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4月も増加基調の世界半導体販売高、2015年へと続く伸びの予測

米Semiconductor Industry Association(SIA)から恒例の月次世界半導体販売高が発表され、今回はこの4月分である。史上最高を記録した1-3月、第一四半期に続いて、4月も前月比0.7%増、前年同月比11.5%増の販売高と、昨年の業界史上最高販売高を上回るペースが続いている。一方で、世界を4つに分けた地域別では、我が国の最下位が続く形である。この発表の中でのWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS:世界半導体市場統計)春季予測も、2014年6.5%増、2015年3.3%増、2016年4.3%増と伸びの基調である。

≪4月の世界半導体販売高≫  

米SIAからの発表内容は、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○4月のグローバル半導体販売高が増加:2014年および2015年について伸びが続く見通し−年初からの累積販売高は依然昨年をかなり上回るペース;WSTS予測見通しでは2014年に6.5%、2015年に3.3%の伸び …6月4日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2014年4月の世界半導体販売高が$26.34 billionに達し、2013年4月総計$23.62 billionからは11.5%の増加、前月3月総計$26.15 billionからは僅かに0.7%増となったと発表した。Americas地域の4月販売高は前年同月比14.7%の増加で、全地域を引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWSTSのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
加えて、最新WSTS業界予測は2014年および2015年について伸びが続くと見ている。

「4月のグローバル半導体市場は力強い勢いを維持しており、どの地域および製品カテゴリーにわたっても販売高が前年比で増加している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「該市場は、半導体売上げの最高を記録した2013年でのペースを依然とかなり上回っている。4月で12ヶ月連続、販売高が前年比で増加となり、残る2014年そして2015年へとその流れは続くと見ている。」

地域別には、販売高の前月比でAsia Pacific(+1.7%)およびJapan(+1.1%)では増加したが、Europe(-0.6%)およびAmericas(-1.6%)では減少した。前年同月、2013年4月との比較では、Americas(+14.7%), Asia Pacific(+12.5%), Europe(+8.2%), およびJapan(+4.4%:これは同地域3年以上ぶりの増加)すべてで増加となった。

                             【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Apr 2013
Mar 2014
Apr 2014
前年同月比
前月比
========
Americas
4.36
5.08
5.00
14.7
-1.6
Europe
2.83
3.08
3.06
8.2
-0.6
Japan
2.72
2.81
2.84
4.4
1.1
Asia Pacific
13.71
15.18
15.43
12.5
1.7
$23.62 B
$26.15 B
$26.34 B
11.5 %
0.7 %

--------------------------------------
市場地域
11- 1月平均
2- 4月平均
change
Americas
5.59
5.00
-10.6
Europe
2.95
3.06
3.7
Japan
2.84
2.84
0.0
Asia Pacific
14.87
15.43
3.8
$26.25 B
$26.34 B
0.3 %

--------------------------------------

加えてSIAは本日、WSTS2014年春季グローバル半導体販売高予測を是認しており、該予測は、2014年の業界世界販売高が$325.4 billionに達し、2013年販売高総計から6.5%の増加と見ている。これは、2014年の伸びを4.1%としていたWSTSの2013年秋季予測を上方修正している。WSTSでは今や、Asia Pacific(+9.3%), Europe(+7.9%), およびAmericas(+2.1%)では2014年の販売高が前年比で増えると見ている一方、Japan(-1.3%)については僅かながら減少という見方である。

WSTS予測によると、2014年より先も半導体業界はすべての地域にわたって着実そして穏やかに伸びると見込まれている。WSTSは、2015年についてグローバルに3.3%の伸び(販売高総計が$336.1 billion)、2016年は4.3%の伸び($350.5 billion)を予測している。

※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/April%202014%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた各紙の反応が以下の通り表わされている。

◇Global semiconductor sales increase in April; Sustained growth projected for 2014 and 2015 (6月5日付け ELECTROIQ)

◇Analysts Expect Sustained Semi Growth (6月6日付け EE Times)

別途SEMIからの半導体製造装置関係の予測データでも、前工程装置について2014年、2015年とそれまで2年の減少から増加に転じて、2015年には最高を更新する可能性もという表現も見られている。

