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Samsung、HP、他に見る、事業環境激変を受けたそれぞれの動き

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モバイル機器の活況、そして新興市場での低コスト化に向けた地場勢力の伸びなど、パソコンそして半導体業界の景観が激変して、大手各社が新たな事業戦略の対応を迫られている。中国地場のスマートフォンメーカーに押されたSamsungは、利益を支える半導体に向けて最大規模の工場建設に踏み切ると発表する一方、Hewlett-Packard(HP)は、パソコンと企業向けハードウェア/サービスを分離して、さらに再構築を加えるとしている。利益確保、規模の拡大を目指す各社それぞれの対応が相次いでいる。

≪それぞれの事業戦略対応≫

Samsungの7−9月期業績見通しが出され、以下の通り売上高、利益ともに大幅な減少となっている。市場の予想通りではあるが、半導体の健闘で最悪のシナリオは免れたという言い方も見られている。

◇Samsung Profit Plunge Seen Prompting New Businesses-Samsung looks to chips for revival as smartphone sales stall (10月7日付け Bloomberg)
→Samsung Electronicsの第三四半期販売高が前年同期比20%減、operating profitが同60%減の$3.8 billion。

◇サムスン電子、最悪は回避…7−9月期の営業利益4兆1000億ウォン (10月7日付け 韓国・中央日報)
→サムスン電子の7−9月期の営業実績が、ひとまず最悪水準を回避した旨。
1四半期の営業利益が3兆ウォン台まで転落するという市場の予測とは違い、半導体部門の営業好調のおかげで4兆ウォンラインを守った旨。

◇韓国サムスン、6割減益…スマホ競争激化で (10月7日付け YOMIURI ONLINE)
→韓国サムスン電子が7日、2014年7〜9月期連結決算の見通しを発表、売上高が前年同期比20.5%減の47兆ウォン、営業利益が同59.7%減の4兆1000億ウォン(約4200億円)の大幅減益、減益は4四半期連続、四半期単位の営業利益が5兆ウォンを下回るのは、2011年10〜12月期以来、約3年ぶりの旨。

この見通しに先手を打つように、Samsungは、韓国内に新たな半導体工場建設を発表、約1兆6千億円に上る巨額投資としている。スマートフォンの減速をこのところは手堅い半導体メモリで大きく補う狙いの取り組みと映る。

◇UPDATE 3-Samsung Electronics makes $14.7 bln bet with new S.Korean chip plant-Samsung budgets $14.7B for a new wafer fab in Korea (10月6日付け Reuters)
→Samsung Electronicsが、Pyeongtaek, South Korea(京畿道平沢)に新しいウェーハfab拠点を建設&装備、2017年後半に完成予定の旨。該工場に$14.7 billionを予算化、該新fabがロジックあるいはメモリ半導体いずれを作るかは後日決める旨。

◇サムスン、韓国に半導体新工場、投資額1.6兆円 (10月6日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子が6日、ソウル近郊の京畿道平沢(ピョンテク)市に半導体の新工場を造ると発表、2015年前半に着工、2017年後半に稼働させる旨。投資額は15兆6000億ウォン(約1兆6千億円)にのぼる旨。サムスンは5月に中国で新工場を稼働させたばかりだが、半導体メモリの需要拡大が続くとみて積極投資を続ける旨。サムスン電子は稼ぎ頭のスマートフォンの販売が減速、4〜6月期の連結決算が9年ぶりの減収減益に、世界シェア首位の半導体メモリの収益力を高めることで補う狙いもありそうな旨。

◇Samsung to invest $14.7B in new semiconductor fab (10月7日付け ELECTROIQ)

◇Samsung plans giant chip plant (10月7日付け Korea JoongAng Daily)

韓国の市場からも、Samsungはもっと積極的に将来の成長領域を探究する時として、もっと儲かる半導体およびsmart carsおよびsmart homesなどWeb-controlled応用など求める声が見られている。

パソコンの鈍化に苦しむHewlett-Packard(HP)は、事業分離と追加人員削減を以下の通り打ち出している。

◇Silicon Valley giant Hewlett-Packard to split in two: WSJ (10月5日付け Reuters)

