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競争激化のファウンドリー業界:先端プロセス、モバイル市場、MEMS

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最先端プロセス世代をリードするプレーヤーが数えるほどに絞られてきている一方、iPhone 5はじめ先端技術の粋を競うモバイル機器市場の世界的な活況が続いている。パソコン市場も劣勢挽回の動きが今後活発化するのは必至というなか、ファウンドリー業界の大手プレーヤー間の一層の凌ぎ合いの様相を、特に先端プロセス、モバイル市場、MEMSという切り口で見い出している。ファブレス、Fab-lite化がますます進む流れを受け、ファウンドリー業界の最先端プロセスおよび市場獲得を巡る先陣争いに注目せざるを得ない。

≪凌ぎ合いの最前線≫

荒っぽく3つに分けて、ファウンドリー業界の競い合い最前線の今である。

[先端プロセス]

活況のモバイル機器市場と密接に絡む先端プロセスではあるが、従来からの半導体プレーヤーの微細化世代の開発そして量産化という伝統的な流れの現時点を見る思いである。かつてのAMD社の製造部門が継承されているファウンドリープレーヤー、GlobalFoundriesに最新の注目が集まっており、まずは開発に向けた拠点拡充の動きである。

◇GlobalFoundries has bigger plans for Malta site-GlobalFoundries is making plans to build manufacturing research center at Malta site (9月26日付け Albany Times Union)
→GlobalFoundriesが、MaltaのLuther Forest Technology Campusにて3階建565,000-square-footの製造リサーチセンターを建設する準備の旨。

現状の専業ファウンドリー業界全体が、分かりやすく次の通り表わされている。

◇Enormous gap in technology between leading foundries and the rest, says IC Insights (9月26日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insights発。TSMC、GlobalFoundries、UMCおよびSMICが、ほかの専業Siファウンドリーと比べて先端プロセス技術で圧倒的にリードしている旨。その"non-major"ファウンドリー14社のうち4社だけが現在、90-nm以下のfeature sizes半導体生産に対応可の旨。

中国のファウンドリー業界でみると、大手プレーヤーとは一線を画した方向の動きが伺えている。

◇China IC foundries move toward specific process manufacturing, says Digitimes Research (9月27日付け DIGITIMES)
→Semiconductor Manufacturing International(SMIC)およびShanghai Huali Microelectronics(HLMC)を除く中国のICファウンドリーが、TSMCやGlobalfoundriesのような国際的最大手との差別化を図るために自分たち特有のプロセスofferings強化に動いている旨。

専業ではないが、Samsungのファウンドリービジネス対応の拡大が目覚ましい状況があり、先端プロセスに向けてSTMicroelectronicsとの連携が進んでいる。

◇Samsung, ST reveal foundry deal (9月28日付け EE Times)
→STMicroelectronicsが、32/28-nm high-K metal gate(HKMG)製造プロセスを用いるICs生産についてSamsungのファウンドリー事業ユニットを選択の旨。

◇Samsung joins hands with Swiss semiconductor firm (9月28日付け The Korea Times (Seoul))
→Samsung Electronics Co.が金曜28日、同社ファウンドリーチームが、STMicroelectronics N.V.のモバイル機器、home appliancesおよびネットワークシステム用32-および28-nm System on Chips(SoC)の製造を開始の旨。

[モバイル市場]

注目のモバイル市場については、Appleのプロセッサ製造を現在受けているSamsungから、次はTSMCに移るのではないかという激しい凌ぎ合いの局面の見方が表わされている。

○9月25日付け ElectroIQ:Dr. Phil Garrou氏ブログ
"IFTLE 116: A6 applications processor for iPhone 5 from Samsung, but..."

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A6は3DICに(少なくとも2.5DICをhigh volume製造に)もってくる主要な牽引役として見込みがあると以前述べてきている。数週間前には、TSMCが、同社28-nmおよび22-nmプロセスに基づくA6およびA7プロセッサに向けたAppleのファウンドリービジネスを獲得する自信を感じていると報告した。
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Taiwan Economic Newsによると、Appleプロセッサの試作生産が2013年上半期にスタート、volume生産が後半に続くと見込まれている。
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第二世代A6は、A5の45-nmおよび32-nm版と同様に、TSMCによる28-nm技術で行われる情勢であり、これがTSMC 2.5D技術の入口点となる。
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今後の動きに注目するとともに、Through Silicon Via(TSV:貫通電極)技術を駆使する2.5D(インターポーザ)、3DIC(三次元実装)の本格的な展開に上記の記事は関心をもって触れている。

