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現代ネット社会での技術競演、アップルの商品化&インテルの最先端

時を合わせ同じSan Franciscoのhalf a blockの距離を置いて、Intel Developer Forum(IDF)でのインテルの最新製品&技術およびアップルからの注目のiPhone 5発表が行われている。相次いだ動きを示す業界記事のタイトルの1つとして次の通りである。
◇Intel, Apple may be two ships passing in the light (9月14日付け EE Times)
Moore則に基づく先端化の歩みが健在のインテル、予想通り各方面からの反響が喧しいアップルの状況を、現代ネット社会での反応で受け止めている。

≪強まるモバイル化への基調≫

アップルのiPhone5についてはふたを開けてみないと分からないという状況があり、発表直前の1つの記事の表現も次の通りである。

◇IPhone 5 expected to sport quad-core, LTE (9月10日付け EE Times)
→Appleが水曜12日にSan FranciscoのYerba Buena Centerにてpress conferenceを予定、カスタムquad-coreプロセッサ、LTE, アップグレードしたイメージセンサおよび新しい小型化コネクタが売りのポイントのiPhone 5を打ち上げる見込み、しかしそこで発表される新しい機器が中にもつもの、もたないものは販売に出されてteardownエキスパートが調べるのを待つ必要がある旨。

しかし、いったん発表されるや否や、身の隠しもなく一挙に素っ裸にされるところが、現代ネット社会の驚異的な有り様であり、概要がパッと入ってくる。

◇IPhone 5 bill of materials estimate is $167.50 (9月12日付け EE Times)
→TechInsightsのtear down specialistsによる評価速報。Appleの新しいIPhone 5についてのbill of materials(BOMs)が、16-Gビット版で$167.50と見積もられ、IPhone 4Sの相当版より約$35高い旨。来る9月21日に発売予定のIPhone 5は、16-Gビット版で約$199の予定価格の旨。
・≪表≫ IPhone 5についてのbill of materials評価速報
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/iPhone5%20BOM%20comparison_702.JPG

◇IPhone 5 draws praise, iPod gets camera (9月12日付け EE Times)
→iPhone5の技術仕様:
 ・A6プロセッサ
 ・LTE
 ・Display: 4-inch, 1,136 x 640 resolution, 16:9 aspect ratio
 ・カメラ: 8 Mpixel, 3264 x 2448 resolution, f2.4 aperture
 ・寸法: 厚さ 7.6 mm(4Sより18%薄い), 重さ 112 grams (4Sより20%軽い)

◇Apple: A6 chip in iPhone 5 has 2x CPU power, 2x graphics performance, yet consumes less energy (9月12日付け Engadget)
→水曜12日にお披露目のiPhone 5は、新しいA6 system-on-a-chipデバイスが呼び物、前のA5より22%小さくエネルギー効率が良く、しかも2倍の高速動作の旨。A6プロセッサは、2つのARM Cortex-A15コアを有し、EON SIMD acceleratorsおよびquad-core PowerVR SGX543MP2 graphics adapterを擁して、新たに設計されたオーディオおよびイメージco-processorsを伴っている旨。

1日置くと、さらに詳細な内容情報が盛り込まれてくる。

◇Analyst says iPhone 5 processor is dual-core Cortex-A15 (9月13日付け EE Times)
→Nomura Equity Researchでの解析。AppleのiPhone 5携帯電話に入っているA6プロセッサは、Samsung Electronics Co. Ltd.が32-nm HKMG製造プロセスでApple向けに作ったdual-core Cortex-A15であり、Appleがintellectual property(IP) licensor、ARM Holdings plc(Cambridge, England)からの最高性能プロセッサコア、Cortex-A15-ベースのプロセッサを導入する最初のメーカーの1つとなる旨。

また、サムスンとの特許係争が世界の注目を浴びているなか、サムスンのお膝元、韓国からは以下の予想通りの反応である。

◇「iPhone5」、期待以上の革新なく=韓国業界 (9月13日付け 韓国・中央日報)
→ついにベールを脱いだ米アップルの新型のスマートフォン「iPhone5」に対し、韓国の証券業界では「期待以上の革新はなかった」と口をそろえた旨。アップルが言うように「世界で最も軽くて薄いスマートフォン」であることは確かだが、競合企業の製品より優れているとは言えないとの判断、外信も「大躍進はなかった」との見方が大勢を占めた旨。

