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今後のPC・モバイル機器の転機を賭けたAppleとMicrosoftの鬩ぎ合い

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あの発売を待ち焦がれるワクワク感がどちらが優るだろうか、そんな見方になってしまいがちなアップルからの小型タブレット(iPad Mini)そしてプロセッサを新たにした新版full-size iPad、それらに対抗するマイクロソフトのWindows 8とそれを搭載する各社からのパソコンおよびタブレットという図式である。仕事に生活になくてはならず離せなくなっているパソコン、モバイル機器にどのような転機が訪れるか、世界の市場の反応に注目である。

≪相次ぐ打ち上げ≫

小型iPadとその大きさ如何が注目されていたが、次の通り少し大き目で発表され、来る11月2日発売となっている。

◇Apple steps up pace with iPad Mini (10月23日付け EE Times)
→アップグレードされたA6Xプロセッサを駆使する新しいfull-sized, 第四世代iPadが、火曜23日のApple発表イベント(SAN JOSE, Calif.)のサプライズ、また7.9-インチディスプレイと予想より僅かに大きめのiPad Miniがユーザを驚かせた旨。11月2日発売のiPad Miniは、Wi-Fi-onlyについて$329からの価格、16-Gバイトのフラッシュ、重さ0.68 pounds(309g)そして厚さ7.2-mm、他にはスペックで大体iPad 2相当、概して目立ちはない旨。

今までのサイズのものの新版も発表され、アップルによるフルカスタム設計のプロセッサとなって、高速化が図られているとのことである。

◇Apple's A6X: The iPad gets a serious CPU upgrade-Apple's latest iPad features "fully custom" A6X processor (10月23日付け ZDNet)
→火曜23日に投入されたfull-size iPadの次のものは、Apple-設計に成るA6Xプロセッサを有し、iPhone 5のA6半導体および前iPadのA5Xより高速に動作する旨。A6Xは、"Apple初のfully custom"プロセッサであり、これまでのモバイル機器のAppleプロセッサで用いられたARM Holdingsコアへの依存が低下している、とAnandTechのAnand Shimpi氏。iPad miniの方は、A5プロセッサを用いている旨。

このiPadのリニューアル発表のペースについて、次の見方が出ている。要は、魅力の違いを市場がどう受け止めるか、ということと思う。

◇Apple may trip at faster iPad pace (10月24日付け EE Times)
→Appleがタブレット競争の先頭をキープ、一層早く走っているが、必ずしも良いことではない旨。1年に1つの大きな製品をリリース、今までのiPadsを堂々と見せて、新モデルがますます待望された旨。ところが6ヶ月毎となると、もはやiPad2あるいは3ではなく、単に新iPadとなって、少しぼやけてきている旨。

アップルの今回の発表を受けて最も敏感と思える韓国、そして我が国で以下の見出し&概要である。

◇アップルが7インチのiPadミニを公開 (10月24日付け 韓国・中央日報)
→アップルがついに「iPadミニ」と「iPad4」を発表、した。既存のiPadの500〜700ドルに比べ、iPadミニは329ドル水準で半分程度の価格、普及型市場を一気に確保するという意図の旨。一方、今回のiPad4とiPadミニはLTEに対応すると発表、これに対し韓国のLTE事業者間でもう一度iPadをめぐる争いが展開されるのではないかという観測もある旨。

◇iPad mini発表、7.9インチ、11月2日発売 (10月24日付け 朝日新聞デジタル)
→米アップルが23日午前(日本時間24日未明)、タブレット端末「iPad」の小型モデル「iPad mini」を米カリフォルニア州で発表、11月2日から、まず米国や日本などで発売、予約開始は10月26日の旨。また、現行機種よりも処理速度が速い第4世代のiPad(9.7インチ)の発売も発表した旨。

対するマイクロソフトのWindows 8関連については、10月26日の発表を前に騒々しくなっている。日本市場については、日本メーカーが搭載タブレットおよびPCsを競って出していくということか、以下の内容である。

◇Why Microsoft's Surface will be a no-show in Japan (10月21日付け EE Times)
→MicrosoftのSurfaceタブレットが10月26日に世界中で打ち上げられるとき、日本ではno-show(現れない)、Microsoftが市場として見当違いが高まっているとして冷たく扱っているのか、あるいは日本ではSurfaceタブレットが大失敗に終わると慎重になっているのか?時を同じく、NEC、富士通および東芝など日本メーカーは、競って第四四半期の間にたくさんのWindows 8タブレットおよびPCsをリリースしていく旨。

音楽配信サービスについて、マイクロソフトからの打ち上げである。

◇Microsoft launches all-in-one streaming music service across its Windows 8 and Windows RT tablets and PCs (10月23日付け EE Times)
→Microsoftが、all-in-one音楽配信サービス、Xbox Musicを投入、ユーザがcloudを通して有料でcustom-createdプレイリストを流せる旨。ユーザのタブレット, PC, 携帯電話およびTVにわたる音楽を統合するよう、Xbox Musicのグローバルカタログには3000万曲以上が取り扱われている旨。

