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第一四半期半導体ベンダーランキングが映し出す今後の戦略/戦術

エレクトロニクス業界の現状がくっきりと表れている2013年第一四半期半導体ベンダーランキングが、IC Insightsから発表されている。モバイル機器活況、パソコン低迷が続いて各社順位、伸長率にさらに変化の度合いを増しているし、我が国の半導体メーカーについては特に急激に進んだ円安の動きから増幅されて大幅な落ち込みを示している。当然ながらモバイル機器関係半導体が主力のメーカーはさらに伸ばそうとする動きが活発化する一方、立て直し、挽回を図る各社各様の戦略打ち上げの動きが見えてきている。

≪様々入り混じるインパクト≫   

IC Insightsからの今回の発表は、様々なインパクトからくる激変ということで、見出しタイトルも多様化している。なにしろ日本メーカーの状況がまず以下の通り表わされている。

◇Japan's chip vendors slide down Q1 global rankings (5月13日付け EE Times)
→IC Insightsの2013年第一四半期半導体ベンダーランキング。前年同期と比べて日本の半導体メーカー数社が、次の通り順位を落としている旨。
 東芝  4位 →  5位
 Renesas Electronics 7位 → 11位  販売高20%減
 ソニー  13位 → 16位     31%減
 富士通  15位 → 20位     26%減
・≪表≫ 2013年第一四半期半導体トップ20ベンダー…トップ20の販売高総計、前年同期比2%増
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/news/20130513pcICinsightsRank624.jpg

トップ20ベンダーで順位を上げたのが11社という変わりようである。

◇Eleven Companies Move Up in 1Q13 Top 20 Semi Supplier Ranking (5月13日付け IC Insights)

モバイル機器用プロセッサ設計のQualcommが伸び率のトップ、該プロセッサを製造するのが主体のTSMCが26%増で続いている。

◇Qualcomm Surges 28%; World's 4th largest IC company (5月13日付け ElectronicsWeekly.com)
→IC Insights発。2013年第一四半期の世界半導体ランキングで、Qualcommが前年同期比28%増と売上げを伸ばして、第4位に上昇、東芝が5位になった旨。

PCプロセッサが主体の最大手、インテルは、前年同期比3%減の販売高で首位は維持しているもののSamsungやQualcommの急迫が強く気づかされる状況となっている。

◇Intel loses ground as world's top chip firm-Intel remains the world's top semiconductor company by sales, but rivals like Samsung and Qualcomm are catching up, survey shows-Samsung, Qualcomm seen gaining on Intel in revenue share (5月13日付け Computerworld/IDG News Service)
→IC Insights発。Intelが、第一四半期半導体サプライヤ・世界トップを維持しているが、次の通り、Samsung ElectronicsおよびQualcommが大きく販売高を伸ばす一方、Intelなどが後退している旨。
 Samsung Electronics  前年同期比 13%増
 Qualcomm              28%増
 Intel               3%減

チップセットベンダーが生産枠確保を求めて、TSMCに殺到する状況が見られている。数量が市場プレゼンスに欠かせないというcriteriaが度を高めているということと思う。

◇Chipset players queuing up for TSMC production capacity (5月14日付け DIGITIMES)
→業界筋発。内外のチップセットベンダーが、40-nm, 28-nmそしてさらに先端のプロセスの生産capacityを確保するために、TSMCに列を成し始めている旨。

改めて今回我が国のメーカーが置かれた状況が、以下の通り示される。

◇Japan chip firms 1Q13 sales suffer double-digit declines (5月15日付け DIGITIMES)
→IC Insightsの2013年第一四半期世界半導体販売高・トップ20ベンダー。
日本の4社(Toshiba, Renesas, FujitsuおよびSony)がすべて、前年同期比二ケタ(%)の落ち込みを示している旨。為替水準が2012年の第一四半期JPY79.26に対して2013年第一四半期JPY92.19となって、販売高figuresに大きなインパクト、東芝はJPYで表せば販売高5%増となる旨。