アップルがサムスン部品の減らしにかかっているという噂が、特許係争の動きに伴なって特に渦巻いているが、メインプロセッサの製造委託についても次の噂話と相成っている。

◇Rumors circulate again about Apple mulling CPU supplier change (9月14日付け DIGITIMES)
→Appleが次世代CPUシリーズの設計フローについてTSMCと協議しているという噂が、再び半導体業界に広まり始めている旨。スマートフォンおよびタブレットPC市場でのAppleとSamsung Electronicsの真っ向の競合から、Appleが主要半導体サプライヤとしてのSamsungへの依存を減らそうとしているという噂がしばし循環している旨。

米国での市場反応はこれも予想通り上々で以下の通り。来る21日に控える販売予約分も即刻完売のようである。

◇米アップル株、最高値を更新、iPhone5好感 (9月14日付け 朝日新聞デジタル)
→13日のニューヨーク株式市場、米アップルの株価終値が前日より約2%高い682.98ドル、上場来高値を更新した旨。前日にスマートフォンの新機種「iPhone5」を発表、市場はこれを好感し、買い注文が集まった旨。

このように華々しいアップルの商品発表と同じタイミングで行われている恒例のIntel Developer Forum(IDF)であるが、あと少なくともCMOS scalingは10年はいける、10-nmより先もいろいろな手、布石を打っている、とこれもいつもながらの意気軒昂なスタンスのプレゼンにはホッとさせられるものを感じるところがある。

◇Intel sees quad-patterned path to 10 nm chips (9月12日付け EE Times)
→Intel社の技術&製造グループ、director、Mark Bohr氏。Intelは、immersionリソを用いて10-nmプロセス技術を生み出す方法を見い出しており、来年末までに14-nmプロセス技術で半導体製造を始める軌道にいる旨。10-nmプロセスは2015年以降にお披露目、いくつかのマスク層についてquadruple patterningが必要になる旨。
・≪図面≫ Intelが10-nm以降について考えている多くの選択肢
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/10nm%20foil.jpg

◇Intel's Bohr sees at least 10 more years of scaling (9月13日付け EE Times)
→IntelのSenior Fellow、Mark Bohr氏。断続的なMoore's Lawの終わりを予言する悲観論にも拘らず、少なくとも10年は半導体CMOS scalingの終焉を描けない旨。scaling継続には高まる技術障壁および製造コスト高騰など付きまとう難題の旨。

そうはいっても、IDFの中でもモバイル化に傾斜する流れを止められない基調を感じるところがある以下の内容と受け止めている。

◇Smartphone is next stop for PCI Express (9月13日付け EE Times)
→PCsおよびサーバのI/Oの中枢、PCI Expressが、来年からUltrabooks、タブレットおよびスマートフォンに入っていくlow-power拡張を行っており、該強化interconnectは、パワーを半分から1/4にもっていく一方、モバイル機器を60-GHzワイヤレスネットワーキングコントローラおよびsolid-state drivesなど高性能周辺につなぐ助けとなる旨。

◇Lines blur between Intel Atom and Core (9月13日付け EE Times)
→Intelのarchitectureグループ、executive vice president and general manager、David (Dadi) Perlmutter氏。Intelは、モバイルcomputingに積極的に移行しており、次世代core microprocessorsはmobilityを念頭に置いて設計している旨。


≪市場実態PickUp≫

スマートフォン、タブレットに傾斜する流れは、post-PC時代の到来感を一層強めているが、DRAM出荷ビット数にも1つ表われているという以下の内容である。

【時代の節目の兆候】

◇PCs used less than half of DRAM bits in Q2 (9月14日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。第二四半期のDRAM出荷ビット数、PCsが占める比率が49%、第一四半期の50.2%から低下、PCsがDRAMなど半導体の最大消費分野として登場した1980年代以降、PCsがDRAM市場を占める比率が半分以下になるのは初めて、ハイテク業界がpost-PC時代に入ったもう1つの兆候となる旨。
・≪表≫ 応用別世界DRAM市場比率予測
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120914_ihs_1_423.jpg

スマートフォンも中国市場に入るとどんな変容を被るか、これはこれで注目であるが、現地の取材記事として次の通りである。飛びつくように行われる超ローエンド化、またまた見られる中国市場の脅威である。

