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相次ぐ注目…史上最高の1月販売高:NXP - Freescale合併:MWCから

米国Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高の発表が行われ、今回はこの1月、2015年に入って最初の月の販売高に注目であるが、1月販売高としては史上最高となっている。AmericasそしてAsia Pacific地域が大きく引っ張る内訳とともに、昨年来の勢い、構図が引き続いている。この発表と同じタイミングに、NXP SemiconductorsがFreescale Semiconductorを買収という自動車および産業用半導体をリードするプレーヤー間の動き、そして恒例のモバイル機器の展示会、Mobile World Congress(MWC)からの数々の動きと、相次ぐ注目内容を受け止めている。

≪2015年1月の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○グローバル半導体業界、史上最高の1月販売高−世界販売高が昨年1月比8.7%増;地域別ではAmericas市場が最も力強い伸び …3月2日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2015年1月の世界半導体販売高が$28.5 billionに達し、業界史上最高の1月総計となり、2014年1月の$26.3 billionから8.7%の増加と発表した。2015年1月のグローバル販売高は、2014年12月の$29.1 billionを2%下回り、通常の季節的傾向を反映している。地域別では、Americasの販売高が前年同月比16.4%の増加、すべての市場地域を引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS)のまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「新記録を打ち立てた2014年の後、グローバル半導体業界は2015年の先行き有望なスタートを切り、Americas市場における印象的な伸びが引っ張って史上最高の1月販売高を示している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「グローバル販売高は21ヶ月連続の前年同月比増加、大方の地域および製品カテゴリーにわたって力強さを維持している。」

地域別では、販売高の前年同月比でAmericas(16.4%)およびAsia Pacific(10.7%)は増加したが、Europe(-0.2%)およびJapan(-8%)では減少した。販売高の前月比では、Asia Pacific(-0.8%), Europe(-2%), Americas(-3.3%), およびJapan(-6.4%)と減少している。

                        【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Jan 2014
Dec 2014
Jan 2015
前年同月比
前月比
========
Americas
5.59
6.73
6.51
16.4
-3.3
Europe
2.95
3.01
2.94
-0.2
-2.0
Japan
2.84
2.80
2.62
-8.0
-6.4
Asia Pacific
14.87
16.59
16.46
10.7
-0.8
$26.25 B
$29.13 B
$28.53 B
8.7 %
-2.0 %
--------------------------------------
市場地域
8-10月平均
11-1月平均
change
Americas
6.41
6.51
1.5
Europe
3.21
2.94
-8.2
Japan
3.01
2.62
-13.1
Asia Pacific
17.05
16.46
-3.5
$29.68 B
$28.53 B
-3.9 %
--------------------------------------

※1月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/January%202015%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界各紙の反応が以下の通りである。欧州そして我が国の米国およびアジア・太平洋との地域格差が一層開いていく流れが続いている。

◇Chip Market Contracts in Europe, January (3月3日付け EE Times)

◇Global semiconductor industry posts highest-ever January sales (3月3日付け ELECTROIQ)

◇Global semiconductor industry posts highest-ever January sales, says SIA (3月3日付け DIGITIMES)


≪市場実態PickUp≫

【NXP - Freescale合併の動き】

かつての母体会社名でいくと、フィリップスがモトローラを買収すると読めてくるが、現時点に戻って、NXP Semiconductors NVがFreescale Semiconductor Ltdを買収、事業合併に向かう動きが発表され、業界視点の反応を交えて以下の通りである。

◇NXP, Freescale Plan Mega Merger-Deal would create $10+B embedded giant (3月1日付け EE Times)

◇NXP Semiconductors to Acquire Freescale for $11.8 Billion-NXP signs $11.8B cash, stock deal to buy Freescale (3月1日付け Bloomberg)
→NXP Semiconductorsが、cashおよび株式約$11.8 billionでのFreescale Semiconductor買収に合意、Freescaleのcorporate負債を想定すると該買収提案の規模は約$16.7 billionとなる旨。一緒になると世界半導体サプライヤ第8位にランク、年間販売高が$10 billionの旨。NXPおよびFreescaleは、該取引完了を今年後半と見通している旨。

◇NXP, Freescale: Bigger Not Better−Duo leads relatively small automotive segment (3月2日付け EE Times)
→NXPとFreescaleの合併提案から大きな会社が作り出されるが、実質的に異なるものではない旨。その大きさを除いては、統合が進んでいる半導体業界で生き残りを確保するには新しいtoolsがほとんどない旨。

