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世界半導体販売高、地域別我が国の落ち込み、WSTS予測下方修正

SIA(Semiconductor Industry Association)から4月の世界半導体販売高およびWorld Semiconductor Trade Statistics organization(WSTS)の2013年春季グローバル半導体販売高予測が発表され、本年の累積販売高は依然辛うじて昨年のペースを上回り、今後の拡大に期待する内容となっている。データで目立つのは、4つに分けた地域別の販売高で、我が国が3月、そして4月と欧州を下回って最下位になっていることである。WSTSの中期予測も下方修正されており、我が国、業界全体の盛り返しが強く望まれる状況である。

≪4月の世界半導体販売高≫   

米SIAからの4月の世界半導体販売高とWSTS春季中期予測の発表は、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○4月のグローバル半導体販売高、前月比若干増;2013年および2014年に見込まれる穏やかな伸び−年初からの累積販売高は依然辛うじて昨年のペースに先行;WSTS伸長予測、2013年は2.1%、2014年は5.1% …6月5日付けSIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2013年4月の世界半導体販売高が$23.62 billion、前月、2013年3月の$23.48 billionから0.6%増加、しかしながら前年同月、2012年4月の$24.06 billionからは減少している。月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics organization(WSTS)のまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、WSTSの新しい業界予測は2013年の今後および2014年について穏やかな伸びを見込んでいる。

「最近の数ヶ月半導体販売高は穏やかながら着実な増加、そして今年の今後および2014年について一層力強い伸びが見込まれて、グローバル半導体業界は、しつこく低迷するマクロ経済環境にも拘らず夏に向かって正しい方向に進んでいる。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、Brian Toohey氏は言う。「業界販売高は、大方はメモリおよびロジック製品の力強い需要のお蔭で引き続き2012年を辛うじて上回るペースできており、残る本年この伸びが拡大すると見込んでいる。議会および政権は、伸長および革新を促進する政策を制定して、業界が次のステップに前進できるようにする支援が行える。」

地域別には、前月比でAsia Pacific(+2.0%)が増加したが、Americas(-0.6%), Europe(-0.6%)およびJapan(-2.9%)は減少した。前年同月、2012年4月との比較では、Asia Pacific(3%)およびEurope(0.4%)は増加したが、Americas(-4.4%)そして日本円安が一つにあってJapan(-19.4%)が減少となっている。

加えて、SIAは本日、WSTS Spring 2013グローバル半導体販売高予測を提示、2013年の業界世界販売高を2012年総販売高から2.1%増、$297.8 billionと見込んでいる。WSTSは2013年販売高地域別予測について、Asia Pacific(5.7%), Europe(5.3%)およびAmericas(1.6%)は増加を見込んでいるが、Japan(-13.8%)は鋭く落とすとしている。

WSTSによると、2013年から先の業界についてはすべての地域にわたって着実、穏やかな伸びを見込んでいる。WSTSは、2014年は総販売高$312.9 billionで5.1%の伸び、2015年は$324.9 billionで3.8%の伸びと、それぞれ予測している。WSTSは、グローバル半導体メーカーの広範なグループを招集、半導体の流れの正確、タイムリーな指標を与えて、semi-annual業界予測をまとめている。

                            【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Apr 2012
Mar 2013
Apr 2013
前年同月比
前月比
========
Americas
4.56
4.38
4.36
-4.4
-0.6
Europe
2.82
2.84
2.83
0.4
-0.6
Japan
3.38
2.80
2.72
-19.4
-2.9
Asia Pacific
13.31
13.45
13.71
3.0
2.0
$24.06 B
$23.48 B
$23.62 B
-1.8 %
0.6 %

--------------------------------------
市場地域
11- 1月平均
2- 4月平均
change
Americas
4.77
4.36
-8.6
Europe
2.66
2.83
6.5
Japan
3.00
2.72
-9.3
Asia Pacific
13.72
13.71
-0.1
$24.15B
$23.62
-2.2 %

