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PCからモバイルへの急な流れ−迫られる革新:生産対応

本年第一四半期の世界PC出荷台数が前年同期比で史上最大の落ち幅、あるいは2009年以来の8000万台割れと、表わし方はあれどPCからモバイル、すなわちタブレットなどへの市場購買の流れが急速に進んでいる。PC用半導体最大手、インテルの業績発表にもその流れが如実に表れており、先端技術を引っ張る同社にも新しい変わり身、革新路線への切り換えが求められるという大方の論調である。一方、モバイルプロセッサ生産対応に突っ走るTSMCでは、先端ノード前倒し、生産capacityアップが相次いで施されている。

≪引き続き注目の2社≫  

第一四半期の世界PC出荷について、史上最大の前年同期比落ち込みとする以下のデータ発表である。

◇Windows 8 hurting PC market (4月12日付け EE Times)
→International Data Corp(IDC)発。2013年第一四半期の世界PC出荷は総計76.3M台、前年同期比13.9%減、IDCが1994年にPC市場を追跡し始めて以降最大の落ち幅、また4四半期連続の前年比低下となっている旨。PC業界のtouch対応およびultraslimシステムを採用する試みは、Windows 8の弱含みで妨げられている旨。MicrosoftのWindows 8 operating system(OS)は、かなりの人々がパソコン購買からタブレットcomputersに向かわせている様相の旨。

呼応するように、インテルからは幅広い備えがあるとのメッセージが出されている。最先端技術&路線を打ち上げて目標通りに実現してきている同社の動きに注目である。

◇Intel Tries to Secure Its Footing Beyond PCs-Why Intel may be at its most critical crossroads (4月14日付け The New York Times)
→Intelが次のchief executiveを探すなか、単にトップ半導体メーカーであることを越えて、新しい技術領域および市場分野への拡大に取り組んでいる旨。「今日の市場は10年前よりもずいぶん広くなっている。我々は小さなタブレットおよび大きなメインフレームcomputersの製造、各半導体のflavors増加およびより多くの基盤カバーに着手している。」(Intelの技術&製造グループ、Mark Bohr氏)

もう一つ、世界PC出荷のデータが出されたが、世界各地域すべてで減少となっている。

◇Worldwide PC shipments in 1Q13 drop to lowest levels since 2Q09, says Gartner (4月15日付け DIGITIMES)
→Gartner発。2013年第一四半期の世界PC出荷が総計79.2M台、前年同期比11.2%減、80M台を下回ったのは2009年第二四半期以来の旨。すべての地域で出荷が減少、EMEA(Europe, the Middle East and Africa)地域が最も急激な落ち込みとなっている旨。

PC出荷データの弾みを受けて発表されるインテルの業績という感じ方があるが、今回は上記の落ち込みがもろに反映される以下の内容である。

◇Intel's Q1 profit tumbles on weak PC market (4月16日付け EE Times)
→Intel社(Santa Clara, Calif.)の第一四半期売上げ$12.6B、前四半期比7%減、前年同期比2%減。第二四半期については$12.4B〜$13.4Bの販売高を見込む旨。2013年全体では、2012年販売高$53.3Bに対して低い一桁%増と引き続き見ている旨。2013年capital spendingは約$1B削減、$11.5B〜$12.5Bを現在は宛てる見込みの旨。

◇Intel's Profit Falls 25% With Decline in Chip Sales (4月16日付け The New York Times)

パソコンからサーバ、データセンター用MPUへの展開が図られているもののカバーしきれていない結果である。

◇米インテル、パソコン不振で純利益25%減、1〜3月 (4月17日付け 日経 電子版)
→インテルが16日発表した1〜3月期決算、売上高は前年同期比3%減の$12.58B、純利益が同25%減の$2.045B(約2000億円)。タブレットなどとの競争激化が響き、パソコンが苦戦、世界シェアの約8割を握るパソコン向けMPUの販売が減り、5四半期連続の減益になった旨。部門別売上高はパソコン向けMPUなどの「PCクライアントグループ」が同6%減の$7.992Bに留まり、データセンター向けMPUを中心とする「データセンターグループ」は同8%増の$2.585Bと健闘したものの、パソコンの落ち込みを補いきれなかった旨。

現下の第二四半期ではサーバ用プロセッサによる盛り返しが期待されている。

◇Intel Sales May Exceed Estimates on Demand for Server Chips-Server-chip demand buoys Intel Q2 sales forecast (4月17日付け Bloomberg)
→Intelの第二四半期売上げ見込み、サーバに入るプロセッサ需要が活発、$13.4Bになる可能性の旨。第二四半期の平均アナリスト評価は$12.8Bになっている旨。CEOのPaul Otellini氏は来月退任予定、後継はまだ発表されていない旨。