◇UPDATE 3-NXP to buy Freescale Semiconductor, merge operations in $40bln deal (3月2日付け Reuters)

◇Freescale and NXP agree to $40 Billion merger (3月3日付け ELECTROIQ)
→NXP Semiconductors NVが日曜1日の晩、Freescale Semiconductor Ltdを$11.8 billionで買収、事業operations合併を発表、合わせたenterprise valuesは$40 billion超、自動車および産業用半導体市場での新たなリーダーが作り出される旨。

◇蘭半導体NXP、米同業を2兆円で買収−自動車用で首位に (3月3日付け 日経 電子版)
→オランダ半導体大手、NXPセミコンダクターズが2日、米同業のフリースケール・セミコンダクタを買収することで合意したと発表、負債も含む買収総額は167億ドル(約2兆円)に達し、自動車用半導体ではルネサスエレクトロニクスを抜き世界首位に立つ見込みの旨。自動運転技術や自動車ネット接続などで半導体の需要が拡大しているのに対応する旨。

時あたかもMobile World Congress(MWC)(2015年3月2-5日:BARCELONA)が開催されているタイミングであり、Freescaleの出展内容およびNXPの合併を含めたトップのコメントを以下取り出している。

◇Freescale launches quad-core processor for self-driving cars-Freescale unveils vision chip for autonomous vehicles (3月1日付け VentureBeat)

◇Freescale Unveils Vision SoC for Accident-Free Cars-Also offers protection against wireless attacks (3月2日付け EE Times)
→Freescale Semiconductorが、同社曰く“an accident-free car”に向けて設計された車載版system-on-chip(SoC), S32Vを披露、該新SoCは、先端visionアルゴリズムおよびセンサデータ-fusion capabilitiesに加えて、“Connected Cars”時代に多く必要とされるfeature、外部ワイヤレス攻撃の可能性に対する保護を与える旨。

◇NXP CEO: ‘Security, IoT, Cars’ Drove Freescale Deal-Clemmer on overlapping businesses (3月3日付け EE Times)
→NXPのCEO、Rick Clemmer氏とのone-on-oneインタビュー。NXP-Freescale合併計画は、戦術的ではなく戦略的買収である旨。該合併を通して、Internet of Things(IoT)を引っ張っていくためにNXPのセキュリティおよびワイヤレス通信の強みにFreescaleのcomputing powerを加えていく旨。

◇NXP Sees Half of Smartphones With Mobile Wallets This Year-NXP CEO: Mobile wallets to proliferate in smartphones (3月3日付け Bloomberg)
→NXP SemiconductorsのCEO、Richard Clemmer氏。スマートフォンの半分が2015年末までにモバイルwalletsをもつようになり、アジアで立ち上がりが素早く、中国が先鞭を切る旨。

◇NXP deal means security to come built-in on far more devices: CEO-Security is crucial for connected devices, NXP CEO says (3月4日付け Reuters)
→NXP SemiconductorsのCEO、Rick Clemmer氏。NXP SemiconductorsとFreescale Semiconductorの$11.8 billion合併は、車載electronicsおよびセキュリティの領域でこの一緒になった会社を強化する旨。スマートフォンおよびタブレットの先に何があるかを考えてきており、connected devicesが該業界の次の牽引役になっていくと思う旨。

【Samsung & LG in MWC】

electronicsそして半導体市場を引っ張るモバイル機器ということで、Mobile World Congress(MWC)(2015年3月2-5日:BARCELONA)には関心の高まり、そしていろいろな動き噴出に注目せざるを得ないが、韓国勢での最も注目、サムスンの最新スマホ発表、そしてLGの自前プロセッサの動きである。

◇Samsung Phones Pack 14nm SoC-Eight-core Exynos drives handsets, says report (3月1日付け EE Times)
→Samsungが、今回発表の新しいGalaxy S6およびS6 Edgeスマートフォンに14-nm Exynos applicationsプロセッサなどいくつかの新技術を投入、アナリスト筋は、少なくとも今年後半にAppleが次世代iPhonesを出すまでは該handsetsによりSamsungに弾みを取り戻せる技術的優位性が得られる、としている旨。

◇(3rd LD) New Galaxies make comeback with battery, Samsung Pay-Samsung Galaxy S6 phones feature 14nm chip (3月2日付け Yonhap News Agency (South Korea))

