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アップル、中国を巡って、グローバル・インパクトの拍車

米アップルが来る9月9日に新製品発表会を開くことが明らかにされたが、その前からの世界各地での様々に関連する前哨戦が一層活発化している。次期iPhone 6の中身が早くも取り沙汰されるに留まらず、かくあっては鬼も笑えない来年2015年に向けたA9モバイルプロセッサの生産対応が取り上げられている。大型iPadそして「iWatch」と発表会の内容に世界が注目という情勢であるが、もう1つ、半導体・エレクトロニクスの自立化を目指す中国を巡ってのいろいろな切り口での動きが目覚ましくなってきている現時点である。

≪新製品そして市場の影響力≫

アップルの次期iPhone、iPhone 6を巡って、まずはDRAM価格上昇の読みである。統合が進んだDRAM業界の需給調整の先行き如何にかかるところである。

◇Samsung, Micron May See DRAM Price Lift as iPhone 6 Crunches Supply Chain-Apple's iPhone 6 is expected to boost DRAM prices, analyst says (8月25日付け Barron's /Tech Trader Daily blog)
→Cowen & Co.の半導体アナリスト、Timothy Arcuri氏。次期iPhoneの発表日が近づいて、その製造ラッシュが来月のDRAM価格を高める可能性の旨。
NANDフラッシュメモリのSanDiskとともに、Micron TechnologyおよびSamsung Electronicsがsupply chainのiPhone-関連逼迫から主に利益を得ると見る旨。

iPhone 6の中身をすっぱ抜く内容が以下の通り見られている。

◇Latest iPhone 6 leaks hint at M8 coprocessor, new power adapter -The iPhone 6 rumor mill: New co-processor, power adapter (8月25日付け Electronista)
→中国のrepair firm、GeekBarが、次期iPhone 6で用いられているというmotion co-processor, コード名"Phosphorus"の詳細を表わす図面をリリース、該半導体がM8と呼ばれている模様の旨。一方、Sina Weibo websiteは該iPhone用の新しいpower adapterという写真を掲載の旨。

来年、2015年のiPhoneモデル(現在はiPhone 6sの呼び名)について、TSMCでの'A9'モバイルプロセッサに向けた製造、量産化対応が早々取り沙汰されている。

◇Rumor: TSMC, Apple working on 16nm FinFET process for 'A9' chips (8月25日付け Apple Insider)
→月曜朝の中国語Economic Daily News発。TSMCが、AppleのA9製造をライバルの半導体メーカーから奪い取れるよう、同社の新しい16-nm FinFET製造プロセス展開を前倒ししている旨。

◇Forget the iPhone 6 - here’s the first big iPhone 6s rumor (8月25日付け BGR)
→Appleの新しいiPhone 6お披露目を9月9日の特別イベントとほんの2週間、中国語Economic Daily Newsが、TSMCが2015年第一四半期にAppleのA9モバイルプロセッサ量産開始と報じている旨。A9はAppleの2015 iPhoneモデル搭載予定で、現在はiPhone 6sと呼ばれている旨。それはまた、iPhone 6とともに、あるいは少し後にリリース予定のAppleの来る新5.5-インチiPhone phablet後継をたぶん動かす旨。

◇TSMC to start 16nm volume production in 1Q15, says report-Report: TSMC ramps up 16nm volume production for Apple chip orders (8月25日付け DIGITIMES)
→中国語Economic Daily News(EDN)発。TSMCが、AppleのA9プロセッサ需要に適合するよう、2015年第一四半期に月産ウェーハ50,000枚で16-nmプロセス量産を進める旨。TSMCは当初、2015年第二四半期での16-nm量産を始める計画でいたが、Samsung Electronicsのファウンドリー事業からの強いつばぜり合いに直面している旨。

こんどの発表会では、低落気味のタブレット市場を押し戻すべく、大型タブレットもなんらかの発表が行われるのではないかという以下の内容である。

◇Apple planning 12.9-inch iPad for 2015: Bloomberg (8月26日付け Reuters)

◇Apple Preps Jumbo iPad-Tablet could be laptop replacement for businesses (8月27日付け EE Times)
→Appleが、iPadの大型版を2015年リリースに向け準備しており、Bloomberg引用筋によると、該新iPad画面は対角12.9インチの旨。最近四半期では出荷が落ちているにも拘らず、同社はタブレット市場に依然強気である旨。
laptopsと同じ大きさの画面の該大型化iPadは、Appleがタブレットに新鮮な興味を起こさせる助けになる可能性の旨。

