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グローバルな激流のなか、弛まざる微細化、アプリ進展への融合

パソコン、携帯電話ともに大括りな販売数量全体が、昨年、2012年は前年を若干ながら下回る一方、スマートフォン、タブレットはじめモバイル機器の世界的な大活況が見られたという昨年の市場の概況がますます鮮明となるデータが揃ってきている。このようなグローバルな激しい流れに適合していくよう、各国・地域の動き、具体的なアプローチが見えてきているが、1つは従来から変わりない微細化の追求があってこそ、もう1つ、伸びるアプリ市場の展開に向けたさらに包括的な融合の動きを受け止めている。

≪潮流への適合≫  

激しい流れにどう対応していくか、AMDの製造部門からスタートしているファウンドリー大手、GLOBALFOUNDRIESからは、このところ積極的な提言、提案がしばしば見られる感じ方であるが、今後に向けた新たな半導体ビジネスモデル、「Foundry 2.0」を次の通り表わしている。ビジネスに関わる企業の隔てない共同体制を構築する「仮想IDM」の考え方である。

◇「Foundry 2.0が日本半導体産業を救う」、GLOBALFOUNDRIESのCEOが提案 (2月8日付け EE Times Japan)
→GLOBALFOUNDRIESのCEO、Ajit Manocha氏が、新たな半導体ビジネスモデル、「Foundry 2.0」への移行を提案。
・従来 → 垂直統合型モデル、IDM
       水平分業型モデル、Foundry 1.0
・Foundry 2.0 →「仮想IDM」として成功を共有化するビジネスモデル
…ファウンドリやファブライトなIDM、ファブレスICベンダー、システムベンダー、EDAツールベンダー、組み込みソフトウエアベンダーなど、ヘテロジュニアス(異種)な企業がシームレスな共同体制で、初期段階からかかわりをもって開発に取り組むこと

Internet of Things(IoT)という表現が定着してきているが、今後つながる機器の数はどうなっていくか、1つの見方が次の通り表わされている。半導体の市場ポテンシャル増大を伺わせているが、今後の潮流に見えてくる効果、影響に注目していく必要があると思う。

◇What the Internet of Things means for chipmakers (2月11日付け GigaOm)
→Internet of Things(IoT)により半導体メーカーには、connectivity, 制御およびsensingの領域で現在使っている以上のordersのたくさんの半導体が必要になるopportunitiesが得られる可能性の旨。IoTについてのOECDレポートでは4人家族についてインターネットにつながる機器の数が次の推移、内訳は下記参照。
 現在    2017年  2022年
 平均10台  25台    50台
http://gigaom2.files.wordpress.com/2013/02/image002.jpg?w=708

微細化に向けた絶え間のない努力が半導体市場のここまでの拡大を支えているのは論を待たないところであるが、この時期、恒例の場で更新が行われている。すでに前回示している2013 Common Platform Technology Forum(IBMとGLOBALFOUNDRIES、Samsung Electronicsのシリコンファウンダリ3社による半導体製造の協業グループ、"Common Platform"のイベント:2月5日:Santa Clara Convention Center)から、将来全体像のまとめとして以下の通りである。

◇Slideshow: IBM outlines fab future beyond FinFETs (2月12日付け EE Times)
→最近の2013 Common Platform Technology Forum(2月5日:Santa Clara Convention Center)にて、IBMが、fabの将来像をプレゼン、特にimmersionリソでのdouble patterningのしかけに焦点を当て、また、fully depleted silicon-on-insulator(FDSOI)の進展およびシリコンphotonics、nanowiresなど半導体ロードマップでの先の工夫を示した旨。
・≪図面≫ リソscalingへの挑戦:90〜7-nm
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/Litho.jpg

次に、このほど第60回記念を迎える2013 IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)(2月17-21日:San Francisco, CA)からは、以下の通りの予告編となっている。エネルギー、医療など今後に向けたグローバルに共通するテーマのもと、枝分かれのアプリ分野への半導体回路・デバイス・プロセス技術の展開という色合いを一層感じている。

