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顧客開拓に向けた新たな先端製品、サービス、支援の強化

high-endスマートフォンの売れ行き低迷など不安要因が出ているなか、アップル、QualcommそしてSamsungの第二四半期売上高は過去最高を示し、モバイル機器に当面の伸びを託さざるを得ない状況である。このようななか、売上げアップを図るあの手この手ということで目についたのが、インテルの先端プロセス品はもちろんとしてカスタム半導体へのアプローチ、そしてアナログ半導体を引っ張るテキサス・インスツルメンツ(TI)の設計データ提供のアピールであり、ともに顧客密着の原点を感じている。

≪様々な態様≫   

インテルのカスタム対応、14-nmサーバ半導体を巡る動きが次の通りである。

◇Intel Tips Custom and 14nm Server Chips (7月22日付け EE Times)
→Intelのサーバグループが、custom CPUsの開発を開始、来年にもCoreプロセッサを用いる最初のsystem-on-chip(SoC)、14-nm半導体を展開する旨。
同社はまた、初の22-nm Atom-ベースSoC、Avotonの詳細を披露、ワイヤレス基地局のfield試行では現在x86半導体を明示していない旨。サーバ製品についてのbriefingで同社はまた、新興途上のsilicon photonicsによりサーバをre-architectする活動も述べた旨。Intelは、eBayおよびFacebookの両方に向けてcustom CPUsを開発、これらの活動への入り込みが、ground-up設計を含むのか、単に現状製品の製造variationsかは明らかでない旨。

◇Intel to launch low-power version of powerful server chips-Intel plans Xeon server chips that run on less power (7月22日付け Reuters)
→Intelが、カスタム半導体に対応、競合に対抗する動き、電力使用が減らせるデータセンター向けのXeonサーバ製品を設計している旨。この新しいofferingsは、昨年開発されたAtom半導体よりエネルギー効率が最大4倍、性能が7倍上回る旨。

◇Intel details new 14nm server chips (7月23日付け EE Times India)
→Intelが、次期AtomプロセッサC2000製品ファミリー(コード名"Avoton"および"Rangeley")など同社サーバプロセッサ・ロードマップの詳細を説明、並びに2014年以降に向けた次世代14-nm製品のロードマップの概要を示した旨。

モバイル機器に向けても電池寿命で優位性を打ち出そうとしている。

◇Intel aims for longer tablet battery life with Haswell chips-Intel says tablets could have nine hours of battery life with the 4.5-watt Core Y series chips-New "Haswell" processors draw 4.5 watts, boosting battery life for tablets, Intel says (7月23日付け Computerworld/IDG News Service)
→Intel発。"Haswell" micro-architectureを擁する次期第4世代Core Yプロセッサは、パワー4.5 wattsで動作するスペックの旨。この新しい半導体は、タブレットcomputers, laptopsおよびhybrid PCsの電池寿命を延ばす見込みの旨。

カスタム対応に向けたインテルの1エンジニアの努力、奮闘ぶりが、以下で表わされている。

◇Intel Engineer Builds Social Networks (7月24日付け EE Times)
→Intelで17年目のMPUエンジニア、Ronak Singhal氏。ここ数年、Amazon, eBay, Facebook, Google, Microsoftという大手Web会社のトップcomputerエキスパートとの関係づくりに時間の多くを当て、Intelの最新サーバ半導体計画について要求を集め、フィードバックを得ている旨。Intelは最近、eBayおよびFacebookなど最大手顧客のいくつかにMPUsのカスタム版を供給し始めている旨。

アナログ半導体をリードするテキサス・インスツルメンツ(TI)も、売上げ拡大をさらに一段と図っていくために、具体的な設計データの提供を次のように行っており、顧客へのサービス、支援を踏み込んで高めている。  

◇米TI、アナログ半導体、設計データ提供 (7月25日付け 日経産業)
→米半導体大手、テキサス・インスツルメンツ(TI)が、アナログ半導体の回路設計データの提供を開始、製品ごとの設計手法やシミュレーション結果などの設計結果などを検索できる旨。産業機器メーカーなど顧客の製品開発期間の短縮が可能になる点をアピールして、半導体の販売拡大につなげる旨。


≪市場実態PickUp≫

活況のモバイルを引っ張るAppleおよびQualcommから第二四半期、4〜6月期の業績が発表されている。Appleは、第二四半期としては過去最高の売上高ながら2四半期連続で減益、前年実績を割り込んでいる。

