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ノンボラメモリを巡る動き…3D NAND出揃い:eNVM連携

不揮発性メモリ、すなわちノンボラメモリについて2点の動き。まずは、NANDフラッシュの先端大容量化に向けて2013年にSamsungが先行して量産開始を発表した三次元NANDフラッシュ、3D NANDあるいは「V-NAND」について、競合各社の取り組みがここにきてまた出揃ってきて、やっとのこと本格的な展開の局面を予感させている。もう一つ、SoC化に向けたembeddedノンボラメモリについて、NXP SemiconductorとGlobalfoundriesの次世代開発および量産化に向けた連携の取り組みが発表されている。

≪先行するSamsungを追って≫

メモリセルを、三次元に積み重ねることで大容量化するNANDフラッシュ、3D NANDは、2013年半ば、Samsungが、世界初、「V-NAND」の量産を打ち上げるや否や、東芝およびマイクロンから対抗するスタンスが発表されているのがそもそもである。

続く第8回 Annual Flash Memory Summit(2013年8月13-15日:Santa Clara Convention Center)の場にて、SamsungはV-NANDベース初めてのsolid state drive(SSD)を発表して、東芝、Micronに重ねて先んじる動きとなっている。

さらに2014年は、Samsungが引き続いて高度な展開を見せており、何点か動きを抽出、以下の通りである。

◎The Bumpy Road To 3D NAND Even after the technology becomes mainstream, there are questions about how well it will scale.(2014年1月23日付け Semiconductor Engineering)
→昨年、Samsungは、業界初の3D NANDデバイス、24層、128-Gビット半導体を展開、2014年にはMicronおよびSK Hynixがこれに従う。しかし対照的に、SanDisk/Toshiba duoが3D NANDを出荷するのは2016年以降、それまでは両社はplanar NANDを引き続ける計画、2D技術が3D NANDよりも安価で性能が良いとしている。Samsungが3次元NAND専用に向けたといわれる中国・西安工場が、稼働を始めている。いっぽう、生産性に関わる問題も指摘されている。

◎3D NAND delays 2014年4月25日付け The Week In Review: Manufacturing:Semiconductor Engineering)
→3D NAND市場が展開に時間がかかっている。Samsungは3D NANDデバイスを出荷しており、MicronとSK Hynixはそれぞれの3D NAND半導体スケジュールを後倒ししている。にも拘らず、中国工場の稼働、立ち上げが続けて発表されている。

◎Samsung Electronics produces world's first 3-bit vertical NAND chip -Samsung kicks off production of TLC V-NAND flash memory(2014年10月9日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが、セルあたり3ビットのデータをもつ3D NANDフラッシュメモリデバイスの量産を開始、このtriple-level cell(TLC) V-NANDフラッシュメモリは、8月に投入された。

このような経緯を受け止めている3D NANDであるが、先行するSamsungを追って、ここにきて各社の関連発表が一気に相次いでいる。まずは、SK Hynixの株主に対するメッセージの中の下りである。

◇SK hynix vows to boost NAND flash segment -Chipmaker to mass produce lower 20-nano class DRAM in H2-SK Hynix aims to strengthen NAND flash business (3月20日付け The Korea Times (Seoul))
→SK HynixのCEO、Park Sung-wook氏が金曜20日、株主に対して、同社は2015年の間にNANDフラッシュメモリデバイスでのcapabilitiesを強化する一方、今年後半に20-nm featuresのDRAMs量産化を行う旨。20-nm-class製品を量産してDRAM分野のリーダーとしての競争力を維持、triple-level cellおよび三次元分野での科学技術的度量を高めてNANDフラッシュメモリ分野でのcapabilitiesを強化していく旨。

Micronについては、固有の取り組みとして以下を発表している。

◇Micron Tweaks Consumer MLC for Enterprise Storage-Micron touts enterprise use of consumer MLC NAND flash (3月24日付け EE Times)
→Micron Technologyが、20-nmおよび16-nmプロセスで作ったmulti-level cell(MLC) NANDフラッシュメモリデバイス、FortisFlashラインを投入、enterpriseデータストレージによく適している旨。FortisFlashは、consumer MLCフラッシュより高速、single-level cellモードを採用の旨。