※4月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/April%202013%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これに関連する記事が以下の通りである。WSTSの2013年春季予測総括の一覧が含まれているが、2013年および2014年ともに下方修正された見方となっている。

◇Chip sales: WSTS reduces 2013 market growth estimate (6月5日付け EE Times)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が、4月の弱含みな3ヶ月平均グローバル半導体販売高の発表とともに、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationが2013年および2014年の半導体市場の伸びの見積もりを下方修正したことを発表の旨。
・≪表≫ WSTSの2013年春季予測総括 [Source: SIA, WSTS]
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/news/20130605pcSIAwstsSpring839.jpg

◇Global chip sales to show modest growth in 2013 and 2014, says SIA (6月6日付け DIGITIMES)

この下方修正を裏づけるように、世界全体のgross domestic product(GDP)の見方も下げ気運が強くなっている先週の以下の記事である。

◇Global GDP woes dragging on chip growth (5月30日付け EE Times)
→IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)発。世界の主要経済圏の多くで第一四半期gross domestic product(GDP)の冷めた評価、2013年半導体市場伸長予測を6%から5%に下方修正の旨。ほとんどの国々あるいは地域からのGDP figures速報に基づいて、グローバルGDPの予測評価を3.1%から3%に下げた旨。この下方修正は、米国の低めのGDP伸長予測、2012年と同じ水準の2.2%止まりが引っ張っている旨。
・≪表≫ 世界GDPの評価内訳:2012年〜2014年
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/Dylan/2013_01/130530_icinsights_600.jpg

米SIAの4月販売高から気がついて遡ったデータ抽出であるが、地域別販売高での我が国と欧州のここのところの推移が以下の通りとなる。この3月から我が国が欧州を下回り、4地域では最も低くなっている。

2011年 4月
2012年 4月
2013年 1月
2月
3月
4月
日本
3.42
3.38
3.02
2.85
2.80
$2.72B
欧州
3.26
2.82
2.64
2.68
2.84
$2.83B

急激な円安が大きく影響していることが我が国にはあるが、欧州ではSTMicroelectronicsが関連して以下の見方を行っている。

◇STMicro CEO Says Weaker Euro to Lift Europe Manufacturing-Weaker euro would help European chipmakers, ST CEO says (6月4日付け Bloomberg)
→STMicroelectronicsのCEO、Carlo Bozotti氏。ユーロの価値の減少が、欧州の半導体メーカーを活性化する旨。STは今年5%〜10%の売上げ増を見込む旨。

我が国製造業の全体についても奮起を促す「ものづくり白書」が発表されている現時点である。

◇製造業の競争力低下懸念=「ものづくり白書」閣議決定 (6月7日付け 時事通信)
→政府が7日午前の閣議で、国内製造業の動向をまとめた2013年版「ものづくり白書」を決定、白書は「海外生産は拡大しているが国内生産は頭打ちで、現場の強みに根差したものづくり産業は中長期的に競争力低下が懸念される」と分析、規制緩和の推進などを通じ、製造業の設備投資を促す環境整備を進める必要性を強調した旨。製造業の研究開発費は近年、2007年の12.2兆円をピークに減少基調、2010年時点で10.5兆円まで減少した旨。


≪市場実態PickUp≫

恒例のアジア最大級のIT専門見本市、COMPUTEX TAIPEI 2013が開催されている(6月4-8日:Taipei[台北])。パソコンからモバイル機器へ急激に傾く昨今の世界の潮流を色濃く映し出す以下の内容となっている。まずは、タブレットに向けて巻き返しを図るインテルの動きである。