ソフトウェア&サービスの拡充を図る以下の動きである。

◇Intel Confirms Deal to Buy Mashery-Intel to purchase Mashery for API management (4月17日付け The Wall Street Journal)
→Intelが、API(application programming interfaces)マネジメントツール
・サプライヤ、Masheryの買収に合意、Masheryは、McAfeeおよびWind River Systemsが含まれるIntelのソフトウェア&サービスグループに所属する旨。

変わり身、革新が求められるインテルということで、以下のタイトル記事となっているが、いずれにせよ今後の路線打ち上げに注目である。

◇Reinventing Intel (4月19日付け ELECTROIQ)
→Intelが自らを作り直そうとしている旨。自由落下のPC出荷状況、同社は四半期利益の急減を発表、同社PC半導体部門が2012年総売上げの64%、operating incomeの89%を占めることから、驚くことではない旨。net incomeが前年同期比25%減という結果に対して、IHSのアナリストはIntelは今年首位にいるために革新を打ち出すとしているが、同社decision makersからの他の報道はIntelがいざという時のためにこっそり新しいものを用意している旨。

かたやモバイルプロセッサ生産対応に走るTSMCは、先の米国西海岸での技術シンポジウムでの動きが次の通りである。最先端ノードへの取り組みの自負が生々しく伝わってくる。

◇TSMC 2013 Symposium: Progress in 20nm, 16nm FinFET, and 3D-IC Technologies (4月15日付け Design and Reuse)
→TSMC 2013 Technology Symposium(4月9日:San Jose, California)にて、先端ノードあるいは3D-IC技術に関心の向きに良い知らせ。20-nm planar, 16-nm FinFET, およびChip-on-Wafer-on-Substrate(CoWoS)技術、並びに10-nm FinFETおよび真の3D-IC stackingに関わる有望な開発作業における優れた歩留まりおよび重要な進展が、基調講演で触れられた旨。

◇5 questions with TSMC founder Morris Chang -TSMC's Morris Chang: Foundry rivals "come and go" (4月15日付け EE Times)
→annual TSMC Symposium(San Jose Convention Center)にて、数枚のslidesおよびノート無しで基調講演を行ったTSMCのMorris Chang氏とのQ&Aから、以下抜粋。
Q:TSMCの米国での新fab建設の報道は本当か?
A:決定は行っていない。新fab建設は大きな決定。今や$5Bかかる。
Q:競争相手としてのインテル、どう見る?
A:競争相手は行ったり来たり、常にある。MPUメーカーとしてのインテルにその顧客で競合する可能性。Samsungはもっとファウンドリー事業に積極的、GlobalFoundriesも同じこと。
Q:Moore's Lawの展望?
A:もう7-8年、たぶんもっと進展していく。10-nmまで、7-nmでも技術は見えている。

進境著しいファウンドリー、GlobalFoundriesからも積極的な投資対応の動きである。

◇GlobalFoundries Plans $4.4 Billion Spending as Chip Demand Rises (4月17日付け Bloomberg)
→Advanced Micro Devices(AMD)社、Qualcomm社などが顧客のcontract半導体メーカー、GlobalFoundries社が、スマートフォンおよびタブレット需要拡大に向けた生産対応で今年$4.4B投資する計画の旨。

当面はモバイルプロセッサに軸足を置いたTSMCの先端ノード前倒し、生産capacity拡大を図る線表となっている。下記のApple需要の事態もあり、一刻の目も離せない市場実態が一方にはある現時点となっている。

◇TSMC Expects Lift from Smartphones, Tablets-Chips for mobile devices to boost Q2 sales for TSMC (4月18日付け The Wall Street Journal)
→TSMCが生産capacityを増強、スマートフォンおよびタブレットcomputers用半導体製造が、第二四半期の同社業績を支える旨。

◇TSMC 16nm FinFET to enter mass production within one year after 20nm ramp-up, says Chang (4月18日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏が本日18日のinvestors meetingにて、20-nm半導体の生産立ち上げ後1年以内にTSMCの16-nm FinFETプロセスが量産に入る旨。TSMCはすでに2013年第一四半期に20-nmプロセスのリスク生産にすでに移行、16-nm FinFETについては今年末までにリスク生産の備えが整う旨。新しいノードのオンライン化引き上げを図る一方、TSMCは2013年capexを以前の$9Bから$9.5B-10Bに上方修正する旨。


