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直近アップデート:IoT & wearable、IBM半導体、450-mm

半導体業界の最近の、あるいは気になる話題項目3点について、現下に見られる動きに注目している。何といっても次世代の市場牽引役として出てくるInternet of Things(IoT)およびwearable electronics、半導体製造事業部門の売却の噂が続いているIBM、そして次世代の450-mmウェーハを巡る半導体、装置および材料各社の取り組みである。いずれも半導体市場の今後を大きく左右する内容に入るものであるが、引き続く動きの流れの中から、定期的に注目する動きのアップデートを行い、今回はこれら3点である。

≪現下の動き≫  

IoT & wearableについて、まずは各社からの具体的な製品の発表である。

◇QuickLogic goes for wearables-QuickLogic bows sensor hub, algorithms for wearable devices (6月9日付け Electronics Weekly (U.K.))
→QuickLogic(Sunnyvale, CA)が、S1 Wearables Catalog CSSPセンサhub半導体を投入、wearable electronics向け同社"Tap-to-Wake"および"Rotate-Wrist-To-Wake"アルゴリズムを伴っている旨。該センサhubは、もっと電力を消費するapplicationsプロセッサとは独立に機能を制御する意味合いの旨。

◇Sequans brings LTE to IoT-Sequans' Colibri chipset offers LTE for IoT, M2M applications (6月11日付け Electronics Weekly (U.K.))
→SEQUANS COMMUNICATIONS(Paris)が、同社Streamlite LTEファミリーをチップセット、Colibriを擁してIoTに拡大、来四半期にいろいろなメーカーからモジュールに入る見込みの旨。Colibriは、M2MおよびIoT、そして多数の新しい応用向け機器の設計に最適化されている旨。

◇MediaTek begins volume production of Aster solutions for wearable devices-Sources: MediaTek puts Aster chip into volume production (6月11日付け DIGITIMES)
→業界筋発。MediaTekが、6月に同社wearable機器用SoCソリューション、Asterの商用生産を開始、当初出荷は200万個/月に達する旨。該Aster SoCソリューションは、Andes Technology製AndesCore CPU IP製品およびPixart Imaging製CMOSセンサおよびaccelerometersを採用の旨。

この領域についてのメモリについて、JEDECより次のガイドである。

◇IoT, Wearables Drive Lower Power Memory Innovation-Experts: Low-power memory tech is needed for autos, IoT, wearables (6月10日付け EE Times)
→JEDECのJC-42.6 Subcommittee for Low Power Memories、chairman、Hung Vuong氏。Internet of Things(IoT)およびwearable devicesが、今日のスマートフォンおよびタブレットの要求のさらに先をいく消費電力のより小さいメモリを求めている旨。

STマイクロのこの市場に取り組む考え方、戦略が、次のように表わされている。

◇STMicroelectronics eyeing IoT market (6月10日付け DIGITIMES)
→STMicroelectronicsのexecutive vice president、Francois Guibert氏。
向こう2-3年で大きく上昇すると見込まれるIoT(Internet of Things)デバイス市場について、同社は、センサ、低電力MCUsおよびワイヤレスnetworkingデバイスなど重要コンポーネントを取り揃えて提示する備えの旨。QualcommおよびMediaTekなどがIoTおよびwearable機器用のreference設計の販売を推進している一方、STMicroelectronicsは周辺製品の包括的ラインの運用に重点化しており、telemetry, ホームネットワークgateway, 再生エネルギーおよびhybrid車分野における応用に向けた統合モジュールを開発できる旨。

CEA-Leti(仏)は、fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)がこの領域に適する技術としている。

◇Honey, I Shrunk the IoT Gateway-Commentary: Low-power micro-gateways are key to Internet of Things (6月12日付け EE Times/Designlines blog)
→CEA-Letiのディジタル設計研究所head、Fabien Clermidy氏。センサhubs、実質的にmicro-gatewaysとしても知られる低コストサーバが、Internet of Things(IoT)応用にとって重要な要素である旨。fully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)技術が、このような低電力要求に特によく適っている旨。

IBMの半導体部門について、売却の噂のなか、経験豊富な高周波半導体のファウンドリー事業を拡大する動きがあらわれている。

◇IBM Upgrades RF Foundry Efforts-90 nm SiGe process due in August-Inside IBM's new SOI recipe-Silicon germanium moves to 90 nm-IBM fab in Vt. moves to boost RF chip business (6月10日付け EE Times)
→IBMが、新しいsilicon-on-insulator(SOI)およびsilicon germanium(SiGe)プロセスを立ち上げており、RF半導体のファウンドリー事業シェア拡大の狙いの旨。この動きはプロセス技術におけるIBMの深いexpertiseを強調するものであるが、同社半導体部門の売却が検討されているという報道が駆け巡る中での活動となっている旨。

