IoT、wearableに向けた連携、事業シフト&強化の動きが急加速
スマートフォンの伸びの鈍化が方々から伝えられ、時あたかもApple Watchが発表されたのを受けて、IoT、wearableに向けた動きの急加速がグローバルな規模で見られている。世界最大のwatch fair、BASELWORLD(スイス・バーゼル)にて、スイス時計ブランド、タグ・ホイヤー(Tag Heuer)が米グーグル、インテルと提携してアップルに対抗するスマートウオッチのこの秋打ち上げを発表したのをはじめ、次のキラー・アプリとしてのIoT、wearableに賭ける具体的な連携、各社事業方針の展開が続いていく情勢となっている。
≪またもやグローバルに噴出≫
まずは、この動きに火をつける1つになっている時計メーカー、タグ・ホイヤー(スイス)が米グーグル、インテルと提携してアップル対抗の高級時計に取り組むという以下の動きである。NHKテレビの朝のニュースで最初に気づかされている。
◇LVMH's Tag Heuer surfs wave of smartwatch partnerships-Tag Heuer to release smartwatch version of Carrera (3月18日付け Reuters)
→フランスのファッション業界大手企業体の一つ、LVMH(LVMH Moet Hennessy ‐ Louis Vuitton S.A.:モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下最大のスイス時計ブランド、Tag Heuerが、同社人気のCarrera luxury watchのスマートウオッチ版を今秋リリース、Intel半導体を搭載する旨。
この時計は、スポーティーで黒いCarreraのように見えるが、geolocation(ユーザの位置情報を扱う技術)などディジタルfeaturesがある旨。今週の世界最大のwatch fairにて、アップルに対抗する高級時計メーカーの動きの1つの旨。
◇Google, Intel, TAG Heuer Plan Smartwatch-TAG Heuer's Android Wear-powered smartwatch is expected toward the end of the year. (3月20日付け EE Times)
→Google, Intel, およびTAG Heuerが木曜19日、IntelのelectronicsおよびGoogleのAndroid Wearソフトウェアに基づくSwiss smartwatchでコラボする計画を発表の旨。
◇時計メーカー、ウエアラブルに続々参入、スイスで時計見本市、タグ・ホイヤーがグーグル、インテルと提携 (3月20日付け 日経)
→世界の時計メーカーが、身につける情報機器、ウエアラブル端末に参入し始めた旨。19日に開幕した時計と宝飾品の見本市「バーゼルワールド」ではタグ・ホイヤー(スイス)が米グーグル、インテルと提携して新商品を投入すると表明、スウォッチグループ(同)も発売の準備を進めている旨。米アップルの参入で注目を集める腕時計型端末の市場が活性化しそうな旨。
時を同じくして、産業用IoTに向けた通信用半導体を照準に、Microsemi社がVitesse Semiconductor社の買収を発表している。
◇Industrial IoT Drives Microsemi-Vitesse Merger-MIPS vs. ARM conflict on horizon-Microsemi's Vitesse buy takes aim at industrial IoT (3月18日付け EE Times)
→Microsemi社が水曜18日、Vitesse Semiconductor社を$389 millionで買収する旨。Microsemiのステートメントによると、該合併の重点は"通信用半導体"にあり、一緒になって"carrier, enterpriseおよび産業用Internet of Things(IoT)市場"に向かっていく計画の旨。
◇Microsemi agrees to buy Vitesse for $389 million in cash (3月18日付け San Jose Mercury News)
Intelはブロードバンド半導体のLantiqを買収、IoT市場に向けた"囲い込み&征服"戦略を展開していくとしている。上記の時計業界との連携を1つとして、ファッション業界と組んでいく動きが目立つ同社となっている。
◇Intel's 'surround and conquer' IoT strategy-With the Internet of Things set to explode over the next 2 to 3 years, will Intel's x86 architecture become irrelevant?-Analysis: How Intel's Lantiq acquisition fits its IoT strategy (3月18日付け Computerworld/OPINION)
