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史上最高が続く世界半導体販売高、こんどは第一四半期販売高

米Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高のデータが発表され、今回は3月、および1-3月、第一四半期である。今年に入って、1月としては史上最高から始まり、前年同月比で見ると1月が8.8%増、2月が11.4%増、そしてこの3月もまた11.4%増と大きく伸び、第一四半期がまた史上最高の販売高を記録している。地域別では、その大きさからAsia Pacific、そして世界を主導するAmericasが引っ張っており、我が国は欧州に続く位置づけという状況が続いている。早期奮起に引き続き期待である。

≪第一四半期および3月の世界半導体販売高≫  

米SIAからの今回の発表内容、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○グローバル半導体業界、史上最高の第一四半期販売高−3月の販売高が前年比11.4%増、すべての地域で前年比増加 …5月5日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2014年第一四半期の世界半導体販売高が$78.47 billionに達して、業界史上最高の第一四半期販売高となったと発表した。2014年3月のグローバル販売高は$26.16 billionに達して、$23.48 billionであった2013年3月からは11.4%の増加、前月の$26.04 billionとの比較では0.4%増と僅かに持ち上がった。地域別では、Americasの販売高が前年の3月に比べて16.1%増加し、この前年比ではすべての地域にわたって増加となった。月次販売高の数値はすべてWSTSのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「グローバル半導体市場はここ数ヶ月首尾一貫して弾みを示しており、2014年第一四半期を通して販売高が昨年のペースにかなり先行している。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「たぶんに最も印象に残ることとして、3月の販売高はすべての地域に及んで、およびどの半導体製品カテゴリーについても前年比増加し、市場の広範で多様な力強さを示している。」

地域別には、販売高の前年比でAmericas(+16.1%)、Asia Pacific(+12.9%)、Europe(+8%)およびJapan(+0.4%)と増加し、3年以上ぶりのことすべての地域にわたって増加となっている。販売高の前月比では、Europe(+3.9%),  Asia Pacific(+1.4%), およびJapan(+0.3%)と増加したが、Americas(-4.3%)は僅かながら減少した。

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Mar 2013
Feb 2014
Mar 2014
前年同月比
前月比
========
Americas
4.39
5.32
5.09
16.1
-4.3
Europe
2.85
2.96
3.07
8.0
3.9
Japan
2.80
2.81
2.81
0.4
0.3
Asia Pacific
13.45
14.96
15.18
12.9
1.4
$23.48 B
$26.04 B
$26.16 B
11.4 %
0.4 %

--------------------------------------
市場地域
10-12月平均
1- 3月平均
change
Americas
5.80
5.09
-12.2
Europe
2.96
3.07
3.9
Japan
2.93
2.81
-3.8
Asia Pacific
14.96
15.18
1.4
$26.65 B
$26.16 B
-1.8 %

--------------------------------------

「ここのところの半導体販売高は元気づく内容であるけれども、半導体市場の持続的伸長およびAmericaの全体的な経済の力強さに対する1つの脅威が、イノベーション不足、すなわち研究および教育高度化に必要とされる連邦出資と実際のそれとのギャップである。」とToohey氏は続ける。「政策担当者は、基礎科学研究および教育高度化への力強い投資継続を約束して、このイノベーション不足解消に向けて敏速に行動すべきである。」

※3月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/March%202014%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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これを受けた各紙の反応が以下の通りとなっている。いずれも史上最高の第一四半期グローバル販売高が強調される一方、世界経済に不安定要因が見られるなか世界の半導体業界としては最高を記録ということで、先行きに警戒を要する割り切れなさを孕んだ見方も出てきている。

◇Global semiconductor industry posts highest-ever first quarter sales (5月5日付け ELECTROIQ)

◇Global semiconductor sales reach record high Q1-Data: Q1 chip sales were a record $78.47B (5月5日付け ZDNet)

◇First Quarter Semiconductor Trends and Update (5月6日付け SEMI)
→第一四半期の間の米国における経済成長鈍化が世界中の努力を必要とする地政学的展開が結びつくとすれば、ことしの業界の前途にもう一度不安定性が浸透する旨。そうは言っても、業界の流れは今年の第一四半期は前年同期よりも概して力強いことを示している旨。今週、Semiconductor Industry Association(SIA)は第一四半期の半導体販売高が$78.6 billionに達したと発表、史上最高の第一四半期販売高の旨。

◇Chip Market's Bullish Run Continues (5月7日付け EE Times)


≪市場実態PickUp≫

【インテルへの提言】

インテルのモバイル戦略について、アナリストの提言が見られている。利益の足かせになっており撤退すべきという意見が見られる一方、新興市場に重点を置いてQualcommに追い着くよう最後まで頑張るべきという見方がある。

