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M&Aの嵐吹き荒れる中、グローバル半導体販売高が24ヶ月連続の増加

事態が一転、IntelのAltera買収が発表され、ここ数ヶ月の半導体業界のM&Aの嵐が鳴り止まず、引き続いて増幅していく情勢がグローバルに見られている。そんな中、米SIAから恒例の月次世界半導体販売高が発表され、今回はこの4月分である。前年同月比で見た増加基調が続いてこの4月で24ヶ月連続と、モバイル機器が主に牽引する拡大が2年に及んでいる。先行きの規模の拡大、Iotはじめ新市場を見据えた現下のM&Aの展開は、半導体業界の新たなmap、勢力図を一層の時間軸速度で形作ろうとしている。

≪4月の世界半導体販売高≫

米SIAからの今回の発表内容が、以下の通りとなっている。

☆☆☆↓↓↓↓↓
◯4月のグローバル半導体販売高が増加;向こう3年安定伸長の見通し−2015年3.4%増、2016年3.4%増、そして2017年3.0%増の業界予測見通し …6月2日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年4月の世界半導体販売高が$27.6 billionで、2014年4月の総計$26.3 billionを4.8%上回り、前月、2015年3月の総計$27.7 billionを0.4%下回った、と発表した。Americas地域は前年同月比二桁の伸びで、すべての地域を引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新しいWSTS業界予測では向こう3年間について安定した市場伸長の見通しとなっている。

「前年同月比で見た半導体販売高がこの4月で24ヶ月連続の増加となり、大方はAmericasおよびAsia Pacific地域市場で継続する伸びが効いている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「グローバル業界は1月から4月の累積販売高で2014年同期間を上回っており、2015年の残りそしてそれ以降と伸びの継続を期待している。」

地域別では、前年同月、2014年4月との比較では、Americas(12.2%), China(9.9%), そしてAsia Pacific/All Other(5.2%)では増えたが、Europe(-5.6%)およびJapan(-10.7%)では減っている。前月との販売高比較では、Asia Pacific/All Other(2.3%)では増えたが、Japan(-0.2%), China(-0.7%), Europe(-2.3%), およびAmericas(-3.4%)では減少している。
                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Apr 2014
Mar 2015
Apr 2015
前年同月比
前月比
========
Americas
5.00
5.81
5.61
12.2
-3.4
Europe
3.06
2.96
2.89
-5.6
-2.3
Japan
2.84
2.54
2.54
-10.7
-0.2
China
7.08
7.83
7.78
9.9
-0.7
Asia Pacific/All Other
8.35
8.58
8.78
5.2
2.3
$26.34 B
$27.72 B
$27.60 B
4.8 %
-0.4 %
--------------------------------------
市場地域
11- 1月平均
2- 4月平均
change
Americas
6.51
5.61
-13.8
Europe
2.95
2.89
-2.0
Japan
2.62
2.54
-3.0
China
8.07
7.78
-3.6
Asia Pacific/All Other
8.40
8.78
4.5
$28.54 B
$27.60 B
-3.3 %
--------------------------------------

加えてSIAは本日、WSTSの2015年春季グローバル半導体販売高予測を是認して、2015年の該業界世界販売高は$347.2 billionに達し、2014年販売高総額から3.4%増になるとしている。WSTSの2015年販売高地域別では、Asia Pacific(7.0%)およびAmericas(3.7%)で増加、Europe(-3.6%)およびJapan(-9.5%)で減少する見通しとなっている。

2015年より先は、該業界はすべての地域にわたって控え目ながら伸びる見込みである。WSTSは、2016年についてグローバルに3.4%の伸び(販売高総額で$358.9 billion)そして2017年については3.0%の伸び(同$369.6 billion)を予想している。WSTSでは、グローバル半導体メーカーの広範囲にわたるグループを招集、年2回の業界予測を表で表わし、半導体の流れの正確で時宜を得た指標を供給している。

※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/April%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf

※WSTS Forecastまとめ、下記参照(WSTSの2015年春季Forecast Meeting[2015年5月18-21日:Los Angeles]から)
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/WSTS%20Forecast%20Summary.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた各紙の反応、表し方である。今回は、WSTSの春季予測による今年の販売高見込みに目が注がれている。

