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変化のうねり…時代の変わり目、世代意識、潮目の判断・対応

先進経済圏から新興経済圏へ、そして現下にはパソコンからモバイル機器へ、変化のうねりは繰り返して容赦なく訪れてくる。半導体・エレクトロニクス業界に身を置いて、1980年代にはオリンピックの4年周期という言われ方があったが、時間軸とともになにやらイベントが起こる間隔が短くなっていって、その規模も桁違いに大きくなってきている、とそんな感じ方がある。それでも付いていって時代の波に乗り遅れてはならない、と今回、なにやら変化のキーワードが目につく内容がやたら続いて、以下に入っている。

≪求められる変化、抑えきれない変化≫   

上記の今回のタイトルに示す通り、変化のうねりを3つに分けて受け止めている。

〈時代の変わり目〉

まずは、変革&復興を求められるSilicon Valleyである。

◇Silicon Valley Must Reinvigorate the Semiconductor Industry (9月12日付け EE Times)
→Silicon Valleyは、それを創設した半導体業界、すなわち該地域を主要果樹園から世界に冠たるハイテクecosystemに変えた業界の劇的な復興を必要としている旨。ファブレス半導体startupsへの投資は、2000年以降件数および金額の両方ともに着実に減ってきている旨。

世界、業界をリードしたハイテクメーカーについて、ここでも求められる変革&復興である。

◇Are Technology Leaders Doomed to Fail? (9月13日付け EE Times)
→革新の波に乗って業界をリードしたハイテクメーカーはどれも、漸次絶壁に直面していく旨。RCA, IBM, Texas Instruments, MotorolaおよびNokiaなどのメーカーは業界を未踏の領域に引っ張っていったが、多くは依然存在するものの、以前の輝きには程遠くなっている旨。

Intelにしてもモバイルに向けた変わり身は避けて通れない、という論調である。ソリューションに留まらず、同社自らのモバイル機器が注目されるところである。

◇How Intel will bring a “good enough” tablet to the US market by Christmas-for less than $100 (9月16日付け Quartz)
→今や減少していくPC市場が、Intelをして、PCs市場を直接食っている携帯電話およびタブレットに搭載する小さな、パワー効率の良い、そして比較的安価な半導体を作る試みに向かわせている旨。

◇Can Intel's Bay Trail break in to tablets? (9月18日付け ZDNet)
→Intelがついにタブレット用の本気のソリューション、Bay Trailは、性能、パワーおよび価格の点でArm-ベースの競合との差を縮めている旨。今こそ必要なのはそれでいく偉大なタブレットの旨。

Front End(前工程)とBack End(後工程)という境目も、through-silicon via(TSV:貫通電極)、3D packaging(三次元実装)のアプローチから変わろうとしている。

◇Front End Comes To The Back End (9月18日付け Semiconductor Manufacturing & Design)
→outsourced assembly and test(OSAT) housesにおいては3D packaging活動に向けたthrough-silicon via(TSV) capabilityの計画あるいは提示が行われており、このことはある意味、front endがback endにきていることになる旨。たぶんに少し大袈裟かもしれないが、TSVsのお蔭でfront-endウェーハfabプロセスに関する最後の段階までも、従来back-end実装, 組立およびテストを調達しているOSATsにて実施されてきている旨。

次に、これも抗しきれないところがある若者の意識である。台湾でも半導体ものづくりになかなか向かわないという次の内容は、半導体そのものの魅力づくり、セット業界との新たな構成づくり、などいろいろ考えさせられるところである。

〈世代意識〉

◇Taiwan Chip Industry Powers the Tech World, but Struggles for Status-IC execs wonder: How do we attract young talent to fabs? (9月15日付け The New York Times)
→若いエンジニアが半導体事業で骨折って働くよりはApple, FacebookあるいはGoogleで働くことに関心を引かれている、と半導体メーカーが見い出している旨。半導体業界executivesは、半導体技術の進展から恩恵を得ているAppleなどのメーカー相当に半導体メーカーが利益マージンを如何に高められるか、思案している旨。

◇Nation's chipmaking industry feeling unappreciated (9月17日付け Taipei Times)
→Advanced Semiconductor Engineering(ASE, 日月光半導體)のchief operating officer(COO)、Tien Wu(呉田玉)氏が抱える問題:台湾の聡明な若者たちが台湾のsignature事業、半導体製造で働きたがらない旨。

そして、変化のうねりを受けて常に求められる判断・対応である。現時点、目についたBlackBerryおよびAgilentの関連する動きである。

〈潮目の判断・対応〉

◇BlackBerry plans deep job cuts as new phone launches: report (9月18日付け Reuters)
→Wall Street Journal、水曜18日発。BlackBerry Ltdが、再生を図る切り札のスマートフォンを打ち上げる折も折、年末までにthousands of jobs削減を計画の旨。

