品展開から、第三四半期には受注が回復すると見ているが、好ましくないマクロ経済状況が第四四半期についての需要見通しに影を落としている旨。

メモリの二番手、SK Hynixは、パソコンの低迷、DRAM価格低下が響く第二四半期業績となっている。

◇SK Hynix Earnings Trail Estimates on Weaker Chip Prices-Lower memory prices shrink Q2 profit at SK Hynix (7月23日付け Bloomberg)

◇SK Hynix posts revenue and profit decreases in 2Q15 (7月23日付け DIGITIMES)
→SK Hynixの2015年第二四半期売上げがKRW4.64 trillion、前四半期比4%減、前年同期比18%増、operating profitsがKRW1.38 trillion($1.18 billion)、前四半期比13%減、前年同期比27%増。特にPC DRAMの価格低下が効いている旨。

欧州のSTMicroelectronicsは、自動車はじめ新手市場がパソコンなどの停滞を帳消しにできるという今四半期の見方である。

◇STMicro Sees Rising Revenue on Chips for Cars, Wearables-Higher demand for auto, wearables ICs to boost sales, ST says (7月23日付け Bloomberg)
→STMicroelectronicsが、第三四半期販売高を前四半期比6%増の$1.87 billionと予想、自動車、産業機器およびwearable electronicsに入る半導体需要が増大、中国およびPC半導体の需要軟化を打ち消していく旨。

Texas Instruments(TI)においては、市場の停滞からアナリスト予想を満たせないと早めの警告フラッグの様相である。

◇UPDATE 2-Texas Instruments revenue forecast misses on weak chip demand-TI forecasts Q3 revenue, profit below analyst estimates (7月23日付け Reuters)
→PC半導体とともに通信および産業用ICsの需要が鈍化、Texas Instruments(TI)が、第三四半期について売上げおよび利益がアナリスト予想を下回ると見ている旨。6月30日締め第二四半期売上げが1.8%減の$3.23 billion、第三四半期は$3.15 billion〜$3.41 billionの予想の旨。

【Embedded Systems Conference】

シリコンバレーで開催のEmbedded Systems Conferenceから、Internet of Things(IoT)およびwearablesという今後のkey市場に向けてまだまだ波高しというニュアンスの見方、2点である。

◇Wearables Fail Check Up-Prescription delivered for next-gen devices-Wearables fall short of delivering useful medical-grade information (7月21日付け EE Times)
→Embedded Systems Conference(2015年7月20-22日:Santa Clara, CA)にて、startup、Bloom Technologies(San Francisco)のchief operating officer(COO)、Julien Penders氏。今日のwearablesは、消費者に役立つやり方で医療-グレード情報を届けるという目標に達していない旨。例えば、activity trackersについて、2つの機器の間で8倍の差が出ている旨。

◇Smart Cities Efforts Expand (7月22日付け EE Times)
→Embedded Systems Conference(2015年7月20-22日:Santa Clara, CA)にて、米国National Institute of Science and Technology(NIST)のcyber physical systems、associate director、Sokwoo Rhee氏。Internet of Things(IoT)は世界中のsmart citiesで牽引力を得始めたばかりであるが、まだ先にたくさんの仕事が控えている旨。

【DRAM価格低下】

パソコンの低迷、スマートフォンの伸びの鈍化と、屋台骨の市場の疲労感が強まる中、DRAM価格の低下の推移&現時点が以下の通り表わされている。

◇DRAM contract prices to fall further, says DRAMeXchange (7月21日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。DRAM contract価格が、2014年11月に6ヶ月の盛り返しが終わって、以降低下している旨。半導体供給の伸びがPC販売弱含みおよびスマートフォン需要減速と合わさって、価格の低下継続を起こしている旨。

◇Mobile DRAM prices to fall on excess smartphone inventory (7月22日付け DIGITIMES)
→メモリメーカー筋発。モバイルDRAMメモリ価格が、スマートフォンの過剰在庫からかなり低下しており、また、PC DRAM価格にも影響を受けている旨。


