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金融危機の渦中、双十節を迎える台湾へ/グローバル雑学王−14

先月9月下旬以降、米国の証券会社破綻を発端とする金融危機の嵐が世界中に波及してますます吹き荒れているが、その激しさが増す中、仕事の打ち合わせで台湾を訪れた。この3月、総統選最中に出かけて以来であるが、自分の目を通した見方が若干ながら入るグローバル雑学観察の以下趣きである。

≪金融危機の渦中、双十節を迎える台湾へ≫

行きの飛行機の中で手にした産経新聞(10月8日)にちょうど台湾の特集記事が載っていて、アップデートするのに大変参考になった。この10日、双十節を迎える台湾の現時点について、次の2点が大きな見出しとなっている。今年5月、中国国民党が8年ぶりに政権復帰し馬英九(マー・インチウ)政権が発足、対中融和を軸に「台湾再建」への第一歩を踏み出した、とある。

※国際的活動空間を拡大−−−「アジアのハブ」へ航路網整備着々
 ・7月に中台間を結ぶ週末チャーター直行便が開通、「世界の工場」上海
  経済圏に最も近い台湾の地の利を生かし、将来は中国、そして日本、韓国を結ぶハブとしての機能を高める構想。
 ・中台の7月時点で開放された空港:
  台湾側 …台北・松山、高雄など8空港
  中国側 …北京、上海、アモイ、広州
 ・日本との航空路線の拡大 →従来の東京・成田、関空など9空港に、昨年小松、宮城が加わり、羽田の新ターミナル(2010年完成予定)と台北・松山を結ぶ路線設置構想も浮上している。

※両岸が連携「経済再生」−−−「愛台12建設」インフラ充実も
 ・対中経済交流の拡大と、公共投資を主体とする「愛台12建設」を経済政策の両輪。
 ・両岸政策の「3つのノー」(統一しない:独立しない:武力を用いない)
 ・大規模な8ヵ年の投資計画、総額約13兆3200億円。7割近くが公共投資。
 ・世界のトップ水準にあるIT産業を土台とする台湾独自の新産業の構築。

"双十節"というのはそんなに耳慣れないということで、以下同新聞からのおさらいである。
○双十節(そうじゅうせつ)    (10月8日付け 産経)
…清朝を倒す辛亥革命の引き金となった武昌蜂起(1911年10月10日、 中国湖北省武昌で起きた兵士たちの反乱。)を記念する祝日。清朝崩壊後は南京で孫文が成立を宣言した「中華民国」の実質的な「建国記念日」となり、国共内戦の後、中国国民党が台湾に移ってからも各地で祝賀行事が行われた。「十」が2つ重なるため、双十節と呼ばれる。

台湾のデバイス業界の記事で見かける"双兆双星"という表現も似た響きを感じるものがある。兆台湾ドルの規模に伸びた半導体および液晶を軸に、次のスター産業に注目していく動きである。ナノテク、バイオ、コンテンツなどが挙げられていると思う。

さて、今回の滞在中に特に感じたこと、以下記していく。

*台湾桃園空港に着いたら陽射しが煌煌で気温30℃、台北に向かっていって圓山大飯店の綺麗な建物が見えてきたら雨模様に。本当に変わりやすい天気、秋のこの時期の特性はここでも同じことか。

*中華民国の旗が道路に沿って一定間隔で見渡す限り置かれている。双十節を迎える雰囲気を盛り上げている。
またここでおさらい、中華民国の国旗は次の通りである(BIGLOBE百科事典)。
…中華民国の国旗は、青天白日滿地紅旗(せいてんはくじつまんちこうき、拼音: qīngtiān-báirì-mǎndìhóngqí、日本の漢字では「青天白日満地紅旗」)と呼ばれる旗であり、中華民国の国章は、国旗の左上に描かれている青天白日の紋章である。現在のこの国旗と国章は、1928年に蔣介石が中華民国・南京国民政府(今日の中華民国政府の前身)を成立させた際に初めて正式に採用された。なお、青天白日の紋章は、制定当初から中国国民党の党章も兼ねている。
この国旗は下記参照。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/72/Flag_of_the_Republic_of_China.svg/260px-Flag_of_the_Republic_of_China.svg.png

*今年2008年は中華民国九十七年になるとのこと。今回は特にいっそうの余談続きをご容赦願いたいが、小生が台湾を初めて訪れたのが1995年であり、そのときが中華民国八十四年であったのを妙に印象深く覚えている。
その13年前に歩いたのと同じ道筋を今回通ったが、昔当時は映画劇場があって回り一帯が古めかしい建て込んだ強烈なエネルギーを感じさせた光景が今や一変、表参道と何ら変わらない本当に綺麗になったもの。