欧州のSTマイクロは、今回順位は上がるものの販売高は若干落とす結果となっているが、事業戦略が改めて次の通り説明されている。

◇ST's strategy is a tale of two segments (5月16日付け EE Times)
→STMicroelectronics NV(Geneva, Switzerland)が木曜16日、アナリストに向けてcorporate戦略を説明、2つの製品-oriented事業セグメントで構成する旨。
1.センサ、パワーおよび車載製品 
 …得意のアナログおよびディジタル車載
2.embedded処理事業 
 …非車載ディジタル(consumerアプリMCUsプロセッサ)

インテルでは株主総会にて、新旧CEOの率直な話が以下の通り行われている。Moore則の伝統を死守する最先端半導体デバイスプロセスの展開が、同社そして半導体業界全体に大きく生命線となる今後ということと思う。

◇Intel's Krzanich Pledges Stronger Mobile Push in His First Speech As CEO-New Intel CEO promises to catch up in mobile electronics (5月16日付け CIO.com/IDG News Service)
→Intel株主総会(Santa Clara, Calif.)にて新たにCEOに就任したBrian Krzanich氏。Intelはモバイル機器需要への適応が鈍かったことを認め、半導体製造技術を着実に進めて改善を目指す旨。前CEOとなったPaul Otellini氏は、iPhoneおよびiPadでのsocketsを獲得していないことが在任期間中Intel最大の欠点であった旨。

Samsungの現下のモバイル機器需要拡大への飽くなき備えが表わされている記事である。

◇A stretched Samsung chases rival Apple's suppliers-Samsung looks to Apple's suppliers for mobile components (5月16日付け Reuters)
→Samsung Electronicsのしっかりした社内supply chainが、Samsungモバイル機器の需要増大に応えるのに精一杯になっており、結果としてAppleの部品サプライヤのいくつかを追いかける可能性の旨。

今回31%減とやはり大きく落としているAMDであるが、新ゲーム機需要が獲得できたというものの挽回にはおぼつかない、という以下の論調となっている。

◇AMD Rally Needs More Than Console Wins to Outrun PC Market: Tech-Analysis: Game consoles alone won't solve AMD's PC blues (5月16日付け Bloomberg)
→Advanced Micro Devices(AMD)は、MicrosoftおよびSonyからの新ゲーム機におけるsocket wins以上のものが、だれ気味のPCプロセッサ事業を打ち消していくのに必要である旨。


≪市場実態PickUp≫

インターネット検索最大手、米グーグルの年次developer's conference(5月15-17日:Moscone Center, San Francisco)が開催され、Google Glass、定額制音楽配信打ち上げなど以下の抽出である。

【Google I/O developer conference】

◇Spurred by Google Glass, IHS Forecasts nearly 10 Million smart glasses to ship from 2012 to 2016 (5月12日付け EE Times)
→IMS Research発。Google Glassが届いて、Googleが該製品のアプリ開発を推進拡大していくと、smart glassesのグローバル市場は2012年から2016年の間に約10M台に上る可能性、2012年の5万台から2016年には6.6M台となり、5年間の総計は9.4M台と見る旨。

◇Google I/O: Larry Page talks, search box listens (5月15日付け EE Times)
→Googleが、annual developer's conference(5月15-17日:Moscone Center, San Francisco)にて、新しい音声search capability、音楽streamingサービスおよびMaps & Google+アップグレードを発表、ディジタルカメラが提示するものと競合する自動オンラインphoto enhancementsなどがある旨。

◇米グーグル、定額制の音楽配信開始 まず米国で (5月16日付け 日経 電子版)
→インターネット検索最大手の米グーグルが15日、同日に米サンフランシスコで開幕したソフト開発者向け会議「グーグルI/O」にて、定額制の音楽ネット配信サービス「グーグルプレーミュージック・オールアクセス」を始めると発表、毎月一定の利用料金を支払うと数百万曲が聴き放題になる旨。同様のサービスでは英スポティファイなどが先行、グーグルの参入で定額制の普及が加速しそうな旨。