◇Strengthening recovery: Fab equipment spending - 24% increase in 2014, possible record in 2015 (6月4日付け ELECTROIQ)
→2014年5月SEMI World Fab Forecast発。2年連続の低下を経て、2014年のFront End facilities用fab装置spendingが24%増($35.7 billion)、2015年には約11%増($39.5 billion)が見込まれる旨。2015年は、2011年の従来最高の約$39.8 billionに達するか、上回る可能性もある旨。
・≪表≫ fab equipment spending地域別変化率:2012年〜2015年
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2014/06/fab-equip-spending.png


≪市場実態PickUp≫

【Broadcom社のcellularベースバンド事業】

通信用半導体のBroadcom社(Irvine, California)が、収益性が低いcellularベースバンド半導体事業を売却あるいは徐々に終わらせる方向を打ち出しており、台湾のMediaTekのこれに注目する動きが表わされている。

◇Broadcom to Divest Cellular Baseband Chip Business (6月2日付け EE Times)
→Broadcom社の戦略的な動き、低マージンのcellularベースバンド事業を売却あるいは徐々に終わらせる計画、3つの中核分野、インフラ、ブロードバンドおよびconnectivityに重点化する旨。

◇Broadcom Seeks to Sell Unit Amid Qualcomm Rivalry-Broadcom looks to sell cellular-baseband-chip unit (6月2日付け Bloomberg)
→Broadcomが、cellular-baseband-chip市場でのQualcommの圧倒的優位を認めて、該部門の売却計画についてJPMorgan Chaseの支援を得ている旨。
「厳しい決定だが、正しい決定」(FBR Capital MarketsのChris Rolland氏)

◇MediaTek likely to take up Broadcom baseband business, says paper-MediaTek may have eyes for Broadcom's baseband chip business (6月4日付け DIGITIMES)
→中国語Economic Daily News(EDN)発。Broadcomが最近ベースバンド事業部門の売却あるいは徐々に終わらせる計画を発表、これを受けて、MediaTekがこれを手に取る様相がある旨。

【Computex 2014から】

Computex 2014(6月3-7日:台北)関係で目に留まった講演、動きが以下の通りである。中国Rockchipとのモバイル半導体プラットフォーム開発の戦略的連携合意に入ったばかりのIntelの中国市場アクセスに特に注目している。

◇Scalability from datacenter to IoT: Q&A with Intel-Intel exec talks Internet of Things challenges, triumphs (6月3日付け DIGITIMES)
→Computex 2014を迎えて、Intel TaiwanのVice President,Sales and Marketing Group and Country Manager、Jason Chen氏。IT業界supply chainにおける台湾および中国の役割の変化、Intelがスマート機器革命のニーズ対応に向けて如何に進化しているか、などの論点。

◇Intel, Taiwan Target Tablets-Broadwell Core M debuts at Computex (6月5日付け EE Times)
→IntelのPresident、Renee James氏基調講演。Intelの台湾PCビジネスへの緊密な歴史的結びつき、そして同社がこのような関係をタブレット市場のシェア拡大に向けて如何にテコ入れしているか、を強調の旨。Intelは引き続きプロセス技術に力点、今回は14-nm Broadwell半導体ベースのモバイルプロセッサ、Intel Core Mプロセッサを発表の旨。

◇ARM sees smartphone market growing 10 pct annually through 2018-Smartphone market will rise 10% a year over 5 years, ARM CEO says (6月5日付け Reuters)
→ARM HoldingsのCEO、Simon Segars氏。世界スマートフォン市場は2018年まで年率平均10%の出荷の増大、$150以下のhandsetsがその伸びを大方引っ張っていく旨。

◇MediaTek, Acer to develop products around new chip-Acer to use MediaTek's Aster chip in BYOC scheme (6月5日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Acerが、PC事業復興に向けた"Build Your Own Cloud"戦略の一環として、MediaTekの低電力Asterプロセッサを採用する旨。

【アップル年次開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)」】

何かと注目のWWDC(6月2日〜:サンフランシスコのモスコーンウェスト)、今回はOS刷新が発表されている。2005年のこの場では、Macintosh computers用プロセッサについてPowerPCからIntelへの切り換えがJobs CEOにより発表
されたが、こんどはIntelからARM設計に切り換えるという噂が流れている現時点である。

