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早々、モバイルプロセッサ3社を巡る喧噪、実力本位の凌ぎ合い

半導体ランキングでトップのインテルに続く3社であり、モバイル機器用プロセッサの設計、製造をリードするSamsung、TSMCおよびQualcommを巡って、新年早々騒がしい動きが浮上している。2014年の最高業績を発表したTSMCであるが、Apple社の新規A9プロセッサ製造についてプロセス技術で先行するSamsungが大方の受注を獲得して反転攻勢とのこと。Samsungの自前プロセッサ開発、Qualcommの欠陥問題と、真偽の度合い如何、情報戦の様相も感じられるが、実力本位の凌ぎ合いで3社もつれ合う急展開の情勢を受け止めている。

≪年初のもつれ合う急展開≫

発端は、TSMCの2014年最高業績の発表にあり、以下の通りである。

◇TSMC 4Q14 sales beat guidance (1月12日付け DIGITIMES)
→TSMCの2014年第四四半期連結売上げがNT$222.52 billion($6.97 billion)、同社guidanceのNT$217-220 billionを越えた旨。同社にとって該第四四半期は、売上げでもう1つの新記録樹立四半期の旨。
TSMCの12月連結販売高はNT$69.51 billion、前月比3.8%減、前年同月比39.9%増。2014年の年間販売高がNT$762.81 billionに上り、2013年から27.8%増、年間最高を記録の旨。

◇TSMC Posts Record Profit-Chip Maker Ramps Up Spending to Regain Market Share-TSMC reports record Q4 profit of $2.51B; 2014 earnings up 40% (1月15日付け The Wall Street Journal)

◇TSMC reports 4.8% increase in 4Q14 net income (1月15日付け DIGITIMES)
→TSMCの2014年12月31日締め第四四半期、連結売上げがNT$222.52 billion($6.96 billion)、前四半期比6.4%増、前年同期比52.6%増。net incomeがNT$79.99 billion、前四半期比4.8%増、前年同期比78.5%増。US dollarsベースでの第四四半期は、前四半期比3.7%増、前年同期比46.4%増。

これを受けるかのように、Qualcommのプロセッサ、Snapdragon 810過熱問題が取り上げられ、はたまた、Samsungの14-nm FinFETプロセスがTSMCに先行するとして、TSMCの本年の業績見通しに一気に阻害要因があらわれてきている。

◇TSMC sales likely to disappoint in 2Q15 (1月14日付け DIGITIMES)
→市場観測筋発。TSMCの2015年第二四半期販売高が、AppleのiPhone 6機器用プロセッサ発注の低下およびQualcommのSnapdragon 810過熱問題から影響を受ける情勢の旨。TSMCのiPhone 6向けプロセッサ出荷はピークを過ぎており、一方、Qualcommが810過熱問題に直面、TSMCの20-nmプロセス技術で作られており、TSMCの売上げにマイナスに効く可能性の事態の旨。

SamsungのTSMCに対するプロセス技術先行は、QualcommのTSMCでの試作中止という事態を起こしているという憶測も見られている。

◇TSMC to face tough questions on Qualcomm orders (1月14日付け DIGITIMES)
→TSMCが、1月15日に開催予定の投資家conferenceにて機関投資家からたくさんの厳しい問題を詰められる見込みの旨。中国語Liberty Timesが1月14日付けで報じているように、TSMCは、QualcommがTSMCでの16-nm FinFETプロセスを用いて作る次世代半導体の試行生産を中止しているという最新の市場の憶測について明らかにする期待がある旨。同紙は、Samsung Electronicsでの14-nm FinFETプロセスの歩留りの大きな改善がTSMCでの試行生産をQualcommが止める主な理由としている旨。

