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2014年半導体販売高、11月までで2013年全体匹敵、ランキング速報も

新年、2015年が始動、恒例のイベント、International Consumer Electronics Show(CES)(2015年1月6日〜9日:Las Vegas)が開催され、IoT、wearables、4Kなどのキーワードが賑わすなか、毎月始めの恒例、米Semiconductor Industry Association(SIA)からの月次世界半導体販売高の発表が行われている。今回は昨年11月分であるが、2014年1月から11月までの累計が2013年全体に匹敵する結果であり、Gartnerの予測も2014年総額が$339.8 billionと史上最高を追認する形となっている。

≪11月の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表が、次の通りとなっている。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○2013年を上回るペースのグローバル半導体販売高−11月販売高は前年同月比9.1%増、前月比僅かに減少 …1月5日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表、2014年11月の世界半導体販売高が$29.7 billionに達し、2013年11月の$27.2 billionから9.1%増、前月から0.1%と僅かに減っている。2014年1月〜11月の累計販売高は、前年同期比10%上回っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics (WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「2014年の11月までのグローバル販売高累計で2013年全体に匹敵しており、我々の業界の2014年販売高の新記録更新を保証している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「ほとんどすべての半導体製品カテゴリーにわたって需要は依然力強く、AmericasおよびAsia Pacific地域市場が引き続き最も力強い伸びを示している。マクロ経済の流れは、2015年に引き続く成長にとって良い前兆となっている。」

地域別には、前年同月比でAsia Pacificが12.3%増、Americasが11.1%の増加、そして Europeは3.4%増であったが、Japanは4.5%減である。前月比では、Americasが1.8%増加したが、Asia Pacificが-0.2%, Europeが-0.7%およびJapanが-2.6%と僅かながら減少した。すべての地域にわたって11月までの累計販売高は前年同期を上回っている。

                                             【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Nov 2013
Oct 2014
Nov 2014
前年同月比
前月比
========
Americas
5.87
6.41
6.52
11.1
1.8
Europe
3.08
3.21
3.18
3.4
-0.7
Japan
3.07
3.01
2.93
-4.5
-2.6
Asia Pacific
15.16
17.05
17.03
12.3
-0.2
$27.19 B
$29.68 B
$29.67 B
9.1 %
-0.1 %

--------------------------------------

市場地域
6-8月平均
9-11月平均
change
Americas
5.78
6.52
12.9
Europe
3.22
3.18
-1.1
Japan
3.07
2.93
-4.5
Asia Pacific
16.53
17.03
3.0
$28.59 B
$29.67 B
3.8 %

--------------------------------------

※11月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/November%202014%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf

★★★↑↑↑↑↑

これを受けた各紙の反応である。

◇Global semiconductor sales in November outpace 2013 totals (1月5日付け ELECTROIQ)

◇Global semiconductor sales through November outpace 2013 level, says SIA (1月6日付け DIGITIMES)

Gartner社から2014年の半導体販売高そしてベンダーランキング・トップ10データの速報が発表されている。2013年から10%近い伸びを予測する向きもあるが、オーソドックスなGartner集計では7.9%の2014年販売高の伸びと表わされている。

◇Global Chip Sales Rose 7.9% in 2014 -Gartner: 2014 chip sales hit nearly $340 billion (1月6日付け The Wall Street Journal /Digits blog)

ベンダーランキング・トップ10の顔ぶれは以下の通りで、2013年からトップ10メンバーの新顔はなく、4位と5位が入れ替わるに留まっている。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 7.9 Percent in 2014 -Booming DRAM Market Propelled Strong Growth for Memory Makers (1月6日付け Gartner)

→2014年の半導体ベンダー売上げトップ10、次の通り(金額:USM$):

2013
2014
ベンダー
2013
2014
2013-2014
2014
順位
順位
売上げ
売上げ見込み
伸び率
シェア
1
1
Intel
48,590
50,840
4.6%
15.0%
2
2
Samsung
30,636
35,275
15.1
10.4
3
3
Qualcomm
17,211
19,194
11.5
5.6
5
4
Micron
11,918
16,800
41.0
4.9
4
5
SK Hynix
12,625
15,915
26.1
4.7
6
6
Toshiba
11,277
11,589
2.8
3.4
7
7
TI
10,591
11,539
9.0
3.4
8
8
Broadcom
8,199
8,360
2.0
2.5
9
9
STMicro
8,082
7,371
-8.8
2.2
10
10
Renesas
7,979
7,249
-9.1
2.1
Others
147,883
155,679
5.3
45.8
Total
314,991
339,811
7.9
100
[Source: Gartner (December 2014)]