◇SIA: Global Semiconductor Sales Rose 4.8% in April-Increase reflects strength in Americas, Asia-Pacific markets-Global semiconductor sales grew 4.8% in April, says SIA (6月2日付け The Wall Street Journal)

◇Semiconductor sales to hit $347 billion this year (6月2日付け TechEye)

◇Global semiconductor sales increase in April; Steady growth projected (6月3日付け ELECTROIQ)

◇半導体世界市場、今年は3%拡大、WSTS予測 (6月3日付け 日経産業)
→半導体の業界団体、世界半導体市場統計(WSTS)が2日、2015年の世界の半導体市場が2014年比3.4%増の$347.2 billion(約41兆3900億円)になる見通しと発表、3年連続で過去最高となる旨。パソコン買い替え特需は一巡するが、スマートフォン向けが堅調なほか、自動車や産業機器向けが伸びる旨。2017年まで平均3%余りの安定成長が続く旨。2014年の世界市場は9.9%増であった旨。

2015年は3.4%増の世界半導体販売高の伸びと、昨年の二桁に近い9.9%増からはぐっと抑えた読みになっていることで、以下の見方も現れている。現下のM&Aの急激な展開が示すように、ここまで拡大してきた半導体市場にこの先待ち構えるものの見方にシナリオがいろいろ分かれていく状況を受け止めている。

◇No American Chip Boom After All, Says WSTS (6月4日付け EE Times)
→2015年のAmericas地域の半導体市場が2014年から15%増の$79.7 billionに増大するとして僅か2か月後、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationが該地域についてずっと低い3.7%増というfiguresを作成の旨。2015年の他の著しい変化として次の通り。
       今回   前回
  欧州   3.6%減  2.0%減
  日本   9.5%減  3.7%減
しかしながら、2015年に市場全体の60%を占めると見られるAsia-Pacific地域は前回予測を上回る2015年7.0%増となっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【IntelのAltera買収】

Intelの買収の問いかけをAlteraが拒絶して株主の反発を食らい、また再燃という経緯があって、ついに話がまとまっての発表に以下の通り至っている。FPGA業界の構図はどうなるか、TSMCの今後の業績へのインパクト如何、などいろいろ大きな取り沙汰を引き起こしている。

◇Intel to Buy Altera for $16.7B (6月1日付け EE Times)
→Intelのやったりやらなかったり断続的なAltera買収が、ついに突き進んでいく様相、現在の街のもっぱらの話として、Intelが$16.7BでのAltera買収に合意の旨。

◇Intel, Altera: Math in Question-Co-packaged x86, FPGAs ship late 2016-Impact on embedded and foundry-Impact on Xilinx and overall growth (6月1日付け EE Times)
→IntelのAltera $16.7 Billion買収取引の思惑、勘定について。Intelは新しい通信事業で約a billion dollarsの獲得、Alteraは大きなライバル、Xilinxへの対抗力を取り戻す狙いの旨。

◇Intel's $16.7 Billion Altera Deal Is Fueled by Data Centers-Intel announces $16.7B deal for Altera (6月1日付け Bloomberg)
→IntelがAlteraに対し$54/株を支払う旨。買収が完了すれば、Intelのデータセンター向けサーバ半導体供給拡大を支える見込みの旨。

◇Intel Agrees to Buy Altera for $16.7 Billion (6月1日付け The New York Times)

◇インテル、2兆円で米同業を買収、ネット関連強化 (6月1日付け 日経 電子版)
→半導体世界最大手、米インテルが1日、同業の米アルテラを約167億ドル(約2兆700億円)で買収すると発表、データセンターの能力向上や電力削減の切り札として注目を集める「FPGA」と呼ぶ半導体に強みを持つアルテラを傘下に収めることで、好調なデータセンター向けや、成長戦略の柱として力を入れる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」向け事業を強化する旨。インテルはアルテラの株主に対し、1株あたり54ドルを現金で支払う旨。インテルのM&A(合併・買収)案件としては2011年に買収した米セキュリティーソフト大手、マカフィーの約77億ドルを上回り過去最大となる旨。

◇Intel to acquire Altera for US$16.7 billion (6月2日付け DIGITIMES)

