ファウンドリー業界での続く脈動…最先端連携、中国勢
特に今年に入ってから、ファウンドリー業界関係の話題が集中して上がってくる傾向を受け止めている。モバイル機器対応の製造を軸に、圧倒的首位のTSMCにSamsungおよびGlobalfoundriesが急伸して迫るランキング構造になるとともに、Intelが最先端プロセス技術ファウンドリー事業を展開、Globalfoundriesからは積極的なビジネスモデルの提言、提案と、息つく間もない感じ方である。今回もまたまたその流れ、最先端技術での連携と中国ファウンドリー勢の活動からくる引き続く脈動である。
≪またまたファウンドリー業界の動き≫
今回まずは、GlobalfoundriesがASMLの1部門、Brion Technologiesと連携、20-nmまでのリソ対応、そしてEUVリソ開発の前倒しを図るとしている。
◇ASML teams up with Globalfoundries-Lithography for 20nm and 28nm tapeouts (3月18日付け TechEye.net)
◇ASML, Globalfoundries partner to tape out 28nm and 20nm chips (3月19日付け DIGITIMES)
→ASMLの1部門、Brion Technologiesが、Globalfoundriesとコラボ、28-nmおよび20-nm tapeoutsに向けたhigh-volume computationalリソ対応を行う旨。
◇GLOBALFOUNDRIES partners with ASML for chip tape-outs (3月20日付け ELECTROIQ)
→ASMLの1部門、Brion Technologiesが、GLOBALFOUNDRIESとの連携で大きなmilestone、28-nmおよび20-nm tapeoutsに向けたhigh-volume computationalリソ対応でコラボ、また、extreme ultraviolet(EUV)リソなど今後のノード開発を加速する旨。
次に、中国を代表するファウンドリー大手、SMICであるが、一昨年後半からの新たな体制での取り組みで次の通り弾みがつく状況が見られている。
◇SMIC to operate at 90% of production capacity in 2Q13 (3月19日付け DIGITIMES)
→業界筋発。中国および台湾のICデザインハウスからの受注が支え、Semiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)の2013年第二四半期の生産capacity稼働率が90%になる見込みの旨。
◇Exclusive: SMIC's CEO makes utilization first focus (3月21日付け EE Times)
→2011年8月に就任、新生SMICのCEO、Tzu-Yin Chiu氏インタビュー記事。
2012年売上げ$1.7Bと最高を記録、incomeも$15.9Mで同社7年で最高の旨。
今まで表に出ていない印象の中国のファウンドリー、Wuhan Xinxin Semiconductor Manufacturing、このほど社名をXMCに変えて、傍流ビジネスをすべて受けて取り組むという強烈な顧客密着のメッセージである。
◇Chinese foundry gets makeover, new ID-Analysis: XMC wants to be a bigger player in the foundry business (3月19日付け EE Times)
→Semicon China(上海)にて火曜19日、今まで比較的目立たなかった中国のファウンドリー、Wuhan Xinxin Semiconductor Manufacturingが、XMCに社名を変更、業界でのより高いprofileに意欲の旨。XMCは、TSMCあるいはGlobalFoundriesとは真っ向にはぶつからず、"主流offering以外の何でも"の取り組み、顧客に向けてプロセス技術のカスタム化を図る旨。
このような一連の脈動はファウンドリー業界の圧倒的首位をいくTSMCにインパクトを与えそうであるが、モバイル機器用プロセッサ製造主流の28-nm市場において次の動きとなっている。
◇TSMC facing increased competition at 28nm (3月21日付け DIGITIMES)
→ライバルメーカーが28-nm半導体の量産に参入、ファブレスメーカーにさらに魅力的な価格を提示、TSMCが28-nm市場での競合増大に直面している旨。TSMCは以前には28-nm製品の量産を行う唯一のファウンドリーであった旨。
≪市場実態PickUp≫
パソコン用DRAMの生産抑制など昨年後半からの引き締め基調が、以下のようなインパクトを起こしている。
【生産調整インパクト】
◇Tight control of supply by chipmakers affecting negatively flash card and drive shipments (3月18日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung Electronicsおよび東芝など主要NANDフラッシュメーカーが、メモリカードおよびフラッシュdriveメーカーに向けて引き続き供給を絞る戦略をとっており、特にUSB 3.0ストレージデバイスについて出荷のマイナスインパクトを与えている旨。