売却についての報道は依然続いており、Globalfoundries社との契約が締結に近づいているという見方の以下、現時点である。

◇IBM Said Near Deal With Globalfoundries for Chip-Making-Sources: IBM may sell chip division to GlobalFoundries (6月11日付け Bloomberg)
→事情通発。昨年来赤字の半導体製造部門の買い手を求めているIBMが、同事業についてGlobalfoundries社との契約に近づいている旨。

◇Reports: IBM near deal to sell chip business (6月11日付け Burlington Free Press)
→IBMがEssex Junction拠点はじめ同社半導体製造事業を売却するという鳴り止まない噂が水曜11日、BloombergがIBMのGlobalfoundriesとの"契約近し"と報道、一層大きくなっている旨。

◇IBM close to deal to sell chip-manufacturing unit (6月13日付け Taipei Times)

450-mmウェーハについては、来月始めのSEMICON Westに向けて関連する発表が見えてきている。

◇Chad Industries will demonstrate world-class flexible automated wafer handling for 450mm wafers at SEMICON West 2014 (6月12日付け ELECTROIQ)
→Jabil Circuit社傘下のChad Industriesが本日、SEMICON West 2014(7月8-10日:San Francisco)にて450-mmウェーハ用の柔軟性のある自動ウェーハ取扱いを披露する旨。

ただし、450-mmウェーハfabについてはまだ4年はかかると、現時点の半導体、装置メーカーの取り組み含め、以下の通り表わされている。

◇18-inch wafer foundry process likely to delay to 2018-First 18-inch wafer fab may not open for 4 years, sources say (6月12日付け DIGITIMES)
→業界筋発。18-インチウェーハファウンドリープロセス時代の到来が2018年以降になる可能性、Intelが18-インチウェーハの開発を遅らせている一方、半導体装置サプライヤ、ASMLも18-インチウェーハ用生産装置の開発を一時的に中断している旨。IntelがTSMCおよびSamsung Electronicsとともに現在、18-インチウェーハ生産に取り組んでいける世界トップ3半導体メーカーであるが、3社での態様が変わっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【台湾メーカーの5月販売高】

月次最高の表現が目を引く台湾メーカーの5月販売高であり、UMCとMediaTekがそれに該当している。ASEも好調、ただ最大手、TSMCは、前月比はマイナスとなっているが、予想は満たす第二四半期業績を見込んでいる。

◇UMC May revenues hit record (6月9日付け DIGITIMES)
→UMCの5月連結売上げがNT$11.930 billion($396 million)で同社月次最高、前月比3.48%増、前年同月比9.82%増。2014年1-5月累計でNT$55.152 billion, 前年同期比12.73%増。

◇ASE reports revenue gains for May (6月10日付け DIGITIMES)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)の5月売上げがNT$20.11 billion($670.49 million)、前月比5.8%増、前年同月比15.3%増。2014年1-5月累計でNT$93.83 billion, 前年同期比13.9%増。

◇MediaTek revenues continue to hit new high in May (6月10日付け DIGITIMES)
→MediaTekの5月連結売上げがNT$19.33 billion($641 million)、4ヶ月連続で最高更新、前月比1.2%増、前年同月比76.8%増。2014年1-5月累計でNT$84.43 billion, 前年同期比77.8%増。

◇TSMC revenues down in May, but 2Q14 performance in line with expectations-TSMC appears on track to hit Q2 revenue forecasts (6月11日付け DIGITIMES)
→TSMCの5月売上げがNT$60.79 billion($2.03 billion)、前月比1.8%減、前年同月比17.4%増。2014年1-5月累計でNT$270.89 billion, 前年同期比15.5%増。TSMCの6月売上げは5月から僅かに落ちる見込み、しかし第二四半期売上げは依然予想のNT$180-183 billionに達し得る旨。

【ON SemiのAptina買収】

昔の名前に遡ると、モトローラの1部門がマイクロンの1部門を買収と読めてくるが、それぞれの経緯があって、今は、ON SemiconductorがイメージセンサのAptina Imagingを買収するという以下の内容である。

◇ON Semiconductor to acquire Aptina Imaging (6月9日付け ELECTROIQ)
→ON Semiconductorが本日、車載および産業用市場向け高性能CMOSイメージセンサのプロバイダー、Aptina Imagingを買収する最終合意に調印、該合意のもと、ON SemiconductorはAptina Imaging買収に約$400 million in cashを支払う旨。

◇Chipmaker ON Semiconductor to buy Aptina Imaging for $400 million-ON Semiconductor will pay $400M to purchase Aptina Imaging (6月9日付け Reuters)

◇ON Semiconductor agrees to buy Aptina for $400 mln (6月9日付け Market Watch)

