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モバイル半導体のユーザ選択とファウンドリー生産委託の錯綜

最先端技術を駆使し、しかも数量規模が並大抵でなく近年の半導体市場を大きく引っ張るモバイル機器分野の最前線の動きの1つを目にしている。発端は、この3月始めのSamsungの新しいflagship製品、Galaxy S6およびS6 EdgeスマートフォンのapplicationsプロセッサにQualcommのSnapdragonではなくSamsung自社の14-nm Exynosを用いるという発表にある。Qualcommの業績にも影響を与える内容であるが、そのQualcommがこんどは次世代Snapdragonの生産をTSMCから切り換えてSamsungの14-nmプロセスに委託するという入り組んだ現下の動きが見られている。

≪慌ただしいモバイル最前線≫

Qualcommの1〜3月期業績が発表され、売上げは伸ばしたものの利益を大きく落とす結果となっている。

◇Qualcomm Profit Drops 46% on Antitrust Fine in China-Chip maker also lowers projections amid headwinds in the sector-China fine puts a dent in Qualcomm's bottom line for fiscal Q2 (4月22日付け The Wall Street Journal)

◇QCOM Seeks Options Beyond Apple, Samsung-It cut its full-year revenue and profit forecast (4月23日付け EE Times)
→Qualcomm社が水曜22日、3月29日締め2015年度第二四半期について最高記録の四半期licensing売上げおよびearningsを発表、しかし、年間売上げおよび利益予想は2度目のこと下方修正の旨。

◇サムスン案件、失注響く、米クアルコム1〜3月、46%減益 (4月24日付け 日経産業)
→米半導体大手クアルコムが「サムスンショック」に苦しんでいる旨。22日発表した1〜3月期の決算は、売上高が前年同期比8%増の$6.894 billion、純利益が同46%減の$1.053 billion(約1200億円)。大口顧客の韓国サムスン電子の新型スマートフォン向けチップの大型案件を失注したのに加え、独禁法違反で中国で多額の課徴金を支払ったことが響いた旨。クアルコムは今年9月末までの2015年度の売上高予想を従来の$26.3 billion〜$28.0 billionから$25.0 billion〜$27.0 billionに引き下げた旨。

Samsungのapplicationsプロセッサ切り換えは、2ヶ月足らず遡ってMobile World Congress(MWC)(2015年3月2-5日:BARCELONA)の場で発表されている。

◇Samsung Phones Pack 14nm SoC-Eight-core Exynos drives handsets, says report (3月1日付け EE Times)
→Samsungが、今回発表の新しいGalaxy S6およびS6 Edgeスマートフォンに14-nm Exynos applicationsプロセッサなどいくつかの新技術を投入、アナリスト筋は、少なくとも今年後半にAppleが次世代iPhonesを出すまでは該handsetsによりSamsungに弾みを取り戻せる技術的優位性が得られる、としている旨。

ところが、ここにきて、Qualcommが次世代Snapdragonのファウンドリー生産委託をSamsungにもっていくという次の動きの記事が出てきて、注目させられている。

◇Exclusive: Qualcomm to Use Samsung’s Foundries for Its Next High-End Chip (4月20日付け Re/code)

◇Qualcomm looking to fast-track Snapdragon 820 with help from Samsung-Qualcomm said to tap Samsung to fast-track Snapdragon 820 chip (4月20日付け PCWorld/IDG News Service)
→Re/code発。Samsung Electronicsが、Appleの次のA9半導体に向けて開発するのと同じ14-nmプロセスを用いて、Qualcommの次世代Snapdragon 820プロセッサを生産していく旨。このような動きは2016年始めまでにより効率的な電池を搭載したより高速な電話の市場化を図る可能性、と特に言及の旨。

先端ファウンドリーでのTSMCとSamsungの覇を競う現況が、次の通り表わされている。

◇Samsung Busts TSMC's 'Monopoly,' Analysts Say (4月21日付け EE Times)
→半導体メーカーを扱うアナリスト発。TSMCによる先端ファウンドリーサービスの独占をSamsungが破ってきている旨。「Samsungの14-nmの現状歩留りが70%を越えて立ち上げに成功、TSMCの先端での独占が破られており、Samsungは14-nmで実効的にTSMC並みになっている一方、ウェーハ当たりのASPをずっと低くしている旨。」