◇ISSCC 2013: Energy efficient digital trends-ICs get more powerful while consuming less power (2月12日付け ElectroIQ)
→AMD(Fort Collins, CO)のEnergy-Efficient Digital部門、Stephen Kosonocky氏。モバイル機器、医療用エレクトロニクスなどの応用に入る半導体は、引き続き処理電力が高まる一方、エネルギー効率が改善されてきている旨。エネルギー効率は、アプリ・プロセッサ, グラフィックス・プロセッサ, mediaプロセッサ(video, image, audio)およびモデム(cellular, WLAN, GPS, Bluetooth)の設計において主要課題となっている旨。

◇ISSCC 2013: Wireless trends (2月14日付け ElectroIQ)
→Qualcomm Atheros(San Jose, CA)のDavid Su氏記事。今日のワイヤレス標準に向けたデータレートは急増の一途、このことはセルラ標準の流れから明らかである旨。下記参照:
http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2013/02/wireless%20trends.jpg

◇ISSCC 2013: Analog trends (2月14日付け ElectroIQ)
→NXP/Southhampton University, UKのBill Redman-White氏記事。エネルギーの効率的な制御、蓄積および配布は世界的な課題、アナログ回路研究の重要領域が増大している旨。

◇ISSCC 2013: Memory trends (2月15日付け ElectroIQ)
→Intel, ORのKevin Zhang氏記事。非常に広範な用途に向けて、embedded SRAM, DRAMそしてfloating-gateベースFlashにおけるscalingが引き続き進展、しかしながら、すべての主流メモリ技術における大きなscalingの課題から、デバイスvariability増大を補うようsmart algorithmsおよびerror-correction技法の利用が引き続き高まっている旨。

グローバルな激流にどう乗っていくか、各国・地域の議論、アプローチが見えてきている。欧州からは結束の呼びかけ、現状への危機感が以下の通り表われており、米国、我が国ともども先進経済圏に共通する意識内容と思う。

◇European Semiconductor Industry to Discuss Strategies to Maintain Global Competitiveness at ISS Europe 2013 (2月14日付け SEMI)
→欧州半導体業界の競争力および欧州半導体戦略を一つに合意する努力が、ISS Europe(Industry Strategy Symposium) 2013(SEMI主催:2月24-26日:イタリア・Milano近くのStresa)での主要な話題、議題範囲は世界半導体業界を支配する現在のグローバルな流れおよび欧州業界が競争力と市場シェアを高める緊急性を映し出している旨。

◇European semiconductor distie market sales fall (2月14日付け TechEye)
→DMASS(Distributors' and Manufacturers' Association of Semiconductor Specialists)発。2012年の欧州半導体販売高は5.7 billionユーロ、前年比10.8%減。「欧州半導体市場は世界全体販売高の11.4%に低下、1980年代半ばの半分、欧州のGDPは世界全体の約23%であり、我々の製造活動はper-GDPベースであるべきものの半分、悲劇だ。」
(Future HorizonsのCEO、Malcolm Penn氏)

インドでは今年こそ半導体ウェーハfabの具体化をという動きが強まっているが、取り組む業界の体制強化が行われている。

◇Indian chip industry body broadens remit (2月15日付け EE Times)
→Indian Semiconductor Association(ISA)が、Indian Electronics and Semiconductor Associationに名称変更、インド政府が同国に300-mmウェーハfabを展開する決定を発表する用意からきている旨。


≪市場実態PickUp≫

昨年、2012年のパソコン販売台数が前年比減少して半導体販売高の同じ減少につながった主因とされているが、携帯電話についても減っているという下記のデータである。スマートフォン、タブレットなどモバイル機器の世界的な急伸が目立つ中のパソコン、携帯電話ともに台数総計の減少という全体的な様相となっている。