≪グローバル雑学王−368≫

尖閣列島はじめ南沙諸島そして小笠原諸島近海と、我が国やフィリピンなど関連の国々と中国との摩擦のニュースが日々目に耳に入ってくるが、

『「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質』
 (松本 利秋 著:SB新書 301) …2015年5月25日 初版第1刷発行

より地政学的な観点から中国に対する我が国の戦略的なスタンスを2回に分けて見ていく前半である。「逆さ地図」で見て、我が国とインドの連携の戦略的な意味合いが一層伝わってくるなど、それぞれの歴史的な経緯、認識そして現在の経済状況における利権に基づく勢力範囲の主張、そして拡大に向けた野望のぶつかり合いが繰り広げられていく。


第二章 海を塞ぐ日本列島は中国経済発展の障害か=2分の1=

■中国の列島線と真珠の首飾り戦略

◇中国が出した「赤い舌」
・中国を中心として、台湾からフィリピン、さらにブルネイに南下、マレー半島の東側を北上してベトナムから海南島に至る海域
 →中国からズルッと伸ばした舌の形、「中国の赤い舌」
・この中にスプラトリー諸島(南沙諸島)とパラセル諸島(西沙諸島)
 →現在中国はこの海域を自国領土だと主張
・2007年11月、「赤い舌」の海域に「三沙市」を設定すると発表
 →2012年7月、市長を選出して三沙市を正式に発足、実効支配を強化
 →当然のことながらフィリピンやベトナムが反発
・ベトナム戦争中のどさくさに紛れて、中国は南ベトナム領とされていた西沙諸島を占領
 →ベトナムは内戦中に中国から支援を受けたため、西沙諸島を占領されたことに抗議ができないでいた

◇南沙諸島を実効支配した中国
・1991年、中国は同じように相手が弱体化した隙に島を占領するという行為
 →標的はフィリピン
・米軍の基地が廃止されたとたんに、中国はフィリピンが領有する南沙諸島に進出
 →さらに、ミスチーフ諸島、スカボロー環礁などを占拠
 →特にスカボロー環礁は南沙諸島全域の中央に属し、戦略的に極めて重要な場所
 →フィリピンにとっては実に死活的な問題
・南沙諸島の領有権問題が起こったきっかけは、第二次世界大戦後の1951年
 →日本は、講和条約調印によって領有権を全面的に放棄
 →現在は中国、台湾、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナムの6ヶ国が係争中
・何よりもまず、南沙諸島周辺海域は中国にエネルギーを運び込む輸送ルート
 →途絶えれば、経済成長どころではなくなる
・この海域に眠る石油資源は20億から2000億バーレルとも
 →採掘コストが安く見積もられ、中国はこの地域の支配を核心的利益と決め込んでいる

◇中国の「真珠の首飾り」戦術
・中国にとって問題になるのはインドの存在
 →生存権拡大の障壁となっている国、海洋権益の獲得の上でも大きな壁
・中国が着々と進行させている「真珠の首飾り」戦略
 →インドと対立しているパキスタンと友好関係を締結、ミャンマー、バングラデシュ、スリランカにも投資して港を整備
 →インドをグルッと取り囲む真珠のネックレスのような形に
 →封じ込められてしまうインド
・この戦略でもう1つ注目すべきは、ベンガル湾、アンダマン海における動き
 →アンダマン諸島の北にミャンマー領のココ諸島
 →中国は1994年に、ココ諸島をミャンマー政府から貸与

◇インドの「ダイヤのネックレス」戦略
・インドはアフリカ東部や東南アジア諸国との連携を強め、さらにアメリカや日本と協力して「真珠の首飾り」の外側を包囲する「ダイヤのネックレス」戦略
・ミャンマーは、2011年3月に軍事政権を脱して、中国離れを加速
 →日本、アメリカ、インドは、今後なお一層のミャンマー援助を行うことになるよう

■アベノミクス外交の中国包囲網を作るダイヤモンド戦略

◇日本が死守せねばならない海上輸送ルート
・インドの「ダイヤのネックレス」に繋がる大構想
 →日本の新しい外交・安全保障戦略「ダイヤモンド防衛構想」
・日本船主協会2012年の資料
 →日本の海上貿易量の合計 約9億6000万トン
   うち 輸入       7億9000万トン
      輸出       1億6000万トン
 →日本は付加価値をつけて輸出、経済効果を上げている
・日本にとって海上輸送ルートの確保は生命線

