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インテル、SamsungおよびTSMC、それぞれの業況、戦略的な動き

14-nmに向けた最先端技術そしてモバイル機器を軸としたビジネス対応について、IDMのトップ2、インテルおよびSamsungとファウンドリーNo.1のTSMCの現時点の状況、取り組みに注目している。現在の半導体業界の方向性を知り、占う上で、特にこれら3社の動きを追うことがますます欠かせなく感じるところがある。パソコンが圧倒的であった時代からモバイルはじめ市場の多様化が進むなか、トップランクを維持し続けているこれらプレーヤーの一挙手一投足にグローバルな目が向くここしばらくと受け止めている。

≪最先端技術とビジネス対応≫  

この3社の直近四半期業績発表が相次いで行われており、まずSamsungは2四半期連続の減益となっている。新製品のGalaxy S5の売行き如何および低コスト化対応が求められるという市場アナリストの見方である。

◇Samsung Electronics shifts focus to costs, cheaper phones as first quarter profit seen falling-Samsung's profit slips again on falling prices (4月7日付け Reuters)
→需要低下および市場飽和から価格を少しずつ下げて、Samsung Electronicsの利益が2四半期連続で減少の旨。AppleのiPhoneおよび中国の安い機器との競争も下げに働いている旨。Samsungは新しいGalaxy S5 flagship phoneの成功を目論んでいるが、すでに該製品について需要軟化の兆候がある旨。Samsungはコスト削減およびlower-end phones販売に一層重点化とアナリストの予想の旨。

Intelは売上げが前年同期を僅かに上回ったものの減益、アナリストの予想は上回ったとなっている。パソコン用半導体については前年同期を僅かながらでも下回っており、モバイル用半導体、特にタブレット対応が当面のカギとなっている。

◇Intel Sales May Top Estimates on Corporate PC Demand-Intel beats the Street, emphasizes tablets (4月15日付け Bloomberg)
→Intelの第一四半期売上げが$12.8 billion、前年同期比1.5%増、net incomeが$1.95 billionで同4.8%減、net incomeはWall Streetアナリスト予想を僅かに上回った旨。PC半導体グループの売上げは$7.9 billionで同1%減。「PC出荷は今年僅かながら低下。Intel半導体搭載のタブレットcomputersが2014年40 million台出荷という見方はそのまま。この出荷は今年の末までのこと、大多数はAndroid-ベースタブレット。」(同社Chief Financial Officer、Stacy Smith氏)

◇Intel's quarterly net beats Street, CEO talks up tablets (4月15日付け Reuters)

◇Intel's Mobile-Chip Progress Falters as PC Market Stabilizes (4月17日付け Bloomberg)

TSMCについては、スマートフォン市場に乗った快調な業績が以下の通り続いている。世界中のLTEスマホ需要が引っ張っており、引き続く勢いとなっている。

◇Smartphones, 28nm Tech Drive TSMC 1Q Revenue(4月17日付け EE Times)
→TSMCがhigh-endスマートフォン市場への供給で顧客向けに製造する半導体需要が増大、今年第二四半期の販売高が新記録となる見込みの旨。

◇TSMC Rises to Record After Forecasting Sales Growth-TSMC forecasts higher Q2 revenue on LTE smartphone chip demand (4月17日付け Bloomberg)
→TSMCの第二四半期売上げが$6 billion以上と、アナリスト平均評価を上回る見込み、世界中のLong-Term Evolution(LTE)スマートフォン需要増大が、それらhandsets用半導体の生産を引っ張っている旨。

◇TSMC posts net profits of nearly NT$48 billion in 1Q14 (4月17日付け DIGITIMES)
→TSMCの2014年第一四半期net profitsがNT$47.87 billion($1.59 billion)、前四半期比6.8%増、前年同期比21%増。

◇TSMC looks to post 21-23% sequential revenue gains in 2Q14 (4月17日付け DIGITIMES)
→TSMCが、2014年第二四半期売上げについて前四半期比21-23%増のNT$180-183 billion($5.97-6.07 billion)と見ている旨。

このように手放しでは行かず市場の動きに目を凝らして戦略的な動きをとっていかざるを得ない3社各様の現状が見て取れるが、まずIntelは、中国のタブレット市場に向いた動きが挙げられている。