◇Worldwide semiconductor revenues grow 7.9% in 2014, says Gartner (1月7日付け DIGITIMES)
→Gartner発。2014年の世界半導体売上げ総額が$339.8 billion、2013年の$315 billionから7.9%増。2014年での半導体ベンダートップ25の売上げ合計が11.7%増、市場売上げシェアが72.1%、2013年の69.7%から高まっている旨。

≪市場実態PickUp≫

【CES:概況】

年始早々の業界一大イベントといえば、International Consumer Electronics Show(CES)(2015年1月6日〜9日:Las Vegas)、いわゆるCESであるが、日を追っていろいろな角度からの全体的な概況が以下の通りである。

◇What to expect at CES 2015: 4K TVs, Broadwell chips, and the smart home-Consumer tech expands into a panoply of products at CES (1月3日付け PCWorld)
→今週のInternational CES(Las Vegas)では、connected-home技術, wearable electronics, 3Dプリンタ, 4K Ultra HDテレビジョンそして無人飛行機も登場、入場者は昨年の最高記録から増える見込みの旨。「この展示会そして我々の経済について、今までかくも楽観視していることはない」(Consumer Electronics Association[CEA]のpresident and CEO、Gary Shapiro氏)旨。

◇Gadgets Galore Inject Energy Into CES-Drones, Wearables and Robots Make for an Explosion of‘Mini-Hits’ (1月4日付け The Wall Street Journal)

◇CES 2015 to see few surprises (1月5日付け DIGITIMES)
→業界観測筋発。今回の製品の重点は主にまだ完全に開発されていないsmartホームソリューション, wearableデバイスおよび車載Internet of Things(IoT)ソリューションにあり、この数年ほど多くのsurprisesは出てこない可能性の旨。Ultra HD TVsも主な重点と見られるが、消費者には新しくない旨。

◇デジタル家電の世界売上高、2014年は1%増の123兆円 (1月5日付け 日経 電子版)
→米家電協会(CEA)が4日、2014年のデジタル家電の世界売上高が前年比1%増の1兆240億ドル(約123兆円)となったもようだと発表した旨。スマートフォンなどを原動力に販売数量は増えたが、新興国で低価格品へのシフトが進み売上高は伸び悩んだ旨。独調査会社のGfKと共同で調査、6日に開幕する世界最大の家電見本市、「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」に先だって発表した旨。2014年のスマホの販売台数は28%増、中国など新興国で伸びは大きく、北京小米科技(シャオミ)など中国メーカーの製品が牽引したが、金額ベースは13%増にとどまった旨。スマホの平均単価は2010年の440ドルから2014年は312ドルと約3割下がるなど低価格品の普及が影響している旨。テレビは2014年に数量が1%増とプラスに転じた旨。スマホは2015年も数量、金額ともプラスとなる見通し、タブレットは数量が増える一方で金額の減少は続く旨。販売価格の下落が市場の伸びを抑える構図が続きそうな旨。

◇ネット接続、規格で火花 クアルコムやインテル陣営−米家電見本市が開幕 (1月7日付け 日経 電子版)
→あらゆるモノがインターネットにつながる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」と呼ばれる新市場で、規格争いが熱を帯びてきた旨。6日に米国で開幕した世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では、IT、家電各社がそれぞれ提唱する規格の優位性のアピールに力を入れた旨。関連市場が2020年に3兆ドル(約356兆円)に達するとの予測もある巨大ビジネスを巡り火花を散らしている旨。

◇米家電見本市が開幕、4Kテレビで巻き返し、日本勢、薄さ・操作性重点、中韓勢との価格競争回避 (1月7日付け 日経)
→世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」が6日、米ラスベガスで開幕、ソニーやパナソニックなど電機大手は高精細な4Kテレビを展示の中核に据えた旨。2015年の4Kテレビの世界市場は前年比8割増の311億ドル(約3兆7千億円)に急拡大する見通し、市場投入で先行した日本勢は薄さや高い操作性などを打ち出し、存在感を高めたい考えの旨。

【CES:注目展示】

かつてはテレビ、白物家電が主流のイメージのCESであった記憶があるが、パソコン、そしてその融合を経て、今やネット時代。注目展示にも、ロボット、無人飛行機と、多彩な分野拡大、拡張が進んでいる受け止めである。

