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M&Aの熱気続く中、IoTに向けたプラットフォーム・ツール展開の動き

市場シェア拡大、新市場創出に向けた半導体業界のM&Aの熱気が依然活発である。Integrated Silicon Solution(ISSI)を巡るCypressと中国投資家グループの攻防もまた反転の動きが見られている。IntelおよびKeysight(Agilentのテスト&計測事業スピンオフ)の買収はじめ新たな動きが加わって、一向に収まる気配となっていない。そんな中、新市場の代表格、Internet of Things(IoT)に向けた市場展開を促進する動きが目立ってきており、Renesas Electronics、Alcatel-Lucentなどからプラットフォームおよびツールキットの発表が相次いでいる。

≪喧騒の一方、IoT拡大への備え≫

ISSIを巡っては、前回は中国の投資家グループによる買収に傾く動きとなっていた。

◇Bidding War for ISSI Continues (6月15日付け IHS Electronics360)
→Integrated Silicon Solution Inc.(ISSI)(Milpitas, Calif.)を巡るCypress Semiconductor社とSummitview Capitalが主導する中国venture capital会社のコンソーシアムの間の買収入札の争いが吹き荒れており、現時点はISSIは、まとめてUphill Investment Co.として知られる該コンソーシアムが$21/株、すなわち総額$700 millionより僅か以下で買収する見込みの旨。

ところがこのほど、Cypress側がまたまた中国側を上回ることを目指す以下の提案が提示されている。

◇Cypress Semiconductor Sweetens Bid for Integrated Silicon Solution-Chip maker raises its offer to $21.25 a share, topping Uphill Investment's most recent proposal-Cypress tops Uphill with new Integrated Silicon bid (6月18日付け The Wall Street Journal)
→Cypress Semiconductorが、Uphill InvestmentのIntegrated Silicon Solution買収提案を上回るべく、入札価格を$680 millionに値上げ、またその入札に"ticking fee"(買収遅延の金利の意味)を含め、該買収取引が認可されるまで10月1日から四半期当たり10 cents/株を余分にIntegrated Siliconに支払う旨。

◇Bidding War for ISSI Wages On (6月19日付け EE Times)
この応酬の決着には時間がかかりそうな情勢であるが、一方、新たな動きとして、まずはIntelがIoT/Wearables市場戦略の一環としてsmart eyeglassメーカー、Reconを買収している。

◇Intel Buys Smart Glasses Company-Acquisition follows 2014 partnership with Oakland, Ray-Ban owner (6月17日付け EE Times)
→Intelが、smart eyeglassメーカー、Recon Instrumentsを$175 millionで買収、Reconはスポーツ用のheads-upディスプレイ搭載smart eyewearを作っている旨。Intelのventure capital部門が製品開発、マーケティングおよび販売を加速する目標をもって2013年にReconに出資、この正式買収によりhead mountedディスプレイ市場でのプレゼンス拡大の期待の旨。

◇Intel continues wearables buying spree with smart-goggles maker Recon-Recon will use the funding to nurture a developer base and tap Intel's chipmaking ability.-Intel purchases Recon, adding to wearables portfolio (6月17日付け PCWorld)
→Intelが、Recon Instrumentsを買収、New Devices Groupに組み込む旨。

◇Intel Continues Its Wearables Push (6月17日付け The Wall Street Journal)

ヒューレット・パッカード社の計測部門に端を発するKeysight Technologiesは、同業のAniteを買収、当該分野の一層力強さを増す出現として業界を驚かせている模様である。

◇Keysight Technologies Set to Acquire Anite (6月19日付け EE Times)
→Keysight Technologies(Agilent Technologiesのテスト&計測事業スピンオフ)が、2015年6月16日にAnite(英国)を$606 millionで買収する計画を発表、該買収はテスト&計測の世界では大きく取り上げられる見込みの動き、大手R&Dの2社が一緒になってもっと力強くなるのに加えて顧客への製品offeringをもっと広く打ち出せる旨。

