6月の世界半導体販売高、Americas地域の伸び、昨年を1.5%上回る累計
米SIAより月次の世界半導体販売高が発表され、今回はこの6月分、今年の前半を折り返すデータ内容である。年初からの販売高累計が$145.1 billion、前年同期比1.5%増であり、このところ半導体業界に立ち塞がっている$300 billionの壁に対して今年はどうなっていくか、後半にかかってくる。
今回のデータでは、Americas地域が引き続き伸びを引っ張り、販売高の60%近くを占めるAsia Pacific地域が堅実に支える全体構図である。モバイル機器の売れ行き、メモリ価格に敏感になる現時点の市場となっている。
≪6月の世界半導体販売高≫
米SIAからの今回の発表内容、次の通りである。
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○四半期半導体販売高が6%増、業界予測を上回る−Americas地域が2013年最大の前年比増、最新の伸びを牽引 …8月5日付けSIAプレスリリース
半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2013年第二四半期の世界半導体販売高が$74.65 billionに達し、第一四半期の$70.45 billionから6%増と発表した。
これはここ3年で最大の四半期増となる。2013年6月のグローバル販売高は$24.88 billion、前月、2013年5月totalより0.8%増、前年2012年6月に比べて2.1%増えている。地域別ではAmericasの販売高が、第二四半期が第一四半期に対して8.6%増、2013年6月が2012年6月に対して10.6%増と飛躍、2013年該地域最大の前年比増を示している。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
「グローバル半導体業界が2013年前半を通して、Americasが大方引っ張って、勢いがついてきているのは疑いない。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「今や月次、四半期そして前年比ベースと一貫した伸びとなっており、販売高総計が最新の業界見通しを上回り、メモリ製品の販売高が特に力強くなっている。」
四半期販売高は、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationの最新業界予測を上回り、該予測はグローバルに4.6%、Americasについて3.4%の四半期の伸びを見通していた(実際にはそれぞれ6%増および8.6%増)。年初からの販売高累計も$145.1 billionで、WSTS見通し、$144.1 billionを上回っている。6月までの実際の販売高累計は、2012年の同時点より1.5%高くなっている。
地域別には、6月の販売高は前月、5月との比較で、Americas(+3.5%)、Asia Pacific(+0.4%)、およびEurope(+0.1%)と増加、しかしJapan(-0.9%)は減少している。前年同月、2012年6月との比較では、6月販売高は、Americas(+10.6%)は相当な増加、Asia Pacific(+5.4%)は程よい増加、Europe(+0.8%)は僅かに増加したが、Japan(-20.8%)は日本円安が大方で急激な減少となっている。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Jun 2012 | May 2013 | Jun 2013 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 4.31 | 4.60 | 4.76 | 10.6 | 3.5 |
Europe | 2.82 | 2.84 | 2.84 | 0.8 | 0.1 |
Japan | 3.43 | 2.74 | 2.72 | -20.8 | -0.9 |
Asia Pacific | 13.81 | 14.51 | 14.56 | 5.4 | 0.4 |
計 | $24.36 B | $24.69 B | $24.88 B | 2.1 % | 0.8 % |
--------------------------------------
市場地域 | 1- 3月平均 | 4- 6月平均 | change |
Americas | 4.39 | 4.76 | 8.6 |
Europe | 2.85 | 2.84 | -0.2 |
Japan | 2.80 | 2.72 | -3.0 |
Asia Pacific | 13.45 | 14.56 | 8.3 |
$23.48B | $24.88 | 6.0 % |
「この元気づくデータを歓迎する一方、半導体workforceが我々の業界の革新および伸長を引っ張るということを認識することが重要である。」とToohey氏は続ける。「我々の革新ポテンシャルを禁じる障害は、Americaの時代遅れのhigh-skilled immigrationシステムであり、半導体メーカーの世界トップ人材へのアクセスを制約している。下院は、8月休会を本件についての政治的相違を解きほぐすのに使うべきであり、意味深いimmigration改革法制化承認の備えでWashingtonに戻るべきである。」