◇中国を名指しで批判した「安倍論文」
・2012年12月27日付け「プロジェクト・シンジケート」での安倍首相の論文
 →チェコに本部、国際言論NPO団体:日本を含む世界150ヶ国以上の新聞社、通信社と提携、投稿を配信する媒体
 →論文:「Asia's Democratic Security Diamond」(アジアの民主主義防護のダイヤモンド)
 →日本のメディアではほとんど紹介されてない。その内容があまりにも過激なためだとも。
・南シナ海の現状を冷戦当時のソ連とのオホーツク海と対比
 →中国海軍には十分対応できるというシグナル
・中国が法に基づかず、軍事的な威嚇によって南シナ海の現状を変更しようとしているとの状況認識
 →続いて、東シナ海での中国の圧力を断固跳ね返す覚悟
・尖閣諸島周辺海域では、現在は海軍ではなく、武装公船による領海侵犯
 →これら公船の圧力を常態化、中国は無法にも尖閣諸島周辺の領有権の既成事実化を確立しようとしている
・中国に南沙諸島にまで手を広げられては、マラッカ海峡通過が困難に
 →まさに日本の死活問題

◇インドとの連携を望む安倍首相
・上記安倍論文の冒頭で引用
 →第一次安倍内閣時代、2007年8月、インド議会で行った演説「Confluence of the Two Seas」(二つの海の交わり)
・インドと日本がより一層連携する必要性を強調、尖閣を巡る中国の軍事的圧力には決して屈しない覚悟
 →現在では現実の問題に。中国は尖閣諸島を含む空域に突如防空識別圏を設置
 →これを許してしまえば、中国が勝手に防空識別圏を拡大、自国領空として無限に広げることが可能
 →太平洋とインド洋を繋ぐ東シナ海および南シナ海の「北京の湖」化
・インドは1962年、侵入してきた中国軍との間で国境紛争
 →これ以降インドは中国とパキスタンをともに仮想敵国に
 →パキスタンも1998年、核実験を行って核保有国に
  …互いに軍事的なエスカレートに歯止めがかかる状態に
・地域大国、インドに対して日本は軍事面での二国間協力はもとより、アメリカを含んだ多国間協議を継続、安全保障面での充実を図る

◇安倍首相の「ダイヤモンド」戦略
・第二次安倍政権の外交姿勢
 →中国を除く大陸周辺国に向けられており、尖閣を巡る中国の態度についての基本的なスタンスを明確に示すもの
・ダイヤモンドの形をした海洋交易の安全を守る戦略を構想
 …オーストラリア、インド、日本そしてハワイを結ぶ線、インド洋地域から西太平洋に至る範囲
・日本は、成熟した民主主義国家であり、海洋国家でも
 →パートナーとしては、同じ条件を備えた国家群
  …日本、オーストラリア、インド、ハワイ(アメリカ)

◇安倍首相が希望するANZUK参加
・安倍首相の言う戦略的パートナー・シップ
 →イギリスとフランスにアジアの安全強化の役割分担を担うように要請したい
・冷戦の熱戦化が進行するなか、シンガポール、マレーシアの安全保障上の問題が課題に
 →オーストラリア、ニュージーランド、イギリス(各国の頭文字を採ってこの三国をANZUKと呼ぶ)の軍隊が、両国の防衛に協力へ
・安倍論文では、五ヶ国協定(イギリス、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド)に参加することで、南シナ海からインド洋に至るオーストラリア、東南アジア海域の安全確保を強調
 →フランスと組んで、南太平洋までの海域をその範囲に
・冷戦下に西側諸国間で結ばれたさまざまな軍事条約を引っ張り出し、日本がこの条約群の網の目に入ることで、中国の拡張を抑え込む地政学上のリムランドおよびシーパワーの役割を積極的に担う姿勢を貫いている

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