台湾のPCメーカー、Asusのトップが同じ台湾のスマホメーカー、HTCの買収の可能性に言及したとして、ひと騒ぎが見られている。

◇Taiwan's Asustek says has not ruled out possibility of buying HTC (6月12日付け Reuters)

◇HTC: Asus Can't Buy Us (6月15日付け EE Times)
→スマートフォンメーカー、HTCが、PCメーカー、AsusがHTC買収に関心があるというAsus executiveからの申し入れを退けて、月曜15日、強い調子のステートメントを出している旨。この騒ぎは先週金曜の6月12日に始まっており、Asusのchairman、Johnny Shih氏が該買収の可能性にコメントしたとAsusのchief financial officer(CFO)、David Chang氏がReutersに話している旨。

このような喧騒の中、IoT市場展開の土台作りに向けた動きが相次いでおり、まずはAlcatel-Lucentなどの開発ツールキットである。

◇Alcatel-Lucent, Sequans partner on IoT tool kit for developers-IoT toolkit for developers offered by Alcatel-Lucent, Sequans (6月12日付け CEDMagazine.com)
→Alcatel-LucentおよびSequans Communicationsが、開発者に向けた4G Internet of Things(IoT)ツールキットを出そうとしており、Sequans製のLong-Term Evolution(LTE)チップセットを使用、Bell Laboratoriesが実施、Orangeの4G LTEネットワーク上で動作する旨。

ルネサスエレクトロニクスが、IoT分野の半導体とソフトウエアを組み合わせる包括的なサービス、Renesas Synergy Platformを以下の通り打ち上げている。

◇Renesas Electronics announces Synergy Platform for IoT (6月15日付け ELECTROIQ)
→Renesas Electronicsが、新しく使いやすいqualifiedプラットフォーム、Renesas Synergy Platformを発表、time to marketを加速、全体cost of ownershipを減らし、そしてエンジニアが伸びゆくInternet of Things(IoT)および産業用市場に向けた製品開発で直面する障害の多くを取り除くよう設計されている旨。

◇Renesas dives into the Internet of Things fray with its Synergy platform-Renesas intros platform for IoT developers (6月15日付け VentureBeat)
→Renesas Electronicsが、Internet of Things(IoT)向けアプリ開発を加速するよう意図したapplication programming interfaces(APIs)およびソフトウェア一式、Renesas Synergyプラットフォームを投入、該プラットフォームによる最初の製品が第四四半期に市場に出てくる予定の旨。

◇ルネサス、半導体とソフト一括提供、機器のネット接続を支援、顧客のサービス開発費半減 (6月16日付け 日経)
→ルネサスエレクトロニクスがあらゆるモノがネットワークにつながる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」分野で、半導体とソフトウエアをあらかじめ組み合わせて提供する事業を始める旨。独自のソフトを組み込んで納品することで、IoTを手掛ける顧客企業の開発期間とコストを半減する旨。半導体の単品販売から事業を転換し、ソフトやシステム設計を加えた開発支援サービスを収益の柱に育てる考えの旨。IoTを活用した製品・サービスに必要な幅広い半導体のほか、実際に動くようにするためのソフト、製品開発ガイドラインを一括で提供するサービス「ルネサス・シナジー・プラットフォーム」を始める旨。米シリコンバレーの子会社が主導し、年内をメドにIoTを手掛ける世界のIT企業に提供を始める旨。

Sierra Wirelessは、IoT開発に向けたモジュール、reference設計および標準コネクタを提示している。

◇IoT development addressed with module, reference design and connector standard -Firm offers module, reference design, standard connector for IoT developers (6月17日付け New Electronics)
→Sierra Wireless(Richmond, British Columbia, Canada)が、3Gおよび4G Long-Term Evolution(LTE)通信に向けたsmartワイヤレスモジュール、AirPrime WP Seriesを披露、また、Internet of Things(IoT)応用向けワイヤレスopenハードウェアreference設計、Project mangOHをお披露目、そしてopenインタフェース標準として表わされるIoT connectorを発案、該reference設計で用いている旨。