→IntelがInfineon Technologiesからスピンアウト、broadband access半導体のファブレスサプライヤ、Lantiqを買収する計画は、Internet of Things(IoT)市場に対応して捉える同社の戦略を示している旨。Intelは現在、IoTシリコンおよび関連サーバのpremierサプライヤたるほとんどすべてのpiecesをもっており、broadbandサービスは特にconnected homeにおいてIoTを本物にするのに必要である旨。
そのアプローチの目玉となっているのが、ボタンサイズのボードマイコン「Curie」であり、以下の製品内容である。
◇Intel doesn't want Curie wearable computer making fashion statements-Intel's chip for wearables is button-sized (3月16日付け PCWorld/IDG News Service)
→IntelのNew Devices Group、corporate vice president and general manager、Mike Bell氏。Intelは、ボタン寸法のボード上でIntel Curie半導体をリリースするよう備えており、新しいconnected機器を設計するときユーザにplug-and-playを与えるようセンサ、拡張portsおよびワイヤレスcircuitryとで構成の旨。Curieは、ボードの余分なしの"multi-chip package"(MCP)でも出しており、小さなspaces and power wearablesに合わせる狙いの旨。
NXP Semiconductorsからは、home automationシステムでのIoTに向けたmicrocontroller(MCU)半導体が市場投入されている。
◇NXP Rolls Out Chips For Home Automation, IoT Market-NXP debuts wireless MCU for connected devices (3月18日付け Investor's Business Daily)
→NXP Semiconductorsが水曜18日、低電力、ワイヤレスmicrocontroller(MCU)半導体を投入、home automationシステムでのInternet of Things(IoT)応用に向けてより長距離にわたって動作するよう設計されている旨。IDCの予測では、IoT市場expendituresが2015年で14%増の$1.7 trillion、この10年の終わりまでには$3 trillionに増大するとしている旨。
このIoTの喧騒のなか、いくつかのプラットフォーム陣営が覇を競っているが、その必要はないと以下の見方もあらわれている。
◇IoT Won't Need a Unified Platform-Viewpoint: Connected devices don't require a single set of standards (3月17日付け EE Times/Designlines blog)
→smart booking, ticketing, データmanagementおよびpaymentシステムのプロバイダー、Vix TechnologyのCEO、Steve Gallagher氏記事。大手プレーヤーがInternet of Things(IoT)領域のownershipに向けて立ち回っているが、実際には普遍的なプラットフォームの必要はないと思う旨。
ともかくwearableは然り、IoTに向けた合唱が各社から続いており、台湾からは以下の気炎が上がっている。次のキラー・アプリとしての期待から、方々から声が揃っていきそうな気配である。
◇MediaTek Sees IoT as Its Next Growth Driver-MediaTek looks to connected devices for IC sales growth (3月19日付け EE Times)
→MediaTekが、いったんスマートフォン事業が勢いを失ってくると、Internet of Things(IoT)が次の大きな成長牽引役になると見ている旨。
現在はLTE半導体事業のちょうど始まりであり、そこではStrategy Analyticsによると、昨年末までにMediaTekが17%のシェアを作り上げ、No. 1ライバル、Qualcommが64%に落としている旨。
◇In 2020, 10nm Will Occupy 55% of Revenue: TSMC (3月19日付け CTIMES)
→TSMCのCo-Chief Executive Officer and Co-President、Mark Liu氏が3月18日の講演“Growth Beyond Mobile”にて。Internet of Things(IoT)が半導体業界の主要な成長driverとなり、さらに10-nmが2020年の売上げの55%を占めると予測する旨。
≪市場実態PickUp≫
【アメリカ大陸横断】
自動運転の車でサンフランシスコからニューヨークまでアメリカ大陸横断を狙う試みが、以下の通り行われようとしている。北米最長とのこと、自動運転の完全の度合い、安全性の結果に注目である。