【続々買収関連】

業界の新たな統合フェーズに向けて吹き荒れるM&Aの嵐、この数か月急に喧しくなってきており、買収関連の内容が引き続いて現時点以下の通りである。

Integrated Silicon Solution Inc.(ISSI)を巡るCypressと中国の投資家の間の綱引きである。

◇Cypress Increases Bid for ISSI-Cash offer of $20.25 is latest round in bidding war for chip maker-Cypress bumps bid for ISSI to $20.25 a share (5月29日付け The Wall Street Journal)
→半導体メーカー、Integrated Silicon Solution Inc.(ISSI)を巡る入札の戦いの最終ラウンド、Cypress Semiconductor社が金曜29日遅く、$20.25/株 in cashを提示している旨。3月にISSIは、Summitview Capitalなど中国の投資家と$19.25/株、すなわち全体で約$640 millionの取り引きを発表していた旨。

Avago/Broadcomの最大規模買収による新生Broadcomについての見方が続いている。

◇New Broadcom bares initial job cuts (5月29日付け EE Times India)
→Avago Technologiesが半導体業界今までで最大の合併提案、最近Broadcomに対して$37 billion($17 billion in cashおよび$20 billion in stock)の入札提示、世界第6位の半導体ベンダーへの道が開かれる旨。技術スタッフのレイオフなどoperations合理化をもって、その新しいentityは18ヶ月以内に少なくとも年間コスト$750 millionの削減が見込まれている旨。

ここのところの大型買収3件の改めて意味合いである。

◇Chip Deals in Search of Greater Pricing Power (6月1日付け The New York Times)
→売上げシナジーは合併ではつかまえどころのない目標であり得るが、半導体分野での以下の3つの大規模買収はその多からんことを約している旨。
 NXP Semiconductorsの$14 billion Freescale Semiconductorとのno-premium合併
 先週:Avago Technologiesの$36 billion-plus Broadcom買収
 最新:Intelの$17 billion Altera急襲

ARMも、IoT主眼にイスラエルのモバイルセキュリティ会社の買収を進めている。

◇ARM Is in Talks to Buy Israeli Mobile Security Company Sansa-ARM may buy Internet of Things security firm, sources say (6月1日付け The Wall Street Journal)
→ARMが、多くのAndroid機器で用いられるInternet of Things(IoT)セキュリティプラットフォームを作るSansa Securityの買収に向け話し合っている旨。今月、契約に達する可能性の旨。

◇ARM looking to boost IoT security with upcoming acquisition (6月1日付け ITWorld.com/IDG News Service)

◇ARM Looks to Buy Sansa for IoT Security (6月1日付け Wireless Week)

Freescaleを買収するNXPが、RF Power事業を中国投資会社に売却する動きである。

◇NXP sells RF Power unit to China firm (6月1日付け EE Times India)
→Freescale Semiconductor Ltdの買収承認を確実にするよう、NXP Semiconductors N.V.が同社RF Power事業を$1.8 billionで中国国有の投資会社、Jianguang Asset Management Co. Ltd(JAC Capital)への売却を発表、該合意のもとNXP RF Power事業全体および約2,000人のNXP従業員がオランダで法人化される独立会社に移される旨。

引き続く大型買収について、半導体業界へのインパクトがいろいろな切り口で以下の通り分析されている。

◇半導体産業に再編のうねり/米で“過去最大”買収劇−M&A動向に注目 (6月1日付け 日刊工業)
→半導体業界で再編の動きが活発化している旨。米アバゴ・テクノロジーは、米ブロードコムの買収を決め、買収額は約370億ドル(約4兆6000億円)と半導体業界で過去最大の旨。巨額な投資の背景には半導体において、研究・開発と製造プロセスの両面で、必要となる資金が大きくなっていることがある旨。再編のうねりは日本の半導体メーカーにも押し寄せてきて、注目はルネサスエレクトロニクスと、セイコーホールディングス(HD)の動きの旨。

◇On China's List: Memory, Market Share, M&A (6月2日付け EE Times/Blog)
→NXP-Freescale, Avago-BroadcomおよびIntel-Alteraのような大型合併が何か表わすとすれば、半導体メーカーが自分の評価を上げ続ける唯一の方法はさらなる統合を通してである旨。著しく異なって、中国の半導体メーカーは中国の中央政府だけでなく地方政府および中国内のprivate equity投資ファンドによっても手堅く、安定、そして信頼性があると受け取られている旨。このような非常に大きなギャップは何故か?