一方では、ネットワークサービスプロバイダーに向けてIoT導入でのテストの課題が以下の通り取り上げられている。

◇7 IoT Test Challenges for Network Providers (6月17日付け EE Times/Slideshow)
→ネットワークサービスプロバイダーがIoTを採用していく過程で遭遇する障害のいくつかについて。以下の項目:
 Exponential traffic
 Scalability
 Interoperability
 Security
 Real-time monitoring
 Diagnostics
 Intelligent Testing & Monitoring


≪市場実態PickUp≫

【HBM搭載グラフィックス】

AMDがゲームショウ「E3 2015」にて新しいグラフィックスカードを展開、飛躍的な高性能化に向けてSK Hynix社からの最先端DRAM、High Bandwidth Memory(HBM)を搭載、インターポーザstack技術を駆使している。SK Hynixからは20nm-class DRAMプロセスになるこのHBMが、以下の通り別途発表されている。

◇AMD Beats Nvidia to 2.5-D Graphics-Fiji GPU debuts with SK Hynix memory stack (6月16日付け EE Times)
→AMDが北米最大のゲームショウ「E3 2015」(6月16-18日:Los Angeles Convention Center)にて、4つの新しいグラフィックスカードを展開、該新Radeon R9 300シリーズは、AMDの新しいFiji GPUsおよびSK Hynix製High Bandwidth Memory (HBM) chip stacksに基づく旨。AMDは今月始め2.5-D HBM stackについて述べていたが、どのGPUがSK Hynixと開発した次世代メモリを用いるのか、言わなかった旨。

◇AMD announces R9 300, R9 Fury and R9 Nano cards-AMD rolls out a slate of new graphics cards (6月16日付け Bit-Tech.net)
→Advanced Micro Devices(AMD)が火曜16日、いくつかのグラフィックスカードを投入、すべてDirectX 12をサポート、同社Graphics Core Nextアーキテクチャー・ベース、価格は$150〜$650の範囲の旨。

◇AMD officially reveals new Radeon 300-series, R9 Fury at E3 2015 (6月16日付け Digital Trends)

◇SK Hynix ramps production of high bandwidth memory (6月16日付け ELECTROIQ)
→SK Hynix社が、同社の先端20nm-class DRAMプロセス技術ベースの第1世代High Bandwidth Memory(HBM1)について量産出荷を発表、HBM1は、性能の革新的な飛躍を実現、1,024 bit wideメモリインタフェースを駆使して128GB/secの性能を得る一方、従来のGDDR5 DRAMソリューションに対し電力を50%ほど減らしている旨。HBM1は、through-silicon-via(TSV)技術およびmicrobumpsを活用、4 DRAM dieおよび1 base dieを相互接続、1GB DRAM density/デバイスを達成している旨。High Bandwidth Memoryは、interposers上に組み立てられるよう設計されており、GPUs, CPUs, ASICsおよびFPGAsへの高速メモリ相互接続が行える旨。

【fabの閉鎖件数】

リーマンショックの影響を受ける2009年から昨年2014年までのIC業界におけるウェーハfabの閉鎖あるいは別途再利用する件数データが、IC Insightsから発表されている。150个よび200个離ΕА璽fabが68%を占める結果となっている。

◇IC manufacturers close or repurpose 83 wafer fabs from 2009-2014 (6月17日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのGlobal Wafer Capacity 2015-2019レポートより。
 ・≪グラフ≫ ウェーハ口径別Fab閉鎖件数:2009-2014年
  ⇒http://electroiq.com/wp-content/uploads/2015/06/IC-fabs-Fig-1.png
 ・≪グラフ≫ 地域別ウェーハFab閉鎖件数:2009-2014年
  ⇒http://electroiq.com/wp-content/uploads/2015/06/IC-fabs-Fig-2.png