◇Delphi plans coast-to-coast demo of its self-driving car (3月13日付け Reuters)
→Delphi Automotive PLCが、ほとんどそれ自体で運転する特別装備のAudi SQ5での3,500-マイルcoast-to-coastの旅、"北米で試みられた中で最長の自動運転"をもってself-driving carsで伸びていく実力を披露する狙いの旨。このDelphi driveは、3月22日にSan FranciscoのGolden Gate Bridge近くをスタート、New York Cityで4月3日のannual auto show開幕のちょうど前に終える計画の旨。
◇Self-Driving Car Aims for First Cross-U.S. Road Trip (3月17日付け IEEE Spectrum)
【デバイス採用2件】
AppleがMacBookにSamsung ElectronicsのSSDsを採用、3D NANDフラッシュの先行からSamsungのみの使用となっている。
◇Why Does Apple Exclusively Mount Samsung SSDs in MacBooks? (3月17日付け BusinessKorea)
→業界および海外press筋発。Appleが、最近リリースした12-インチMacBookにSamsung ElectronicsのSSDsを独占的に搭載、対照的にSamsung Electronicsの競合、SanDiskおよび東芝はSSDsは入り込めていないが、Samsungと比較して市場で3D NANDフラッシュについての懸念を緩和できていない旨。
そのSamsungは、スマートフォンのapplication processor(AP)サプライヤにMediaTek品を用いる動きが見られている。
◇Digitimes Research: Samsung to adopt MediaTek APs for smartphones (3月18日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、2014年後半にMediaTekと協力を巡る協議、MediaTekは、早くても2015年後半にSamsungのスマートフォンのapplication processor(AP)サプライヤになる見込み、Samsungの製品lineupにおける溝を埋めるよう支援する旨。BroadcomがスマートフォンAP事業を撤退した後、Samsungは、lower-endスマートフォン製品ライン用のAPソリューションに向けて、代替をMarvellに求めており、そして中国のSpreadtrumと連携している旨。
【国際特許出願】
国連のWorld Intellectual Property Organization(WIPO)レポートより、PCT特許出願の2014年件数でメーカー別、国別トップ3が以下の通りである。
中国の伸びが注目される。
◇U.S. Tops in Patent Filings, China Is No. 3 with a Bullet (3月19日付け EE Times)
→国連機関のWorld Intellectual Property Organization(WIPO)が19日発行したレポート。2014年の国際特許出願の順位:
1位 Huawei Technologies 3,442件
2位 Qualcomm社 2,409件
3位 ZTE社 2,179件
WIPOのレポートは、Patent Cooperation Treaty(PCT)特許数ベース、1つのPCT filingで148ヶ国における発明の保護が同時に求められる旨。国別では次の通り:
1位 米国 61,492件 7.1%増
2位 日本 42,459件 3%減
3位 中国 25,539件 18.7%増
【産業用半導体市場】
経済の好不況の波を反映する産業用半導体市場が、2018年まで見据えて以下の通り予測されている。現在好調な米国、鈍化したとは言え高水準の中国が引っ張って、約10%/年の伸びを見込んでいる。
◇Recovering economies driving growth in the industrial semiconductor market (3月16日付け ELECTROIQ)
→IHS発。産業用半導体市場が、向こう数年にわたって9.7%のcompound annual growth rate(CAGR)を示し、2013年の$34.8 billionから2018年には$55.2 billionに売上げが増大すると見る旨。各社によるcapital spending増加および特に米国および中国での経済成長の持続から、需要が刺激され、産業用半導体の販売高の伸びを引っ張っていく旨。
◇Industrial chip market on a roll-IHS: Industrial chip sales to grow nearly 10% a year (3月16日付け Electronics Weekly (U.K.))