そして、共同で取り組むIntelと世界最高密度と謳う3D NAND技術を以下の通り披露している。

◇Micron, Intel Flash 3D NAND-256, 384 Gbit chips sampling, SSDs TK (3月26日付け EE Times)
→MicronとIntelが、Samsungに次いでultra-dense 3-D NANDフラッシュ半導体を披露、半導体およびsolid-state drives(SSDs)で販売する旨。Micronはすでに半導体レベル製品をサンプル配布、年末までに出荷予定、Samsungに広範な半導体販売を強いる様相の動きの旨。

◇Micron and Intel unveil new 3D NAND flash memory (3月26日付け ELECTROIQ)
→Micron Technology社とIntel Corporationが、世界最高密度のフラッシュメモリ、両社の3D NAND技術を披露の旨。両社共同開発のこの新しい3D NAND技術は、並外れた精度でデータ蓄積セル層を垂直に重ね合わせ、競合するNAND技術の3倍の容量のストレージデバイスを作り出した旨。垂直に32層でフラッシュセルを重ね合わせ、標準パッケージに入る256Gビットmultilevel cell(MLC)および384Gビットtriple-level cell(TLC) dieを得ている旨。

◇New 3D NAND flash will triple capacity of SSDs, Intel and Micron say-Intel, Micron tout capabilities of new 3D NAND flash (3月26日付け PCWorld)
→IntelとMicron Technologyが、新しい3D NANDフラッシュメモリのサンプルを配布、10 terabytesを蓄えられるsolid-state drives(SSDs)が可能になる旨。該3D NANDメモリはfloating-gateトランジスタ技術に基づき、垂直stackedメモリセルを特徴とする旨。

◇Intel and Micron unveil 3D Nand flash to enable 10TB SSDs (3月26日付け V3.co.uk (U.K.))

東芝は、低ビットコストで製造できるBiCS(Bit-Cost Scalable)技術を活かしたこれも業界最高密度を謳う3D NANDフラッシュメモリを発表している。

◇Toshiba announces industry's densest 3D flash memory-Toshiba claims to have the densest 3D flash memory (3月26日付け Computerworld)
→東芝が、48層の2-ビットメモリセルを擁する3D NANDフラッシュメモリを投入、垂直stacking技術、bit cost scalingを採用、1つのチップで16-gigabytesのデータ蓄積が得られる旨。東芝はSanDiskと該メモリ半導体を開発、木曜26日にサンプル出荷を始めた旨。

◇東芝、3次元メモリ出荷開始 (3月27日付け 日経)
→東芝が26日、記憶素子を積層して容量を増やす3次元フラッシュメモリのサンプル出荷を始めたと発表、記憶素子を48層まで重ねた製品は世界で初めて、早ければ2015年中に量産する旨。容量は16ギガバイト、書き込み速度は現行品に比べ約2倍に向上した旨。記憶素子の層を増やせば将来はテラバイト級の大容量メモリも可能になる旨。

もう1つ、SoC化に向けたembeddedノンボラメモリ(eNVM)についてNXP SemiconductorとGlobalfoundriesの連携の取り組みが発表されている。
量産はシンガポールで行うとしている。これも競合、そしてさらなる連携の動きに注目している。

◇NXP and GlobalFoundries announce production of 40nm embedded non-volatile memory technology (3月24日付け ELECTROIQ)

◇GloFo, NXP co-develop 40nm eNVM process-40nm eNVM process created by NXP, GlobalFoundries (3月24日付け Electronics Weekly (U.K.))

