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引き続く米国の力強い半導体販売高、出だしの2013年に弾み

新年、2013年早々の米SIAからの定例の月次世界半導体販売高の発表、今回は昨年11月分である。前月比、前年同月比ともに2.0%増となっているが、米国地域のここ数ヶ月の販売高の伸びが著しく大きな原動力という全体の構図である。8月の$4.19 billionから11月は$5.03 billionに月毎伸びて、9-11月合計が6-8月のそれを20.2%上回るという伸びっぷりで、2013年の出だしに弾みをつけている。しかしながら、米国も新年明けて早々"財政の崖"をなんとか回避した状況があり、低迷から脱出を図る欧州および我が国、新たな政治体制で臨む中国、韓国はじめAsia Pacificと、政治および経済両睨みの注視が2月10日の旧正月に向かうなかますます必要な情勢と感じている。

≪11月の世界半導体販売高≫  

米SIAからの発表は次の通りである。

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○11月のグローバル半導体販売高、2012年の月次最高を記録−Americasが力強い11月販売高を牽引、業界に弾み …1月3日付けSIAプレスリリース

半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2012年11月の世界半導体販売高が$25.73 billionに達したと発表、2012年の月次で最大であり、前月の$25.22 billionから2%の増加である。2012年11月販売高はまた、2011年11月販売高$25.22 billionを2%上回り、グローバル業界2012年初めての前年比増加である。地域別には、Americasが2011年4月以来の最大の増加(前年同月比9.7%増)を示している。月次販売高の数値はすべて3ヶ月移動平均で表わされている。

「2012年のグローバル半導体業界は困難なマクロ経済状態を切り抜けているが、ここ数ヶ月のAmericasが主導する伸びに元気づいて、業界は2013年に向けて正しい方向に向いてきている。」とSIA president & CEO、Brian Toohey氏は言う。「業界の推進力が確実に続くよう、議会は、Americaの経済の力強さおよびグローバルな競争力を高める長期的で信頼性のある財政政策を制定して、引き続く経済の不安定性を取り除くべきである。」

地域別に販売高前月比では、Americas(5.1%), Asia Pacific(2.7%)および欧州(0.4%)は増加したが、日本(-3.4%)は減少した。Americasでは、9月から11月までの3ヶ月販売高合計が6月から8月までのそれを鋭く上回り(20.2%増)、該地域のここ10年で最大の3ヶ月移動平均ベースの増加となっている。

                         【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Nov 2011
Oct 2012
Nov 2012
前年同月比
前月比
========
Americas
4.59
4.79
5.03
9.7
5.1
Europe
3.03
2.79
2.80
-7.4
0.4
Japan
3.82
3.53
3.41
-10.8
-3.4
Asia Pacific
13.79
14.11
14.49
5.1
2.7
$25.22 B
$25.22 B
$25.73 B
2.0 %
2.0 %

--------------------------------------
市場地域
6- 8月平均
9-11月平均
change
Americas
4.19
5.03
20.2
Europe
2.77
2.80
1.3
Japan
3.64
3.41
-6.3
Asia Pacific
13.71
14.49
5.7
$24.30B
$25.73
5.9 %

※11月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/clientuploads/GSR/November%202012%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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これを受けた業界関連サイトの記事の見出しが以下の通りである。米国が牽引、11月が2012年の月次最高の販売高を謳っており、続くそして締めの12月の販売高に必然的に注目するところがある。数%減少は必至という見方の2012年半導体販売高となっているが、どう落ち着くかということと、2013年に向けたベクトル方向を改めて占い確認するデータへの期待である。

◇Chip sales boosted by American strength (1月4日付け EE Times)

◇SIA: November chip sales best of the year (1月4日付け ELECTROIQ)

米SIAからは11月販売高発表と同じタイミングで、"財政の崖"回避法案の通過を下記の通り歓迎している。政治と経済、国を挙げた取り組みが、どの業界にも、とりわけグローバルな協調と競争で成長の歩を進めている半導体業界には欠かせないものと改めての感じ方である。