◇HP Splits, Adds 5,000 Layoffs-Muted response as company cut in half (10月6日付け EE Times)

◇HP adds 5,000 more layoffs (10月7日付け EE Times India)

◇米HP、PCとプリンタ分離、業界再編の引き金に (10月7日付け 日経 電子版)
→米IT大手、ヒューレット・パッカード(HP)が6日、パソコン(PC)とプリンタ事業を分離する計画を発表、両事業は売上高のほぼ半分を占める主力部門だが、競争激化で事業構造の抜本的な見直しが必要と判断した旨。HPの戦略転換は新たな業界再編につながる可能性がある旨。PC・プリンタ事業会社の社名は「HP」で、現在のロゴを継承、サーバなど企業向けハードウエアとITサービスが主体となる会社の社名は「ヒューレット・パッカード(HP)エンタープライズ」となる旨。

◇米HP、経営再建へ5000人追加削減 (10月7日付け 日経 電子版)
→米ヒューレット・パッカード(HP)が6日、経営再建の一環として進めている人員削減で、新たに5000人を追加することを明らかにした旨。5月にも1万6千人を追加していたが、「新たな削減余地が見つかった」としている旨。同日発表したパソコンとプリンタ事業の分離計画の影響は含まれておらず、今後削減規模がさらに膨らむ可能性がある旨。

台湾では、UMCが、中国での300-mm半導体合弁生産に乗り出している。台湾政府の認可が必要で、最先端はもっていけない制約がある。

◇UMC Joins $6.2B China Foundry-Xiamen fab will make 55, 40 nm chips (10月9日付け EE Times)
→台湾のUnited Microelectronics Corp.(UMC)が、Xiamen, China(福建省厦門)の新しいファウンドリーに向こう5年にわたり約$1.35 billionを出資、該ファウンドリーは、55-nmおよび40-nmプロセス技術により12-インチウェーハ50,000枚/月の生産立ち上げを目指す総投資額$6.2 billionの合弁の旨。該ファウンドリーの2つの他のパートナーは、Xiamen Municipal People's GovernmentおよびFujian Electronics and Information Groupの旨。UMCは、台湾政府の承認を待って2015年に分割で出資を始める予定の旨。

◇UMC announce joint venture for a 12″ fab in China (10月9日付け ELECTROIQ)

◇中国で半導体合弁生産、台湾UMC、1450億円出資 (10月10日付け 日経)
→UMC(聯華電子)が9日、13億5000万ドル(約1450億円)を出資、中国福建省アモイ市で2016年10〜12月期に半導体の合弁生産を始めると発表、福建省電子信息集団、アモイ市政府と合弁会社を設け、総事業費62億ドルの新工場を稼働する旨。生産技術も供与、中国で急拡大しているスマートフォンや自動車向けの需要を取り込む旨。台湾の半導体メーカーが中国で300mmウェーハを使い生産に乗り出すのは初めての旨。台湾当局は技術提供を1世代前までに規制しており、最先端の28-nm技術は供与できない旨。

TSMCは、UMCの轍には乗らないと、以下のコメントである。

◇TSMC says no plans to follow UMC's lead on China investment (10月9日付け Focus Taiwan News)
→TSMCが木曜9日、UMCの中国での12-インチウェーハ工場設立に追随する計画はない旨。同社は台湾ですでに包括的な産業インフラを構築、先端で競争力のあるoperation効率があって海峡の向こうに工場を建設する必要がない旨。

携帯電話市場をリードしたノキアも、インドの世界最大工場を閉鎖するに至る市場の現実である。

◇Nokia's Largest Plant to Shut Down in India (10月8日付け EE Times)
→インド南部の街、ChennaiにあるNokiaの世界最大cellular phone製造工場の1つ(Sriperumbudur拠点)が、携帯電話の生産を止め、11月1日以降閉鎖する旨。ただ1つの顧客、Microsoftが、subcontract合意を終了させる旨。

