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スーパーコン用半導体&アーキテクチャー、改めて各社の取り組み

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スーパーコンピュータの最高性能を競うSupercomputing 2013(SC13)(11月17-22日:Denver, Colorado)は、年2回の開催で第42回になるとのこと、今回はまたも中国、それにはインテル製品が使用されている。ちょうど10年前を振り返ると、以下の記事が見られる。
◇世界のスパコン性能ランク、NEC製が依然トップ、3位にバージニア工科大製、デル製ランクイン (2003年11月19日付け 電波)
→米テネシー大と独マンハイム大まとめ、「トップ500」微細化と同様、果てしない着実な性能の進展に、改めて注目している。

≪さらに先の処理能力向上≫

今回は、またも中国の「天河2号(Tianhe-2)」が首位を維持、以下のシステム概要にある通り、インテル製品が使用されている。

◇China Retains Lead in Supercomputers (11月18日付け EE Times)
→中国のスーパーコンピュータ、Tianhe-2が、最新Top 500 listで世界で最も強力なcomputerとして首位を維持、Linpack benchmarkで33.86 petaflop/sと第2位の約2倍の旨。中国のNational University of Defense Technology(中国人民解放軍国防科学技術大学)が開発、Guangzhou(広州、広東省)で運用の旨。該システムは、3.12 million computingコアを収容、16,000 nodesの各々に2つのIntel Xeon Ivy Bridgeおよび3つのXeon Phiプロセッサのmixとなっている旨。

◇The World’s Most Powerful Supercomputer Is Still in China (11月18日付け All Things D)

◇China's Tianhe-2 Holds Top Spot on Supercomputer List (11月21日付け EE Times)
→SC13 conference(Denver)にて18日発表された世界で最も強力なシステムのTOP500 list(年2回、第42回)で、中国のTianhe-2で世界最高性能のスーパーコンピュータに。外観、下記参照。
http://img.deusm.com/eetimes/2013/11/1320189/Tianhe-2.jpg

これを受けた反応であるが、中国では以下の通り表わしている。自前の半導体チップ、米国の底力がキーワードと思う。

◇世界スパコンランキング、天河2号が首位をキープ (11月19日付け 人民網日本語版)
→18日に発表された最新のスパコン処理能力ランキング「TOP500」。中国国防科学技術大学が開発した「天河2号」が、2位の米「タイタン」に2倍弱の差をつけて、再び首位に輝いた旨。米国の専門家は、天河2号は今後1年間、世界最速のスパコンであり続けるだろうと予想した旨。中国のスパコン発展の主な課題について、同ランキングの主な編集者の一人、米テネシー大学コンピュータ学教授のジャック・ドンガラ氏は、「中国が現在取り組むべきことは、独自のチップ技術の開発だ。これが実現されれば、コンピュータ全体が中国製の部品によって製造できる」と指摘した旨。
ランキング全体を見ると、トップ500入りを果たした米国のスパコンは、前回の253台から265台に増加、強さを見せつけた旨。中国大陸部は65台から63台に減少したが、2位をキープ、3位の日本は28台、4位の英国は23台、5位のフランスは22台、6位のドイツは20台となった旨。

我が国では以下の通り、「京」がなんとか第4位維持という受け取りである。

◇スパコンの世界ランキング、「京」4位維持 (11月19日付け 日経 電子版)
→年に2回、スーパーコンピュータの計算速度を競う世界ランキング「TOP500」が18日、米デンバーで開催中の国際会議で発表され、日本の理化学研究所と富士通が開発した「京」は前回の6月と同じ4位、中国の「天河2号」が首位で、上位5位までの顔ぶれは変わらなかった旨。各国でスパコンの増強計画があり、京は4位を維持できるか微妙とされていた旨。

インテルのプロセッサの比率の大きさが、インドでは改めて謳われている。

◇Intel processors power 82.4% of top 500 supercomputers-Tianhe-2 remains top supercomputer (11月21日付け EE Times India)
→スーパーコンTop500リストで、38システムがNvidia半導体を使用、2つがATI Radeon、そしてIntel MIC(Many Integrated Core)技術(Xeon Phi)を擁するシステムが現在13の旨。Intelが、該Top500システムについて最大シェア、82.4%にプロセッサを引き続き供給している旨。

今回、マイクロンが、根本的に新しいアーキテクチャー、Automata Processor(AP)を以下の通り発表している。バージニア大学内にそれに向けたセンターを置く取り組みである。