Samsungのファウンドリー対応を巡るここのところの動きを辿ると次の通りである。

◇Samsung to make graphic chips for Nvidia -Nvidia awards GPU foundry contract to Samsung (4月12日付け The Korea Times (Seoul))
→Samsung Electronicsが、14-nmプロセスを用いてNvidia向けgraphic processing units(GPUs)製造を契約ベースで行う旨。

◇Samsung Describes Road to 14nm-FinFETs a challenge, FD-SOI an alternative-Samsung exec talks 14nm design, fabrication (4月16日付け EE Times)
→Samsung Semiconductorのファウンドリーマーケティング、senior director、Kelvin Low氏が同社14-nmへの道筋について。
 Samsung Galaxy S6がSamsungの14-nm FinFETプロセスで作られたExynosプロセッサを使っていると確認して数日後のこと。Intelの14-nm FinFET半導体出荷の後、ライバルのTSMCに打ち勝って14-nmの2番目となる非常に大きなmilestoneであった旨。該14-nm半導体は、Austin, Texasおよび韓国で作っている旨。

Samsungのファウンドリー生産対応について、こんどはAppleが心配しているという表わし方も見られている。

◇Apple is worried Samsung won't make enough chips for the iPhone because the Galaxy S6 is suddenly doing better than expected-Report: Galaxy S6's success concerns Apple (4月16日付け Business Insider)
→Apple Insider website発。Samsungが新しいGalaxy S6およびS6 Edgeスマートフォンの需要構築に成功、Samsung Electronicsが次世代iPhone用A9プロセッサを引き続き作れるか、Apple executivesが懸念している旨。
 Samsungのモバイル機器で中国のSpreadtrum Communicationsのチップセットが採用されるという動きも続いている。

◇Spreadtrum chipsets adopted for Samsung WCDMA tablets and smartphone (4月23日付け DIGITIMES)
→Spreadtrum Communications発。同社のquad-coreモバイルチップセット, SC7730STおよびdual-coreモバイルチップセット, SC7727Sが、Samsung Electronicsの一連のタブレットおよびスマートフォンで採用されている旨。

今回のQualcommを巡るSamsungとの動きは次の通り全体が表わされると思うが、性能、コスト、納期、能力など刻々問われるモバイル最前線の実態を映し出している。

◇クアルコム、サムスンと委託交渉か、半導体生産で (4月23日付け 日経)
→米クアルコムが韓国サムスン電子に半導体生産を委託する交渉に入った模様の旨。従来は台湾積体電路製造(TSMC)に発注していた分の一部を切り替える計画とみられる旨。サムスンは今月発売した新型スマートフォンでクアルコム製品ではなく自社製の半導体を採用しただけに、クアルコムの狙いを巡り観測が交錯している旨。


≪市場実態PickUp≫

【2015年半導体トップ10】

IC Insightsより2015年の半導体サプライヤ・トップ10について、日本勢が1社になるという見方が出されている。NXPとFreescaleの合併が予定通り運べばそうなるとの予想であり、日本の半導体業界のプレゼンスを改めて問う論調となっている。

◇Top 10 2015 semiconductor sales leaders forecast to include NXP/Freescale (4月17日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが今月後半にリリースするApril Update to the 2015 McClean Reportから。

◇Japan is Fading Out From the Semiconductor Business (4月17日付け CTIMES)

◇Is Japan losing its influence in global semiconductor market?, asks IC Insights (4月20日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2014年の半導体サプライヤ・トップ10に入る日本メーカーは東芝とルネサスの2社、NXP/Freescale合併が2015年後半に完了と仮定すると、トップ10・ランキングに入る日本メーカーは東芝1社となっていく旨。日本の半導体メーカーは、1990年にグローバルな舞台で最も大きな影響力を振るい、トップ10のうち6つを占めた旨。この6つというのは、それ以降如何なる国・地域も及んでいない数字である旨。IC Insightsは特に言及、半導体業界にそれなりに関わってきている人なら誰しも、これはかつては恐れられ崇敬された1つの国の大きな移行そして大きな離脱と映ってくる旨。

【スマートウオッチ】

wearableの流れを引っ張るスマートウオッチについて、米国市場での普及の見方である。

◇Smartwatches to Outpace Trackers (4月21日付け EE Times)
→NDP Group発。smartwatchの所有者が増大しており、activity trackers(活動量計)を上回る様相の旨。activity trackerの所有者は2016年の32 million台がピーク、一方、米国消費者の9%がsmartwatchをもっていく旨。

Linley Mobile Conferenceの場でも、スマートフォンおよびタブレットの飽和が一段と進むなか、スマートウオッチが期待の星という位置づけに表わされている。

