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新年の力強いスタートへ加勢:11月世界半導体販売高が9ヶ月連続増加

新年早々の米Semiconductor Industry Association(SIA)からの恒例、月次世界半導体販売高の発表が行われている。今回は11月で2013年全体データは1ヶ月待たなければならないが、11月までの販売高累計は$277.98 billionとなっており、$300 billionの大台突破は確実な情勢である。スマートフォン、タブレットなどモバイル機器が引っ張る構図が続いて、2013年3月から11月まで9ヶ月連続の前月比増加、さらに2013年9月からは月次販売高の史上最高更新が続いており、2014年の力強いスタートを勢いづける内容である。

≪2013年11月の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表は、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○グローバル半導体販売高、11月も上昇−9ヶ月連続の世界販売高増加;Americas地域が引き続き伸びを牽引 …1月3日付け SIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2013年11月世界半導体販売高が$27.24 billionに達して、前年同月$25.51 billionから6.8%増、前月総計を0.6%上回っていると発表した。グローバル業界は11月で9ヶ月連続の販売高増加をあげており、前年同月比18.6%増、前月比4.2%増で伸びたAmericas地域が大きく引っ張っている。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「AmericasおよびAsia Pacific地域の伸びの持続およびEuropeおよびJapan地域での最近の戻しに支えられて、2013年のグローバル半導体業界は力強さが高まっており、売上げ新記録の歩調軌道にある。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。
「すべての地域およびほとんどの製品カテゴリーにわたって堅調な推進力があり、該業界は新年の力強いスタートにあたって好位置にある。」

地域別には、前月比でAmericas(+4.2%), Europe(+2.0%)およびJapan(+0.1%)と販売高は増加したが、Asia Pacific(-1.0%)は僅かに減少した。2012年11月と比べると、Americas(+18.6%), Europe(+10.9%)および Asia Pacific(+5.5%)では増加した。Japan(-8.8%)は日本円安が1つにあって減少となっているが、ここ数ヶ月昨年の足並みに戻してきている。

                      【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Nov 2012
Oct 2013
Nov 2013
前年同月比
前月比
========
Americas
5.02
5.71
5.95
18.6
4.2
Europe
2.80
3.05
3.11
10.9
2.0
Japan
3.41
3.11
3.11
-8.8
0.1
Asia Pacific
14.28
15.22
15.07
5.5
-1.0
$25.51 B
$27.09 B
$27.24 B
6.8 %
0.6 %

--------------------------------------
市場地域
6- 8月平均
9-11月平均
change
Americas
5.19
5.95
14.7
Europe
2.91
3.11
6.7
Japan
3.05
3.11
2.1
Asia Pacific
14.83
15.07
1.6
$25.98 B
$27.24 B
4.8 %

--------------------------------------
市場地域
2012年1-11月累計
2013年1-11月累計
change
Americas
49.50
55.79
12.7
Europe
30.56
32.05
4.9
Japan
37.72
31.92
-15.4
Asia Pacific
148.33
158.22
6.7
$266.11 B
$277.98 B
4.5 %


※11月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/November%202013%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

今回から年初からの販売高累計が示されているが、我が国の1-11月は欧州も下回っており、改めて奮起を促す内容となっている。

この米SIA発表を受けて、週末というタイミングがあるかと思うが、以下の反応が見られている。

◇半導体世界販売、272億ドルで最高更新、2013年11月 (1月4日付け 日経 電子版)
→米国半導体工業会(SIA)が3日、昨年11月の半導体世界売上高が前年同月比6.8%増の272億4千万ドル(約2兆8520億円)になったと発表、昨年10月実績を0.6%上回り、3カ月連続で過去最高を更新、前月実績を上回るのは昨年3月から9カ月連続の旨。スマートフォン向けなどで米国を中心に需要が引き続き好調に推移した旨。