◇IC manufacturers close or repurpose 83 wafer fabs from 2009-2014, says IC Insights (6月17日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2008-2009年のグローバル経済不況以降、IC業界はより大口径ウェーハでのコスト効率の良いデバイス生産を迫られ、2009-2014年で83のウェーハfabsが閉鎖、あるいは別の目的に再利用されている旨。
2009年以降、fab閉鎖の41%が150mm fabs、27%が200mmウェーハfabsである旨。300mmウェーハfabを閉鎖した最初はQimonda、最近ではProMOSおよびPowerchipが2013年にそれぞれの300mmウェーハfabsを閉鎖している旨。

【これから市場回復の期待】

台湾の2社、実装&テストのSPILおよびPCBsのUnimicronから、残る2015年における市場回復を期待する似通ったトーンが以下の通り表わされている。手放しとはいかない実態経済の一端を受け止めている。

◇Chip demand unlikely to rebound until August, says SPIL chair (6月16日付け DIGITIMES)
→実装&テストhouse、Silicon Precision Industries(SPIL)のchairman、Bough Lin氏。半導体業界にとってこの第一四半期は特に力強く、続く第二四半期は特に弱含み、末端市場需要が上がってくるには8月以降になる様相の旨。2015年について半導体業界は6月から7月に底を打つと見ている旨。PC販売は依然低調、新興市場のスマートフォン需要は増大速度が鈍化する一方、consumer electronics機器向け需要は2015年これまで予想より弱くなっている旨。

◇Unimicron expects recovery starting 2Q15 (6月18日付け DIGITIMES)
→台湾のPCBsおよびIC基板メーカー、Unimicron Technologyが、事業が第二四半期に戻して、残る2015年は回復し続けると見ている旨。Unimicronは2014年第四四半期に赤字に陥り、2015年第一四半期も利益が出ていない旨。

【米国特許件数】

2015年の1月から5月までの米国特許件数ランキングが以下の通り表わされており、台湾からTSMCおよびHon Haiの2社がそれぞれ16位、29位に上がっていると台湾発の発信である。

◇TSMC, Hon Hai ranked among world most innovative firms (6月15日付け Focus Taiwan News Channel)
→startup、Sqoop社(Seattle)が6月11日に今年1月から5月の米国特許件数からランキングで表わした世界で"most innovative" companiesの40社リストから以下の概要。台湾から2社。
1 International Business Machines Corp.(IBM)  3,059件
2 Samsung Electronics Co.            3,052件
3 Canon Kabushiki Kaisha            1,782件
4 LG Electronics Inc.              1,484件
5 Google Inc.                  1,083件
・・・
16 TSMC                      620件
・・・
29位 Hon Hai                    408件

【MediaTekの見方、主張】

半導体設計の大手、台湾のMediaTekのトップ、Tsai Ming-kai(蔡明介)氏が、中国対応、半導体業界統合の時代など圧し掛かる問題についてもの申している。特に台湾政府の積極的な支援を問いかける内容が目立つところがある。

◇MediaTek CEO urges Taiwan to ease cross-strait rules on chip investments-Taiwan shouldn't restrict China's chip investments, MediaTek CEO says (6月12日付け Reuters)
→MediaTek(聯發科)のchairman and CEO、Tsai Ming-kai(蔡明介)氏。台湾政府は、中国の半導体業界への投資を行う台湾メーカーへの制限を緩和すべき旨。「中国はかくも巨大な市場、他の誰かが行って傍観者にならざるを得ないとなると、立場が弱くなる」旨。

◇IC industry consolidating: MediaTek (6月13日付け The Taipei Times (Taiwan)/CNA)
→MediaTek(聯發科)のchairman and CEO、Tsai Ming-kai(蔡明介)氏。ビジネスが飽和に達してきて、グローバル半導体業界は統合の時代に入っており、台湾のICサプライヤにはopportunitiesとなっている旨。