インテルからはWindows 8そしてARMとの対抗性について、次のコメントである。新Wintelへの市場の反応に注目である。

◇Exclusive: Intel CEO Paul Otellini on Windows 8, the Tablet Market and Competing With ARM (10月24日付け All Things D)
→Intel CEOのPaul Otellini氏。金曜26日のWindows 8打ち上げを"転機のイベント"と表現、従来のPCsからタブレット、そして間にあるすべてのhybridに広がって本当に非常に強力、Windows 8のタブレットコンピュータ市場への影響を測るには数ヶ月かかる旨。MicrosoftのARM Holdingsプロセッサ搭載コンピュータ用のWindows RT開発については、Intelプロセッサ搭載Windows 8コンピュータはすべてのWindowsアプリを動かすが、ARM-ベースコンピュータはすべてがそうではない旨。

そして、マイクロソフトからの発表を迎えるが、以下の内容は復習している感じ方がある。

◇Windows 8: An era of touch computing (10月26日付け EE Times India)
→モバイルcomputing領域での輝きを取り戻すべく、Microsoftが、新しいoperating platform(OS)、'Windows 8'を打ち上げ、PCsおよびタブレットコンピュータの両方で動くよう設計され、computingの世界を変える狙いの旨。Windows 8は、touch(タブレット)およびマウス&キーボード(desktops)で制御できる旨。


≪市場実態PickUp≫

アップルとくると、もう一つの凌ぎ合い、すなわちスマートフォンの売れ行きおよび特許係争その後の余韻が残り続けるサムスンが頭に浮かんでくる。

【もう1つ、Apple対Samsungの鬩ぎ合い】

LCDパネルの供給を巡って以下の報道のやりとりが見られたが、実態はどうだったのだろうか。

◇Samsung ends LCD contract with Apple (10月23日付け EE Times India)
→The Korea Times発。Samsung Displayが、AppleへのLCDディスプレイパネル供給を停止、両社間の長年の連携に終止符の旨。この事態の背後にある主な理由として、AppleとSamsungの間で起きている特許を巡る戦いにあるというよりは、SamsungがAppleに値下げしてLCDパネルを供給できないことにある旨。

◇Samsung Display denies reports it will stop making LCD panels for Apple (10月23日付け The Wall Street Journal/Digits blog)

スマートフォンの売れ行きについて以下の通りである。アップルの発表の間隙をぬってサムスンの「ギャラクシーS3」が絶好調という市場の声が聞こえているようである。

◇Samsung's Q3 smartphone shipments double Apple's (10月26日付け EE Times)
→ABI Research発。第三四半期のスマートフォン出荷、Samsung Electronics Co. Ltd.がApple社の2倍以上に、SamsungがAppleに対するリードを劇的に拡げている旨。
・≪表≫ 2012年第三四半期OEM別handsetおよびスマートフォン出荷台数
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/121026_abi_handsets.png

相並ぶ格好でアップルおよびサムスンの業績発表が行われ、以下の通りである。グローバル市場でのスマートフォンの勢いを再確認している。

◇サムスンの営業益91%増、7〜9月、スマホ好調 (10月26日付け 日経 電子版)
→サムスン電子が26日発表した7〜9月期連結決算、営業利益が前年同期比91%増の8兆1200億ウォン(約5950億円)、売上高が同26%増の52兆1800ウォン。アップル「iPhone 5」の対抗機、「ギャラクシーS3」が好調、スマホを主力とするIT機器部門が約7割を稼いだ旨。

◇米アップル、の純利益24%増−10〜12月期は採算悪化も (10月26日付け 日経 電子版)
→米アップルが25日発表した7〜9月期決算、売上高が前年同期比27%増の$35.966B(約2兆8890億円)、純利益が同24%増の$8.223B。9月下旬に発売した「iPhone 5」が収益を押し上げ、ただ、10〜12月期は価格を抑えた新製品の投入が響き、利益率は悪化するとの見通しも示した旨。

スマートフォンなどモバイル機器向けのプロセッサはじめ半導体生産から、TSMCの7〜9月期業績が記録ずくめとなっているが、今後について同社総帥、Morris Chang氏の見方と合わせ以下の通りである。

【TSMCの活況と今後の見通し】

◇TSMC surprises with record sales (10月25日付け EE Times)
→TSMC(Hsinchu, Taiwan)の第三四半期販売高NT$141.38B(約$4.84B)、前四半期比10%増、前年同期比33%増、net incomeがNT$49.30B(約$1.67B)、前四半期比18%増、前年同期比62%増、と記録ずくめ。

◇TSMC expects sales rebound following two-quarter dip (10月25日付け DIGITIMES)
→TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏。2012年第四四半期の同社連結売上げが前四半期比約8%減、続く2013年第一四半期も控え目に低下と見る旨。supply chainの在庫水準が調整されて、2013年第二四半期には伸びを取り戻すと見ている旨。

◇TSMC to post growth over next 4 years, says CEO (10月26日付け DIGITIMES)
→25日のinvestors meetingにて、TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏。TSMCの科学技術leadershipからスマートフォンおよびタブレット用半導体受注をさらに引きつけられて、2013年から2016年にかけての伸び、あるいは力強い伸びすらもTSMCは示すと見ている旨。

