セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

絞られた最先端プレーヤー間の"Appleパイ"を巡るせめぎ合い

Apple社モバイル機器の売上げ鈍化が報じられているなか、次のiPhoneなどに向けた製造受託獲得を巡るファウンドリー・プレーヤー間の戦いが繰り広げられている。今までSamsungがプロセッサ製造を行っていたが、諸般の状況から次機種についてはTSMCそして半導体最大手、Intelの登場が取り沙汰されている。最先端半導体プレーヤーの顔ぶれがますます絞られていくなか、パソコンからモバイル機器への流れを受けて、今度は"最先端ファウンドリー製造"による今後の"Appleパイ"を巡るせめぎ合いの局面である。

≪入り組む最先端プレーヤー≫  

Intelの最先端プロセス技術ファウンドリー事業展開について最近取り上げたばかりであるが、そのファウンドリー部門の人員募集の動きである。

◇Intel Seeks Additional Professionals for Custom Foundry Division.-Intel Confirms: Contract Manufacturing Business Needs New Employees-Need a job? Intel Custom Foundry is hiring (3月8日付け XBitLabs.com)
→Intelのcontract-manufacturing部門、Intel Custom Foundryが、米国拠点での数100 positionsに向けたjob listingsを提示の旨。一方、IntelはCore i7 Extreme "Ivy Bridge-E"プロセッサの発表を本年第四四半期に延期している旨。Intel自らはコメントしていない旨。

Appleの次機種についていろいろな噂が当然ながら立つところであるが、低コストiPhoneについては以下の見方である。

◇Apple iPhone 6 Rumors: Cheap iPhone 5 May Release With Snapdragon Chips, Wireless Charging Features-Report: "Low-cost" iPhone 6 will use 28nm Snapdragon processor (3月9日付け International Business Times)
→China Times発。TSMCが、iPhone 5Sの後Appleが投入しようとしているという低コストiPhoneに向けて、Qualcommの28-nmプロセス・Snapdragonプロセッサを製造する見込みの旨。その噂されるSnapdragonプロセッサは、BluetoothおよびWi-Fiをサポートするが、4G Long-Term Evolution(LTE)ワイヤレス通信はサポートしない旨。

ポストSamsungをAppleが求めているという噂が引き続いているが、ARMに対抗するモバイル領域拡大を図るIntelがついに登場している。

◇Apple May Enlist As Mobile Chip Supplier To Diversify Away From Samsung (3月11日付け Forbes)
→Samsung以外の供給パートナーを加えるという噂されるAppleの探し求めが、まもなく終わる可能性の旨。コア事業が携帯モバイル機器の需要伸展からの脅威にさらされているPCチップセット最大手、Intelが、自らの排他的な製造工場をthird-partyモバイルプレーヤーに開放する計画があり、すでにcontract manufacturingに向けたその最初の結構な顧客としてAlteraと調印、"ある大ポテンシャル・モバイル顧客"、たぶんにAppleとの協議に入っていると報じられている旨。

次期プロセッサを巡って、SamsungにTSMC、そしてIntelがAppleからの受託製造を分け合うという以下の見方である。

◇Intel may obtain 10% of Apple A7 processor orders, say institutional investors (3月12日付け DIGITIMES)
→ファウンドリーサービス・プロバイダー、TSMCおよびSamsung Electronicsが、IntelのA7プロセッサ受注を巡って競合しているとされるが、Intelがこの受注を獲得する可能性があるという噂も広がっている旨。機関投資家によると、IntelはAppleのA7プロセッサの10%受注獲得があり得る旨。Samsung Electronicsが半分、TSMCが40%の見方の旨。
SamsungとAppleの間の特許係争が激化、AppleがSamsungへの依存を減らしている旨。DRAM, モバイルRAM半導体およびパネルの発注をSamsungから離している旨。SamsungはApple向けの唯一のOEMメーカーであったが、今や他社に発注を始めている旨。

Apple TV boxのプロセッサについては、依然Samsung製というteardown解析の結果である。

◇Samsung, not TSMC, still makes the Apple TV's new single-core A5 processor (Updated)-Companies' legal disputes have yet to disrupt their chipmaking arrangement. (3月13日付け Ars Technica/Infinite Loop/The Apple Ecosystem blog)
→Chipworksが行ったteardown解析。仕掛かっているApple TV boxの中のA5プロセッサは、Samsungが32-nmプロセスで製造している様相の旨。

現下の注目、A7プロセッサであるが、TSMCが今月中にもtape outという以下の記事内容である。最先端プレーヤー間のせめぎ合い、成り行きに引き続き注目である。

◇TSMC to tape out Apple A7 processor in March, say sources (3月13日付け DIGITIMES)

◇Apple's next-gen iPhone chip being prepped-Apple's next-gen iPhone chip will get "taped out" this month in preparation for pilot production this summer, says an Asia-based report. (3月14日付け CNET)
→業界筋を引用したDigiTimes発。Appleのモバイル機器用最新customプロセッサ、A7が、この春の初期生産に備えて今月TSMCによりtape outとなる旨。該半導体は、2014年第一四半期に量産に入る見込みの旨。TSMCに近い筋は、A7は20-nmプロセスで作られるとしている旨。