このような市場の激変ぶりを映し出してか、半導体業界M&Aが増加していると、以下の記事2点である。コスト増に対応する規模拡大の必然の流れが見えている。

◇VC semi funding grows 7%; M&A semi funding grows 12% -GSA: VC, M&A funding for chip firms rises in 2014 (10月7日付け Electronics Weekly (U.K.))
→GSA発。今年の半導体業界に入るventure capital資金が、昨年より多くなっているが、半導体業界M&Aの伸びも早くなっている旨。ここ12ヶ月で半導体出資取引が38件、$573.7M、それ以前の12ヶ月の$534.2Mから7.4%増、しかしながら、ここ12ヶ月のM&A取引が56件、総額約$19.0Bnの規模、それ以前の12ヶ月より12.4%増の旨。

◇Chip Options Sought as Costs Rise-SOI gets upgrade amid consolidation-Analyst: Rising costs in making chips drives M&As (10月8日付け EE Times)
→1)IEEE SOI-3D-Subthreshold Microelectronics Technology Unified Conference(IEEE S3S)(BURLINGAME, Calif.)にて、Morgan Stanleyの半導体投資banking、グローバルhead、Mark Edelstone氏基調講演。今年これまでに半導体メーカーの買収取引が23件、過去2年を足した以上の旨。コスト増大および半導体製造complexityから、半導体M&Aの新記録の年および代替技術の探求が焚きつけられている旨。
 2)Morgan StanleyのMark Edelstone氏。半導体メーカーが、微細化でのコスト増大に対応、規模拡大に向けて統合している旨。この流れは続き、向こう数年M&Aの景観が非常に立て込んでくる旨。ゲート当たりコストが16/14-nm FinFET世代で上昇、業界の力学をかなりダイナミックに変える旨。


≪市場実態PickUp≫

【2014年ノーベル物理学賞】

今年のノーベル物理学賞は、日本から、そして我々の身近な半導体そして応用分野から選ばれて、本当に明るく弾むものを感じている。発表の直前に、受賞者の1人、中村修二氏の韓国紙でのインタビュー記事が見られている。

◇'Patent holders should be respected' -LED pioneer touts benefits of patent protection (10月5日付け The Korea Times (Seoul))
→Nichiaでlight-emitting diode(LED)技術を開発、後でLED売上げからの利益配分で同社を成功裏に訴えた中村修二氏インタビュー。発明者はその努力に対して補償されるべきである旨。今日誰もが特許の重要性を話しており、発明者が適確に補償されるときだけ、技術革新が可能になる旨。

発表を受けた各紙の反応、表わし方である。

◇Blue LED Inventors Win Nobel Prize-$1.1 million shared among three Japanese researchers (10月7日付け EE Times)
→今年のノーベル物理学賞について。青色light-emitting diode(LED)を発明、今日の白色LEDへの道を開いて、白熱電球および蛍光灯の両方に替わってきている旨。

◇Soraa founder wins Nobel Prize in physics (10月7日付け ELECTROIQ)
→GaN on GaN LED技術を開発するSoraa(Fremont, CA)が本日発表、同社foundersの一人、Dr. Shuji Nakamuraが、2014年ノーベル物理学賞を受賞の旨。

◇ノーベル賞、赤崎・天野・中村氏、青色LEDを発明、物理学賞、日本の3人、照明など広く応用 (10月8日付け 日経)
→スウェーデン王立科学アカデミーが7日、2014年のノーベル物理学賞を赤崎勇・名城大学教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大学教授に授与すると発表、少ない電力で明るく青色に光る発光ダイオード(LED)の発明と実用化に貢献した業績が認められた旨。照明やディスプレイなどに広く使われており、世界の人々の生活を変え、新しい産業創出につながったことが高く評価された旨。

◇LED Nobel Prize invention leads to $17.7B market and 250,000+ jobs (10月10日付け ELECTROIQ)
→IHS Technologyによる市場規模およびjobs創出の見方。

今回の受賞関係論説記事について、注目した2点である。

○【社説】19対0、韓日ノーベル科学賞の数が雄弁に語るもの (10月9日付け 韓国・中央日報)