◇Avago Technologies acquisition of Broadcom creates new semiconductor powerhouse (6月2日付け ELECTROIQ)
→IHS社発。Avago TechnologiesがBroadcomを買収する合意の発表をもって、半導体業界における合併の動きが新たな水準に移っている旨。cashおよび株式で$37 billion相当の該取引により、$77 billion規模の新しい会社が作り出される旨。

◇2015 Mergers, acquisitions and change in the global electronics industry (6月2日付け EDN)

上でも触れたTSMCへの買収劇の影響であるが、1つの見方である。

◇TSMC's Growth Could Halve As Merger Mania Hits Semiconductors (6月2日付け Barron's)
→半導体業界はここ数ヶ月で$70 billionを超える買収取引が見られ、その前5年の主なM&A合計を上回る旨。最も目立つM&Aは、Avago/Broadcom, Intel/AlteraおよびNXP Semiconductors/Freescale Semiconductorの旨。
 直観的にはこれはアジアのファウンドリーには良いニュースであろうはずがなく、HSBCによると、当面これら合併のTSMCに対するインパクトは非常に限られそうだが、向こう数年にわたってはTSMCの伸び率が、過去3年の20-30%から10-15%止まりと半減する可能性がある旨。

Alteraと同じFPGAのLatticeにも売却の噂の煙が立ち上っている。

◇Lattice Semiconductor: We're not for sale-Lattice Semi has no interest in a sale (6月4日付け American City Business Journals/Portland, Ore.)
→Lattice Semiconductor(Portland, Ore.)のCEO、Darin Billerbeck氏が正当な価格での同社売却を検討するとしたReuters報道(6月4日付け:Lattice Semiconductor open to sale for 'high premium')を受けて、同社Chief of Staff、Gloria Zabel氏が、売りに出すことはない旨。
 Billerbeck氏コメントは、同社に関心を示すどの向きにも対する"標準的な反応"の旨。

【Computex】

恒例のComputex electronics trade show(6月2-6日:台北)が開催され、主要メーカーあるいはその関連する動きを取り出して、以下の通りである。

◇MediaTek Rolls 3 IoT Products Toward Next Cash Cow-Company sees growth in IoT devices (6月1日付け EE Times)
→Computex electronics trade show(6月2-6日:台北)にて、台湾最大の半導体設計メーカー、MediaTek社が本日、3つのInternet of Things(IoT)製品を披露、次の大きな成長牽引役として立ち上げる旨。スマートフォンが短期的にはMediaTekにとって最大の売上げの源となる様相であるが、スマートフォン事業の勢いが一段落するとIoT機器が最大のcash cowになると見ている旨。

◇Computex 2015: ASE to showcase SiP solutions (6月1日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、Computex Taipei 2015にてconsumer応用向けsystem-in-package(SiP)ソリューションを披露する予定、これらのSiP応用は、SiPをInternet-of-Things(IoT)の領域にもってくるようASEのIC実装、材料およびテスト技術の間のsynergy効果にモジュールレベル製造サービスにおけるUniversal Scientific Industrial Shanghai(USI)のノウハウとともに焦点を当てている旨。

◇Pixelworks Scores Design Win with Asus-Pixelworks' IC closely tied to Qualcomm and Intel apps processors (6月2日付け EE Times)
→Pixelworks社(米国Oregon州)が、同社モバイルディスプレイプロセッサ半導体、IrisでAsus(台湾)のdesign win獲得、Asusは今週のComputex(台北)にてZenPad S 8.0を展開披露の旨。PixelworksのIrisは、Intelの同じIrisという名前のグラフィックスコアと混乱するところがあるが、今やAsusの新しい8-インチタブレット、ZenPad S 8.0(Z580C)に取り入れられ、2048 x 1536 pixelsの8-インチ画面およびIntelのquad-coreプロセッサ、Atom Z3530とともに特徴となっている旨。

◇Intel ups the ante on graphics and video with fifth-generation Core processors-One of the biggest players at Computex, Intel is packing a punch with the promise of better performance in its new range of fifth-generation Intel Core Processors. (6月2日付け CNET)

◇Intel Unveils Cores and Xeons-Computex reveals souped-up CPUs (6月3日付け EE Times)
→Intelが、professionalサーバ向けgraphics-intensive市場並びにconsumer gamersを追いかけて、14-nm pro-Xeonおよびconsumer-Coreプロセッサの新バージョンを擁して新生面を開いており、電力消費最大3倍でもグラフィックス性能を前モデルの最大倍にする高速グラフィックスプロセッサを統合している旨。