◇Smartwatch Uptick in Mobile Slump-Handsets, tablets slump to single-digit growth-Analyst predicts strong smartwatch sales as mobile market stagnate (4月23日付け EE Times)
→Linley Mobile Conference 2015(4月22-23日:SANTA CLARA, Calif.)にて、アナリストのLinley Gwennap氏。鈍化していくモバイル市場の中で、smartwatchesがbright spotsの1つになる旨。向こう5年にわたってスマートフォンおよびタブレットともに伸びが一桁に低下するが、smartwatchesは年間300〜400 million台に急増する可能性の旨。2019年までにhigh-endスマートフォン製品購入者の17%がsmartwatchesも買い求めると見ている旨。

そうして今年の最も注目の1つ、アップルの「アップルウオッチ」発売に至った現時点である。今後の市場の反応如何にというところである。

◇アップルウオッチ販売開始、一部量販店に行列 (4月24日付け 日経 電子版)
→米アップルの腕時計型ウエアラブル端末「アップルウオッチ」の販売が24日、始まった旨。アップル直営店は事前にオンラインで予約を受け付けて配送しており、恒例の大行列はできなかった旨。店頭で引き渡す家電量販店や百貨店の一部では新商品を一刻も早く手にしようとする消費者が列をつくった旨。24日は9カ国・地域で一斉に出荷が始まり、時差のため日本は米欧に先駆けて発売した旨。

早速の関係筋の見方である。

◇アップルウオッチ、2015年出荷目標は2000万台以上=関係筋 (4月24日付け ロイター)
→サプライチェーン関係筋発。米アップルは、24日に発売した腕時計型端末「アップルウオッチ」を今年最低2000万台出荷する計画の旨。2014年10-12月期に約7400万台を売り上げた「iPhone」と比較すると小規模な目標に留まる旨。

【10-nmへの取り組み】

TSMCが、10-nmに向けた新しいfabを来年半ばにオープンすると発表している。

◇TSMC to open new fab for 10nm manufacturing in mid-2016, says chairman-TSMC chairman: Foundry will open 10nm fab in mid-2016 (4月20日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏。TSMCは、2015年6月に台湾中部の同社12-インチウェーハ工場で新しいfabを起工、該fabは、10-nmプロセス技術を用いる半導体製造に向けて設計される旨。Fab 15の該新拠点での量産は、2016年半ばとなる旨。同氏はさらに、TSMCは同社のファブレスclientsと決して直接競合はせず、パートナーと見なす、と特に言及、専業ファウンドリーであることがTSMCの基本的な価値であり、ライバルに対する競争優位性である旨。

半導体業界の最先端を引っ張るIntelの10-nm技術はいったいどんなものか、大胆なアナリスト予測が見られている。

◇Intel's 10nm Secrets Predicted-Quantum well FETs, germanium, InGaAs in mix -Analyst predicts how Intel will make 10nm chips (4月21日付け EE Times)
→半導体アナリスト、David Kanter氏が、同氏Real World Technologies Web siteに掲載した分析。Intel社が向こう2世代にわたって用いるプロセス技術について大胆で詳細な予測を行っており、もし正しければ、同社はもう1度業界を飛び越えることになる旨。Intelは10-nmプロセスからquantum well FETsを使用、該新トランジスタ構造には2つの新材料が用いられ、n-型トランジスタにはindium gallium arsenide(InGaAs)、p-型デバイスにはstrained germanium、としている旨。

Applied Materialsからは、10-nm以降を視野に入れたフォトマスクエッチ・ソリューションが投入されている。

◇Applied intros photomask etch solution for quadruple patterning at 10nm and beyond (4月21日付け DIGITIMES)
→Applied Materialsが、Applied Centura Tetra Z Photomask Etchシステムを発表、10-nmノード以降に向けてmultiple patterning scalingを続けるのに必要とされる次世代光lithographic photomasksのエッチング用の旨。該新ツールは、AppliedのTetraプラットフォームの対応性を拡張、今後のロジックおよびメモリデバイスの厳重な仕様に適合が必要なcritical dimension(CD)パラメータに向けangstrom-levelのphotomask精度が得られる旨。