【携帯電話も減】

◇London Calling: Mobile phone sales fell in 2012 (2月14日付け EE Times)
→Gartner社発。2012年の世界携帯電話末端ユーザ販売が総計17.5億台、2011年から1.7%減っている旨。
・≪表≫ 2012年ベンダー別世界携帯電話末端ユーザ販売(K台)
 [Source: Gartner (February 2013)]
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/news/20130214pcMobilePhoneSales959.jpg

活況のモバイル機器については、新規技術を凝らした新たなアプローチが以下の通り相次いでいる。

【あの手この手、新たな機器】

◇Charge your phone with coffee, beer (2月12日付け EE Times India)
→Epiphany Labs(New Castle, PA)が、熱いコーヒーカップや冷たいビールmugで携帯電話が充電できる新しい機器を開発、該Epiphany onE Puckは、熱いあるいは冷たい飲み物、ろうそく、氷などただ温度の差異が動力源となる'stirling engine'を使用の旨。

◇アップル、スマホ超える?腕時計型機器を試作中 (2月12日付け 読売)
→米ウォール・ストリート・ジャーナル紙など11日発。米アップルが腕時計型の機器を試作していることが分かった旨。アップルは、腕時計のように身につけ、スマートフォンと同様の機能を持つ機器を開発中、「iPhone」の製造委託先で台湾の鴻海精密工業などと協議を進めており、関係者の一人は「スマホやタブレット型多機能情報端末を超える、大型商品になる可能性がある」と話している旨。

◇Transparent smartphone by Polytron (2月14日付け EE Times India)
→世界中にわたるスマートフォン大流行の一途がモバイル技術に途轍もない進展、その最新の例として台湾メーカーが披露した"透明"phone。台湾の電子&光学vision glassメーカー、Polytron Technologiesによる"透明スマートフォン"試作品について。外観、下記参照。
http://stat.ameba.jp/user_images/20130211/00/povtc/c4/36/j/t02200290_0325042912414159185.jpg

Siウェーハの世界総売上げのデータが、次の通り発表されている。半導体販売高の推移との対応に注目している。

【Siウェーハ売上げ】

◇Silicon wafer revenues decline in 2012 (2月12日付け ElectroIQ)
→SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)のSiウェーハ業界年末分析。
2012年の世界Siウェーハ売上げは$8.7B、前年($9.9B)比12%減、Siウェーハ面積出荷は9,031M平方インチ(MSI)、前年(9,043MSI)比0.1%減。シリコン業界年次データ、次の通り:

2007
2008
2009
2010
2011
2012
面積出荷(MSI)
8,661
8,137
6,707
9,370
9,043
9,031
売上げ($B)
12.1
11.4
6.7
9.7
9.9
8.7

   (注)この出荷は半導体応用向けのみ、solar用は含まない。

半導体の製品カテゴリー別に2013年の伸び率を予測した以下のデータである。2013年の半導体製品は6%の伸びと見ているとともに、ここでも当然ながらモバイル機器関連のカテゴリーが大きく引っ張る内容となっている。

【伸びる半導体製品カテゴリー】

◇Ten chip sectors tipped to grow (2月13日付け EE Times)
→IC Insights発。タブレット・プロセッサおよび携帯電話・アプリプロセッサが引っ張る10の製品カテゴリーが、2013年伸び率6%謳歌に向かっている旨。6%増は、IC Insightsの2013年IC市場伸長の予測の旨。二桁伸長を見込むカテゴリーは5つ、タブレットMPUs(50%)および携帯電話・アプリプロセッサ(28%)が牽引の旨。NANDフラッシュメモリ(12%)およびspecial-purposeロジックデバイスなどモバイルシステムをサポートする他のICカテゴリーも、2013年の業界平均を上回る伸びを見込んでいる旨。
・≪表≫ IC市場セグメント別2013年伸長予測 [Source: IC Insights]
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/news/20130213pcICinsightsTenTipped538.jpg