プロセッサのファウンドリー製造をTSMCにもっていかれているというSamsungが、DRAMの供給を再開、アップルとの関係が和解の方向と表わされている。

◇Samsung resumes supplying DRAM to Apple (8月27日付け Yonhap News)
→業界筋、水曜27日発。Samsung Electronics Co.が、来月リリース予定のiPhone 6に向けてライバルのApple社へのDRAM製品供給を再開、一連の特許係争を経て和解の兆候にある旨。

9月9日の発表会について、現時点の把握内容である。

◇アップルの腕時計型端末、新型アイフォーンと同時発表か、米報道 (8月28日付け 日経 電子版)
→米有力ITニュースサイト、「Re/Code(リコード)」、27日発。米アップルが9月9日に計画しているイベントで、腕時計型のウエアラブル端末、「iWatch」と新型スマートフォン「iPhone」を同時に発表する見通しの旨。

◇米アップル、9月9日に新製品発表会開催、新型iPhone発表か (8月29日付け 日経 電子版)
→米アップルが28日、9月9日に新製品発表会を開くことを明らかにした旨。
内容は明らかにしていないが、新型スマートフォン「iPhone」を発表するとみられている旨。腕時計型のウエアラブル端末、いわゆる「iWatch」を同時に発表するとの情報もある旨。

次期iPhoneに入っている半導体分析が続いている。

◇Apple working with NXP for pay-by-touch technology in new iPhone: FT-Report: New iPhones will have NXP's NFC chips (8月29日付け Reuters)
→Financial Times発。来月投入される予定の次世代iPhoneモデルは、NXPが供給するnear-field communication(NFC)半導体が入っており、該半導体はhandsetsにtouch-to-pay capabilityを加える旨。

アップルとともに、いろいろな切り口でのグローバルに取り込んだ動きが活発化している中国である。まずは、サーバシステム設計でIBMが中国ベンダーを支援するという意外な展開である。

◇IBM to help China's Inspur to design servers (8月22日付け Reuters)
→IBMが中国最大のサーバ・ベンダー、Inspur Internationalのサーバシステム設計を支援する、と両社が金曜22日発表、中国ハイテク市場で政治的に非難し合う抗争できているだけに意外な展開の旨。昨年以来Inspurは、IBMシステム置き換えで自社サーバを中国の国有会社に積極的に拡販する一方、米中関係はcyber-spyingの互いの疑念を巡って劇的に悪化している旨。

自前のoperating system(OS)の展開の動きである。

◇China Launching Its Own OS, Seriously?-China’s Next Impossible Dream (8月25日付け EE Times)
→新華社、日曜24日発。中国国産のoperating system(OS)が、今年10月に披露される旨。Chinese Academy of EngineeringのNi Guangnan氏の発言として、該OSはまずdesktop機器で見られ、その後スマートフォンなどモバイル機器に拡げられる旨。

中国と商慣行の懸案を抱える米Qualcommの修復を図るアプローチである。

◇Qualcomm seeks an end to antitrust probe (8月25日付け Ecns)
→Qualcomm社が、中国のpricing regulatorによる独占的慣行への調査を終えるよう求めており、pricing問題を改善、修正する意向を表明している旨。中国のNational Development and Reform Commission(NDRC:国家発展改革委員会)は週末にリリースしたwebsiteステートメントで、当局がDerek Aberle社長などQualcomm代表団と木曜21日会っている旨。

CMOSイメージセンサの米OmniVision Technologiesをはじめとして、まだ年内に中国からの買収攻勢が見込まれるという以下の内容である。

◇M&As in China's semiconductor industry to increase this year: expert (8月26日付け Want China Times)
→上海のChina Business News発。スマートフォンなどの機器用ディジタルimaging半導体の米国メーカー、OmniVision Technologiesが、中国投資家グループから約$1.7 billionでのbuyoutオファーを受けていると最近発表、今年の半導体業界ではいくつかの国際的なmergers and acquisitions(M&As)が起きると見込まれる旨。