≪市場実態PickUp≫

Appleが風邪を引くとここまでの影響と改めて知らされる以下のCirrus Logicの動きである。モバイル機器活況とて安閑としていられない状況がある。

【Appleインパクト】

◇Cirrus Logic warns on revenue, raising question of Apple sales-Supplier woes stir Apple demand fears, stock drops below $400 (4月17日付け Reuters)
→販売高の90%以上Appleに依存するCirrus Logicが水曜17日、売上げ予測下方修正でアナリストを驚かせた旨。このニュースで、Appleのモバイル機器向けサプライヤである他の半導体メーカー、Avago Technologies, Broadcom, QualcommおよびSkyworks Solutionsなどの株価が下がった旨。

電池の開発が活発化しているが、最も強力、1000倍高速に充電、というフレーズが目についた以下の内容である。

【1000倍高速充電】

◇Scientists Develop Microbatteries: Most Powerful Batteries on the Planet.-Researchers Create Microbatteries with Unique Capabilities (4月17日付け XBitLabs.com)

◇Microbatteries that charge 1,000 times faster (4月18日付け EE Times India)
→University of Illinois at Urbana-Champaignが、"the most powerful batteries on the planet"を開発、該rechargeable電池は、競合する技術より1,000倍高速に充電できる旨。該電池の高性能は、内部三次元microstructureによるもの、該電池はanode(マイナス側)およびcathode(プラス側)の2つの重要コンポーネントがあり、新規高速充電cathode設計に立脚、matching anodeを開発して、優れた性能を擁する完全な電池を作るために該2つのコンポーネントをmicroscaleで統合する新しい方法を開発した旨。

半導体消費が伸びるのにほとんど輸入というジレンマを抱えているインド、待望の初のウェーハfabに向けて以下の現状、そして市場の実態である。

【インド初のウェーハfab】

◇India, Long the Home of Outsourcing, Now Wants to Make Its Own Chips-India wants homegrown wafer fabs for its electronics (4月15日付け The New York Times)
→インド政府が、同国初のウェーハfab拠点の建設&設備装備に対する奨励として$2.75Bまで提示している旨。Gartnerによると、インドは昨年半導体$8.2Bを輸入しており、自前のウェーハfabを得ることについて、インドに特に必要なインフラおよびサプライヤecosystemにおいていくつかの課題を突きつけられている旨。

◇Indian chip market set to jump 20% in 2013 (4月16日付け EE Times)
→Gartner社発。2012年のインドの半導体消費が、2011年から7.4%増の$8B、2013年は20%増の飛躍、$9.6Bになると見る旨。2012年の世界半導体売上げは2.6%減の$299.9B、インドの2012年の伸びはグローバルな流れに対抗している旨。携帯電話、PCおよびLCD TVの3つの電子機器が、インド全体の半導体消費の70%を占めている旨。

古くて新しい半導体の信頼性品質問題であるが、International Reliability Physics Symposium(IRPS) 2013より最新の問題認識&アップデートである。

【半導体の信頼性問題】

◇IRPS 2013: Self-heating to accelerate aging in FinFETs (4月16日付け ELECTROIQ)
→International Reliability Physics Symposium(IRPS) 2013(4月14-18日:Hyatt Regency Monterey Resort & Spa in Monterey, CA)にて。従来のbulkトランジスタでは、熱がデバイスのbulkに抜けることで自己加熱は制御されるが、新しいFinFETsでは、熱が抜けるところがなく、重大な問題となる可能性の旨。「FinFETsでは三次元構造ゆえ、この自己加熱はscaling downにおいてbottleneckとなる。」(IRPSのTechnical Program Chair、Giuseppe Larosa氏)

◇Slide Show: Top 7 reliability challenges (4月18日付け ELECTROIQ)
→International Reliability Physics Symposium(IRPS)(4月14-18日:Hyatt Regency Monterey Resort & Spa in Monterey, CA.)より、BTI(bias temperature instability), TDDB(time dependent dielectric breakdown), electron trapping, self-heatingおよびagingはじめ共通信頼性問題についての最新レポート・ハイライトをまとめた旨。下記参照。
http://www.electroiq.com/articles/sst/slideshow/top-7-reliability-challenges.html
 

