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年の瀬の新たな局面展開、グローバル市場の活発な動き

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本年も残すところあと僅かとなったタイミングながら、半導体関連市場での新たな局面展開に向けた業界各社の動きが活発に見られている。AvagoがLSIを、IntelがMindspeedをそれぞれ買収、取り組む事業を加える動きが1つ。
また、中国で伸び続けるスマートフォン市場に向けて、LCD driver ICはじめ関連コンポーネントの供給で熾烈な競争、そして参入が繰り広げられている。もう1つ、インドのITおよびソフトウェアサービス大手では、約16,000人のエンジニアを加える計画が打ち上げられて、本年の締めを煽っている。

≪今後に備えるそれぞれの動き≫

ストレージ半導体市場への参入に向けて、Avago Technologies Ltd.が、LSI社を買収する動きが以下の通りである。ASIC事業を作り出して引っ張ったLSI社、前LSI Logic社が、買収されることに、業界の1つの節目を感じるところである。一昔前、業界を大きくリードしたWilfred Corrigan氏とともに思い出される。

◇Avago/LSI Points to Maturing Industry (12月16日付け EE Times)
→熟する半導体業界を示す一端、Avago Technologies Ltd.が、LSI社を6.6 billion in cash and loansで買収する計画を発表、両社は、製品の重なりはほとんどなく、製品および技術シナジーの可能性がある旨。該取引は、より大きく広範な通信用半導体設計を作り出し、売上げの伸びは鈍化するものの利益は高まる見込みがある旨。

◇Avago Technologies to acquire LSI Corporation (12月16日付け ELECTROIQ)
→Avago Technologies LimitedとLSI Corporationが本日、AvagoがLSIを$6.6 billion相当のall-cash取引、$11.15/株で買収する最終合意に入った旨。

◇Avago to Buy LSI for $6.6 Billion-Avago adds networking, storage chips with LSI buy (12月16日付け The New York Times /DealBook blog)
→Avago Technologiesが、同社をかつて所有していたSilver Lake Partnersによる融資で、LSIを$6.6 billion in cashで買収・合意の旨。両社は2014年最初の6ヶ月の間に取引を完了予定の旨。LSIは、30年以上前ASIC事業を作り出し、最近ではデータセンターのストレージについてのネットワーキング応用に重点化の旨。

◇Avago to buy Silicon Valley storage chip maker LSI for $6.6B (12月16日付け VentureBeat)

◇Avago to buy LSI to enter storage chip market (12月17日付け DIGITIMES)

Intelが、Mindspeed Technologiesの1事業部門assetsを買収 cellular基地局用radio-frequency(RF)半導体ラインを加える動きが以下の通りである。
これには、M/A-COM Technology Solutions HoldingsによるMindspeedの買収が並行する形となっている。

◇Mindspeed announces agreement to sell assets to Intel (12月16日付け ELECTROIQ)
→ネットワークインフラ向け半導体ソリューション・サプライヤ、Mindspeed Technologies社が本日、同社ワイヤレスインフラ事業部門assetsをIntel Corporationに売却する最終合意に調印、該asset売却は、2013年11月5日に発表されたM/A-COM Technology Solutions Holdings社との合併合意計画から考えられている旨。

◇Intel to buy Mindspeed Technologies to go after the telco base station market -Intel to purchase Mindspeed's wireless technology (12月16日付け GigaOm)
→Intelが、cellular基地局用radio-frequency(RF)半導体ラインを加えて、Mindspeed Technologiesのワイヤレスassetsを買収、該取引は2月に完了予定の旨。Mindspeedは先月、M/A-COM Technology Solutions Holdingsによる買収に合意、該取引はワイヤレスassetsなしで前進する旨。

◇Mindspeed Boosts Intel Baseband Play (12月17日付け EE Times)
→Intelが、途上の部類のsmall-cell基地局などcellular基地局用半導体を設計するMindspeedのワイヤレス部門を買収の旨。

◇MACOM successfully completes tender offer for Mindspeed Technologies (12月18日付け ELECTROIQ)
→高性能RF、マイクロ波およびミリ波製品サプライヤ、M/A-COM Technology Solutions Holdings社が本日、Mindspeed Technologies社の発行済み普通株式すべてを$5.05/株 in cashで買収する以前に発表の株式公開買付を成功裏に完了の旨。