Samsungの方は、自社スマートフォンへのQualcommプロセッサの使用を止めて自社開発プロセッサへの切り換えを図る以下の動きとなっている。

◇Samsung said to dump Qualcomm chip in Galaxy S6 (1月14日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが同社次世代Galaxy S-シリーズflagshipスマートフォンに向けて自社のExynos-シリーズ半導体を選んでQualcommのSnapdragon 810プロセッサを止めていくという噂が、業界を駆け巡っており、Snapdragon 810過熱問題に関する懸念による旨。SamsungのGalaxy S6は、社内開発の14-nm applicationプロセッサを取り入れる旨。また、業界筋の見方として、SamsungのGalaxy S6には2つのバージョンがあり、QualcommのSnapdragonプロセッサあるいはSamsung自社のExynos半導体のいずれかを用い、当初は80-90%が社内開発14-nmプロセス技術で製造したプロセッサの旨。

Samsungのプロセス技術先行は、メモリのDRAMにおいても次の発表が行われている。

◇Samsung Electronics starts mass producing industry's first 8-gigabit graphics DRAM (1月15日付け ELECTROIQ)
→Samsung Electronicsが、業界初、同社先端20-nmプロセス技術に基づく8-gigabit(Gb) GDDR5 DRAMの量産を開始、GDDR5は世界で最も広く使われているdiscreteグラフィックスメモリの旨。

と、ここで、Samsungがカナダの携帯名門、BlackBerryの買収を打診という報道がひと騒がせとなったが、両社が否定するところとなっている。

◇サムスン、ブラックベリーに買収を打診、ロイター報道 −買収額、最大8800億円程度 (1月15日付け 日経 電子版)
→ロイター通信が14日、韓国のサムスン電子がカナダの通信機器メーカー、ブラックベリーに買収を打診したと関係者の話として報じた旨。買収額は最大で75億ドル(約8800億円)程度となる見通し、ブラックベリーが持つ特許権の利用拡大が狙いの旨。ブラックベリー株は報道を受けて急伸、前日終値比30%高い12.595ドルで通常取引を終えた旨。

◇サムスン、ブラックベリー買収打診報道を否定 (1月15日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子は15日、同社がカナダの通信機器メーカー、ブラックベリーに買収を打診したとの報道に対し「事実無根だ」とするコメントを発表した旨。ブラックベリー株は米株式市場で一時急伸したが、ブラックベリーも同日、報道を否定する資料を発表した旨。

◇サムスン電子、ブラックベリー買収説に「事実無根」 (1月15日付け 韓国・中央日報)

Samsungは、連携しているGlobalfoundriesとともに、AppleのA9プロセッサ製造発注の70%を獲得という以下の見方である。

◇Samsung and Globalfoundries reportedly win majority of A9 orders (1月15日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung ElectronicsおよびGlobalfoundriesが、それぞれの14-nm FinFET技術をもってAppleのA9プロセッサ発注の70%を合わせて獲得している旨。Samsungは、AppleおよびSamsung自身のhandset部門からの需要があって14-nmプロセスnodeで12-インチウェーハ30,000-40,000枚/月の生産に備えており、また、自らの14-nmプロセスで同社次世代Exynosプロセッサを作っていく旨。Globalfoundriesは、Appleの14-nm A9半導体製造についてSamsungがbackup fabとして用い、20,000-30,000枚/月の生産capacityが見積られている旨。

Qualcommの云々される過熱欠陥問題は、XiaomiおよびLGが採用を継続、大きなものではないとする見方もあらわれている。

◇Digitimes Research: Qualcomm Snapdragon 810 ships as scheduled for Xiaomi and LG product launches (1月16日付け DIGITIMES)
→Qualcommの2015年一押し製品、Snapdragon 810が、欠陥があって量産が不安定、あるメディアは該application processor(AP)の量産が始まるのは2015年第二四半期以降と憶測しているが、LGおよびXiaomiが予定しているSnapdragon 810-ベース新製品の打ち上げ、並びにDigitimes Researchが集めた情報から判断すると、Snapdragon 810はすでに量産に入っている旨。該APはある欠陥があるかもしれないが、ベンダーが製品への採用を止めてはいない旨。Qualcommの長期的競争力に影響を与えるいくつか他のもっと重大な問題に比べると、該Snapdragon issueはminorである旨。