◇NXP and Globalfoundries announce production of 40nm embedded non-volatile memory technology (3月25日付け DIGITMES)
→GlobalfoundriesとNXP Semiconductorが、次世代embedded non-volatile memory(eNVM)を共同で開発、Globalfoundriesの40-nmプロセス技術プラットフォームでの300-mm prototypeウェーハ生産からきている旨。量産はGlobalfoundriesのSingapore拠点にて2016年に予定の旨。
identification, near-field-communication(NFC), ヘルスケアおよびmicrocontrollers(MCUs)など多彩な製品における革新的な応用に向けて高密度on-chip eNVMのtime to marketが早められる旨。


≪市場実態PickUp≫

【TSMCを巡る連日の動き】

AppleのiPhone 6用プロセッサ出荷から第一四半期絶好調の業績が伝えられるTSMCについて、まずは次世代のA9プロセッサについてもSamsungに対し圧倒的優位に受注を獲得する情勢が表わされている。

◇Apple A9 Orders Pivot to TSMC-Samsung's yield issues may have caused the shift (3月23日付け EE Times)
→EE Timesが話しを聞いた筋発。TSMCが、最先端技術ノードで歩留り問題を抱えているSamsungを差し置いて、AppleのA9プロセッサに向けたより多くの受注をとっていく旨。Appleは、iPhone 6Sに向けて今年該A9の生産を立ち上げている旨。Appleは当初、A9発注の約80%をSamsungに、残りをTSMCに向けていたが、今や形勢が逆転している旨。

一方、第一四半期に対して第二四半期の売上げは伸びが鈍化の見方となっている。

◇TSMC to post flat to 5% revenue growth in 2Q15 (3月24日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCの2015年第二四半期売上げが前四半期比0-5%の伸びの見込み、20-nm半導体のoutput増が主に効く旨。AppleのiPhone 6および6 Plusの力強い売れ行きから特に好調の第一四半期に対して、第二四半期はここ数年通常に見られた二桁増ではなく控え目な伸びになることが見込まれる旨。

iPhone 6の売れ行きを力強く支える中国市場、次の通りである。

◇China market buoying iPhone shipments (3月24日付け DIGITIMES)
→upstreamサプライヤ筋発。AppleのiPhone 6の売れ行きが中国で特に力強く、スマートフォンの出荷の伸びを引っ張っている旨。2014年第四四半期に50 million台以上のiPhone 6が出荷され、2015年第一四半期も主に中国での売れ行きから50 million台を越えると見られる旨。中国ではAppleのiPhone 6が2014年第四四半期に15-20 million台販売されている旨。

iPhone次機種についてTSMCの圧倒的供給が続く噂が鳴り止まない感じ方がある。

◇TSMC to supply chips for rumored iPhone 6S and 6C (3月25日付け DIGITMES)
→業界筋発。TSMCが、来るiPhone 6Cモデル用の20-nm半導体および6Sモデル用の16-nm FinFET半導体を供給、2015年後半に引き続きApple向け主要プロセッササプライヤとなる旨。TSMCは、業界筋が史上最もよく売れているiPhoneモデルとしているAppleのiPhone 6および6 Plus用プロセッサの単独サプライヤとされており、6および6 Plusの力強い需要が20-nmプロセス技術から発生するTSMCの販売高を高めている旨。

しかし一方では、スマートフォン用半導体需要が弱まるという見方が続いて、TSMCの株価が連日の下げ模様、市場の動き、反応に絶えず目が離せないところである。

◇TSMC Drops as Weaker Smartphone Market Threatens Chip Demand-TSMC stock price falls as analysts point to weaker demand for phone chips (3月26日付け Bloomberg)
→少なくとも4人のアナリストが米国ドルがさらに強くなってスマートフォン用半導体需要を弱める可能性とレポート、TSMCの株価が台北での取引で5日連続の下げ、ここ2年で最も長い連続の旨。

【Intelの次世代Xeon Phi】

Intelが業界専門筋を呼び入れて、高性能computing向け次世代Xeon Phi "Knights Landing"プロセッサを披露している。今までの3倍の性能、MicronのHybrid Memory Cubeとの組み合わせが注目されるほか以下の概要である。