半導体業界の自立化を図る中国政府が、国内IC設計メーカーに投資する備えが見られている。

◇China IC industry support fund looking for investment targets-Sources: China fund is ready to invest in IC design firms (8月26日付け DIGITIMES)
→業界筋発。IC業界の展開サポートに向けて中国政府が2014年に設けているCNY120 billion($19.5 billion)の投資ファンドが、投資先を探し始めている旨。Spreadtrum Communications, HiSilicon Technologies, Rockchip Electronics, Datang, Allwinner TechnologyおよびRDA Microelectronicsなど中国の半導体プレーヤーが、該ファンドからのequity出資を求めている旨。

中国の半導体テストメーカー、JCETが、Stats Chippac(シンガポール)の買収を検討する動きもある。

◇Chinese Semiconductor Companies Said to Weigh Bids for Stats (8月27日付け Bloomberg Businessweek)
→本件事情通発。中国の半導体テストメーカー、Jiangsu Changjiang Electronics Technology Co.およびTianshui Huatian Technology Co.が、シンガポールのStats Chippac Ltd.買収入札を検討している旨。

中国市場でのスマートフォンの早くて大きな流れが以下の通り表わされている。アップルへの反応ともども今後に注目するところである。

◇Forget iPhone: 4 Megatrends in China’s Smartphone Market-Tense techno-politics unfolds as Asian suppliers fight over China (8月27日付け EE Times)
→Touch Taiwan台湾タッチパネル&光学フィルム展(Touch Taiwan 2014:8月27-29日:台北世貿南港展覽館)が開幕、次の1つの問題に重点化したアジアのtechno-political tensionsを露出している旨。即ち、中国で急速に変化するスマートフォン市場を席巻しそうなディスプレイ技術を誰がもつか?4つの中国スマートフォン市場でのMegatrends:
 Megatrend 1: High-end spec at low cost
 Megatrend 2: China brands' specs exceed those of global brands (e.g., Apple, Samsung)
 Megatrend 3: Rise of ODM
 Megatrend 4: Brands of emerging markets rely on China ODMs


≪市場実態PickUp≫

【Fairchild再構築】

International Rectifier社のInfineon Technologies AGによる買収に続いて、Silicon Valley古参のFairchild Semiconductorが、工場閉鎖、人員削減など事業再構築を発表、パワー半導体業界に相続く動きとなっている。

◇Fairchild Semiconductor to close two facilities, cutting 15% of workforce (8月25日付け ELECTROIQ)
→高性能パワーおよびモバイル製品のサプライヤ、Fairchild Semiconductorが本日、社内5-インチウェーハfabラインを停止、6-インチウェーハfabラインを大きく削減、結果としてWest Jordan, UtahおよびPenang, Malaysiaの製造&組立拠点、並びにBucheon(京畿道富川市), South Koreaで残る5-インチウェーハfabラインを閉鎖する旨。この動きに続いて、Fairchildは、MaineおよびPennsylvaniaでの8-インチウェーハを用いて生産ラインを稼働、Bucheonでの6-インチ工場を維持する旨。

◇Biz Break: Silicon Valley workers spared in Fairchild Semiconductor layoffs (8月25日付け Interactive Intelligence)
→歴史で名高いSilicon Valley半導体メーカー、Fairchild Semiconductorが事業再構築を発表、しかしSan Jose本社は影響を受けない旨。

◇Fairchild to Close 2 Manufacturing Facilities (8月26日付け EE Times)

◇Fairchild Semiconductor to Close Two Facilities, Cutting 15% of Workforce-Chip Company to Reduce Wafer Fabrication Lines-Fairchild Semi to shutter plants, trim headcount by 15% (8月26日付け The Wall Street Journal)
→Fairchild Semiconductor Internationalが、UtahおよびMalaysiaのIC組立工場を韓国のある半導体製造ラインとともに閉鎖する計画を発表、この動きは現在従業員9,000人の同社世界workforceの15%削減を生ずる旨。同社は、8-インチウェーハを用いるMaineおよびPennsylvania拠点にさらに生産を移行、6-インチウェーハ使用を減らし、5-インチウェーハ生産は除く旨。

◇Fairchild to Close Plants, Cut Up to 15% of Workforce (8月26日付け Bloomberg Businessweek)

