世界半導体販売高、18ヶ月連続の前年比増、我が国の一層奮起を!
米国Semiconductor Industry Association(SIA)からの月次世界半導体販売高の発表が行われ、今回はこの10月についてである。10月の世界半導体販売高は$29.7 billionに達し、$30 billion台に近づくとともに、前年同月比で18ヶ月連続の増加を示している。同時に出されたWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationからの秋季予測は、本年の世界半導体販売高が$333.2 billionと見ており、長らく停滞した$300 billionの壁を突き進む勢いとなっている。4つに分ける地域別では、我が国の後塵を拝する状況が続いており、今後に向けてさらに一層の奮起が求められるデータ内容である。
≪10月の世界半導体販売高≫
米SIAからの発表は、次の通りである。
☆☆☆↓↓↓↓↓
○10月のグローバル半導体販売高が増加;2014年相当伸びる見通しに−WSTS予測は、2014年9%増、2015年3.4%増 …12月2日付け SIAプレスリリース
半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表、2014年10月の世界半導体販売高が$29.7 billionに達し、2013年10月の$27.1 billionから9.6%増、前月の$29.2 billionに対して1.5%増となっている。Americas地域の10月の販売高が前年比12.2%増で、全地域を引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics (WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新しいESTS業界予測では、2014年について相当な伸び、2015年および2016年については穏やかな伸びを見通している。
「10月のグローバル半導体販売高は、前年比で18ヶ月連続で増加、我々の業界は力強い2014年に向けて良い位置づけにある。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。
「販売高は引き続き全面的に力強く、ほとんどすべての地域および製品カテゴリーが増加を示している。2014年はほぼ2ケタの伸び、続く2015年および2016年は穏やかな伸びになると見ている。」
地域別には、前月比でAmericasが5.8%の増加、Asia Pacificは0.7%増、Europeは0.1%減、そしてJapanは0.6%減とほとんどフラットであった。前年同月、2013年10月との比較では、始めに述べたようにAmericasが12.2%の増加、Asia Pacificが12.1%増, そしてEuropeが5.2%増であったが、Japanは3%の減少となった。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Oct 2013 |
Sep 2014 |
Oct 2014 |
前年同月比 |
前月比 |
======== |
|||||
Americas | 5.71 |
6.06 |
6.41 |
12.2 |
5.8 |
Europe | 3.05 |
3.21 |
3.21 |
5.2 |
-0.1 |
Japan | 3.11 |
3.03 |
3.01 |
-3.0 |
-0.6 |
Asia Pacific | 15.22 |
16.93 |
17.05 |
12.1 |
0.7 |
計 | $27.09 B |
$29.23 B |
$29.69 B |
9.6 % |
1.5 % |
--------------------------------------
市場地域 | 5- 7月平均 |
8-10月平均 |
change |
Americas | 5.47 |
6.41 |
17.2 |
Europe | 3.24 |
3.21 |
-1.1 |
Japan | 3.04 |
3.01 |
-0.9 |
Asia Pacific | 16.38 |
17.05 |
4.1 |
$28.13 B |
$29.69 B |
5.5 % |
--------------------------------------
加えてSIAは本日、WSTS Autumn 2014グローバル半導体販売高予測を支持、それでは我々の業界の2014年世界販売高が$333.2 billionに達して、2013年から9%増と見通している。WSTSは、2014年の地域別前年比増加をAsia Pacificが11.4%, Europeが8.7%, Americasが6.9%, およびJapanが1.3%と予想している。
2014年以降は、すべての地域にわたって着実に穏やかに伸びる見込み、とWSTSでは予測している。WSTSは、2015年についてグローバルに3.4%の伸び(総販売高が$344.5 billion)、そして2016年は3.1%の伸び(同$355.3 billion)を予想している。WSTSは、グローバル半導体メーカーの広大なグループを招集、年2回の業界予測を作成して、半導体の流れの正確でタイムリーな指標を与えている。
※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/October%202014%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑
WSTSによる2016年まで見据えた半導体販売高は、地域別および製品分野別に次のように予測されている。
【WSTS Autumn 2014 Forecast】
Amounts in US$M
| Year on Year Growth in %