◇Agilent Splits HP DNA Again (9月19日付け EE Times)
→昔のHewlett-Packard DNAが再び分かれることに、Agilent Technologiesが、次の通り2つに分社する計画を発表:
・Agilentの名前を維持する$3.9Bグループ。生命科学に重点化、遺伝子配列など関連市場への移行を検討。
・残る$2.9Bグループは命名はこれから。Dave PackardおよびBill Hewlett両氏が1939年に始めた伝統あるテスト&計測事業を行う。
"史上最大そして最も意味深い変化"(CEO、Bill Sullivan氏)の旨。


≪市場実態PickUp≫

モバイル機器用プロセッサが引っ張って、専業ファウンドリーの売上げの3/4以上が、28-nm寸法という状況になっている。トップのTSMCがその28-nm売上げの78%を占めるという席巻ぶりが見られている。

【最先端が引っ張るファウンドリー】

◇Leading-edge technology to be responsible for 2013 increase in pure-play foundry sales (9月17日付け ELECTROIQ)
→2013年について、TSMCの売上げの51%、そしてGlobalFoundriesの販売高の50%が≦45nm processingからくる見込みの旨。
・≪グラフ≫ 最先端が専業ファウンドリーの伸びを引っ張る
 …28-nmを挟んだ市場の伸び比較:2012年と2013年
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2013/09/figure-1-1024x629.png
・≪表≫ TSMC、UMC、SMICの業績&内訳比率データ:2012年と2013年1H
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2013/09/figure-2-1024x412.png

◇All 2013 pure-play foundry sales growth is coming from 28nm. -IC Insights: 28nm devices drive foundry growth (9月17日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。今年の専業ファウンドリーの売上げの3/4以上が、28-nm dimensionsからきている旨。TSMCの28-nmデバイス関連売上げが、2012年の$2.10Bから2013年は$6.33Bに増大、今年の専業ファウンドリーの28-nm売上げの78%を占めると見る旨。

◇Pure-Play Foundries Need the Leading Edge (9月18日付け EE Times)
→IC Insightsの評価。TSMCの2012年28-nm販売高は約$2.1B、2013年は$6.33Bと3倍になる見込み、TSMCは2013年の28-nm以降のgeometryについて専業ファウンドリーの販売高$8.10Bの約78%を占めることになる旨。

◇TSMC still leading in 28nm chips (9月19日付け Taipei Times)
→IC Insights社発。TSMCが引き続き今年、グローバル28-nm半導体市場を席巻、販売高3倍増の$6.33Bの見込み、該市場の78%を占める旨。

ここ数年紆余曲折の難航した状況が伝えられているインドでの半導体fab建設であるが、インド政府がリード、コンソーシアムメンバーにIBMおよびSTMicroの名前が見られる2本立ての計画が以下の通り打ち上げられている。

【インドの半導体fab】

◇India lures chip makers, says IBM and STMicro interested-IBM and ST could become involved in India's fab projects (9月13日付け Reuters)
→海外から年間約$7Bの半導体を購入するインドのelectronics業界は、国内の半導体生産があれば恩恵は大きく、インド政府が、ウェーハfab拠点を開発する計画を推進している旨。IBMとSTMicroelectronicsが、$8Bを要する一対のfabs建設を提案する2つのコンソーシアムに半導体メーカーとして参画の旨。インド政府の通信&情報技術相、Kapil Sibal氏13日金曜の弁:「インドには少なくとも15のfabsが必要」

◇Will India be next semiconductor manufacturing facilities hub? (9月13日付け Business Today)
→インド政府が、同国内に2つの半導体fabs設立を告示、業界団体、India Electronics and Semiconductor Association(IESA)は木曜12日夜に出したステートメントで、"a highly strategic game changer for India"として該告示を称賛の旨。

◇IBM, STMicro consortia to set up chip fabs in India (9月16日付け EE Times India)
→インド政府が、同国での2つの半導体ウェーハ製造facilities設立を承認、最初の'Made-in-India'半導体が向こう2-3年で展開される見込みの旨。最初のfab facilityは、IBMおよびTowerJazz(イスラエル)とともにJaiprakash AssociatesによりGreater Noidaにて提案されている旨。2つ目は、STMicroelectronicsおよびSilterra(マレーシア)とともにHindustan Semiconductor Manufacturing Corporation(HSMC)がPrantij, Gujaratにての旨。

◇HSMC gears up for fab project-NRI tech entrepreneurs' promoted company plans to manufacture chips targeting the high volume segment-HSMC to participate in India's fab project (9月17日付け Business Standard)

部分的稼働再開が発表されたSK Hynix中国工場であるが、完全復旧には数ヶ月かかりそうということで、DRAM価格の急騰が以下の通り生じている。

【SK Hynix中国工場火災の影響 −その後】

◇DRAM shortage from Hynix fire to hit PCs hardest-Repairs to the fabrication plant could take three to six months-Effects from SK Hynix fab fire could last for months (9月14日付け Computerworld)
→SK HynixのWuxi[無錫], Chinaウェーハ製造拠点の9月4日火災は、復旧およびフル生産再開に数ヶ月を要しそうな旨。PC DRAMsの価格が、買い手が他の供給元で奪い合い、先週で27%以上上昇の旨。Wuxi fabでの生産停滞は、競合のMicron TechnologyおよびSamsung Electronicsにはたなぼたの結果を招く可能性の旨。

