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早々の激動、ファウンドリーを軸に半導体業界の大きな転換

スマートフォン、タブレットなどモバイル機器活況の一方、パソコン低迷という昨年、2012年の流れを引いて迎えた新年、2013年であるが、早々に関係各社業績に顕著に表れるとともに、2012年ファウンドリー売上げランキングではその流れに沿った順位の大きな変動がトップ5のなかで見られている。
加えて、450-mmウェーハ、EUVリソなど最先端技術およびグローバル経済の方向性など、応用システムの市場ニーズそしてその市場地域圏それぞれでの具体的な展開如何に大きくかかる半導体業界の全体模様を受け止めている。

≪早々の転換の動き≫  

恒例SEMI主催のIndustry Strategy Symposium 2013(1月13-16日:HALF MOON BAY, Calif.)では、半導体業界の今後の流れについて次の見方となっている。

◇ISS 2013: Semiconductor leaders see massive industry transformation (1月15日付け ELECTROIQ)
→業界leaders講演発。半導体業界は、モバイルcomputing急増、ファブレス-ファウンドリーモデルへの変化、技術革新の不安定性およびグローバルなマクロ経済の流れが2013年以降支配的な力となって、大きな変質を受けている旨。

グローバルな経済動向が大きく気になるところであるが、2013年の世界そして地域別見通しが世界銀行から次の通り発表されている。昨年後半以降の低迷・減速基調が全体を覆う内容となっている。

◇世界経済、2.4%成長に下方修正、世銀2013年見通し−先進国で鈍化 (1月16日付け 日経 電子版、朝日新聞デジタル)
→世界銀行が15日発表した世界経済見通し(改訂版)。2013年の世界経済が実質2.4%成長になると試算、昨年6月時点の前回予想である3.0%から下方修正した旨。財政問題を抱える米国や、対中貿易が低調な日本の回復力が課題とみている旨。足元の世界経済の動向については、成長の牽引役である新興・途上国で生産回復の兆しが強まっているとし、2013年以降の新興・途上国全体の成長率は前回予想からはやや低下したが、5%台を維持している旨。

前回(昨年6月発表)
今回
世界全体
3.0%増
2.4%増
日本
1.5%増
0.8%増
ユーロ圏
0.7%増
0.1%減
米国
2.4%増
1.9%増
新興・途上国
5.9%増
5.5%増
          

パソコンの低迷を受けたIntel社、モバイル機器向け半導体製造需要の高まりを受けたTSMC、くっきり表れている以下両社の直近四半期業績発表である。

◇Intel Girds for Third Quarterly Sales Decline on PCs Slump: Tech-Intel results reflect trouble in the PC market (1月18日付け Bloomberg)
→今四半期売上げを約$12.7Bと予測、アナリスト平均予想を下回る旨。

◇米インテル大幅減益、パソコン売れず、10〜12月期 (1月18日付け 朝日新聞デジタル)
→米インテルが17日発表した2012年10〜12月期決算、純利益が前年同期比26.5%減の$2.468B(約2220億円)、売上高が同3.0%減の$13.477B(約1兆2100億円)。パソコン向けの高性能半導体が売れず、4四半期続けて純利益が減った旨。

◇TSMC gives brighter outlook as profit rises (1月17日付け EE Times)
→TSMC(Hsinchu, Taiwan)の12月31日締め第四四半期連結売上げNT$131.31B(約$4.53B)、前四半期比7.1%減、前年同期比25.4%増。net incomeはNT$41.57B(約$1.44B)、前四半期比15.7%減、前年同期比31.6%増。

◇TSMC's Q4 profit meets analyst estimates; foundry sees hot Q1 (1月17日付け Bloomberg)
→TSMCの第四四半期profitが、モバイル機器に入る半導体需要が一層高まって前年同期比32%増。今四半期については$4.4B以上の売上げを予測、アナリスト評価を上回っている旨。

昨年のファウンドリーメーカー売上げランキングが発表され、圧倒的首位を守るTSMC、そしてSamsungおよびGlobalfoundriesが急激に伸びて大きな変動が見られたトップ5が以下の通りである。モバイル機器の活況の度合いを映し出す内容となっている。

◇Samsung moves up in foundry ranking-IC Insights: Samsung nearly doubled its foundry business in 2012 (1月16日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。2012年のSiファウンドリー売上げ、Samsung Electronicsがほぼ倍増の$4.33B、世界ランキングでTSMC、GlobalFoundriesに次ぐ第3位に飛躍上昇の旨。長い間2位の座のUMCは第4位になった旨。
トップ5:

2012
rank
2011
rank
Company
 
type
 
国籍
 
2011
販売高
2011/10
change
2012
販売高
2012/11
change
11TSMC専業台湾
14,600
10%
17,167
18%
23Globalfoundries専業米国
3,480
(1%)
4,560
31%
34SamsungIDM韓国
2,190
82%
4,330
98%
42UMC専業台湾
3,760
(5%)
3,730
(1%)
55SMIC専業中国
1,320
(15%)
1,682
27%