| |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2013 |
2014 |
2015 |
2016 |
2013 |
2014 |
2015 |
2016 |
|
Americas | 61,496 |
65,763 |
69,274 |
71,432 |
13.1 |
6.9 |
5.3 |
3.1 |
Europe | 34,883 |
37,923 |
38,491 |
39,732 |
5.2 |
8.7 |
1.5 |
3.2 |
Japan | 34,795 |
35,239 |
35,133 |
35,452 |
15.2 |
1.3 |
-0.3 |
0.9 |
Asia Pacific | 174,410 |
194,226 |
201,648 |
208,656 |
7.0 |
11.4 |
3.8 |
3.5 |
Total World | 305,584 |
333,151 |
344,547 |
355,272 |
4.8 |
9.0 |
3.4 |
3.1 |
Discrete Semiconductors | 18,201 |
20,441 |
21,347 |
21,980 |
-4.9 |
12.3 |
4.4 |
3.0 |
Optoelectronics | 27,571 |
29,498 |
30,958 |
31,983 |
5.3 |
7.0 |
4.9 |
3.3 |
Sensors | 8,036 |
8,627 |
9,151 |
9,624 |
0.3 |
7.4 |
6.1 |
5.2 |
Integrated Circuits | 251,776 |
274,586 |
283,090 |
291,685 |
5.7 |
9.1 |
3.1 |
3.0 |
Analog | 40,117 |
44,217 |
47,429 |
49,175 |
2.1 |
10.2 |
7.3 |
3.7 |
Micro | 58,688 |
62,211 |
63,144 |
64,240 |
-2.6 |
6.0 |
1.5 |
1.7 |
Logic | 85,928 |
89,547 |
91,488 |
93,927 |
5.2 |
4.2 |
2.2 |
2.7 |
Memory | 67,043 |
78,611 |
81,029 |
84,343 |
17.6 |
17.3 |
3.1 |
4.1 |
Total Products | 305,584 |
333,151 |
344,547 |
355,272 |
4.8 |
9.0 |
3.4 |
3.1 |
この発表を受けての業界各紙の反応、以下の通りである。
◇Global semiconductor sales increase in October; Substantial growth projected for 2014 (12月3日付け ELECTROIQ)
◇Global semiconductor outlook brightens, Microchip sees sales rebound-WSTS: Chip sales for 2014 to be up 9%, hit $333 billion (12月3日付け Reuters)
◇世界半導体出荷9%増、業界予測、今年、最高の39兆円 (12月3日付け 日経産業)
→半導体の業界団体、世界半導体市場統計(WSTS)が2日、2014年の世界の半導体出荷額が2013年比9.0%増の3331億ドル(約39兆6千億円)になる見通しだと発表、2年連続で過去最高を更新する旨。スマートフォンやパソコン向けにメモリーが牽引する旨。WSTSは2016年まで平均5.2%の成長が続くとみている旨。2014年の出荷額は6月時点の6.5%増予想から上振れしそうな旨。
◇Global chip sales rise 9.6% in October, says SIA (12月4日付け DIGITIMES)
モバイル活況により史上最高の販売高が続いているファウンドリー分野では、今年および来年について業界全体を大きく上回る見通しが表されている。
◇Foundry sales outgrow industry sales-Global foundry sales to hit $47.9B for 2014 (12月4日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Global Semiconductor Alliance(GSA)およびIC Insights発。今年の世界中のファウンドリーの販売高総計が、2013年から13%増、$47.9 billionとなる見込み、2015年にはさらに12%増の$53.7 billionになると見る旨。
◇TSMC sees more growth-TSMC co-CEO talks revenue growth (12月5日付け The Taipei Times (Taiwan))
→annual supply-chain management forum(Hsinchu[新竹])にて、TSMCのco-chief executive officer、Mark Liu(劉音)氏。来年のグローバル半導体業界は4%あるいは5%の伸び、supply chainでの異常な在庫調整は見られず、来年の成長は非常に健全と見る旨。
≪市場実態PickUp≫
【SEMICON Japan】
恒例のSEMICON Japan(2014年12月3日〜5日)は、今回から東京ビッグサイトでの開催、下記の通りここでも日本のプレゼンスを改めて謳うトーンが見られるとともに、IoT(Internet of Things)に向けた半導体装置の各社アプローチが展開されている。
◇日本半導体製造のサプライチェーンについて知っておくべき7つの事実 (12月1日付け SEMI)