【中国のスマホ】

◇Slideshow: New (Chinese) handsets you've never heard of (9月10日付け EE Times)
→中国・SHENZHEN(深セン)往訪取材記事。Huawei, ZTE, LenovoおよびCoolpadはたぶんに知られた中国のスマートフォン・ブランドであるが、Kente, Meizu, SGiFe, ThLあるいはZopoはどうだろうか?これらの多くはここ12ヶ月内の市場登場、IHS iSuppliのChinese Top Tenランキングに分け入るには道のりがあるが、やることは大きく多くがすでに5インチ画面のスマートフォンを出している旨。
・≪グラフ≫ スマートフォン、チップセットの平均販売価格(ASPs) [Source: Deutsche AG/Hong Kong]
…2012年後半、超ローエンドスマートフォンが中国のスマートフォン市場に多数押し寄せてきている
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/Junko/Mobile%2015.jpg

台湾のファウンドリー大手、TSMCおよびUMCの8月の販売高が突出する結果が見られている。一時的なものかどうか、TSMCからは先行きを抑える警告が出されている。

【TSMC、UMCの8月販売高】

◇UMC's sales shine in August (9月7日付け EE Times)
→UMC(Hsinchu, Taiwan)の8月販売高NT$9,799M(約$330M)、前月比1.9%増、前年同月比19.5%増。
2012年1-8月累計ではNT$70,797M(約$2.38B)、前年同期比3.4%減。

◇TSMC's August sales up 32% (9月10日付け EE Times)
→TSMC(Hsinchu, Taiwan)の8月の連結販売高NT$49.50B(約$1.67B)、前月比2.0%増、前年同月比31.5%増。
1-8月累計ではNT$331.6B(約$11.18B)、前年同期比14.8%増。
第三四半期売上げはガイドに先行している現在であるが、同社chairman and CEO、Morris Chang氏は、第四四半期には急激な低下が見られ、2013年第一四半期に入ってもそれが続くと見ていると警告の旨。

中国で行われた2つの議論に注目させられている。1つは半導体大手に中国はどうしてなかなかなれないのか、もう1つは根本的な懸案のIP保護についてである。世界の舞台に登場するために乗り越えるべきハードル、課題をclose-upする議論の展開に期待である。

【中国での議論の場】  

◇Why China can't create a Texas Instruments yet (9月8日付け EE Times)
→China Fabless CEO Forum & Awards(9月7日:Shenzhen[深セン], CHINA:EE Times-China主催)にて、EDAベンダー、ファウンドリーおよびTsinghua University(清華大学)からの6名のパネル討議。中国がTexas Instrumentsに匹敵する規模、creativityおよびインパクトを擁する中国の半導体メーカー誕生に至るには、長い道のりが前方に立ちはだかっている旨。以下の理由:
 1. Many Chinese fabless companies are too busy to survive.
 2. They lack multiple product lines.
 3. They don't know how to get bigger.
 4. They're not open-minded.
 5. They're not identifying the right segments.
 6. They suck at forecasting.
 7. The 'spirit' to match TI is willing, but the substance is weak.

◇China debates IP protection, fireworks ensue(9月14日付け EE Times)
→北京のHaidian区にある中国の主要ハイテクcluster、Zhongguancun Haidian Science Park(海淀-ゾンガンクン サイエンスパーク)が、今週北京で開催したannual conferenceのトップ議題が"技術移転"、中国政府当局、academicsそして米国、欧州、他のアジアからのexecutivesとともに2,000人以上の出席の旨。