この販売高増加の勢いがどう続くかが今後の注目となるが、足元のメモリ関係記事として以下があり、少なくとも12月は勢いの維持を感じさせている。

◇DRAM、高値で横ばい、12月前半大口、パソコン用 (12月28日付け 日経)
→半導体メモリの代表格であるパソコン用DRAMの高値が続いている旨。12月前半の大口取引価格は11月後半から横ばい圏で推移、指標となるDDR3型の2Gビット品は1個2.10ドル、4Gバイトのモジュール(複合部品)も同じく33ドル前後、年初比2倍強の高値水準を維持している旨。

◇SK hynix’s exports surge 38% in 2013-Exports by SK Hynix hit $12.3B in 2013, a 37.8% increase from 2012 (1月1日付け The Korea Herald (Seoul))
→世界第2のcomputerメモリ半導体メーカー、SK hynix社が水曜1日、同社の昨年の輸出出荷が38%増の13 trillion won($12.3 billion)に達した旨。
  

≪市場実態PickUp≫

Samsungが、8-Gビット、すなわち1Gバイトと、1個のdieとしては現在最大容量となるDRAM開発の発表を行っている。SK Hynixも並ぶ形で発表となっている。

【Samsungの最大容量DRAM die】

◇Samsung wants to cram 4GB of RAM into your next phone-Samsung chip steps up memory storage for smartphones (12月30日付け PCWorld/IDG News Service)
→Samsung Electronicsが、来年量産出荷に入る8-Gビット低電力DDR4メモリデバイスを開発、これら半導体の4つからhigh-endスマートフォンで4-Gバイトのストレージが得られる可能性の旨。

◇Samsung unveils industry's first 8Gb LPDDR4 mobile DRAM (1月2日付け EE Times India)
→Samsung Electronics Co. Ltdが、業界初、8Gビット, 低電力double data rate 4(LPDDR4), モバイルDRAMを披露、伸びゆく市場需要に適合するよう次世代の超高速モバイルメモリに向けている旨。該8GビットLPDDR4は、20-nm級プロセス技術で製造、1個のdieで1Gバイトとなり、現在のDRAMコンポーネントとしては最大容量の旨。

Samsungのトップからは、枠組みを乗り越え、業界を引っ張る革新を求める喝が社員に対し次の通りである。

◇Samsung's reinvention? Innovation 'around the clock'-Samsung chairman wants R&D employees to innovate "around the clock" (1月3日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsのchairman、Lee Kun Hee氏が本日出したメモ。同社従業員は、ハードウェアだけの思考を越えて同社製品のより広範な戦略的見方を採らなければならない旨。「我々はもう一度変わらなければならない。業界の流れをリードできるよう、ビジネス構造などinnovationsをさらに大きく推進しなければならない。」

インドでは、2013年を振り返って最も刺激的な年の1つと、以下の見方がなされている。懸案の半導体fab拠点建設に政府の承認が得られて、2つのconsortiaが名乗りをあげているが、大手半導体メーカーが前面に出てきてないという見方も表わされている。

【インドの2013年エレクトロニクス&半導体業界】

◇2013 in review: India, we have lift off! (12月30日付け EE Times India)
→新年が近づいて、EE Times Indiaとしてエレクトロニクス業界を揺るがせたニュースを振り返り、次の通り:
2013年第一四半期に業界最大手、Intelが、desktopマザーボードラインの終わりを発表する一方、STおよびEricssonが、両社モバイル半導体部門の閉鎖に合意、約1,600人の従業員が職を失っている旨。数ヵ月後、現地の良いニュースが表われてきて、インド南部にエレクトロニクス製造clustersを設立するという新規投資提案を政府が受け入れた旨。
2013年後半は、インド初の火星へのspacecraft venture打ち上げ成功、面白いものとなった旨。内閣はまた、fab units設立を承認、インドの輸入依存を減らして、自前設計の半導体生産を促進するものである旨。
IIT Bombayのような教育機関がIC製造先端コースを提示してサポートを示す一方、Infosysなどのメーカーが中途および新卒両方について現地エンジニアのjobsがあることを確認した旨。