→日本が依然として半導体産業の重要地域であることを示す以下の7つの事実について、SEMIジャパンのレポート。
1:半導体前工程生産能力では日本が世界1位 …300-mmは世界3位
2:日本は半導体材料の消費額が世界第2位
3:日本の半導体製造装置需要は2015年に16%増加
4:日本は世界の材料消費量の50%以上を供給
5:日本は世界の半導体製造装置(新品)の35%を供給
6:日本は最先端LEDの生産で世界をリード
7:SEMICON Japanが12月3日開幕 −日本の半導体サプライチェーンが集結
◇SEMICON Japan 2014 Opens Today at Tokyo Big Sight: Focus on Technology Challenges and Innovation (12月3日付け SEMI)
→半導体製造および関連処理技術について日本最大の展示会、SEMICON Japan 2014が、新たな場所、Tokyo Big Sightにて本日開幕、新しいIoT(Internet of Things)の世界でのopportunitiesなど半導体業界の最新の技術革新を披露する旨。
◇「IoT」半導体装置競う、高機能化、新たな需要にらむ、ニコン系、センサ向け露光装置、ディスコ、ウェーハ加工、厚さ半分 (12月5日付け 日経産業)
→あらゆるモノに通信機能を持たせて付加価値を高める「IoT」の広がりをにらんで、半導体製造装置各社が新製品や新技術を投入している旨。センサや大量に集めたデータを蓄えるメモリの需要拡大を見込み、ニコンエンジニアリング(横浜市)や東京エレクトロンなどがIoT市場に適した製造装置を投入の旨。
【CypressのSpansion買収】
古くから高速SRAMで知られるCypress Semiconductorが、NORフラッシュのSpansionを買収する運びが発表され、注目の度合いを反映する以下の業界紙の反応となっている。規模では僅かに小さいCypressが、社名を残すとしている。
◇Cypress Bids $4B For Spansion (12月1日付け EE Times)
→半導体業界統合のもう1つの兆し、Cypress Semiconductor社が、$4 billion相当のall-stock取引でSpansionとの合併を期待の旨。該取引で年間売上げ$2 billionの拡大embedded半導体ベンダーが作り出され、主にNORフラッシュおよびSRAMメモリで半分、残りがmicrocontrollers(MCUs)およびアナログpartsに分かれる旨。T.J. Rodgers氏が、Cypressの名前で合併する会社のchief executiveとして残る旨。Cypressは2社では僅かに小さい方であるが、利益を一貫して出している旨。
◇UPDATE 2-Chipmaker Cypress to buy peer Spansion for $1.59 bln (12月1日付け Reuters)
◇Cypress Set to Acquire Chipmaker Spansion for $1.6 Billion-Cypress, Spansion are merging in $1.6B stock-swap deal (12月2日付け Bloomberg)
→Cypress Semiconductorが、約$1.6 billion相当の株式交換でSpansionを買収する運びにあり、該取引は2015年前半に完了見込み、年間売上げ$2 billionの会社が生ずる旨。CypressはSRAMsに特化、SpansionはNORフラッシュメモリデバイスを作っている旨。
◇To grow in IoT, Cypress and Spansion plan $US4 billion chip merger-After merging, Cypress and Spansion will target the growing IoT market(12月2日付け CIO Magazine)
◇Cypress Set to Acquire Chipmaker Spansion for $1.6 Billion (12月2日付け Bloomberg Businessweek)
◇Cypress and Spansion to merge (12月2日付け DIGITIMES)
◇Cypress and Spansion to merge in $4B all-stock transaction (12月3日付け ELECTROIQ)
【インテルのwearables/IoT市場攻勢】
インテルが、新しいGoogle Glass用プロセッサを従来のTI品に置き換えて供給する一方、イタリアのファッションブランドと連携して、wearablesおよびInternet of Things(IoT)市場への積極的参入を図っている。
◇Google Glass Deal Thrusts Intel Deeper Into Wearable Tech-Intel will power next generation of Google Glass (11月30日付け The Wall Street Journal)
→Intelが、Texas Instruments半導体を置き換えて新しいGoogle Glassモデル用プロセッサを供給、来年wearable機器への攻勢を始める旨。Intelは、病院および製造など仕事場用途に大方重点化する旨。Googleは、仕事場環境でのGlassに向けて開発者と協働している旨。
◇Intel X86 Eyes Google Glass-Analysts skeptical of smartglasses (12月1日付け EE Times)