…日本出身の科学者3人が今年、ノーベル物理学賞を受けた。・・・今年のノーベル物理学賞は、これまでにない新しい基礎固有技術を開発した基礎科学者ではなく、人類に有益な技術開発に成功した応用科学者に渡ったという点で意味が大きい。今後、基礎科学をこえて多様な応用科学分野でもノーベル賞を期待できるようになったためだ。

今回の受賞で日本出身のノーベル科学賞受賞者は19人、日本国籍者は17人になった。1人のノーベル科学賞の受賞者も輩出できない韓国の立場としては、うらやましいばかりだ。受賞者の数字を比較して、スポーツ競技スコアのように「19対0」と表現した用語もインターネットなどで出回っている。・・・

政府は焦燥感を抱かずに、冷静に韓国の未来にむけた科学技術研究の青写真を広げなければならない。ノーベル科学賞の受賞は、一国の科学技術水準はもちろん、これに対する国民の認識水準、そして未来を開く創造的雰囲気にかかっていることを忘れてはならない。

○“エレクトロニクス賞”に近づくノーベル物理学賞 (10月8日付け 日経テクノロジーonline)

…・・・・・ただし、ノーベル物理学賞という賞の位置付けからすると、今回の賞はいくつかの点でこれまでの“伝統”を破っている。一つは、“新理論がない”点だ。これまでノーベル物理学賞は、たとえ実験的成果に対する受賞であっても、背景となる物理学的知見に新しい内容を伴うケースがほとんどだった。

2000年代以降は、応用に直結する技術の受賞が続々純粋な理論物理学の研究のはずが、実は膨大な予算と装置に頼った巨大科学に依存する状態になっている。スウェーデン王立科学アカデミーが、“理論”にこだわらなくなっている背景の1つかもしれない。

【女性進出】

安倍内閣の取り組みの1つに女性の活躍推進があるが、インドでも同様のトーンの次の記事が見られている。

◇Minding gender gap: Women as untapped resources for STEM (10月9日付け EE Times India)
→女性のelectronics job市場でのpositions進出が広まっているが、業界には依然STEM(science, technology, engineering and mathematics) jobsでの女性の軽視が見られ、多くはキャリア進展の可能性が気づかれていない旨。STEMconnector and Tata Consultancy Servicesがリリースしたwhite paperによると、インドでは女性はIT workforceの28%に留まり、他では、STEM分野での女性が米国で25%以下、英国で僅か13%となっている旨。

女性の進出と言えば、米AMDのトップ人事発表に各紙の驚きに似たトーンが以下の通り広がっている。

◇Lisa Su Named CEO at AMD-Veteran chip exec cracks glass ceiling-Female CEOs still scarce in tech (10月8日付け EE Times)

◇AMD names Lisa Su to replace Rory Read as CEO, continue diversification strategy-Lisa Su becomes CEO of AMD (10月8日付け PCWorld)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、Lisa Su氏をCEOに指名、Rory Read氏から引き継ぐ旨。

◇Chipmaker AMD taps Lisa Su as its first female CEO (10月8日付け VentureBeat)

◇米AMD、CEO交代、同社初の女性トップ (10月9日付け 日経 電子版)
→アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が8日、同日付でロリー・リード社長兼最高経営責任者(CEO、52才)が退任、後任に最高執行責任者(COO)、リサ・スー氏(44才)が就任したと発表、同社では初の女性CEOとなる旨。

◇AMD's new CEO Lisa Su says her company won't walk in Intel's shadow (interview) (10月9日付け VentureBeat)

◇AMD appoints Dr. Lisa Su as President and CEO (10月10日付け ELECTROIQ)

中には、先行きの業績を不安視する向きも見られている。

◇AMD's positive CEO news clouded by timing (10月8日付け Market Watch)
→AMDの水曜8日の新CEO発表、この動きは次期四半期の悪い知らせの前兆という投資家筋の落ち着かない見方も。

【熾烈な競合】

プロセッサでのインテルと上記AMDの競合を長らく目にしたが、今やTSMCとSamsungのFinFET技術を巡る優位性云々が、以下の通り辛辣な中身で表わされている。実力は、結果の製品が物語るところである。