LCD driver ICを始めとして、中国のスマートフォン市場に向けたコンポーネントを巡る競合、参入が以下の通り激しさを増している。特に、韓国と台湾の間でのLCD driver IC実装およびtestingサービス分野の凌ぎ合いに注目している。

◇Chipbond facing increasing competition from rivals in Korea (12月18日付け DIGITIMES)
→市場観測筋発。韓国のLCD driver IC実装およびtestingサービス・プロバイダー、NepesおよびLB Semconが、最近見積もりを約30%下げて、Chipbond Technologyに圧力を与えている旨。Chipbondは、中国で販売されるスマートフォン向けに主にソリューションを出荷する台湾のLCD driver ICサプライヤの多くにbackendサービスを供給している旨。

◇More IC players to step into LCD driver IC market in 2014-Sources: China's smartphone market draws more firms to LCD driver chips (12月19日付け DIGITIMES)
→業界筋発。touchscreenコントローラおよびロジックICベンダーのいくつかが、中国の成長するスマートフォン市場に注目、2014年にLCD driver IC市場に踏み込む見込みの旨。touchscreenコントローラICベンダー、FocalTech Systemsは2013年にdriver IC市場に参入、中国のhandset業界への浸透を強化する狙いの旨。

◇Taiwan IC suppliers developing chips for MediaTek smartphone solutions (12月18日付け DIGITIMES)
→業界筋発。MediaTekのスマートフォン用ソリューション出荷が2013年200 million個、2014年に300 million個と増大する見込み、これらソリューションに取り入れられる半導体の開発に向けて、台湾のLCD driver ICs, power management ICs, ambient light sensors, gyroscopes, touchscreen controller ICsおよびMEMS microphonesのサプライヤが刺激を受けている旨。

最後に、インドではやはり桁違い、Infosysからエンジニアの採用計画の打ち上げである。グローバル市場の反応、成果のほどに注目である。

◇Infosys to employ 16,000 engineers (12月20日付け EE Times India)
→ITおよびソフトウェアサービス大手、Infosys(インド・カルナータカ州バンガロール)のchairman、N.R. Narayana Murthy氏がMumbaiでのイベントにて、欧米市場からの外部委託opportunitiesが引き続き増加、同社従業員に約16,000人のエンジニアを加える旨。


≪市場実態PickUp≫

台湾・Advanced Semiconductor Engineering(ASE)の未処理廃水河川流出問題が、いろいろな切り口で連日、以下の通り取り上げられている。原因究明、再発防止を経て早期収拾を待つのみである。

【ASEの廃水問題】

◇ASE denies wastewater wrongdoing (12月14日付け Taipei Times)
→当局は、テスト用サンプルが取られる前に、ASEが廃水storage poolに水道水を加えて欺こうとした、としている旨。

◇Prosecutors may question ASE founder in 'snowballing' pollution case (12月15日付け Focus Taiwan)
→台湾Kaohsiung District Prosecutors' Office(高雄地区検察庁)が日曜15日、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)社による水の汚染に対する調査を続行、同社chairmanを尋問に呼ぶ可能性の旨。

◇ASE Falls Most in 22 Months on Pollution Probe: Taipei Mover-ASE's pollution problems hit the company's stock (12月16日付け Bloomberg)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)の工場の1つから未処理廃水を流したことについて、政府当局からのより厳しい制裁処置にASEが直面する可能性があるという報道を受けて、ASEの株価が本日、Taipei stock exchange取引で6.9%下がった旨。

◇ASE starts moving production equipment at offending factories to other plants, say sources (12月16日付け DIGITIMES)
→不特定筋発。Advanced Semiconductor Engineering(ASE)が、同社K5, K7およびK11工場の生産設備のいくつかを他の工場に動かし始めている旨。
未処理廃水廃棄について台湾政府が告発している該3拠点の稼働停止の可能性のインパクトを減らそうとしている旨。

◇ASE chair apologizes for causing public uneasiness over pollution (12月16日付け Focus Taiwan)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)社のChairman、Jason Chang氏が本日、同社高雄(Kaohsiung)工場の1つが未処理廃水を農業灌漑に用いられる川に排出、一般に混乱を引き起こしたことを謝罪の旨。

◇ASE says it has no plans to lay off workers (12月18日付け Focus Taiwan)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE)社が水曜18日、公害問題で工場の1つが閉鎖の可能性があるなか、従業員レイオフの予定はない旨。ASE従業員団体のメンバー約10人が同日早くKaohsiung City政府に赴き、同社K7工場を閉鎖しないよう求めている旨。