◇CES Unveiled: Robots, Patches, Plugs & Kid Surveillance-Race for accuracy and ease of use (1月5日付け EE Times)
→今年のCESについてニュースメディアに向けて公開されたpre-show gadget bazaar、CES Unveiledにて、あらわれてきている2つの流れ。精度が改善された("medical-grade"のものも)wearables、そしてBluetooth Low Energy(BLE)-装備gadgetsがWiFiルータに通じるよう設計されたgateway製品が多くなっている旨。以下、注目内容:
 Ozobot -- Programmable Robot(世界最小)
 Vigilant's Insulin Injection and Glucose Tracker
 AmpStrip -- Heart Rate Tracker
 Triby -- Ultimate Kitchen Phone
 Vectu -- M2M Solution Without Using Internet
 Bright Lights and CE Devices
 Qardio -- Blood Pressure Monitor
 Narrative -- Create Your Own Photo Narrative
 BeeWi -- Smart Mobile Gateway
 Temp Traq -- 24 Hours of Wireless Temperature Monitoring
 Ring -- Bluetooth Ring Draws to Control
 eGeeTouch Smart Luggage Locks
 3D Printer -- Why Print in Ink?
 Remote Control Cars

◇CES Sampler: Selfie Drones, Mobile Health (1月6日付け EE Times)
→以下の注目内容:
 Cutest drone takes flight
 Making sense of medical procedures …Rx Robots
 Scana-do-it-yourself        …palm-sized scanner
 Stable eye in the sky        …最軽量drone
 More selfies            …小型潜望鏡
 Jam on               …MIDIギターコントローラ
 Test your content         …SCiO携帯spectrometer
 Cycle smarter           …バイクのハンドル装着
 Testing movies, news, and TV on-the-go

【CES:各社】

今回のCESの各社の目玉について、上記の2014年の半導体ベンダー売上げトップ10からトップ3の3社、Intel、SamsungそしてQualcommに注目、IoTおよびwearablesがよく目につく基調講演、そして新技術・新製品から以下の通りである。

◇Intel Rolls 14nm Broadwell in Vegas-Next-gen Core family targets PCs, 2-in-1s (1月5日付け EE Times)
→Intelが今回の場で、第5世代Coreプロセッサ、Broadwellファミリーを発表、この14の新しい半導体は、実質的に同社の新しい14-nmプロセスで作られた同社22-nm Haswellアーキテクチャーversionsであり、PCおよびnotebookユーザにアップグレードを勧める期待のものの旨。

◇Intel: Many PC makers plan to skip desktop Broadwell PCs and wait for Skylake CPUs-Will "Skylake" chips outshine "Broadwell-U"? (1月5日付け PCWorld)
→Intelが月曜5日、all-in-one PCsおよびnotebook computers用の"Broadwell-U"プロセッサラインをお披露目したが、同社PC Client Group、senior vice president and general manager、Kirk Skaugen氏は、多くのPCメーカーが今年後半に出てくる予定のIntelの"Skylake"アーキテクチャープロセッサの方に目が行っていると認めた旨。Intelはまた、タブレットcomputers用の"Cherry Trail"プロセッサラインを投入、ワイヤレス給電およびワイヤレスビデオstreamingを可能にし、"Skylake"半導体でも使えるcapabilityの旨。

◇Intel Dives Deeper Into Wearables With Its Quark SE Chip And Curie Development Module-Intel debuts Quark, Curie to drive wearables (1月6日付け TechCrunch)
→Intelが、特にwearable機器メーカー向けの半導体開発プラットフォーム、Quark SE SOC、並びに開発者に向けてwearables設計を容易にするよう設計されたCurie開発モジュールを披露の旨。

◇Intel Tips Mini IoT Module-Button-sized Curie geared for wearables (1月7日付け EE Times)

◇IoT: Collaborate or Else, Says Samsung CEO-Korean giant proposes self-styled "open ecosystem" (1月6日付け EE Times)
→"Internet of Things(IoT)の無限の可能性を切り開く"と、Samsung ElectronicsのCEO、Boo-Keun Yoon氏の基調講演。

◇Q'comm Allies in Cars, Health, IoT (1月5日付け EE Times)
→Qualcommは、車載、健康およびInternet of Things(IoT)での連携に焦点を当てて今回の場に臨んでいるが、何か大きな半導体の発表は見られない旨。最も議論されているQualcommの連携は、曲面、"self-healing"スマートフォン、LG G Flex2関係であり、Snapdragon 810 octacoreプロセッサが動かす最初のものの旨。該handsetは、810に組み込まれたQualcommのAdreno 430 GPUも用いている旨。