※6月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/June%202013%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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これを受けた各紙(誌)の反応が、以下のタイトルに表われている。今年の販売高予測として一桁の下の方の伸びを見る向きが多く、第二四半期が第一四半期に対して6%伸びたということが大方の読みを上回ったというところと思う。TSMCの第二四半期販売高、前四半期比17.4%増という業績データに端的に表われているが、この最高記録の基調が今後どうなっていくか、モバイル機器の今後の市場動向に大きくかかることになる。
◇Quarterly semiconductor sales increase 6%, outperforming industry forecast (8月5日付け ELECTROIQ)
◇SIA reports semi sales up-Worldwide chip sales were up in June and Q2, SIA says (8月5日付け TechEye)
地域別データの一覧にまとめると次のようになり、Americas地域の記録的な伸び、そして大きな比率を占めるAsia Pacific地域の堅実な伸びが、現状の支えになっている。
◇Global 2Q13 chip sales rise 6%, says SIA (8月6日付け DIGITIMES)
→米SIA発。2013年6月半導体販売高市場別breakdown(US$B)、次の通り(数値は3ヶ月移動平均):
市場 | June | M/M | Q/Q | Y/Y |
Americas | 4.76 | 3.5% | 8.6% | 10.6% |
Europe | 2.84 | 0.1% | (0.2%) | 0.8% |
Japan | 2.72 | (0.9%) | (3.0%) | (20.8%) |
Asia Pacific | 14.56 | 0.4% | 8.3% | 5.4% |
Total | 24.88 | 0.8% | 6.0% | 2.1% |
[Source: SIA, compiled by Digitimes, August 2013]
◇US Strength Lifts Q2 Global Chip Sales-U.S. leads June growth in chip sales, SIA/WSTS reports (8月7日付け EE Times)
≪市場実態PickUp≫
本年上半期の半導体サプライヤランキングが、IC Insights社よりファウンドリーを含めた形で表わされている。ASPs上昇によるメモリ販売高増大およびモバイル機器向け活況を反映して、SK Hynix, Qualcomm, MediaTekおよびTSMCが、前年比20%以上の伸び率を示している。
【2013年上半期の半導体サプライヤランキング】
◇IC Insights Reveals Big Changes to 1H13 Top 20 Semiconductor Supplier Ranking-SK Hynix, Qualcomm, MediaTek, and TSMC each registered > 20% year-over-year growth. (8月2日付け IC Insights)
→2013年上半期の半導体サプライヤランキング・伸び率トップ20データ、次の通り:
⇒http://www.icinsights.com/files/images/bulletin20130802Fig02.png
◇First half of 2013 shows big changes to top 20 semiconductor supplier ranking (8月5日付け ELECTROIQ)
→今月後半披露されるIC InsightsのAugust Update to the 2013 McClean Reportでの2013年上半期の半導体サプライヤランキング・トップ25。その内覧、トップ20データ、次の通り:
⇒http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2013/08/top%2020%20fig%201.jpg
トップ20の本社を置く国別、以下の通り:
米国 8社
日本 4社
欧州 3社
台湾 3社
韓国 2社
◇Memory Surge Shakes Up Chip Vendor Ranking (8月5日付け EE Times)
→IC Insights社発。2013年前半のメモリ販売高増大が、売上げ販売高による半導体ベンダーランキング・トップ20に多くの変化を生じている旨。
◇Big changes in 1H13 chip ranking, says IC Insights-IC Insights: SK Hynix, Qualcomm, MediaTek show upward mobility worldwide (8月5日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2013年前半について、昨年から業界売上げが最も伸びたのが、SK Hynix, QualcommおよびMediaTekであり、各々世界半導体サプライヤトップ20でのランクが上昇の旨。富士通およびNvidiaがトップ20から脱落する一方、Advanced Micro Devices(AMD)およびソニーが順位を落とした旨。Intel, Samsung Electronics, Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)およびQualcommが、トップ4の座を保っている旨。
Samsungが、世界初、三次元NANDフラッシュ、「V-NAND」の量産を打ち上げるや否や、東芝およびマイクロンから対抗するスタンスが発表されている。