◇Intel Should Exit Mobile, Analyst Says (5月7日付け EE Times)
→JP Morganのアナリストが、2014年第一四半期のearnings/株が乏しいことからcorporate利益性を改善するために、モバイル&通信グループを閉鎖するようIntelに求めている旨。しかし、Intelおよび少なくとも1人の他のアナリストは、熱く競合するスマートフォンおよびタブレット市場で最後まで頑張るべきとしている旨。

◇Intel adds high-end PC graphics processors to Xeon server chips-Intel is putting its Iris Pro graphics processors into Xeon E3-v1200v3 server chips to be released later this year -Intel integrates Iris Pro graphics into Xeon server processors (5月7日付け Computerworld/IDG News Service)
→Intelの"Haswell" PCプロセッサのIris Proグラフィックス処理capabilityが、こんどは同社low-endからmid-rangeのサーバに向けたXeon E3-1200 v3 Xeonプロセッサに統合される旨。これとは別に、JP MorganのアナリストがIntelはもっと利益が上がるようモバイルおよび通信用半導体市場から撤退すべきとしている旨。Forward ConceptsのWill Strauss氏は、Intelがモバイル半導体でQualcommに追い着くよう米国よりも新興世界市場への重点化を望んでいる旨。

【2013年世界MPU販売高内訳】

世界microprocessor(MPU)販売高の2013年のパソコン、タブレット、スマホなど内訳のデータが前年比で示されている。

◇MPUs used in PCs, servers and embedded systems slide to 69% of all microprocessor sales in 2013, says IC Insights (5月5日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2013年の世界microprocessor(MPU)販売高の内訳、前年の比較とともに次の通り:

2013年
2012年
タブレットMPUs
約6%
4%
スマートフォンapplicationプロセッサ
25%
22%
PCs, サーバおよびembedded-処理応用
69%
74%

当然にモバイル機器の比率上昇の流れが見られるが、大画面phonesが今年に入ってタブレットを押しやっているという次のデータにも注目している。

◇Phablets Put The Hurt On Tablets (5月5日付け EE Times)
→IDC発。大画面phonesがより多くの市場シェアを獲得、タブレットメーカーが課題に直面の旨。第一四半期のタブレットメーカー出荷は50.4 million台、holiday四半期から急勾配の35.7%減、前年同期比3.9%増止まり、この数字はタブレットメーカーには2014年は難しい可能性を示している旨。

【2013年ファブレス半導体メーカー・トップ25】

同じく2013年をまとめるデータとして、ファブレス半導体メーカーのトップ25が表わされている。25社の内訳が、米国 14社、台湾 5社、中国と欧州が各2社、シンガポールと日本が各1社となっている。

◇Taiwanese and Chinese Companies Represented Five of Eight Fastest Growing Top-25 Fabless IC Suppliers in 2013-China-based Spreadtrum lead the way with a 48% surge in year-over-year growth. (5月7日付け IC Insights)

◇Fabless companies grew 8% in 2013, says IC Insights -IC Insights: Fabless firms posted 8% growth last year (5月8日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。昨年の世界中のファブレス半導体メーカーの売上げ総計が$77.9 billion、2012年の$72.1 billionから8%増、なかでもSpreadtrum Communicationsが48%増と急伸の旨。トップ5は、Qualcomm, Broadcom, Advanced Micro Devices(AMD), MediaTekおよびNvidiaで、2012年と同じであった旨。
・≪表≫ 2013年ファブレスICサプライヤ・トップ25
http://static.electronicsweekly.com/news/wp-content/uploads/sites/16/2014/05/Fastest-Growing-Top-25-Fabless-IC-Suppliers-in-2013-281x300.jpg

【wearableでの電池寿命】

wearable機器で電池切れが早いという問題が次のように取り上げられており、開発者が思うように仕立てたwearable SoCsに至っていないという指摘が見られている。

◇Wearables Need Tailored SoCs-Custom SoCs are required for wearables, panelists say (5月2日付け EE Times)
→Linley Tech Mobile Conference 2014(4月30日〜5月1日:Hyatt Regency, Santa Clara, CA:Focused on System Design Issues)でのパネル討議にて。wearable electronicsで電池長寿命化が得られるよう、customized system-on-a-chip(SoC)デバイスが必要になっている旨。

◇Wearable SoC: Let DSP Do 'Always Listening' Chores-Ceva makes the case with multifunction DSP (5月7日付け EE Times)
→wearable機器が、電池があまりに早く切れるという致命的な欠陥に悩んでおり、開発者はこの問題を自分たちの要求に適合するぴったり合ったwearable SoCsの欠乏にあるとしている旨。