◇Slideshow: Google I/O puts 7 platforms on parade (5月17日付け EE Times)
→annual Google I/O developer conference(5月15日から:SAN FRANCISCO)にて、新製品あるいはinitiativesの大きく目新しいものはなかったが、検索エンジンとして飛び出した同社はWorldwide Webと同様の大きな志を示している旨。同社が育んでいる7つの主要プラットフォーム、すなわちAndroid, Chrome, Glass, Google+, Google TV, Maps...ohおよびSearchについて大きな更新が今回、発表、リリース、あるいはほのめかされた旨。

モバイル向けDRAMの出荷対応に重点が行ってしまって、パソコン用汎用DRAMにはなかなか手が回らないという実態か、汎用DRAMの価格、数量に現下の否応ない需給を反映する異変である。

【汎用DRAM市場】

◇Commodity DRAM Price Rebound Results in Unusually Strong First Quarter Revenue.-Samsung and SK Hynix Retain Leadership in DRAM Market-DRAM prices rose in Q1, a rare feat, research firm reports (5月13日付け XBitLabs.com)
→第一四半期のDDR3 4-Gバイトモジュールのcontract価格が前四半期比36.2%上昇、第一四半期のグローバルDRAM売上げは前四半期並みの旨。
DRAMサプライヤ・トップ7社のうち5社が前四半期比売上げ増、Samsung ElectronicsとElpida Memoryが落とした旨。

◇パソコン用DRAM、高値でも供給増えず、好調のスマホに注力 (5月16日付け 日経)
→パソコン用DRAMの価格上昇が続いており、大口向け価格は4月後半も上がり、直近安値を付けた昨年12月に比べ8割も高い旨。メモリ大手が需要が好調なタブレットやスマートフォン向けに生産を転換、パソコン向けを減らしたための旨。

三次元IC、あるいは3D ICは、すでに市民権を得てこれから本格的浸透普及を迎える段階にきているが、TSMCからは"system super-chip"には欠かせないとの打ち上げがあるとともに、まだ若い景観模様の該技術特許の現状をまとめたレポートが発表されている。

【3D IC】

◇Exclusive: TSMC plots system super chips-TSMC CTO touts 3DIC capabilities to make "system super-chips" (5月13日付け EE Times)
→TSMCのchief technology officer(CTO) and vice president of R&D, Jack Sun氏との独占インタビュー。TSMCは最近、"system super-chip"市場を席巻する計画の詳細を明らかにしている旨。インターポーザおよび3-D技術が、システムsuper-chipパッケージと呼ぶものに纏められるシステムintegrationを可能にする旨。

◇Yole Developpement conducts 2.5D, 3DIC and TSV interconnect patent investigation (5月15日付け ELECTROIQ)
→Yole Developpementが、"2.5D, 3DIC and TSV Interconnect Patent Investigation"レポートを発表、選んだプレーヤー5社のin-depth調査とともに景観概要を示し、現状のIPの統計的分析を示す狙いの旨。

◇Micron to have lion's share of 2.5/3D packaging patents-Yole: Micron/Elpida combo will lead in 2.5/3D packaging patents (5月16日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Yole Developpement発。Micron TechnologyとElpida Memoryの来る合併により、Micronが半導体業界最大の2.5Dおよび3DIC packaging特許保有者となる旨。Yoleがまとめた特許保有の現状:
 IBM 74
 Samsung 71
 Micron 70
 TSMC 61
 Hynix 56
 STATS CHIPPAC 48
 Intel 25
 Amkor 24
 Elpida 23
 ITRI 21
*このトップ10で全体の48%
*特許の82%が2006年以降登録
*3DIC技術に関わるのは260のプレーヤ


≪グローバル雑学王−254≫

人体を構成する元素はほぼすべてが宇宙発、元素誕生には1000万度超の温度が必要で、地球では新しい元素はつくられないことからスタート、

『元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち』  
  (吉田 たかよし 著:光文社新書) …2012年10月20日 初版1刷発行

より、原始の宇宙から生命の源まで壮大なスケールを足早に辿っていく。あらゆる元素はエネルギーが最も安定している鉄を目指し、鉄より軽いものは核融合、重いものは核分裂をして近づこうとする基本である。