◇Intel aggressively promoting tablet CPUs in China-Sources: Intel slashes prices on tablet chips in China (4月14日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Intelが、特に中国においてタブレット用プロセッサの販売を促進する積極的なpricing戦略をとっており、QualcommおよびMediaTekに対抗する一方、市場シェアを上げていく様相の動きの旨。Intelの主流quad-coreタブレットCPUs価格は$5以下に低下しており、Rockchip ElectronicsおよびAllwinner Technologyなど中国のチップセットサプライヤの提示とほぼ同等、Nvidia, QualcommおよびMediaTekが出ているものをむしろ下回っている旨。

◇Intel turns to Chinese tablet makers-Cheap and cheerful (4月15日付け TechEye)
→Intelが楽して儲けるよう、安価で楽観的な中国のタブレットメーカーに向いている旨。

Intelの今回の業績発表については次の見方が出てきている。市場の移り変わり、過渡期への対応である。

◇The internet of things is great for chipmakers and a challenge for Intel-Cheap chips will power the Internet of Things(4月16日付け GigaOm)
→Intelが今週、第一四半期にInternet of Things(IoT)応用向け半導体$482 millionを売ったと報告、しかしながら、IoTは半導体メーカーにとってmicrocontrollers(MCUs), センサなど必要とされるICsを供給する多くの機会を与える一方、このような半導体のaverage selling prices(ASPs)はPCsに入るmicroprocessors(MPUs)よりは概して低い旨。high endにいる半導体メーカーにとっての問題は、low-end pricingでhigh volume半導体を売る市場でものになるかどうか、あるいは、 IoT関連の低利益を帳消しにするソフトウェアおよびサービス投資に入りたいかどうか、である旨。

Apple対応を軸に絶好調が続くTSMCについて、それが20%にも達するという大きくAppleに傾斜した今後の見方が表わされている。

◇Apple chips to be 20% of TSMC sales-Analyst: One-fifth of TSMC's sales to come from Apple in 2 years (4月15日付け The Taipei Times (Taiwan)/Chinese News Agency)
→Barclaysのアナリスト、Andrew Lu氏。Appleのモバイル機器向け半導体生産が、2年以内にTSMCの年間売上げの20%となる旨。TSMCは、指紋センサ半導体およびwearable iWatch機器用ICsとともにA8およびA9 applicationsプロセッサをApple向けに作る旨。

最後にSamsungについて、ファウンドリーでTSMCを追いかけるGlobalfoundriesに14-nm FinFETプロセスの技術供与を行うという、TSMCに圧力をかける戦略的な動きがここにきて以下の通りである。Intelは最先端プロセスを引っ張って半導体業界No.1の座を長きにわたって保っており、この動きはTSMCにはもちろん、Intelにも微妙なインパクトを与えるものと思われる。最先端技術とビジネス対応、これは伸び続ける半導体業界のために引き続き注視していかざるを得ないキーフレーズと思う。

◇Samsung, Globalfoundries Prep 14nm Process (4月17日付け EE Times)
→Samsungが、開発した14-nm FinFETプロセスで今年後半生産に入る予定、GlobalFoundriesが該プロセスのライセンス供与を受け、来年始め生産化する旨。この新たな動きは世界最大の半導体ファウンドリー、TSMCに圧力をかける旨。競合する2社、GlobalFoundriesとTSMCは、同様な16-nm FinFETプロセスについて予定遅れになっている旨。この競争から外れているのはIBM、以前はGlobalFoundriesおよびSamsungとCommon Platformでパートナーであり、今や半導体グループの少なくとも一部を売却する方向となっている旨。

◇GLOBALFOUNDRIES and Samsung join forces on 14nm finFETs (4月17日付け SemiM&D)
→ファブレスメーカーにとって20-nmノードを飛ばして14-nm FinFETsに直行の可能性の期待、GLOBALFOUNDRIESとSamsungが、単一のprocess design kit(PDK)を提示する共同プログラムを発表、同一プロセスで4つの異なるfabsにて製造を行う旨。該PDKsは現在出されており、14-nm製造が年末までにhigh volume生産に入る可能性の旨。4つのfabs、以下の通り:
 Samsung  S2 Fab Austin, Texas, USA mass production
 Samsung S3 Fab HwaSeong, South Korea mass production
 Samsung S1 Fab HiHeung, South Korea prototyping
 GLOBALFOUNDRIES Fab 8 Saratoga, NY, USA mass production

