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半導体業界への余波は?/台湾での日本人向け冊子/グローバル雑学王−15

金融危機による株価乱高下が続いており、世界的な対策の話し合いや呼びかけが、本欄を記している今も耳や目に入ってくる。半導体、そしてデバイス業界への影響はどうなっていくか?先週訪れた台湾でも、関連する大きな見出しを随所で目にしている。

≪半導体業界への余波如何?≫

当面しばらくは関連する動きのアップデートを敏感に行っていくことがなによりではなかろうか?気のつく範囲で、見出しコメントを※印以下に入れて、今回は次の通りである。

※M&A、事業再構築に微妙な影響
◇Low stock values impede M&A deals, analyst says (EET)(10月13日付け EE Times)
 →昨今の株式評価額低下が、M&A活動を抑えている状況について。
◇Vishay abandons bid to acquire IR(10月13日付け EE Times)
 →Vishay Intertechnology社が、International Rectifier Corporationを買収する試みを断念する旨。 
◇Qimonda restructures, cuts 3000 jobs(10月13日付け EE Times)
 →Qimonda AGが抜本的な再構築を発表、Nanya Technologyとの合弁、Inoteraの同社株式を競合のMicron Technologyに売却するほか、製品重点化を変更、capacitiesを削減、生産ライン閉鎖を行う旨。ドイツと米国の約3000jobs削減の旨。

※低下傾向、あるいは下方修正
◇Gartner slashes 2009 tech spending forecast(10月13日付け EE Times)
 →Gartner社が、2009年information technology spendingについて、経済危機の拡大からビジネスが後退するとして、前回5.8%増から今回2.3%増止まりに大きく下方修正の旨。 
◇SEMI book-to-bill ratio takes dive in September-The North American semiconductor equipment industry posted a September book-to-bill ratio of 0.76, representing a significant decline month over month and year over year, according to data from SEMI.(10月17日付け Electronics Design, Strategy, News)
 →北米半導体装置業界BB比、4-9月の推移、次の通り。
          Billings  Bookings   Book-to-bill
  April    1,337.3   1,090.3     0.82
  May    1,313     1,029.3     0.78
  June    1,159.8    934.2     0.81
  July    1,077.2     889      0.83
  August  1,064.5    866.8      0.81
  Spetember  990    753.6      0.76
(注) Billings、Bookings:3ヶ月平均。MUS$。
[Source: SEMI, October 2008]

※インテル、AMDの予想以上の業績と先行き
◇Analysis: Mobile products lift Intel, but Q4 uncertain(10月14日付け EE Times)
 →Intel社の第三四半期売上げ$10.2B。同profitは$2B、前四半期比26%増、前年同期比12%増。mobile computing用MPUsおよびチップセットの売上げの伸びが支えている旨。
◇AMD beats expectations, but posts 8th straight loss(10月16日付け EE Times)
 →AMD社の第三四半期、$67Mのnet lossで前年同期$396Mから改善の旨。
◇Analysis: AMD, Intel face 'murky' Q4, uncertain '09(10月17日付け EE Times)
 →半導体市場で最も激しい2つのライバル、Intel社とAMD社が共に一致すると思われること:予測する環境はますます濁ってきた。
  アナリスト連とのconference callにて、Intelのpresident and CEO、PaulOtellini氏曰く、"Who knows what 2009 is going to be?"。


≪台湾での日本人向け冊子から≫

台湾の飲食店で、日本人向けということで編集されたガイドブックを、2006年2月以来で、先週いただいた。毎月出されているようであるが、広告宣伝に加えて台湾の政治・経済などの現況が端的に表されていて興味深く感じている。この2年半以上の期間を置いて、台湾がどう変わってきているかがある程度つかめるという感じ方の以下の抜き出しである。

□「マイシティー my city」2006年2月号
 …グルメ・交通・遊びの生活情報が満載… 日本人必見の携帯便利ブック!
  ○陳水扁総統、元旦のメッセージを発表 −対中国政策では妥協しない方針
  ○中正国際空港、昨年の入国・出国者数2100万人突破
  ○台湾産業界、中国投資で政府の両岸政策と対立