TSMCの総帥、Morris Chang氏は、Samsungには2015年は後れをとるが、2016年以降は盛り返す、と従来の見方、対応を繰り返している。

◇TSMC to prevail in FinFET segment in 2016 and beyond, says company chairman (1月16日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman、Morris Chang氏が、最近の同社investors conferenceにて。TSMCは、2015年ではライバル、Samsung Electronics後れをとるけれども、2016年にはFinFET分野での市場シェアmajorityを獲得する旨。2017年、2018年そしてそれ以降では、TSMCはFinFET分野を引き続き主導していく旨。

このような情勢、成り行きを踏まえたTSMCについての見方の変わりようである。

◇Analysts Turn Negative on Outlook for TSMC (1月16日付け EE Times)
→TSMCが2014年の締めについて四半期最高の利益を発表、それが2015年の同社低迷の始まりになる可能性と、アナリストがTSMCの業況についてよりnegativeな見方に切り換えている旨。

年初恒例のIndustry Strategy Symposium(ISS) US 2015の場でも、率直な業況の見方があらわされているが、SamsungおよびGlobalFoundriesの2社連携の優位がまず取り上げられている。

◇7 Takeaways From ISS 2015 (1月16日付け EE Times)
→Industry Strategy Symposium(ISS) US 2015(1月11-14日:Halfmoon Bay, Calif.)の場で得たいくつかの洞察について。SamsungおよびGlobalFoundriesの2社コンビが、今年14/16-nm半導体出荷競争で勝つ見込み、しかし、TSMCでの第2世代16-nmプロセス立ち上げの方に興奮する向きもある旨。酸っぱい内容としては、3D半導体stacksがすぐにはスマートフォン用に出てこないこと、vertical NANDメモリがかなりの量で複数のサプライヤから出荷されてくるのはたぶん2016年以降ということ、そしてEUVについては話す人も少ないこと、の旨。以下の取り出し項目:
  * Samsung, GF winning 14/16 nm race
  * Slow train to 3D ICs
  * Slow road to vertical NAND
  * Little said about EUV
  * Little said about EUV, Part 2
  * Living in the materials world
  * Faster, higher, cheaper?


≪市場実態PickUp≫

【インテルの業績発表】

上記モバイルプロセッサ関係3社を半導体販売高でリードするインテルが、2014年第四四半期業績を発表している。パソコン、タブレットおよびサーバ向け需要が旺盛で過去最高の売上高となっているが、モバイル向けの大幅な赤字が抑制要因となってコスト削減を迫られる内訳である。

◇Intel Hits Revenue Record in 2014-PC and tablet groups exceed goals (1月15日付け EE Times)

◇Intel Profit Rises 39%, but Losses in Mobile Devices Are Heavy (1月15日付け The New York Times)

◇Intel's bought a foothold in tablets, but now it wants to cut its losses (1月15日付け PCWorld)

◇Intel shipped 46M tablet chips in 2014 (1月15日付け VentureBeat)

◇Intel $4.21 Billion Mobile Loss Would Have Sunk Most Rivals-Intel posts $4.2B loss for mobile in 2014 (1月16日付け Bloomberg)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏が、昨年、2014年にモバイルoperations関連で$4.21 billionの赤字を受けて、本年は赤字削減に重点化、ベンダーに支払っている奨励金を減らし、phonesおよびタブレットに向けてもっと安価なプロセッサを作って、$800 millionのコスト削減を図る計画の旨。