次のDRAMと同様、絞られてきている大手プレーヤー間の鬩ぎ合いの様相である。
【三次元NANDフラッシュへの取り組み勢揃い】
◇Samsung Starts Mass Producing Industry's First 3D Vertical NAND Flash (8月6日付け Samsung)
◇3次元NAND型フラッシュメモリ、サムスン世界初めての量産 (8月7日付け 韓国・中央日報)
→ノートブックPCの保存容量をスーパーコンピュータ級に変える技術が韓国で生まれた旨。サムスン電子は世界で初めて3次元積層方式を適用したNAND型フラッシュメモリ、「V-NAND」の量産を始めたと6日、明らかにした旨。半導体の構造を3次元立体方式に変更、微細工程の限界と見なされてきた10-nmの壁を一気に越えた旨。
◇東芝の3D半導体、今年度サンプル出荷 (8月8日付け 日経)
→東芝は、記憶素子を垂直に積載した「3次元(3D)タイプ」のNAND型フラッシュメモリのサンプル出荷を2013年度にも始める旨。3D半導体は、記憶容量の大型化や半導体の小型化が可能で、次代の競争力を左右する中核技術とみられている旨。東芝は回路線幅を縮める微細化技術を得意とするが、3D半導体についても微細化と並行して実用化を急ぐ旨。
◇Micron customers won't have to wait long for 3D flash memory-CEO Mark Durcan tells CNET that the company will start providing samples of the advanced memory technology to customers in the first quarter of 2014. -Micron CEO: We'll be sampling 3D NAND in Q1 of next year (8月8日付け CNET/Business Tech blog)
→Micron TechnologyのCEO、Mark Durcan氏。同社の顧客には、来年の第一四半期に三次元NANDフラッシュメモリデバイスがたぶん届くようになる旨。2015年までは大きく供給にインパクトを与えるということでは、業界に不可欠とは思わない旨。
インテルのDRAM投入以来43年、DRAM市場は3つの主要サプライヤに絞られてきたとともに、販売高に対する設備投資が低くなって成熟の域に達しているという以下の見方である。小生もこの43年の前半に関わってきただけに、我が国ならではのプレゼンスを今後ともに願うところである。
【DRAMがついに成熟域へ】
◇After 43 years, DRAM market finally reaches maturity (8月6日付け ELECTROIQ)
→Intelが1970年に最初のDRAMデバイスを投入してから43年、DRAM市場は、ついに3つの主要サプライヤ、すなわちSamsung, SK Hynixおよび最近Elpidaの買収を完了したMicronだけになるというところまで成熟してきている旨。成熟に達している良い兆候として、2013年のcapital expendituresが$4.0Bと見込まれ、大不況の年、2009年$3.9Bを僅かに上回る程度の旨。一方、DRAM市場は$33.7Bに達すると見込まれ、販売高に対するDRAM capital spendingは今年は11.9%と今までの最低が予想される旨。
新しいDRAM fabsおよびプロセス技術更新のための設備投資が低くなる流れが、2013年これまでのDRAMのaverage selling prices(ASPs)上昇に貢献している旨。今年は、DRAM ASPsが40%跳ね上がる見込み、DRAM市場全体の伸長を28%持ち上げる旨。
◇DRAM market reaches maturity, says IC Insights-IC Insights: With 3 top suppliers, DRAM market has matured after 43 years (8月7日付け DIGITIMES)
本年も後半の市場が如何になるか、いろいろかかってくるところである。早々に敏感にならざるを得ない次の動き、見方ではある。
【先行き敏感】
◇Korea memory firm reportedly cuts 4GB module prices to US$25 (8月9日付け DIGITIMES)
→業界筋発。ある韓国のメモリメーカーが、4GB DRAMモジュールの見積もりを$25に最近値下げ、4Gビット半導体で$2.80相当になる旨。この見方は、先の米国モジュールメーカー、Kingston Technologyが8月からDRAMモジュールの見積もりを下げているという報道に続く旨。
◇TSMC revenues down in July, UMC up (8月9日付け DIGITIMES)
→TSMCの7月連結販売高NT$52.1B($1.74B)、前月比3.6%減、前年同月比7.3%増。7月までの2013年売上げ累計はNT$340.75B, 前年同期比20.7%増。
UMCの7月連結販売高NT$11.56B、前月比7.4%増、前年同月比11.6%増。7月までの2013年売上げ累計はNT$71.24B, 前年同期比6.3%増。
TSMCの第三四半期売上げは前四半期比3-5%止まりと見ている旨。第二四半期はNT$155.89Bの最高記録、前四半期比17.4%増であった旨。
≪グローバル雑学王−266≫
アフリカ大陸で新興経済圏の仲間入りを果たしている南アフリカについて、
『新・現代アフリカ入門 −−−人々が変える大陸』
(勝俣 誠 著:岩波新書(新赤版)1423) …2013年4月19日 第1刷発行