◇TSMC Overtakes Samsung in FinFET-Despite rivalry, both lag behind Intel-Analysts: TSMC makes strides in FinFETs (10月6日付け EE Times)
→業界アナリストの見方。グローバルファウンドリー事業の半分以上を占めているTSMCが、今年Samsungが引っ張っていたFinFET商用生産化競争でSamsungを追い越している旨。両社ともFinFET半導体を社内で作っているIntelには後れている旨。「最近の開発が示すところ、TSMCは、[16/14nm] FinFET製造技術開発でSamsungをリードしている」(Susquehanna Financialアナリスト、Mehdi Hosseini氏、10月1日レポート)旨。「TSMCのFinFET装置pull-inが2014年第四四半期始めの模様、これはまた量産が2015年第二四半期となって、1四半期スケジュール前倒し、2015年前半にもサプライズの可能性」(Fubon Securities・台北のアナリスト、Carlos Peng氏)の旨。

◇Hard for Samsung to compete with TSMC for Apple A9 processor orders, say Taiwan makers (10月7日付け DIGITIMES)
→台湾の半導体業界筋発。Samsung Electronicsが2015年にAppleからA9プロセッサの14-nm FinFETファウンドリー受注を得ようと低い見積もり提示を試みているが、同社14-nm FinFETプロセスの歩留り問題から受注獲得は困難な可能性の旨。一方、iPhone 6機器用AppleのA8プロセッサ生産で現在20-nmプロセスを用いているTSMCは、A9プロセッサについても受注獲得に自信をもっている旨。

【CEATEC JAPAN 2014】

恒例のCEATEC JAPAN 2014(10月7日〜11日:幕張メッセ)関連記事に注目、概要および海外の業界各紙の取り上げ方、以下の通りである。

◇ウエアラブルや次世代カーに的、IT見本市7日開幕 -「CEATECジャパン」 (10月7日付け 日経 電子版)
→国内最大の家電・ITの国際見本市「CEATECジャパン」が7日、幕張メッセ(千葉市)で開幕、「ポストスマートフォン」をにらんだ技術展示が多く、東芝やNTTドコモは最新のウエアラブル機器を出展する旨。パイオニアやデンソーなどの次世代カー向けの先端技術も注目されそうな旨。547社・団体(海外からは24カ国・地域の150社・団体)が先端技術や新製品を披露、会期中に昨年より約1万人増の15万人の来場者を見込む旨。

◇Sharp's LCD-challenging MEMS display coming in 2015-The new technology has lower power consumption and better colors than LCD-Sharp to offer low-power, MEMS-based displays in 2015 (10月6日付け Techworld (U.K.)/IDG News Service)
→シャープが、microelectromechanical system(MEMS)デバイスベースのディスプレイを披露の運び、Qualcommの子会社、Pixtronixとのコラボで2015年に向けて開発している旨。該MEMS-ベースディスプレイは、LCD画面よりも消費電力が少ない一方、より深く、豊かな色彩が得られる旨。

◇TDK shows its first MRAM prototype, a competitor for flash memory-The memory chip technology is seen as a promising replacement for flash memory one day-TDK demos a prototype STT-MRAM device (10月8日付け Techworld (U.K.)/IDG News Service)
→TDKが今回の場で、spin-transfer torque magnetoresistive random-access memory(STT-MRAM)デバイスの試作品を展示、数年の開発を経て、STT-MRAMsはいつかDRAMs, static RAMsおよびflash memoryデバイスの代替となる可能性の旨。

◇Rohm shows off the Swiss army knife of sensors-Rohm put 8 sensors on a small circuit board (10月8日付け Computerworld/IDG News Service)
→小さなボードにどれだけの半導体を統合できるかを披露、Rohmが、約3cm x 1cmの寸法の回路ボード上に8個の異なるセンサ、Bluetooth Low Energy(BLE)通信半導体およびmicrocontroller(MCU)を詰め込んだprototypeを開発、量産購入では該ボードコストが$1と安くなる可能性の旨。