◇Intel's Xeon Phi to House 72 Cores-System-in-package sports 16-Gbytes (3月25日付け EE Times)
→Intelが、ついに次世代Xeon Phi multi-processor半導体、Knights Landingを明らかに、3-teraFLOPSで先行世代の3倍の性能の旨。2-D on-chip mesh interconnectを用いて、該Xeon Phi Knights Landingは、Intelの新しいOmni-Path off-chip通信を誇示する最初の半導体の旨。特別な並列インタフェースを用いてMicronのHybrid Memory Cube(stack chips)用のpadsに囲まれたXeon Phiから、on-chipメモリと同じ高速性能が得られる旨。

◇Intel's Deep Learning Play: Next-Gen Xeon Phi Could Challenge NVIDIA GPUs-Intel touts performance of "Knights Landing" processor (3月25日付け Forbes)
→Intelが2015年後半にリリースとしているXeon Phi "Knights Landing"プロセッサは、高性能computing応用に向けて仕立ててあり、最大native DDR4メモリ384-gigabytes、6 channels運用および36本のPCIe 3.0 lanesを特徴とする旨。Xeon Phiは60個以上のx86-architecture処理コアをもつ旨。"enterprise-class, 高信頼性, enterprise-gradeプロセッサ"(IntelのTechnical Computing Group、Marketing Director、Hugo Saleh氏)の旨。

◇Intel's Upcoming Xeon Phi Will Include 384GB of DDR4 Memory (3月25日付け eWeek)

【2014年のO-S-D半導体】

2014年の市場データから、まずはO-S-D(optoelectronics, sensors, actuators and discrete)半導体が2年の低迷を経て9%増と伸びを示している。スマートフォンからIoT、wearableの流れの中での上げ基調が見込まれるところである。

◇Optoelectronics, sensors/actuators, and discretes growth accelerates (3月25日付け ELECTROIQ)

◇OSD sales resume growth-IC Insights: 2014 sales of OSD chips rose 9% to $63.8B (3月26日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。2014年のoptoelectronics, sensors, actuators and discrete(OSD)半導体の販売高合わせて9%増の$63.8 billion、2012年および2013年は僅か1%増であった旨。2014年のグローバル経済の控え目な増進、electronicシステム生産の着実な増大および数量需要の高まりが、discretesの力強い回復をsensors/actuatorsの相当な改善およびoptoelectronicsの伸び拡大とともに引っ張っている旨。

【2014年のMEMSメーカーランキング】

これも2014年のデータから、上記の流れの中でのMEMSメーカーの販売高ランキングである。TSMCと同様、AppleのiPhone 6向けセンサ需要が効いて、Boschが抜けて大きくリードする形勢となっている。

◇2014 top MEMS players ranking: Rising of the first MEMS titan (3月24日付け ELECTROIQ)
→Yole Developpementの“2014 TOP 30 MEMS Players Ranking”、下記参照。Robert Bosch GmbHが販売高$1.2Bで明らかなNo.1、2位のSTMicroelectronicsとは$400M以上の開きの旨。
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2015/03/illus_top30mems_march2015-1024x661.jpg

◇Apple dictates the ranking of top 10 MEMS manufacturers in 2014 (3月24日付け ELECTROIQ)
→BoschはiPhone 6および6+に加えられた圧力センサの唯一のサプライヤ、Appleが再びBoschの2014年MEMS売上げを高めている旨。

◇Bosch Rides Apple to MEMS Dominance-2014 MEMS Ranking (3月26日付け EE Times)

◇Apple dictates the ranking of top 10 MEMS manufacturers in 2014, says IHS (3月27日付け DIGITMES)

【日本の半導体業界】

我が国半導体業界について台湾・Digitimes Researchからの2014年データが以下の通り表わされている。米国SIAの発表データでは、他の3地域(米国、欧州、アジア太平洋)からは大きく離される伸びではあるが、2010年以来の年間販売高の増加となっている。