より、ポスト・アパルトヘイトの今を辿っている。マンデラ氏の動静が伝え続けられている現時点であるが、アパルトヘイト廃絶に向けた壮絶な経緯に改めて注目している。多国籍ビッグビジネスで輝く一方、ままならない居住区があるという今の南ア像が浮き彫りになってくる。
第4章 ポスト・アパルトヘイトの今
1 一つの国の二つの世界
□これは一つの国なのか
・南アフリカを初めて訪れてまず突きつけられる
→一体アフリカの中の一国なのか、それとも先進工業国の一員なのか
・大都会の中心 →欧米の大都市と何ら変わらない風景
・大都市の周辺に広がる黒人居住区、旧黒人自治区「ホームランド」
→まぎれもないブラックアフリカの一地域
・1994年、黒人を含めた全人種が参加する国政選挙で、制度としてのアパルトヘイトには終止符
□いくつものナショナル
・南アフリカのアパルトヘイト政策の歴史
→黒人には市民権を与えず、ひたすら義務を課す、植民地体制と多くの共通点
・南アフリカは、アルジェリアとともに、アフリカ大陸最大の白人ヨーロッパ人口を抱えた大量移住型の植民地化を経験
・南アフリカで特異だったこと →二つのナショナリズムが存在
…アフリカーナーと呼ばれる先着白人(主としてオランダ系白人)の作り上げたナショナリズム
…支配に抵抗するなかで生まれたアフリカ黒人のナショナリズム
・人種差別をなくそうとした団体 →アフリカ民族会議(ANC:African National Congress)
・アパルトヘイト体制を完遂、アフリカーナー中心の政党→国民党(National Party)
・アパルトヘイト →アフリカーナーのナショナリズムを絶対的なものとして、それを国家機構を利用して制度化しようとしたもの
□黒人とは被抑圧者
・カラード …インド人、黒人とアジア系移民との混血を指す
・圧倒的な数を誇る被抑圧者の黒人
・アパルトヘイト廃絶に向けての運動
→大きく分けて二つの側面:
…植民地支配から脱し、アフリカ人の国をつくるという「脱植民地化」
…すべての南アフリカ人が市民権を行使できる国づくりを目指す「民主化プロセス」
・1994年の新生南アフリカの誕生
→「脱植民地化(decolonization)」であり、「独立」に限りなく近づくこと
→「南アフリカ人」という国民づくりのシナリオを選択
2 アパルトヘイトをどうなくしたのか
□世界の中の反アパルトヘイト運動
・1973年、国連総会において「人道に対する罪」とされたアパルトヘイト
→世界各地で、市民や国レベルでの反アパルトヘイトの動き
→1980年代に入って活発化
□南部アフリカの連帯
・南アフリカの反アパルトヘイト組織を最も熱心に支援
→南部アフリカ諸国「フロントライン諸国」
…モザンビーク、ボツワナ、ジンバブエ、タンザニア、アンゴラ
・アパルトヘイト廃絶に対して、何よりも決定的役割
→南アフリカ国内での黒人を中心とする実に多様な反政府運動
・キリスト教会の存在
→19世紀半ばから、人種別教会に分離
・1985年、キリスト者は解放への戦いに参加すべきでないかと示唆する「カイロス文書」
→カイロス…ギリシア語で「今こそ」ないし「チャンス」の意味
□内戦をどう避けたのか
・1990年、デクラーク大統領が27年間獄中にあったネルソン・マンデラ氏を釈放
→1994年、全人種の参加する議会選挙が実施
・実質的には、すべての南ア人の政党であることを前面に出したANCと、国民党との戦いに
→ANCが62.6%の大勝
→結果如何よりも、選挙という手続きが曲がりなりにも「成功」したことこそが世界の称賛の対象に
□黒人が白人を解放した?
・新生南ア初代大統領、マンデラ氏の果たした役割
…アパルトヘイト廃絶を復讐の論理に従わせてはならないと人種間の和解を強く訴え
→いくら強調してもし過ぎることはない
・新生南アが、土地問題という最も困難な課題を当面先送り、多大な犠牲を出すことなく新国家体制に移行できたこと
→アフリカ現代史に刻まれる興味深い出来事
3 ポスト・アパルトヘイトの課題
□残る膨大な貧困層
・黒人の住宅に対する強い要求
→アパルトヘイトをなくすということは、家族が同じ屋根の下でまともに住めること
・今日、高級住宅地にも、黒人の居住者の姿が繁く見られるように
・南アにおける所得格差、今日でも黒人層全体にとって著しい形で改善されてはいない
・南アは今日でも、アフリカ大陸最大の経済規模を有しながらも、社会全体では著しい貧困と格差を再生産
→まぎれもなく「南」の国
□新生南アフリカは「革命」だったのか
・1994年の新生南アフリカ
→アパルトヘイト期との断絶から、一つの体制ないしレジームの転換
・資本と労働の関係が、持つ者(白人)と持たざる者(黒人)という粗暴かつ可視化されやすい構図を生んできた歴史
→この国にはアフリカ最強・最大の労働組合が存在、今日でも政治的に無視できない社会勢力に
□グローバル化時代の未来を照らす
・アフリカで断トツの格差資本主義の上に築かれた新生南アフリカ社会
・新生南アの国歌に編曲された「コシシケレリ・アフリカ」
→反アパルトヘイト運動のいわば闘争歌
…タンザニア、ザンビア、かつてのジンバブエの国歌が同じメロディー
□ビジネス・ユートピアを越えて
・もともと周辺国からの出稼ぎ労働に大きく頼ってきた南ア
→非南アのアフリカ人が多く流入、近年では総人口の17%近くに
・歪められた富の形成と分配に由来する格差問題が顕在化
・2000年代の南アに拮抗する二つのビジョン
→黒人中間層の興隆を南アの将来像の兆しとして強調、白人中心の多国籍ビッグビジネスで輝く南ア
→それがままならない居住区において、圧倒的多数のアフリカ人たちが描く、より公正で、より生きやすい南ア像
…水道や電力といった公共料金の値上げに対して怒りを自治体にぶつけたり、
…職場で低賃金を維持しようとする経営側と戦ったりする