◇米インテル純利益39%増、10〜12月、売上高は過去最高 (1月16日付け 日経 電子版)
→米インテルが15日発表した2014年10〜12月期決算。売上高が前年同期比6%増の$14.721 billion(約1兆7100億円)、純利益が同39%増の$3.661 billion。スマートフォンなどモバイル機器向けは苦戦が続いているが、パソコン(PC)とデータセンターのサーバ向け需要が堅調で売上高は四半期ベースで過去最高を更新した旨。

【IoTに二の足】

Internet of Things(IoT)の過熱気味な取り上げ方が続く中、本当に大丈夫なのかと慎重論が見られる以下の内容である。

◇Why AMD is staying out of the Internet of Things chip market (updated)-AMD exec: PC chip market is a $40B opportunity (1月11日付け VentureBeat)
→Advanced Micro Devices(AMD)のcomputing and graphics business group、senior vice president and general manager、John Byrne氏。
AMDは、ライバルのIntelがやっているようにInternet of Things(IoT)半導体市場を深く詮索していないが、儲かるIC市場に重点化したく、古典的PC市場にはなお300 million台のPCs, なお90 million個のグラフィックス半導体が見えている旨。

◇IoT Attracts a Smart Skeptic-Analyst plays contrarian on Internet of Things-Analyst takes a cautious view on connected devices (1月15日付け EE Times)
→ほとんどすべての講演がInternet of Things(IoT)の熱狂興奮を浴びせるなか、IoTがずっと小さく、予想以上に時間がかかるとしたらどうなのか?、と慎重なスタンスをとるMcKinseyアナリスト, Christopher Thomas氏。

IoTを引っ張る先行例の代表格、「グーグルグラス」について、プライバシーの問題の扱いが浮上、個人向けの販売が中止される事態になっている。

◇「グーグルグラス」個人向け販売中止、プライバシーで議論 (1月16日付け 日経 電子版)
→インターネット検索最大手、米グーグルが15日、眼鏡型のウエアラブル端末「グーグルグラス」の個人向け販売を中止すると発表、内蔵カメラがプライバシーを侵害するとの懸念が浮上、公共の場で使用することの是非を巡って議論が起きていた旨。開発体制も見直し、今後は成長が見込める法人市場の開拓に注力する旨。

【特許関係】

2014年の米国特許ランキングで、IBMの22回連続の首位に驚くとともに、2位のSamsungとの差を拡げている。

◇Google, Apple Rise in Patent Ranks-IBM still No. 1, extends its lead over Samsung-Mobile and China players also on the rise (1月12日付け EE Times)
→Fairview Research(Madison, Conn)の1部門、IFI Claims Patent Servicesがまとめたfigures。US patent officeが昨年認めた特許が8%増の300,674件、top 50 winnersの大方が年間awardsを増やしている旨。IBMが10.6%増の7,534件で22回連続首位を維持、第2位のSamsung(5.9%増の4,952件)との差を拡げている旨。

特許もまずは件数であるが、そのうち質の如何が問われるようになる推移を経験するところであるが、今またその流れが中国にて見られている。

◇Patents Strategy Shift Predicted-Quality not quantity to be focus, says expert (1月13日付け EE Times)
→あるintellectual property(IP)エキスパート発。特許戦略が、向こう数年にわたって量から質へ重点が移っていく旨。この移行の早期兆候は中国からくる可能性、同国patent officeは2014年に850,000件を認めたと言われるが、前年比3-5%減で10%以上何年も伸びた後の初めての落ち込みとなる旨。

【自動運転車】

自動運転車の要素技術が民生機器の掃除ロボットに搭載されているという以下の内容である。

◇未知空間で地図作成、「自動運転車の目」掃除ロボットに (1月14日付け 日経 電子版)
→ロボット掃除機が、最新の技術を活用してより賢く進化している旨。未知の空間で自動的に部屋の形や障害物などの情報を含んだ地図を作り上げると同時に、ロボットの自己位置も特定できる技術「SLAM(simultaneous localization and mapping)」が相次いで搭載されている旨。自動運転車や宇宙探査ロボットなどで利用されてきたSLAM技術が、10万円前後の民生機器に広がり始めた旨。