◇Micron announces development of new parallel processing architecture (11月18日付け ELECTROIQ)
→Micron Technology社が本日、complex, unstructuredデータstreamsの高速、包括的検索&解析が行える根本的に新しいcomputingアーキテクチャー、Automata Processor(AP)を発表の旨。

◇Micron develops parallel processing architecture for supercomputers -Micron creates supercomputer architecture with parallel processing tech (11月18日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Micron Technologyが、高性能computingアーキテクチャー、Automata Processorを開発、生物情報科学、ネットワークセキュリティおよびvideo/image分析論などの応用に使われる可能性の旨。該アーキテクチャーは、parallel processing技術を利用している旨。Micronは、University of Virginiaと協働、Center for Automata Computingを設立して同大に置く旨。

◇Micron's Automata Exploits Parallelism to Solve Big Data Problems (11月22日付け EE Times)
→Micronが今回の場で、複雑で組織立っていないデータstreamsの検索および解析のスピードを早める根本的に違った新しいプロセッサアーキテクチャーを披露、そのAutomata Processor(AP)アーキテクチャーのsneak peakには、University of VirginiaでのCenter for Automata Computingの設立が伴なっている旨。

IBMとNvidiaが連携してスーパーコン用半導体に取り組み、具体的な成果が来年としている。 

◇IBM looks past Watson, taps graphics chips to speed Power servers-IBM to support Nvidia GPUs in its Power servers, mainframes and supercomputers starting next year-IBM, Nvidia to collaborate on supercomputer chips (11月19日付け Computerworld UK/IDG News Service)
→IBMとNvidiaが、IBMのPowerプロセッサとNvidiaのTesla graphics processing units(GPUs)と対にするスーパーコンピュータ半導体で協働、その合体は来年出てくる旨。Nvidiaはまた、Tesla K40グラフィックスプロセッサを発表、1.43 teraflopsの性能が得られる旨。

スーパーコン用半導体を引っ張るインテルからは、様々な統合を盛り込んだロードマップが披露され、やはり最大の注目である。

◇Intel to Customize High-End Processors -Future high-end processors promise greater integration (11月20日付け EE Times)
→Intelが今回の場で、high-end XeonおよびXeon Phiプロセッサのカスタマイズなど、technical computingの今後について同社ロードマップを披露、同社プロセッサを擁する同じパッケージ内にメモリ半導体を収容、並びにhigh-speedスイッチおよび光fabricsの統合とともに今後のプロセッサの上にメモリdiesをstackして統合し始めることを約した旨。

CMOSシリコンでは限界が見えてきていると、このところのポストシリコンの議論が次の通り今回は表わされている。

◇Supercomputing's big problem: What's after silicon?-With Moore's Law in decline, supercomputing faces a plateau unless a disruptive tech emerges -Supercomputer researchers look beyond silicon (11月22日付け Computerworld)
→スーパーコンピュータが標準CMOSプロセス製造に成る半導体で構築される時代は、終わりに近づいている旨。CMOS代替で採用される備えのある技術はなく、最近のStanford Universityでの研究が示しているように、carbon nanotubesが次世代スーパーコンピュータの基本として役に立つ可能性がある旨。


≪市場実態PickUp≫   

今春インテルのCEOに就任したBrian Krzanich氏が、初めてとなるアナリストmeetingに臨み、今後の取り組みをプレゼンしている。半導体の最先端微細化を進めるのはインテルのみという自負が伺えるとともに、ファウンドリー積極対応、「モノのインターネット化(Internet of Things=IoT)」事業への重点化、など説明されている。

【インテルCEOアナリストmeeting】

◇Intel: Competitors Have Given Up ‘Scaling’ Advantage in Moore’s Law (11月21日付け Barron's)
→5月にPaul Otellini氏を継いで以来、初めてのアナリストを前にしたIntelのCEO、Brian Krzanich氏プレゼン。株価が39 cents, すなわち1.7%上昇、$24.95の旨。

◇Tablets running 64-bit Android, Intel Bay Trail chips coming soon-Intel exec says the company is developing its own 64-bit version of Android to run Bay Trail-based devices -Intel preps 64-bit versions of Android, "Bay Trail" processors for tablets (11月21日付け Computerworld/IDG News Service)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏。同社は、Android operating system(OS)の64-ビット版を、来年タブレットcomputersで用いられる64-bit computingに適応させたAtom "Bay Trail"プロセッサとともに取り組んでいる旨。加えて、end-use応用に一層"pragmatic"アプローチをとっており、関心のある半導体メーカーすべてにシリコンファウンドリーサービスを行う旨。Intelはまた、1つのパッケージ内にメモリ半導体をstackするなどさらに先端のプロセッサについてロードマップを展開の旨。

