マクロ経済難題山積の渦中、僅かに戻し基調の半導体販売高
米国SIAから7月の世界半導体販売高が発表され、前月、6月から0.2%増と僅かに増加、前年同月比の方は1.9%減とマイナス幅を縮めている状況となっている。戻し基調が拡大して前年を上回るかどうか、予断を許さない現時点であるが、Windows 8、iPhone 5と本年後半を活性化する打ち上げが控えているなか、IntelおよびARMからはマクロ経済不安による需要鈍化が予想されるとの警告メッセージが出されている。世界経済の動きとともにパソコン、モバイル機器新製品の消費者を引き付ける度合い如何に何よりかかってくる。
≪7月の世界半導体販売高および関連する動き≫
米SIAからの7月の世界半導体販売高についての発表、次の通りである。
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○7月のグローバル半導体販売高、僅かに増加 …9月4日付けSIAプレスリリース
半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2012年7月の世界半導体販売高が$24.40 billionで、前月の$24.34 billionから0.2%と僅かながら増加したと発表した。この2012年7月の販売高は、2011年7月の$24.86 billionを1.9%下回っているが、前年同月比の減少幅は2011年10月以降のものより小さくなっている。月次販売高の数値はすべて3ヶ月移動平均で表わされている。
「7月の販売高データはグローバル半導体業界にとっていくつか元気づけられる兆しを示しているが、マクロ経済の難題がより力強い伸びを抑えているのは明白である。」とSIA president & CEO、Brian Toohey氏は言う。「一方、地域別の見え方は依然一様ではない。日本は昨年の災難から力強く戻してきているし、Asia Pacificは着実な基調を保っているが、欧州とAmericasはぐずついている。」
2012年7月の半導体販売高は2011年7月と比較して、日本(+4.2%)およびAsia Pacific(+1.4%)は増加したが、欧州(-10.0%)とAmericas(-10.4%)は大きく下回った。前月、2012年6月との比較では、日本(+5.4%)およびAsia Pacific(+0.3%)は増加、欧州はフラット、Americas(-3.9%)では減少している。日本は、2009年9月以来の力強い前月比の伸び、そして2011年1月以来の前年比の増加となっている。
【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域 | Jul 2011 | Jun 2012 | Jul 2012 | 前年同月比 | 前月比 |
======== | |||||
Americas | 4.64 | 4.32 | 4.15 | -10.4 | -3.9 |
Europe | 3.13 | 2.82 | 2.82 | -10.0 | 0.0 |
Japan | 3.47 | 3.43 | 3.61 | 4.2 | 5.4 |
Asia Pacific | 13.63 | 13.78 | 13.82 | 1.4 | 0.3 |
計 | $24.86 B | $24.34 B | $24.40 B | -1.9 % | 0.2 % |
※7月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
⇒http://www.sia-online.org/clientuploads/GSR/July%202012%20GSR%20table%20and%20graph%20for%20press%20release.pdf
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これを受けた各紙・誌のタイトル見出しが次の通りである。復興に向けて頑張る我が国は上記の数値データにもよく表れているが、欧米の停滞が抑制要因となっている現状のなかでの表わし方ではある。
◇Chip sales grew slightly in July (9月4日付け EE Times)
◇SIA: July semiconductor sales inch up, unevenly (9月5日付け ELECTROIQ)
◇Global semiconductor sales increase slightly in July, says SIA (9月5日付け DIGITIMES)
戻し基調は拡大すると積極的な予測も現れている。過去の流れの轍を踏めるかどうかが分岐となる。
◇Why 2Q makes or breaks a "good" year for IC sales (9月4日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsによる四半期IC市場伸長率分析。ここ30年のデータの流れから、2012年については第一四半期はマイナス成長であったが、残りはプラスと見ており、下半期対上半期は10.5%増を現在予測している旨。