◇Samsung, Globalfoundries Agree to Adopt Same Production Process-Unusual Alliance Could Please Chip Customers Such as Apple-GlobalFoundries, Samsung strike deal for making 3D chips (4月17日付け The Wall Street Journal)
→GlobalFoundriesがSamsung Electronicsから14-nm FinFET生産プロセスのライセンス供与を受け、両社はスマートフォンおよびタブレットcomputers用のより高速な3D半導体を作れる旨。該契約は、顧客がいずれの会社にもシリコンファウンドリーサービスをもっていくことができ、同一の半導体が得られる見込みがあることを意味する旨。

◇Samsung licenses 3D chip manufacturing tech to GlobalFoundries to win more orders (4月17日付け Reuters)
→Samsungが、世界第2位のcontract半導体メーカー、GlobalFoundries(New York)に対する3次元半導体製造技術、FinFETのライセンス供与に合意の旨。


≪市場実態PickUp≫

【Samsung Galaxy S5のBOM評価】

サムスン電子が最近世界同時発売した最新スマートフォン「ギャラクシーS5」の販売台数が、一世代前の「S4」を上回るとの見通しが出されているが、話題製品についていつもながら早速にそのBOM(bill of materials)コストの評価結果が発表されている。中には"天文学的"という表現が見られている。

◇Samsung Galaxy S5 Carries Astronomical Bill of Materials, IHS Teardown Reveals (4月15日付け IHS iSuppli)

◇Samsung’s Galaxy S5 BOM Tops $250 (4月16日付け EE Times)
→IHS TechnologyのTeardown Mobile Handsets Intelligence Serviceによるbill of materials(BOM)速報データ、下記参照。
http://img.deusm.com/eetimes/2014/04/1321962/Samsung_pic.jpg

◇Samsung Galaxy S5 carries over US$250 BOM, IHS teardown reveals (4月16日付け DIGITIMES)
→IHS発。NANDフラッシュメモリ32GB搭載Samsung Galaxy S5のBOM(Bill of Materials)コストが$251.52、製造コスト$5を加えると$256.52の旨。

◇Galaxy S5 BOM clocks in at over $250 (4月17日付け EE Times India)

【Googleの新アプローチあれこれ】

まずはsmartコンタクトレンズ。涙、まばたきなどからいろいろ行動パターンを読み取って新しい応用の世界が開けるという受け止めである。

◇Google Contact Lens Patent Points to More Wearables (4月16日付け EE Times)
→US Patent and Trademark Office(USPTO)が、microchipsを組み込んだコンタクトレンズに関する多数のGoogle特許申請を発行、microcamera、涙の成分変化を検出する化学センサ、Android機器あるいはsmart carsとのコンタクトがとれるインタフェース、およびまばたきのパターンによりユーザが何をするかを伝えるcommand protocolが盛り込まれている旨。

◇Google patents smart contact lens system with built-in Glass camera-The lens can reportedly be controlled by blinking, could process data to allow blind people to 'see' the world around them and could be hooked up to smartphones. (4月15日付け New York Daily News)
→smartコンタクトレンズのイメージ、下記参照。
http://www.nydailynews.com/life-style/google-patents-smart-contact-lens-system-article-1.1756554#

次に、Googleは米無人機ベンチャーの買収に踏み切っている。

◇Google Has Plans for Titan Drones (4月15日付け EE Times)
→米インターネット検索大手、グーグル(Google)が、米無人機ベンチャー、タイタン・エアロスペース(Titan Aerospace)(Moriarty, N.M.)の買収に合意の旨。
(注) タイタンは2012年に設立された新興企業。太陽電池で高高度を長時間飛行できる商用無人機を開発している。

さらに、build-your-ownの電話が作れるモジュール開発キットが披露されている。以上、Googleの多彩な開拓アプローチが続いている。

◇Google Unveils Modular Phone (4月16日付け EE Times)
→GoogleのProject Araチームが、同社初のAra Developer's Conference(4月15-16日:米国西海岸Computer History Museum)にて、open-source, build-your-own phoneに向けたモジュールdevelopers kitを展示、そのteardown下記参照:
http://img.deusm.com/eetimes/2015/04/1321950/qMR0845T.png