◇Intel Explains Rare Moore's Law Stumble (11月21日付け The Wall Street Journal)

◇Intel CEO says contract manufacturing business to expand (11月21日付け Reuters)

◇Intel Expanding Use of Factories for Other Chipmakers (11月22日付け Bloomberg)

モバイル用半導体で大きく伸びたQualcommも、アナリストmeetingで投資筋に対する積極的な展開が説明されているが、後述のMediatekの台頭など逆風が見られている現状もある。

【Qualcommアナリストmeeting】

◇Qualcomm CEO vows to return 75 percent of free cash flow-Qualcomm unveils 4th-gen LTE chips (11月20日付け Sun-Sentinel (Fort Lauderdale, Fla.)/Reuters)
→Qualcommが、Long-Term Evolution(LTE)ワイヤレスネットワークスで動作するtop-tierスマートフォン向け同社プロセッサ第4世代を発表、これに含まれるある技術は必然的にlower end市場に向けたスマートフォンプロセッサに入っていく旨。投資家に対する場にて。

◇Qualcomm Steps Up Attack on Internet of Things (11月20日付け The Wall Street Journal)
→現在$120 billionを上回る市場価値を擁するスマートフォン活況で健闘しているQualcommが、今やsmart home以降にさらに重点を置いてきている旨。

◇Qualcomm Ups the Mobile Ante (11月21日付け EE Times)
→Qualcommが水曜20日、New York Cityで開催した証券アナリストmeeting、主要製品発表の1日の色合い、競合を気持ちよくさせないよう、2014年に向けて新Snapdragon SoC, Krait CPU, Adreno GPU, およびGobi modemを
発表の旨。

◇Qualcomm quakes: Sources say layoffs at mobile chip giant-Qualcomm reportedly lays off employees, as growth slows (11月21日付け GigaOm)
→Qualcommが、事業展開でいくつか逆風に直面、費用削減に向けてVPレベルexecutivesはじめ多数を削減する旨。

アップルの「iPhone5c」の生産を落として、「iPhone5s」に振り替える動きが以下の通り見られている。スマートフォン業界の荒波模様となっている。

【Apple生産削減】

◇Apple iPhone 5s Vs. iPhone 5c: Why Suppliers Are Downsizing Production Of The Budget iPhone 5 (11月18日付け International Business Times)

◇「5c」発注、追加削減、アップル、台湾EMSに (11月21日付け 日経産業)
→台湾の有力紙「電子時報」など発。米アップルはこのほど、新型スマートフォン「iPhone5c」の生産について、台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)会社への発注を追加削減した模様、和碩聯合科技(ペガトロン)や鴻海(ホンハイ)精密工業が影響を受けた模様、市場では5cの生産終了の観測も浮上している旨。

MediaTek(台湾)が来年に向けて8-コアのタブレット半導体を投入、上記Qualcommを押しのけてhigh-endモデルの火付け役とも言える勢い、見方となっている。年末を控えて、スマートフォン業界の新たな脈動が聞こえてきている。

【Mediatekの8-コア】

◇MediaTek to introduce 8-core tablet chip in early 2014-Sources: MediaTek to debut 8-core processor for tablets in 2014 (11月18日付け DIGITIMES)
→業界筋発。MediaTekが、2014年第一四半期末から第二四半期始めにかけてタブレット向けに設計された8-coreモバイルプロセッサを投入する予定、該半導体は2014年後半にリリース予定のいくつかのhigh-endモデルが対象、TSMCの28-nm HPM(high performance mobile)プロセスで作られる旨。

◇MediaTek outs 8-core mobile chip, promises longer battery life-The company's technology, dubbed the Octa-Core 6592, will be the first true eight-core mobile processor to hit the market.-MediaTek's 8-core mobile processor targets battery life (11月20日付け CNET)
→MediaTekが、ARM Holdingsによる設計ベースのeight-coreモバイルプロセッサの詳細を説明、該半導体の電力消費は他のプロセッサの半分、モバイル機器の電池寿命を伸ばす旨。該プロセッサは、full-HDおよびUltra HD videoに向けたH.264およびH.265スペックをサポートする旨。