◇ON Semi's Aptina Acquisition Aims at Automotive-Builds image sensor brain trust (6月11日付け EE Times)
→ON Semiconductorによる月曜9日、Aptina Imagingの$400 million買収により、ON Semiconductorはほとんど即座にイメージセンサ市場のリーダーの1つになる旨。同社は特に、車載および産業用イメージセンサのkeyサプライヤになる期待大の旨。

【Samsungのベトナム工場】

半導体業界イベントの新たにベトナムでの開催が発表されているが、裏づけるように、サムスン電子のベトナム家電工場の建設推進、そして韓国のベトナムへの半導体輸出の増大ぶりである。

◇Samsung Electronics Considers More Than $1B Investment in Third Vietnam Factory-Officials: Samsung may build third consumer electronics plant in Vietnam (6月9日付け The Wall Street Journal /Dow Jones Newswires)
→Samsung Electronicsが、$1 billion以上を投資、ベトナムに同社第3のconsumer electronics工場を建設、装備する可能性の旨。Ho Chi Minh Cityのdeputy chairman、Le Manh Ha氏によると、該工場は同市のハイテクビジネスパークに立地の可能性の旨。ベトナムMinistry of Planning and Investmentは、Samsungに対して該工場建設ライセンスを検討している旨。Samsungは、ベトナムでもう1つの工場の計画を考慮している旨。

◇サムスン電子、1兆ウォン投資…ベトナム家電工場を推進 (6月11日付け 韓国・中央日報)

◇Digitimes Research: South Korea sees increasing semiconductor exports to Vietnam (6月12日付け DIGITIMES)
→中国での労働力コストが次第に上昇、ITプレーヤーはベトナムでの生産ライン構築へ向かい始めており、半導体およびコンポーネントのベトナムの需要を高めている旨。韓国のベトナムへの半導体およびコンポーネントの輸出規模が最近大きく伸びており、そのため2012年には、ベトナムはインドネシアおよび台湾を上回って韓国の輸出国第6位になっており、IT製品輸出では、ベトナムは日本およびシンガポールを上回って2013年第4位であった旨。

【SynapticsのRSP買収】

タッチパッドのインタフェースを手掛けているSynapticsが、ルネサスエレクトロニクスのディスプレイ半導体子会社、RSPを買収、狙いのすべてはSynapticsのCEOの以下のコメントに表われている。

◇Synaptics to buy iPhone display chipmaker for $475 million-Supplier of iPhone display chips to be purchased by Synaptics (6月10日付け Reuters)
→Synapticsが、iPhonesで用いられるディスプレイ半導体を供給するRenesas SP Driversのcontrolling株式を$475 millionで買収、取引は6月30日完了見込みの旨。Synapticsはまた、同社第四四半期の売上げ予測を上方修正の旨。

◇Synaptics CEO hopes to take bite of Apple by buying iPhone supplier-CEO: Synaptics would be happy to regain Apple as a customer via acquisition (6月11日付け Reuters)
→Synaptics(San Jose, CA)のCEO、Rick Bergman氏。Renesas SP Drivers(RSP)を$475 millionで買収する提案はまた、AppleがSynapticsの重要顧客として戻ってくることにつながる可能性の旨。AppleがRSPともっていた力強い関係を続ける期待の旨。

◇ルネサス、液晶半導体子会社を米社に売却、485億円 (6月11日付け 日経 電子版)
→ルネサスエレクトロニクスが11日、液晶用半導体子会社、ルネサスエスピードライバ(RSP)を米電子部品メーカー、シナプティクス(カリフォルニア州)に売却すると発表、ルネサスが保有するRSP株55%を今年10〜12月に譲渡する旨。ルネサスは市況変動の激しい液晶向けから完全撤退、自動車や産業機器向けに経営資源を集中する旨。

【インテルのワイヤレス給電】

インテルが、磁気共鳴技術方式ワイヤレス給電のWiTricityと技術licensing合意、標準化に向けて突っ走る情勢を感じさせている。

◇Intel's cable-free future will use WiTricity's advanced wireless charging-Intel licenses WiTricity's wireless charging tech (6月11日付け Engadget)

◇Intel Goes Wireless With Resonant Power (6月12日付け EE Times)
→Intelが、ワイヤレス充電のWiTricityとの技術licensing合意を発表、磁気共鳴技術の採用をさらに引っ張っていく旨。ワイヤレス充電の消費者の受け入れが現在、標準化の不足から苦しんでいるが、Intelはloosely coupledコイル充電推進に向けてbig-nameのアピールを行う可能性の旨。