◇Semiconductor Industry Applauds Extension of R&D Tax Credit-Congress extends successful tax credit seamlessly through 2013; President to sign into law (1月3日付け SIA Press Release)
→米国Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、Research and Development(R&D) Tax Creditを2013年まで延長、2012年に遡って復活させる法制化を議会が承認したことを称賛の旨。該R&D tax creditの継ぎ目のない更新は、財政の崖(fiscal cliff)を回避する法案、American Taxpayer Relief Act of 2012(H.R. 8)に含まれており、今週超党派の支持を得て今週上下院を通過、Obama大統領が法案に署名する運びの旨。


≪市場実態PickUp≫

上記の状況のなか迎えた2013年の半導体業界をどう見るか、早速ながらいくつかの切り口が並ぶ形で以下の通りである。明るい上昇の一途を望むのは、世界の大方の人情ということと思う。

【2013年の見方】

◇Semi execs see a bright 2013, says survey (12月29日付け ELECTROIQ)
→KPMGが半導体業界businessリーダ152人を対象に9月に行ったGlobal Semiconductor Survey。
 ・4分の3が来年度の売上げ増を見込む。昨年の63%から増加。
 ・3分の2がworkers雇用を増やす。昨年は48%。
 ・71%が2013年の年次profitability増加と見る。

◇2013: Trends, issues, hopes and fears-Analysis: What's coming for the semiconductor industry in 2013 (1月2日付け Electronics Weekly (U.K.))
→本年の半導体業界は、ビジネスおよび技術の両面でかなりの問題に直面する旨。fully depleted silicon-on-insulator(FDSOI)技術あるいはFinFETsを使うかどうかが1つあり、別の面ではIntelの新CEO指名が同社にとって大きな重要性を持つ旨。

◇2013 can be good, says Linear CEO-Linear CEO: Uncertain economic conditions need resolution in 2013 (1月2日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Linear TechnologyのCEO、Lothar Maier氏記事。半導体業界の不安定な状態は、世界中の政府の活動の怠りが大きい旨。今我々に必要なすべては、米国議会がbusiness-friendlyな税制構造を作り出し、バランスのとれた予算に向けた計画を展開することである旨。欧州は負債危機を収拾する方法を見つけなければならないし、中国は推進力を取り戻す必要がある旨。

◇Semi upswing seen for 2013 (1月3日付け EE Times)
→International Data Corp.(IDC)(Framingham, Mass.)発。モバイル機器の力強さおよびPCs弱含みが特徴となって、グローバル半導体市場が、フラットな2012年を経て2013年は4.9%の伸びとなると見る旨。以下の推移&予測:
2012年  2013年  2016年
$304B   $319B   $368B
1%以下の増 4.9%増
2011年〜2016年のcompound annual growth rate(CAGR)=4.1%

スマートフォン、タブレットはじめモバイル機器の活況の旋風に当面は注目そして期待せざるを得ず、市場での以下現状の関心事である。まずはApple向けプロセッサの製造受託についてのアップデートである。

【Apple向けプロセッサ製造】

◇TSMC reportedly getting mobile chip tryout with Apple-Apple reportedly tests out TSMC's chip skills (1月2日付け GigaOm)
→台湾紙、Commercial Times、水曜2日発。TSMCが、Apple向けA6およびA6Xモバイルプロセッサ製造に取り組んでおり、該試作が今四半期に順調に完遂すれば、TSMCはこれらプロセッサ生産をSamsung Electronicsから引き継ぐ可能性の旨。AppleがファウンドリービジネスをSamsungからTSMCに切り替えるという噂は、約2年駆け巡っている旨。