【Computex trade show】

◇Intel Shows First Smartphone with Merrifield Chip-Intel says the Atom chip code-named Merrifield will offer over 50 percent better performance than its predecessor-Intel furthers mobile agenda with "Merrifield"-based phone (6月4日付け CIO.com/IDG News Service)
→Intelが本日、次世代Atomプロセッサ、"Merrifield"を搭載した初のスマートフォンを披露、現在のAtomデバイスと比べて実質的にパワー浪費がなく電池寿命を伸ばす旨。キャリアおよびハードウェアメーカーが該プロセッサを手にするのは2014年始め、Intelはスマートフォンの支配的な半導体プロバイダーとしてのARMを撃退する試みの旨。Intelはまた、同社プロセッサが今年30ほどのタブレットに搭載される見込みの旨。Intelの果敢なモバイルの取り組みには、PC販売低迷を食い止めるよう設計されたhybrid laptop-tablet機器サポートがある旨。

◇米インテル、タブレット用で巻き返し、半導体、サムスンに初供給 (6月5日付け 日経)
→米インテルは、パソコンからタブレットに需要が急速に移行するなか、タブレットの頭脳となる半導体市場を本格開拓する旨。タブレットで世界シェア2位の韓国サムスン電子の製品に初めて納入、年末には性能を2倍以上に高めた新製品を投入する旨。一連の取り組みで「出遅れたモバイル市場での反撃を目指す」(インテルのトーマス・キルロイ[Tom Kilroy]主席副社長)としている旨。

お膝元のTSMCは、モバイル機器に向けた先端半導体の供給コミットを謳っている。

◇TSMC banking on 28nm shipments-TSMC will ship 1.5M 28nm wafers in 2013, exec says (6月6日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Computex summit forumにて、TSMCのビジネス開発部門、director、Been-Jon Woo(金平中)氏。TSMCは、年末までに28-nm features半導体ウェーハ1.5M枚を出荷する見込み、モバイル機器に入る半導体需要が主に引っ張っている旨。TSMCでは、2013年の売上げのうち28-nm半導体が少なくとも30%を占めると見ている旨。同社は、"独自の"ビジネスモデル、"Grand Alliance"を生み出して顧客とともに成長、この戦略の成功が力強い28-nm半導体ビジネスで証明されている旨。

あまりにも急激な潮流に様変わりの今回のComputexが、以下の全体的な概観で表わされている。

◇タブレットで温度差、台北国際電脳展、エイスース・米クアルコム、開発力生かし攻勢 (6月7日付け 日経産業)
→最大の注目商品はタブレット(多機能携帯端末)だが、出展各社の取り組みには温度差がにじむ旨。パソコンでは台湾・華碩電脳(エイスース)が多彩な商品を投入する一方、宏碁(エイサー)は取り組みの遅れが目立つ旨。従来の看板商品のパソコンとの兼ね合いに苦慮するケースも多い旨。
従来のパソコンから「タブレットの祭典」に早変わりした今年の台北国際電脳展、出展企業が前年比4%減の1724社、出展ブースが同5%減の5042個とやや減った旨。今後は見本市としての求心力も問われそうな旨。

インテルの第4世代Core "Haswell"プロセッサが発表され、AMDも対抗してA-Series "Richland" desktopプロセッサを打ち上げている。パソコン巻き返しのまさに中核となるという受け止めである。

【IntelのCore "Haswell"プロセッサ】

◇Intel releases faster, more efficient Core CPUs in renewed bid for mobile market-Intel debuts Core "Haswell" processors for mobile applications (6月1日付け PCWorld)
→Intelが土曜1日、22-nm製造、モバイルcomputing向け最新製品の同社第4世代Core "Haswell"プロセッサを投入、同時に、Asus, CyberpowerおよびMicroCenterが該新プロセッサラインに基づく新computerモデルをお披露目の旨。Haswellは、Ivy BridgeがSandy Bridgeに対してと同じ10〜15%の性能アップ、しかもパワーおよび発生する熱が大きく減少する旨。

◇AMD fires back at Intel's Haswell with its A-Series desktop processors-AMD unveils 5 A-Series desktop processors, challenging Intel (6月4日付け PCWorld)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、Intelの新ライン、Core "Haswell"プロセッサ代替として5つのA-Series "Richland" desktopプロセッサを投入の旨。同社のLisa Su氏は、accelerated processing units(APUs)のグラフィックス性能を謳い上げ、AMDが発明したAPU、まさにcomputingの将来である旨。