【Micron Technologyイタリア】

前回触れたMicron Technologyのイタリア拠点での人員削減の件、大方の雇用を確保する取引を受けて、従業員の投票が行われ、賛成多数で承認されている。

◇Micron Workers Approve Italian Jobs Deal (4月16日付け EE Times)
→Micron Technology社(Boise, Idaho)のイタリアでの複数拠点の従業員が、jobsを失う危機にあったエンジニア419人の大方について雇用を確保する取引を承認の旨。Micronのイタリア従業員1,000人以上の投票で、該取引に対して賛成749、そして反対が108であった旨。

◇Micron researchers vote for settlement proposal-Micron researchers in Italy approve settlement proposal, saving jobs (4月16日付け Electronics Weekly (U.K.))

【中国の統計データ】 

高水準の経済成長を続ける中国について、裏づけるデータが表われている。
まず、国際特許出願件数が昨年、ドイツを抜いて世界3位に上がっている。

◇2013年、中国の国際特許出願件数が世界3位に (4月13日付け 中国・人民網日本語版)
→光明日報発。世界知的所有権機関(WIPO)が発表した最新データ。2013年、中国がPCT(特許協力条約)に基づき提出した国際特許出願件数は初めて2万件を超え、ドイツを抜き世界3位となった旨。同年の国際特許出願件数の上位5カ国は上から順に、米国(5万7239件)、日本(4万3918件)、中国(2万1516件)、ドイツ(1万7927件)、韓国(1万2386件)の順となった旨。企業別の特許出願を見ると、中興通訊有限公司(ZTE)が2309件で、パナソニック(2881件)に次ぐ2位、華為技術有限公司(ファーウェイ)が2094件で3位につけた旨。

同じく昨年の貿易額であるが、ついにというか米国をも抜いて世界一、というデータが見えてきている。

◇中国:2013年の貿易額が世界一に、423兆円、米国を抜き (4月14日付け 毎日)
→世界貿易機関(WTO)が14日発表した2013年の貿易統計。中国のモノの取引に限った貿易総額が4兆1600億ドル(約423兆円)となり、初めて米国(3兆9100億ドル)を抜いて世界一になった旨。「世界の工場」として輸出額の増加が続く一方、生活水準の向上に伴う消費の伸びや部品輸入の増加を背景に輸入も増加、名実ともに世界一の貿易大国に躍り出た旨。

一方で、足元のGDPについては2四半期連続の鈍化となっており、インパクトが大きいだけに当面目が離せない現状である。

◇中国7.4%成長に鈍化、1〜3月、市場予想は上回る −生産、投資など減速 (4月16日付け 日経 電子版)
→中国国家統計局が16日、2014年1〜3月の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前年同期に比べ7.4%増と発表、政府が主導する重工業の過剰設備の廃棄など構造調整に伴い、企業の生産や投資が落ち込み、成長率は2四半期連続で鈍化した旨。ただ、3月単月では工業生産の伸びが回復するなど、足元では景気が上向く兆しも出ている旨。

【中国の家庭ゲーム機】

同じく中国で、14年ぶりに家庭用ゲーム機の生産と販売を政府が解禁したとのこと。中国電機大手が先陣を切って乗り出すということで、これも目が離せないところである。

◇中国勢が家庭用ゲーム機、国内向け発売、ソニーなどに先行 (4月16日付け 日経)
→中国電機大手が相次いで家庭用ゲーム機の販売に乗り出す旨。TCL集団(広東省)が9日に発売、中興通訊(ZTE、広東省)も16日に予約の受け付けを始める旨。中国政府が14年ぶりに家庭用ゲーム機の生産と販売を解禁したことに対応、米マイクロソフトや日本のソニーなど海外大手の動向が注目されるが、まずは国内勢が先行した形の旨。


≪グローバル雑学王−302≫

世界の宗教を国・地域別にその歴史、広がり、そして変わりようを、

 『世界は宗教で動いてる』
  (橋爪 大三郎 著:光文社新書) …2013年6月20日 初版1刷発行

より見てきたが、今回で読み納めとなる。前回に続いて、我が国、日本人と宗教の後半で、一向宗(浄土真宗)、日本儒学、日本人の勤勉性、そして国家神道ときて、日本国民が新しいやり方を考えて合意しない限り、靖国神社の問題はすっきり解決しないという著者の思いで締めとなっている。世界各国・地域の宗教と人々のものの考え方について、さらに詰めて理解を深めていく必要を感じている。