【台湾の半導体メーカー】

自らの経験に照らして、ARMより、台湾の半導体業界についての見方が、次のように表わされている。

◇Taiwan chipmakers have potential 'money can't buy' (10月8日付け Want ChinaTimes)
→中国語Commercial Times発。英国の半導体&ソフトウェア設計メーカー、ARMのCPU group general manager、Noel Hurley氏。政府が支援する米国メーカーに対抗、巨額の資本に辿り着いていく自社の経験を引用、台湾の半導体メーカーが示している創造性と革新は、金では買えない可能性がある旨。Hurley氏は、台湾メーカーの中で特に優れているとしてTSMC、ASE KaohsiungおよびMediaTekを挙げている旨。

呼応するように、モバイル機器の活況が引っ張る台湾メーカーの最高が居並ぶ業績発表が行われている。

◇TSMC September revenues increase (10月9日付け DIGITIMES)
→TSMCの2014年9月連結売上げがNT$74.846 billion($2.5 billion)、前月比8.04%増、前年同月比35.14%増。1-9月売上げ累計がNT$540.285 billion($18.05 billion)、前年同期比19.74%増。

◇ASE reports strong sales for September (10月9日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)の9月売上げがNT$25.65 billion($843.03 million)と史上最高に達し、前月比22.5%増、前年同月比25.8%増。

◇TSMC Q3 sales hit new high (10月9日付け Focus Taiwan News)
→TSMCの第三四半期販売高がNT$209.05 billion($6.88 billion)と最高を記録、前四半期比14.2%増、以前の同社ガイド、NT$206 billion〜NT$209 billionを越えている旨。


≪グローバル雑学王−327≫

わずか半世紀でアジア・ヨーロッパの広大な領土を手中に入れたモンゴル帝国の躍進ぶりと崩壊に至る時代の世界について、

 『知れば知るほど面白い 地理・地名・地図から読み解く世界史』
  (宮崎 正勝 著:じっぴコンパクト新書 198) …2014年7月7日 初版第1刷発行

より、2回にわたって世界各地の地名、そして地図の謎をひも解いていく。
まずは、十字軍の遠征、モンゴル帝国の躍進そして元から明、中国王朝の変遷と、見ていくことにする。


第3章 モンゴル帝国と移り変わるアジア・ヨーロッパ

15 多くの人が奪い合った「平和の町」って、どこにある?
 ……→十字軍の遠征

◇地名の謎15:世界中の人々が希求してきた「平和」
・世界各地に「平和」に由来する地名
 →日本の「平安京」
 →「太平洋」…「平穏な海」の意味
 →アメリカに大小合わせて30から40の「セーレム(Salem)」という名の町
  …ヘブライ語の「平和」がその語源
・「イェルサレム」…ヘブライ語のyeru(町)とshalayim(平和)、「平和の町」という意味
 →ユダヤ教徒にとっては古代神殿のあった都
 →キリスト教徒にとってはキリストの殉教にゆかりのある地
 →イスラーム教徒にとってはムハンマドが天に昇った聖地

◆世界史の展開15:

〓イスラーム独立王朝の成立
・アッバース朝は、9世紀はじめ以後徐々に弱体化
 →内部からいくつかの独立した王朝が成立
  …ファーティマ朝
  …後ウマイヤ朝
 →アッバース朝と合わせて3人のカリフが併存する状態に
・遊牧トルコ人が傭兵として勢力拡大
 →1038年、セルジューク朝がアッバース朝を乗っ取る
 →アラブ人の時代が、中央アジア出身のトルコ人の時代に
 →小アジアに位置するビザンツ帝国への圧力
・時のローマ教皇、ウルバヌス二世は、聖地イェルサレム奪回を目的とした聖戦を呼びかけ
 →フランスの諸侯らを中心とする十字軍が結成
 →イェルサレムを占領、イェルサレム王国を建設