◇No major takers for govt's fab project, the second time-As the government fails to get proposals from significant players to set up fab units, the road for Jaypee and HSMC seems clear-India's fab project fails again to attract big chip players (1月2日付け Business Standard (India))
→Hindustan Semiconductor Manufacturing Corp.(HSMC)およびJaypee Associatesが主導する2つのconsortiaが、インドでのウェーハ製造拠点建設および装備で依然競っており、半導体メーカー大手が該プロジェクトのリーダーとして出てきていない旨。HSMCはSTMicroelectronicsおよびSilterraと協働している一方、JaypeeはIBM MicroelectronicsおよびTower Semiconductorとコラボしている旨。

◇Everything will be imported in India, says MAIT (1月3日付け EE Times India)
→2013年はインドのelectronics業界にとって最も刺激的な年の1つであった旨。主要な展開のすべての中で、製造は浮き沈みがあって噂でもちきりのままであったが、2013年はインドに2つの半導体製造拠点を設立するという画期的な承認が行われるとともに、業界を揺るがせるいくつかの発表があった旨。

このところ、シンガポールの研究機関、大学での技術開発の発表がよく目につくということで、この年末年始のタイミングで注目した3件、以下の通りである。世界のhubという立地であり、結集した成果に注目と思う。

【シンガポールでの技術開発】

◇New Innovation By NUS Researchers Enhances Information Storage In Electronics-Researchers develop new MRAM technology (12月30日付け RedOrbit)
→National University of Singapore(NUS)の研究。electronicデータストレージの進歩と謳う新しいmagnetoresistive random-access memory(MRAM)技術を開発、該技法を用いると、MRAM半導体上のデータが20年間保持される可能性の旨。消費者の立場からは、computersあるいはlaptopsのboot upを待つ必要がもはやなくなる旨。

◇Graphene Heats Up Race For Cheap Organic Solar Cells-How graphene electrodes could displace ITO in organic solar cells (1月1日付け CleanTechnica)
→A*STAR Institute of High Performance Computing(Singapore)の研究。
graphene製電極がorganic solar cellsでindium tin oxide(ITO)電極に置き換わる可能性があるほどに、graphene生産が改善されてきている旨。
organic solar cell上に4つのgraphene層を置くのにchemical vapor deposition(CVD)を使用、該carbon材料がITOのエネルギー効率、92.3%に達し得ることを見い出した旨。

◇Grow graphene for electronics the bio-inspired way-Team uses bubbles in growing, transferring graphene (1月2日付け EE Times Asia)
→National University of Singapore(NUS)の研究。grapheneの成長、移転のプロセス、face-to-face transferの一部としてcapillary bridgesを採用、NUSのGraphene Research Centerにて研究チームは、まずシリコン基板上copper触媒層の真上にgrapheneを成長、それからcopperをetching除去、capillary bridgesを形成するbubblesを通してgrapheneをシリコンにくっつける旨。


≪グローバル雑学王−287≫

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が国連の潘基文(バン・キムン)事務総長と電話で協議、安倍晋三首相の靖国神社参拝について「過去を直視せずに周辺国に傷を与えれば協力の環境を阻害して不信と反目をつくり上げる」と批判したという記事(1月2日付け 日経・電子版)が見られる現時点であるが、

『歴史認識を問い直す −−−靖国、慰安婦、領土問題』
   (東郷 和彦 著:角川oneテーマ21 A-168) …2013年5月10日 再版発行

より、こんどは韓国の場合の歴史認識問題に焦点を当ててみる。靖国参拝に加えて慰安婦問題があり、以下著者が示す根っこにある心情、今までの経緯、そして政治的和解を目指す解決の道筋の考え方に注目している。