◇White Goods Consolidation Drives Power Deals(8月27日付け EE Times)
→パワー半導体業界に今週、重大な統合が目立つ2つの重要発表:
1)35年の猛烈な独立性を経て、International Rectifier社が、Infineon Technologies AGによる$3 billion事業継承買収に合意、一層強力なグローバルパワーgiantが作り出される旨。
Fairchild Semiconductor社が、capacityを削減、1999年のパワー事業
2)再起動の一環であった5-および6-インチ製造ラインのいくつかを閉鎖する旨。

【インテル関連】

インテルの中国および台湾のタブレットメーカー向けプロセッサ、そしてentry-level notebook CPUsの出荷の高まり具合が次の通りである。

◇Intel aims to ship 25 million tablet processors in 2H14-Sources: Intel to push tablet-processor shipments (8月26日付け DIGITIMES)
→Intelが、2014年後半にタブレットプロセッサ25 million個を出荷する積極的な動き、中国および台湾のタブレットメーカーへの供給を求めている旨。

◇Intel sees proportion for entry-level notebook CPUs rise to 60-70% (8月27日付け DIGITIMES)
→台湾のsupply chainメーカー発。notebookベンダーが一層安価なモデルを打ち上げており、Intelの見え方として、entry-level notebook CPUs, すなわち同社PentiumおよびCeleronシリーズの出荷比率が、2014年前半の50-60%から現在は60-70%に高まっている旨。

また、インテルからは、14-nmファウンドリー対応について2つの新技術が発表されている。

◇Intel releases new packaging, test technologies for 14nm foundries (8月27日付け ELECTROIQ)
→Intel Corporationが本日、コスト効率の高い先端packagingおよびテスト技術を必要とするIntel Custom Foundryの顧客に向けて、次の2つの新技術を発表の旨。
1)Embedded Multi-die Interconnect Bridge(EMIB)
 …14-nmファウンドリー顧客対応。TSV(through silicon via)を擁する高価なシリコンinterposerではなく、小さいシリコンbridge半導体をパッケージに組み込んで、必要なところだけ非常に高密度のdie-to-die connectionsを可能にしている旨。
2)革新的なHigh Density Modular Test(HDMT)プラットフォーム
 …ハードウェアおよびソフトウェアモジュールを合わせたIntelのテスト技術プラットフォーム。Intel Custom Foundryの顧客対応。

【IoT関連】

Internet of Things(IoT)関連の内容として、インテルの世界最小ワイヤレスモデム、筋電位を読み取る技術を使ったリストバンド、そして米NISTが打ち上げる世界的なスマートシティでのIoT運用の一大活動である。

◇Intel Shrinks 3G Chip for IoT (8月25日付け EE Times)
→Intelが、パワーアンプを統合、300mm2 footprintに当てはまる3G cellular modemを発表、このような半導体では最小の旨。Intelは、このXMM 6255をhealthcare monitorsおよび広告などの領域でのInternet of Things(IoT)用に目指している旨。

◇Intel reveals world’s smallest wireless modem for the Internet of things-Intel debuts tiny 3G modem for connected-device apps (8月26日付け VentureBeat)
→Intelが、Internet of Things(IoT)応用向けに設計された3G半導体、XMM 6255 stand-aloneワイヤレスmodemを発表、該半導体は、65-nm CMOSプロセスで作られている旨。

◇Google Glass & Lookalikes Find Niches-Gives medical field hands-free access (8月25日付け EE Times)
→米Thalmic Labs社のリストバンド「Myo」は、筋電位を読み取る技術を使い、十数の手の動きを正確に識別でき、head-mounted displaysもhands/voice freeにする旨。

◇US Launches Smart Cities Effort (8月26日付け EE Times)
→米National Institute of Standards and Technology(NIST)が、米国、欧州およびアジアを巡るsmart cities応用でのInternet of Things(IoT)運用を打ち上げ、該Smart America第2ラウンド相当にARM Holdings, Cisco Systems, Extreme Networks, IBM, Intel, Juniper Networks, およびQualcommがすでに参加調印の旨。

【出荷データ】

サーバの第二四半期販売高が1年余りぶりに前年同期比増加、パソコンは先進経済圏での出荷が伸びて本年見込まれる減少幅を抑制、そして今年はタブレットは減る一方、notebookは伸びるという以下それぞれの見方である。