サーバプロセッサを自前で設計、データセンターまで考えるという動きが、以下の通りである。ARM-ベースになりそうということで、同社の株価が上がっている。

【自前設計の動き】

◇Facebook's monster PHP engine ready to muscle into ARM server chips-It's not just Google mulling a shift to Intel's arch rival-Will Facebook design ARM-based server chips? (12月13日付け The Register (U.K.))
→Facebookが、ARMプロセッサベースのサーバを開発していることをうかがわせており、カスタムARMプロセッサ設計が続きそうな見込みの旨。同社websiteには、ARMサーバソフトウェアエンジニアのjob postingが見られており、半導体設計は今後2-3年にわたる可能性の旨。

◇半導体の自社設計検討、米グーグルサーバー性能向上 (12月14日付け 日経・夕刊)
→インターネット検索最大手、米グーグルがサーバーに使う半導体の自社設計を検討していることが13日、明らかになった旨。グーグルはネット検索や動画共有サイトなどの運営に大量のサーバーを利用しており、中核部品であるMPUも自ら設計し、性能を高める狙いの旨。

◇ARM shares rise on report Google may use its chip designs (12月13日付け Reuters)

AMDとSK Hynixが高バンド幅メモリの共同開発、そしてMicronとBroadcomがDDR3 DRAMsタイミング問題の打開コラボと、メモリの枠からさらに越えてシステム性能の向上を目指す協働が行われている。

【メモリ協働】

◇AMD and Hynix announce joint development of HBM memory stacks-AMD, Hynix will work together on HBM memory stacks (12月16日付け ELECTROIQ)
→1)RTI 3D ASIP(Research Triangle Institute-主催3-D Architectures for Semiconductor Integration and Packaging Conference) meeting(Burlingame, CA)にて、AMDとHynixからHBM(high bandwidth memory)共同開発の発表、3DICメモリ, したがって2.5/3D技術のすべてが先週、完全商用化に向けて1ステップ近づいた旨。
 2)Advanced Micro Devices(AMD)とSK Hynixが、三次元stacksでのhigh-bandwidth memory(HBM)デバイス開発でコラボ、両社は、JEDEC仕様を活用、まずgraphics processing units(GPUs)でHBM技術導入を目指し、networkingおよび高性能computing応用に続ける旨。

◇Micron to Solve DRAM Timing Challenge with Broadcom.-Collaboration Addresses Persistent DDR3 tFAW Timing Constraint-Micron, Broadcom work to resolve DRAM timing issue (12月16日付け XBitLabs.com)
→Micron TechnologyとBroadcomが、DDR3 DRAMsで見られるタイミングパラメータ、four activate windowが引き起こすデータスループットの制約を打開するよう協働している旨。

◇Micron collaborates with Broadcom to solve DRAM timing challenge (12月17日付け ELECTROIQ)
→Micron Technology社が本日、intrinsic DDR3 timing parameter、tFAW(four activate window)が課題の顧客向けに設計された業界初のソリューション開発で、Broadcom Corporationとコラボする旨。tFAWは、サーバ、ストレージおよびネットワーキング応用でデータスループットを抑制、バンド幅を15-35%損ない得るDDR3 timing parameterの旨。

◇Micron collaborates with Broadcom to solve DRAM timing challenge (12月18日付け DIGITIMES)


≪グローバル雑学王−285≫

2012年は我が国外交敗北の年と著者が忸怩たる思いで以下の通りタイトルを表わしている領土問題であるが、韓国との竹島問題に続く今回は、ロシアとの北方領土問題であり、

『歴史認識を問い直す −−−靖国、慰安婦、領土問題』
  (東郷 和彦 著:角川oneテーマ21 A-168) …2013年5月10日 再版発行

より、生々しい舞台裏を含め、経過を辿っていく。プーチン大統領在任の間になんとか、そしてここでも共存に向けて、活路を切り開いていく課題が日本民族に問われているとしている。