◇インテルの新型CPU、搭載PC相次ぎ投入、富士通やHPなど (6月6日付け 日経産業)
→パソコン各社が米インテルの新型CPUを搭載するパソコンを相次いで発売する旨。富士通は5日、高精細液晶を搭載する薄型ノートパソコンを28日から販売すると発表、日本ヒューレット・パッカード(HP)や米デルなども新型CPUで処理性能を高めた製品を投入する旨。インテルの新型CPUは第4世代にあたる「コア」シリーズ、高性能と省電力が特徴の旨。

モバイル機器用プロセッサをリードするARMからは、mid-range向けプロセッサコア、Cortex-A12が発表されている。GlobalFoundriesが、このコアについて28-nmプロセス製造対応を行うとしている。

【ARMのプロセッサコア、Cortex-A12】

◇ARM unveils processor and graphics tech for mid-range smartphones-ARM aims new processor design at midrange mobile devices (6月2日付け VentureBeat)
→ARM Holdingsが、$200〜$350の価格帯のスマートフォンおよびタブレットcomputers用に設計されたプロセッサコア、Cortex-A12を投入、また、このようなmidrangeモバイル機器に向けてARM Mali-T622 graphics processing unit(GPU)およびARM Mali-V500ビデオプロセッサも出している旨。このCortex-A12は、NvidiaおよびQualcommなどlicenseesがモバイルプロセッサ開発に使用、Apple iPhone 4SおよびSamsung Galaxy S IIIのCortex-A9プロセッサより高速、高エネルギー効率の旨。

◇ARM, GloFo launch Cortex A-12 on 28nm.-GlobalFoundries will make ARM's Cortex-A12 with 28nm SLP process (6月3日付け Electronics Weekly (U.K.))
→ARMとGlobalfoundriesが、GloFoの28-nm SLPプロセス上のCortex A-12プロセッサについて、プロセッサ + プロセスおよびPOP IPパッケージを打ち上げ、該A-12はmid-rangeモバイル機器を狙っている旨。A-12, 28-nmプロセスおよびIPパッケージの組み合わせは、40-nmプロセス技術を用いるCortex-A9プロセッサに比べて、70%高い性能(single-thread性能測定)および2倍良いパワー効率が得られる旨。

モバイル機器の中でも急な移行ということで、携帯電話全体に占めるスマートフォン比率が、この第二四半期には半分以上となり、年間ベースでも半分を上回るという予測が以下の通り表わされている。

【スマートフォン出荷推移&予測】

◇Smartphones forecast to represent over 50% of total cellphone sales for the first time in 2013 (6月4日付け ELECTROIQ)
→IC Insights発。スマートフォンの全体出荷推移&予測:

2011年
2012年
2013年
485M台
712M台
975M台
67%増
47%増
37%増

       
   
2013年第二四半期に初めてのこと、スマートフォンがcellphone全体の50%以上を占める見込みの旨。今年年間ベースで50%を上回り、2016年にはcellphone出荷全体の85%を占めると見る旨。
cellphone全体およびnon-smartphone handsetについては次の通り:
2011年
2012年
2013年
cellphone全体
1%増
3%増
non-smartphone cellphone
フラット
17%減
20%減


≪グローバル雑学王−257≫

強力な磁石としてエレクトロニクス機器に欠かせず、中国が独占に近い現状があって、国際的な争奪戦が起きているレアアースについて、

『元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち』  
  (吉田 たかよし 著:光文社新書) …2012年10月20日 初版1刷発行

より、酷似する性質から元素周期表でまとめられる位置づけを辿っていく。
周期表の張り出し組と的を得た表し方のランタノイド、アクチノイドに改めて注目している。

※元素周期表として、理化学研究所 仁科加速器研究センターからの次の例がある。
http://www.rarf.riken.jp/enjoy/images/genso.pdf


第5章 レアアースは"はみ出し組"ではない!