◇「充電時間、iPhoneの半分」サムスン新機種 (3月2日付け YOMIURI ONLINE)
→韓国のサムスン電子が1日、スマートフォンの最新機種「ギャラクシーS6」を、4月10日から順次発売すると発表、画面サイズは従来機種「S5」と同じ5.1インチだが、厚さは1.3ミリ薄い6.8ミリとした旨。米国と韓国では、クレジットカード情報を取り込んで、店頭での買い物に利用できるサービスも始める旨。

◇LG plans to use own processors in handsets -LG goes internal for handset processor production (3月4日付け The Korea Times (Seoul))
→LG Electronicsのmobile chief、Cho Juno氏。LG Electronicsは、Qualcomm依存を減らすよう自前のモバイル機器用applicationプロセッサの設計&開発にmillions of dollarsを充てている旨。

【Intel & Qualcomm in MWC】

世界を引っ張る米国勢、Qualcomm、そしてモバイル領域で追いかけるIntelについて、MWCでの目についた動きを順不同に以下の通りである。

◇Intel Tablet SoCs Pack LTE (3月2日付け EE Times)
→Intelが、統合LTE搭載の最初のタブレット用半導体と思われるもの、およびARM Maliグラフィックスコアを用いるentry-level半導体など、Atomブランドでのモバイル機器用SoCsおよびmodemsの新ファミリーを発表の旨。
同社は、現在タブレット用に出ているlaptop-classグラフィックスに同社newsの多くを重点化の旨。

◇Qualcomm and Intel to Introduce New Biometric Security Technology-Biometric tech arrives from Intel, Qualcomm (3月2日付け The New York Times /Bits blog)
→Intelが、セキュリティ警戒としてユーザの顔のdimensionsを測定する同社の新しいTrue Key技術を取り入れるメーカーのidentitiesを発表予定の旨。Qualcommは、モバイル機器に組み込まれて指紋のピークとくぼみを測定、より誰でも扱える指紋認証方法が得られるsonarセンサをお披露目の旨。

◇Qualcomm seeks to pave road to marriage of cars and smartphones (3月2日付け Reuters)
→Qualcommが、Snapdragon X12およびX5 modemsを展開、クルマの中に設計されてモバイル機器と協働、いろいろなインターネットサービスが得られる旨。

◇Qualcomm puts silicon brain in flagship Snapdragon 820 chip-Qualcomm adds cognitive computing to Snapdragon 820 (3月2日付け CIO.com/IDG News Service)
→QualcommのSnapdragon 820モバイルプロセッサは、同社Zerothプラットフォームからのcognitive-computing capabilitiesが特徴、machine learningをモバイル機器にもってくる旨。該Snapdragon 820は64-ビット半導体、ARM Holdings設計を取り入れ、QualcommのKryoアーキテクチャーを実施の旨。

◇Intel's new Cherry Trail chips and Sofia system-on-a-chip target mid-market mobile devices-Intel's new Atom, Sofia chips take aim at midmarket mobiles (3月2日付け VentureBeat)
→Intelが、entry-levelおよびmidmarketモバイル機器に向けて、Atom x5およびx7 "Cherry Trail"プロセッサおよびSofia system-on-a-chip(SoC)デバイスの新バージョンを投入、該新半導体は。14-nmプロセスでの製造、今年前半に出てくる旨。

◇Intel launches chip for new push into low-price smartphones (3月2日付け Reuters)
→$100以下の低コストhandsetsの中国市場での増大に対応、Intelの半導体、コード名Sofiaについて。

◇Intel CEO Krzanich: What we're doing to succeed on smartphones-Intel chief outlines strategy for mobile devices (3月3日付け Network World/IDG News Service)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏が、モバイル機器領域での挽回を図る試みの継続について詳細説明、同社はスマートフォン向けに"的を得た製品"を確かに作り出すよう取り組んでいる旨。同氏はインタビューにて、wearables業界のことを話し、ハイテクメーカーは消費者が望むwearablesを作り出すために、ファッションデザイナーとの連携を築き上げる必要があると主張の旨。

◇MWC 2015: Intel launches new mobile SoCs, LTE solution (3月3日付け DIGITIMES)

【LTE-U & 5G】

MWCにて今回2つのキーワード、LTE-Unlicensed(LTE-U)と5Gがクローズアップされている。先行き、いろいろな評価はともかく、関係する動き、内容のメモである。

◇Qualcomm CTO on LTE-U, 5G Challenges-Qualcomm exec touts merits of LTE-U, looks ahead to 5G standard (3月4日付け EE Times)
→より高い容量およびcoverageに向けてLTE Advancedをunlicensed 5GHz spectrumに拡げるよう設計されたLTE-Unlicensed(LTE-U)の詳細を最近説明しているQualcomm。同社CTO、Matt Grob氏とのQ&A。