≪グローバル雑学王−241≫

3K立国第3要件の環境に入って、

『日本経済復活、最後のチャンス −変化恐怖症を脱して「3K立国」へ』  
  (三橋 規宏 著:朝日新書 350) …2012年 5月30日 第1刷発行

より辿ってきた我が国経済の復活の道筋も、締めの終盤にさしかかっている。中国の大気汚染「PM2.5」が時あたかも注視されているが、光化学スモッグ注意報が出た高度成長真っ只中の我が国を思い出すところである。試練を経た我が国の環境技術そしてそれから湧き出る哲学をもって、今後の世界に向けた活かしどころということと思う。


II部 新しい日本を創る
第8章 3K立国[その3]−−−環境       ≪前半≫

(1)なぜ環境立国が必要なのか

□膨張の時代が地球の限界に激突
・20世紀後半の半世紀…「膨張の時代」
 →世界人口は2.4倍
 →世界GDPは8.1倍
 →石油の消費量は7.3倍
 →小麦や米の生産は約4倍
・膨張の時代に地球資源が過剰に発掘、消費
 →地球の限界に激突

(2)自然満足度曲線から学ぶ

□地球限界時代の経済領域
・自然満足度曲線:X軸→自然の利用       …自然の利用料
            Y軸→社会的厚生(生活の満足度)…生活水準
              ⇒これまで一人当たりGDP

□許容限度以下の世界−−−一方通行型経済システム
・自然が備えている環境許容限度(自然の自浄力)、生態系が維持される限界点
 ⇒以下、B点と表わす
・B点の手前(左側)の世界…右上がりの曲線
 →自然を切り開き、自然資源の利用が増えれば増えるほど、生活の満足度(社会的厚生)が急速に高まる

□許容限度を超えた世界−−−地球の限界が明らかに
・B点の先(右側)の世界…右下がりの曲線
 →自然の利用が増えれば増えるほど逆に生活の満足度は低下する
 →諸々のマイナス要因の相乗効果、生活の満足度が全体として低下
・今の地球の現状を受け入れ、地球の限界と折り合って生きていくための新しい経済・社会システムを構築すること

□「足るを知る文化」を定着させる
・使い捨て文化に代わって、「足るを知る文化」を国民の日常生活の常識にまで高めていく必要

(3)ストック重視の新しい経済を創る

□フローからストックへ
・フロー…一定期間に新たにつくり出された付加価値の合計
 →1年間ではGDP(国内総生産)
・ストック…過去につくられた様々な経済財の総計、国富
・日本の場合、GDPが約500兆円、国富がその6倍の約3000兆円

□戦後の日本はフロー重視で高度成長路線を走る
・戦後の日本、ストック不足を補うため、フローを増やす政策を徹底的に追及
・戦後の日本はまだB点の左側の世界に位置

□ストック重視の経済へ舵を切り替える
・B点の左側の世界は、ストックの蓄積量が少ないモノ不足の経済
 →大量生産によって新品をどんどんつくる必要
・B点の右側の世界は、ストックが充実したモノ余りの経済
 →補充的な形でモノをつくればよい時代
 →ストックが主役で、フローが脇役となる新しい経済システムの構築

□資源生産性という新しい概念
・B点の左側の世界
 →エネルギー、資源を多消費
 →規模の経済を実現、製品単価の引き下げ
 →労働生産性を高める
・B点の右側の世界
 →資源生産性を向上させることにより、労働生産性を高める:逆の発想
・P=W/R
 P:資源生産性
 W:得られる社会的厚生、つまり生活の満足度
 R:一単位当たりの資源投入

□資源生産性が低いワンウェイ型経済システム
・B点の左側…大量生産→大量消費→大量廃棄の一方通行型の経済システム
 ⇒資源生産性の極めて低い経済システム
  →資源は1回しか利用されない

□適正生産、適正消費、ゼロエミッション
・ストック活用型、適正生産→適正消費→ゼロエミッション→適正生産型の円型、つまり循環型の経済システム

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