→Googleのsmart glassesは現在、Texas Instruments製ARM-ベースSoC、Omapで動いているが、今後のiterations版はIntelのx86プロセッサを用いる可能性の旨。GoogleおよびIntelはx86半導体の使用についてコメントしていないが、IntelはwearablesおよびInternet of Things(IoT)市場を積極的に狙っている旨。
◇Intel Picks Smartglass Partner -Oakley, Ray Ban may get an x86 (12月4日付け EE Times)
→Intelが、イタリアのファッションデザインのLuxottica(Ray Ban, Oakley, およびPersolブランドをもち、ChanelおよびTiffanyとライセンス関係)と、high-end smart eyewearを開発するmulti-year R&D連携を発表の旨。Intelは、次世代Google Glassで半導体を入れる予定、LuxotticaもGoogle Glassパートナーである旨。最初のIntel-Luxottica製品は、来年に予定の旨。
【富士通のファウンドリー事業】
富士通セミコンダクターが3つの新会社を設立、ファウンドリー事業への取り組みを以下の通り発表している。台湾のUMC、米国のON Semiconductorが、minority株主になる運びとなっている。
◇富士通セミコンダクター、半導体ファウンドリーの新会社を設立し事業開始 (12月2日付け 日刊工業)
→富士通セミコンダクターが1日、半導体受託生産(ファウンドリー)新会社の設立手続きが完了、事業を始めたと発表、親会社の富士通とともに7月公表した半導体事業再編の一環の旨。富士通の三重工場の300-mmウェーハ製造ラインは「三重富士通セミコンダクター」(横浜市港北区)、会津若松工場の150-mmウェーハ製造ラインは「会津富士通セミコンダクターウェハーソリューション」(福島県会津若松市)、同工場の200-mmウェーハ製造ラインは「会津富士通セミコンダクターマニュファクチャリング」(同)となる旨。
◇Fujitsu newly-formed foundry companies start operations-Fujitsu fabs become foundries; UMC, ON Semi to invest in spinoffs (12月4日付け DIGITIMES)
→Fujitsu semiconductorの新たに設立したファウンドリー会社が操業を開始の旨。これまでの富士通の三重県の300mm(12-inch)ウェーハfabがMie Fujitsu Semiconductorとなって、12-inchウェーハファウンドリーおよびウェーハtestサービスを行う旨。Mie FujitsuにはUMCが出資、2015年3月末までにminority株主になる旨。福島県の富士通のfabsはAizu Fujitsu Semiconductorと名を改め、2つの部門、Aizu Fujitsu Semiconductor Wafer ManufacturingおよびAizu Fujitsu Semiconductor Wafer Solutionから構成、それぞれ8-および6-inchファウンドリーサービスを行う旨。
ON Semiconductorが、2015年3月末までにAizu Fujitsu Semiconductor Wafer Manufacturingのminority株主になる旨。
【中国後工程への投資】
米国のMicron Technologyおよびインテルがそれぞれ、中国にもつ後工程拠点への投資を以下の通り発表している。米中間の駆け引きが目立っている中での戦略的な取り組みの1つに映ってくる。
◇Micron, PTI partner for assembly and packaging services in China (12月3日付け DIGITIMES)
→Micron TechnologyとPowertech Technology(PTI)が、Xian(西安), Chinaに組立&実装サービスに向けた長期戦略的関係の基礎を形作る一連の合意に入った旨。
◇Micron Tech invests $250m in Xi'an zone-Micron commits $250M to China plant in Powertech tie-up (12月4日付け China Daily (Beijing))
→Micron Technologyが、Xian(西安), Chinaの同社IC組立&テストoperations拡大に$250 millionを投資、Powertech Technologyが該拠点展開でMicronと連携、該連携推進に$70 millionの出資を約している旨。
MicronのXian High-tech Industrial Development Zoneにある同社拠点への総投資が$1 billion以上の旨。
◇Intel to invest $1.6 billion in China factory (12月4日付け Reuters)
→Intel社が、中国西部・成都市(Chengdu)の同社工場アップグレードに$1.6 billionを投資、中国に最先端の半導体テスト技術を持ち込み、現地地域政府から建設に向けた支援を得る旨。
≪グローバル雑学王−335≫
地理・地名・地図の謎を読み解いて世界史の展開を、
『知れば知るほど面白い 地理・地名・地図から読み解く世界史』
(宮崎 正勝 著:じっぴコンパクト新書 198) …2014年7月7日 初版第1刷発行
より追ってきたが、いよいよ最終章、帝国主義の世の中になり、2つの世界大戦を経て、現代に至る内容展開となる。3回に分けて、1回目の今回は、帝国主義、日清戦争、そして日露戦争を見ていく。日本が列強の一角に躍り出ていく推移に改めて注目している。
第6章 帝国主義と二つの世界大戦、そして現代
34 「自由」という名の国がある、って本当?