◇5G Researchers Seek Spectrum-Ericsson tests 15 GHz, Nokia tries70 GHz-Ericsson, Nokia demo 5G wireless techs (3月4日付け EE Times)
→1)NokiaおよびEricssonの研究者が、様々な5Gサービスの運用に必要となるspectrumを見い出すこれまでの取り組みの詳細を説明、該次世代cellularネットワークスは、Internet of Things(IoT)用のlow bandsから都会地域での100-GHz超密linksまですべてに及ぶ見込みの旨。
 2)Ericssonが、15-gigahertz spectrumによる5G testbedを披露、今後のtestingでは30-GHzあるいは60-GHzに移す可能性の旨。Nokia Networksは、70-GHz spectrum活用の5G技術を披露、一方、6-GHz〜100-GHzを用いる計画の旨。

◇Qualcomm CTO muses on 5G, LTE-U (3月5日付け EE Times India)

◇MWC 2015: Chipset vendors, equipment suppliers gearing up efforts to develop LTE-U devices (3月5日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Qualcomm, Ericsson, Samsung Electronics, NokiaおよびHuaweiなどチップセットソリューションベンダーおよびテレコム装置プロバイダーが、LTE-U(LTE unlicensed spectrum)ソリューション&技術を開発する備え、いくつかのLTE-U-enabledデバイスが2015年後半に商用生産に入る様相の旨。

◇通信業界、「5G」に熱視線、自動運転車など活用を見込む (3月5日付け 日経)
→通信速度が現行の「LTE」より大幅に速い第5世代(5G)の実用化に向けた動きが通信業界で活発になってきた旨。今回の場で関連企業が取り組みを説明、自動運転車などへの活用を見込む一方、課題もある旨。5Gは通信速度を毎秒10ギガビットとLTEの100倍程度に引き上げ、通信の遅れを減らし、一度に大量の通信をさばくことも目指している旨。

【startupファンド】

startupの支援に向けて、MediaTekがグローバルに、中国のAlibaba Groupが台湾に向けて、ベンチャーファンドを設ける動きである。台湾、中国発の戦略的投資の新たな波である。

◇Taiwan's MediaTek announces £195 million global startup fund at MWC-MediaTek Ventures said it will invest in hardware, chips, services and IoT startups.-MediaTek will invest $300M in startups around the world (3月1日付け Techworld (U.K.)/IDG News Service)

◇MediaTek founds investment arm with US$300 million (3月2日付け DIGITIMES)
→MediaTekが、同社内の新しい戦略的投資部門、MediaTek Venturesの設立を発表、Hsinchu, Taiwanに本社を置くMediaTek Venturesは当初、$300mの予備資金でGreater China, Europe, JapanおよびNorth Americaのstartupsに出資する旨。

◇Alibaba to set up venture capital fund in Taiwan (3月3日付け DIGITIMES)
→中国のAlibaba Groupが、台湾でNT$10 billion($319 million) non-profit venture capital fundを設ける計画、現地の若いentrepreneursのe-commerceシステム事業構築に融資する旨。


≪グローバル雑学王−348≫

20世紀の二度の大戦による世界の変容ぶりを多角的な視点から3回にわたって見ていく3回目として、

『大局を読むための世界の近現代史』
  (長谷川 慶太郎 著:SB新書 276) …2014年11月25日 初版第1刷発行

より、列強国と肩を並べる存在となった日本が、どうして「敗戦」を迎えなければならなかったのか?明治維新まで遡って、著者の見方が展開されている。素地となる「資産」があって、日清および日露戦争に勝利、アジア諸国で初めて外国に植民地を有する地位を獲得したが、その後の関東大震災の影響、世界の先進軍事制度・技術の取り入れが後退する問題があって、独自の孤立する道筋に入っていく経緯が示されている。


第1章 20世紀、二度の大戦と世界の変容 =3分の3=

◇明治の日本が有していた4つの「資産」
・元号が「明治」に改まった1868年時点、日本には4つの大きな「資産」
1)「行政機構」
 -江戸時代には280以上の藩。行政官僚を育てるためのノウハウが全国で蓄積。
2)「外交」
 -藩同士で揉め事を解決
 -200年以上にわたる鎖国体制を支えていた条件は、日本の強大な軍事力に
3)日本人の「識字率」
 -明治維新の段階ですでに50%超 →明治期のスムースな発展に
4)「インフラ整備」
 -江戸の日本橋から全国につながる五街道:東回り航路・西回り航路による海運
・1858年(安政5)、幕府はアメリカと日米修好条約を締結
 →不平等な条約
 →明治政府は改正に向けて奔走、実現したのは1911年(明治44)、じつに60年近くの歳月
 →この間、それでも日本は工業化に成功
  →日本の経営者の「イノベーション(技術革新)」
・世界初、紡績工場の電灯証明;鉄道の敷設;明治期に兵器の国産化 など
 →当時、自国の軍隊に自国産の兵器を装備させられる国は、7つのみ