元素周期表として、理化学研究所 仁科加速器研究センターからの次の例がある。
http://www.rarf.riken.jp/enjoy/images/genso.pdf


第2章 周期表から宇宙を読み解く

□地球では元素は生まれない
・周期表を上手に使えば、宇宙への理解が飛躍的に高まる
・人体を構成している元素は、ほぼすべてが宇宙に由来
・元素を誕生させる決定的に重要なひとつの条件
 ⇒温度が1000万度を超えること
 ⇒地球では新しい元素はつくられない

□1000万度以上の高温が元素を生む
・この高温になる大きく分けて3つのケース
 1.宇宙自体が誕生した「ビッグバン」の直後
 2.太陽のような恒星の中で起こる「核融合」
  …太陽のどこでも核融合が起こるというわけではない
   太陽の表面の温度は5500度
 3.寿命が尽きた恒星の「超新星爆発」
  …鉄より重い元素は、ほとんどが超新星爆発のはじめの10秒以内

□原始の宇宙はこうしてできた
・時間を遡ると、最終的には宇宙全体が1点に集約
 →計算上、137億年前
・水素が92%、ヘリウムが8%という原始の宇宙
 →水素がやがて集まり、恒星が形成
 →恒星の内部でつくられる元素は、鉄(Fe)まで

□鉄は元素の中の優等生
・鉄の原子核が最もエネルギーが安定
 →鉄より軽い元素は、核融合によって少しでも重くなろうとする
 →鉄より重い元素は、核分裂をして軽くなろうとする傾向
・原子力発電や原子爆弾
 →ウランなど重い元素が核分裂、あまったエネルギーが熱に変わるという反応を利用
・太陽がエネルギーを放射
 →水素が核融合することによってあまったエネルギーが熱や光に変わっている
・鉄より重い元素が、どうやって誕生したのか
 →現在では、少なくともその大半が超新星爆発によってできた、との理解

□超新星爆発により生じる元素の化学進化
・太陽は、70億年後くらい、白色矮星という地球くらいの大きさの白くて小さな死骸のような星に
・太陽より10倍以上大きな恒星は、星の内部の燃料が燃え尽きると、大きさを支えきれずに爆発
 …超新星爆発 →鉄より重い元素が次々と
・超新星爆発が起こると、周囲の宇宙空間に無数のチリ
 →チリが集まってまた恒星が誕生
 ⇒何度も何度も超新星爆発が発生、そのたびにより重い元素がつくられていくプロセスを繰り返す
  …「元素の化学進化」
・私たちの太陽系、太陽自体は小さ過ぎて、今後、超新星爆発を起こすことはない
 →太陽系には現に鉄より重い元素が存在
 →化学進化がかなり進んだ状態

□ベテルギウスの天体ショーはいつ起こる?
・宇宙科学の専門家の間で、まもなく超新星爆発を起こすのではないかと注目の恒星
 →オリオン座のベテルギウス …赤くて明るい星
 →この星が終末の直前であることを示唆する観測結果が次々に報告
・今、この瞬間にベテルギウスが超新星爆発を起こしてもおかしくはないのは事実
 →最大で100万年後に起こってもやはり不思議はない

□宇宙は水素だらけ
・太陽系の中の元素の存在度
 →太陽系に存在する酸素は、水素の3000分の1
 →重量比:太陽系の70.7%が水素、27.4%がヘリウム
  …それ以外の元素、足し合わせても2%にも及ばない
・海水も雨水も血液の水分も、宇宙に豊富に存在している水素が元
・少なくとも46億年の地球の歴史上、元素は変わらぬまま存在し続けてきた
 →無数の元素の組み合わせの変化によって生命が成り立っている

【発展コラム】生命の源は彗星が運んできた?
・生命はどうやって誕生した?
 →現在、最も支持されている仮説は、彗星が宇宙からアミノ酸を運んできたというもの
・彗星の残した星屑が燃えていることがわかっており、同時に水やアミノ酸も地球に供給されているはず
 →積み重なれば、十分に生命を生み出すだけの量に

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