第六講義 日本人と宗教−カミと人間は対等の関係

クエスチョン4 一向宗(浄土真宗)とはどのような考え方か

・浄土宗から、日本独自の宗派、浄土真宗が親鸞(1173〜1262年)により開かれる
 …極楽に往生する→念仏を称える(感謝する)、という順番に入れ換え
 →往生すると信じて、それを前提に行動すること
・浄土真宗(一向宗)の寺院は、寺院というより道場、すなわち信徒の集会場のようなものに
・中世封建制の末期に、日本で現われた一向一揆、法華一揆、切支丹などの宗教原理主義的な運動
 →こうした運動の再発を防ぐために、寺請制度が考案
 →さらに徹底、宗門人別帳の制度に
 →信仰の自由を獲得しないままに

クエスチョン5 日本儒学とはどのような考え方か

・江戸幕府が導入したのは、儒学のなかでも朱子学。南宋の朱熹(朱子)の注釈に基づく学問
 →あらゆる特権階級に反対
 →すべての人びとに開かれた試験(科挙)にパスした能力証明をもって、自分が行政官僚であることを正当化
・これに対し、江戸の幕藩制は、身分制を基礎
 →最終的には、幕藩制を否定する、尊皇攘夷思想に帰着へ
・江戸の儒学者による結論
 →第一:天皇が日本国の正統な統治者
  第二:政権が天皇の手を離れ、将軍の手に移った
  第三:天皇に政権が復帰する(ことがありうる)
・もうひとつ、江戸儒学の結論は、「忠孝一如」
 →忠(政治的君主に対する服従)と孝(親族の年長者に対する服従)を区別する必要がない
 →尊皇思想を核に、幕府にかえて新しい政府を樹立する運動を強力に展開

クエスチョン6 日本人はなぜ勤勉なのか

・江戸時代の身分制 …士農工商
 →武士階級が何をするのかがはっきりしていない
・武士の所得は農民が払う税金
 →自責の念が武士階級に
・幕藩体制を支える財政は、江戸中期には実質的に破綻
 →殖産興業しかなく、武士が動員
・藩と藩との経済競争が、日本の統治階級に、十分な経営の経験を与える
 →日本株式会社の原点
・江戸初期、禅宗の僧侶であった鈴木正三(1579〜1655年)
 →農業は天が与えた役職、それにいそしむのは仏道修行
 →ビジネスの現場で生産活動に携わること自体が、仏と対面し、自分も仏となる道
・本覚思想や本地垂迹の考えが根付いていた日本には、至る所に仏
 →職場は神聖な修行の場。だから職場には、神棚。

クエスチョン7 国家神道とはどのような考え方か

・幕末維新の顕著な現象 →廃仏毀釈、神仏分離が叫ばれた
・宣長の流れをくむと称する平田篤胤(1776〜1843年)による平田神道(復古神道とも)
 →神道を宗教として純粋化、仏教と絶縁し仏教の要素を拭い去って、尊王思想を神道で基礎づける
 →国家神道が形成…国家が主宰する神道
・英霊は、死者個人にひとつずつ。それが、鏡などの依代にひとつに集められることを、合祀。
・恒久施設の靖国神社がつくられ、そこに英霊が常時、合祀
・1945年の敗戦まで、靖国神社は、陸軍省、海軍省、内務省(警察を管轄する)の三省が共同で管轄、予算を提供
・平田篤胤が言い出したこと
 →死者は黄泉に行かないで、霊となる。とくに国事殉難者はすぐれた霊、「英霊」となって、国の行く末を見守っている
・国事殉難者とは、戊辰戦争の死者だけではなく、坂本龍馬をはじめとする草莽の志士たちも
 →1877年(明治10年)に創建された靖国神社は、「明治維新英雄記念碑」
 →もともと、決して戦争だけのための存在ではなかった
・国家神道という明治の残骸を整理しなおし、日本国に殉じた人びとをどのように遇するか、日本国民が新しいやり方を考えて合意
 →それまで靖国神社の問題はすっきり解決しないと(著者は)思う

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