◇iPad 5, mini 2 next-generation A7 processors rumored (1月3日付け Product Reviews)
→Appleが今年、iOS機器の生産プロセスをいくつか変更する見込み、その1つがこれらの機器を動かすプロセッサを誰が製造するかということ。知っての通り現状はAppleはSamsungとやっているが、A6X半導体について別のsupply chainを見い出そうとしており、うまくいけばその幸運なメーカーは2013年半ばにiPad 5およびiPad mini 2に入る次世代A7プロセッサを生産する可能性の旨。

◇TSMC shares rally on Apple chip order speculation (1月3日付け DIGITIMES)
→TSMCが予想より早くAppleのA-シリーズプロセッサ製造受注を獲得しそうという報道を受けて、TSMCの株価が立ち直っている旨。

来週の2013 International CES(Consumer Electronics Show)、そしてMWC(World Mobile Congress)と年始めのイベントが控えているが、今回はモバイル機器新製品に向けたquad-coreプロセッサがキーワードとして目につく以下の内容である。

【quad-coreプロセッサ】

◇Smartphones trending toward larger displays and quad-core applications, say sources (1月2日付け DIGITIMES)
→業界筋発。quad-coreプロセッサおよび5-インチ以上のディスプレイを擁するスマートフォンが、来るCESおよびMWC(World Mobile Congress) trade fairsで公開される主流技術である旨。2013年前半に大方のbrandedスマートフォンベンダーおよび中国のスマートフォンメーカーが投入する新モデルは、quad-core半導体を搭載し、quad-coreがハイエンドモデルの標準となる旨。

◇Huawei, LG to showcase quad-core handsets at CES 2013 (1月2日付け DIGITIMES)
→来週の2013 International CESにて、Huawei Technologies, LG ElectronicsおよびSony Mobile Communicationsが、スマートフォンmodels投入を行い、Huaweiの新しいAscend D2およびAscend Mate modelsはquad-coreプロセッサが特長となる一方、LGのOptimus G2 handsetはQualcomm設計のquad-core S4 Prime MSM8974アプリプロセッサ搭載の見込みの旨。

◇Alcatel prepping One Touch Scribe HD phone with quad-core MediaTek chipset (1月3日付け Engadget)
→MediaTekのMT6589 quad-coreプロセッサが、Alcatel-Lucent製One Touch Scribe HDスマートフォンの中核に使われている旨。該プロセッサは、ARM HoldingsのCortex-A7設計を取り入れ、1-GHz以上の動作が可能の旨。

それでは2012年のモバイル機器の中核、携帯電話市場はどうであったのか、全体像が以下の通り表わされている。

【2012年の世界携帯電話市場】

◇サムスン電子、世界携帯電話市場で初めての1位 (12月28日付け Displaybank)
→サムスン電子がノキアを破り、今年の世界携帯電話市場シェア1位を記録の旨。ノキアは、1998年以来14年間守ってきた世界携帯電話市場シェア1位をサムスンに引き渡すことになった旨。サムスン電子は今年、世界携帯電話市場でのシェアが29%を占め、昨年の24%から大幅に増加、一方、昨年30%の市場シェアを占めていたノキアは24%にシェアを下げた旨。サムスン電子が年間ベースで世界携帯電話市場シェア1位を占めたのは初めての旨。 また、スマートフォン分野でもサムスン電子はAppleを抜いて1位を占め、世界スマートフォン市場シェアは28%を記録、昨年の20%に比べて大幅に増えた旨。一方、昨年19%の市場シェアを占めていたAppleは、今年は20%で1%ポイントの上昇に留まった旨。
業界関係者によると、世界携帯電話市場でスマートフォンは35.5%成長すると見込まれるが、携帯電話は1%の増加に留まると予想しており、携帯電話市場でのスマートフォンが占める割合は、昨年の35%から今年は47%に増加すると予測されている旨。

視点を変えて今回の最後に、ここ何年か時として話題に浮上する感があるインドでの半導体工場建設であるが、関連含め以下の動きである。

【インドの動き】

◇India to finalize partner for chipmaking project(1月2日付け ZDNet)
→インド政府がまもなく$4.6Bウェーハfabプロジェクトに向けてメーカーを選定する見込み、3月末までに発表、fabsは2014年までに稼働する予定の旨。