【安全性、高信頼性】

安全性、高信頼性はいつの世にもやって行き過ぎるということはないが、電源用半導体、車載テスト、embeddedシステムについて以下それぞれ現時点の認識、取り組みである。

◇Easy way to design high-reliability power supplies-High-reliability power supplies call for special measures (5月6日付け Electronics Weekly (U.K.))
→高信頼性システムの中で用いられる電源用半導体を選ぶとき、回路保護、redundancyおよび遠隔システムを考慮しなければならない旨。

◇Verifying, sharing automotive test results key to safety (5月6日付け EE Times India)
→クルマの安全性の問題が最近よく騒ぎを起こしており、車載メーカーおよびそのサプライヤは、必ずしも十分ではないかもしれないが、安全性および信頼性に向けて自分たちの製品を広範囲にわたってテストしている旨。

◇Practical design tips for safety-critical software (5月7日付け EE Times India)
→embeddedシステムは市場および用途に基づく様々な安全標準に適合する必要の可能性、これら標準はまた国際標準に基づいて合う必要がある要求を示せる旨。International Electrotechical Commission(IEC)ベースのような標準が、要求の共通な一式を開発するよう試みており、個々の国and/or市場が全く別々の要求をもたないようにする旨。


≪グローバル雑学王−305≫

国家を支えるエネルギーの根幹は石油である、と主張してもしょうがないという時代背景のなかで、突入した太平洋戦争。なぜ日本が負けたのか、

 『国家とエネルギーと戦争』
  (渡部 昇一 著:祥伝社新書) …2014年3月10日 初版第1刷発行

より、著者の目に成る辿り着くまでの流れを追ってみる前半である。あのときこうだったら、と繰り返し出てくるが、石油の重みの理解、アメリカとの悪化していく関係、など本当に後になってみればほとほとしょうがないものの、時代の趨勢を読む重みを改めて感じるところである。


第二章 太平洋戦争は、なぜ日本が敗れたのか  ≪前≫

□秋山真之が本音で言いたかったこと
・優れた工作機械が揃っているとか工場が整っているとかの条件
 →当時の日本は、まだまだそこまでいっていない、と秋山真之は冷静に指摘
・日本がなんとしても手が出せないのは、石油だけ
 →国家のすべての基礎は石油である、と秋山。にも拘らず、それは言わない、言ってもしょうがない、そういうことに。

□陸軍にとって、石油とは何だったのか
・精神性をことのほか重んじる、陸軍でいう皇道派
・五・一五事件は海軍が主、その後の三月事件、そして二・二六事件は皇道派が中心
・もっと地道に日本を国家社会主義のほうに持っていこう、という統制派
 →中心人物として一番有名な永田鉄山
 →ドイツのルーデンドルフの思想を学ぶ
 →トータルウォー(総力戦)という考え方
・永田鉄山のあとに続いたのが、東條英機
・一時非常に強かった皇道派
 →二・二六事件で爆発後、以後陸軍は、完全に統制派が牛耳ることに
・陸軍の上層部は、結局のところ石油というのはいざとなったらアメリカから買えばいいという考え
 →昭和16年(1941年)の太平洋開戦に至るまで、実はアメリカを敵国として考えたことはない

□あのとき、本当に石油のことを考える軍人がいたなら・・・
・いまから見れば理解し難いこと
 →アメリカの資本や技術を満州に入れるということ
 →小村寿太郎が外交を仕切っていた明治以来、ものすごく嫌う要素があった
・石油の精製技術では断トツに進んでいたアメリカ
 →そこから技術を学んで日本に取り入れるという発想がなかった
・樺太においても、日本はアメリカと手を結ぶことに熱心ではなかった
 →初めからアメリカとは関係がなかったから、使えるコネがなかったということもあるのかも
 →初めから一貫して陸軍の仮想敵国はロシア、後のソ連
・政党にくっつくという悪弊はやめよう、という新官僚が出てきた
 →後藤文夫、吉田茂、河田烈など大蔵官僚。岸信介も。
・統制派も革新官僚も、どちらも簡単に言えば国家社会主義の思想
・社会主義的な色彩が強すぎて、つかまった人
 →全部といっていいほど、戦後、社会党の錚々たるメンバーに

□口が裂けても言えなかった。「石油のある国と戦えるのか?」
・昭和18年(1943年)ごろ、日本でも飛行機が重要だということが絶対的な確信に
 →商工省や企画院を統合、軍需省ができた
・太平洋の戦争につながる海軍の動き
 →第一次大戦後の国際軍縮会議から始まる
・1921年のワシントン軍縮会議 →国際的な主力艦制限
・1930年のロンドン海軍軍縮会議 →補助艦制限が議題に
 →海軍内に、条約派に抗する艦隊派というものが出てくる
・本音は、「石油のある国と戦争などできるか?」ということ

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