半導体製造装置業界の販売高データには、米国および日本ともに投資の冷え込みが如実に表われている。モバイル機器の一層の増大にかかるとともに、大手プレーヤーおよび各国・地域の最先端への取り組み&コラボが求められていく。

【半導体装置業界】

◇Semi equipment demand still sinking (10月22日付け ELECTROIQ)
→SEMIからの半導体装置販売高最新データが、今年後半のひどい低迷ぶりを繰り返し表している旨。北米半導体装置メーカーによる9月受注総計$952.0M、前月($1.12B)比15%減、前年同月比2.8%増。出荷の方は前月(1.18B)比12%減、前年同月比10.4%減。
・≪グラフ≫ この1年の北米半導体装置業界受注/販売高推移
http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/October/1210SSTsemiBkBill.gif

来る11月6日、米国大統領選挙が間近となっているが、米国ハイテク業界の雇用数および米国GDP成長率が若干ながら持ち直し気運となっている。先行きは厳しい見方が大方となっているなか、手応えをしっかりつかむ模様眺めが続くと思われる。

【米国の緩やかな回復?】

◇Tech jobs expand, says pre-election report (10月25日付け EE Times)
→TechAmerica Foundation発。米国ハイテク業界が、2012年1月〜6月で約100,000 jobsを増やしており、控え目ながら着実な1.7%の雇用増となっている旨。
・≪グラフ≫ ここ18ヶ月のハイテク雇用の流れ
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/Jobs1.jpg

◇米GDP成長率、7〜9月は2.0%、回復ペース緩やか−市場予想はやや上回る (10月26日付け 日経 電子版)
→米商務省26日発表、2012年7〜9月期の米実質国内総生産(GDP、速報値、季節調整済み)は前期に比べ年率換算で2.0%増、個人消費や連邦政府支出の伸びに支えられ4〜6月期の1.3%増から改善した旨。ただ、先行きの不確実性から企業の投資意欲が一段と冷え込むなど本格回復への手応えはなお乏しい旨。


≪グローバル雑学王−225≫

世界が感嘆、広がりを見せる我が国の食文化について、

『世界がうらやむ日本の超・底力』 (ロム・インターナショナル/著:KAWADE夢新書)  
  …2012年 5月10日 初版発行

より、後半はおにぎり、懐石料理、マクロビオティック、そして駅弁に注目していく。我が国内では当たり前感覚で捉えがちになるが、海外で重宝がられる理由をそれぞれに改めて認識するところがある。


5.美食家たちが唸るニッポンの食文化 ≪後半≫

◆海外で人気を集める、日本人のソウルフードおにぎり
・ニューヨークにおにぎり専門店が誕生
 →ニューヨークに「Oms/b」という名のお店
 →アメリカでは苦手という人が多かったおにぎり…理由は海苔
 →このお店では、バラエティに富んだ外見に仕上げた商品
 →「ライスボール=おにぎり」はアメリカで着実に浸透へ
・アジア各国でもオリジナルの具が登場
 →日本固有の食べ物、おにぎり
 →韓国でも、おにぎり専門店が誕生
 →台湾や中国の上海でも、高まっているおにぎり人気

◆山の幸の旬物を効果的に盛り込む懐石料理
・ひもじさが生んだ「温石」がルーツ
 →鎌倉時代にまで遡る懐石料理のルーツ
  →禅寺で修行していた僧侶の卵たちの小腹を満たす一皿
・懐石料理の知られざる栄養価とは
 →その後、懐石料理は、京都で発達
 →現代の栄養学の専門家が舌を巻くような、優れた料理に
・「侘び」の世界を映し出す懐石料理
 →別の説として、懐石料理は、千利休が創案した食事がルーツ
  →茶の湯と同様に、和の精神が息づく懐石料理が完成

◆アメリカのセレブのあいだで流行するマクロビオティック
・日本に逆輸入されたマクロビオティックブーム
 →「Macrobiotic」…「長く健康的に生きるための方法」
  →玄米や雑穀、自然食などを主体とした食事療法や養生法
 →アメリカでのブームが日本にも波及、2000年代半ばごろから女性を中心に普及
 →創始者は、アメリカでは「ジョージ・オーサワ」の名、桜沢如一氏
・日本の食文化が息づいた健康法
 →3つの原則:
 「一物全体」…食べ物をあるがままに食べる;玄米、魚丸ごと
 「身土不二」…土地の産物を、旬の時期に合わせて口にする
 「陰陽の調和」…食物を陰性か陽性かでとらえ、陰陽のバランスがとれる食事
  →陰性=カリウムや水分;ナスやピーマン、メロン
   陽性=ナトリウム;タマネギやゴボウ、ニンジン

◆外国では体験できない日本独自の駅弁文化
・いまや人気グルメとなった駅弁
 →駅弁が販売されるようになってから120〜130年もの歴史
 →2000種類以上にまで上る数
・駅弁文化が花開いたのは、箸のおかげ?!
 →日本での駅弁が普及した理由:
  −箸文化の発達
  −おにぎりの存在

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