◇Qualcomm Breaks Down Its Plans To Build Chips For The Internet Of Everything-Qualcomm talks up connected-device strategy (1月5日付け TechCrunch)
→QualcommのPresident、Derek Aberle氏の基調講演。

【Samsungの2014年業績】

2014年半導体売上げトップ3社の2番手、Samsung Electronicsの2014年業績が発表され、9年ぶりの減収、1割減となっている。スマホの低迷をメモリはじめ半導体が支える内訳が引き続いている。

◇Samsung Returns to Roots in Components as Phones Stall-Samsung goes all in on chips (1月8日付け Bloomberg Businessweek)
→Samsung Electronicsの半導体事業が、同社業績のbottom lineを高めており、第四四半期販売高が前年同期比12%減の中、operating profitが$4.7 billionの旨。競合のAppleおよびXiaomiが、SamsungのGalaxy phonesの売れ行きを傷めている旨。

◇Samsung to post lower sales and profits for 2014 (1月8日付け DIGITIMES)
→Samsungの2014年第四四半期の連結販売高がKRW52 trillionあるいはKRW51-53 trillionの範囲、前四半期KRW47.45 trillion、前年同期KRW59.28 trillion。2014年全体では約KRW205.48 trillion、前年KRW228.69 trillionから約10%減、9年ぶりの減少となる旨。

◇サムスン電子9年ぶり減収、2014年、スマホ不振 (1月8日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が8日、2014年の連結売上高が2013年比10%少ない205兆ウォン(約22兆円)になったとの速報値を発表、減収は9年ぶりの旨。中国など新興国メーカーの追い上げでスマートフォン販売が伸び悩んだ旨。営業利益も32%減と3年ぶりのマイナスで、急成長が転機を迎えていることがあらためて明らかになった旨。

今後の挽回の動きが注目されるが、アップルの今年の新製品の1つ、Apple Watch用のプロセッサ製造受注をSamsung Electronicsが獲得という早々の以下の内容である。

◇Samsung reportedly grabs processor orders for Apple Watch (1月9日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung Electronicsの28-nmプロセス技術が、2015年3月に打ち上げ予定のApple Watch setに向けた受注を獲得、12-インチウェーハ3,000-4,000枚/月の規模の旨。Samsungが作るプロセッサがAppleのS1 system-in-package(SiP)に入り、これにはモバイルDRAM、NANDフラッシュはじめ周辺半導体も加わる旨。Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、Apple Watch用SiPモジュールを供給する旨。

【中国ファブレスの進境】

IC Insightsによる2014年ファブレスメーカー・トップ50に、中国メーカー9社が入り、5年前の1社からの著しい進境ぶりが表れている。半導体自立化を目指す中国であり、今後の大きなパラメータに加わってくる情勢がある。

◇China Grabs 9 Spots in Fabless 50-China's mobile chip designers on the rise-IC Insights: Fabless 50 rankings include 9 China firms (1月8日付け EE Times)
→IC Insightsが今月後半に発行予定のレポート。2014年ファブレスICメーカーランキング・トップ50に中国メーカー9社が入り、2009年の1社から大幅増の旨。このトップ50に新しく入った8社のうち少なくとも5社が、今日の活況スマートフォン市場に重点化の旨。中国はファブレス半導体サプライヤとしては比較的まだ小さく、グローバル市場の8%($80.5 billion)ほど、しかしその上昇は著しく、速く、そして戦略的である旨。


≪グローバル雑学王−340≫

平成元年生まれの著者が、世界銀行の総会に日本のユース枠で参加、コンペ「イノベーションチャレンジ」に応募して最優秀賞の一つを獲得するに至った経緯を、
 『ゆとり世代の愛国心 −世界に出て、日本の奇跡が見えてきた』
  (税所 篤快[さいしょ あつよし] 著:PHP新書 941) …2014年9月1日 第一版第一刷発行

より見ていく。「今でしょ!?」のフレーズで大ブレイクした東進ハイスクールの現代文講師、林修氏から馴染んできた映像授業という受け止めであるが、これをバングラデシュから始めて世界五大陸に拡大、教育の質の向上を図る「e-Education」という著者一世一代の取り組みプロジェクトを加速していく。

第3章 英語ができないからこそ気づけたこと

◇ガザでかいた英語の恥はかき捨てられない
・2012年12月、ふたたびガザの内部訪問
 →問題は、英語のレベルがグラミン銀行で生き抜くためのサバイバル英語にすぎなかったこと
 →〈どうして日本であんなにも英語を勉強したのに、ガザで役に立たないのか〉
・アメリカ人やイギリス人と見事に渡り合っているように見える国連の日本人スタッフでさえも、自己採点では「まだまだ発展途上」の英語力
 →こちらはスタートラインにすら立てていない
 →ガザの英語の恥は、決して「かき捨て」とはいかない