【AppleおよびQualcommの4〜6月期】

◇米アップル、2四半期連続減益、iPad不振で純利益22%減−4〜6月期 (7月24日付け 日経 電子版)
→米アップルが23日発表した4〜6月期決算。売上高は前年同期比1%増の$35.323B、4〜6月期としては過去最高を更新、純利益は同22%減の$6.9B(約6860億円)となり、2四半期連続で前年実績を割り込んだ旨。スマートフォン「iPhone」の販売は堅調だったが、タブレット「iPad」の販売が落ち込んだ旨。

端的に中国市場での売り上げが急激に低下、当面する課題が以下の通り表わされている。

◇Apple wobbles in China as rivals offer more, for less (7月24日付け Reuters)
→Apple社の4〜6月の中国売上げが急激に低下、現地の安価なライバルとの技術ギャップが狭まり、Samsung Electronicsがすべての価格帯にわたって着実な新モデルの流れを保つなか、同社2番目に大きい市場で直面する課題を浮き彫りにしている旨。

◇How cheap can Apple go with the iPhone?-Commentary: Secretive Apple keeps investors guessing (7月25日付け Market Watch)

Qualcommの方は、四半期ベースで過去最高の売上高、純利益も過去最高を更新という絶好調が続いている。

◇クアルコムが最高益、4〜6月、スマホ向け好調 (7月26日付け 日経産業)
→半導体大手、米クアルコムの4〜6月期決算はスマートフォンの需要拡大を背景に好調、24日発表した売上高は前年同期比35%増の$6.243B(約6260億円)、純利益は同31%増の$1.58B。売上高は四半期ベースで過去最高、純利益も4〜6月期として過去最高を更新した旨。

◇Qualcomm's Net Jumps 31% on Mobile-Chip Demand -Smartphone demand drives Qualcomm profits in fiscal Q3 (7月24日付け The Wall Street Journal)
→Qualcommは4G Long-Term Evolution(LTE)半導体で競合よりも市場開拓が早い、とアナリストの言及がある旨。

PCからモバイル向けへ生産シフト、両市場ともに供給難となって価格上昇が伝えられているメモリ市場であるが、先行きはともかくこれが奏功してメモリメーカーの業績が以下の通り大きく押し上げられて好転している。

【メモリメーカーの業績】

◇SK Hynix Scores Record Profits (7月25日付け EE Times)
→SK Hynix社(韓国)の第二四半期売上げ3.93 trillion won(約$3.52B)、前四半期比41%増、前年同期比49%増。net profitは947 billion won($850M)の新記録、前四半期比5倍増、前年同期は53 billion wonの赤字。

◇SK Hynix Net Income Beats Estimates as Chip Prices Rebound-Demand for DRAMS, other chips helps boost SK Hynix profits (7月24日付け Bloomberg)
→今年の後半、AppleおよびSamsung Electronicsからのさらに多くのビジネスを見込んでおり、収益回復は年後半に続いていく旨。最近のhigh-endスマートフォンの需要低下懸念にも拘らず、中国でのlow-endスマートフォンの需要増大がいかなる低下も打ち消すと思っている旨。

◇Inotera swings to 2Q13 profit-Inotera Memories reports Q2 profit of $116.17M, breaking 13-quarter streak of losses (7月24日付け DIGITIMES)
→台湾のDRAM半導体メーカー、Inotera Memoriesが、2013年第二四半期に$116.17Mのnet profitsを計上、13四半期連続の赤字に終止符の旨。

◇Nanya earnings jump on better DRAM pricing-Higher DRAM prices help Nanya more than triple Q2 profits to $56.1M (7月24日付け The Taipei Times (Taiwan))
→台湾最大のDRAM半導体メーカー、Nanya Technology社(南亞科技)の6月30日締め四半期のnet incomeがNT$1.68B($56.1M)、前四半期のNT$526Mから3倍以上に、2四半期連続の利益計上の旨。

グーグルの新たな取り組みが連日見られて、以下の通りである。まずは、グーグル・グラスの部品を供給している台湾メーカーへの出資である。

【グーグルの取り組み】

◇Google buys 6.3% stake in Taiwanese display maker (7月23日付け EE Times India)
→Google社が、台湾のディスプレイメーカー、Himax Technologiesへの出資を決定、Himaxは、Googleが子会社、Himax Display Inc.(HDI)の6.3% stakeを買収と発表の旨。Himax Displayは、Google Glassで用いられるliquid crystal on silicon半導体およびモジュールの現在のサプライヤである旨。