〓十字軍とイスラームの攻防
・イスラーム側では、1169年、サラディン(サラーフ=アッディーン)がアイユーブ朝を建国
 →イェルサレムの奪還に成功
・1270年の第七回までの十字軍は、聖地奪還に失敗
 →1212年には少年十字軍というものも組織
  →悲劇に見舞われるばかり、聖地奪還の目的は果たせず

16 「ハンバーグ」って、ドイツのハンブルグでできた料理なの?
 ……→モンゴル帝国の躍進

◇地図の謎16:ハンバーグはもともと馬肉料理だった?
・ドイツ・ハンブルグで流行していたタルタルステーキ
 →アメリカに伝わり、「ハンブルグ風ステーキ」の意味の「ハンバーグ」となった説が代表的
・もともとはモンゴル系部族のタタール人の遠征時の食料
 →乗りつぶした馬の肉からタルタルステーキ
・かつてモンゴル人は、ユーラシア大陸を席巻
 →痕跡が、さまざまなところに散見
  →運動会の時の「フレー、フレー」の声援…もともとはモンゴル軍のときの声

◆世界史の展開16:

〓ユーラシアを制覇するモンゴル帝国の誕生
・1206年、モンゴル系・トルコ系諸部族の君主、「ハン」の位に就いた「チンギス=ハン」(太祖)
 →トルコ系のホラズム朝を征服、モンゴル帝国の大発展の基礎を築く
 →英雄、チンギス=ハンの墓は、いまだにどこにあるのかわかっていない
  →モンゴルの習慣とも、盗掘を避けるためだったとも
・彼の跡は、三男オゴタイ(太宗)がハン位

〓空前の大帝国の出現
・オゴタイは、中国北部を攻め、金を滅亡させる
・チンギス=ハンの長男、ジュチの子、バトゥは、西へと進軍
 →ワールシュタット(リーグニッツ)の戦いでヨーロッパ軍は強力なモンゴル騎馬軍団の前にもろくも敗退
 →オゴタイ死去の報で兵を引き上げ、後にロシア方面にキプチャク=ハン国を創建
・四代目ハン、モンケの弟、フラグは、イラン・イラクの方面にイル=ハン国を創建
・モンゴル帝国は、チンギス=ハンの即位から半世紀程度で、西はロシア、西アジアから東は華北に至るまでの大帝国を築くことに成功

17 「薊」、「燕京」、「中都」、「大都」、「カンバリク」……。この都市の現在の名前は?
 ……→元から明、中国王朝の変遷

◇地名の謎17:コロコロと変わる中国の都市名
・中国の都市名の特徴の1つ …頻繁にその名称が変わる
 →洛陽 …「東京」、「東都」
 →南京 …「金陵邑(きんりょうゆう)」、「建業」、「建康」、「江寧府」
 →典型として北京 …「薊」(春秋時代)、「燕京」(燕の都)、
               「中都」(金の時代)、
               「大都」(モンゴル帝国[元])、
               「カンバリク」(モンゴル人の呼び名:「ハンの都」の意味)、
               「北京」(明の時代)、
               「北平(ペーピン)」(1920、30年代:首都が南京の頃)

◆世界史の展開17:

〓分裂するモンゴル帝国
・五代目ハンとして即位したフビライ(世祖)
 →国号を中国風の元に改め
 →イスラーム世界と中国世界の統合
・フビライ即位の時点で、すでに分裂、崩壊への道を歩み始めていた
 →チンギス=ハンの末子、トゥルイの系統に対して、オゴタイの系統に当たるハイドゥという人物が、反フビライ、反元の反乱を展開

〓崩壊するモンゴル帝国
・やがて、帝国の政治が混乱、14世紀には衰退の兆候
・紅巾の乱と呼ばれる民衆の反乱
 →反乱軍の中で力をつけた朱元璋が、1368年、明を建国
・明の三代皇帝、永楽帝の時に遷都、「北京」と称し、紫禁城を築城
・16世紀半ば頃、海賊たちの圧力(北虜南倭)を受け、政治は混乱
 →1644年、明は滅亡
・その後は、満州人(女真)が建国した国、清が、中国を統一
 →辮髪など、満州(女真)人の風習を強要する政策、20世紀まで存続

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