◇EUの抱える闇
・2012年秋、「中央ヨーロッパ都市」の授業
 →ジプシーと呼ばれた「ロマ族」のこと
 →「EUの抱える闇」として、ヒエラルキーの最下層に位置
・教育格差は少ないと思っていたヨーロッパ大陸
 →大きかった「ロマ族」の衝撃
 →現状を確かめたく、ハンガリーの首都、ブダペストに飛んだ

◇求められているのは「若者、ヨソ者、馬鹿者」力
・ドナウ川が横切る中央ヨーロッパの都市、ブダペストに到着
 →街で見るロマ族の姿、多くは物乞い、ホームレスの人たち
・「ルービックキューブ」はじめ数々の発明で知られるブダペスト工科大学
 →ロマ族社会の研究家、ジョージ・ラスロー准教授
・意気投合、二人でロマ族の小学生向けの映像授業を作り始めた
 →ロマとハンガリーの子供たちを同じテーブルにつけて、ディスカッションやプレゼンテーション、「Complex Instruction」プログラム
 →同じ手法をビデオ授業にして、ハンガリー中の先生たちに届けようと考えた
・2013年2月、「ハンガリー版e-Education」がスタート
・世界に日本のファンが増えるかどうかが、これからの時代ではさらに重要に
 →自分たちの勇敢さにかかっている

◇「落ちこぼれ代表」として世銀総会へ
・転機が訪れた2013年の秋、世界銀行IMF年次総会に日本のユース枠で参加させてもらうことに
 →近年では、NPOや若手リーダーを積極的に招聘するように
・落ちこぼれベースライン思考法
 →行けるだけですごいこと。日本の落ちこぼれを代表していくんだ――

◇成績が悪いからこそのプレゼン法
・世界銀行のベテランエコノミスト、南アジア局バングラデシュ教育担当の上級スタッフ、ディリップさん(ネパール人)
 →SEQAEP(Secondary Education Quality and Access Enhancement Project)のリーダー
  …中等教育の質の向上をめざした世銀の旗艦プロジェクト
・ディリップさんを虜にしたわずか2分45秒の(著者の)プレゼン
 →英語にコンプレックスがあるなら、ひたすら「ビジュアル」と「具体性」、そして「物語性」に賭ければいい
 →世界銀行のさまざまなフロアでプレゼンする機会を手に入れた
 →好評の「紙芝居3分スピーチ」

◇「WHAT」ではなく「WHY」を尋ねよ
・世銀最上階、総裁室に隣接する大会議場にて
 →世界各地のNGOや財団代表などが総裁や理事たちに直接、疑問や意見をぶつける場
・とげとげしい議論のなか、指名されて
 →「世銀の幹部のみなさんの夢って何? そもそも、なんで世銀に入ったのか?」
 →会場が水を打ったように静まり返り、寸分たがわず爆笑に
 →一気に、「WHAT」の議論から「WHY」へとシフト、居並ぶ歴々の理事たちが「自分の夢」について語り始め
 →「グレートクエスチョン、アツ!」と世界中の仲間たちから

◇世界銀行からの無理難題
・2013年の世銀総会を無事に乗り切り、世銀の職員用コンペ「イノベーションチャレンジ」に応募
 →なんと最優秀賞の一つを獲得
 →「e-Education」とチーム・ディリップで、2014年に共同プロジェクトをスタート
 →映像授業による理数科教員の質の向上と教材の充実をねらった「e-Science Project」打ち上げ
・この世界銀行のプロジェクトは、資金が後払い
 →著者と共同代表の二人でお金を立て替え、なんとか乗り切り
・2014年1月、世界銀行プロジェクトで使用するビデオ授業の収録を開始
 →ダッカの一流講師たちを200時間も拘束、授業を収録したコストは莫大
 →口座残高がマイナスに
・これに対する世界銀行ワシントンチームのリクエスト
 →「品質に問題があるから、至急200時間分の映像を作りなおすこと」
 →大激論に

◇英語力にも勝る胆力とシミュレーション力
・世銀スタッフの一人のコーディネートのお蔭で、お互いのわだかまりは一掃へ
 →胆力やシミュレーション能力、戦略策定能力の必要性は、今の日本の教育システムではいっさい顧みられていない

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