◇Apple OS X, iOS Draw Closer (6月2日付け EE Times)

◇米アップルが新OS、今秋刷新、健康管理など容易に (6月3日付け 日経 電子版)
→米アップルが2日、サンフランシスコ市で同日開幕した「世界開発者会議(WWDC)」にて、スマートフォンやタブレット向けの基本ソフト(OS)「iOS」と、パソコン「マック」向けのOS「OSX(オーエステン)」を今秋に全面刷新すると発表、次世代の「iOS8」には、健康情報の管理や家電の操作が容易にできる機能を追加、データ保管などのクラウドサービスも一段と使いやすくし、端末間の連携を強化した旨。iOS8とマックの次世代OS「ヨセミテ」は、どちらも無料で提供する旨。

【3D IC化への動き】

SamsungのV NAND量産化はじめ、三次元積層3D IC化の動きが活発になってきているが、TSMCとMicronが連携してDRAMとロジック半導体の融合を推進する計画、そしてモバイル機器領域での2.5Dインターポーザをはじめとして3D IC化に向かう現時点の流れが以下に表わされている。

◇TSMC reportedly to tie up with Micron to develop 3D ICs-Sources: TSMC will work with Micron on 3DICs (6月3日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、3D ICs開発でMicron Technologyと連携する計画、TSV技術を通してMicronのhybrid memory cube(HMC)-ベースDRAM半導体をTSMCのロジック半導体と統合する旨。DRAMとロジック半導体の間のchip stack技術の開発がうまく行くと、TSMCはこの技術をモバイルapplicationプロセッサとDRAM半導体の統合に拡張でき、顧客ベースのさらなる拡大につながる旨。

◇Trends in mobile computing technologies and component packaging-Industry progresses from 2.5D to 3DICs (6月6日付け DIGITIMES)
→1)2.5Dインターポーザpackaging技術が、IntelのHaswell/BroadwellプロセッサからAMDのモバイル高性能GPU半導体までの製品に用いられてきている旨。主流に投入されようとしているDDR4もまた、3D Stacks+TSV packagingを取り入れる様相、モバイル通信は、RF ICs, MEMSセンサ, およびPA ICsの統合を必要としており、heterogeneous 3D ICsがこの型の統合を供給する旨。これらずっと小型、軽量のモバイル機器における機能性から劇的な進展の到来が告げられている旨。
 2)Intelの"Broadwell"および"Haswell"プロセッサが、AMDのモバイル高性能GPUとともに2.5Dインターポーザを用いている旨。DDR4メモリ半導体は、市場に来るときにはchip-stacking技術を取り入れる見込み、半導体業界は一層複雑な3D IC技術に向けて徐々に進んでいる旨。

【Imec Technology Forum(ITF) 2014】

Imec Technology Forum(ITF) 2014(6月4-5日:BRUSSELS)では、各社とのコラボ、そして装置ベンダー支援に向けたR&D Tool Hubの打ち上げが以下の通り発表されている。

◇ITF2014: Imec and Lam combine for next-gen CMOS-Lam will work with imec on next-generation CMOS tech (6月4日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Lam Researchが、imecとコラボ、次世代CMOSプロセス技術を開発する旨。
Lamのpatterning, depositionおよびmetallization装置が該プログラムで用いられる旨。

◇Imec Launches R&D Tool Hub (6月4日付け Semiconductor Engineering)
→fab toolベンダーを支援するために、Imecが新しいR&D hubを打ち上げ、ASMLおよびLamが最初のメンバーの旨。

◇Imec and Samsung join to accelerate innovation digital health (6月5日付け ELECTROIQ)
→Imecが本日、Samsung Electronicsとコラボ、急進展するモバイルwearable分野に取り組むメーカーおよび研究者の間での革新およびコラボを加速していく旨。