≪グローバル雑学王−219≫

世界が称賛する日本の先端技術の分野の多様さに改めて驚かされるとともに、それが日々の生活に密着して快適さを生み出す素晴らしさを、

『世界がうらやむ日本の超・底力』 (ロム・インターナショナル/著:KAWADE夢新書)  
  …2012年 5月10日 初版発行

より個々に知らされている。前回に続く後半として、ハイテク蚊帳、海水淡水化システム、冷凍・養殖技術、日本産フルーツ、そして鉄道運行システムに注目していく。


2.世界が手に入れたがる日本人の頭脳と英知 ≪後半≫

◆アフリカで歓迎される日本のハイテク蚊帳
・マラリア被害に悩むアフリカの途上国
 →住友化学がハイテク蚊帳を研究・開発
 →「コントロール・リリース」技術…ポリエチレンにピレスロイドという防虫剤を練り込み、徐々に染み出すように仕上げる
 →5年以上の防虫効果
・現地生産体制の確立で、雇用確保にも貢献
 →住友化学は2000年、タンザニアの蚊帳メーカーとパートナーシップ、技術を無償提供
 →約7000の雇用機会
・砂漠化を止めるカギは「納豆」にあり?!
 →「納豆樹脂」…九州大のプロジェクト
 →納豆の糸に放射線を照射、寒天のようなゲル状物質に変えて乾燥、白い粉末状の樹脂が生まれる
 →吸水性に優れ、微生物が分解すると水と炭酸ガスになる
 →砂漠の緑地化への応用の可能性

◆水不足解消の切り札となる海水淡水化システム
・21世紀半ばには、70億人が水不足に…
 →14億Km3もの地球の水、ただし、淡水はその僅か2.5%
・どのように海水を淡水に変えるのか?
 →海水に含まれる塩分の濾過 …「逆浸透膜」と呼ばれる膜を利用した技術
 →アメリカで開発、実用化したのは日本の企業
 →0.001μmもの細かい目をもつ浸透膜の開発に成功
 →東レと日東電工の2社、世界シェア60%

◆世界のマグロ・ブームを支える日本の冷凍・養殖技術
・"スシ"と共に世界に普及したマグロ食文化
 →世界の至る所、マグロの食文化、ここ20年程の劇的な変化の一つ
・獲れたてのうまさを維持する「急速冷凍」技術
 →30分以内にマイナス5度以下まで…獲れたてのマグロのうまさを維持
 →急速冷凍後、さらにマイナス50度以下で保存、マグロのうまさを長く保てることも発見
・急速冷凍から進化した「CASシステム」とは
 →瞬間冷凍技術「CAS(Cells Alive System)」
 →マグロを反転する磁場に置いて、振動させながら冷凍するシステム
 →鮮度とうまさを瞬間的に閉じ込め
・実用化が待たれるマグロの「完全養殖」
 →「養殖マグロの実用化」…マグロ資源を守りながらも、日本の伝統的な食文化であるマグロを確保
 →100kg以上の巨体にまで養殖を可能に
・日本の養殖技術が世界の食糧危機を救う?!
 →「畜養」…マグロの卵や稚魚を生け捕り
 →「完全養殖」…養殖場で育ったマグロが産んだ卵を養殖
 →2002年、近畿大学水産研究所が、世界初のクロマグロ完全養殖に成功

◆「TPP」の逆風に立ち向かう農業技術
・日本の農家を悩ませるTPP参加問題
 →TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に最も激しく反対したのは農業関係者
 →価格競争や後継者不足、福島第一原発の事故に伴う放射能汚染の問題など
・日本は世界有数の「農業大国」だった?!
 →日本の食料自給率は39%−カロリーベース
 →生産額ベースでは、69%にまで上昇、先進国のなかでも3位
・"食べるダイヤ"と絶賛される日本産フルーツ
 →日本国内の農業生産額は約8兆円、世界第5位に相当
 →日本の農業技術が高く、魅力的な農産物の生産に成功
 →輸出拡大が目立つ例:
   青森県産リンゴ⇒台湾、中国、イギリス
   福岡県産イチゴ⇒アメリカ
   温州ミカン  ⇒カナダ
   マスクメロン ⇒オマーン

◆卓越した安全性が評価される鉄道技術と運行システム
・世界的に広がりつつある高速鉄道ブーム
 →中国の「五縦七横(5本の南北幹線、7本の東西幹線)」計画
  →中国版新幹線の技術特許を申請する動きにも
 →2011年7月、中国浙江省で高速鉄道の追突・脱線事故
 →評価を高めたのが日本の鉄道技術
・速度と安全性で群を抜く日本の新幹線
 →快適な車両、満足度の高い乗り心地
 →運行密度からも分かる安全性
   東海道新幹線の東京駅:1時間に13本もの列車が出発
   フランスTGV     :1時間に2本程度の運行
・"安全神話"を支える運行システム
 →「自動列車制御装置(ATC)」…デジタル信号によって新幹線へ速度を指示するシステム
 →「列車運行管理システム(PTC)」…代表例:「新幹線統合システム(COSMOS)」
                       …新幹線に関連するすべての管理を総合的に処理
 →世界に誇る移動手段、日本の新幹線

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