第一部 領土問題 −−−2012年外交敗北

第三章 北方領土問題 −−歴史的機会への遭遇

□おさえるべき交渉の経緯
・ロシアを相手とする国後、択捉、歯舞、色丹の四島の帰属の問題
・交渉経緯の主要点
 →交渉が本格化、ゴルバチョフ書記長が登場した1985年以降
 →爾来、様々な努力、四島の主権の問題を取り上げる三つの合意:
  *国後・択捉について交渉の対象と合意する
  *歯舞・色丹について1956年宣言を確認する
  *国後・択捉について実質合意をする
 →2001年イルクーツク、戦後の日ロ交渉上初めて、以下の文書確認
  「1956年宣言に基づく歯舞、色丹の引き渡しはやりましょう。それから、国後、択捉をどうするかという議論をこれからやりましょう」
 →にも拘らず、その後、日本側における逆なで発言など政治的混乱によって交渉はストップ
 →2010年は最悪の年に
  →11月に、メドベージェフ大統領がロシアのナンバーワンとして初めて国後を訪問、日本では、激昂する報道が相次ぐ
 →2011年あたりから、微妙に風向きが変わり始める
  →3・11に対するロシア世論は極めて温かい
  →日本側の神経を逆なでする論調はぱたりと途絶え、関係の発展を希望する論調が増え始めた

□プーチンの本音
・プーチンが考える国家目標とは「強いロシア」をつくること
 …経済面、軍事面、地政学的な立ち位置
 →ヨーロッパでもアジアでもない独自の「ロシア空間」または「ユーラシア空間」
・強い経済が必要
 →エネルギーの安定輸出がまず
 →特に原子力が破綻した日本への安定した天然ガスの供給
・二つのロシアの対中国政策
 →絶対に中国とは喧嘩しないこと
 →中国の周辺で、仲良くできる国とはできる限りの戦略的な提携を結んでいく
  →最初に選んだ国が日本
・現在ロシアが国境線を画定できないでいる相手は、日本だけ
 →国境線を画定して、アジア・太平洋における安全保障上の立ち位置を強化

□安倍首相の対ロ外交
・2012年9月、ウラジオストックで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)
 →ロシアからの微笑外交の最も象徴的な場に
・日ロ関係という観点、安倍総理の誕生はとても良いニュース、その三つの理由
 →安倍総理の父、安倍晋太郎元外務大臣とゴルバチョフ大統領との友情物語
 →安倍第一期政権の時に出された経済協力提案
 →もう一つ、安倍第一期政権の時、麻生外務大臣による領土の解決を面積で割って考えるという案
・このような好条件で出発した安倍対ロ外交はまずはスムーズな出発をしたよう

□四島一括返還は可能か
・安倍政権の対ロ新政策のポイントは二つ
 →経済を軸とする両国関係発展の具体案をつくること
 →領土問題を相互譲歩によって解決する具体案をつくること
・なぜロシアにとって、四島一括の案をのむことが難しいか
 →この交渉に対する日ロの立場の根本的な違いに由来
・日本からすれば、千島全島を無理して放棄させられた以上、四島の回復は『最低限』の要求事項に
・ロシアからすれば、サンフランシスコ条約で「千島列島」を放棄した日本との間で始まっている

□「存在しない秘密提案」の存在
・1991年、ソ連邦が解体、ロシア連邦が成立し、国の面積の4分の1と人口の半分を失った
・当時、一方の日本はバブル経済に陰り、とはいえ、有頂天の時代
・日本の付加価値がいちばん高かったときに、ロシアが出してきた妥協案
 →1992年、コズイレフ外務大臣のときの「存在しない秘密提案」
  →内容は予想を超えるもの
・しかしながら日本は、この案を交渉の基礎として受け入れなかった
・該提案のポイント:
 1.1956年宣言で引き渡しが決まっている歯舞・色丹二島についての引き渡し交渉をまず始める
 2.合意を得たら、法的に二島が日本に引き渡される協定を締結する
 3.これにならった形で、国後・択捉についての交渉を行う
 4.合意したら、四島の問題を解決する平和条約を結ぶ
 →解決が「四島一括」にはならず、歯舞・色丹が引き渡される時点で、国後・択捉返還の法的な保証がない点
  …日本側が譲歩する部分
・どうしてこのような案を日本側が受け入れなかったのか
 →致命的な判断ミスではなかったかというのが(著者の)結論

□日本に残された選択肢
・いまロシアが「四島一括」案をのむ可能性があるか。皆無だと思う。
・もし安倍政権が失敗すれば、予見される将来はゼロとなる
 →今後プーチンほどに日本とやってみようという大統領は、たぶんでない
・かくも近くあの島に位置する日本が、自縄自縛の法理に引きずられて、あの島々とは全く無縁の存在に化す
 →それでいいのだろうか
・日本民族に、ロシア人とともにあの島に住み、祖先の魂を呼び返す道を拓いていただきたい

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