≪グローバル雑学王−250≫

シルクロード沿いのお米に焦点を当てる後半は、インド、ヒマラヤ、ブータンなどでの米作り、味わい方など、

『知ろう 食べよう 世界の米』
  (佐藤 洋一郎 著:岩波ジュニア新書 720) …2012年 7月20日 第1刷発行

より見ていく。お米に関する地域特性に改めて気づかされるところ多々である。小さい頃から慣れてきている日本のお米料理の味との違いが、特に印象に残るところがある。


6章 シルクロードを通って   ≪後半≫

3 インドのイネと米文化

□インドの稲作
・インドは世界第2の米の産出量を誇る国、多民族多文化の国、稲作のスタイルも米の種類も食べ方もいろいろ
・アジアのイネや稲作は、中国 vs インドという地図上の二分法では理解は不可能
・そこにたまたま水があればイネを植える、そうでなければ雑穀を植える、という感覚の地域
・インド東部に住むムンダ族のイネとマメという混植
 →雑穀と豆とが一つの畑に栽培される農法
・日本や他のアジア地域には、冬の間にレンゲを栽培して土を肥やす農法
 →田んぼの畔にダイズを植える「畔豆」も同様の効果期待

□冬に作るイネ
・インドの稲作地帯の中心は、ガンジス川の下流に広がる大平原
 →世界でも最大級の浮稲地帯、ベンガル地方
・伝統的に冬季の稲作 →冬季のイネ、「ボロ」
・夏に作るイネ →春先に二種類のイネの種子を播きつけ
 →アウス …夏の暑いうちに花を咲かせ、その分収穫期も早くなる
  アマン …しばしば浮稲の性質

□ヒマラヤのイネ
・ヒマラヤ山麓の地域…ネパール、インドのシッキム州、ブータンにまたがる
 →山麓から山の上の方に、イネ→トウモロコシ→シコクビエ→ソバと作物の種類の変化
・ヒマラヤのイネは、日本のイネとインドのイネの双方から等距離にあることは確か

□シッキムの稲作は中国文化
・「中国」を強く感じるインドの自治州の1つ、シッキム
 →規則正しく等高線に沿って並ぶ棚田
・インドのイネには、明らかに中国に起源のあるジャポニカの遺伝子
・遺伝子を伝えるのはイネ、遺伝子が動いたとすれば、それは、人間が動いたから

□ブータンの稲作
・世界で最も高いところにある稲作
 →ブータンのパロという町の北方、ドゥルックユル・ゾンというところにある水田
  …標高2600m
・ブータンの稲作は、ヒマラヤに端を発する幾筋かの川沿いにできた猫の額ほどの河川敷
 →水温が低い問題 …ヒマラヤの雪解け水
・ブータンの水田の多くは、収穫期にさえ田の表土が見えるほどに植物の生育が悪い

□ブータンのイネの変わった特徴
・ブータンのイネは、熟すと種子がぱらぱらと落ちてしまうものが多い
 →ブータンの品種は伝統的に脱粒性が高い

□赤米を好む人びと
・ブータンの米でもう一つ、赤米が多い
・日本では、古い制度(1995年以前)のもとでは、赤米は欠陥品
 →1000粒の米の中に赤米が1粒でも混じっていれば等級外
  …現実離れした基準
・ブータンでは、人びとは一貫して好んで赤米を食べてきた
・標高が高くなると水の沸点が下がり、ものがよく煮えなくなる恐れ
 →みんなどうしているのか?

□パーボイル
・インドを含む南アジアでは、パーボイルという米の保存法
 →まだ熟していない籾を強引に収穫し、籾のまま茹でて乾燥
 →茹でることの意味は、酵素の活性を抑えたり微生物を殺してしまうというあたりか?
・保存した米を臼で搗いて籾殻を外せば、米粒は当然砕けるかつぶれるか
 →粉食文化ではいっこうに構わない

□カレーライス
・(著者には、)インドの米とカレーとが、どうもストレートに結ぶつかない
・インドでも、タイでも、あるいはインドネシアでも、日本のどろっとしたルーはあまり見ない
 →最近は日本でもスープカレーが流行り、それに近い
・日本のカレーライスは、ご飯もねばねば、カレーもどろどろの、あくまで日本食

□インダス文明のイネ
・「古代四大文明」→典型的な「ヨーロッパ史観」
 →古代文明は長江文明を加えた五大文明という人も
・インダス文明…ハラッパ遺跡がインダス川の流域にあり、ハラッパ文明を呼ぶことも
 →コムギとイネの両方をもっていた
・イネはどのようにして伝わったのか?
 →常識的には「南回り」のルート、他方、シルクロードを経由、インダス流域に入った可能性も捨て切れない

4 中央アジアの米料理

□タシケントでみたピラフ
・(著者は、)1997年の9月、生まれて初めてのウズベキスタン
 →ソウル-タシケントは8時間、夜行便
 →市場でピラフがあるのを発見、この地が発祥の地
 →ヒツジ肉の香りが強くするワイルドなピラフ

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