◇AMD's HDMI-compatible FreeSync display teases buttery-smooth gaming for the masses-AMD shows prototype FreeSync display compatible with HDMI (6月3日付け PCWorld)
→AMDがComputex 2015にて、FreeSyncパネルprototypeを披露、variable refreshモニターの最も著しい制約の1つ、DisplayPort技術への依存を封じ込める狙いの旨。

◇台北でIT見本市、台湾勢、IoTに注力、半導体や開発キット紹介 (6月4日付け 日経産業)
→台湾・台北で開催中のアジア最大のIT見本市「台北国際電脳展」(コンピューテックス・タイペイ)では、あらゆるモノをネットにつなぐ「インターネット・オブ・シングス(IoT)」に注力する台湾メーカーが目立った旨。

【Micronの16-nm TLC NAND】

Micron Technologyが、16Gbyte TLC(triple-level cell) NANDフラッシュメモリを16-nmプロセスで打ち上げている。SamsungはじめNANDフラッシュの先端争いでの位置づけに注目である。

◇Micron launches 16Gbyte TLC NAND on 16nm process-Micron offers 16GB TLC NAND, made with 16nm process (6月3日付け New Electronics)

◇Micron announces 16nm TLC NAND (6月4日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyがフラッシュストレージ製品portfolioに新たに加えたtriple-level cell(TLC) NANDは、16-nmプロセスで作り、USB drivesおよびconsumer solid state drives(SSDs)などの応用向けfeaturesを届けている旨。

【14-nm設計インフラ】

GlobalfoundriesそしてIntelの14-nmプロセスについて、設計インフラの整備、認証の発表が続いている。

◇GLOBALFOUNDRIES solidifies 14nm finFET design infrastructure for next-generation chip design (6月2日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが、同社14-nm FinFETプロセス技術に向けた設計インフラ提供で重要なmilestoneに達しており、key ecosystemパートナーのCadence Design Systems, Mentor Graphics, およびSynopsysとともにregister-transfer level(RTL) to graphic design database system(GDS) implementationのための新しいディジタル設計フローを開発の旨。

◇Globalfoundries announces design infrastructure for 14nm FinFET process-GlobalFoundries, EDA firms provide design base for 14nm FinFET chips (6月3日付け DIGITIMES)
→GlobalFoundriesが、Cadence Design Systems, SynopsysおよびMentor Graphicsとコラボ、14-nm FinFET半導体に向けたディジタル設計フローを開発、顧客に向けてprocess design kit(PDK)およびearly-access standard cell librariesを供給する旨。

◇Cadence implementation and signoff tools certified on Intel 14nm Process (6月5日付け DIGITIMES)
→Cadence Design Systemsのimplementationおよびsignoffツールが、Intel Custom Foundryの顧客に対するIntel 14-nmプロセスについて認証を得ている旨。Intel Custom Foundryは、該認証プロセスの一部としてImagination Technologies製PowerVR Series6 GPUを活用の旨。


≪グローバル雑学王−361≫

突如、アメリカのペリーが、浦賀に蒸気船の軍艦4隻でやってきて、太平の眠りを覚まされた我が国であるが、その幕末の我が国を訪れたペリーはじめ外国人の目にどう映ったか、

『外国人がみた日本史』
 (河合 敦 著:ベスト新書 469) …2015年3月20日 初版第1刷発行

より2回に分けて見ていく。強力なライバル、模倣の達人、相撲・正座など日本の文化、日本の役人の特性など、本当によく捉えていて今にも通じるところ多々の我が日本人というものを改めて考えさせられている。□以下の各アイテムについて、最初の◎以下に注目する記録の出典が示されている。


第四章 外国人がみた幕末―――極東の島国は地上の楽園だった=2分の1=

【幕末の日本 概説】

・18世紀の後半にイギリスで起こった産業革命
 →大量生産・大量消費の時代に突入
 →欧米諸国はあふれたモノを売るため、世界各地に飛び出した
 →列強諸国はアジアに来航、モノを売りつけるとともに、相手が近代化していないことがわかると、植民地に
・1854年、ついに幕府は日米和親条約を結んで開国、1859年から交易がはじまった
 →物価が急騰、外国人に対する怒りから尊王攘夷運動が盛り上がり、各地で外国人襲撃事件も続発
・特にイギリスは、横浜港を香港−上海からつづく重要な拠点(基地)と認識
 →幕府は首都江戸という喉元に、列強から刃を突きつけられた状態
・外国の思惑や干渉を巧みに払いのけつつ、幕末の志士たちは明治維新という革命をやってのけ、数年で近代的統一国家を作り上げた