□「台湾ダイジェスト Taiwan Digest」2008年10月号
 …ダイナミックに変貌する台湾の「今」を凝縮…
  ○両岸は国家でなく地域の関係 −馬英九総統の"中台新定義"で波紋
  ○台湾新政府、対中投資緩和へ −リスク回避へ質的変化必要
                         【情勢分析 台湾の経済】
 …国民党新政権の対中緊密化政策の一環。
 …台湾経済の永続的発展には「両刃の剣」にも。
 …進出事業者数約10万件、居留人口約100万人ともいわれる台湾からの大陸進出の現状。
 …台湾の全輸出の約41%が中国向け。
 ・規制緩和について残る多くの問題
 …台湾からの片道投資がさらに顕著に。中国からの台湾への投資が現時点で皆無という事実。
 …技術や人的交流などがあって初めて本当の効果。ハイテク分野、代表的には半導体関連の8インチ、12インチ・ウェーハといった分野の進展なしでは困難に。
 ・まず比較的緩やかな段階的資金投資規制の緩和を行うとともに、中国の対台投資の道を拓くべき。
○「六三三、2016年に実現」馬総統の公約違反で批判続出
 ・「六三三公約」…毎年6%の経済成長率、一人当たりの国民所得3万米ドル、失業率3%以下
 ・総統就任後の台湾経済は逆に悪化の状況。
○難問が山積する中国 どうなる五輪後の情勢 
                        【プロ記者の見た日本・台湾・中国】
 ・経済減速が気がかり
  …五輪後のジンクス、中国には2年後の上海万博の開催という材料
  …懸念材料として、外需とインフレの動向
 ・政治社会状況は悪化
  …中国の強権政治を許したのは経済発展。
  …肝心の高度成長が失速しつつある現時点。
○五万人余り、四百億元の損失、リーマン・ブラザーズ倒産で
○総統就任以来株価は40%下落、リーマンショックで国安基金出動
 ・国安基金(2000年3月設立)で株の買い支え
○十大景気刺激策で内需拡大へ、財政出動は約1800億元

中正国際空港から台湾桃園国際空港へ、そして新幹線・台湾高鉄(TAIWAN HIGH SPEED RAIL)がまず見て分かる大きな変化であるが、新政権になってからの特に経済の多難な状況を受け止めている。


≪グローバル雑学王−15≫

今回も、『色彩の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 311)から、"燃ゆる赤"に纏わるエピソード、雑学アイテムのオンパレードである。

○赤の語源は血!

・アルハンブラ宮殿(グラナダ、スペイン):
 アルハンブラ=「赤い城」(アラビア語)

[赤と入れ墨]
・死を象徴する色は黒であるのに対し、生命力、活力を象徴する色は赤。
・遺体を聖なるものとするために朱の入れ墨をする太古の風習。
・「赤」という字 …「大」と「火」で、火が大きく燃え上がっている様子を表わす。
・一説に英語"red"の語源 ⇒サンスクリットの「血」に関係したrudiras
                 →ruby:赤い宝石
                 →rubescent:赤面する
                 →rouge:ルージュ(フランス語)

[行動も思想も過激な色]
・「血色がいい」「血相を変える」「血気盛ん」
・20世紀始め、ロシア革命が、赤旗=共産主義、社会主義と世界中に印象付け。1950年代には、赤狩り"red hunt"という言葉も。

[警告の色]
・レッド・カード     →サッカー
 レッド・ゾーン     →危険地帯、立ち入り禁止区域
 レッド・データ・ブック →野生生物の絶滅危惧種
・テロ警戒システムでの警戒の度合い
 ⇒赤、オレンジ、黄色、青、緑の順番

[中国ではお祝いの色]
・中国ではお祝いのとき、赤を中心にして、金文字、金の龍という強烈な色の組み合わせ。
 →おめでたいときには、特別に思い切り祝おうということ。
・日本人からすれば、やはり圧倒される中国の真っ赤な世界。

[血染めのシャツ]
・英語「血染めのシャツを振る(wave the bloody shirt)」=「復讐心をあおる」
 →17世紀のカトリックとプロテスタントの争いが発端
 …1688年の名誉革命 −ジェームズ二世(スコットランド出身)追放に成功
 →19世紀半ばのアメリカ、民主党とホイッグ党で議会の主導権、大統領の座を争う。やがてホイッグ党と、民主党でも奴隷制に反対する人びとが、1854年に共和党を結成。5年にわたる南北戦争突入。
 ⇒その後も共和党は、選挙のたびに、赤シャツを振る。

[マゼンタの勝利]
・イタリア統一戦争(1860年ごろ)の経緯 …国境の東にあったマゼンタが深紅の赤の呼び名に。

[日本で赤シャツといえば]
・神社の鳥居 −邪気をはらう赤(朱)色。「赤は身体にいい」。

[源氏の白、平家の赤]
・12世紀のこと、源氏が白旗を、平氏が赤旗を掲げて戦った源平合戦
 ⇒紅白合戦の起源

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