先のInternational Consumer Electronics Show(CES)では、豪華な自動運転車が披露されるとともに、San Franciscoから会場のLas Vegasまでのprototype試運転が行われたとのことである。

◇CES 2015: Sensors Lead Way in Mercedes-Benz Future Car (1月13日付け EE Times/Blog)
→Mercedes-Benzが今回の場で披露した2030 timeframeに向けた人を振り向かせるconcept vehicle、F 015について。

◇Self-driving Merc uses LEDs to communicate (1月13日付け EE Times India)
→Mercedes-Benzが最近のCESにて、signallingおよびindicator応用にLED技術を革新的に駆使する自動運転車試作品、four-seat fuel-cell hybrid F 015 Luxury in Motionを披露の旨。

◇CES 2015 Paves Road to Self Driving Cars-Self-driving car drives from SF to Vegas unassisted (1月15日付け EE Times/Slideshow)
→Audiは、自動運転車prototype A7を披露、San FranciscoからLas VegasのCES会場まで550マイルの距離を助けなしで運転、長距離および360度視野のレーダセンサ、並びに前と後ろにLIDARレーダースキャナーを用いている旨。また、車の回りの4つのカメラからのデータを合わせて正面から広角視野を得る新しい高解像度3Dビデオカメラを用いた旨。

【今後世界を変える技術】

向こう5年の間に世界を変えそうな技術を、IHS Technologyが以下の通りノミネートしている。ここでもIoTがまずきているが、今後のもまれ方にいくつか波乱を予想させるものがある現時点でもある。

◇IHS identifies technologies to transform the world over next five years (1月12日付け ELECTROIQ)
→IHS Technologyが、向こう5年の間に世界を変えそうな技術を以下の通り挙げており、最も可能性のある3つとして、Internet of Everything, cloud computing/big dataおよび3-D printingの旨。
 1)The Internet of Things becomes the Internet of Everything
 2)Cloud computing/big data brings metamorphosis to computing and consumer markets
 3)Manufacturing moves to next dimension with 3-D printing
 ほかに
 Artificial intelligence
 Biometrics
 Flexible displays
 Sensors
 Advanced user interfaces
 Graphene
 Energy storage and advanced battery technologies

◇IHS identifies technologies to transform the world over next five years (1月13日付け DIGITIMES)

【IoTへの取り組み】

とは言ってもやはり注目のIoTということで、Intel、SamsungそしてTSMCと業界を引っ張る3社の取り組み、考え方について、現下の動きがそれぞれ以下の通りである。

◇IoT Needs More Than Moore-Viewpoint: Connected devices call for advanced technology (1月12日付け EE Times/Designlines blog)
→TSMCのOpen Innovation Platform Marketing、director、Tom Quan氏記事。
Internet of Things(IoT)用の半導体製造には、スマートフォン・コンポーネント製造用のそれに似たspecialtyプロセスが必要である旨。折り紙つきのspecialty-技術プロセスが力強い設計ecosystemの支えを得て、IoTなど新興途上の市場の設計ニーズに適合する多彩なofferingsをもって開発期間を短縮でき、各社がそれぞれのtime-to-market目標に成功裏に合わせる助けになる旨。

◇Samsung broadens alliance for IoT -Samsung joins AllSeen Alliance for connected devices (1月12日付け The Korea Times (Seoul))
→Samsung Electronicsが、Internet of Things(IoT)標準&技術の開発に取り組む業界コンソーシアム、AllSeen Allianceに関わっていく旨。該allianceは、Linux Foundationが運営、Qualcommが開発frameworkとして自社AllJoyn codeを供給する旨。

◇Intel-backed OIC advances in fast-moving IoT standards race-Intel-backed consortium shows draft of connected-device standard (1月14日付け PCWorld)
→Intelが支援するOpen Interconnect Consortium(OIC)が水曜14日、Internet of Things(IoT)に向けたIoTivity標準draftを披露の旨。