[MEMS]

途上のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)市場であるが、CMOSとの融合、三次元実装に向けたファウンドリー製造サービスが拡大しようとしている。幅広い微細加工という意味ですでに大手プレーヤーの名前がいくつか挙げられるが、一角に食い込もうとする以下の動きと思う。

◇X-Fab investing $50M in MEMS business, eyes top-three ranking (9月26日付け ELECTROIQ)

◇X-Fab pledges more money for making MEMS (9月28日付け EE Times)
→X-Fab Silicon Foundries AG(Erfurt, Germany)が、同社MEMS operationsに$50M投資する計画、X-Fab MEMS Foundryの名のもとに稼働する旨。


≪市場実態PickUp≫

Appleの勢いから挽回を図る風情を感じてしまうが、Intelからまず今後の展開への強力な自信、自負が伺えるコメントである。

【Intelの応酬】

◇Intel plans to crush ARM beyond 20 nm (9月24日付け EE Times)
→最近のIntelのexecutive vice presidentでアーキテクチャーのhead、David(Dadi) Perlmutter氏との話から、ARMが現在は低電力処理で優位にあるかもしれないが、Intelとしては、プロセス技術の現在の進展速度を維持すれば次第にリードできるようになると考えている旨。Intelはsub 20-nmおよび14-nm計画を先行させている一方、ARM ecosystemは22-nmより先でのビジネスモデル見い出しに苦しんでいる旨。

スマートフォン、タブレットそしてultrabooksを見据えたdual-core Atom半導体、Clover Trailが、次の通り発表されている。秋の陣の始まりを感じさせている。

◇Intel debuts next-generation Atom for tablets (9月27日付け EE Times)
→Intel社が、タブレットのなかのある位置を区画、次世代Atom system-on-chip(SoC)およびそれを用いるかなりたくさんのタブレットが木曜27日のSan Franciscoでのイベントで発表された旨。スマートフォンおよびタブレット向けdual-core Atom半導体、Clover Trailであり、Acer, Asustek, Dell, Hewlett-Packard, Lenovo, SamsungおよびZTEなどのメーカーが、すべて該半導体を用いてタブレットに変換できるタブレット& ultrabooksミックスを披露する旨。

◇Intel seeks tablet breakthrough with Clover Trail, Windows 8-New Intel Clover Trail chips will run Lenovo, HP, Asus and Samsung tablets (9月27日付け Computerworld/IDG News Service)
→10月に出てくる予定のClover Trailは、32-nm製造プロセスによる開発、1.8-GHz dual-coreプロセッサおよび1MB of L2 cacheを盛り込んでいる旨。

スマートフォンの中のDRAM使用量について、今後は伸びが鈍り、高速性能に重点が求められるという見方が出されている。

【モバイルDRAM】

◇Mobile DRAM growth cooling (9月26日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。スマートフォンのDRAMの量が、今年50%増える見込み、しかし密度が実用的な設計限界に達して今後は増加速度が急速に鈍化、メモリベンダーは2015年10億台といわれるhandsets市場に向けて高速品商用化に注意を払っている旨。スマートフォンの中のDRAM量:
 2010年  2011年  2012年
 202MB  453MB  666MB
・≪グラフ≫ スマートフォンDRAM容量別比率:2012年&2013年
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120926_ihs_mobile_dram.jpg

DRAMの大手プレーヤー、Micron Technologyの業績発表であるが、DRAMの販売高比率が39%という数字に意外な趣きを感じるところがある。DRAM単独のスタンスというものを、上記のモバイルDRAMの先行きと合わせ考えている。

【Micronの業績】

◇Micron hopes for better times ahead (9月27日付け EE Times)
→Micron Technology社(Boise, Idaho)の8月30日締め第四四半期販売高$1.96B、前四半期比10%減、前年同期比8%減。
2012年度販売高の内訳:
 NANDフラッシュ  44%
 DRAM       39%
 NORフラッシュ   12%

◇Micron Posts Wider Fourth-Quarter Loss on Memory-Chip Slump (9月27日付け Bloomberg)
→DRAM販売高がPC需要弱含みから前年同期比9%減少する一方、売上げが同8.3%減となった旨。