◇DRAM prices grow rapidly -DRAM prices close in on 2011 high, sources say (3月18日付け Maeil Business Newspaper (South Korea))
→DRAMeXchange発。今月の2-GビットDDR3 DRAMのfixed priceが$1.28、2月後半の$1.08、2012年11月後半の80 centsから急上昇の旨。今月のfixed priceは2011年8月の$1.31以来最高となる旨。Samsung ElectronicsおよびSK HynixがPCs向けDRAM生産を抑えているといわれ、PCメーカーが買い求めるメモリ半導体が減っている旨。
長らく懸案となっていた携帯電話用半導体合弁、ST-Ericssonの今後について、売却先が見つからず、合弁解消に至っている。
【ST-Ericsson合弁解消】
◇ST and Ericsson agree to break up joint venture (3月18日付け EE Times)
→STMicroelectronics NV(Geneva)とEricsson AB(Stockholm)が、50:50携帯電話用半導体合弁解消で合意、両社は数ヶ月かけて該合弁の"戦略的ソリューション"を探し求めていた旨。EricssonはLTE 2G-through-4G multimode modem技術を取り戻す一方、STはLTE multimode thin modem ICsおよびある組立&テストoperationsを除く既存のST-Ericsson製品を取り扱う旨。
◇STMicroelectronics, Ericsson End Venture After Failed Sale (3月18日付け Bloomberg Businessweek)
→STMicroelectronics NV(STM)とEricsson AB(ERICB)が、赤字のST-Ericsson半導体合弁について、売却先が見つからず、資産分けして約1,600 jobsを削減、分離することに合意の旨。
◇ST-Ericsson dies! (3月20日付け EE Times India)
Cadence Design Systems社のchief executive、Lip-Bu Tan氏の、以下ダイレクトで分かりやすいメッセージである。
【米国の遅れにハッパ】
◇China, India outspending U.S. in semiconductors (3月19日付け EE Times)
→annual CDN Liveイベント(SANTA CLARA, Calif.)にて、Cadence Design Systems社のchief executiveで半導体への米国venture capital出資の低下を嘆くベテラン投資家、Lip-Bu Tan氏の基調講演。中国およびインド両政府は、今年それぞれの半導体業界にbillions of dollarsをつぎ込む計画を発表、「中国とインドは半導体にお金を投入、米国政府は同じことをやるべき。そうしなければ、いつか米国エンジニアは中国に働きに行かなければならず、あなた方の子供たちが世界のあちら側に行ってしまうことになる。」
◇US lagging behind China, India in semiconductors (3月21日付け EE Times India)
半導体工場の建設をこんどこそと目指すインドであるが、連動する業界の以下の状況、取り組みである。
【インドの業界の動き】
◇Indian electronics mkt may lose Rs.1,000 crore: MAIT (3月19日付け EE Times India)
→Manufacturers' Association for Information Technology(MAIT)発。インド政府が、Compulsory Registration Order 2012の期限、4月3日を先延ばしにできなければ、インドのエレクトロニクス市場はRs.1,000 crore超失う可能性、深刻な低迷に陥る見込みの旨。
◇NASSCOM to incubate 10,000 tech startups in 10 years (3月22日付け EE Times India)
→National Association of Software & Services(NASSCOM)が、向こう10年にわたってインドで10,000のハイテクstartupsを生み出し、出資および支援を行うことを目指す'10,000 Startups'プログラムの打ち上げを発表、該プログラムは、Indian Angel Networkが連携、Google, MicrosoftおよびVerisignがサポート、startup雇用5倍増を作り出す支えになる旨。
≪グローバル雑学王−246≫
熱帯モンスーンでのお米の調理法と食べ方についての後半である。
『知ろう 食べよう 世界の米』
(佐藤 洋一郎 著:岩波ジュニア新書 720) …2012年 7月20日 第1刷発行