≪市場実態PickUp≫

2012年第四四半期にグローバル半導体在庫の整理が進んだ状況が、在庫日数の前四半期比5%減というデータに表われている。この予想を越える在庫減を牽引したのがIntelということで、パソコン低迷への危機管理を感じさせている。

【半導体在庫】

◇Global semiconductor inventories down 5% in Q4-Intel cut its stockpiles by $585 million in the quarter, according to IHS. (3月13日付け Total Telecom Magazine (U.K.)/Dow Jones Newswires)
→IHS iSuppli発。半導体サプライヤが、在庫日数を第四四半期の間に前四半期比5%減らしている旨。Intelが特に効率的に半導体在庫を掃き出しており、$585Mすなわち11%ほど減少の旨。弱含みの需要への調整に移行、半導体メーカーが第四四半期に予想以上の速さで在庫を減らした旨。

◇Intel leads unexpectedly large decline in semiconductor market inventory (3月13日付け ELECTROIQ)

半導体IPコア関係の業界が、ここのところ大きく動いている。昨年末のImagination TechnologiesによるMIPS Technologies買収に続いて、Cadence Design SystemsがTensilicaの買収合意に至っている。

【半導体設計IP】

◇Cadence to Buy Tensilica-Cadence will acquire Tensilica, adding SoC IP (3月11日付け The Wall Street Journal)
→Cadence Design Systemsが、system-on-a-chip(SoC)設計用intellectual property(IP)サプライヤ、Tensilicaの$380M買収に合意、次四半期に完了予定の旨。Tensilicaは、車載エレクトロニクス、ホーム自動化システム、モバイル機器およびnetworkingインフラ装置に入るdataplaneプロセッサ用SoC IPに特化している旨。

◇Tensilica acquisition to accelerate Cadence core strategy (3月13日付け EE Times)
→CadenceのCEO、Lip-Bu Tan氏とTensilicaのfounder、Chris Rowen氏の新たに造り出された連携が、今週のCadenceのannual CDN Liveイベント(SANTA CLARA, Calif.)にて打ち上げられたが、すべての結婚のようにその実際の価値が明確になるには時間を要する旨。
・≪表≫ 半導体設計IP売上げランキング:2010年および2011年
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/GartnerIP.jpg

◇After Cosmic Circuits, Cadence agrees to buy Tensilica (3月13日付け EE Times India)
→EDAのCadence Design Systems社が、IPコアのTensilica社をRs.2,043.01 crore($380M)で買収する最終合意に調印、Tensilica IPコア200 crore以上をトップ10半導体メーカーのうち7社で出荷している旨。

◇Taiwan's Andes brings processor cores to U.S. (3月14日付け EE Times)
→台湾のAndes Technologyが、同社プロセッサコアのサポートを米国半導体メーカーに拡大、プロセッサコア分野での統合の折り、同社事業計画の大きな加速を示す動きの旨。昨年Andesは、台湾および中国から韓国および日本へ拡大を図った一方、Imagination Technologiesは昨年12月にMIPSを買収、Cadence Design Systemsは今週Tensilicaに買収入札している旨。

中国の半導体業界の現状がよく表わされている以下の内容である。中国エレクトロニクス市場への供給が10%弱に留まるとともに、中国の半導体消費市場の伸びの凄まじさである。  

【中国半導体業界】

◇China's semiconductor industry (3月11日付け ELECTROIQ)
→PwCの最新レポート、'China's Impact on the Semiconductor Industry 2012 Update .'。中国半導体消費市場&業界伸長が、世界半導体業界のそれの10倍以上となっている旨。mainland中国、香港および台湾を含むGreater Chinaが、世界半導体消費市場の半分以上を占めており、ここ4年でGreater Chinaの半導体業界の伸びは34%、対して世界では17%の伸びである旨。中国の消費市場の14.6%の伸びは、グローバル市場の47%獲得の新記録に貢献、中国の稀な伸びはスマートフォンおよびタブレット生産における圧倒的な位置づけからきている旨。

◇China's semiconductor imports exceed $160B, industry still nascent-China's IC industry depends on foreign equipment, materials (3月13日付け ZDNet (Asia))
→新華社(Xinhua) news agency発。中国の半導体業界は同国electronicsメーカーが必要とする半導体の10%も供給しておらず、需要に追いつくために毎年$160Bもの半導体製造装置および材料を輸入しなければならない旨。


≪グローバル雑学王−245≫

お米、そしてお米を使った様々な料理を、

『知ろう 食べよう 世界の米』
  (佐藤 洋一郎 著:岩波ジュニア新書 720) …2012年 7月20日 第1刷発行

より、今回から最後まで風土との関わりのなかで見ていく。まずは熱帯モンスーン地域についての前半を以下に示すが、タイを中心にカンボジア、ベトナムなどでの調理法、食感、食べ方に触れてある。