・≪グラフ≫ 1983年〜2012年について前四半期比IC市場平均伸び率
⇒http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2012/September/ICInsights_seasonalpatterns_490width.jpg
米SIA発表直後のタイミングを合わせるかのように、半導体業界主要プレーヤーからの警告メッセージが出されており、まずプロセッサlicensor、ARMから次の通りである。
◇London Calling: ARM's East copes with uncertainty (9月5日付け EE Times)
→英国のプロセッサlicensor、ARM Holdings plcのCEO、Warren East氏のFinancial Timesインタビュー記事。グローバルな経済不安定性から、2012年後半は売上げが鈍化と注意を喚起している旨。
そして半導体最大手、Intelが続いて、以下の大きな下方修正が発表されている。世界経済の動向と新しい起爆剤の市場効果如何の両睨みの今後の展開ということと思う。
◇Intel Q3 revenue hit by weak demand (9月7日付け EE Times)
→Intel社の第三四半期売上げ見込み、前回の$13.8B〜$14.8Bから、今回$12.9B〜$13.5Bに下方修正、2012年のcapital spendingを前回見積もりの下限、$12.1Bより下げる旨。この下方修正は、"難題ひしめくマクロ経済環境"による需要弱含みによる旨。
◇Intel lowers 3Q outlook: What's the real driving factor? (9月7日付け ELECTROIQ)
◇米インテル、売上高8%下方修正、年末商戦に影(9月8日付け 日経 電子版)
→米インテルが7日、7〜9月期の売上高の見通しを従来より8%低い$13.2B(約1兆300億円)前後に引き下げ、新興国の景気減速など背景に、主力のパソコン用MPU出荷が伸び悩んでいるための旨。世界のパソコン販売は年末商戦での伸びが期待されていたが、不透明感が出てきた旨。4半期ベースで3年ぶりの減収になる公算が大きくなった旨。
≪市場実態PickUp≫
足元のパソコン市場であるが、減速が取り沙汰されるなか伸びが目立っている中国のLenovoが、ブラジル最大のパソコンメーカーを買収する動きが見られている。新興市場での制覇を図る展開に注目である。
【現下のPC市場】
◇Lenovo to acquire Brazil's biggest PC maker (9月5日付け EE Times)
→世界第2位のPCメーカー、中国のLenovo Group Ltd.が水曜5日、ブラジル最大のPCおよびconsumer electronicsベンダー、CCEを、約$147M相当のcashおよび株式取引で買収する旨。CCE買収で、世界第3位のPC市場、ブラジルにおけるLenovoのPC市場シェアは倍以上になる旨。CCEは、ブラジルで50年以上の歴史、CCE, CCE InfoおよびCCE Mobiなどのブランド名でPCsおよびconsumer electronicsを拡販している旨。
パソコン一点張りの時代からスマートフォン、タブレットが急伸長しているpost-PC時代について、次の見方が表われている。
【post-PC時代】
◇Wintel dominance seen waning in post-PC era (9月4日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。ひと世代にわたりコンピュータ市場を先導してきているIntel社とMicrosoft社の間の強力な連携が、新しいプラットフォームが急速に席巻し出しているcomputing新時代の渦中でなにか事ありの始まりとなってきている旨。いわゆる"Wintel"連合が、PCsだけではなく急伸長のスマートフォンおよびmediaタブレット分野もある"新しい"コンピュータ市場では地位低下が予想される旨。
半導体fab spendingが、来年は最高を更新すると前向きな読みがSEMIから発表されている。ここでも西側世界から東側に投資の重点が大きく移る見方がベースとなっている。
【来年に賭ける期待】
◇Fab spending to jump in 2013, says SEMI (9月6日付け EE Times)
→SEMI発。2013年のfab spending総計が、16.7%増の$42.7Bと最高記録に達すると見る旨。米国でのウェーハfabs建設サイクルが一巡、韓国、中国および台湾でのプロジェクトがspendingを引っ張り始めて、fab spendingが東側世界に向く見込みの旨。optoelectronicsおよびLEDsに専念する300以上を含めて世界全体で1,150超の半導体製造拠点があり、2012年には76拠点が生産を開始すると見なしている旨。