□世界中で需要が高まる強力な磁石
・近年、資源としての価値が急激に高まってきたレアアース
 →争奪戦が起こる最大の理由: 強力な磁石をつくるのに不可欠 
・装置が比較的安価なCT(コンピュータ断層撮影)、放射線の被曝が最大の短所
 →徐々に増えている放射線を使わないMRI(磁気共鳴画像装置)
  →縦横斜めのいずれの断面も表示可、きめ細かい画像、小さな腫瘍も見落とさない
・強力な磁石の需要は今後もうなぎのぼり
 →レアアースの争奪戦も今以上に加熱

□レアアース、レアメタル、ベースメタル
・生産量が多く世界中で幅広く使われている金属 …ベース(基盤)メタル
 →鉄、銅、アルミニウムなど
・希少価値をもつ金属 …レアメタル(総称)
・レアアース …レアメタルのうち、グループ3の第6周期までの元素
 →土にわずかに含まれている元素、希土類とも
・「希土類磁石」(レアアースを使った磁石)
 →高い磁力を保つことができるのが最大の魅力
 →溶ける温度(融点)が極めて高い、熱伝導率が高いといった他の元素にはない性質も

□レアアース17元素
・全部で17種類の元素 →全般の性質が酷似

□なぜ中国に牛耳られているのか
・現在の日本がレアアースの大半を中国一国に依存しているのは事実
・2種類の鉱床
 …原子が比較的軽い「軽希土類」と呼ばれる元素が採掘できる
 …比較的重い「重希土類」と呼ばれる元素が採れる
 →重希土類が採れる鉱床の開発は、現在のところ中国南部のみ
・世界各地にある軽希土類の鉱床のなか、たまたま中国のバイユンオボ鉱床だけが、地表のすぐ近く
 →採掘の費用が劇的に安価
 →バイユンオボ …モンゴル語で「豊かな丘」の意
  →国境線がもう少しだけ南に引かれていたら、レアアースの勢力図はまったく違ったものに

□レアアースは日本で採れる?
・2011年、2012年と、我が国発、大量に見つかったレアアースを含んだ泥
 →国内消費量の230年分もあるとの推計
 →安価に採取できる方法が確立されたら、問題は一気に解決へ

□周期表の張り出し組
・周期表を参照&確認:欄外に置かれていることこそが、レアアースの本質を見事に表現
 →原子番号57番のランタンから原子番号71番のルテチウムまでの15個の元素は、すべてグループ3の第6周期の元素

□周期表の形はひとつじゃない?
・原子も半径が大きくなると表面積が急激に増加
 →周囲を回る電子の軌道にも、さまざまな種類
 →結果的に外側の軌道から先に埋まるという現象が起きてくる 
  …遷移元素
・最も外側の軌道を埋める電子の数が同じで、外側から2番目の軌道を埋める電子の数だけが異なる元素が現れてくる
 →遷移元素
 →第6周期に至ると、外側から2番目の軌道まで電子の数が同じという現象が現れる …レアアース
  ・周期表についても、平面ではなく立体で描く試み
   →「エレメンタッチ」、周期表の地球儀とも

□レアアースで強力な磁石がつくれる原理
・鉄にネオジムやジスプロシウムなどのレアアースを加える
 →強力な磁石
 →レアアースは外側から2番目の軌道に空席
  →鉄の原子がひっくり返るのを防げる

【発展コラム】第6周期と第7周期の隠れた特徴
・ランタノイドの15個にも及ぶ元素が周期表の同じ場所に位置
 →外側から2番目にある軌道の電子の数も、大半が同じ
・主量子数の順番通りに電子が入っていくとは限らず、方位量子数によっては、軌道のエネルギーが逆転する場合も
 →遷移元素が生じる
・周期表上の表記、ランタノイド …「ランタンもどき」という意味、総称表現
・第7周期でもまったく同じ現象 →総称してアクチノイド

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