≪グローバル雑学王−341≫

平成元年生まれの若さでなかなか行けない世界各地に信念をもって飛び込んでいくエネルギーを、

 『ゆとり世代の愛国心 −世界に出て、日本の奇跡が見えてきた』
  (税所 篤快[さいしょ あつよし] 著:PHP新書 941) …2014年9月1日 第一版第一刷発行

より受け止めている。今回も、この2-3年のバングラデシュ、ポーランド、ドイツ、そして南アフリカに飛んで、我が国の学校では教わらない&行かなければわからない世界に目を入れて、人の生き方というものをじっくり考えている。なによりこのような本になっていく貴重な体験の1つ1つである。


第4章 日本の学校では教えてくれなかった世界

◇バングラデシュで見た三丁目の夕日
・途上国、バングラデシュでの日常エピソード、日本とのギャップ
 →終業時間の17時になると、みんなものの見事に帰路に
  →その理由、驚くほどの人数、まさに家「族」
・バングラデシュでは、老後や万が一の際の助けを家族や同族に頼るケースが多い
 →子だくさん、血縁関係を大事に
・(著者が)参考資料として観た1960年代の東京の映像
 →その喧騒に満ちた雰囲気は、まさにいまのダッカそのもの

◇お金がなくても食料へのアクセス能力があれば
・お金さえあれば、ひと言もしゃべらずに買い物ができる現代の都市型社会
 →「スーパーコンビニ化社会」
・バングラデシュにいると、自分の「食料へのアクセスビリティの弱さ」を感じざるを得ない
 →2012年に遊びに行った「e-Education」で同僚のマヒンの実家
  →裏庭の「秘密の果樹園」
  →ものの数分で、先ほどまで生きていた鶏が、スーパーでよく見かけるチキンに
・ベンガル人の若者はみんないい視力
 →食料へのアクセス能力の高さ
・(著者たちの)考え方が、お金に基づいた生活の安全保障から、食料に基づいた安全保障へとシフトする現在の傾向
 →都市型生活へのアンチテーゼ

◇ムスリムの祈りがもたらす意外な効果
・バングラデシュ人の同僚にすすめられ、ムスリムのお祈りを体験
 →一日5回すべてに参加するのは至難の業
・お祈りのたびに自分自身がリフレッシュしている
 →「まあ、こうして生きていけるだけでも丸儲けじゃないか」
 →何があっても「インシャアッラー」(神の思し召しのまま)、苦難の多い人生を切り抜けられるのでは
・日本の若手ビジネスマンたち
 →長時間、気持ちよく働くために、ムスリムのリセットのやり方を学んでもいいかも

◇アウシュビッツからエルサレムへと続く負の遺産
・パレスチナ自治区への入り口、カランディア検問所
 →横柄な態度のイスラエル軍兵士
 →移動の自由を制限されたパレスチナ人、わが物顔で自動小銃を提げるイスラエル人
・ポーランドに飛んで、ホロコーストのシンボル、アウシュビッツ強制絶滅収容所へ
 →当時のゲットーの出入り口の写真
  →ドイツ兵たちのふんぞりかえった態度、背筋の曲がったユダヤ人たち
 →パレスチナの分離壁で見た風景がアウシュビッツにあった