◇Chip Factory Outlook Not So Bad, Trade Group Says-IC gear outlook is sanguine for next year, SEMI forecasts (9月6日付け The Wall Street Journal/Digits blog)
◇Waiting for the next "golden year" (9月7日付け ELECTROIQ)
いろいろ変転が続いているメモリ事業であるが、渦中にあるMicronから次の見方が描かれている。
【メモリ事業】
◇Micron paints rosy picture for memory sector (9月6日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Micron TechnologyのCEO、Mark Durcan氏。業界統合および製品需要の変化が合わさって、メモリ半導体事業のvolatilityが薄まってきている旨。
DRAM、NANDそしてメモリ事業は引き続き伸びていき、PCsに入るDRAMsの比率は、15年前の90%から50%以下に低下してきている旨。
興味あるアプローチということで、以下の電池の話題である。一層目立つ個人のファッション・プレゼン到来を予感させるものがある。
【身に纏える電池】
◇A battery that can be worn as bracelet!(9月4日付け EE Times India)
→LGの化学部門、LG Chemが、どこにもどんな形でも置ける薄くて曲げられるlithium-ion電池を発明、面白いことに、このcable-型電池は、ネクタイに結んだり、braceletとしてつけたり、あるいは衣服に織り込めるほど柔軟性がある旨。
≪グローバル雑学王−218≫
世界が称賛、手に入れたいとしている日本の先端技術を、
『世界がうらやむ日本の超・底力』 (ロム・インターナショナル/著:KAWADE夢新書)
…2012年 5月10日 初版発行
より見ていく。緊急地震速報システム、耐震技術、救急ロボットそして"スーパードクター"に今回は注目である。日本ならではの細やかさ、高信頼性にさらに磨きがかかることを願うし、努力研鑽を積み重ねることと思う。最近の微笑ましい動画記事で、中国で開発された「刀削麺ロボット」を目にしたが、賞味感は変わらないと街の人々の反応である。
2.世界が手に入れたがる日本人の頭脳と英知 ≪前半≫
・称賛された日本の先端技術の例
*緊急地震速報
*災害救助ロボット
*法隆寺五重塔
・ほかにも日本が誇る技術
*海水淡水化システム
*ハイテク蚊帳
・もっと広がるにちがいない国際貢献の幅
◆世界から注目を浴びる緊急地震速報システム
・日本にしかない画期的なシステム
→いつ、どこにいても、「緊急地震速報」
…揺れが襲ってくる前に地震の発生を伝えてくれる警報システム
・なぜ、揺れる前に情報を発信できるのか?
→地震波−P波(初期微動。7〜8km/秒の小さな揺れ)
−S波(3〜4km/秒の大きな揺れ)
→P波を察知した瞬間に、震源、規模を把握
→地震によっては、警報発令が間に合わないことも
・緊急地震速報はこんなに役に立つ!
→実際、2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震で有効利用された事例
・日本型システムを導入する国も出現
→現状では技術的に改良の余地があるとはいえ、世界に誇るべき防災システム
→今後さらに、世界から引く手あまたのシステムへと成長する勢い
◆大地震に備えて着実に進歩を続ける耐震技術
・「地震大国」だからこそ生まれた技術
→日本には、地震に強いと注目を集める建物がいくつか
*代表格の法隆寺
・耐震性と美しさを兼備する五重塔の秘密
→法隆寺の五重塔 …建築技術「積み上げ方式」
→「柔構造」…揺れることを前提に設計、耐震性を高める
→ほかにも、美しさに加えて地震に強い構造が随所に
・最新の高層ビルに施された地震対策とは
→六本木ヒルズの最新の地震対策
*「粘性壁」
*シリンダー型のオイルダンパー
*「CTF(Concrete Filed Steel Tube)柱」
◆災害時に実力を発揮する日本製レスキューロボット
・「人間との共生」がロボット開発の最新キーワード
→本田技研工業が開発した「ASIMO」…世界初、人間型の自律二足歩行ロボット
→ソニーが開発した「AIBO」
・「軍事ロボット」としてアメリカで発展
→「レスキュー(救急)ロボット」
…人間に代わって危険地帯での救助活動に貢献する機能をもち合わせたロボット
・アメリカ製ロボットを走行性能で上回る
→国産ロボット「Quince」…化学物質が充満している危険な室内などでも、情報収集などの活動
→斜度が42度ある階段を上り下り、抜群の走行性能を発揮
◆"スーパードクター"と尊敬される日本人医師
・年間600人…世界中から執刀依頼が殺到
→脳外科医の福島氏
…国内外、毎年、約600人以上の手術
…1980年に確立した「鍵穴手術(Keyhole Operation)」
・各分野で活躍するスーパードクターたち
→心臓外科医の山本氏
→消化器外科医の宇山氏
→脳神経外科医の桑名氏…iNPH(特発性正常圧水頭症)治療