呼応するように、ファウンドリー業界を巡る動きが、早々に慌ただしい様相を示している。まずはGlobalFoundriesからの切り換えを図るAMDである。

◇AMD shifts Kabini and Temash to TSMC-But expect GlobalFoundries to make a comeback (1月15日付け TechEye.net)
→Extreme Tech発。TSMCがAMDの"Kabini"および"Temash"プロセッサを製造しており、前者は今年第二四半期に出荷される予定の旨。

SamsungからTSMCへの切り換えが取り沙汰されているApple向けプロセッサ製造であるが、時間軸の読みが難しくなっている。

◇TSMC with 20nm SoC most likely to secure chip orders from Apple, says Digitimes Research analyst (1月16日付け DIGITIMES)
→TSMCが、20-nm SoCプロセス技術を用いてApple向けAP/GPU統合ソリューションを製造し始める見込みの旨。TSMCは現在28-nmでApple向け半導体のengineering samplesに取り組んでいる可能性、しかしながらAppleからのTSMCの最初の半導体発注は2013年には起こりそうにない旨。

UMCも引き下がってはいられないということで、Qualcommへの入り込みをGlobalfoundriesと競っている以下の動きである。 

◇UMC eyeing 28nm chip orders from Qualcomm (1月16日付け DIGITIMES)
→業界筋発。UMCがQualcommの新しい28-nm半導体の検証サンプルを供給、TSMCに続く第2の28-nmファウンドリーパートナーの座をGlobalfoundriesと競っている旨。

◇Qualcomm getting tired of TSMC, wants another company to fab their chips (1月17日付け Android Authority)
→Qualcomm向け半導体をすべて作っているTSMC、この独占的関係が需要未達で昨年のQualcommは損なうことに。ここにUMCが、28-nmサンプルをQualcommにもってきて、第2のfabパートナーになろうとしている旨。

極めつけはIntelについての以下の記事であるが、FPGAメーカーへのファウンドリー対応の現状から広がるのかどうか、早々の注目である。

◇Intel Said to Add Cisco as Customer in Foundry Effort (1月17日付け Bloomberg)
→2人の事情通発。Intelが、contractベースでCisco Systems向けネットワーキング半導体を作る見込み、TSMCが席巻しているSiファウンドリービジネスに一層深入りする様相の旨。Intelはコメントを控えている旨。


≪市場実態PickUp≫

パソコン市場の低迷は、2012年第四四半期の販売状況にさらに色濃く表れており、次の通りである。

【2012年第四四半期PC市場】

◇Asian vendors rise as PC sales slump in Q4 (1月14日付け EE Times)
→International Data Corp.(IDC)発。2012年第四四半期のグローバルPC市場が89.8M台の販売数量、前年同期比6.4%減、5年以上ぶりのholiday seasonの落ち込みの旨。IDCの前回予想は4.4%減であったが、スマートフォンおよびタブレットへの移行、経済全体の低迷およびMicrosoftのWindows 8使用システムの市場でのいまひとつの動きが押し下げている旨。アジアのベンダー、Lenovo and Asusが該四半期および年間で上昇する一方、米国大手、Hewlett-Packard(HP)およびDellはランキング1位、3位をそれぞれ保ったが、市場シェアは下げている旨。

現在の市場を引っ張るスマートフォンも、目が離せない展開や動きが見られている。まず、中国の半導体市場について、MediaTekの優勢ぶりである。

【スマートフォン半導体市場】

◇MediaTek's chips transforming China's smartphone market-China's rising smartphone market means more sales for MediaTek (1月13日付け The Taipei Times (Taiwan)/New York Times News Service)
→MediaTekは2011年までスマートフォン用チップセット市場に入らなかったが、今や中国におけるスマートフォン半導体市場の半分を牛耳っている旨。新しいhandsetモデル開発にはたくさんのお金と時間を要するのが大方であるが、同社はtotalソリューションを提供する旨。

一方、AppleのiPhone 5需要が弱含みという報道が出てきて、部品発注が減っているという記事がいくつか見られている。

◇Apple Cuts Orders for iPhone Parts-Apple reportedly sees weaker demand for iPhone 5, cuts orders (1月13日付け The Wall Street Journal)
→事情通発。Appleが需要鈍化から最新handset、iPhone 5に入るコンポーネント発注を減らしている旨。先月来touch-screenディスプレイなどの発注が減ってきている旨。

Facebookが主催の第4回Open Compute Summit(1月16-17日:Santa Clara Convention Center)より、大規模データセンターに向けた活発な動き、提言の発信である。

【Open Compute Summit】

◇ARM friends Facebook at summit-Facebook project attracts developers of ARM-based server chips (1月15日付け EE Times)
→Facebookが主導するOpen Compute Projectが、Santa Clara, Calif.にて16日水曜conference開催、データセンターでのサーバはじめ機器についてのprinted circuit boards(PCBs)およびシステム設計を議論する旨。
Applied Micro CircuitsおよびCalxedaからのプレゼンが予定され、ともにARM Holdings設計ベースのサーバsystem-on-a-chip(SoC)デバイスを開発している旨。