*雑談で今回まず出てくるのが株下落の話。これは世界のどこにいようと、代わり映えがしない昨今かもしれない。

*移動に新幹線(台湾高鐵:TAIWAN HIGH SPEED RAIL)を今回も利用したが、双十節の三連休を迎える前日ということか、けっこう席が埋まっている。
「最高時速293km、ただ今293km」という表示テロップがよく出てくる。

*日本に帰る双十節の日、桃園空港に向かう道路はやはり大渋滞。橋の欄干、道路、そして空港と国旗がずっと連なっている。

帰ってから目にした今回の「双十節」の記事、次の通りである。

○台湾「双十節」記念式典、軍事パレードは封印。(10月11日付け asahi.com)
台湾で10日、馬英九・国民党政権になって初めての双十節記念式典が行われた。昨年は民進党の陳水扁前政権が軍事兵器を披露する軍事パレードを復活させ、中国や米国を刺激したが、今回は軍事パレードを封印し、代わりに市民らも参加。発泡スチロールでつくった戦闘機や戦車を見せるにとどめ、平和的姿勢を示した。演説で馬総統は中台関係について、三つのノー政策によって改善を進めるとした。
[写真]台北で10日、台湾の双十節のパレードが行われ、発泡スチロールでできた戦闘機や軍艦などが登場した。
http://www.asahi.com/international/update/1010/images/TKY200810100316.jpg


≪グローバル雑学王−14≫

同じく、『色彩の世界地図』(21世紀研究会 編著:文春新書 311)から、今回は戒律の厳しさを改めて感じるイスラーム世界の色彩感覚である。今までの馴染みが薄い分、お互いを知って距離を縮める努力の必要性を感じるところ多々である。

○イスラーム世界の緑色

[イスラームの教えとは]
・一日に五度、決められた時間にお祈りをし、豚肉は食べない、一ヶ月も断食をする、女性は肌を露わにしてはならない、などさまざまな戒律。
・この教えがあるからこそ、厳しい自然条件のもとで社会の秩序が保たれてきた。
・イスラームの神、アッラーは、聖書で、この世を創造したとされる神と同じ、つまりユダヤ教、キリスト教と同じ神を崇拝。
・最も偉大な預言者ムハンマドが、神の教えをあらためてまとめたのがイスラームの教え、その聖典がコーラン(クルアーン)。
・イスラームは、聖書を部分的に認めている。

[エメラルドの板と緑のターバン]
・イスラームの宇宙観 →天上界は七層から成っており、その最上層に神。
・楽園の緑がいかに心地よいものであるか
 …楽園には川が流れ、緑があふれ、香りのよい泉があり、理想的な美女がいつもそばにいて、この世では禁じられている酒が川のように流れていて飲み放題。
・ムハンマド                    →緑色の旗
 カリフ(ムハンマドが亡くなって以降の教団の指導者) →緑色の外套
 シャリーフ(預言者ムハンマドの直系の子孫)     →緑色のターバン
・イスラーム各国の国旗、イスラーム諸国連合の連合旗、アラブ連盟の連盟旗などに多い緑色。
・リビア …緑一色の国旗
      …カダフィ大佐があらわした自身の政治思想の本『アル=キターブ・アル=アクダール(緑の書)』

[神と死装束]
・イスラームにとって白は、光の色、唯一絶対の神の色、目を開けていられないほどの白さ、というイメージ。

[黒衣大食と白衣大食]
・黒 →暗黒の世界、死、悲しみの色。一方、死や悲しみを克服し、打ち勝つことをあらわす色でも。
・正統カリフ時代の終焉(661年)以後、ウマイヤ家がカリフの地位を世襲制に。
 ⇒今日でもイスラーム教徒の9割を占めるスンナ派の系統
  一方の反ウマイヤ朝勢力 ⇒シーア派へと発展

[カアバ神殿の石]
・イスラーム教徒にとって、印象の強いもう一つの黒 
 →聖地マッカのカアバ神殿にある黒い石

[青い日、白い日]
・青 …アラビア語でアズラク 
    →英語:azure(空色、淡青色)。azurite(藍銅鉱)。
    →何か悪いことが起きると「今日はアズラクな日だ」
・白 …アビヤード: 日常生活では色の王様
    →「ナハルク・アビヤード!」(白い日を!:よい一日を!)

[聖戦と赤]
・イスラーム国家の国旗の赤 
 →独立闘争で流された犠牲者の血を象徴
 →独立に向かった人びとの情熱ということでも
・聖戦では、赤は天使の援軍の色。

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