3章 熱帯モンスーンのイネと米   ≪前半≫

・これから7章まで、米やその料理のバリエーションを風土とのかかわりの中で
・この章は調理法と食べ方を中心に

1 風土と米

□風土とは何か
・本書の風土という語 →その土地の様々な要素をひとくくりにしたもの
             …気候、地形、土壌、水の条件など
・気候学者ケッペンが編み出した「気候区分」
 →まず、熱帯(A)、
  乾燥帯(B)、
  温帯(C)、
  冷帯(D)、
  極帯(E)の五つの区分

□和辻哲郎の風土論
・哲学者、和辻哲郎の風土の考え方
 →1935年、『風土』という本を出版
 →人の考え方や思想は周囲の環境に強く左右される …「環境決定論」
・大事なこと
 →風土の違いがなぜできたのか?
  なぜ農業のあり方を変え、文化や人びとの気質にどのような影響を及ぼすに至ったか?
 →その原因を歴史的に明らかにすること

2 熱帯モンスーンアジアのイネと米

□熱帯モンスーンアジアという地域
・熱帯モンスーンアジアは水の豊かな土地、いつも適当な量の水が必要な時にあるとは限らない
 →今の日本で見る稲作は、世界の稲作の代表では決してない
 →熱帯モンスーンは雨の地帯、雨の降り方はところによってさまざま

□熱帯モンスーン地帯の環境
・(著者は、)いつもバンコクを起点に、東南アジアでの調査
 →バンコク周辺の広大な地域は、雨季の間は水が溜まり続ける湿地帯
・バンコクから東へ約100km、この国のイネの試験場の一つ
 →ここでの稲作はどこまでも天気任せ、イネは最初強い乾燥にさらされる

□洪水の風土
・からからに乾くこの土地は同時に洪水の風土でも
・洪水に関して、日本人の感覚とタイの人びとの感覚とはずいぶん違う
 →2011年は、日系企業などの工場が水をかぶり、何ヶ月もの間生産がストップ
 →タイの洪水は、浮稲を育て、魚を育み、水辺の生態系とそこに生きる生きものたちを育ててきたという面
・バンコク平原の洪水→8月から9月頃には始まり、12月か、遅くとも年明けの1月には完全に収束
 →年明けころから、大地は完全に乾き、4月のファースト・レインまで水はまったくない

□洪水の風土の暮らし方
・村の市場でよく見かける魚の干物 →魚は川の魚
 →一部は干物にし、また残りは魚醤に
・雨季の雨降りは6月頃になると本格化
 →道路も、ローカルな道路から順に水没
 →小舟を持ち出し、それで移動、ものを運ぶ
 →舟で運ぶのはタダ、実に合理的!

□浮稲
・洪水地帯のイネの品種、「浮稲」というタイプ
 →身体の大半が水没するとそれを感じ取って、茎を伸ばす遺伝子に指令
 →タイの中央平原だけでなく、メコンデルタ、ガンジスデルタなど、モンスーンアジアのいたるところ
 →茎の下の方が腐ってしまっても、生き残った上の方の茎の節の部分にある根から、水や栄養分を吸収できる
 →穂が出ると、穂の下の数十cmの部分だけがむっくりと頭をもたげる 
  …kneeing「ひざまずく」

□浮稲地帯の米の食
・浮稲の米は、特徴的な点は見出しにくいが、全体に粘り気に乏しく、ぱさぱさとした食感
 →熱帯の平地の米に特徴的
・イネ、魚、アヒルなどの水鳥、その他の生きものたち
 →浮稲の「何も足さず何も持ち出さず」の安定した生態系
・浮稲は、カンボジアのトンレサップ湖の湖岸にも
 →九州の1/3ほどの面積の湖、雨季と乾季とで面積が3倍も変わる

□米は茹でて食べる
・熱帯平地の多くの人びとは米を炊くことはしない、茹でる
 →ご飯がぱさぱさなので、汁気を適当に吸ってうまくなる
 →焼き飯にしてもよい →タイでは、焼き飯は「カオパッ」
                 エビチャーハンは「カオパックン」
・カオパッは、タイの国民的料理
 →中華料理の五目チャーハンほどいろいろなものを入れることはしないよう

□香り米
・香り米 …東南アジアの国ぐにで人びとの支持
 →独特の香りをもった米 
 →タイでは、「ホンマリ」
 →品種「カオ・ドウ・マリ」…「白いジャスミンの花」の意
・日本では、香り米の評価が分かれる
 →香り米の香りは、強すぎればネズミ臭に過ぎないが、適量を加えることで新米のあのなんともいえない香りが得られる

□タイの炊飯器
・最近はタイでも炊飯器が普及
 →ここ20〜30年、米を炊いて食べる文化が根づく
・タイの東北部は、名だたるモチ米文化の地域
 →炊飯器とウルチ米は、モチ米が腹にもたれると感じるようになっていた都市住民の間に瞬く間に広がった

□魚醤という食べ物
・魚醤…魚に強い塩をして作る発酵食品
 →「匂い地獄に味天国」
 →商品名:カンボジアのトウック・トレイ
        タイのナンプラー
        ベトナムのニョクマム
・日本では、能登のいしる、秋田のしょっつる、大分などの鮎醤油、伊豆諸島のくさや、福井のへしこ、大分の灰さば

月別アーカイブ