第二部 歴史認識問題 −−−再登場した諸問題

第五章 韓国の場合 −−河野談話と慰安婦問題

□募る「恨」の感情
・中国との歴史問題
 →日本の中国大陸への侵略に対する怒りと総括
・対して、韓国の場合
 →日本により併合、36年にわたり国を失ったというもう一つ次元の違う「恨」が背景
(一)民族の屈辱感
 →海を隔てた東夷の世界にある日本、朝鮮よりも下の世界
(二)裏切り
 →日韓議定書で「韓国の独立を保証」、その日本に併合された
(三)弾圧
 →1910年併合初期の武断政治、抗する「三・一」運動
(四)皇民化の動き
 →創氏改名、忠良な日本帝国の臣民とする政策
(五)韓国人にとって最も耐え難いこと
 →韓国の最優秀の青年たちが、日本帝国のために、その一部たる韓国のために。自ら志して戦った例
(六)戦後においても、南北が分断占領されるという予期せぬ悲劇
 →韓国から見れば、分断の悲劇を担うべきは、戦争の責任者たる日本であるべきということに
(七)狂気の朝鮮戦争
・近代化への日本の努力
 →朝鮮では、自らの力で近代化を成し遂げられなかった怒りとしての記憶に転化しているよう
・日本に対して繰り返し取り上げられる四つの「恨」
 →独島問題
 →教科書問題
 →靖国の問題…中国との関係で一義的に問題
           …靖国神社に祀られる2万1000余名の朝鮮人英霊
 →慰安婦問題
・日韓は、少しずつ和解の過程
 →1998年の日韓共同宣言(小渕首相と金大中大統領)で頂点に
 →この宣言の後半、「若い世代が歴史への認識を深める」という点
 →残念ながら、日韓両国においてこの取り組みが十分になされていない

□河野談話とはなにか
・2011年夏以降、半端でない難しさを伴って登場した慰安婦問題
・世界の大勢についての正確で鋭敏な情報を入手、有効に対応しない限り、日本は、確実に、来るべき外交戦争に敗北する
・日本の国内議論は、先鋭な左と右の対立から始まっている
・1993年8月4日、河野談話の発出
 →これでいったん決着がついたかにみえたが、1995年に活動を開始した「アジア女性基金」の活動を巡って、日韓の対立は再燃

□日本は人権否定者か
・2007年3月1日、ぶらさがり懇談で安倍首相
 →狭義の「強制連行」はなかったという趣旨の発言
 →安倍総理を慰安婦問題の「否定者」(denier)として糾弾する米国マスコミの論調が想像を絶して凄まじいもの
・(著者が、)議論に参加したアメリカ人から言われたこと
 →「自分の娘が慰安婦にされていたらどう考えるか」という一点のみ
 →この問題の本質
・「昔は仕方がなかった」と言って肯定しようものなら、問題外の国ということに
・2007年7月30日、慰安婦決議案(日本に対する公式謝罪要求)が、歴史上初めて米下院本会議で採択

□再燃する慰安婦問題
・鎮静化の様相の後、2011年の春ごろから、韓国とアメリカでこの問題が再燃
・2011年8月、韓国憲法裁判所から、韓国政府は慰安婦の権利を守っていないという判決
 →ソウル日本大使館前の慰安婦像が、同年12月14日に正式に設立
・李明博大統領は、2012年8月の竹島訪問について、慰安婦問題がその直接の引き金となったと述べた

□アメリカの問題意識
・韓国系アメリカ人投票者協議会(KAVC[The Korean American Voters' Council])が、ユダヤ社会との連携を進める動き
・2012年春、New Jersey州Palisades Park市で、慰安婦の設立建立の動き

□政治的和解をめざして
・韓国との関係、もとより、解決には道筋
 →(著者が1つあると思うに、)「アジア女性基金」の延長上に新しい制度をつくる。日本政府は道義的観点から謝罪と償いを行う。
 →日韓間の政治的和解の基礎をつくること
・アメリカおよび世界の世論に対しては、日本人は「女性の痛みを感じる民族である」という立場を揺るがせにしない
 →河野談話には手をつけずに、存置する

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