◇台湾メーカーに出資、グーグル、眼鏡型端末に活用 (7月24日付け 日経産業)
→米グーグルが22日、台湾のディスプレーメーカー、立景光電(ハイマックス・ディスプレー)に出資することを明らかにした旨。9月末までに6.3%の株式を取得することで立景の親会社と合意、グーグルは眼鏡型の情報端末「グーグル・グラス」を開発しており、出資により部品の供給元を確保する旨。

press eventを開催、タブレットの更新版およびテレビの攻略に向けた新戦略がプレゼンされている。

◇Slideshow: Google Upgrades Android, Nexus, TV (7月25日付け EE Times)
→Googleの水曜24日のpress eventにて、AndroidおよびChrome両方のプラットフォームを担当しているSundar Pinchai氏のプレゼン。Android 3.4を擁するNexus 7タブレット更新版およびweb video用Chromecast HDMI dongle(不正コピー防止)の開発など。

◇グーグルTV3度目の正直―3画面制覇の切り札に(NewsEdge)(7月26日付け 日経産業)
→米グーグルが24日、テレビの攻略に向けた新戦略を発表、テレビに取り付けてウェブコンテンツの視聴に使う新装置「クロームキャスト」を35ドル(約3500円)という低価格で発売、一気に普及させることを狙う旨。米IT大手が新たな収益源として期待するテレビでグーグルは2回の「失敗」を経験済み、三度目の正直となるか。

startup、SuVolta社は、ゲート酸化膜直下のチャネル層を、不純物のないアンドープ層とすることで、不純物分布のゆらぎによるしきい値電圧のバラつきを回避するdeeply depleted channel(DDC)トランジスタ技術を売りとしているが、UMC、富士通などとの協働が以下の通り続けざまに発表あるいは表わされている。

【SuVoltaのDDC技術】

◇SuVolta Process Wins ARM, UMC Support (7月23日付け EE Times)
→startup、SuVolta社(Los Gatos, California)が、台湾のファウンドリー、UMCと協働、モバイル応用向け28-nm低電力製造プロセスに取り組む旨。SuVoltaはまた、65-nm bulk planar CMOSでARM製Cortex-M0プロセッサコアを製造、SuVoltaのDeeply Depleted Channel(DDC)技術の低電力の可能性についてbenchmark評価を行う旨。

◇Suvolta hits big milestones in quest to cut chip power consumption by 50%-SuVolta halves transistor power consumption (7月23日付け VentureBeat)
→トランジスタvariationとして知られる問題を扱うために、SuVoltaが半導体設計に取り入れているDeeply Depleted Channel(DDC)技術は、スマートフォン、タブレットcomputersなど携帯エレクトロニクス機器において電池寿命の改善を約する旨。

◇Fujitsu samples 150V GaN-on-Si power transistors-Fujitsu GaN-on-Si power transistors are in sampling (7月24日付け Electronics Weekly (U.K.))
→富士通が、テレコム電源用の150-volt gallium nitride-on-siliconパワートランジスタをサンプル配布、来年量産に入る旨。別に富士通は、65-nmプロセスで作ったARM Cortex-M0コアの電力消費を減らすために、SuVoltaが開発したdeeply depleted channel(DDC)トランジスタ技術のライセンス供与を受けている旨。

◇UMC 28nm process implements SuVolta DDC technology to target mobile applications (7月24日付け DIGITIMES)
→UMCとSuVoltaが、SuVoltaのDeeply Depleted Channel(DDC)トランジスタ技術をUMCの28-nm HKMG high-performance mobile(HPM)プロセスに統合する28-nmプロセス開発で協働する旨。DDCトランジスタ技術は、leakageパワーを減らし、SRAM定電圧性能を改善する旨。


≪グローバル雑学王−264≫

前回のジンバブエに続いて、民主化の軌跡を辿る後半は、コートジボワールおよびケニアについて、

『新・現代アフリカ入門 −−−人々が変える大陸』  
  (勝俣 誠 著:岩波新書(新赤版)1423) …2013年4月19日 第1刷発行

より見ていく。十数年に及ぶ内戦を含む政争の泥沼を経て一応の決着を現在見ているコートジボワール、1990年代の民主化、2007年の「ポスト選挙暴力」で大きな挫折を経験しているケニア、とそれぞれにかつての繁栄から転じた壮絶なプロセスとなっている。