◇Digitimes Research: Japan semiconductor product value edges up 8.7% in 2014 amid strategic changes-Report: Japan's IC industry output reached $27.5B in 2014 (3月25日付け DIGITMES)
→Digitimes Research発。2014年の日本の半導体業界の生産valueが、8.7%増のJPY3.25 trillion($27.5 billion)、各社は収益性改善に向けて分業強化を支援する政府の政策から後押しを得ている旨。日本政府は、日本の半導体業界の高い生産コスト構造がグローバル半導体市場で次第に落としている主な理由であるとしている旨。

【革新の母12人】

米国、英国では3月が"女性の歴史月間"とのこと。科学技術分野での探求の母として以下の名前が挙げられている。

◇Mothers of Innovation: 12 Women Engineers and Scientists to Know (3月23日付け EE Times)
→アメリカやイギリスでは3月は毎年”Women's History Month(女性の歴史月間)”、革新およびSTEM(science, technology, engineering, and math)探求の母と称せられる以下の女性たちについて。
 1.Grace Murray Hopper    : Mother of COBOL
 2.Betty Holberton      : From ENIAC to minicomputers
 3.Ada Lovelace        : First computer programmer
 4.Katherine Johnson     : NASA "computers in skirts"
 5.Margaret Hamilton     : Apollo 11 savior
 6.Jocelyn Bell Burnell    : Radio pulsars
 7.Lise Meitner        : Nuclear fission
 8.Emmy Noether        : Noether's theorem
 9.Henrietta Swan Leavitt   : Galaxy distance
 10.Hedy Lamar        : Wireless pioneer
 11.Vera Rubin        : Cluster galaxies
 12.Valentina Tereshkova   : First woman in space

◇12 women engineers and scientists you must know (3月24日付け EE Times India)


≪グローバル雑学王−351≫

中日韓外相会談が21日、韓国ソウルで開催されたばかり、できるだけ早期の首脳会談開催のコンセンサスが図られたが、戦後70年の大きな節目を迎えるなか、中国と北朝鮮に焦点を当てて、

『大局を読むための世界の近現代史』
 (長谷川 慶太郎 著:SB新書 276) …2014年11月25日 初版第1刷発行

より2回にわたって著者の歴史観、認識に触れていく。今回は、アジア諸国との距離により朝鮮戦争特需が押し上げた我が国の経済の伸び、毛沢東の進めた道と彼の周恩来との関係、そして中国人民解放軍の実態が、近現代史の時間軸で表わされており、認識するところと照合させられている。


第3章 中国と北朝鮮、その成り立ちから現在=2分の1=

◇国共内戦により誕生した中華人民共和国
・第二次世界大戦後、中国国内では国民党と共産党が再び敵対、「国共内戦」へと突入
・国民党にとって誤算だったのは、共産党の八路軍が最新式の兵器を保有していたこと
 →国民党は次第に押されて、ついに1949年、蒋介石は台湾への撤退を決断
・共産党が発足させた中華人民共和国は台湾への侵攻も検討、朝鮮戦争の勃発により見送り
 →そのまま現在に至る

◇日本の運命を変えた朝鮮戦争の勃発と特需
・日本は戦後、大陸にあった資産を失ったが、日本にとって逆に、大きなプラスに
 →アジアとの関係が遮断、原料基盤や販売市場を求め、世界各地に
・日本は島国という地政学的な条件に加え、日本の防衛をアメリカに一任、ひたすら経済活動に邁進へ
・アジア諸国から距離をとったことで恩恵を受けた出来事
 →朝鮮動乱勃発で起きた「特需景気」
 →復興そして経済成長の足がかりを築いていった
・1950年6月、北朝鮮軍が突如北緯38度線を突破、朝鮮戦争が始まる
 →北緯38度線を境に膠着状態に
 →戦いの決着がつかないまま、1953年7月、南北軍事境界線上にある板門店で休戦協定が調印
 →いまでもまだ戦いの決着はついていない
・日本は、朝鮮戦争2年目にあたる1951年(昭和26)には、8億ドルもの外貨を稼いだ
 …当時の日本の総輸出金額が6億ドル
 →この特需で急成長を遂げた企業のひとつが、トヨタ自動車