◇MediaTek chairman urges government to actively support local chipmakers (6月15日付け DIGITIMES)
→MediaTekのchairman、MK Tsai氏。mergers and acquisitions(M&As)が半導体メーカーにとってグローバル市場で競い合うために一層大きくなるために依然効果的な戦略であり、グローバル市場を目指すどの半導体メーカーにとってもできるだけタイミング良く、そして効率良く世界的競争力を高めることが優先順位トップになってきている旨。格上げしてより高付加価値製品の生産に引き続き移っていく中、台湾のICメーカーは政府からの積極的な奨励金などの支援も望んでいる旨。政府は、半導体業界の新しい統合の波に現地半導体メーカーが乗っていくよう支援すべきである旨。


≪グローバル雑学王−363≫

外国人の目で見た我が国についての記録の記述から、古代・中世、戦国時代、江戸時代、幕末と、

『外国人がみた日本史』
 (河合 敦 著:ベスト新書 469) …2015年3月20日 初版第1刷発行

よりいろいろな角度から見てきたが、いよいよ最後の近現代を2回に分けてふりかえっていく前半である。開国からわずか10数年で明治新政府を樹立、一生懸命に励んで列強の一角に上っていった頃の我が国ならではが、これも外国人ならではの視点でそれぞれ表わされている。□以下の各アイテムについて、最初の◎以下に注目する記録の出典が示されている。


第五章 外国人がみた近現代―――日本人はユニークな存在なのか? =2分の1=

【近現代の日本 概説】

・1894年、日清戦争勃発、大勝利を得て講和条約で台湾や遼東半島を清国に割譲させた
・1904年、日本はロシアと戦争状態に
 →翌1905年、賠償金は獲得できなかったが、日本はロシアに辛勝
 →当初、列強の圧迫に苦しむアジアの国々に大きな勇気
・1929年、世界恐慌、翌1930年、日本も大不況に
 →欧米のブロック経済圏による保護貿易の広まりは、輸出産業を主力とする日本にとって大打撃
・状況打開に向けて、日本も広大な領地を持ちブロック経済圏を作るしかなくなる
 →日本は果てしのない中国侵略へ
 →1937年7月7日、盧溝橋事件、日中は全面戦争へと突入
・1939年、第二次世界大戦が始まり、ドイツの快進撃
 →1940年、近衛文麿内閣が日独伊三国同盟を結ぶ
 →1941年12月8日、日本は英米に対して戦争を仕掛け、太平洋戦争が始まる
 →勝てる見込みのない無謀な戦争
 →日本は、壊滅的な打撃を蒙って無条件降伏
・6年半の間、アメリカの占領下に置かれた日本
 →1950年に勃発した朝鮮戦争による特需景気で経済は回復傾向に
・1955年から20年間、高度経済成長、1980年代半ば、日本は経済大国へ

□桜の美しい国
◎エリザ・R・シドモアの『シドモア日本紀行』
・紀行作家のアメリカ人女性、シドモア(Eliza Ruhamah Scidmore)が、明治時代に出版した紀行文
 →すでに明治中期から、桜の開花というのは、国民的な関心事
・江戸時代初期までは、花の名所というのは、湯島天神や亀戸天神など、梅の名所
・もちろん桜の名所も
 →代表的には、上野の山、飛鳥山、御殿山、隅田堤が筆頭に
・花見へ出かけるのは、江戸っ子にとって日常の生活空間から解放されることを意味
・桜と日本人と花見
 →あらためてこの国に生まれて良かったとの感じ方
 →今も昔も変わらないことにおのずと沸き起こる感謝の気持ち