◇Recovering economies driving industrial semiconductor market growth, says IHS (3月16日付け DIGITIMES)
【2月の半導体製造装置】
日本、そして北米の半導体製造装置業界、2015年2月のデータが恒例の通り発表されている。BB比がそれぞれ1.11、1.02と需要が供給を上回る内容となっている。
◇半導体製造装置、2月も需要超過、5カ月連続 (3月19日付け 日経産業)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)が18日に発表した2月の日本製半導体製造装置のBBレシオ(3カ月移動平均の受注額を同・販売額で割った値、速報値)が1.11、5カ月連続で需要が供給より多いことを示す1を上回った旨。
半導体受託生産会社などの投資が堅調、受注額は前月比4.4%減の1152億円、販売額は同8.5%増の1038億円。
◇North American semiconductor equipment industry posts February 2015 book-to-bill ratio of 1.02 (3月20日付け ELECTROIQ)
→SEMIのFebruary EMDS Book-to-Bill Report。2015年2月の北米半導体装置メーカーの世界受注が$1.31 billion、book-to-bill比が1.02。ここ6ヶ月の推移(金額 USM$):
Billings | Bookings | Book-to-Bill | |
(3ヶ月平均) | (3ヶ月平均) | ||
September 2014 | $1,256.5 | $1,186.2 | 0.94 |
October 2014 | $1,184.2 | $1,102.3 | 0.93 |
November 2014 | $1,189.4 | $1,216.8 | 1.02 |
December 2014 | $1,395.9 | $1,381.5 | 0.99 |
January 2015 (final) | $1,279.1 | $1,325.6 | 1.04 |
February 2015 (prelim) | $1,277.1 | $1,308.1 | 1.02 |
【台湾での水の制限】
67年ぶりという干ばつに見舞われている台湾で、水の使用制限が4月にもさらに強化される事態とのことである。半導体メーカー、液晶パネルサプライヤの対策状況が以下の通りである。
◇Industrial water users face cuts as drought worsens-Chip, LCD panel producers squeezed by Taiwan's drought (3月20日付け The Taipei Times (Taiwan))
→台湾の67年で最悪の干ばつにより、Ministry of Economic Affairsが主要industrial parksにおける水の供給制限を厳しくせざるを得ず、現状の水の消費7.5%削減要求から4月中には水の使用の10%削減を必要としている旨。この動きは、生産プロセスで大量の水を必要とする半導体メーカーおよびLCDパネルサプライヤに大きな影響を与える旨。いくつかの半導体メーカーはリサイクルあるいは貯めた水に向かう一方、AU Optronicsは給水車に助けを求める可能性としている旨。
◇Taiwan semiconductor makers unaffected by water shortages (3月20日付け DIGITIMES)
→ファウンドリーのTSMC、UMC、メモリメーカーのInotera Memories, およびIC packaging house、ASEなど台湾の半導体メーカーが、政府がまもなく課する見込みの水の制限義務により生産ラインが影響を確実に受けないよう対策がとられている旨。対策としては、水のリサイクル&再利用プログラムおよび水の蓄積拠点の利用などがある旨。
≪グローバル雑学王−350≫
第二次世界大戦後、分断されたドイツ、共産・社会主義体制下のソ連に本著者が実際に足を踏み入れて、東西冷戦の終結に至る過程を表わした内容を、
『大局を読むための世界の近現代史』
(長谷川 慶太郎 著:SB新書 276) …2014年11月25日 初版第1刷発行
より冷戦と現在に続く対立のはじまりと題する後半として以下読み進めていく。東側陣営のソ連、東ドイツ、そしてブルガリアの著者の目による実態に、驚かされるところ多々、ソ連崩壊のニュースは、著者にはある意味当然のことと映っている。
第2章 冷戦と現在に続く対立のはじまり =2分の2=
◇「技術革新」という考え方が持てなかったソ連
・ソ連共産党の一党独裁体制は、冷戦の構図において限界を迎えることに
→経済の成長と発展を促すための技術革新が行なわれてこなかったのが、最大のポイント
→各部門の連携不足が、ソ連の衰亡を早めた
…1つとして、鉄鋼技術の研究・開発部門と、鉄鋼業の現場部門が隔離
・昔のソ連の住宅には、電気、ガスや水道のメーターがなかった
→光熱費の料金は使用量に応じて変わるものではなかった故
→ソ連が崩壊して共産・社会主義体制が改められると、各家庭にメーターを設置する作業が大事業に