【新興メモリ勢力】

1つは、台湾のIC設計メーカー・トップ10ランキングに、2015年はメモリ関連の顔ぶれが増えていくという見方である。

◇Memory related device suppliers to break into Taiwan top-10 IC design houses in 2015 (4月23日付け DIGITIMES)
→Silicon Motion Technology, Elite Semiconductor Memory Technology(ESMT)およびEtron Technologyなどますます多くのメモリ関連デバイスサプライヤが、長らくLCD driver ICメーカーが席巻している台湾のIC設計メーカー・トップ10に2015年は分け入ってくる見込みの旨。

もう1つ、DRAM業界の自立化を図っている中国であるが、2017年には現在DRAM業界2位、3位のSK HynixおよびMicronを脅かす存在になっていくとの表し方である。

◇China building home-grown DRAM industry, to pose threat to existing leaders in 2017 (4月23日付け DIGITIMES)
→業界筋発。中国が、自国自前のDRAM業界を構築する活動を踏み上げており、2017年にはSK HynixおよびMicron Technologyなど現在の業界leadersに脅威となる様相の旨。

【インテル関連】

引き続きインテルの動きに注目であるが、まずは、中国のモバイル市場の見方とそれへの傾注ぶりである。

◇Intel's success in China hinges on budget phones and tablets-Tablets help drive Intel's growth in China (4月20日付け Engadget)
→IntelのSenior Vice President、Kirk Skaugen氏が、IDF(深セン)での基調講演にて、中国が2014年の世界connected-device購入のなんと30%を占めると引用、「中国はconnected製品のNo.1市場」、「Intelプロセッサを搭載して昨年販売された46 million台のタブレットcomputersの40%を中国が占める」旨。今年は中国のlow-end phonesに入る半導体を設計するRockchipおよびSpreadtrum Communicationsと連携、モバイル関連がさらに増大するとIntelは見ている旨。

lithographyシステムのASML Holdingが、EUVシステム15台の受注獲得を発表ている。

◇ASML Clinches Order for Machines Making More Powerful Computer Chips-ASML reports order for 15 EUV lithography systems (4月22日付け Nasdaq.com/Dow Jones Newswires)
→ASML Holdingが水曜22日、ある米国顧客から少なくとも15台のextreme-ultraviolet(EUV) lithographyシステムの受注を獲得、うち2台が今年出荷予定の旨。顧客名は明らかにしなかったが、アナリストはIntelと見ており、一層のEUV技術開発に向けてASMLに以前equity投資を行っている旨。

この発表がアナリストに以下の通り波紋を呼んでいるが、買い手がインテルというのは疑いないところとなっている。

◇EUV Deal Raises Questions (4月24日付け EE Times)
→ASML Holdings NVがある米国顧客に15台のextreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムを販売というニュースに、アナリストから様々に入り混じった反応、Intelが買い手にほとんど疑いはないが、該取引の条件および半導体製造に向けたEUVの用意万端如何は依然はっきりしない旨。

台湾発、中国市場が視野のインテルのモバイル半導体の打ち上げ線表である。

◇Intel to launch quad-core SoFIA LTE chips in 4Q15, say Taiwan makers (4月22日付け DIGITIMES)
→台湾の業界筋発。Intelが同社4G半導体, SoFIA LTEの打ち上げを2015年第四四半期に、そしてSoFIA LTE 2を2016年第二四半期に前倒しする旨。4Gベースバンドおよびquad-core Atom CPUを統合するSoFIA LTEは、Intelとそのパートナー、Rockchip Electronicsが最近3Gソリューション, SoFIA 3G-Rを共同でリリース、それに続いてくる旨。

【2015年半導体市場予測】

2015年の半導体市場の伸びについて、WSTSは上方修正の一方、Gartnerは下方修正と分かれた見方となっている。モバイル機器市場の見方と相まって、読みの難しさが表れている。

◇WSTS Marks America Up for 2015 Boom (4月21日付け EE Times)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationによる半導体市場改定予測、下記参照。
http://img.deusm.com/eetimes/2015/04/1326404/WSTS_2014_final.png
2015年の伸びが前回3.4%から今回4.9%に上方修正、2016年は変わらず3.1%の旨。Americas地域が2015年に15%伸びると見ている旨。

◇Gartner cuts forecast for 2015 chip market growth (4月24日付け DIGITIMES)
→Gartner発。2015年の世界半導体売上げは、4%増の$354 billionに達する見込み、前回の5.4%増から下方修正の旨。

◇Gartner cuts forecast for semiconductors-Gartner issues downward revision of 2015 forecast for chips (The Taipei Times (Taiwan))
→Gartnerが、2015年半導体予測を改定、前回の5.4%増から今回4%増の販売高、$354 billionと見ている旨。この下方修正は、PC置き換えの終わり、在庫の増加および為替レートの変動によるとしている旨。