◇Server sales have turned a corner, IDC says-IDC: Server sales looking up after lull (8月26日付け PCWorld/IDG News Service)
→IDC発。第二四半期のサーバ販売高が前年同期比2.5%増、5四半期連続の減少に歯止め、来る四半期も楽観論がある旨。

◇PC Outlook Improves, Although Shipments Are Still Expected to Fall by -3.7% in 2014, According to IDC (8月27日付け IDC)
→International Data Corporation(IDC) Worldwide Quarterly PC Tracker発。2014年の世界PC出荷が-3.7%と低下の見込み、以前の-6%という予測からは良くなっている旨。先進成熟地域でのPC出荷は2014年に5.6%増、2010年以降最高と見込まれる一方、新興途上市場は安定性、経済状況から僅かに下げられている旨。

◇Tablet market to decline in 2014 while notebook market expected to grow, says TrendForce (8月26日付け DIGITIMES)
→TrendForce発。2014年のbrandedタブレットは1.8%減の153 million台の出荷となる一方、notebook出荷は1%増の171 million台と見る旨。タブレットsupply chainが成熟して出荷が早く伸び、タブレットの流通価格が急激に低下、結果として、Appleを除くすべてのメーカーの間で長期的なタブレット市場での価格戦争がある旨。

【ワイヤレスcharging】

車の中で携帯電話をワイヤレスに充電できるなど、ready-to-use reference設計ソリューションが、Freescale Semiconductorなどから以下の通り発表されている。

◇Freescale Unveils ICs for Wireless Charging-Freescale chips enable wireless charging (8月27日付け eWeek)
→Freescale Semiconductorが、自動車および空港など公共の場所での使用に向けてprogrammableワイヤレスcharging半導体およびreference設計を開発、そのMWCT1000 transmitコントローラICおよびWCT-5WCOILTX reference設計は、Wireless Power ConsortiumのQi charging標準に準拠している旨。自動車に向けては、Freescaleは、MWCT1001A entry-level半導体, MWCT1003A premium半導体およびWCT-5WTXAUTO reference設計を提示している旨。

◇Charge phones wirelessly inside your car (8月29日付け EE Times India)
→MelexisがFreescale Semiconductorと連携、クルマの中でワイヤレスchargingを可能にするready-to-use reference設計ソリューションを投入、車載グレードNear Field Communication(NFC) transceiverおよびワイヤレスcharging技術を合わせている旨。該automotive-ready reference設計は、MelexisのMLX90132 NFC transceiver ICおよびFreescaleのMWCT1003AVLHコントローラICを中軸に構築されている旨。


≪グローバル雑学王−321≫

イスラム国(Islamic State)テログループのショッキングな脅威が報道され、アルカイダを超える評価がなされている現時点であり、ますます度を増しているテロの実態を知らさせる渦中で、読み進めてきた

 『国際メディア情報戦』
  (高木  徹 著:講談社現代新書 2247) …2014年1月20日 第1刷発行

も、今回で完了となる。リアルタイムの映像が流れてどこでもすぐに世界の事件、事象が伝わる今、「国際メディア情報戦」の時代を如何に生き抜くか?真実を知って流されない姿勢がなによりと思うが、本著者は、情報戦そのものを「楽しむ」ような余裕とタフさが必要なのではと締めている。


終章 倫理をめぐる戦場で生き残るために

□シリア攻撃問題
・アメリカのシリア攻撃問題
 →2013年8月21日、化学兵器の犠牲者と思われる被害者が続出
 →オバマ大統領は、限定的な空からの攻撃を行うことを検討すると表明
・イギリスが離脱、事前に連邦議会の承認を求める、という策に
 →下院の承認はまず不可能、オバマ大統領は窮地に

□テレビをはしごするオバマ
・2013年9月9日月曜日、オバマ大統領はホワイトハウス内でなんと1日で6局ものアメリカのテレビネットワークのインタビュー対応
 →ABC、CBS、NBCの三大ネットワーク、CNN、PBS、FOXニュース
 →次から次へと一人で相手、致命的な失言をひとつもなしに当意即妙に答えなければならない
・オバマ大統領は、圧倒的に「放送運動神経」が優れており、その自信も
 →明くる9月10日の夜、ホワイトハウス内に設えられた演壇から全国民向けのテレビ演説