◇Eight-core smartphone chips could become mainstream in China with new MediaTek processor -MediaTek is competing with Qualcomm in the Chinese market, now the world's largest for smartphones (11月20日付け IT World)

◇China market: Local brands to enhance high-end smartphone specifications (11月22日付け DIGITIMES)
→業界筋発。中国のhandsetベンダーが、2014年の前半にhigh-endスマートフォンのハードウェア仕様を国際的プレーヤー並みにもってきて、国際的ブランドの中国のhigh-endスマートフォン分野での実効的な競合を一層難しくしていく旨。


≪グローバル雑学王−281≫

第二次大戦戦後から現在まで3回にわたって振り返る2回目として、

『学校では教えてくれなかった! 世界のなかのニッポン近現代史』  
  (菅野 祐孝 著:歴史新書 洋泉社) …2013年3月21日 初版発行

より、1950年代から1960年代までの我が国と国際社会、高度成長を進めて経済大国への道を歩んだ経緯を辿っていく。戦後の国際社会への復帰、国際競争力をつけて年平均10%以上という高成長率を記録した道筋である。


第4章 戦後から現代の世界と日本 −−−1940年代後半〜  ≪中≫

3 「逆コース」期の日本と国際社会 −−1950〜1960年代までの政治と外交は?

◇再軍備・反動政治への転換 −「逆コースとは?」
・1947年の総選挙、片山哲を首班とする最初の社会主義政党による政権が発足
 →日本国憲法施行後に成立した最初の内閣
・続いて芦田均が、三党連立内閣を組織
 →昭和電工事件によって総辞職
・1952年5月1日、血のメーデー事件
 →同年、破壊活動防止法が成立
・1953〜1954年、日米安保体制のもと、「逆コース」と呼ばれる再軍備政策が相次いで実施
・1954年、MSA協定(日米相互防衛援助協定)が調印
 →保安隊(警察予備隊の後身)が陸・海・空自衛隊に発展、防衛庁の傘下に
・第五次吉田内閣は造船疑獄事件を機に総辞職、7年間に及ぶ長期政権に幕
 →その後、再軍備・改憲を唱える鳩山一郎が組閣
・1955年の総選挙
 →社会党は改憲阻止に必要な3分の1議席を確保、左右両派が統一
 →財界からの圧力を背景、日本民主党と自由党が保守合同して自由民主党が結成
・二大政党の時代が始まる …55年体制
 →1993年まで自民党による保守長期単独政権が連続
・1956年、ブルガーニン首相との間で日ソ共同宣言に調印
 →戦争状態は終結、北方領土問題については棚上げの形
 →ソ連との国交回復によって日本の国連加盟が認められ、日本は23年ぶりに国際社会に復帰
・岸内閣は、再軍備強化・治安強化による反動政治を展開
 →勤務評定実施など、教育統制も強化

◇日米同盟関係のルーツ −日米新安保条約とは?
・1960年、ワシントンで、日米新安全保障条約と日米地位協定などが調印
 →日本は、確実にアメリカの極東軍事戦略体制に組み込まれた
 →条約調印に反対する声が高まる
・安保改定阻止国民会議を中心とする安保闘争が激化
 →日米新安保条約は参議院での審議を経ないまま、自然成立
 →批准書交換と条約の発効を見届けた後に岸内閣は総辞職

◇民族自決と第三世界の台頭 −第三世界とは?
・アジアやアフリカでは民族自決の精神から独立の気運
 →次々と独立、1960年は「アフリカの年」
・東南アジア
 →1945年、インドネシアのスカルノ大統領がオランダからの独立
 →ホーチミン大統領がヴェトナム民主共和国(北ヴェトナム)のフランスからの独立
・インド
 →1947年、インド連邦がイギリス連邦内の自治領として独立
 →独立運動を推進したネルー、初代首相となり、非同盟中立外交政策を展開 
  …東西どちらの陣営にも属さず、中立的な立場で民族独立・平和共存を図ろうとする外交姿勢