◇日清戦争と日露戦争における勝利
・日本はたゆまぬ努力と技術革新により、発展の道
 →1894年(明治27)、日本は日清戦争で、「眠れる獅子」と呼ばれた清国に勝利
  →兵隊の練度の差
 →日本はアジア諸国で初めて外国に植民地を有する地位獲得
・欧米の列強諸国は快く思わず、「三国干渉」を経て、日露戦争へ
・1904年(明治37)、日露戦争が始まる
 →1905年(明治38)、日本海海戦でバルチック艦隊を撃破、講和に持ち込んで日露戦争は終結
 →日本軍は大きなダメージを受けたが、もっとひどかったのがロシア軍
・日露戦争の最中には、革命の第一歩となる「ロシア第一革命」が勃発
 →1917年、二月革命でロマノフ朝が終焉。十月革命でソビエト政権が樹立
 →日露戦争は、ロマノフ朝崩壊の引き金を引いた
 →1924年、ソ連共産党による一党独裁体制が確立

◇関東大震災が与えた日本への影響
・日英同盟が1923年(大正12)8月17日に失効
 →日本の発展に暗い影
・1923年(大正12)9月1日、関東大震災が発生
 →190万人が被災、10万人以上が犠牲に、全犠牲者の約9割は火災によるもの
 →まさに、史上稀にみる天災
・震災後、山本権兵衛首相を総裁とする「帝都復興審議会」が創設
 →経済面では輸入が著しく増加
 →当時の日本は自動車後進国で、自動車もまた輸入での購入に頼る必要
・震災後の日本は、深刻な外貨不足という問題に直面
 →東京市は巨額の市債をロンドン、ニューヨークで募集
 →なりふり構わず、巨額の外貨を獲得、復興を進めた
・閉塞感だらけの状況、相対的に地位が高まったのが軍部であり軍人
 →アジア大陸への進出に活路、満州事変などへ

◇近代戦に適応できなかった明治憲法
・明治憲法は近代戦に適応しない政治体制
 →最大の理由は、陸海軍の統帥大権
・第一次世界大戦によって、明治憲法がいかに世界の体制から遅れた存在であるかが明白に
 →勝利したのは、文民の政治家が軍隊を統率する「文民体制(シビリアン・コントロール)」ができている国ばかり
・不思議なことに、第二次世界大戦が終わって日本国憲法(昭和憲法)が制定されるまで、日本では明治憲法を改正しようという動きがなかった
 →否定してしまった日本陸軍

◇近代的な軍事制度を導入した日本軍の興亡
・明治維新において、日本は初めて近代的な軍事制度を取り入れ
 →明治政府は、近代的な軍事制度の習得に励んだ
 →この努力の結晶が、日清・日露戦争での勝利
 →一方、そのころから日本陸軍はヨーロッパから軍事制度・技術を学ぶことをやめた
・代わって「日本独自の兵学」、「典範令」として体系化
・また、陸海軍ともに軍隊の運用が秘匿化
・軍隊を批判するシステムを潰した結果、新しい技術を日本陸海軍に導入する上では大きなマイナス
 →近代戦で必要とされる柔軟な思考や判断力をもつ指揮官がいなくなった

◇第二次世界大戦後に生まれた「平和憲法」
・日露戦争後の日本は独自の道
 →端的に示しているのが、「捕虜の取り扱いの違い」
・19世紀末、「捕虜の取り扱いに関する国際協約」が制定
 →これを最初に実践したのが日本
・ところが、第二次世界大戦時の日本軍は、「捕虜になるくらいなら死を選べ」
 →沖縄やサイパン島での集団自決という悲劇に
・1942年(昭和17)6月のミッドウェー海戦で敗れたのを境に戦局は転換
・1945年(昭和20)8月、日本は無条件降伏
・1946年(昭和21)に生まれた日本国憲法(昭和憲法)
 →三大原則の1つとして「平和主義」
 →アメリカが取り組んだ日本人の「意識改革」
 →周辺諸国の理解がない限り単なる空論でしかない

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