……→帝国主義
◇地名の謎34:自由のために戦い続ける国
・国名に、ズバリ「自由(Liberty)」という意味を持つ国
→1847年、いち早く独立、アフリカ西部のリベリア共和国
→首都、モンロビアは、アメリカ合衆国移民協会が解放奴隷にために建設した都市
→モンロビアの名は、時のアメリカ大統領、モンローに因む
◆世界史の展開34:
〓第二次産業革命とアフリカ分割
・新たな段階の産業構造の変化…第二次産業革命
→石油と電力を新たな動力とし、重化学工業を中心
・資源の供給、製品の市場からくる奪い合い
→アジア、アフリカが植民地化の主な対象となり、欧米各国が奪い合いを繰り広げる「帝国主義」の時代へ
・アフリカでは、1880年始めに、列強間で植民地を巡る争いが過熱
→1884年から翌年にかけてベルリン会議開催
→先占権の確認…「早い者勝ち」
・エチオピアとリベリアが独立を維持、他の国々は20年の間に欧米列強の植民地に…アフリカ分割
〓列強の矛先はアジア、太平洋地域にも向けられた
・1877年、ヴィクトリア女王を皇帝とするインド帝国が成立、イギリスの支配下に
・大国、清さえも、アヘン戦争、アロー戦争でイギリスに敗北、香港島や九竜半島南部の割譲へ
・メラネシアの一部の島々が、「ビスマルク諸島」と名づけられることに…ドイツ宰相の名
・アメリカは、フィリピン、グアムを領有。同時期にハワイも併合
→ハワイ王国最後の女王、リリウオカラニが作詞・作曲した別離の歌『アロハ=オエ』…王位を追われた悲しみを歌に
35 仏の名前がつけられた地名とは?
……→日清戦争
◇地名の謎35:仏の功徳にあやかって名づけられた地名?
・仏教の仏の名を語源に持つ地名
→「満州」…「マンジュシュリ」仏。日本では文殊菩薩
→智慧(知恵)をつかさどる仏。高速増殖炉「もんじゅ」にもその名
・「満州」とは、中国東北部に住んでいた満州(女真・女直)族が、自らの種族や国名を表わす際に、文殊菩薩にあやかって命名したもの
◆世界史の展開35:
〓日清戦争の勃発
・中国東北部の満州族が建国した清は、17世紀に中国を支配、長きにわたる大国に
→しかし、19世紀になると、欧米列強により国力が奪われていく
・朝鮮半島を巡る対立から、1894年、日清戦争に
→翌年、下関で、清との間に講和条約(下関条約)締結
・戦争で勝利を収めた日本
→大陸進出の足掛かり、しかし、新たな火種
→日本とロシアの間に新たな対立
〓半植民地化される「眠れる獅子」
・「眠れる獅子」などと呼ばれ、潜在能力が恐れられていた清
→日清戦争敗北で、欧米列強は争うようにして中国分割に
・列強それぞれが築く勢力圏
→ドイツ…山東地方
イギリス…長江流域と広東東部
フランス…広東西部と広西地方
日本…福建地方
・清で広がる排外運動
→宗教結社、義和団事件
→清国も同調、各国に宣戦布告
・これに敗れた清は、北京議定書に調印
→ますます進んでいく半植民地化
36 日露戦争の講和条約が結ばれた「ポーツマス」って、どこにあるの?
……→日露戦争
◇地名の謎36:意外にたくさんある「ポーツマス」
・日露戦争の講和条約はポーツマスで締結…「ポーツマス条約」
→この講和会議を調停したのが、アメリカ大統領、ルーズベルト
→ニューハンプシャー州のポーツマスにて開催
・植民地時代、本国イギリスの「ハンプシャー州ポーツマス」の名にあやかってつけられた「ニューハンプシャー州ポーツマス」
◆世界史の展開36:
〓日露戦争の勃発
・ロシアの南下政策と利害が対立したのは、イギリスも日本と同じ
→1902年、日英同盟
・日本は、朝鮮に進出するロシアと開戦。1904年、日露戦争の幕が切って落とされた
・日本政府は伝手をたどり、アメリカ大統領、ルーズベルトに仲介を依頼。
戦況が有利な段階での講和を模索
〓ポーツマス条約とその影響
・1905年、ポーツマス条約が成立
→ルーズベルト大統領は、ノーベル平和賞を受賞
・列強の対立の焦点は、「ヨーロッパの火薬庫」、バルカン半島に
→ロシアの汎スラブ主義とドイツ・オーストリアの汎ゲルマン主義の対立場
・日本は、1910年、政治的に不安定な韓国を併合
・日本が、欧米列強の一角をなすロシアに勝利したことは、世界史に大きな影響
・1911年、現実に対する対応力を失った清で辛亥革命
→中華民国が建国