医療用デバイスとして身体の中で溶けるというアプローチが、次の通り行われている。新しい分野の到来を感じさせている。

【溶けるSi回路】

◇Silicon circuits that dissolve when wet made for smart medical implants-A silk covering controls how long the electronics stay in the body. (9月28日付け Ars Technica)
→濡れると溶ける新しいsilicon-containing回路、可溶electronicデバイスは、smart医療implantsあるいはenvironmentalセンサに有用の旨。
・≪写真≫ 溶け始める電気回路
http://cdn.arstechnica.net/wp-content/uploads/2012/09/hwang3HR-640x960.jpg

◇Electronics that dissolve in the body!(9月28日付け EE Times India)
→Tufts University(Medford, MA)およびUniversity of Illinoisの研究。
身体の中で溶ける小型electronicデバイスを開発、医療目的に使える極薄electronics、"transient electronics"と呼ぶ新しいsilk-siliconデバイスは、外科的除去を必要としない医療implants世代の期待を孕む旨。


≪グローバル雑学王−221≫

ますます日本ならではの味わいが濃くなる感じであるが、世界に誇る和製エンターテインメントの後半は、お香、日本庭園、歌舞伎そして禅について、
『世界がうらやむ日本の超・底力』 (ロム・インターナショナル/著:KAWADE夢新書)  
  …2012年 5月10日 初版発行

より認識をアップデートしていく。海外に出かけて改めてその良さを知らされるケースをいくつか経験しているとともに、以下にある通りアップル社Steve Jobs氏の禅への傾注を知らされている。


3.外国人が憧れてやまない和製エンターテインメント ≪後半≫

◆飛鳥時代から日本人に愛されてきたお香
・仏教と共に伝わったお香の楽しみ
 →アロマテラピー(造語)…「アロマ(香り)」と「テラピー(療法)」の合体
 →飛鳥時代…仏教とともに「お香」が伝来
 →奈良時代…お香を焚いて居住空間に漂わせる習慣
 →平安時代…香気を楽しむ「薫物」
・茶道や華道と並ぶ「道」へと発展
 →江戸時代…「香道」が確立
  →香木を焚いて味わいを鑑賞する日本独自の芸道
 →現在は、各人が自分のライフスタイルに合った香りを自由に楽しめる時代
・香りで気分がよくなるしくみとは
 →いい香りを体に取り込むと、ホルモンの分泌が促される
 →日本は、世界に優るとも劣らない「香り文化」をもつ国

◆時代ごとの精神性を体現した日本庭園
・欧米人が日本庭園を好む背景とは
 →欧米で日本文化が評価、19世紀から20世紀、「ジャポニズム」と呼ばれる日本趣味が流行
 →イギリスではロンドンだけでなく、スコットランドにまで日本庭園が浸透
 →最近は、アジアの人々のあいだでも日本庭園の人気
・日本人は庭園とどう向き合ってきたか
 →平安時代の貴族の庭、鎌倉から桃山時代の武家の庭、江戸時代の大名の庭園、との大きな区分
 →平安時代後期、浄土式庭園へ…平等院(京都府宇治市)
 →武家文化…「苔寺」(西芳寺:京都市)
 →江戸時代…水戸の偕楽園、金沢の兼六園、東京の小石川後楽園
・多様な日本庭園に共通する心とは
 →石や木、水(池)を配置、日本人の心映えを表現

◆海外公演を次々に成功させ、ファンを増やす歌舞伎
・無形文化遺産にも登録された伝統芸能
 →近年、歌舞伎役者が次々と海外公演を敢行、拍手喝采
 →2005年、歌舞伎は能楽、人形浄瑠璃文楽に続いてユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産にも指定
・歌舞伎に外国人が惹かれる理由
 →どこまで理解しているか、はなはだ疑問ながら、衣装や大胆なメイクアップ
 →日本人の衣装や色づかいのセンス
・「動的」な世界が新鮮なイメージを呼ぶ
 →日本といえば「わび」「さび」、静的な世界
 →ところが、歌舞伎では「動」の世界が展開
  …楽しく日本を理解する娯楽

◆デジタル時代を牽引するアップル社を支えた禅の心
・天才が拠りどころとした「禅」
 →Steve Jobsが、心の拠りどころとしていた「禅の心」
 →「自力本願」「自力救済」の思想…あくまで自分で自分を見つめよう
・欧米人の新たな道しるべに
 →禅…南インド出身の達磨が座禅(瞑想)をもとに確立させた教え
 →日本に伝えたのは鎌倉時代の僧侶である栄西と道元
 →世界へと伝播、1893年の万国博覧会(シカゴ)の併催イベント
 →現在、海外では500を超える禅のグループが活動

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