□残酷映像合戦
・オバマ大統領は、あえて化学兵器の被害者を映し出したショッキングな映像を見るように、そしてそれに基づいて態度を決めるように訴え
・「残酷映像合戦」の様相のシリア内戦
 →9月5日、アサド政権と戦う反政府勢力が、捕虜にした政権側の兵士数名を処刑する場面の動画

□オバマの訴え
・残虐映像を見てその印象を判断の基礎とせよ、という呼びかけ
 →これこそがオバマ大統領の戦略であり、21世紀の政治指導者が戦う国際メディア情報戦

□テレビの特性
・活字メディアは「活字で表現できるものしか取り上げない」
 →テレビは「百聞は一見に如かず」、要は得意分野が違う

□倫理的に優位に立つために
・国際メディア情報戦を戦う熟練したPRテクニックと、国際法の倫理を語る理想主義者の一面
 →高度に組み合わせるのがオバマ大統領の特徴
・最終的には「自分たちの方が敵よりも倫理的に勝っている」ということを如何に世界に説得するか、という勝負
 →現代の国際政治のリアリティは、自らの倫理的優位性をメガメディアを通じて世界に広めた者が勝つという世界
・ビンラディンは、今の世界は「シオニスト=十字軍連合」によるイスラム世界への迫害の時代だ、という世界観

□絶対悪としての「ホロコースト」
・「ホロコースト」とそれを行った「ナチ」そして「ヒトラー」
 →相対化の極めて困難な「絶対悪」に
 →欧米社会はもちろん、国際社会の大部分での価値観
・2013年、イラン大統領となったハサン・ロウハニ氏
 →思い切った外交政策、積極的な国際PR戦略を実践
  →アフマディネジャド前大統領とは違う
 →現在アメリカのメガメディアのちょっとしたスター
・ロウハニ大統領はSNSの使い手、ツイッターでオバマ大統領とまるで年来の友達同士のように楽しげな冗談を交えたやりとり
 →瞬時に全世界の人々のスマートフォンなどに
・ロウハニ大統領がCNNインタビューまずやったこと
 →ホロコーストは歴史的事実であると認めること

□国際社会における倫理的価値観の源
・「人道に対する罪」
 →ナチスを裁いたニュルンベルク裁判において初めて打ち出された、国際法における犯罪の類型
 →人類共通の価値観である人道に明らかに反する行為がある国で行われた時、その国の法では裁けなくても国際社会がそれを犯罪として認定して裁き、刑罰を下すことができるという考え方
・オバマ大統領のシリア空爆の考え方もここに正当性

□日本が負っているハンディ
・日本はナチスドイツと同盟を結んで第二次大戦を戦い、枢軸側に属したことは紛れもない事実
 →過去も現在も未来もナチスと同類ではない、ということを常に明確にしていかなければならないというハンディを負う我々
・今の日本が、次の価値観を、国際社会の主要な潮流と共有していることをアピールすること
 →民主主義、基本的人権の尊重、人道主義、表現や報道、思想や信教の自由、社会のあらゆる面での透明性の重視、差別との訣別
・日本の「資産」を育み、それらを前提として個別の事象に対してどのように「倫理の戦い」を訴えていけるか
 →今後の国際メディア情報戦を戦ううえでのカギ

≪あとがき≫

・2013年7月、新任の駐日大使として、故ケネディ大統領の娘、キャロライン・ケネディ氏を任命
 →そうはない日本人の心を動かす力をこれほど持っている素材
 →オバマ大統領やそのスタッフは、駐日大使にはそういう力が必要だと考えたに違いない
・PR業界の捉えるネットやSNSの大きなマーケット
 →どのように「情報戦」を戦うか競い始め
・日本人の情報観について問題提起
 →「重要な情報」とはどこか遠くにあるもの、と考えがち
 →今の世界ではそうではない。すべての情報は公開されるべきもの。それが民主主義の基本
・「国際メディア情報戦」の時代を生き抜くには
 →情報戦そのものを「楽しむ」ような余裕とタフさが必要なのでは
・2014年1月はじめ、2週間ほど、世界のメディアに、日本とそれをとりまく東アジアの状況を懸念する論調
 →ソ連が崩壊する5年前に、1991年には「ロシア」の大統領が選挙で選ばれることになると予測していた人はいたか
 →中国にも、今はありえないとされていることが起きることはないか
 →そのとき、日本はどうなるのか

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