≪グローバル雑学王−310≫

エネルギーを取り巻く世界の激変を第二次世界大戦以降の時間軸で、

『国家とエネルギーと戦争』  
  (渡部 昇一 著:祥伝社新書) …2014年3月10日 初版第1刷発行

より追っていく。安価な石油の恩恵を受けた我が国の高度成長、二度にわたるオイルショックも我が国の産業競争力、国際競争力が増していく結果となったが、原油価格が上昇、特にロシアが救われているここ十数年の高騰はじめ、国際政治の状況に振り回され続ける我が国のエネルギー事情を改めて認識している。だからといって原発のすぐさま登場にはいささか距離感を覚えるところがある。


第五章 激変した世界のエネルギー事情

□第二次大戦後、各地で石油が噴出した
・世界中から大量の石油が噴出、石油の値段が恐ろしく安くなった
 →戦後の大きな特徴
 →日本は、石油がいくらでも使えるような体制に
・その構図が崩れたのが、石油ショック
 →割と早く(鳩山一郎内閣のとき)、アメリカは日本に濃縮ウランを入れることを勧めた
 →岸内閣のときから原子力政策が前進
・原子力発電はイギリスが早かったよう
 →北海油田は、発掘費用が非常に高く、永久に続くわけではない、とサッチャーはすでに言っていた
・中国の大慶油田の発掘も皮肉な話、戦後になってから噴出
 →満州の地には、ポーツマス条約締結以来、アメリカを拒否するという大方針がどこかにあったのでは
 →アメリカともっと仲良くする方向で行った方がよかったことは確か

□二度にわたるオイルショックとは、何だったのか
・オイルショックは1973年、それまではずっと公示価格で3ドル/バレル
 →第一次オイルショックで 11.56ドル/バレル、
  第二次オイルショックのときは 36ドル/バレル
 →あのころから、日本は熱心に原子力発電ということを考えたと思う
・オイルショックで日本は、省エネルギーという構造転換を迫られた
 →後になって考えてみると、オイルショックで得をしたのは結局のところ、中東と日本
 →日本は世界で一番省エネに成功した
・日本の小型車が出てきて世界を席巻
 →世界の民生品のほとんど全部は、日本製品か、日本とのパテントで作っているという時代に
・極端な円高にしなければ、という危機感
 →1985年のプラザ合意
・日本はさらに努力、進む省エネ、伸びる輸出、円高
 →ますます国内経済が強くなってしまってバブルに
・オイルショックによって、日本は圧倒的に技術転換が進んだ
 →日本の産業競争力、国際競争力が増したということに

□ドル建ての支払いである限り、日本は弱いまま
・石油を購入するときの決済はドル建て
 →石油メジャーがほとんどアメリカ系
・アメリカにとっては石油が戦略物資
 →リーマンショックが起こっても、素知らぬ顔でどんどん札を刷って回復へ、とばっちりを受けたヨーロッパなんかがうろうろ
 →いま世界中の貿易でドル以外で決済できるお金がない、というのが実情
・東側諸国のこと
 →1990年代前半にソビエトが崩壊、1998年に財政危機に
 →そのロシアを救ったのが、時ならぬ原油価格の高騰
・一回造ってしまうと、何十年かはエネルギーを吐き続けてくれる原発
 →ロシア、サウジアラビアなど石油産出国でも入れようとしている
・原発を止めようとしている国
 →福島での事故の後、先進国では日本、イタリア、ドイツだけ
 →ドイツはその後の状況では、原発に復帰するような方向に
・ドイツでは、石炭で電力をどんどん作るしかない
 →電力を世界中から集めようという大送電計画
 →間に合わない分はフランスから買ってくる
  →フランスはドイツが原発をやめることは歓迎

□国際政治状況に振り回され続ける日本のエネルギー
・オイルショックのことでもう一つ
 →いつまでも収まらない中近東の政治状況、日本のエネルギー政策の根幹が引きずり回される恐れ
  →原発の一つの大きな目的だった
・中東依存度の推移
 →1973年の第一次オイルショックのとき …78%
  1985年               …70%
  現在                …90%
・中東のオイルというのは重たい、硫黄分が多く、相対的に原油が安い
 →日本は精製の技術は自国で持っているので自前で処理
・オイルマネー、産油国にお金が貯まり過ぎ
 →国際的な金融問題に発展
 →日本としては、基本的にエネルギーさえ確保できれば、金融のことは二次的な問題

□中国には資源がない、という怖ろしい現実
・中国はどうか →資源が出ない国
 →いま資源があるのは、チベットとか新疆、いわゆる周辺地域
・いま中国は資源外交がものすごく盛ん、世界中を荒らし回っているという感じ
 →だからいま原発に熱心
 →壊れない原発を風下にある日本が輸出しないと安心できない
・日本が本気になれば、100兆円の契約にも
 →国民へも原発の正当性を説かなければ

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