≪グローバル雑学王−309≫

原発反対を訴える大きな世論が渦巻く一方で、原発を止めたがために毎日100億以上のお金が海外に流れているなど、

『国家とエネルギーと戦争』
  (渡部 昇一 著:祥伝社新書) …2014年3月10日 初版第1刷発行

より、原子力発電を怖れることの愚かさを著者が訴える後半である。故郷を追われ、農水産物の風評被害に遭っている福島の実態を日々目にする中、以下の内容から本当に原発でなければならないのか、本当に現状代替するものはないのか、さらに本当のデータに基づく理解、コンセンサスが求められるところである。


第四章 原子力発電を怖れることの愚かさ  ≪後≫

□チェルノブイリでの本当の被害
・放射線に汚染された水はどうするかという問題
 →集めて、処理した水をタンカーみたいなものに載せて、太平洋に流せばいい
 →何よりの証拠に、広島には川が何本か、福島などは問題にならないほどたくさん放射線を吸ったはず
・われわれの体は測れば5000ベクレルくらいの放射線が出ているそう
・チェルノブイリでも同じようなこと
 →爆発後に甲状腺がんにかかった人は僅かに60数人、この20数年間でそれが原因で死んだ人は15人
 →そもそも甲状腺の病気は風土病に近い当地
 →放射線は恐いということだけが改めて広まってしまった

□原発が停まったために流出したムダ金
・福島第一原発の事故
 →破壊されたのは地震の結果ではなくて、津波の結果
 →一気にみんな原発を止めてしまった、これはまったく無駄な話
  →原発を止めなければ要らなかったお金が毎日100億以上、海外に流れている
 →そんな状況が続けば日本は数10年、ずっと貿易赤字
・太陽光などでは絶対に成り立たないのは明らか
 →ある人の計算によると、山手線の中の3倍ぐらい並べてやっと、浜岡原発の一基分ぐらい
・もっと危険なのは屋根にパネルを敷くこと
 →必ず屋根にはごみがたまる、雪下ろしと一緒の落下事故
・地熱発電、うっかりやったら温泉がだめになったりして、非常に危ない
・メタンハイドレート、いつになったらそれが電気に?
・風力発電でだめなことは水戸市が証明
 →日本は、適度な風というものがない
・産業国であるための電力は、原子力と火力しかない

□「もんじゅ」になぜ、反対派が多いのか
・原発というのは意外に安全、いままで原発関係では2人しか死んでいない
 …誰も口を閉ざして言わないこと
 →直接の死者は出ていない
・1兆KWの電力を得るために犠牲になった人の数 …フォーブス誌から
 →原子力 90人、風力 150人、屋上ソーラー 440人、水力 1004万人、天然ガス 4000人、石油 3万6000人、石炭(世界平均) 17万人、石炭(中国) 28万人
・原子力というのは、息の根が止められる心配もないし、非常に安定、CO2も出さない
・高速増殖炉の「もんじゅ」が稼働すれば、原料を買う必要もなく、太陽と同じ
・「もんじゅ」になぜ反対派が多いのか
 →いろいろな実験をやっていると、どうしても故障
 →事故だと騒がれて、進まない
 →現在は日本が一番進んでいるということで、世界中の優れた学者は日本に研究に来ている
・いま日本が原発に対して消極的になる、よろめくということは、極めて危険なこと
 →日本の一番いい学者、一番トップに行くべき学者たちを失望させること

□日本が原発を製造、輸出しなければならない理由
・いま、世界ではイギリスだけが、石油を輸入する必要のない唯一の先進国
 →アメリカ、フランス、ドイツだって輸入なしでは国が立ち行かない
 →やはり原発が必要だということで、日立や東芝と手を組んで造ろうとしている
・軽工業というのは真似ができるもの
 →重工業はそう簡単にいかない。重工業中の重工業は原発。
・韓国はアラブ首長国連邦(UAE)に原発を売りつけた 
 →実態は100万ドルかそこらをUAEに寄付、要するに、金を出すから造らせてくれ、というわけ
 →まだ重工業が成っていない韓国の焦りとしか
 →重工業が成立していない証拠に、景気がよければ必ず日本に対する貿易赤字が大きくなる
・日本もいま安倍さんに期待したい
 →原子力に対して、あらゆる問題に答えられるだけの勉強をしてもらいたい

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