≪グローバル雑学王−355≫

外国人がみた歴史の中の日本人はどうみえるのか、テレビのクイズ番組で見かける歴史作家・歴史研究家の著者に成る

『外国人がみた日本史』
 (河合 敦 著:ベスト新書 469) …2015年3月20日 初版第1刷発行

を、今回から読み通していく。古代から現代まで、日本を訪れた外国人による日本での見聞の記録から、そこに綴られた驚き、感動、戸惑い、・・・など率直な感想に触れてこそ、日本人とは何かがみえてくる、としている。まずは、外国人がみた古代・中世を2回に分けて、その前半である。□以下の各アイテムについて、最初の◎以下に注目する記録の出典が示されている。


≪はじめに≫

・外国人の残した記録をみることで、日本人の本質を深く理解、「日本人とは何か」
・(例) 幕末に来日したイギリス公使、オールコック→江戸時代の鎖国という制度を「しあわせを確保」できるシステムとして高く評価

第一章 外国人がみた古代・中世―――世襲好きは日本人の気質!?=2分の1=

【古代・中世の日本 概説】

・4世紀のこと、統一国家・大和政権(豪族の連合政権)が誕生
 →朝鮮半島を舞台、4世紀の後半から5世紀、日本は高句麗とたびたび争い
・各豪族は一族の権威を示すため、古墳をつくるように
 →古墳の墳丘に置かれる埴輪が、朝鮮半島から十数点出土
  …2014年にも新たな発見
 →日本の古墳文化が朝鮮半島南部に伝来
・538年(552年説も)、日本に仏教が伝来
・隋・唐という強大な統一国家が中国に誕生、我が国は使いを送って積極的に中国の文物を取り入れた
・奈良時代、仏教が鎮護国家(国を守護する)の宗教として国教化
・桓武天皇は大寺院の政治介入を嫌って平安京へ遷都、平安時代に
・11世紀後半、平清盛は朝廷の最高職、太政大臣に
 →銅銭を大量に宋(中国)から輸入、日本の通貨として使用するように
  →宋で不足し、1199年、日本への銅銭輸出を禁止するまでに
・源頼朝が打ち立てた武士政権(鎌倉幕府)、政治は貴族から武士の時代へと移行
・鎌倉中期、宋(南宋)を滅ぼした元が二度にわたって襲来
・南北朝時代、朝鮮半島(高麗)や中国(元)沿岸部を襲撃、食糧や人々を拉致する海賊、倭寇
 →倭寇討伐に名をあげた李成桂が高麗を倒して朝鮮王朝を樹立
 →中国では元を北方に追いやり明を樹立した朱元璋も、室町幕府に対して倭寇の取り締まりを求めることに

□女王の支配する国
◎『魏志』倭人伝に登場する邪馬台国の女王、卑弥呼の記録
 →日本の個人について記された最古の記録
・人びとの前に姿を見せず、宮殿の奥深くで女性千人にかしずかれて生活、すぐれた呪術を見せるというミステリアスさ
 →卑弥呼を象徴的存在とするために意図的に行われた演出か
・当時の日本人は、女をトップにすえると国家が安定したらしい

□弥生時代の日本人
◎『魏志』倭人伝は、弥生時代の日本人の風俗がわかる唯一の文字史料
・気になるのは、生野菜や酒が大好きだったと記されている下り
 →日本のことではなく、東南アジア方面にある島をさしているのではないか、という一抹の疑念も
・邪馬台国には、隔絶した地位(身分)の差が存在
・邪馬台国がのちに大和政権に成長したのかどうかは不明
 →邪馬台国の位置もいまだ特定されていない

□朝鮮半島に襲来する日本人
◎高句麗の都だった丸都(ガント:中国の吉林省)に立つ「好太王碑」の碑文、高さが6.34m
・大和政権(倭)は、朝鮮半島南部をめぐって高句麗と激しく争っていた

□倭の五王、中国へ使者を派遣
◎『宋書』倭国伝…5世紀の日本(大和政権)との交流が書かれている
・5世紀に南朝(宋)へ使いを送った5人の天皇
 …倭の五王(讃・珍・済・興・武)
 →今の日本人に見られる特有の奥ゆかしさは、まったく感じられない
  →自己を大きく見せようとする欧米人的なイメージ

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