◇Facebook covets core-heavy ARM SoCs (1月18日付け EE Times)
→今回の場でFacebookは、たくさんのコアを収容するサーバSoCs、また、今日のUSB drivesでのconsumer半導体の極端とsolid-state drivesでのpremium製品の間に位置するNANDフラッシュ製品spectrumを、拡大するデータセンターのニーズ対応で求めている旨。

台湾と韓国のさや当ての様相が伺える2点、まずは、韓国との競争力を上げる視点に立ったTSMCの総帥、Morris Chang氏の強い調子を感じる提言である。

【台湾 vs 韓国】

◇Tax the rich more and let the Taiwan dollar depreciate, TSMC CEO urges (1月14日付け Electronics Weekly (U.K.))
→台湾での会合にて、TSMCのCEO、Morris Chang氏。台湾は、韓国との競合力を上げる対策を採らなければならない旨。台湾は富裕層にもっと課税すべきであり、台湾でのその平均税率は7あるいは8%で、ずっと低くなっている旨。

IC設計業界について、台湾のMediaTekおよびMStar Semiconductorの合併提案を、韓国そして中国政府が難色を示している状況が見られる。

◇MediaTek/MStar merger likely to be delayed again-Sources: China, South Korea hold up MediaTek-MStar merger (1月15日付け DIGITIMES)
→中国および韓国のregulatorsが、MediaTekおよびMStar Semiconductorの合併提案を時間をかけて精査しており、5月1日の改定期日を越して該統合の完了が遅れる様相の旨。2つの政府は、該MediaTek-MStar合併がそれぞれの国でのIC設計メーカーに与える影響を不安視している旨。


≪グローバル雑学王−237≫

我が国経済の復活にかけて「3K立国」へと提言している

『日本経済復活、最後のチャンス −変化恐怖症を脱して「3K立国」へ』
  (三橋 規宏 著:朝日新書 350) …2012年 5月30日 第1刷発行

より、その3K、すなわち科学技術、観光そして環境の中身とありようをそれぞれ前半、後半と2回に分けて見ていく。独創的な先端技術開発、そのための人材育成の必要性と、半導体の世界でもなおさら感じているグローバルに引っ張っていくための要件が示されている。


II部 新しい日本を創る
第6章 3K立国[その1]−−−科学技術     ≪前半≫

(1)なぜ科学技術が必要なのか

□独創技術開発のチャンス
・日本製品の国際競争力、危機打開の切り札は、独創的な技術開発
 →優秀な人材こそ最大の資源

□戦後の日本は導入技術で経済発展を成し遂げた
・1960年から1970年まで、日本の経済成長率は10%を上回る実質年率
 →技術進歩の成長寄与度は6割超、欧米から導入した最新技術
・これからは、日本生まれの様々な独創技術をさらに発展・強化

□コンドラチェフの波と技術革新
・約50年周期のコンドラチェフの波、"景気の波"こそ技術革新が引き起こす経済波動
 →オーストリア生まれの経済学者、J.A.シュンペーター
 →ブレイクスルー(現状打破)を伴うようなイノベーション

□期待される分野
・新たな50年周期の波動
 →省エネ・新エネルギー、関連部品・材料、エコカー、ロボット、省エネ住宅、資源リサイクル、廃棄物処理、新薬開発、放射能汚染・処理関連技術、情報・インターネット関連、新素材、バイオテクノロジー、福祉・介護
 →日本が得意とするものが多い

(2)科学に強い人材を育てる

□ノーベル賞科学者の急増は心強い
・自然科学分野の日本人ノーベル賞受賞者が、2000年以降目立つ
 →先端的な科学技術分野を支える人材が豊富に存在
・世界最高水準の研究インフラを整えるための投資を惜しんではいけない

□理数系の学力低下傾向が顕著
・IEA(国際教育到達度評価学会)による学力の国際比較調査結果、日本の中学生の数学、理科の順位
 →1960年代から1980年代初め頃までは1、2位と世界のトップクラス
 →最近は5、6位と低下
・OECD(経済協力開発機構)による学習到達度調査(PISA)
 →世界65カ国・地域
 →日本人の学力低下が明確に

□理数好きの子供を育てる長期戦略が大切
・OECDのPISA
 →「数学」「科学」について、参加国の中では高得点グループ、しかし世界のトップクラスではない
・文部科学省は、理科教育の充実を図るため、学習指導要領を改変

□大学研究のレベルアップも課題
・アメリカの大学では、国籍や民族の壁を取り除き、世界から優秀な人材が集まって、競争へ
・日本人研究者は、もっと積極的に外国人研究者と他流試合をする意欲を!

□若手研究者に活動の場を与えよ
・日本の研究者の海外派遣状況は一段と深刻
 →長期派遣者数は過去10年間、一貫して減少
 →若手研究者の環境の整備が急務

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