◇核兵器開発競争から平和共存の時代へ −世界では何が起こったか?
・核兵器開発と宇宙開発でも競っていたソ連とアメリカ
・1954年、アメリカはビキニ環礁で水爆実験
 →第五福竜丸が被爆
 →1955年、広島で第1回原水爆禁止世界大会開催
・1954年6月、ネルー・周恩来会談
 →平和五原則(主権尊重・相互不可侵・内政不干渉・平等互恵・平和共存)確認
・1955年、インドネシアのバンドンでアジア・アフリカ会議
 →第三世界が国際舞台に本格的に台頭する契機に
・1955年、ジュネーヴ四巨頭(アイゼンハワー・ブルガーニン・イーデン・フォール)会談
 →「雪解け」の気運が芽生える
・1962年、キューバ危機
 →アメリカ大統領ケネディ、ソ連がキューバに中距離ミサイル基地を建設中であるとして、キューバの海上封鎖を発表
 →フルシチョフは譲歩、危機は回避へ
・1963年、米英ソ間で部分的核実験停止条約が締結
・インドシナ半島の共産主義化を懸念したアメリカ、ヴェトナム戦争へ
 →日本はアメリカ軍の後方基地
 →日本国内ではべ平連などを中心にヴェトナム反戦を叫ぶ市民運動が高揚
・多大な戦費を要したアメリカ
 →国際的に経済的威信を失墜、やがてドル危機に見舞われることに
 →1976年、ヴェトナム社会主義共和国が成立して南北が統一

4 経済大国への道 −−経済再建のカギとは?

◇戦後の国際通貨制度 −その成立過程は?
・1944年、アメリカ・ニューハンプシャー州のブレトンウッズで、戦後の通貨や金融に関する会議
 →戦後の自由貿易・新国際通貨・金融制度はしばらくの間、ブレトンウッズ協定に基づいて展開 
  …IMF(国際通貨基金)体制

◇日本の戦後経済はどのように再建されたか?
・敗戦後の日本
 →食糧難が深刻化、農村に買い出し、闇市も賑わう
・戦後経済はインフレーションに見舞われ、物価は3倍高
・1946年末、第一次吉田内閣のもと、傾斜生産方式が閣議決定
 →従来の基幹産業再興のために重点的に資金を投入、増産を図る計画
 →復興金融金庫が創設
  →ますますインフレに拍車をかける結果に …復金インフレ
・インフレを打開したのがドッジ=プラン
 →アメリカは、1948年、経済安定九原則を提示
  →1ドル360円の単一為替レートを設定、国際社会と結びつける
 →1949年、シャウプによる税制改革勧告
  →所得税などの直接税を中心とする新税制が確立

◇「合理化」という美名のもとに行われたことは?
・日本経済はインフレーションからデフレーションに転じる
 →町中に溢れる失業者
・人員整理の最も大きなターゲットとなったのは国鉄
 →相次いだ怪事件

◇好景気はなぜ連続したか?
・1950年からの特需景気
 →朝鮮戦争中、軍需品やサービス提供を受注
 →1953年に朝鮮戦争休戦協定が結ばれると日本経済は再びデフレに
 →しかし、日本経済の自立という点においては、この時期にその礎が築かれた
・生産力の拡大と輸出の増大
 →日本商品の国際競争力を強化、経済成長全体の牽引役に
・1950年代後半、「三種の神器」(電気冷蔵庫・電気洗濯機・白黒テレビ)が家庭に普及
 →電気の力は日常生活を構造的に変えていった
・1956年の『経済白書』→「もはや戦後ではない」

◇高度成長時代の光と影 −世界経済の動きに日本はどう対処したか?
・池田内閣の「所得倍増」政策
 →1950年代半ばから国際競争力をつけた日本
・貿易と資本の自由化が外国の圧力によって実現
 →「第二の黒船到来」との認識
・高度成長を支えた地方から集められた勤勉な労働力
 →「金の卵」、休みは月2回、月給3000円程度
・高度経済成長政策
 →実際は年平均10%以上という予想外の高成長率を記録
 →1968年、日本は資本主義国中世界第2位の経済大国に成長
・1960年代後半、新三種の神器(3C) …カー・クーラー・カラーテレビ
・生産過剰に陥った農村
 →1970年から減反政策
・経済優先の高度成長
 →大気汚染・水質汚濁・土壌汚染などの環境破壊
 →四大公害訴訟
 →1971年、東京・大阪・京都の3都市で革新新首長が誕生
 →1971年、公害行政官庁として環境庁発足

◇戦後の国際通貨体制はどう変遷したか?
・ドル危機を迎えたアメリカ
 →1971年、ニクソン大統領が金・ドルの交換停止を含む新経済政策を発表(ドル・ショック)
 →ブレトンウッズ体制が崩壊
・1976年、ジャマイカの首都キングストンで、従来のIMF協定を改正、変動相場制を正式に認める合意が成立
 …キングストン体制、現在に至る

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