◇PM unveils new science policy (1月4日付け EE Times India)
→インド首相、Manmohan Singh氏が、2020年までにインドをグローバル科学立国トップ5に仲間入りさせる新しいscience, technology and innovation(STI)政策、"The Science, Technology and Innovation Policy 2013"を披露の旨。


≪グローバル雑学王−235≫

新しい日本に生まれ変わる道筋を7回にわたって辿ってきたが、今回から後半に入り、

『日本経済復活、最後のチャンス −変化恐怖症を脱して「3K立国」へ』  
  (三橋 規宏 著:朝日新書 350) …2012年 5月30日 第1刷発行

より、それでは新しい我が国、日本を創り出すために具体的にどうするか、著者の考え方に触れていく。我が国復活の条件として3段階のステップを挙げており、今回はその第1段階、様々な新しい変化への対応である。


II部 新しい日本を創る
第5章 日本復活の条件       ≪前半≫

・日本の復活を図るのに必要な3段階のステップ
 1.内外の様々な新しい変化を冷静に受け止める
 2.望ましい価値観を共有、目指すべき将来像を描き出す
 3.大胆に挑戦する

(1)様々な新しい変化に対応

□日本固有の変化
・第1:東日本大震災と深刻な原発事故
 →予想される災害についての万全の態勢を

□リスクマネジメントの大切さを学ぶ
・リスクマネジメント(危機管理)の思考が欠落
 →平和ボケの戦後70年間、あらゆる分野で様々なリスクと共存していかなくてはならない厳しい時代に

□所得収支黒字、貿易収支赤字の時代が来る
・国際収支発展段階説
 →経済の成熟化に伴い、一国の国際収支は貿易黒字が減少、所得収支の黒字が増える構造に
(注)所得収支…海外進出企業が現地で稼いだ利益や海外証券投資収益など
・2005年に初めて、所得収支の黒字が貿易収支の黒字を上回り、それ以降一貫して今日に
・2011年の貿易収支は、約1兆6000億円の赤字、1979年以来32年ぶり
・これからは、アジア地域をはじめ世界各地へ直接資本進出して稼ぐ新しい時代に

□50年後、65才以上が約4割
・2012年1月末に公表の「将来推定人口」
 →50年後の2060年の日本の人口は8674万人まで減少、65才以上の老齢人口が全人口の約4割(現在23%)
・50年後の日本の姿を直視、人口対策や年金など社会保障関連費対策など日本としてこれからどう取り組むべきか

□海外の変化、経済のグローバル化に取り残される
・第2:経済のグローバル化
・イギリスのHSBCが2012年始めに推計した2050年の世界の国別GDPランキング
 →中国  25兆3000億ドル
  米国  22兆ドル
  インド  8兆ドル
  日本  6.5兆ドル

□パナソニック、ソニー、シャープの凋落
・経済のグローバル化に乗り遅れ、急速に競争力を失うことに

□世界標準、スピード経営の遅れが命取りに
・地球規模で展開される経済活動
 →経営には国籍がなくなることを意味
  …日本型経営とかアメリカ型経営という呼び方自体がすでに時代に合わ
     なく
・日本企業のグローバル化への対応は、まだ始まったばかり

□本当の意味のグローバル企業とは
・様々な国籍、文化、宗教、慣習を持った人々を差別なく受け入れていくオープンマインドで寛容な精神が必要に

□地球の限界が迫る変化
・第3:地球の限界が迫る新しい変化への対応
 →温暖化対策…炭素税(環境税)、低公害車、再生可能エネルギー
  温暖化の影響を緩和させる適応対策…安全な場所での住宅建設、山地被害対策、高潮対策

□生態系から農産品まで適応対策が必要
・農業生産設備(細霧冷房設備など)、品種改良(高温耐性水稲など)

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