より、フィリピン、マレーシア、インドネシアの熱帯の島じま、そしてラオス、台湾などモチ米文化圏について、以下、すでに目にして口にして納得する下りもあれば、それぞれの風土および文化を新たに認識する内容と、入り混じる感じ方である。
3章 熱帯モンスーンのイネと米 ≪後半≫
3 熱帯の島じまのイネと米
□熱帯の島じま
・熱帯の島じま →フィリピン、マレーシア、インドネシア領の島じま
→多くは熱帯ジャポニカに属する品種
・南の島じまと日本列島のイネ、何らかの関係があった可能性は十分
□インドネシアを旅する−−−スラウェシの米と魚
・インドネシア・スラウェシ島のトラジャ地方の事例
…スラウェシだけで日本の本州の8割ほどの面積
→標高のある山中を棚田に開いて作られたトラジャの水田
→田の真ん中に直径数mの丸い穴が一つずつ
→最後には魚たちが殺到する「仕掛け」→干物や魚醤に
□コーヒーの国のイネと米
・この仕掛けによく放り込んであるタケの枯れ枝
→タケの鳥除け
→トラジャの稲作はいろいろな面でエコ
・種まきの前に、種もみを麻の袋に入れて水につける
→発芽時に発生する熱を利用した殺菌法
・トラジャの米は実に多様、遺伝的に多様な品種が栽培され続けてきた
□インドネシア起源説
・2008年、「イネはインドネシア生まれ」という論文発表
→アジア各地の古い品種を集めて、三つの遺伝子を調べて出した結論
・新旧の関係は、DNAのデータからは本来出て来ず、論文はこのことを見落としている可能性大
→「インドネシア起源説」も今は下火に
□インドネシアの焼き飯
・最近日本でも有名になったインドネシアの焼き飯、「ナシゴレン」
→作り方だけは、タイのカオパッとほとんど同じ
→中華料理の影響を受けていることは確か
・しっとりとした食感、この地の品種が熱帯ジャポニカであることによるか
4 焼畑で作る米−−−モチ米文化圏
□ラオスの焼畑
・タイの北側、メコン川に接するラオス
→(著者が、)2004年4月、出くわした焼畑の開墾の作業
…首都、ルアンパバーンから北東80km、ナムガ村
・焼畑儀礼につかう祠(ほこら)
□焼畑の米
・ラオスやタイの焼畑で栽培される米は、ほとんどがモチ米
→米つきは、足踏み式の臼で
→40分で米が蒸しあがり、竹製のおひつに詰め
→一升を超えるほどの大きさ …大家族、それくらいの消費
・米の食べ方も特徴的
→おひつから、指先で適量をつまみ、指先でうまく形を整え、おかずを一緒につまんでは食べる
→おかずもまた、数品がそれぞれ大皿に盛られ、それをみんなでつまんで食べる
・(著者は、)寄生虫が怖く、現地では熱を加えた魚醤を使うよう依頼
□モチとウルチの生化学
・モチ米は粘りが強く、反対にウルチ米はそれに比べて粘らない米
→米粒に含まれるデンプンの性質による
→二つのデンプン、アミロースとアミロペクチンの割合の違い
→アミロースの割合が高い米は粘りが弱くなる
□モチとウルチの遺伝学
・遺伝学的に、ウルチとモチでは、ウルチが優性、モチが劣性
・モチ米は、アミロースを作る遺伝子の何らかの故障が起こり、アミロースが作られなくなったと解釈可能
□竹筒飯、カオラム
・竹筒にモチ米を入れ、それを焼くことで米を調理する「竹筒飯(カオラム)」
・玄米の色が黒紫色をした「紫米」「紫黒米」など
→軽く搗いて蒸すと、鮮やかな紫色のおこわ
□おやつ代わりのモチ米
・道行く子らが、収穫まであと半月くらいの米粒をちぎりとり、ちゅうちゅうと吸っている
→甘くミルクのような香り
・糖からデンプンに変わる途中の状態が「乳熟期」
→乳熟期の米をもっとも好むスズメ、うまいものをよく知っている
□モチ米で作るデザート
・タイの人びとは甘いものが好き
→よく出されるモチ米のデザート
・とことん甘いタイのスイーツ
→モチ米とマンゴーを合わせた、一風変わったデザート
→舌にまとわりつくようなモチ米の食感と、マンゴーのスムースな舌触り
→マンゴーのかわりにドリアンを使ったものも
・ベトナムのミトーという町
→直径20cmばかりの揚げ餅ともいうべき料理
□台湾のちまき
・(著者の)初めての台湾旅行は1981年、最初の海外旅行でも
→北端の基隆(キールン)あたりは沖縄とよく似た気候
→南端部では場所によってはイネの三期作も可能
→中央部の平地でも二期作があたりまえ
・台湾のちまき
→モチ米をタケノコなどと一緒に油で炒めて醤油で味つけ、豚肉の角切りを入れるのを忘れないこと
・台湾の品種
→島の西半分の平野で作られる水稲
東部の山岳地帯に住む少数民族の人びとが作る陸稲
→陸稲の中に、モチ米の品種
□赤米、黒米、紫黒米
・一本の稲穂に、数十から300個ほどの籾(もみ)
→籾殻を取り除いたのが玄米
→玄米の外側の部分を削り取ってできたのが白米
・玄米の状態の米の中に赤米(あかまい、あかごめ)
→赤っぽい色素はカテキン
・黒っぽく見える玄米が黒米
→アントシアニンという紫っぽい色をした色素
・籾殻にもさまざまな色
→籾の黒色は、アントシアニン系の色素ではなく、メラニンの色素によるもの
□変わった形態の種子をもつ品種
・イネの籾や葉には無数の細かなとげ
→ガラスの成分であるケイ酸
・籾に毛がない品種
→英語:グラボラス
中国語:光殻
・籾殻の外側には「護穎(ごえい)」と呼ばれる器官
→護穎の長さが籾の長さに匹敵するようなもの …「長護穎」
・グラボラスにせよ長護穎にせよ、正常型との交配の雑種第二代での出現頻度が4分の1
→大きな形態上の違いがたった1個の遺伝子の違いで起きる不思議