◇「連邦制」を断固拒否した中国建国の父・毛沢東
・1949年10月、中国共産党の一党独裁体制による国家、「中華人民共和国」が成立
 →もっとも重要なポイントは、「単一共和国」として設立されたこと
 →ある意味では柔軟性に乏しい硬直した政治体制
・(著者は、)1960年代の香港、中国共産党創始者のひとりと目される人物と面識
 →「毛主席は連邦制を採り入れるのを頑なに拒み、ほかの指導者の発言を抑えて、この路線を突き進んでいる」

◇毛沢東の顔色をうかがっていた周恩来
・周恩来は日本に留学した経験、親日家
 →先ほど出てきた中国共産党創始者のひとりと目される人物
 →「周恩来は、路線の対立があると、決まって毛沢東の顔色をうかがう」
・周恩来には墓がなく、1976年に死去、遺骨は中国の大地に散布
 →趣味嗜好に寄るところ、立派な木のお棺を徹底して嫌っていた
 →遺骸や墓が辱められるのを恐れていた
・周恩来は清廉な印象を与える反面、政治家としてのしたたかな顔も

◇ベトナム軍に歯が立たなかった中国人民解放軍
・毛沢東が選択した「単一共和国」制
 →さまざまな面で中国の現実にそぐわないことが露呈
・1970年代の後半、カンボジア・ベトナム戦争
 →中国は、1979年2月、ベトナムへの軍事侵攻を開始
 →10年以上続いたベトナム戦争を戦い抜いた強者たち、朝鮮戦争以来、何十年も本格的な実戦から遠ざかっていた中国軍が勝てる相手ではなかった
 →中国軍は多大な損害を出し、わずか1ヶ月足らずで撤退
・敗れた要因のひとつには、「中国人民解放軍内の言語不統一」
 →かつては北京人と広東人は会話が通じず
 →1989年に起きた天安門事件で出動したのが山西省の第6軍
  →あえて言葉が通じない彼らを使った

◇人民解放軍は恐れるに足らず
・人民解放軍は中国共産党の政党軍であり、国軍ではないが実質的な「中国軍」そのもの
 →あまり知られていないが、文化大革命で徹底的に痛めつけられている
  →文革の最中に士官学校が廃止、最新の軍事技術をマスターできず、現在に至る
・人民解放軍はまず地域ごとに徴兵人数を割り当て、志願者を募る
 →入隊の際には履歴書を預けるが、これがないと中国社会で生きていけなくなる
 →このシステムには抜け道
  →除隊を申請し、履歴書を買い戻せばいい
  →親がお金を持っていれば、いくらでも除隊することができる
・これに加えて問題になっているのが「一人っ子政策」の弊害
 →人民解放軍でも約70%の兵士は一人っ子、育ちから戦闘能力には疑問
 →見かねたカネのある親たちは、大金を払って履歴書を買い戻す
  →履歴書を預かる政治委員だけが裕福になり、人民解放軍の中でも亀裂
・仮に人民解放軍と自衛隊が戦ったらどうなるか
 →貧乏人の子弟ばかりが残り、不平不満が充満する人民解放軍、士気が高い自衛隊
 →戦いの決着は目に見えている

◇活躍の見込みがない中国初の空母「遼寧」
・2012年に就役した中国初の空母「遼寧」
 →原子力でなくディーゼル稼働、航空母艦にはならない
 →部品交換のために約75日で戻る必要。対して、アメリカの原子力空母は3年間はドックに入らなくても活動可能
・日本の航空自衛隊のスクランブル(戦闘機の緊急発進)
 →いつ何が起きても動けるように、エンジンをかけっぱなし
 →2012年の1年間だけでも580回に
 →中国空軍はこのようなことを行っていない実情

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