□明治時代の貧しい農村
◎イザベラ・バードの『イザベラ・バードの日本紀行』
・イギリスの女性旅行家、イザベラ・バード(Isabella Lucy Bird)が、1878年に来日、北関東や東北地方を旅したときの文章
・福島県と新潟県の県境にて、まさに貧困の極み、人々の悲惨な生活状況
 →外国人が決して行かないような日本の奥地
 →明治の世になって10年、なんとも驚くべき勇気
・農地のすばらしさについては、すでに江戸時代に来日した外国人も大勢褒めている
・日本では農民たちの勤勉によって農地が維持されていた
 →そんな中に、貧しい生活を送らねばならない人々がいたのも、厳然たる事実

□日本人の微笑
◎小泉八雲の『小泉八雲集』
・ラフカディオ・ハーン(Patrick Lafcadio Hearn)は、島根県立松江中学校の英語教師として松江に赴任
 →小泉節子と結婚、帰化して名を小泉八雲とあらためた
・『小泉八雲集』の中の著『日本人の微笑』にて、日本人の性向を高く評価
 →ただ、次第に浸透しつつある西洋文明によって蹂躙されてしまうことを深く憂いた
 →失意と退廃しかもたらさないと考え、日本人に警鐘を鳴らした
・それから100年、ハーンの警告は結局徒労に
 →日本人は見事に西洋化

□無血革命で近代化を遂げる日本
◎ウィリアム・N・アームストロングの『カラカウア王のニッポン仰天旅行記』
・ハワイ王国の国務大臣、アームストロング(William N. Armstrong)
 →日本の明治維新について高く評価
・日本の政治家の資質を褒め、日本の近代化がいかに困難であるかを母国のアメリカ合衆国と比較して指摘
 →日本人なら必ずや成功するにちがいないと確信
 →事実、日本の政治家たちは、わずか50年で日本を世界の強国へと押し上げた
・ときのカラカウア王は、1881年、アームストロングら閣僚を連れて世界一周の旅に
 →同年3月、日本に立ち寄り、日本側は手厚く歓迎
・歓迎に感激したカラカウアはある夜、通訳一人だけを連れて密かに明治天皇に面会を求めた
 →天皇は快くこの会談に応じ、カラカウアは、両国の一層の結びつき強化を申し出、プランテーションの労働力として移民の大量派遣を申し入れた
・結局、明治政府は移民の件は了解、もう1つ婿入りの話は国際情勢を鑑みてハワイまで使者を派遣して固辞
 →大正時代には、ハワイの全人口に占める日本人移民と日系二世の割合は4割を占めるまでに
・1893年、ハワイ王朝が倒れ、白人を中心とする共和国政府に
 →1897年、ついにハワイはアメリカに併合

□憲法発布と絹布半被
◎トク・ベルツの『ベルツの日記』
・明治時代に政府のお雇い外国人として来日したドイツ人医師、ベルツ(Erwin von Balz)
 →1889年の憲法発布2日前の状況を日記に記した
・憲法発布を盛大に祝おうとする東京市民の様子
 →ただ、その内容については一切、事前に発表されていなかった
・2月11日の発布当日は、雪が降る最悪の天候、ベルツが記すその日の様子
 →特に山車や踊り屋台が印象的
 →東京の市街地はいたるところ国旗や提灯や花での飾り
 →人々が万歳万歳と叫ぶ声
 →料理屋や芸者屋も大繁盛
・発布された大日本帝国憲法は、天皇の権限が非常に大きいもの
 →法律の範囲内という限定があったものの、国民の自由や権利がはっきりと認められており、批判的筋にも大いに評価
・憲法に解釈の幅をもたせたのは、起草者の中心となった伊藤博文
 →皇帝の権限が強いドイツ憲法を導入
・昭和になると、解釈に幅をもたせたことが仇に
 →字面通りに解釈され、軍国主義を助長
 →戦後、アメリカの占領下で、全面的に改正を余儀なくされることに
・いずれにせよ、明治維新からわずか20年で、日本は近代的立憲国家にまで発展

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