◇「企業の倒産」が理解できなかったソ連
・ソ連の自動車メーカー、GAZ(ゴーリキー自動車工場)が生産した乗用車「ヴォルガ」
→トヨタ自動車の「トヨペット」と同じクラスのエンジンを搭載しながら重量が約3倍
・ソ連のタクシーは「冬は絶対に客席(後部座席)に座ってはいけない」(とのアドバイス)
→ドアのロックが不十分になっていることが多い
・これら共産・社会主義特有の事例、事態が起こった最大の理由
→共産・社会主義体制そのものが極めて硬直した、しかも上から下への指令に基づいて運営される経済体制
→国営企業であり、倒産というものがなく、必死になって生産効率を追い求める必要もない
・1991年12月に起きたソ連崩壊のニュース
→(著者は)驚かなかった。ある意味当然のこと。
◇ブルガリアの工場で垣間見えた共産・社会主義の限界
・1968年5月、(著者は)東側陣営に属していたブルガリアにある7つの大工場を見学
→当時のブルガリアのナンバー2、アンドレイ・ポポフの依頼
→3週間かけて、鉄鋼・造船・石油化学・電子産業などの工場
・調査の結果、これでは経済の自由競争に勝つことができない、という結論に
・歴史の大局をみるには、このように"生産現場"を目にすることが大事
◇戦闘で歯が立たなかったソ連製の兵器
・同じく(著者の)体験談から、ソ連の軍事的な欠陥も
→ブルガリアの戦車隊に遭遇、ソ連製の「T-60」、中に入るととにかく狭いという印象
→問題になる「言葉の壁」、稼働率が低くなり、逆に高まる戦車の故障率
→ソ連の戦車の特徴
・1982年、イスラエルによる「レバノン侵攻」
→米ソの戦闘機の性能に格差があることは、誰の目にも明らか
→両軍の飛行機の性能差
…イスラエル空軍の戦闘機(アメリカ製)はレーダーを標準装備
…シリア空軍の戦闘機(ソ連製)にはレーダー照準装置がない
・1991年1月に起きた湾岸戦争
→両軍それぞれ約400両の戦車が激突した機甲戦では、多国籍軍(アメリカを中心)がイラク軍(ソ連製の最新鋭戦車「T-80」を装備)を圧倒
・技術の差に加え、ソ連製戦車の設計を行ったのがソ連共産党中央委員会だったというのも、アメリカと差がついた要因の1つ
・現在、ウクライナとの間で抱える問題、プーチン大統領はそういった歴史の過程を承知
→国際社会が懸念している混乱の拡大はないだろうと(著者は)確信
ゴルバチョフによる政治改革運動「ペレストロイカ」
・ミハイル・ゴルバチョフがソ連共産党中央委員会書記長に就任したとき、ソ連人の平均寿命が急速に縮まっていることにたいそう驚き
→アルコール中毒死亡者が急増、一般国民が完全な閉塞状態に陥っていた
→ソ連が崩壊した1991年には58才にまで
→ソ連が冷戦で敗北したことを意味、他のソ連衛星国でも
・東ドイツ人が自分たちの赤ちゃんを長生きさせるには、西ドイツに亡命するしか
→東ドイツは崩壊へ
・20世紀の「国家総力戦」では、敗れた国は例外なく国民の平均寿命が短縮
・1991年12月25日、ゴルバチョフ大統領は辞任を表明
→ソビエト連邦は、その歴史に幕
◇ドイツ再統一で西側諸国に屈した東ドイツ
・もうひとつ、冷戦終結の象徴、1990年のドイツの再統一
→第二次世界大戦で、ドイツは第一次大戦以上に破壊され、占領下に
→1949年にドイツ連邦共和国(西ドイツ)とドイツ民主共和国(東ドイツ)が建国
→分断されたドイツでは激しい「冷戦」
・1957年、東ドイツは本格的な再軍備、NVA(国家人民軍)
→(著者は、)1968年、東ドイツ陸軍の兵営を見学
・西ドイツは1956年から再軍備に
→かつてのドイツ国防軍を人的に引き継ぎ、東ドイツとの「冷たい戦争」に
→自衛隊に戦前の陸軍士官学校・海軍兵学校の卒業生をひとりも採用しなかった日本とは対照的
◇冷戦末期に東ドイツを捨てたゴルバチョフ
・1989年11月に起きた「ベルリンの壁崩壊」
→その1ヶ月前、ゴルバチョフの側近から(著者に)国際電話、予兆はあった
・東ドイツでは徹底した思想教育を繰り返し、西ドイツよりも優位な立場にあることを教えた
→思想教育が通用しなくなったところで東西ドイツ統一に
・ドイツ再統一は世界にさまざまな影響
→ヨーロッパ連合(EU)の統一通貨「ユーロ」の誕生
→世界最強通貨のひとつ、西ドイツマルクを捨てて、「ユーロ」に代える決断
・統一後は、深刻な「経済格差」、深刻な不況に
→40年以上続いたヨーロッパの「冷たい戦争」は、東側諸国の"敗北"で終わった
◇ソ連邦を解体に追い込んだ「情報化」の波
・共産・社会主義体制の崩壊
→経済成長を旨とする世界の流れについていけなかった
→それを修正する指導者が現れなかった
・1980年代、西側諸国では電子技術が急速に発達
→東側諸国では「電子化は、国民の情報入手の自由を広げる」として、電子技術を取り入れなかった
→情報化の波は東側諸国にも確実に押し寄せ、もはや回避できないところまで
・自国民に情報化を許容しなかったことで、西側諸国との間に政治面、軍事面、経済面で大きな差をつけられてしまった
・東西陣営の国力の差は、東ドイツと西ドイツの"匂い"でも
→東ベルリンに入ると石炭の匂い
…燃焼効率の悪い褐炭を大量に使用
・東側陣営の「敗戦」は、日本にも少なからず影響
→大学でマルクス経済学を教えていた人たちは皆、生きる基盤を失った