第2章 民主化の20年   ≪後半≫

3 コートジボワール−−−「奇跡」から内戦へ

□奇跡二度起こらない
・1960年にフランス植民地から独立したコートジボワール
 →かつては日本でも「象牙海岸」という国名
 →1960年代と1970年代の資源ブーム…「象牙の奇跡」−韓国「漢江の奇跡」に倣う
・独立の父、独立以来のウフエ・ボワニ大統領
 →1993年12月死亡、カリスマ大統領死後の後継者争い

□クーデターから内戦へ
・1999年12月24日、同国初のクーデター成功…「クリスマスの贈り物」
 →以降、この国は十数年にわたり内戦を含む政争の泥沼続く
・選挙によって民主化を再起動させるプロセス
 →選挙の参加資格に関わる国籍問題土地問題

□「外国人」という言葉が広がった
・「イボワリテ(ivoirite)」なる自国文化を称賛する概念
 →2000年、大統領候補は父母ともイボワール人でなければならないという憲法改定が成立
 →この国籍条項は、2003年1月の停戦合意で廃止

□Uターンしても耕地がない
・未開拓の森林地帯で展開された民族移動
・1960〜1970年代のカカオブーム
 →様々な民族集団が入植、パッチワークのように織りなされた社会空間

□世代間対立へ
・「西部開拓モデルの危機」とも呼ばれたこの入植問題
 →若者層が、プランテーション農業活動へ戻りだし、農地不足を一層加速
 →故郷に戻った若者の怒りの表明

□一つの秩序の終わりか
・2010年末、国連の実質的管理下で大統領選が実施
・国連、欧州連合、アフリカ連合、西アフリカ諸国経済共同体のお墨付きを得て、コートジボワールの民主化を巡る内戦の10年は一応の決着

4 ケニアの民主化と暴力の系譜

□「優等生」だったケニア
・かつては東アフリカの経済的優等生、ケニア
 →1990年代に入るや民主化に対する内外の圧力
・2002年末の大統領・国会議員選挙
 →大統領交代はさほど激しい暴力なく

□「ポスト選挙暴力」という新語
・2007年12月27日に行われた大統領選挙・国会および地方議会議員選挙
 →選挙後の暴力事件により、死者1000人以上、30万人とも推定される家屋や畑を追われた国内避難民
 →「ポスト選挙暴力」という用語さえ生んだ

□マウマウ戦争の現代的意味
・1950年代末、英国当局がマウマウと呼んだ蜂起(ないし戦争)
 →マウマウ…ケニア人はケニア土地自由軍と呼ぶ
 →白人入植者に土地を奪われたギクユ人
・ケニアが1963年に英国植民地から独立していくプロセスの中
 →結局報われなかった若者と、新興政治エリートとの間の亀裂
 →今日のケニアの政権の性格を規定する重要な要因

□盗まれ続ける若者革命
・独立以降の国富の処分と私物化に膨大な権力を行使できる政治エリートという特権層
 →選挙のたびに期待を裏切られた若年層との間に深まった溝
・「マウマウの戦士は土を掴んで死んでいった」
 →ケニアは、1990年代の民主化、2007年の「ポスト選挙暴力」で大きな挫折
 →自国の富の分配の民主化こそが、独立以来、未完のアジェンダに

□独立運動も民主化運動であった
・1960年代半ばから、各国で軍事クーデターが勃発
 →冷戦後の民主化は、正確には「再民主化」ということも
・「革命が終わると、軍が残る」とは、東アジアだけでなく、この大陸にも当てはまる事例
・「民主化」とは、何よりもまずどうしたら人々が安心して生活改善が出来るかを考えられる人々が育ち、その描く社会像に政治という形を与えていく息の長い営み
・民主化という出来事を、現代アフリカの経済・文化・社会の文脈から読み直すことの重要性
 →1.幅広いインフラないし基礎条件の整備
   …学校教育の拡充
   …独立メディアや人権擁護の市民団体など中間組織の活動
   …政教分離を経て議会の調査・討議能力
   →IT革命による情報の民主化
  2.政治の民主化と経済の自由化をセット
   →国際金融機関および援助機関からのアフリカ諸国グローバル化時代の押しつけ
   →外国企業の「南」諸国での自由な活動は温存ないし保護
   →今日の多くのアフリカ諸国を特徴づける外向き政権

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