◇人はなぜ自分は正しいと思うのか
・デール・カーネギーの『人を動かす』
 →1920年代アメリカの凶悪犯「二丁拳銃のクローレー」
  →死刑に処せられるとき、あくまでも「自分は正しいことをした」と考えていた
・同じような心理状況にあっただろう人物
 →アドルフ・ヒトラー
・ベルリン・ユダヤ博物館のホロコーストも展示を一人で見学
 →ヒトラーは自殺する最後の瞬間まで、「自分はまちがっていない」と信じていたのでは?
・伝統的な佇まいのドイツ歴史博物館に、ヒトラーやナチスについての詳細な展示
 →周囲の人々からの承認に飢えていたヒトラーの青春時代
  →自分たちの「五大陸ドラゴン桜」活動と同じでは?
  →目標への到達方法にはきわめて近いものを感じて、薄ら寒い思い
・早稲田大の友成先生にメール
 →先生は現代社会を「タコ理論」という独自の方法で説明
・あまりにタコつぼ闘争に満ちた日々を送ると、人は「モヤモヤ」してくる
 →先生は、自分本来の「素ダコ」に迫ることを説く
  →「腑に落ちた夢」を得て、人は心の平安を取り戻すことができる
 →現代社会では、このバランスをとることが何より肝心
・友成先生からの返信
 →「タコつぼ」化が進めば進むほど、民衆はわかりやすい、見えやすい、さわりやすい「タコつぼ」を熱狂的に受け入れる
 →しかし、ひたすら堅くなった「タコつぼ」は、逆にその脆さを増す
・どのようにして「タコつぼ」化の圧力から逃れるのか
 →「目的と手段の法則」の再確認
・日々、ともすればヒトラーやゲッペルスのような一面を出しかねない世界に
・日本人社長と現地人スタッフの心の乖離が起きている企業は、世界各地でいくらでも
 →相手を大きく包み込む受容の精神が必要では

◇南アフリカに学ぶ忍耐と寛容の精神
・ネルソン・マンデラ氏が没する1年前の2012年、ケープタウンを訪れた
 →世界でも有数の美しさをもつケープタウンの港から12km沖合にあるロベン島
  →通称「監獄島」
・マンデラ氏自身、この監獄島に18年近くも収監
 →来る日も来る日も石灰石採掘場での強制労働に従事
 →回顧録にて、「刑務所は忍耐と不屈の精神を鍛える絶好の場所。何より信念が試される場所」
・攻撃を受けたときに、「どうして相手はそのような意見を言わざるをえないのか」と、客観的に物事を考えられるかどうか
 →マンデラ氏がロベン島で見せた忍耐と不屈の精神

◇数学は世界で武器になる
・数学の勉強をあきらめたことが、あとになってこれほどのハンデになるとは
 →世界銀行との共同プロジェクトでバングラデシュの農村部を回ったとき
  →配布された資料の1ページ目から表やグラフがびっしり
・算数や数学が苦手だと、現在の地球上で最強のメソッドともいえる経済学を十分に理解できない
 →文部科学省にも注文
  →算数や数学の教科書の1ページ目に明記を
   …「この学問はあなたが世界に出たときに、強力な武器に」
    「この学問はあなたの道を照らす」

◇暴動ダッカから日本に帰れない?
・2013年秋、荒れに荒れていたバングラデシュの政治状況
 →翌年の国政選挙、与野党勢力の激突
  →「ホッタル」(ゼネスト)と呼ぶ抗議活動
  →交通機関の麻痺をねらう「オブロード」(道路・鉄道・水路封鎖)
・不安定な政治状況のなか、みずからの安全を守りながら、如何にプロジェクトを遂行するか
 →この期間中、テレビドキュメンタリーの密着取材を受ける一方、早稲田 大の授業単位取りの板挟みに
 →刻々と迫ってくるデッドライン

◇不測の事態を乗り越える力
・ダッカを突破するために友人たちが考案してくれた方法
 →独創性あふれるもの
  …船着き場が炎上していた場合に備え、小舟(ノウカ)での移動
  …連絡船に横づけ、飛び移って出港
  …空港への街中突破には救急車の買収
 →一連の脱出劇は終了、無事帰国の途に
・日本の学校が重視する正解至上主義ではなく、トライ&エラーを繰り返して解決策を導き出す姿勢
・2014年現在のダッカ、前年の大荒れが嘘のよう、活気に満ちている

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