◇Spot DRAM prices soar over 30% in less than 2 weeks (9月17日付け DIGITIMES)
→業界筋発。SK HynixのWuxi, Chinaウェーハ工場で9月4日火災発生、ウェーハ生産が危険にさらされて、2週間足らずでスポットDRAM価格が30%以上急騰の旨。


≪グローバル雑学王−272≫

グローバル政治経済の現状そして今後の把握に欠かせないと、アフリカへの認識を深めるために読み進めてきた

『新・現代アフリカ入門 −−−人々が変える大陸』
  (勝俣  誠 著:岩波新書(新赤版)1423) …2013年4月19日 第1刷発行

について、今回と次回で最終章およびあとがきに目を通していく。"人々が 変えるアフリカ"が終章のタイトルになっているが、1つとしてインターネッ時代がもたらす世代意識の変化が強烈に印象に残り、もううんざり、もう騙されない、など民衆の心底からの本音の叫びが聞こえてくる感じ方である。


終章 人々が変えるアフリカ   ≪前≫

1 冷戦後の開発援助レジーム

□乱立する国際援助プロジェクト
・必ず目にする外国援助による学校、病院、港湾などの施設の案内ないし宣伝塔
・英国の植民地省
 →植民地開発福祉法により、戦後から1950年代にかけて、植民地への援助の予算を拡大
・フランスも、アルジェリアなどで地域開発

□独立以降のアフリカ援助
・大きく分かれる開発援助の3つの時期
 →第1期:冷戦期の東西対立
  …アフリカ新興国を引き留めたい欧米とソ連、東欧、中国との間での援助合戦が見られた時代
  →比較的潤沢に外国からの援助 →制度化ないし慣習化
 →第2期:対外債務を返済できなくなり、繰り延べを要請
  …1980年代以降、約20年続いた構造調整期
   →「失われた20年」
 →第3期:ポスト構造調整期
  …1990年代末から2000年以降の今日まで進行中
   →理念目標のみに依拠した外部介入策を軌道修正していかざるを得なくなった時期でも
   →資源調達ブームの中で、アフリカ大陸への経済的関心が高まり、中国の再登場とも重なっていく

□繰り返される「貧困との闘い」
・世界銀行の2000-2001年の世界開発報告のメインタイトル 
 →「貧困との闘い」
 →アフリカ社会の貧困についての実像が以前よりはっきりしてきた
・見逃されている現代アフリカが直面する2つの側面:
 第1:「北」の金融機関や援助国と、その対象となるアフリカとの間に厳然と横たわる不平等な力関係
 第2:周辺化されたアフリカの人々の声・主張が正面からほとんど取り上げられていない

2 国家が弱ると社会が活性化する

□行政サービス代替活動
・以下、アフリカ人自身の思考と行動の実践の事例
・西アフリカのセネガルの社会で活発化した市民団体と住民組織による行政サービス代替活動
 →1972年、「アフリカ環境・開発NGO(ENDA)」から生まれた「人づくり集団(GRAF)」
  …GRAF=研究し、行動し、ヒト作りをする集団

□「助けろ。しかし助けるな」
・外部の介入が、むしろ地域住民の外部依存性を高めてしまう側面
・「ニーズ」を充たしてくれる救済者ではなく、共に考え、協力してくれる伴走パートナーないし黒子として位置づけ
・人々が自分の権利に目覚め、世界を読む目を持つようになり、そして責任を持って身近なところから世界を変えようとする市民思考

□「福祉国家」から「歓迎国家」へ
・アフリカ諸国家の方向付けの変質
 →自国民のための「福祉国家(welfare state)」ないし「開発国家」から、法人税の引き下げなどを競い合う外国企業「歓迎国家(welcome state)」へ
 →アフリカ国家再生論
・求められているのは、国富を生む生産的投資を、中長期的開発展望に立って方向付けできる国家
 →自国民の租税と貯蓄をまずは活用できる国家

□60年体制の崩壊
・インターネット時代には、いつの時代にも増して可視化
 →2011年からのチュニジア、エジプトでの政権崩壊
・年長者や宗教界のリーダーの言説によって動く世代ではない
 →1960年体制の崩壊が新世代の民主化運動によって方々で日々確認されていく時代に

□もううんざり運動
・2011年、大統領追放を実現したエジプトのタハリール広場に出現
 →「もうたくさんだ運動」
・セネガルに2011年登場、ラップ集団、「もううんざり(Y'en a marre)」
・何も変わらない日常生活
 →もう騙されないと考える人々が社会の諸問題をラップで、デモで、ネットで政治化

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