□日本は強力なライバルになる
 ◎『ペルリ提督 日本遠征記』
・ペリー(Matthew Calbraith Perry)は、「日本人は脅しさえすれば、言うことを聞く」と考えていた一方、冷静な目で日本のことを評価
・日米和親条約が締結されたとき、ペリーは幕府にプレゼント
 →その中に、蒸気機関車の4分の1の模型、石炭を焚いて本当に走るタイプのもの
 →それからわずか1年後、佐賀藩が蒸気機関車の製作に成功
  →当時の日本人の教育水準が極めて高かった
・素直に良いものは良いと認め、これを模倣する努力、それが日本人をいち早く文明国へと押し上げた

□すぐに模倣してしまう国民性
◎ロバート・フォーチュン(Robert Fortune:プラント・ハンターとして幕末に来日したイギリス人)の『幕末日本探訪記』
・アメリカ公使のハリス(Townsend.Harris)から聞いた具体例を紹介
 →馬の蹄鉄の話
  →馬に蹄鉄をつける風習がなかった日本。幕府の役人がやって来てハリスの愛馬を借りたいと申し出
  →じつは大老、井伊直弼の命令で馬の蹄鉄を調べるため
・日本人は、良いものだとわかれば、それをすぐに採り入れてしまうという習性
・プラント・ハンターのロバート・フォーチュンも、日本の園芸技術を高く評価

□日本人の異常な好奇心
◎『ペルリ提督 日本遠征記』
・日本人の旺盛な好奇心は、多くの外国人が指摘するところ
・開国した後も幕府は、なるべく人々が外国人と接触しないようにした
 →こうした制限が、日本人をして海外の事象について、異常なほどの興味をかき立てることに
・このような海外に対する情報や文物の渇望を利用したシーボルト(Siebold)
 →単なる医師ではなく、オランダ政府の放ったスパイだった
 →違法行為が発覚、国外追放された

□日本の国技・相撲について
◎オールコックの『大君の都 幕末日本滞在記』
・幕末に来日したイギリス公使・オールコック(Sir Rutherford Alcock KCB)
 →相撲が国民的な格闘技であったことをすでに認識
・相撲の歴史は古く、古墳からも力士の格好をした埴輪が出土
・相撲を定着させたのは戦国時代の織田信長
・江戸時代の場所は年に4回(10日ずつ)
 …春と秋の2回が江戸、夏は京都、秋は大坂
・ペリーと日米和親条約を結んだ際、幕府は米俵を大勢の力士に運ばせた
 →相手を威圧するのに一役
・維新後の廃絶の危機を経て明治中期になると、国粋主義の強まりで相撲も人気を取り戻した
 →明治末には国技館が両国に

□正座の文化
◎ハインリッヒ・シュリーマンの『シュリーマン旅行記 清国・日本』
・シュリーマン(Johann Ludwig Heinrich Julius Schliemann)は、1822年ドイツ生まれ、トロイアの遺跡を発見した考古学者
 →遺跡を発掘する6年前、幕末の1865年、日本を訪問
・江戸時代の日本人の多くは、履物を脱いで畳や蓆の上で正座の生活
 →椅子やテーブル、ベッドなど必要なくなり、日本人の生活には無駄がないと感心
・茣蓙がベッドやマットレス、シーツの役目を果たすことにも感動

□外国人の役人観
◎カール・クロウの『ハリス伝−日本の扉を開いた男』
 …Carl Crowは、アメリカミズーリ州出身の中国で活躍したビジネスマン
・日本と通商条約を結ぶために来日したアメリカの総領事、タウンゼント・ハリス(Townsend Harris)
 →日本人との交渉は武力を背景とした恫喝外交あるのみとの結論に
・昔から日本の役人たちは、はっきりものを言わず、責任を取ろうとせず、老獪な態度
 →隠密がいないとわかると、親しい交わり、二面性に戸惑い

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